(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719116
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】動物由来エキスを有効成分とする、老眼、老視の改善、緩和または予防のための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/60 20060101AFI20150423BHJP
A23L 1/30 20060101ALI20150423BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
A61K35/60
A23L1/30 A
A61P27/02
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-68373(P2010-68373)
(22)【出願日】2010年3月24日
(65)【公開番号】特開2010-248182(P2010-248182A)
(43)【公開日】2010年11月4日
【審査請求日】2010年4月15日
【審判番号】不服2013-7960(P2013-7960/J1)
【審判請求日】2013年4月30日
(31)【優先権主張番号】特願2009-71759(P2009-71759)
(32)【優先日】2009年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003274
【氏名又は名称】マルハニチロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 義宣
(72)【発明者】
【氏名】河原▲崎▼ 正貴
(72)【発明者】
【氏名】本多 裕陽
(72)【発明者】
【氏名】棟田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】江成 宏之
【合議体】
【審判長】
蔵野 雅昭
【審判官】
辰己 雅夫
【審判官】
穴吹 智子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−297222(JP,A)
【文献】
特開2010−29107(JP,A)
【文献】
本多裕陽ら,アンセリン含有サケエキスの有用な生理機能について,アミノ酸研究,(2008.12),Vol.2,NO.1,p.53−56
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44
A61K35/00-35/76
A23L1/27-1/308
Registry/CAplus/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サケの可食部から得られたサケ由来エキスの少なくとも1種を有効成分とする老眼、老視の改善、緩和または予防のための医薬製剤であって、
前記サケ由来エキスが、前記サケの可食部の抽出溶媒での抽出により得られるものであり、
前記抽出が、該抽出により得られる抽出液からの固形分中に、クレアチンと、0.01〜70重量%のヒスチジン関連ジペプチドを含み、かつ、前記ヒスチジン関連ジペプチドとして、少なくともアンセリン含む条件で行われ、
前記抽出溶媒が、酸、アルカリ、無機塩が添加されていてもよい水、または、有機溶媒と水の混合物であり、
前記抽出を100℃以下の温度で行う
ことを特徴とする老眼、老視の改善、緩和または予防ための医薬製剤。
【請求項2】
前記抽出が、アンセリンを30.0〜30.5重量%、クレアチンを7.2〜8.0重量%、乳酸を10.7〜11.3重量%含む条件で行われる、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記サケ由来エキスが、ヒスチジン関連ジペプチドとして、カルノシンを更に含む請求
項1または2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
サケの可食部から得られたサケ由来エキスの少なくとも1種の、老眼、老視の改善、緩和または予防のための医薬品の製造における、老眼、老視の改善、緩和または予防のための有効成分としての使用であって、
前記サケ由来エキスが、前記サケの可食部の抽出溶媒での抽出により得られるものであり、
前記抽出が、該抽出により得られる抽出液からの固形分中に、クレアチンと、0.01〜70重量%のヒスチジン関連ジペプチドを含み、かつ、前記ヒスチジン関連ジペプチドとして、少なくともアンセリン含む条件で行われ、
前記抽出溶媒が、酸、アルカリ、無機塩が添加されていてもよい水、または、有機溶媒と水の混合物であり、
前記抽出を100℃以下の温度で行う
ことを特徴とする使用。
【請求項5】
前記抽出が、アンセリンを30.0〜30.5重量%、クレアチンを7.2〜8.0重量%、乳酸を10.7〜11.3重量%含む条件で行われる、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記サケ由来エキスが、ヒスチジン関連ジペプチドとして、カルノシンを更に含む請求項4または5に記載の使用。
【請求項7】
サケの可食部から得られたサケ由来エキスの少なくとも1種を有効成分とし、
前記サケ由来エキスが、前記サケの可食部の抽出溶媒での抽出により得られるものであり、
前記抽出が、該抽出により得られる抽出液からの固形分中に、クレアチンと、0.01〜70重量%のヒスチジン関連ジペプチドを含み、かつ、前記ヒスチジン関連ジペプチドとして、少なくともアンセリン含み、更に、アンセリンを30.0〜30.5重量%、クレアチンを7.2〜8.0重量%、乳酸を10.7〜11.3重量%含む条件で行われ、
前記抽出溶媒が、酸、アルカリ、無機塩が添加されていてもよい水、または、有機溶媒と水の混合物であり、
前記抽出を100℃以下の温度で行う
ことを特徴とする老眼、老視の改善、緩和または予防のための組成物。
【請求項8】
前記サケ由来エキスが、ヒスチジン関連ジペプチドとして、カルノシンを更に含む請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項7または8に記載した組成物を含むことを特徴とする食品。
【請求項10】
請求項7または8に記載した組成物を含むことを特徴とする医薬品。
【請求項11】
請求項7または8に記載した組成物を含むことを特徴とする機能性食品。
【請求項12】
サケの可食部から得られたサケ由来エキスの少なくとも1種の、食品における、老眼、老視の改善、緩和または予防のための有効成分としての使用であって、
前記サケ由来エキスが、前記サケの可食部の抽出溶媒での抽出により得られるものであり、
前記抽出が、該抽出により得られる抽出液からの固形分中に、クレアチンと、0.01〜70重量%のヒスチジン関連ジペプチドを含み、かつ、前記ヒスチジン関連ジペプチドとして、少なくともアンセリン含み、更に、アンセリンを30.0〜30.5重量%、クレアチンを7.2〜8.0重量%、乳酸を10.7〜11.3重量%含む条件で行われ、
前記抽出溶媒が、酸、アルカリ、無機塩が添加されていてもよい水、または、有機溶媒と水の混合物であり、
前記抽出を100℃以下の温度で行う
ことを特徴とする使用。
【請求項13】
サケの可食部から得られたサケ由来エキスの少なくとも1種の、食品の製造における、老眼、老視の改善、緩和または予防のための有効成分としての使用であって、
前記サケ由来エキスが、前記サケの可食部の抽出溶媒での抽出により得られるものであり、
前記抽出が、該抽出により得られる抽出液からの固形分中に、クレアチンと、0.01〜70重量%のヒスチジン関連ジペプチドを含み、かつ、前記ヒスチジン関連ジペプチドとして、少なくともアンセリン含み、更に、アンセリンを30.0〜30.5重量%、クレアチンを7.2〜8.0重量%、乳酸を10.7〜11.3重量%含む条件で行われ、
前記抽出溶媒が、酸、アルカリ、無機塩が添加されていてもよい水、または、有機溶媒と水の混合物であり、
前記抽出を100℃以下の温度で行う
ことを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物由来エキスを有効成分とする、老眼、老視の改善、緩和または予防のための組成物及び動物由来エキスの、老眼、老視の改善、緩和または予防のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
眼には、遠くを見る時には水晶体を薄く、近くを見る時には水晶体を厚くして網膜上に焦点を結ぶように自動的に調節する機能がある。この調節機能の障害としては、調節衰弱、調節不全、調節緊張等の病的異常と、加齢変化により調節力が減退し近方視が困難となる老視がある。眼の調節機能障害に対する治療法は少なく、特に予防的処置はあまりないのが現状である。アスタキサンチンが眼の調節機能を改善する効果があること(特許文献1)、アンセリンを含むカツオ抽出物は眼精疲労回復があること(特許文献2)、アンセリンを含むカツオ節だしを継続摂取することによって眼精疲労が改善される効果があること(非特許文献1)が知られている。
また、特許文献3には、視力の向上効果、筋肉の疲労回復効果、筋肉損傷の改善効果及び筋肉の持続力の向上効果といった眼や身体に対して種々の効果が得られるアントシアニン及びアスタキサンチンを主成分とした健康食品に、更に、マグロ、カツオの魚肉より精製した魚肉抽出物を用いて疲労感を軽減させる効果を有するアンセリンを配合することが記載されている。
しかしながら、老眼域の調節機能障害の改善を示す魚類、鳥類、哺乳類の肉、骨、皮から得られた動物由来エキスについては知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2002/094253号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/087022号パンフレット
【特許文献3】特開2008−35714号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】視覚の科学、27、95−101、2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、長期間使用しても安心で有効な魚類、鳥類または哺乳類の肉、骨または皮から得られた動物由来エキスを有効成分とする、老眼、老視の改善、緩和または予防のための組成物を提供することを目的とする。この組成物は、医薬品、食品(機能性食品を含む)に、老眼、老視の改善、緩和または予防のための有効成分として含有させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、動物由来エキスが老眼域の調節機能障害の改善作用を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の、老眼、老視の改善、緩和または予防のための組成物は、魚類、鳥類及び哺乳類から選択された動物の肉、骨及び皮から得られた動物由来エキスの少なくとも1種を有効成分とすることを特徴とする。この組成物は、食品(機能性食品を含む)または医薬品に含有させることができ、老眼、老視の改善、緩和または予防のための作用を有する食品(機能性食品を含む)または医薬品を提供することができる。
【0008】
本発明は、更に以下の使用が含まれる。
(1) 魚類、鳥類及び哺乳類から選択された動物の肉、骨及び皮から得られた動物由来エキスの少なくとも1種の、食品における、老眼、老視の改善、緩和または予防のための有効成分としての使用する方法。
(2)魚類、鳥類及び哺乳類から選択された動物の肉、骨及び皮から得られた動物由来エキスの少なくとも1種の、食品の製造における、老眼、老視の改善、緩和または予防のための有効成分としての使用する方法。
(3)魚類、鳥類及び哺乳類から選択された動物の肉、骨及び皮から得られた動物由来エキスの少なくとも1種の、医薬品の製造における、老眼、老視の改善、緩和または予防のための有効成分としての使用する方法。
【発明の効果】
【0009】
魚類、鳥類及び哺乳類から選択された動物の肉、骨及び皮から得られた動物由来エキスの少なくとも1種を医薬品または食品などの形態で摂取することによって、老眼域の眼の調節機能障害を改善することができる。本発明によれば、長期間使用しても安心で有効な、老眼、老視の改善、緩和または予防のための組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】サケ由来エキスの眼の調整力改善作用の試験結果を示す図である。
【
図2】サケ由来エキスの眼の調整力改善作用の試験結果を示す図である。
【
図3】サケ由来エキスの眼の調整力改善作用の試験結果を示す図である。
【
図4】サケ由来エキスの抗酸化作用の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において用いられる動物由来エキスは、動物(人を除く)の肉、骨及び皮から得ることができる。動物としては、魚類、鳥類及び哺乳類が挙げられる。
【0012】
動物由来エキスとしては、以下のものを挙げることができる。
(A)魚肉、鳥肉ないしは畜肉を処理廃液もしくはそれを濃縮して得られたエキス。
(B)肉、骨及び皮をミンチ状として水を加えて攪拌して得られる抽出液及びそれを濃縮して得られたエキス。
【0013】
これらのエキスは、脱塩、濃縮操作、精製操作等により更に高濃縮し、あるいは精製してもよい。また、必要に応じて乾燥して乾燥物や粉末として提供しても良い。
【0014】
本発明で利用する動物由来エキスとしては、植物には含まれないカルノシン、アンセリンなどのヒスチジン関連ジペプチドが0.01〜70重量%(アンセリン:0.01〜70重量%)、クレアチンが0.01〜70重量%、乳酸が0.01〜30重量%が含まれているものが好ましい。
【0015】
上記(A)の方法における廃液として、魚肉を蒸煮した際に得られる煮汁、魚を水洗した際に得られる洗浄水及び魚肉のドリップなどを挙げることができる。これらの廃液を、雑菌などの混入や繁殖がない条件において、加熱処理、濾過処理、減圧濃縮、凍結乾燥処理などにより濃縮及び/または乾燥を行って動物由来エキスを得ることができる。これらの廃液を用いる場合、必要に応じて濾過などの分離処理や各種精製方法によって固形分や不要な成分の除去を行ってもよい。
【0016】
上記(B)の方法における動物由来エキスを得る場合における抽出温度は、0〜100℃が望ましく、上記組成が得られる抽出条件が好ましい。抽出溶媒は水に限らず、水に酸、アルカリ、無機塩等を添加したもの、含水エタノール等の適当な有機溶媒を水に組み合わせたものが利用できる。抽出の際に得られる残渣物は、抽出液と分離し、好ましくは抽出液について脱塩操作を行う。得られた濃縮液を濃縮乾固することで当該のエキスを得ることができる。
【0017】
抽出剤としては、塩酸、酢酸、硫酸、硝酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸及びL-アスコルビン酸などの酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム及び水酸化カリウムなどのアルカリの水溶液、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどの塩の水溶液、エタノール、アセトン及びヘキサンなどの有機溶剤を用いることができる。
【0018】
これらのエキスは、安価で、ヒトに安全かつ有用な低分子生理活性物質を多く含むものである。
【0019】
上述した動物由来エキスの1種を、あるいは2種以上を組み合わせて有効成分として、老眼、老視の改善、緩和または予防のための組成物を得ることができる。更に、上述した動物由来エキスの1種を、あるいは2種以上を組み合わせて有効成分として、老眼、老視の改善、緩和または予防のための医薬品及び食品(機能性食品を含む)を提供することができる。これらの医薬品や食品はその製造工程のいずれかの段階において、上述した動物由来エキスの有効量を添加することにより製造することができる。
【0020】
本発明にかかる動物エキスによる改善の対象となる眼の調節機能としては、調節衰弱、調節不全、調節緊張等の病的異常、眼精疲労による調節異常、並びに加齢変化により調節力が減退し近方視が困難となる老眼、老視を挙げることができる。なかでも、老眼、老視の改善、緩和または予防に有効である。
【0021】
医薬品の形態としては、経口用液剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、坐剤、点眼剤、ゼリー等を挙げることができる。また、機能性食品も、例えば、経口用液剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ゼリー等として提供することができる。
【0022】
製剤化には、製薬において用いられている各種の担体、賦型剤、希釈剤、基剤などの添加剤が利用できる。各種製剤で用いられる添加剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖、デキストリン、デンプン類、メチルセルロース、脂肪酸グリセリド類、水、プロピレングリコール、マクロゴール類、アルコール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース類、ポピドン、ポリビニルアルコール、ステアリン酸カルシウム等を挙げる事ができる。この際、必要に応じて、着色剤、安定化剤、抗酸化剤、防腐剤、pH調節剤、等張化剤、溶解補助剤及び/または無痛化剤等を添加する事ができる。顆粒剤、錠剤、またはカプセル剤は、コーティング基剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等によってコーティングする事もできる。これらの製剤は本発明で得られる動物由来エキスを0.01重量%以上、好ましくは0.01〜99重量%の割合で含有する事ができる。
【0023】
本発明で得られる動物由来エキスを有効成分とする事を特徴とする老眼改善、緩和又は予防作用を有する食品組成物は、ヒトを含めた哺乳動物に経口的に投与される。投与量は動物種、対象となる患者の人種、性別、症状、体重、年齢、投与方法等によって異なり一概には言えないが、一般的なヒトの成人に経口投与する場合は、通常、1日につき体重1kgあたり0.1〜1000mg、好ましくは1〜500mg、アンセリンとして0.1mg〜400mg、好ましくは1〜200mg、であり、これを通常1日1回または2〜3回に分けて投与する。しかしながらその投与量は症状の程度に応じ適宜選択する事ができる。
【実施例】
【0024】
次に実施例を示して本発明を実施するための形態について詳細に記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)(サケ由来エキスの調製1)
サケの可食部をミンチ状に粉砕し、加水後90℃で加熱処理した。遠心分離で固液分離した後、ろ過した抽出液を減圧下濃縮後に乾燥してサケ由来エキスAを得た。
(実施例2)(サケ由来エキスの調製2)
サケの可食部をミンチ状に粉砕し、加水後90℃で加熱処理した。遠心分離で固液分離した後、ろ過した抽出液を脱塩、減圧下濃縮後に乾燥してサケ由来エキスBを得た。
(実施例3)
サケ由来エキスの成分組成を表1に示した。いずれのサケ由来エキスも類似した組成を示すことから、同様の効果が期待されると推察された。
【0025】
【表1】
【0026】
(実施例4)(サケ由来エキスの眼の調整力改善作用1)
(試験方法)
オートレフラクトメータにて測定した眼の調節度(D:ジオプトリー)が、老眼域と思われる4D以下であった人で、かつ
常時、医薬品や健康食品を服用していない人を被験者とした。被験者に対して実施例1にて調整した本発明のサケ由来エキスAを朝食時に4gずつお湯に溶かして8週間摂取させた。摂取前、摂取4週間後、摂取8週間後に眼の調節度を測定した。試験はオープン試験で実施した。
(試験結果)
表2、
図1に示したように、サケ由来エキスAの摂取により、摂取前と比較して摂取8週間後では、調節度の値が有意に改善した。
【0027】
【表2】
【0028】
平均値±標準誤差(n =12)
摂取前との比較(対応あるt 検定) ++:P<0.05
(実施例5)(サケ由来エキスの眼の調整力改善作用2)
(試験方法)
オートレフラクトメータにて測定した眼の調節度(D:ジオプトリー)が、老眼域と思われる4D以下であった人で、かつ常時、医薬品や健康食品を服用していない人を被験者とした。被験者に対して実施例2にて調整した本発明のサケ由来エキスBを朝食時に0.4及び1.3gずつお湯に溶かして8週間摂取させた。また、この際、プラセボ試料としてデキストリンを用いた。摂取前、摂取4週間後、摂取8週間後に眼の調節度を測定した。試験は二重盲検的に実施した。
(試験結果)
表3、
図2に示したように、プラセボ群と比較して、サケ由来エキスB0.4g摂取群では8週間後に、サケ由来エキス1.3g摂取群では摂取4及び8週間後に、調節度の値が有意に改善した。
【0029】
【表3】
【0030】
平均値±標準誤差
プラセボ群との比較(対応のない t 検定) ++:P<0.05
(製造例1)サケ由来エキスを配合した飲料の調製
表4で示した成分に水を加えて、50mlに調整した飲料を製造した。
【0031】
【表4】
【0032】
(製造例2)サケ由来エキスを配合した食品の調製
表5で示した成分を配合し、食品A及びBを製造した。
【0033】
【表5】
【0034】
(実施例6)(サケ由来エキスの眼の調整力改善作用3)
(試験方法)
医者に老眼と診断された人で、かつ常時、医薬品や健康食品を服用していない人を被験者とした。被験者に対して実施例2にて調製した本発明のサケ由来エキスB0.4gを4週間摂取させた。なお、プラセボ被検食として中鎖脂肪酸を用いた。摂取前、摂取4週間後に連続近点測定を実施し、眼の調節度を測定した。試験は二重盲検で実施した。
(試験結果)
表6、
図3に示したように、プラセボ群と比較して、サケ由来エキスB 0.4g摂取群は摂取4週間後に、調節度の値が有意に改善した。
【0035】
【表6】
【0036】
平均値±標準誤差
プラセボ群との比較(対応のない t 検定) +:P<0.05
(製造例3)サケ由来エキスを配合した食品の調製
表7で示した成分を配合し、食品Cを製造した。
【0037】
【表7】
【0038】
(実施例7)(サケ由来エキスの抗酸化作用1)
(試験方法)
ビタミン類やルテイン、アントシアニンなど、抗酸化能を持つ成分の摂取や点眼が効果的であるとされている。すなわち、眼に効果的な成分かどうかの検討における一つの指標として抗酸化作用を用いることができる。そこで、サケ由来エキスが眼に効果的か否かを更に確認することを目的に、抗酸化能を測定した。つまり、牛ヘモグロビン(BHb)を使用し、生体内ラジカルであるClO・の蛋白分解作用に対する阻止活性を測定した。
尚、アンセリンはサケ由来エキスに含まれる相当量で測定した。
(試験結果)
表8、
図4に示したように、双方に抗酸化能が確認され、サケ由来エキスの方が有意に高い値を示した。以上の結果から、サケ由来エキスはアンセリン以外の物質が何らかの作用をもたらし、抗酸化能が向上した可能性が示唆された。
【0039】
【表8】
【0040】
平均値±標準偏差
アンセリンとの比較(対応のない t 検定) ++:P<0.01