特許第5719219号(P5719219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 現代自動車株式会社の特許一覧

特許5719219ハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法
<>
  • 特許5719219-ハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法 図000002
  • 特許5719219-ハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法 図000003
  • 特許5719219-ハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法 図000004
  • 特許5719219-ハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法 図000005
  • 特許5719219-ハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法 図000006
  • 特許5719219-ハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719219
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/30 20060101AFI20150423BHJP
   B60W 20/00 20060101ALI20150423BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20150423BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   B60K6/20 380
   B60K11/04 GZHV
   B60L11/14
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-88764(P2011-88764)
(22)【出願日】2011年4月13日
(65)【公開番号】特開2012-116456(P2012-116456A)
(43)【公開日】2012年6月21日
【審査請求日】2014年1月14日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0122244
(32)【優先日】2010年12月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】申 光 燮
(72)【発明者】
【氏名】金 鐘 ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】金 永 哲
(72)【発明者】
【氏名】李 將 美
(72)【発明者】
【氏名】李 載 信
【審査官】 菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−143428(JP,A)
【文献】 特開2009−120020(JP,A)
【文献】 特開2004−112855(JP,A)
【文献】 特開2005−265167(JP,A)
【文献】 特開平10−210790(JP,A)
【文献】 特開平04−000291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W10/30
B60W20/00
B60K 6/20 − 6/547
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L15/00 − 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車両の駆動モータを冷却するための油圧を発生させる電気オイルポンプと、
電気オイルポンプで発生した油圧を前記駆動モータに選択的に伝達するスイッチングバルブと、
選択的にスイッチングバルブに制御圧を供給して、スイッチングバルブ内の油路を切り換えるソレノイドバルブと、
記駆動モータの温度及び温度変化率により、前記電気オイルポンプと前記スイッチングバルブの作動を制御する制御部と、有し
前記駆動モータを冷却する作動領域を、前記駆動モータの温度変化率が第1設定値以上である最大冷却領域、前記駆動モータの温度変化率が前記第1設定値未満で、該第1設定値よりも小さな第2設定値以上であり、前記駆動モータの温度が基準温度以上である中間冷却領域、前記駆動モータの温度変化率が前記第2設定値未満で、該第2設定値よりも小さな第3設定値以上であり、前記駆動モータの温度が前記基準温度以上である最低冷却領域、及び前記最大冷却領域、前記中間冷却領域、前記最低冷却領域以外の冷却が必要でない領域に分けて制御する冷却装置であり、
前記制御部は、前記駆動モータを冷却する作動領域に応じて前記電気オイルポンプを第1作動量該第1作動量よりも小さな第2作動量及び該第2作動量よりも小さな第3作動量で作動させるかまたは停止させ、前記ソレノイドバルブをオンするかまたはオフすることを特徴とするハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記駆動モータの温度変化率が前記第1設定値以上である場合、前記電気オイルポンプを前記第1作動量で作動させ、前記ソレノイドバルブをオンすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記駆動モータの温度変化率が、前記第2設定値以上であり、前記第1設定値未満であり、前記駆動モータの温度が前記基準温度以上である場合、前記電気オイルポンプを前記第2作動量で作動させ、前記ソレノイドバルブをオンすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記駆動モータの温度変化率が、前記第3設定値以上であり、前記第2設定値未満であり、前記駆動モータの温度が前記基準温度以上である場合、前記電気オイルポンプを前記第3作動量で作動させ、前記ソレノイドバルブをオンすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記駆動モータの温度変化率が前記第3設定値未満であるか、または前記駆動モータの温度変化率が、前記第3設定値以上であり、前記第1設定値未満であり、前記駆動モータの温度が前記基準温度未満である場合、前記電気オイルポンプをオフし、前記ソレノイドバルブをオフすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置。
【請求項6】
電気オイルポンプでオイルを発生させ、発生したオイルをソレノイドバルブの制御により駆動モータに送って該駆動モータを冷却する装置であり、
前記駆動モータを冷却する作動領域を、前記駆動モータの温度変化率が第1設定値以上である最大冷却領域、前記駆動モータの温度変化率が前記第1設定値未満で、該第1設定値よりも小さな第2設定値以上であり、前記駆動モータの温度が基準温度以上である中間冷却領域、前記駆動モータの温度変化率が前記第2設定値未満で、該第2設定値よりも小さな第3設定値以上であり、前記駆動モータの温度が前記基準温度以上である最低冷却領域、及び前記最大冷却領域、前記中間冷却領域、前記最低冷却領域以外の冷却が必要でない領域に分けて制御するハイブリッド車両用駆動モータを冷却する装置であ
前記駆動モータが作動するか否かを判断する段階と、
前記駆動モータが作動中である場合、該駆動モータの温度を測定する段階と、
前記駆動モータの温度に基づいて該駆動モータの温度変化率を計算する段階と、
前記駆動モータの温度変化率が前記第1設定値以上であるか否かを判断する段階と、
前記駆動モータの温度変化率が前記第1設定値以上であれば、前記電気オイルポンプを第1作動量で作動させ、前記ソレノイドバルブをオンする段階と
を含むことを特徴とする駆動モータを冷却する冷却装置を制御する方法。
【請求項7】
前記駆動モータの温度変化率が前記第1設定値未満であれば、前記方法は、
前記駆動モータの温度が基準温度以上であるか否かを判断する段階と、
前記駆動モータの温度が前記基準温度以上である場合、該駆動モータの温度変化率が前記第2設定値以上であるか否かを判断する段階と、
前記駆動モータの温度変化率が前記第2設定値以上である場合、前記電気オイルポンプを前記第1作動量よりも小さな第2作動量で作動させ、前記ソレノイドバルブをオンする段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の駆動モータを冷却する冷却装置を制御する方法。
【請求項8】
前記駆動モータの温度が基準温度未満である場合、前記電気オイルポンプをオフし、前記ソレノイドバルブもオフすることを特徴とする請求項7に記載の駆動モータを冷却する冷却装置を制御する方法。
【請求項9】
前記駆動モータの温度変化率が前記第2設定値未満である場合、前記方法は、
前記駆動モータの温度変化率が前記第3設定値以上であるか否かを判断する段階と、
前記駆動モータの温度変化率が前記第3設定値以上である場合、前記電気オイルポンプを前記第2作動量よりも小さな第3作動量で作動させ、前記ソレノイドバルブをオンする段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の駆動モータを冷却する冷却装置を制御する方法。
【請求項10】
前記駆動モータの温度変化率が前記第3設定値未満である場合、前記電気オイルポンプをオフし、前記ソレノイドバルブもオフすることを特徴とする請求項9に記載の駆動モータを冷却する冷却装置を制御する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法に係り、より詳しくは、駆動モータの温度及び温度変化率により適切な流量の冷却オイルを供給するようにするハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハイブリッド車両は、エンジン及び駆動モータを動力源として使用する車両をいう。
ハイブリッド車両に使用される駆動モータが駆動される場合、多くの熱が発生する。発生した熱は、車両内の温度に敏感な電気装置に損傷を与えるだけでなく、駆動モータの効率をも悪化させる。このため、駆動モータの温度を管理するために、適切な流量の冷却オイルを供給しなければならない。
【0003】
従来技術によれば、ハイブリッド車両の冷却装置は、駆動モータにオイルを供給する油路がレギュレーティングバルブの下流に形成されるため、エンジン回転数が増加してオイルポンプから吐出されるオイルの量が増加しても、ライン圧を維持するようにレギュレーティングバルブがオイルの量を調節する。したがって、駆動モータにオイルを供給する油路に供給されるオイルの流量は常に一定である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来のハイブリッド車両の冷却装置において、駆動モータに供給するオイルの量を増加させるためには、別途の電気オイルポンプを備える方法がとられているが、電気オイルポンプが駆動する領域は限定されていた(例えば、特許文献2参照)。即ち、車両の初期始動時、または電気自動車モード(即ち、モータだけ駆動されるモード)走行においてのみ電気オイルポンプが作動した。したがって、駆動モータの温度と無関係に電気オイルポンプが作動する問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−135907号公報
【特許文献2】特開2010−195313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、駆動モータの温度及び温度変化率により適切な流量の冷却オイルを駆動モータに供給するハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置及びこれを制御する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明のハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置は、ハイブリッド車両の駆動モータを冷却するための油圧を発生させる電気オイルポンプと、電気オイルポンプで発生した油圧を駆動モータに選択的に伝達するスイッチングバルブと、選択的にスイッチングバルブに制御圧を供給して、スイッチングバルブ内の油路を切り換えるソレノイドバルブと、電気オイルポンプとスイッチングバルブの作動を制御する制御部とを含み、制御部は、駆動モータの温度及び駆動モータの温度変化率により電気オイルポンプを第1、2、3作動量で作動させるかまたは停止させ、ソレノイドバルブをオンするかまたはオフすることを特徴とする。
【0008】
制御部は、駆動モータの温度変化率が第1設定値以上である場合、電気オイルポンプを第1作動量で作動させ、ソレノイドバルブをオンすることが好ましい。
駆動モータの温度変化率が、第2設定値以上であり、第1設定値未満であり、駆動モータの温度が基準温度以上である場合、電気オイルポンプを第2作動量で作動させ、ソレノイドバルブをオンすることが好ましい。
駆動モータの温度変化率が、第3設定値以上であり、第2設定値未満であり、駆動モータの温度が基準温度以上である場合、電気オイルポンプを第3作動量で作動させ、ソレノイドバルブをオンすることが好ましい。
駆動モータの温度変化率が、第3設定値未満であるか、または駆動モータの温度変化率が、第3設定値以上であり、第1設定値未満であり、駆動モータの温度が基準温度未満である場合、電気オイルポンプをオフし、ソレノイドバルブをオフすることが好ましい。
【0009】
本発明の他の実施例による駆動モータを冷却する冷却装置を制御する方法は、駆動モータが作動するか否かを判断する段階と、駆動モータが作動中である場合、駆動モータの温度を測定する段階と、駆動モータの温度に基づいて駆動モータの温度変化率を計算する段階と、駆動モータの温度変化率が第1設定値以上であるか否かを判断する段階と、駆動モータの温度変化率が第1設定値以上であれば、電気オイルポンプを第1作動量で作動させ、ソレノイドバルブをオンする段階とを含むことができる。
駆動モータの温度変化率が第1設定値未満であれば、上記の方法は、駆動モータの温度が基準温度以上であるか否かを判断する段階と、駆動モータの温度が基準温度以上である場合、駆動モータの温度変化率が第2設定値以上であるか否かを判断する段階と、駆動モータの温度変化率が第2設定値以上である場合、電気オイルポンプを第2作動量で作動させ、ソレノイドバルブをオンする段階とをさらに含むことができる。
駆動モータの温度が基準温度未満である場合、電気オイルポンプをオフし、ソレノイドバルブもオフすることが好ましい。
【0010】
駆動モータの温度変化率が第2設定値未満である場合、上記の方法は、駆動モータの温度変化率が第3設定値以上であるか否かを判断する段階と、駆動モータの温度変化率が第3設定値以上である場合、電気オイルポンプを第3作動量で作動させ、ソレノイドバルブをオンする段階とをさらに含むことができる。
駆動モータの温度変化率が第3設定値未満である場合、電気オイルポンプをオフし、ソレノイドバルブもオフすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駆動モータの温度及び温度変化率により駆動モータの作動領域を定義し、各作動領域で必要な流量の冷却オイルを供給することにより、駆動モータの温度上昇を防止することができる。
また、駆動モータの効率及び耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例によるハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置の休止時の回路図である。
図2】本発明の実施例によるハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置の作動時の回路図である。
図3】本発明の実施例によるハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置のブロック図である。
図4】本発明の実施例による駆動モータを冷却する冷却装置を制御する方法のフローチャートである。
図5】本発明の実施例による駆動モータを冷却する冷却装置を制御する方法のフローチャートである。
図6】本発明の実施例による駆動モータを冷却する冷却装置の作動領域を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施例によるハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置の回路図であり、図1は、冷却装置が作動しない場合の回路図であり、図2は、冷却装置が作動する場合の回路図である。
【0014】
図1及び図2に示したとおり、本発明の実施例によるハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置は、オイルファン10、オイルポンプ20、電気オイルポンプ30、ソレノイドバルブ40、モータ50、及びスイッチングバルブ60を含む。
オイルファン10は、冷却オイルが保存されており、冷却装置にオイルを供給する。オイルファン10の出口にはオイルフィルタ12が装着されて、オイルに混ざっている水分及び異物をろ過する。
オイルポンプ20は、オイルファン10から供給されたオイルを加圧して、変速機またはエンジンに供給する。オイルポンプ20の下流の油路にはレギュレーティングバルブが装着されて、オイルポンプ20で発生した油圧をライン圧に調節する。
【0015】
電気オイルポンプ30はオイルポンプ20と並列に配置されている。即ち、電気オイルポンプ30はオイルポンプ20の作動によって直接的な影響を受けない。電気オイルポンプ30は、オイルファン10から供給されたオイルを加圧して、スイッチングバルブ60に供給する。
ソレノイドバルブ40は電気を受けて作動し、スイッチングバルブ60を制御する。ソレノイドバルブ40は、油圧発生手段(図示せず)から油圧の供給を受ける入口ポート42と、入口ポート42に供給されたオイルを選択的にスイッチングバルブ60に制御圧として供給する出口ポート44とを含む。したがって、ソレノイドバルブ40が作動する場合には、入口ポート42を通じて供給された油圧を、出口ポート44を通じてスイッチングバルブ60に供給する。
【0016】
モータ50は、電気オイルポンプ30を作動させる。即ち、モータ50に電流が印加されれば、モータ50が作動し、電気オイルポンプ30を作動させる。
スイッチングバルブ60は、電気オイルポンプ30で発生した油圧を駆動モータに選択的に供給する。このような目的のために、スイッチングバルブ60は、バルブボディーと、バルブボディーの内部で往復運動して油路を切り換えるバルブスプール62とを含む。また、バルブスプール62とバルブボディーの一端の間には弾性部材64が介装されて、バルブスプール62に復原力を提供する。
【0017】
バルブボディーは、ソレノイドバルブ40から制御圧の供給を受ける第1ポート72、電気オイルポンプ30から油圧の供給を受ける第2ポート74、第2ポート74と選択的に連結されて、第2ポート74の油圧を選択的に駆動モータに供給する第3ポート76、及び第2ポート74と選択的に連結され、オイルポンプ20の後端の油路と連結される第4ポート78を含む。オイルポンプ20の後端の油路と第4ポート78の間にはチェックバルブが備えられている。したがって、第4ポート78の油圧はオイルポンプ20の後端の油路に供給されるが、オイルポンプ20の油圧は第4ポート78に供給できないようになっている。
【0018】
図1に示したように、冷却装置が作動しなければ、電気オイルポンプ30が作動せず、ソレノイドバルブ40がオフになっている。したがって、電気オイルポンプ30は油圧を発生させることがなく、駆動モータには油圧が供給されない。
図2に示したように、冷却装置が作動すれば、電気オイルポンプ30が作動し、ソレノイドバルブ40がオンになる。したがって、電気オイルポンプ30は油圧を発生させ、発生した油圧をスイッチングバルブ60の第2ポート74に供給する。また、ソレノイドバルブ40はスイッチングバルブ60の第1ポート72に制御圧を供給する。この場合、第1ポート72の制御圧は、弾性部材64の弾性力に打勝って、バルブスプール62を図面において右側に押すようになる。したがって、第2ポート74と第3ポート76が連通し、電気オイルポンプ30の油圧が駆動モータに供給されるようになる。
【0019】
図3は、本発明の実施例によるハイブリッド車両用駆動モータを冷却する冷却装置のブロック図である。
図3に示したように、本発明の実施例による冷却装置は、温度センサー82及び制御部80をさらに含む。
温度センサー82は、駆動モータの温度を測定して、これに対する信号を制御部80に伝達する。
制御部80は、駆動モータの温度変化を経過時間により分けて駆動モータの温度変化率を計算する。また、制御部80は、駆動モータの温度及び温度変化率に基づいて、ソレノイドバルブ40及びモータ50(即ち、電気オイルポンプ30)の作動を制御する。
【0020】
このような制御部80の作動については、図4及び図5を参照してさらに詳細に説明する。
図4及び図5は、本発明の実施例による駆動モータを冷却する冷却装置を制御する方法のフローチャートである。
図4に示したとおり、車両が走行中である状態で(S100)、制御部80は駆動モータが作動するか否かを判断する(S110)。
S110段階で駆動モータが作動中であれば、制御部80は温度センサー82を通じて駆動モータの温度を測定する(S120)。駆動モータの温度測定は、設定された周期によって反復的に行われる。
【0021】
その後、制御部80は、反復的に測定された駆動モータの温度から駆動モータの温度変化率を計算する(S130)。即ち、制御部80は、前の駆動モータの温度から現在の駆動モータの温度を引いた値を経過時間で割る。
その後、制御部80は、現在冷却装置が作動している作動領域を判断し、各作動領域で必要な電気オイルポンプ30の作動量を計算する。
【0022】
冷却装置の作動領域については、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施例による駆動モータを冷却する冷却装置の作動領域を示したグラフである。図中、線α、β、γは、その傾きが駆動モータの温度変化率であり、それぞれ第1、第2、第3設定値を示す。
図6に示すとおり、冷却装置の作動領域は4個の領域に分かれている。4個の領域は、それぞれ、最大冷却領域、中間冷却領域、最低冷却領域、及び冷却が必要でない領域である。最大冷却領域は、駆動モータの温度変化率が最も大きい区間であり、中間冷却領域は、駆動モータの温度変化率が大きくて、駆動モータの温度が基準温度以上である区間であり、最低冷却領域は、駆動モータの温度変化率が小さくて、駆動モータの温度が基準温度以上である区間である。冷却が必要でない領域は、最大冷却領域、中間冷却領域、最低冷却領域以外の領域である。
【0023】
冷却領域と作動量を判断するために、制御部80は駆動モータの温度変化率が第1設定値以上であるか否かを判断する(S140)。
S140段階で駆動モータの温度変化率が第1設定値以上であれば、制御部80は電気オイルポンプ30を第1作動量で作動させ(S150)、ソレノイドバルブ40をオンする(S160)。
しかし、S140段階で駆動モータの温度変化率が第1設定値未満であれば、制御部50は駆動モータの温度が基準温度以上であるか否かを判断する(S170)。
S170段階で駆動モータの温度が基準温度以上であれば、制御部80は、駆動モータの温度変化率が、第2設定値以上であり、第1設定値未満であるのかを判断する(S180)。第2設定値は第1設定値よりは低い。
【0024】
S180段階で駆動モータの温度変化率が、第2設定値以上であり、第1設定値未満であれば、制御部80は電気オイルポンプ30を第2作動量で作動させ(S190)、S160段階に進行する。第2作動量は第1作動量よりは小さい。
S180段階で駆動モータの温度変化率が第2設定値未満であれば、制御部80は、駆動モータの温度変化率が、第3設定値以上であり、第2設定値未満であるのかを判断する(S200)。第3設定値は第2設定値よりは低い。
【0025】
S200段階で駆動モータの温度変化率が、第3設定値以上であり、第2設定値未満であれば、制御部80は電気オイルポンプ30を第3作動量で作動させ(S210)、S160段階に進行する。第3作動量は第2作動量よりは小さい。
S110段階で駆動モータが作動しないか、またはS170段階で駆動モータの温度が基準温度未満であるか、またはS200段階で駆動モータの温度変化率が第3設定値未満であれば、制御部80はソレノイドバルブをオフし(S220)、電気オイルポンプを作動させない(S230)。
一方、第1、2、3作動量は、設計者が本発明の目的に適合するように設定することができる。また、第1、2、3作動量は、駆動モータの温度または駆動モータの温度変化率により可変する値と設定することも可能である。
【0026】
上述のように、本発明によれば、駆動モータの温度及び温度変化率により駆動モータの作動領域を定義し、各作動領域で必要な冷却流量を供給することによって、駆動モータの温度上昇を防止することができる。
また、駆動モータの効率及び耐久性を向上させることができる。
【0027】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で多様な形態への変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 オイルファン
12 オイルフィルタ
20 オイルポンプ
30 電気オイルポンプ
40 ソレノイドバルブ
42 入口ポート
44 出口ポート
50 モータ
60 スイッチングバルブ
62 バルブスプール
64 弾性部材
72 第1ポート
74 第2ポート
76 第3ポート
78 第4ポート
80 制御部
82 温度センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6