【実施例】
【0053】
実施例1
本実施例は、皮膚同等物を生産する方法について述べる。
【0054】
培地
器官培養のプロセスには以下の6種類の培地を用いる:3T3フィーダー細胞培地(TM);ヒト線維芽細胞増殖培地(FGM);NIKS(登録商標)培地(NM);プレーティング培地(PM);重層化培地A(SMA);および重層化培地B(SMB)。TMは、単層培養においてNIKS(登録商標)細胞のフィーダー細胞として作用する3T3細胞を増殖させるために用いられる。TMは、10%仔ウシ血清(Hyclone)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DME, GibcoBRL)の混合物である。FGMは、STRATAGRAFT(登録商標)皮膚同等物およびSTATATEST皮膚同等物の真皮同等層に用いる正常ヒト真皮線維芽細胞(NHDF)を増殖させるために使われる市販の線維芽細胞増殖培地(Clonetics)である。NMはNIKS(登録商標)ケラチノサイトを増殖させるために用いられる。NMはハムF-12培地(GibcoBRL)およびDMEの3:1混合物に、2.5% fetal clone II(Hyclone)、0.4μg/mlヒドロコルチゾン(Calbiochem)、8.4ng/mlコレラ毒素(ICN)、5μg/mlインスリン(Sigma)、24μg/mlアデニン(Sigma)および10ng/ml上皮成長因子(EGF, R&D systems)を添加したものである。PMは、NIKS(登録商標)細胞を真皮同等物上に播種する際に用いる培地である。EGFが除去され、血清が0.2%に減少し、CaCl
2(Sigma)が1.88nmの最終カルシウム濃度にまで添加されている以外は、PMはNMと同じである。SMAは、1mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)、1μMイソプロテレノール、10μMカルニチン、10μMセリン、25μMオレイン酸、15μMリノール酸、7μMアラキドン酸、1μM α-トコフェロール、0.05mg/mlアスコルビン酸(すべてSigma)および1ng/ml EGFを添加したPMと同じものである。SMBは、STRATATEST皮膚同等物の上皮重層化段階およびSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚同等物の増殖時に用いられる。SMBは、fetal clone II血清補充成分が存在することを除けば、SMAと同じものである。
【0055】
フィーダーの調製
STRATAGRAFT(登録商標)皮膚同等物の器官培養を開始する前に、3T3フィーダー細胞を調製し、次いで、そのまま用いるか、後に用いるために凍結する。3T3細胞を集密に達するまで増殖させ、マイトマイシン-C(TMに溶解して4ug/ml, Roche)で4時間処理する。次いで、細胞を洗浄し、再懸濁し、NIKS(登録商標)の増殖を補助する目的で、1.25×10
6個/100mm組織培養皿の密度でプレーティングする。凍結したフィーダーを用いる場合には、2×10
6個入りの1mlを含む1本の凍結アンプルを解凍し、新鮮なTMで希釈し、2枚の100mm組織培養皿にプレーティングする。これは、NIKS(登録商標)細胞をプレーティングする1前にNIKS(登録商標)細胞の増殖に必要と考えられるだけの数の培養皿に対して行う。
【0056】
真皮同等物の調製
第0日目に、凍結NHDF細胞を解凍してプレーティングを行う。その翌日(第1日目)、細胞にFGM-2を供給して残留性の凍結保護剤を除去し、第3日目にも再び行う。第4日目に、それらを真皮同等物に用いるために回収する。真皮同等物を調製するには、ラット尾部コラーゲン(I型, Becton-Dickinson)をまず0.03N酢酸で3mg/mlに希釈して、氷上で冷却する。濃縮ハムF12培地の混合物(通常強度の8.7倍、pH7.5のHEPESで緩衝化)をfetal clone II(ウシ血清を添加した)と混合する。この2種類の溶液は最終の溶液体積の11.5%および10%である。この培地混合物に1N NaOHを添加する(最終溶液の2.5%)。次いで、この混合物に希釈コラーゲンを添加(74%)する。この混合物に2%体積の懸濁線維芽細胞(STRATAGRAFT(登録商標)真皮同等物の場合は1.3×10
6個)を添加する。STRATATESTの場合、組織培養インサート(Millipore Corp.のMILLICELL)に100μlずつ分注し、100mm組織培養皿に入れる。ゲル形成のために30分間おいた後、この培養皿に、FGM-2 20mlを満たす。それぞれの真皮同等物の表面に1滴または2滴のF-12-血清混合物を滴下する。STRATAGRAFT(登録商標)皮膚同等物にはCorning社のTRANSWELLインサートを用いる。各インサートに真皮同等物13mlを注ぎ入れる。ゲル形成のために30分間おいた後、FGM-2 80mlを150mm組織培養皿内のTRANSWELLインサートの周囲に入れて、10mlを真皮同等物の上に入れる。このインサートは使用時まで37℃、5%CO
2、相対湿度90%のインキュベーター内に入れておく。真皮同等物にNIKS(登録商標)細胞を播種する時に、組織培養インサートの底面から培地を供給するために、インサートを滅菌ステンレス鋼メッシュの上に載せることによって気体界面に挙上する。
【0057】
NIKS(登録商標)の増殖および播種
第0日目に、フィーダーをNM中にプレーティングする。第1日目に、NIKS(登録商標)細胞をフィーダーの上に約3×10
5個/100mm培養皿の密度でプレーティングする。第2日目に、NIKS(登録商標)細胞に新鮮なNMを供給して残留性の凍結保護剤を除去する。第4日目および第6日目にもNIKS(登録商標)細胞に供給する。(STRATAGRAFT(登録商標)皮膚同等物サイズの培養の場合、必要とされる細胞の数が増えるので、NIKS(登録商標)培養を1週間早く開始する)。第8日目にNIKS(登録商標)細胞を回収し、カウントし、PM中に再懸濁させる。MIILLICELLまたはTRANSWELLインサートの表面に、NIKS(登録商標)細胞4.65×10
5個/cm
2を播種する。この培養皿に金属製リフトの下方までPM 30ml(STRATAGRAFT(登録商標)皮膚同等物の場合には100ml)を供給し、これを再びインキュベーター内に入れる。第10日目に、この培養物にSMAを供給する。第12日目、第14日目、第16日目、第18日目、第20日目、および第22日目に、この培養物にSMBを供給する。第12日目に、この培養物を湿度75%のインキュベーターに移し、この中にその培養物を成熟までの間ずっと入れておく。
【0058】
実施例2
本実施例は、2〜8℃で1日の皮膚同等物の保管が20〜25℃の保管より優れていることを証明する。
概要:
STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織は、正常ヒト真皮線維芽細胞を含有するコラーゲンゲル上に、生きた表皮ケラチノサイトからなる完全に重層化した層を有する、生きている皮膚代用組織である。最上の表皮層は、表皮から過剰な水分が失われるのを防ぐ透過性バリアーを形成する。これらの重要な構造特性および機能特性(生存率、組織学的特性、およびバリアー機能)を測定するアッセイは、ある期間にわたってSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織の品質をモニタリングするための安定性指示(stability-indicating)アッセイとして知られている。
【0059】
STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織の生産プロセスは31日間続く。生産プロセスの終わりに、STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織は器官培養条件から取り出され、HEPES-緩衝液 栄養分-アガロース発送チャンバーにプレーティングされる。これは、臨床で使用する前に、STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織の生存率、バリアー機能、および組織学的構造を維持するようにデザインされている。本研究は、発送チャンバーを2℃〜8℃または20℃〜25℃で1日、保管した後に、STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織特性を比較するために行った。2℃〜8℃または20℃〜25℃で1日の保管期間後に、STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織の2つの独立したロットを、生存率、バリアー機能、および組織学的特性について分析した。これらの温度で保管された組織のバリアー機能および組織学的特性は同等であった。しかしながら、2℃〜8℃で保管すると、20℃〜25℃で保管された組織より生存率の高い組織が得られた。本研究は、STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織を2℃〜8℃で1日、保管することによって、20℃〜25℃で保管された組織の組織特性と類似する、またはこれより優れた組織特性が得られたことを証明した。
【0060】
実験デザイン:
2つの独立したSTRATAGRAFT(登録商標)ロットを、Waisman Clinical Biomanufacturing Facility(WCBF)においてcGMPの下で生産し、本研究に使用した。STRATAGRAFT(登録商標)生産プロセスの第28日目に、各ロットから1つの組織を、Stratatech品質管理によって、生存率、バリアー機能、および組織学的特性についての標準作業手順書(SOP)に従って試験した。各ロットにある残りの6つの組織を、プロセス第28日目およびプロセス第30日目に送り込んだ。プロセス第31日目に、6つの組織を発送チャンバーに載せ、3つずつ2℃〜8℃または20℃〜25℃で1日、保管した。組織分析条件を標準化するために、分析前に、2℃〜8℃で保管された組織を20℃〜25℃で1時間温めた。
【0061】
結果:
生存率:
データを以下の表1および表2ならびに
図2に示した。20℃〜25℃で1日、保管したSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織、および2℃〜8℃で1日、保管したSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織からの試料は全て、生存率の合格基準(A550
>0.533)を満たした。2℃〜8℃で保管された組織の生存率は第28日目QC組織と同等であり、20℃〜25℃で保管された組織の生存率より高かった。
【0062】
(表1)生存率の概要
【0063】
(表2)生存率の個別値
【0064】
バリアー機能:
バリアー機能データを以下の表3および表4に示した。バリアー機能の合格基準は、全ての読み取り値が、DPM初期値
<294および10秒間隔にわたるDPM変化
<658を有さなければならないことである。
【0065】
第28日目QC組織および20℃〜25℃で保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織のバリアー機能は許容可能であった。2℃〜8℃で保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織の1つからの読み取り値の1つのDPM初期値が、合格基準を上回っていた(表4の太字)。この失敗した読み取りは、水たまりのある組織部分で起こったと書き留められた。従って、組織表面上の水たまりは、高い初期値の原因である可能性が高い。2℃〜8℃で保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織からの他の全ての読み取り値は合格基準を満たし、20℃〜25℃で保管された組織からのバリアー機能読み取り値と同等であった。第28日目QC組織と比較して、これらの温度で保管された後に、バリアー機能はわずかに改善した。このデータは、20℃〜25℃または2℃〜8℃で1日、保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織のバリアー機能は同等であると証明した。
【0066】
(表3)バリアー機能概要の表
【0067】
(表4)バリアー機能の個別値
【0068】
組織学的特性:
パラフィン包埋され、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色されたSTRATAGRAFT(登録商標)組織切片の代表的な外観には、真皮層の中の線維芽細胞、表皮層と真皮層との間の接合部にある小さな有核ケラチノサイトからなる基底層、基底層の上にある、分化しつつあるケラチノサイトからなる複数の層、および平らな角質細胞からなる層が含まれる。全ての組織は組織学的特性の規定に準拠した。2℃〜8℃で保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織の組織構造は、20℃〜25℃で保管された組織構造と同等であり、保管された組織セットは両方とも第28日目QC組織と同等であった。
【0069】
結論:
2℃〜8℃で1日、保管することによって、20℃〜25℃での保管より生存率の高いSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織が得られた。2℃〜8℃で1日、保管された組織および20℃〜25℃で1日、保管された組織のバリアー機能および組織学的特性は同等であった。これらの結果は、2℃〜8℃の低温で1日、保管しても、20℃〜25℃で保管された組織と比較して、STRATAGRAFT(登録商標)皮膚の組織特性は悪影響を受けないことを証明している。
【0070】
実施例3
本実施例は、2〜8℃で8日間、保管された皮膚同等物が、20℃〜25℃で1日しか保管されなかった組織と同等であるか、またはこれより優れていることを証明する。保管温度を下げても、20℃〜25℃で保管された組織と同等の組織品質が維持されることが示している(実施例2を参照されたい)。STRATAGRAFT(登録商標)組織を2〜8℃で8日間、保管できれば、STRATAGRAFT(登録商標)組織が臨床用途に利用可能な日数が延びるだろう。本研究は、20℃〜25℃で1日、保管された組織と2〜8℃で8日間、保管された組織の比較性を試験した。2〜8℃で保管されたが、もう7日間保管した組織において、組織生存率が改善した。
【0071】
実験デザイン:
本研究は、WCBFにおいてcGMPの下で製造した1つの組織バッチ、およびStratatech試験生産施設において生産した2つのバッチを使用した。プロセス第28日目に、各バッチから1つの組織を分析した。残りの6つの組織を第28日目および第30日目に送り込み、プロセス第31日目に発送チャンバーに載せた。分析前に、各バッチから3つの組織を、20℃〜25℃で1日、保管した。各バッチから残りの3つの組織を2〜8℃で8日間、保管した。分析前に、2〜8℃で8日間、保管した組織を、20℃〜25℃で1時間、平衡状態にした。
【0072】
結果:
組織生存率:
生存率データを表5および
図3に示した。生存率の試料は全て合格基準を満たした(A
550>0.533)。しかしながら、3つ全てのロット内比較において(
図3の左パネル)、2〜8℃で8日間、保管された組織の生存率は、20℃〜25℃で1日、保管された組織より高かった。20℃〜25℃で1日、保管された組織の平均A
550値は0.709であり、それに対して、2〜8℃で8日間、保管された組織の平均A
550値は0.831であった。このデータから、2〜8℃でのSTRATAGRAFT(登録商標)組織の保管は、20℃〜25℃での保管より良好に組織生存率を維持できることが分かる。
【0073】
(表5)組織生存率データの概要
【0074】
バリアー機能:
Novaインピーダンス計を用いて組織を分析した。データを表6および表7に示した。読み取り値は全て、STRATAGRAFT(登録商標)組織のロット発売基準を満たした(初期読み取り値
<294、変化
<658)。このデータは、STRATAGRAFT(登録商標)組織が2〜8℃で8日間、保管されても、20℃〜25℃で1日、保管された後に分析された組織と比較して、組織バリアー機能は悪影響を受けないことを示唆している。
【0075】
(表6)バリアー機能データ
【0076】
(表7)バリアー機能概要の表
【0077】
組織学的特性:
2〜8℃で8日間、保管された3つの組織セットの全ての組織構造は、STRATAGRAFT(登録商標)組織の合格基準を満たした。対照的に、20℃〜25℃で1日、保管された3つのSTRATAGRAFT(登録商標)ロットのうち2つは、非常に多くの細胞間隙を有する非定型的な組織学的特性を有していた。このデータは、STRATAGRAFT(登録商標)組織が2〜8℃で8日間、保管されても、20℃〜25℃で1日、保管された組織と比較して、組織学的特性は悪影響を受けないことを示唆している。
【0078】
結論:
本研究において、2〜8℃で8日間、保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)組織の生存率、組織学的特性、およびバリアー機能特性は、20℃〜25℃で1日、保管された組織と同等であるか、またはこれより優れていた。この結果は、2〜8℃で8日まで保管しても、STRATAGRAFT(登録商標)組織の特性は悪影響を受けないことを証明している。
【0079】
実施例4
STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織を発送チャンバーに載せて15日まで保管することができる期間延長は、臨床用途のためにSTRATAGRAFT(登録商標)組織の利用可能性を高めるので非常に望ましい。本実施例は、皮膚同等物を栄養分-アガロース発送チャンバーに載せて8日より長く、保管するには、2〜8℃を超える温度では最適以下であることを証明する。
【0080】
実験デザイン:
Stratatechのプロセス開発研究所(process development laboratory)で生産されたSTRATAGRAFT(登録商標)組織を、生産プロセスの第28日目に、栄養分-アガロース発送チャンバーに載せて包装し、約2〜8℃、15℃、または22.5℃で、1日、4日間、8日間、15日間、または29日間、保管した。指示された保管期間の後に、組織の生存率および組織学的特性を分析した。バリアー機能の測定は全ての組織で行わず、このため、このデータは示さなかった。
【0081】
結果:
本研究からの生存率データを
図4に示した。4日間の保管まで、組織生存率を維持する能力の点で保管温度は全て同等であった。8日間の保管の後に、2〜8℃で保管された組織または15℃で保管された組織からの生存率結果は互いに同等であり、20℃〜25℃で保管された組織の生存率結果より優れていた。15日間または29日間の保管の後に、2〜8℃で保管された組織は、15℃または20℃〜25℃で保管された組織と比較して高い生存率を示した。
【0082】
結論:
本研究は、保管が8日を過ぎると、組織生存率を助ける能力の点で、2〜8℃での皮膚同等物の保管は15℃を上回る温度での保管より頑強であることを証明する。
【0083】
実施例5
STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織を発送チャンバーに載せて15日まで保管することができる期間延長は、臨床用途のためにSTRATAGRAFT(登録商標)組織の利用可能性を高めるので非常に望ましい。本研究は、STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織を、栄養分無添加アガロースを含有する発送チャンバーに載せて、2〜8℃で15日間、保管する実現可能性を試験するために行った。
【0084】
実験デザイン:
WCBFにおいて生産された3つの独立したSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織ロットからの組織を、本研究のために使用した。各ロットから無作為に選択した1つの組織を、STRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織生産プロセスの第28日目に試験した。各ロットにある残りの6つの組織には、プロセス第28日目およびプロセス第30日目に、SMB培地を供給した。プロセス第31日目に、6つの組織を発送チャンバーに載せ、2〜8℃で、1日、8日間、または15日間、保管した。指定された保管間隔の後に、組織を20℃〜25℃で1時間インキュベートし、次いで、生存率、バリアー機能、および組織学的特性について分析した。
【0085】
結果:
生存率:
生存率データを表8および表9ならびに
図4に示した。合格基準は、全ての試料のA
550が
>0.533であることである。本研究において、第28日目QC組織、および2〜8℃で、1日、8日間、または15日間、保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織は全て生存率合格基準を満たした。
【0086】
(表8)生存率の概要
【0087】
(表9)生存率の個別値
【0088】
バリアー機能:
バリアー機能データを下の表10および表11ならびに
図5に示した。バリアー機能の合格基準は、全ての読み取り値が、DPM初期値
<294および10秒間隔にわたるDPM変化
<658を有さなければならないことである。
【0089】
2〜8℃で1日、保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織、および2〜8℃で8日間、保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織は全て、バリアー機能の合格基準を満たした。2〜8℃で15日間、保管された組織から、許容できないほど高いDPM初期値を示した読み取り値(表11の灰色の網掛け)が1つだけあった。15日間、保管された組織からの他の全ての読み取り値は、合格基準を満たした。この高いDPM初期値は、2〜8℃で保管された組織によく見られる、保管中に組織表面上に結露がたまったことによる可能性がある。このただ1つの高い読み取り値を除けば、全ての保管された組織のバリアー機能は、第28日目QC組織と同等であった。このデータから、2〜8℃での保管期間が長くなっても組織バリアー機能は悪影響を受けないことが証明された。
【0090】
(表10)バリアー機能概要の表
【0091】
(表11)バリアー機能の個別値
【0092】
組織学的特性:
一般的に、2〜8℃で15日間、保管された組織は、線維芽細胞を含有する真皮と必要な全ての組織層を含有する表皮からなる典型的な組織学的構造を示した。
【0093】
結論:
本研究の結果は、2〜8℃で15日間まで保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)組織が、STRATAGRAFT(登録商標)組織のロット発売基準を満たすことを証明する。一般的に、保管期間を15日まで延ばすことで、バリアー機能は悪影響を受けなかった。2〜8℃で15日間、保管された組織の生存率は、STRATAGRAFT(登録商標)組織の合格基準を満たした。15日間、保管された組織は、組織学的特性の合格基準も満たした。
【0094】
実施例6
本実施例は、発送用の発送チャンバーおよび滅菌包装容器がどのように作られるかについて述べる。
【0095】
アガロース45gを水1455mlに溶解して混合することによって、3%アガロース溶液を調製する。混合物を攪拌し、次いで、アガロースを溶解するためにオートクレーブする(121℃、60分)。F12培地粉末24g、DMEM培地粉末10.0g、およびHEPES粉末7.2gを水1455mlに溶解して混合することによって、2X培地溶液を調製する。全ての粉末が溶解するまで混合物を攪拌し、pHを7.3〜7.5に調節する。2X培地溶液および3%アガロース溶液を40℃の水浴に30〜60分間入れる。次いで、2X培地溶液を濾過滅菌し、Sterivex(商標)フィルターに通して、3%アガロース溶液に無菌的に添加する。次いで、結果として生じた溶液60mlを、滅菌p150培養皿(150mmX20mm円形組織培養皿)に無菌的に分注し、ゲル化させる。すぐに使用しなければ、使用するまで保管のために、発送チャンバーをヒートシール可能な滅菌バックに入れる。発送のために、Transwellインサート(7.5cm直径(44cm
2)、孔径0.4ミクロン)の中にある皮膚同等物を、発送チャンバーの中にあるアガロースに無菌的に載せ、p150プレート上部を発送チャンバーの上に載せ、無菌条件下で固定する。次いで、発送チャンバーを、滅菌したヒートシール可能な袋に入れ、密封して、発送用包装容器を得る。発送用包装容器を2〜8℃で保管および発送し、使用現場では2〜8℃で、包装時から8〜15日間、使用直前まで保管することができる。包装容器の完全性は、使用時まで維持することができ、使用前に皮膚同等物を生き返らせる必要はない。
【0096】
実施例7
本実施例は、皮膚同等物を生産する簡素化した方法について述べる。
【0097】
培地
器官培養のプロセスには以下の3種類の培地を用いる。これらは全て、全ての培地からコレラ毒素が省かれている以外は、米国特許第7,407,805号に記載のSMB培地の処方をベースとしている。FM01は、皮膚同等物の真皮同等層において使用するための正常ヒト真皮線維芽細胞(NHDF)を増殖させるために用いられる。FM01の処方は、Fetal Clone II血清(2%最終)を含有し、コレラ毒素を欠く以外はSMBと同じである。KM01は、NIKS(登録商標)ケラチノサイトを増殖させるのに用いられ、2.5%fetal clone IIを含有し、さらなる上皮細胞成長因子(EGF)が最終濃度5ng/mlまで添加される以外はSMBと同じ組成を有する。SM01は、皮膚同等物生産の表皮重層化段階に用いられ、コレラ毒素が省かれている以外はSMBと同一である。
【0098】
真皮同等物の調製
第0日目に、凍結NHDF細胞を解凍し、プレーティングする。翌日(第1日目)、細胞にFM01を供給して残留性の凍結保護剤を除去し、第3日目にも再び行う。第4日目に、それらを真皮同等物に用いるために回収する。真皮同等物を調製するには、最初に、I型ラット尾部コラーゲンを0.03N酢酸で3mg/mlに希釈し、氷上で冷却する。濃縮F12培地(通常強度の8.7倍、pH7.5のHEPESで緩衝化)の混合物を、fetal clone IIと混合する。これらの2つの溶液は、最終溶液体積の11.3%および9.6%である。1N NaOHを培地混合物に添加する(最終溶液の2.4%)。次いで、希釈コラーゲンを混合物に添加する(74.7%)。2%体積の懸濁線維芽細胞(2.78X10
6/ml)を混合物に添加する。9mlの最終真皮同等物混合物を、それぞれの75mm TRANSWELLインサート(Corning Costar)に注ぐ。50〜70分のゲル形成期間の後に、Transwellインサートを、150mm培養皿の中にあるステンレス鋼メッシュの表面に移す。FM01 80mlを、150mmディッシュのTRANSWELLインサートの外側に入れ、10mlを真皮同等物の上部に載せる。真皮同等物を、器官培養において使用する前に4〜5日間、37℃、5%CO
2、90%相対湿度のインキュベーターに入れる。
【0099】
NIKS(登録商標)の増殖および播種
NIKS(登録商標)細胞を解凍し、100mmディッシュ1つにつき約5x10
5細胞の密度でプレーティングする。NIKS(登録商標)培養は、マウスフィーダー細胞の存在下または非存在下で行うことができる。第1日目に、残留性の凍結保護剤を除去するために、NIKS(登録商標)細胞に新鮮なKM01を供給する。第3日目に、NIKS(登録商標)細胞に、再度、KM01を供給する。第4日目に、最初のp100培養物からNIKS(登録商標)細胞を回収し、1.2x10
6/フラスコの密度で225cm
2培養フラスコに播種する。第7日目および8日目に、NIKS(登録商標)培養に新鮮な培地を供給する。第9日目に、NIKS(登録商標)細胞を回収し、計数し、SM01に再懸濁する。2.27X10
4NIKS(登録商標)細胞/cm
2を真皮同等物の表面に播種する。ディッシュに培養物を送り込み、空気-培地の界面まで持ち上げる。培養物を75%に湿度が管理されたインキュベーターに移し、この中にその培養物を成熟のまでの間ずっと入れておく。第14日目、第18日目、第22日目、第25日目、第28日目、および第30日目に、培養物にSM01を供給する。
【0100】
実施例8
簡素化した手順を用いて生産されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織を、発送チャンバーに載せて15日まで保管することは、臨床用途のために組織の利用可能性を高めるので非常に望ましい。本実施例は、簡素化した手順を用いて生産された皮膚同等物を栄養分-アガロース発送チャンバーに載せて2〜8℃で15日まで保管することが許容可能であることを証明する。
【0101】
実験デザイン:
Stratatechのプロセス開発研究所で生産されたSTRATAGRAFT(登録商標)組織を、生産プロセスの第31日目に、栄養分-アガロース発送チャンバーに載せて包装し、約2〜8℃で、8日間または15日間、保管した。指示された保管期間の後に、組織の生存率、バリアー機能、および組織学的特性を分析した。
【0102】
結果:
生存率:
本研究からの生存率データを
図7に示した。8日間または15日間、保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織は、生存率の合格基準を満たした。保管期間が長くなるにつれて、組織生存率は減少した。それにもかかわらず、生存率の値はかなり一定しており、全ての値は下限を優に超えた。
【0103】
バリアー機能:
バリアー機能データを以下の
図8に示した。2〜8℃で8日間または15日間、保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚は全て、バリアー機能の合格基準を満たした。保管が長くなるにつれて、DPM初期値およびDPM変化値はわずかに増加したが、バリアー機能は保持された。
【0104】
組織学的特性:
一般的に、2〜8℃で8日間または15日間、保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織は、典型的な表皮層の頂上にある線維芽細胞含有コラーゲン真皮の全てを示した。これらの組織には、凝縮した核の数の増加および上部表皮層におけるエオシン染色の減少を含む、いくつかのよく見られる保管に関連する影響が見られた。
【0105】
結論:
本研究は、2〜8℃で8日間または15日間、保管されたSTRATAGRAFT(登録商標)皮膚組織の生存率、バリアー機能、および組織学的特性が許容可能であることを証明する。
【0106】
以上の本明細書中で言及した全ての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明の記述の方法およびシステムに関する様々な変更および変形が当業者には明らかであろう。本発明を好ましい具体的な態様に関連して記述してきたが、特許請求の範囲に記載される本発明は、そのような具体的な態様に不当に制限されるべきではないものと理解されるべきである。実際に、本発明を実行するために記述した様式に関し、分子生物学、生化学、または関連分野の当業者にとって明らかな種々の変更は、以下の特許請求の範囲に入るものと意図される。