特許第5719111号(P5719111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719111
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】外接ギアポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/18 20060101AFI20150423BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   F04C2/18 331
   F04C2/18 311B
   F04C15/00 E
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-12141(P2010-12141)
(22)【出願日】2010年1月22日
(65)【公開番号】特開2011-149358(P2011-149358A)
(43)【公開日】2011年8月4日
【審査請求日】2012年12月7日
【審判番号】不服2014-6267(P2014-6267/J1)
【審判請求日】2014年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】村田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】木附 裕章
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】三木 拓
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 藤井 昇
【審判官】 矢島 伸一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平3−68582(JP,U)
【文献】 実開昭51−62102(JP,U)
【文献】 特開2000−337266(JP,A)
【文献】 実開昭63−22392(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/08- 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプケースと、該ポンプケース内に回転可能に支持されたポンプドリブンギアと、前記ポンプケース内に回転可能に支持され、前記ポンプドリブンギアに噛合するドライブギアと、前記ポンプケースに設けられ前記ポンプドリブンギアの軸方向に貫通形成された吸込口と吐出口とを備え、前記ポンプドリブンギア及び前記ドライブギアを回転させることにより吸込側から吐出側に流体を吐出する外接ギアポンプにおいて、
前記ポンプケースの内側面に、前記ポンプドリブンギアと前記ドライブギアとの噛み合い部近傍且つ前記ポンプドリブンギアの回転中心と前記ドライブギアの回転中心とを結ぶ中心線よりも吸込側に設けられ、前記ポンプドリブンギアと前記ドライブギアの歯底円に沿う円弧状縁を有すると共に、両円弧状縁間に前記中心線と平行な縁部を有する吸込側逃げ溝を設けると共に、該吸込側逃げ溝の縁部から吐出側へと延出し、吐出側から吸込側に向かって溝幅が大きくなる吸込側小溝を設けた外接ギアポンプであって、
前記吸込側小溝は、
前記ドライブギア側に配置されたドライブギア側吸込側小溝と、
前記ポンプドリブンギア側に配置されたポンプドリブンギア側吸込側小溝とからなり
前記ポンプドリブンギア側吸込側小溝及び前記ドライブギア側吸込側小溝は、吐出側逃げ溝の縁部と吸込み側逃げ溝の縁部間に位置したドライブギアとドリブンギアの歯間に形成される閉じ込み部の容積が最大に達する前にその閉じ込み部に臨んで閉じ込み部の圧力を逃がすべく、
前記ポンプドリブンギア側吸込側小溝は、前記ドライブギア側の端が前記ドライブギアの外周が通る軌跡より前記ドライブギアの回転中心を中心とする外周側に配置されると共に、前記ポンプドリブンギア側の端が前記ポンプドリブンギアの歯底円に沿う円弧状縁から連続して吐出側に延出され、
前記ドライブギア側吸込側小溝は、前記ポンプドリブンギア側の端が前記ポンプドリブンギアの外周が通る軌跡より前記ポンプドリブンギアの回転中心を中心とする外周側に配置されると共に、前記ドライブギア側の端が前記ドライブギアの歯底円に沿う円弧状縁から連続して吐出側に延出されたことを特徴とする外接ギアポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプケースと、ポンプケース内に回転可能に支持されたポンプドリブンギアと、ポンプケース内に回転可能に支持され、ポンプドリブンギアに噛合するドライブギアとを備えた外接ギアポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
外接ギアポンプは、例えばエンジン(内燃機関)のオイルポンプとして用いられる。外接ギアポンプは、ポンプケースと、ポンプケース内に回転可能に支持され、且つ互いに噛合する複数のポンプギア(ポンプドリブンギア、ドライブギア)とを備えている。外接ギアポンプは、ポンプドリブンギア及びドライブギアを回転させることにより、一次側(吸込側)に負圧を発生させてオイルを吸い込み、一次側(吸込側)から二次側(吐出側)にオイルを吐き出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−233776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外接ギアポンプにおいて、ポンプドリブンギアとドライブギアとの噛み合い部には閉じ込みが生じる(図6(a)参照)。ポンプドリブンギアとドライブギアとの閉じ込み部の容積(閉じ込み容積)はポンプドリブンギア及びドライブギアの回転に伴って増減し、閉じ込み容積が増加する際には閉じ込み部の圧力が下がり低圧となり、閉じ込み容積が減少する際には閉じ込み部の圧力が上がり高圧となる。高圧又は低圧となった閉じ込み部内のオイルが一次側(吸込側)へ解放されると、一次側で大きな圧力脈動が起こり、エンジンではオイルパンを振動させ異音の原因となる。
【0005】
上記の振動や異音の発生防止の為、通常、ポンプドリブンギアとドライブギアとの噛み合い部近傍のポンプケースの内側面には逃げ溝(吸込側逃げ溝及び吐出側逃げ溝)を設けている。逃げ溝(吸込側逃げ溝及び吐出側逃げ溝)の例を図6(a)に示す。
【0006】
図6(a)に示すように、吸込側逃げ溝a及び吐出側逃げ溝bはそれぞれ、ポンプドリブンギアの回転中心とドライブギアの回転中心とを結ぶ中心線Zに対して平行な縁部c、dを有する。なお、図6(a)中、吸込側逃げ溝a及び吐出側逃げ溝bには網掛けが施されている。
【0007】
しかし、エンジンのオイルポンプとして用いられる外接ギアポンプでは、図6(a)に示す吸込側逃げ溝a及び吐出側逃げ溝bが設けられていても、一次側で大きな圧力脈動が起こり、オイルパンを振動させ異音が発生することがある。
【0008】
原因としては、外接ギアポンプのポンプドリブンギア及びドライブギアは比較的高速で回転している為、図6(a)に示すような一般的な逃げ溝(吸込側逃げ溝a)では閉じ込み状態からの開放初期に圧力が閉じ込み部から抜けきれず、さらにポンプドリブンギア及びドライブギアが回転して閉じ込み部が大きく開放された際に閉じ込み部の圧力が一気に逃がされ、一次側で大きな圧力脈動が起こったと考えられる(図6(b)参照)。
【0009】
実際にポンプドリブンギア及びドライブギアのバックラッシュを増したところ一次側での圧力脈動が減少していることからも、図6(a)に示すような一般的な逃げ溝(吸込側逃げ溝a)では閉じ込み状態からの開放初期に圧力が閉じ込み部から抜けきれず、一次側で大きな圧力脈動が起こったと考えられる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、外接ギアポンプの一次側圧力脈動を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、ポンプケースと、該ポンプケース内に回転可能に支持されたポンプドリブンギアと、前記ポンプケース内に回転可能に支持され、前記ポンプドリブンギアに噛合するドライブギアと、前記ポンプケースに設けられ前記ポンプドリブンギアの軸方向に貫通形成された吸込口と吐出口とを備え、前記ポンプドリブンギア及び前記ドライブギアを回転させることにより吸込側から吐出側に流体を吐出する外接ギアポンプにおいて、前記ポンプケースの内側面に、前記ポンプドリブンギアと前記ドライブギアとの噛み合い部近傍且つ前記ポンプドリブンギアの回転中心と前記ドライブギアの回転中心とを結ぶ中心線よりも吸込側に設けられ、前記ポンプドリブンギアと前記ドライブギアの歯底円に沿う円弧状縁を有すると共に、両円弧状縁間に前記中心線と平行な縁部を有する吸込側逃げ溝を設けると共に、該吸込側逃げ溝の縁部から吐出側へと延出し、吐出側から吸込側に向かって溝幅が大きくなる吸込側小溝を設けた外接ギアポンプであって、前記吸込側小溝は、前記ドライブギア側に配置されたドライブギア側吸込側小溝と、前記ポンプドリブンギア側に配置されたポンプドリブンギア側吸込側小溝とからなり前記ポンプドリブンギア側吸込側小溝及び前記ドライブギア側吸込側小溝は、前記吐出側逃げ溝の縁部と前記吸込み側逃げ溝の縁部間に位置したドライブギアとドリブンギアの歯間に形成される閉じ込み部の容積が最大に達する前にその閉じ込み部に臨んで閉じ込み部の圧力を逃がすべく、前記ポンプドリブンギア側吸込側小溝は、前記ドライブギア側の端が前記ドライブギアの外周が通る軌跡より前記ドライブギアの回転中心を中心とする外周側に配置されると共に、前記ポンプドリブンギア側の端が前記ポンプドリブンギアの歯底円に沿う円弧状縁から連続して吐出側に延出され、前記ドライブギア側吸込側小溝は、前記ポンプドリブンギア側の端が前記ポンプドリブンギアの外周が通る軌跡より前記ポンプドリブンギアの回転中心を中心とする外周側に配置されると共に、前記ドライブギア側の端が前記ドライブギアの歯底円に沿う円弧状縁から連続して吐出側に延出されているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外接ギアポンプの一次側での圧力脈動を低減することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る外接ギアポンプの正面断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る外接ギアポンプの正面断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る外接ギアポンプの側断面図である。
図4図4(a)は本発明の一実施形態に係る外接ギアポンプの要部拡大図であり、図4(b)は閉じ込み容積の変化を示すグラフである。
図5図5(a)は別の実施形態に係る外接ギアポンプの要部拡大図であり、図5(b)は閉じ込み容積の変化を示すグラフである。
図6図6(a)は従来例に係る外接ギアポンプの要部拡大図であり、図6(b)は閉じ込み容積の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1から図3に示すように、本実施形態に係る外接ギアポンプ10は、エンジンのオイルポンプ(内燃機関用オイルポンプ)に適用されるものであって、ポンプケース(ケーシング)11と、ポンプケース11内に回転可能に支持されたポンプドリブンギア(駆動ギア)12と、ポンプケース11内に回転可能に支持され、ポンプドリブンギア12に噛合するドライブギア(従動ギア)13とを備えている。なお、図1図3のI−I線断面を示し、図2図3のII−II線断面を示す。
【0017】
ポンプケース11内は、ポンプドリブンギア12及びドライブギア13によって、一次側(吸込側)、即ち一次側流体室(吸込側流体室)14と、二次側(吐出側)、即ち二次側流体室(吐出側流体室)15とに区画されている。
【0018】
ポンプケース11は、ギアケース16と、ギアカバー17とによって構成されている(図3参照)。これらギアケース16及びギアカバー17にはそれぞれ、ポンプドリブンギア12の回転軸18又はドライブギア13の回転軸19を支持する軸受部20、21が形成されており、軸受部20、21によってポンプドリブンギア12の回転軸18及びドライブギア13の回転軸19が回転可能に支持されている。ポンプドリブンギア12の回転軸18又はドライブギア13の回転軸19の外周面と軸受部20、21の内周面との間には数十μm程度の隙間(クリアランス)があり、ポンプドリブンギア12の回転軸18又はドライブギア13の回転軸19の外周面と軸受部20、21の内周面との間にオイルが介在するようになっている。ポンプケース11(ギアケース16及びギアカバー17)は、図示しない固定部材によりエンジンのシリンダブロックに固定され、且つシリンダブロックとオイルパンとで囲われた空間に配設されている。
【0019】
ギアケース16は、ポンプドリブンギア12の一側面22及びドライブギア13の一側面23と対向する第一内側面24(図2及び図3参照)と、ポンプドリブンギア12の歯先面25と対向するポンプドリブンギア側内周面26と、ドライブギア13の歯先面27と対向するドライブギア側内周面28とを有している。本実施形態では、噛み合い部近傍の第一内側面24の位置はポンプドリブンギア12の回転中心とドライブギア13の回転中心とを結ぶ中心線Zに対し、吸込側にオフセットされている(図4(a)参照)。ポンプドリブンギア12の一側面22及びドライブギア13の一側面23と第一内側面24との間には数十μm程度の隙間(クリアランス)があり、ポンプドリブンギア12の一側面22及びドライブギア13の一側面23と第一内側面24との間にオイルが介在するようになっている。また、ポンプドリブンギア12の歯先面25とポンプドリブンギア側内周面26との間には数十μm程度の隙間(クリアランス)があり、ポンプドリブンギア12の歯先面25とポンプドリブンギア側内周面26との間にオイルが介在するようになっている。さらに、ドライブギア13の歯先面27とドライブギア側内周面28との間には数十μm程度の隙間(クリアランス)があり、ドライブギア13の歯先面27とドライブギア側内周面28との間にオイルが介在するようになっている。
【0020】
本実施形態では、ギアケース16の第一内側面24に、ポンプドリブンギア12とドライブギア13との噛み合い部近傍且つ中心線Zよりも吸込側に設けられ、中心線Zと平行な縁部29を有する吸込側逃げ溝30を設けると共に、閉じ込み部を緩やかに開放する為、吸込側逃げ溝30の縁部29から吐出側へと延出し、吐出側から吸込側に向かって溝幅が大きくなる吸込側小溝31を設けている(図2及び図4(a)参照)。また、本実施形態では、吸込側小溝31は、ポンプドリブンギア12及びドライブギア13の歯元部近傍の第一内側面24に各々設けられている。なお、図2及び図4(a)中、吸込側逃げ溝30及び吸込側小溝31には網掛けが施されている。
【0021】
また、本実施形態では、ギアケース16の第一内側面24に、ポンプドリブンギア12とドライブギア13との噛み合い部近傍且つ中心線Zよりも吐出側に設けられ、中心線Zと平行な縁部32を有する吐出側逃げ溝33を設けている(図2及び図4(a)参照)。本実施形態では、吐出側逃げ溝33の縁部32は中心線Z上に配設されている。
【0022】
さらに、本実施形態では、ギアケース16の第一内側面24に、軸受部20、21への給油の為、吐出側から軸受部20、21へと各々延びる給油溝34を設けている。オイルは給油溝34を通って吐出側流体室15から軸受部20、21へと供給され、ポンプドリブンギア12の回転軸18及びドライブギア13の回転軸19と軸受部20、21とを潤滑したオイルはポンプドリブンギア12の回転軸18又はドライブギア13の回転軸19の外周面と軸受部20、21の内周面との間の隙間を通ってポンプケース11外部(外接ギアポンプ10外部)へ排出されて、オイルパンへと戻される。なお、図2及び図4(a)中、吐出側逃げ溝33及び給油溝34には網掛けが施されている。
【0023】
ギアカバー17は、ポンプドリブンギア12の他側面35及びドライブギア13の他側面36と対向する第二内側面37(図3参照)と、吸込側に貫通形成された吸込口38(図1参照)と、吐出側に貫通形成された吐出口39(図1参照)とを有している。ポンプドリブンギア12の他側面35及びドライブギア13の他側面36と第二内側面37との間には数十μm程度の隙間(クリアランス)があり、ポンプドリブンギア12の他側面35及びドライブギア13の他側面36と第二内側面37との間にオイルが介在するようになっている。吸込口38にはオイルストレーナー等を有する吸込通路(図示せず)が接続され、吐出口39にはオイルクーラー等を有する吐出通路(図示せず)が接続されている。
【0024】
ポンプドリブンギア12は、所定歯数の外歯を有する平歯車である。ポンプドリブンギア12の回転軸18は、図示しない伝達機構を介してエンジンのクランクシャフトに連結されており、クランクシャフトの回転によりポンプドリブンギア12が矢印X方向に回転される(図1参照)。
【0025】
ドライブギア13は、ポンプドリブンギア12と同一歯数の外歯を有する平歯車である。ドライブギア13はポンプドリブンギア12と噛合しているので、ポンプドリブンギア12の回転によりドライブギア13が矢印Y方向に回転される(図1参照)。
【0026】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0027】
ポンプドリブンギア12及びドライブギア13を回転させることにより、ポンプドリブンギア12の歯とギアケース16の第一内側面24及びポンプドリブンギア側内周面26とギアカバー17の第二内側面37との間の空間によって、オイルが吸込側流体室14から吐出側流体室15へと搬送される。また、ポンプドリブンギア12及びドライブギア13を回転させることにより、ドライブギア13の歯とギアケース16の第一内側面24及びドライブギア側内周面28とギアカバー17の第二内側面37との間の空間によっても、オイルが吸込側流体室14から吐出側流体室15へと搬送される。
【0028】
本実施形態では、ポンプケース11の内側面(ギアケース16の第一内側面24)に、ポンプドリブンギア12とドライブギア13との噛み合い部近傍且つ中心線Zよりも吸込側に設けられ、中心線Zと平行な縁部29を有する吸込側逃げ溝30を設けると共に、吸込側逃げ溝30の縁部29から吐出側へと延出し、吐出側から吸込側に向かって溝幅が大きくなる吸込側小溝31を設けたことにより、ポンプドリブンギア12及びドライブギア13の回転と共に閉じ込み部の開放面積(閉じ込み部と吸込側小溝31との重合面積)が少しずつ増すようになるので、閉じ込み状態からの開放初期に閉じ込み部の圧力を緩やかに逃がすことができ、一次側での圧力脈動を低減することができる。
【0029】
また、ポンプケース11の内側面(ギアケース16の第一内側面24)に吸込側小溝31を設けたことにより、閉じ込み開始から閉じ込み終了までの期間を吸込側小溝31がない場合に比べて短くできる為、閉じ込み容積の変化量X1を吸込側小溝31が無い場合の閉じ込み容積の変化量Y1に比べて少なくすることができ(図4(b)参照)、閉じ込み部内の圧力変化が少なくなるので、一次側での圧力脈動を低減することができる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0031】
例えば、本発明は、オイルポンプに限らず、全ての外接ギアポンプに適用することが可能である。また、本発明は、ドリブンギアの個数が二個以上の外接ギアポンプにも適用することが可能である。
【0032】
また、図5(a)に示すように、ギアケース16の第一内側面24に、吐出側逃げ溝33の縁部32から吸込側へと延出し、吸込側から吐出側に向かって溝幅が大きくなる吐出側小溝40を更に設けても良い。図5(a)では、噛み合い部近傍の第一内側面24の位置が中心線Zに対し、中央である。図5(b)に示すように、ギアケース16の第一内側面24に吸込側小溝31及び吐出側小溝40を設けることにより、閉じ込み開始から閉じ込み終了までの期間を短くできる為、閉じ込み容積の変化量X2を吸込側小溝31及び吐出側小溝40が無い場合の閉じ込み容積の変化量Y2に比べて少なくすることができ(図5(b)参照)、閉じ込み部内の圧力変化が少なくなるので、一次側での圧力脈動を低減することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 外接ギアポンプ(オイルポンプ)
11 ポンプケース
12 ポンプドリブンギア
13 ドライブギア
24 内側面(第一内側面)
29 縁部
30 吸込側逃げ溝
31 吸込側小溝
Z 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6