(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チタン酸薄片の配合量が、前記アミノ基含有アクリル樹脂の固形分100質量部に対して7〜20質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の光輝性塗料組成物。
前記チタン酸薄片の配合量が、前記アミノ基含有アクリル樹脂の固形分100質量部に対して7〜20質量部であることを特徴とする請求項4または5に記載の光輝性樹脂膜。
被塗装物上に積層されたベース層とクリア層とを少なくとも備える積層塗膜であって、前記ベース層と前記クリア層との間に請求項4〜6のうちのいずれか一項に記載の光輝性樹脂膜が配置されていることを特徴とする積層塗膜。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0017】
先ず、本発明の光輝性塗料組成物について説明する。本発明の光輝性塗料組成物は、アミン価が0.05〜0.3mmol/g−solidであるアミノ基含有アクリル樹脂と、光輝性顔料としてのチタン酸薄片とを含有することを特徴とするものである。
【0018】
本発明で用いるチタン酸薄片とは、薄片状のチタン酸化物であり、いわゆるチタニアナノシートが好適に使用される。このようなチタン酸薄片としては、平均厚さが0.5〜300nmのものが好ましく、0.5〜100nmのものがより好ましい。平均厚さが前記下限未満のものは一般的に製造することが困難となる傾向にあり、他方、平均厚さが前記上限を超えるものを用いると粒子感が目立ちシルキー感が損なわれる傾向にある。
【0019】
また、本発明で用いるチタン酸薄片としては、平均長径が5〜50μmのものが好ましく、15〜50μmのものがより好ましい。平均長径が前記下限未満では十分なシルキー感が得られにくくなる傾向にあり、他方、平均長径が前記上限を超えるものは一般的に製造することが困難となる傾向にある。なお、ここでいう平均長径とは、チタン酸薄片の厚さ方向に垂直な面方向における平均粒径を意味している。また、このような平均長径や前述の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)などによる観察によって測定することこができる。
【0020】
さらに、前記本発明で用いるチタン酸薄片の平均アスペクト比(平均厚さに対する平均長径の比)は1000〜10000であることが好ましい。平均アスペクト比が前記下限未満では十分なシルキー感が得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとチタン酸薄片を樹脂膜中に均一に分散させることが困難となる傾向にある。
【0021】
本発明で用いるチタン酸薄片は、従来公知の方法、例えば前述の特許文献1〜6に記載の方法により得られるが、以下に説明するように層状チタン酸塩に先ず酸処理を施し、得られた層状チタン酸に塩基処理を施して単層剥離させることにより本発明で用いるチタン酸薄片を好適に得ることができる。
【0022】
ここで用いる層状チタン酸塩としては、レピドクロサイト型の層状チタン酸塩(例えば、Cs
xTi
2−x/4O
4(ただし、0.5≦x≦1)、A
xTi
2−x/3Li
x/3O
4(ただし、A=K、Rb、Cs;0.5≦x≦1)など)が挙げられる。前記レピドクロサイト型の層状チタン酸塩の具体例としては、K
0.8Ti
1.73Li
0.27O
4、Rb
0.75Ti
1.75Li
0.25O
4、Cs
0.7Ti
1.77Li
0.23O
4、Cs
0.7Ti
1.825O
4などが挙げられる。
【0023】
前記レピドクロサイト型の層状チタン酸塩は、例えば、K
2CO
3、Rb
2CO
3、またはCs
2CO
3と、アナターゼ型TiO
2と、必要に応じてLi
2CO
3などの他の金属炭酸塩とを所定のモル比で混合し、この混合物を大気中、600〜1200℃の高温で通常6〜24時間焼成することによって調製できる。
【0024】
また、得られるチタン酸薄片のアスペクト比を大きくする場合には、前記層状チタン酸塩を調製する際に、KClなどの溶融塩を用いてサイズの大きな層状チタン酸塩を調製し、これに後述する酸処理および塩基処理を順次施す方法が有効である。
【0025】
このようにして調製されたレピドクロサイト型の層状チタン酸塩は、チタンに酸素原子が6配位した八面体が稜共有で2次元方向に連鎖して形成されたホスト層と金属イオン層とが交互に積層した結晶構造を有するものである。前記ホスト層は、チタンサイトの一部が空孔になっているため、層全体として負電荷を帯びている。この負電荷を前記金属イオン層が補償してレピドクロサイト型の層状チタン酸塩全体としては電気的に中性が保たれている。
【0026】
先ず、前記層状チタン酸塩を酸と混合して攪拌する。前記金属イオン層は高いイオン交換性を示すため、この酸処理により層状構造を維持したまま、Ti以外の金属イオンが高水準で、好ましくは全て水素イオンに交換され、水素型の層状チタン酸(例えば、H
xTi
2−x/4O
4・nH
2O(ただし、0.5≦x≦1)、H
x+x/3Ti
2−x/3O
4・nH
2O(ただし、0.5≦x≦1))が形成される。その後、得られた水素型の層状チタン酸を洗浄する。Ti以外の金属イオンをより高水準で水素イオンに交換するためには、前記酸処理および洗浄処理を複数回繰り返すことが好ましい。
【0027】
酸による処理時間は1〜5日間程度が好ましい。酸による処理時間が上記下限より短くても、あるいは上記上限より長くても、後述する塩基処理を施しても層状チタン酸が単層にまで剥離されにくくなる傾向にある。
【0028】
前記酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などの強酸が挙げられる。酸の濃度は、0.1〜10Nであることが好ましい。また、前記層状チタン酸塩は、前記濃度の酸1Lに対して1〜50g混合することが好ましい。酸処理の温度は0〜50℃であることが好ましい。これらの条件を上記範囲に設定することによって上記酸処理時間で金属イオンをより高水準で水素イオンに交換することができる傾向にある。
【0029】
次に、前記水素型の層状チタン酸を塩基性物質と混合して攪拌する。前記水素型の層状チタン酸は一種の固体酸であり、塩基性物質と混合すると層間に塩基性物質をゲストとして取り込む。このとき、激しく攪拌すると層状チタン酸は単層剥離(ナノシート化)され、単層のチタン酸薄片を含有する分散液が得られる。
【0030】
塩基処理の時間は1〜5日間程度が好ましい。塩基処理の時間が上記下限より短くなると層状チタン酸が単層にまで剥離されにくくなる傾向にある。他方、上記上限より長くなるとチタン酸薄片が破壊されてアスペクト比が小さくなる傾向にある。
【0031】
前記塩基性物質としては、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAOH)、テトラブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テトラオクチルアンモニウムクロライド(TOAC)、テトラドデシルアンモニウムクロライド(TDAC)、テトラステアリルアンモニウムクロライド(TSAC)などのテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。前記塩基性物質は通常、水などの溶媒に溶解して使用される。この溶液中の塩基性物質の濃度は、0.1〜3mol/Lであることが好ましい。また、前記水素型の層状チタン酸は、前記塩基性物質に対するモル比(層状チタン酸/塩基性物質)が1/5〜2/1となるように混合することが必要であり、前記モル比が約2/1となるように混合することが特に好ましい。塩基処理の温度は0〜50℃であることが好ましい。これらの条件を上記範囲に設定することによって上記塩基処理時間でより高水準でナノシート化することができる傾向にある。
【0032】
次に、本発明で用いるアクリル樹脂について説明する。すなわち本発明においては、前述のチタン酸薄片を含有する樹脂膜とした際にマトリックスとなる樹脂として、アミン価が0.05〜0.3mmol/g−solidであるアミノ基含有アクリル樹脂を用いる必要があり、アミン価が0.1〜0.3mmol/g−solidであるアミノ基含有アクリル樹脂を用いることがより好ましい。アミン価が前記下限未満のものを用いると、十分な付着性が得られず、シルキー感も低下し、他方、アミン価が前記上限を超えたものを用いるとチタン酸薄片が凝集して樹脂膜中に均一に分散させることができず、シルキー感が低下する。
【0033】
なお、ここでいうアミン価とは、樹脂固形分1gを中和するのに要する塩酸と当量のアミノ基含有モノマーのmmol数であり、以下のようにして求めることができる。すなわち、アミン価の測定は、試料にテトラヒドロフランを加えて溶解後、電位差滴定法により0.1mol/L塩酸溶液で当量点まで滴定する。当量点は、滴定曲線上の最大変曲点とする。そして、塩酸溶液の滴定量からアミン価を以下の計算式に基づいて求める。
アミン価(mmol/g−solid)=塩酸の滴定量(mL)/樹脂の固形分量(g)×0.1。
【0034】
本発明で用いるアミノ基含有アクリル樹脂としては、そのアミン価が前記範囲内のものであればよく、その他の物性は特に制限されないが、数平均分子量は6000〜30000程度であることが好ましい。
【0035】
本発明で用いるアミノ基含有アクリル樹脂の製造方法は特に制限されず、アミノ基を有するアクリル系モノマーと他の不飽和モノマーとを既知の重合法により共重合せしめて得ることができる。その際、得られるアミノ基含有アクリル樹脂のアミン価が前記範囲内となるように、共重合せしめるアミノ基を有するアクリル系モノマーの配合量が調整される。
【0036】
アミノ基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレートなどのジアルキルアミノアルキルメタクリレート;ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレートなどのジアルキルアミノアルキルアクリレート;ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノメチルメタクリルアミド、ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、ジエチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド;ジメチルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミノメチルアクリルアミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキルアクリルアミドを挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
【0037】
また、前記アミノ基を有するアクリル系モノマーと共重合せしめる他の不飽和モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどのビニル単量体が挙げられ、これらも単独、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
【0038】
本発明で用いるアミノ基含有アクリル樹脂を合成する重合法としては、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法などの既知の重合法が挙げられ、中でも溶液重合法が簡便で好ましい。溶液重合法により前記アミノ基含有アクリル樹脂を製造する場合には、溶媒及び重合開始剤の存在下で、各モノマーの混合物を共重合させる。重合は、モノマーが重合しうる温度で行えばよいが、通常、80〜140℃が適当である。前記溶媒としては、形成するアクリル樹脂を溶解できる有機溶剤であれば、特に制限なく使用できる。このような有機溶媒としては、例えば、トルエンなどの炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;ジオキサン、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどのエーテル系溶剤;メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤;各種アルコール系溶剤が挙げられる。
【0039】
また、重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、2,2−ビス(4,4−ジtert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどの有機過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0040】
本発明の光輝性塗料組成物は、前記アミノ基含有アクリル樹脂と前記チタン酸薄片とを含有するものであり、前記アミノ基含有アクリル樹脂を溶解できる溶媒を更に含有することが好ましい。このような溶媒としては特に制限されず、例えば、水や、前述のアルキル樹脂の調製で使用される溶媒と同様の各種有機溶媒が挙げられる。これらの溶剤は単独、あるいは2種以上を混合して使用することができる。本発明の光輝性塗料組成物における前記アミノ基含有アクリル樹脂の濃度(固形分濃度)は特に制限されず、通常、3〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
【0041】
本発明の光輝性塗料組成物における前記チタン酸薄片の配合量は、前記アミノ基含有アクリル樹脂の固形分100質量部に対して7〜20質量部であることが好ましく、10〜20質量部であることがより好ましい。前記チタン酸薄片の配合量が前記下限未満では、十分なシルキー感が得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると付着性が低下する傾向にある。
【0042】
また、本発明の光輝性塗料組成物においては、用いるチタン酸薄片を作製するのに必要なアミノ基量の30〜90%(より好ましくは40〜80%)となるように、配合される前記アミノ基含有アクリル樹脂中のアミノ基の量を調整することが好ましい。前記アミノ基の量が前記下限未満では、十分な付着性が得られず、シルキー感も低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、チタン酸薄片が凝集して樹脂膜中に均一に分散させることができず、シルキー感が低下する傾向にある。なお、用いるチタン酸薄片を作製するのに必要なアミノ基量は以下のようにして求めることができる。すなわち、チタン酸薄片を作製するのに必要なアミノ基量(mol)は、用いるチタン酸の量(mol)を2で除することにより求めることができる。
【0043】
本発明の光輝性塗料組成物は、前記アミノ基含有アクリル樹脂の溶液に前記チタン酸薄片を分散させることに好適に得ることができ、分散方法としては、例えば、ボールミル、ディスパーミル、3本ロールなどを用いる方法が挙げられる。また、本発明の光輝性塗料組成物においては、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、垂れ止め剤、消泡剤、活剤などの一般的な塗料用添加剤が添加されていてもよい。
【0044】
次に、本発明の光輝性樹脂膜について説明する。すなわち、本発明の光輝性樹脂膜は、前記アミノ基含有アクリル樹脂と、該樹脂中に分散しているチタン酸薄片とを含有することを特徴とするものであり、前述の本発明の光輝性塗料組成物を、例えば基材上に塗装し、塗膜を乾燥(プレヒート)および焼き付け(焼き付け硬化)ることにより形成することができる。前記光輝性樹脂膜の膜厚(焼き付け後の膜厚)は、特に制限されないが、5〜100μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。前記膜厚が上記下限未満では、チタン酸薄片の量が少なく、シルキー感が得られにくくなる傾向にある。他方、前記膜厚が上記上限を超えると、わきなどの塗膜欠陥が生じ、外観が低下する傾向にある。
【0045】
光輝性塗料組成物の塗装方法としては、特に制限されず、従来公知の各種塗装方法が挙げられるが、スプレー塗装、ドクターブレード塗装などのせん断力がかかる塗装方法が好ましい。それにより、前記チタン酸薄片をより確実に膜面に対して平行に配向して分散させることができ、よりシルキー感のある意匠性を有する光輝性樹脂膜が得られる傾向にある。
【0046】
本発明の光輝性樹脂膜中の前記チタン酸薄片の配合量は、前記アミノ基含有アクリル樹脂の固形分100質量部に対して7〜20質量部であることが好ましく、10〜20質量部であることがより好ましい。前記チタン酸薄片の配合量が前記下限未満では、十分なシルキー感が得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると付着性が低下する傾向にある。
【0047】
次に、本発明の積層塗膜について説明する。すなわち、本発明の積層塗膜は、被塗装物上に積層されたベース層とクリア層とを少なくとも備える積層塗膜であって、前記ベース層と前記クリア層との間に前記本発明の光輝性樹脂膜が配置されていることを特徴とするものである。本発明の積層塗膜を車両外装として形成する場合、鋼板などの被塗装物上に電着層、中塗り層およびベース層が少なくとも積層された上に前記本発明の光輝性樹脂膜が積層され、さらにその上に少なくともクリア層が積層されることが好ましい。
【0048】
かかる電着層(電着塗膜)は特に制限されず、例えば、鋼板などの被塗装物表面に下塗り塗料としてカチオン電着塗料を用いて塗装することにより得られる。ここで、カチオン電着塗料としては、カチオン性高分子化合物の塩の水溶液もしくは水分散液に、必要に応じて架橋剤、顔料や各種添加剤を配合してなるそれ自体既知のものを好適に使用することができる。カチオン性高分子化合物としては、例えば、架橋性官能基を有するアクリル樹脂またはエポキシ樹脂にアミノ基などのカチオン性基を導入したものが挙げられ、これは有機酸または無機酸などで中和することによって水溶化もしくは水分散化することができる。これらの高分子化合物を硬化するための架橋剤としては、ブロックポリイソシアネート化合物、脂環式エポキシ樹脂などを用いることができる。電着層の膜厚(焼き付け後の膜厚)は特に制限されないが、通常、10〜40μm程度が好ましい。
【0049】
また、中塗り層(中塗り塗膜)を形成する中塗り塗料も特に制限されず、例えば、基本的に、基体樹脂と架橋剤とからなる熱硬化性樹脂組成物が好適に用いられる。かかる基体樹脂としては、例えば、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基のような架橋性官能基を1分子中に2個以上有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられ、また、架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂などのようなアミノ樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有化合物などが挙げられる。中塗り層の膜厚(焼き付け後の膜厚)も特に制限されないが、通常、10〜30μm程度が好ましい。
【0050】
さらに、ベース層(ベース塗膜)を形成するベース塗料も特に制限されず、例えば、既知の溶剤系着色ベース塗料や水性着色ベース塗料が好適に用いられる。かかる水性着色ベース塗料としては、例えば、顔料と、水に溶解または分散可能な樹脂と、必要に応じて架橋剤と、溶媒である水とを含有するものが挙げられる。水に溶解または分散可能な樹脂としては、例えば、1分子中にカルボキシル基等の親水基と水酸基等の架橋性官能基とを含有する樹脂であって、具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。また、架橋剤としては、例えば、疎水性又は親水性のアルキルエーテルメラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物などが挙げられる。一方、溶剤系着色ベース塗料としては、例えば、顔料と、上記同様の樹脂と、必要に応じて架橋剤と、溶剤とを含有するものが挙げられる。ベース層の膜厚(焼き付け後の膜厚)も特に制限されないが、通常、5〜20μm程度が好ましい。
【0051】
また、クリア層(クリア塗膜)を形成するクリア塗料も特に制限されず、例えば、透明な塗膜を形成可能な、熱硬化性樹脂と有機溶剤と、必要に応じて紫外線吸収剤などが含有されているものが挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂などの樹脂と、これらの架橋性官能基に反応し得るメラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂化合物または樹脂、カルボキシル基含有化合物または樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物または樹脂などの架橋剤とからなるものが挙げられる。クリア層の膜厚(焼き付け後の膜厚)も特に制限されないが、通常、20〜50μm程度が好ましい。
【0052】
本発明の積層塗膜においては、前記ベース層と前記クリア層との間に前記本発明の光輝性樹脂膜が配置されているが、かかる光輝性樹脂膜を形成する方法などは前述の通りである。また、本発明において、塗膜を乾燥(プレヒート)および焼き付け(焼き付け硬化)処理の条件は特に制限されず、例えば、乾燥処理の条件としては60〜90℃で1〜5分間程度、焼き付け処理の条件としては140〜220℃で10〜40分間程度が好適に採用される。
【0053】
以上説明した本発明の光輝性塗料組成物を用いて得られた本発明の光輝性樹脂膜および積層塗膜は、膜中に分散したチタン酸薄片がシルクのように光り輝く、いわゆるシルキー感を呈するものであり、かかるシルキー感は後述する実施例に記載のフリップ・フロップ性(FF性)によって評価することが可能である。また、本発明の光輝性樹脂膜および積層塗膜は、剥離などの発生が十分に抑制されて付着性に優れているものであり、かかる付着性は後述する実施例に記載の碁盤目剥離試験によって評価することが可能である。
【実施例】
【0054】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、シルキー感および付着性の評価はそれぞれ以下の方法に従って実施した。
【0055】
<シルキー感評価試験>
得られた積層塗膜に対して、多角度分光測色計(X−Rite社製、携帯用多角度分光測色計MA68II)を用いて入射角45°に対して受光角15〜110°における明度(L
*値)を測定し、その最大値と最小値との差をフリップ・フロップ値(FF値)として評価した。なお、かかるFF値が高い方がシルキー感が優れていることを示す。
【0056】
<付着性試験>
得られた積層塗膜の付着性を、JIS D0202−19889に記載の碁盤目剥離試験により評価した。なお、クロスカット(2mm角、100マス目)とし、テープとしてはセロテープ(登録商標)CT−24(ニチバン(株)製、幅24mm)を使用した。
【0057】
(実施例1)
<チタン酸薄片の製造>
K
2CO
3(6.138g)、Li
2CO
3(1.094g)、アナターゼ型TiO
2(15.374g)、およびフラックスとしてKCl(20.002g)を乳鉢を用いて10分間十分に混合した。この混合物を大気中、820℃で1時間保持してKClを溶融した後、1000℃で8時間焼成した。その後、反応生成物を徐冷して層状チタン酸塩を得た。この層状チタン酸塩についてX線回折装置(理学電機工業(株)製RINT2100)を用いてX線回折測定を実施したところ、K
0.8Ti
1.73Li
0.27O
4であることを確認した。また、この層状チタン酸塩の形状を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製S3600N)を用いて観察したところ、平均粒径が30μmの大きさの微粒子であることを確認した。
【0058】
次に、前記層状チタン酸塩15gと0.5Nの塩酸1Lとを混合して室温で1日間スターラーで攪拌した。この酸処理により、層状構造を維持したまま、K
0.8Ti
1.73Li
0.27O
4のK
+とLi
+がH
3O
+に置換され、層状チタン酸(H
0.7Ti
1.825O
4・H
2O)を得た。その後、この層状チタン酸を水洗、ろ過した。
【0059】
次に、前記層状チタン酸と濃度0.3mol/Lのテトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)水溶液とをモル比(H
0.7Ti
1.825O
4・H
2O:TMAH)=4:1となるように混合(チタン酸濃度は15wt%)し、室温で1日間スターラーで攪拌し、チタン酸薄片の水分散液を得た。
【0060】
次に、この水分散液を濾過し、得られたチタン酸薄片を水洗した。そのチタン酸薄片の形状を原子間力顕微鏡(VEECO社製D3100+NanoScopeIIIa、タッピングモード、スーパーシャープチップ使用)を用いて観察したところ、平均厚さが1nm、平均長径が30μmの単層剥離されたチタン酸薄片(チタニアナノシート)であることを確認した。
【0061】
<アミノ基含有アクリル樹脂の製造>
攪拌機、温度計、還流冷却器などの備わったアクリル樹脂反応槽にエチレングリコールモノブチルエーテル157.7g(1.33mol)を仕込み、N
2雰囲気下で加熱撹拌し、72℃に達してから、モノマーとして、エチルアクリレート144.7g(1.45mol)、アクリル酸10.4g(0.145mol)およびジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)6.3g(0.04mol)と、開始剤として2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル3.99g(0.016mol)と、15gのエチレングリコールモノブチルエーテルとを含有する溶液を90分かけて滴下した。滴下終了後、72℃で30分間撹拌した後、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルのエチレングリコールモノブチルエーテル溶液(1wt%)を1g滴下し、72℃で2時間撹拌を続けた後、冷却した。重合率は誤差範囲内で100%であった。得られた反応液に、固形分(不揮発分)濃度が15wt%となるように水を加えて希釈し、さらにジメチルエタノールアミン13g(0.15mol)で中和してアミノ基含有アクリル樹脂の溶液を得た。
【0062】
そして、合成した樹脂のアミン価を以下のようにして測定した。すなわち、105℃で3時間加熱して溶媒を除去し、乾燥させた樹脂5gを100mLのビーカーにとり、テトラヒドロフラン50mLで溶解した。次いで、電位差自動滴定装置を用いて、0.1mol/L塩酸溶液で滴定し、当量点の塩酸滴定量15mLからアミン価を求めた。得られたアミノ基含有アクリル樹脂は、アミン価が0.3mmol/g−solid、数平均分子量(Mn)が24000のものであった。
【0063】
<光輝性塗料組成物の調製>
チタン酸薄片の配合量がアミノ基含有アクリル樹脂の固形分100質量部に対して10質量部となるようにチタン酸薄片の15wt%水分散液1gとアミノ基含有アクリル樹脂の溶液10gとを混合し、25℃で1日間スターラーで攪拌し、次いでアクリル樹脂(固形分)とイソシアネート(固形分)との配合比(アクリル樹脂/イソシアネート、質量比)が80/20となるようにイソシアネート(DIC製、商品名:DNW5000)0.4gを混合して光輝性塗料組成物を得た。なお、得られた光輝性塗料組成物において、アミノ基含有アクリル樹脂中のアミノ基の量は、配合されているチタン酸薄片を作製するのに必要なアミノ基量の80%に相当する。
【0064】
<積層塗膜の調製>
リン酸亜鉛化成処理を施した亜鉛メッキ鋼板上にカチオン電着塗料(関西ペイント社製、商品名:エレクロンGT−10)を硬化膜厚で15μmとなるように電着塗装し、170℃で20分間加熱硬化させ、その上に、自動車中塗り塗料(関西ペイント社製、商品名:アミラックTP−65)を硬化膜厚で35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。その上に着色ベース塗料(関西ペイント社製、商品名:TP−58(白))を硬化膜厚で30μmとなるように積層し、白色塗装板を作製した。この白色塗装板に、前記光輝性塗料組成物をドクターブレード法で硬化膜厚が15μmとなるように塗装し、80℃で3分間加熱した。そしてその未硬化塗面に、イソシアネート硬化型2液型のクリアー塗料(日本ビーケミカル社製、商品名:R−298クリヤー)をドクターブレード法で硬化膜厚が35μmとなるように積層し、140℃で30分間焼き付けて積層塗膜を作製した。
【0065】
次いで、得られた積層塗膜の意匠性を前記シルキー感評価試験により、付着性を前記付着性試験によりそれぞれ評価した。得られた結果を表1に示す。
【0066】
(実施例2)
モノマーとして、エチルアクリレート144.7g(1.45mol)、アクリル酸10.4g(0.145mol)、およびジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)4.7g(0.03mol)を用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてアミノ基含有アクリル樹脂の溶液を得た。重合率は誤差範囲内で100%であった。また、実施例1と同様にしてアミン価を測定した。得られたアミノ基含有アクリル樹脂は、アミン価が0.2mmol/g−solid、数平均分子量(Mn)が28000のものであった。
【0067】
次に、このアミノ基含有アクリル樹脂の溶液を用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして光輝性塗料組成物を調製し、それを用いて実施例1と同様にして積層塗膜を得た。なお、得られた光輝性塗料組成物において、アミノ基含有アクリル樹脂中のアミノ基の量は、配合されているチタン酸薄片を作製するのに必要なアミノ基量の60%に相当する。得られた積層塗膜の意匠性と付着性の評価結果を表1に示す。
【0068】
(実施例3)
前記層状チタン酸と濃度0.6mol/Lのテトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)水溶液とをモル比(H
0.7Ti
1.825O
4・H
2O:TMAH)=2:1となるように混合(チタン酸濃度は15wt%)したこと以外は実施例1と同様にしてチタン酸薄片の水分散液を得た。そのチタン酸薄片は、平均厚さが1nm、平均長径が30μmの単層剥離されたチタン酸薄片(チタニアナノシート)であった。
【0069】
また、モノマーとして、エチルアクリレート144.7g(1.45mol)、アクリル酸10.4g(0.145mol)、およびジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)3.1g(0.02mol)を用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてアミノ基含有アクリル樹脂の溶液を得た。重合率は誤差範囲内で100%であった。また、実施例1と同様にしてアミン価を測定した。得られたアミノ基含有アクリル樹脂は、アミン価が0.1mmol/g−solid、数平均分子量(Mn)が15000のものであった。
【0070】
次に、これらのチタン酸薄片の水分散液とアミノ基含有アクリル樹脂の溶液を用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして光輝性塗料組成物を調製し、それを用いて実施例1と同様にして積層塗膜を得た。なお、得られた光輝性塗料組成物において、アミノ基含有アクリル樹脂中のアミノ基の量は、配合されているチタン酸薄片を作製するのに必要なアミノ基量の40%に相当する。得られた積層塗膜の意匠性と付着性の評価結果を表1に示す。
【0071】
(比較例1)
モノマーとして、エチルアクリレート144.7g(1.45mol)およびアクリル酸10.4g(0.145mol)のみを用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてアクリル樹脂の溶液を得た。重合率は誤差範囲内で100%であった。また、実施例1と同様にしてアミン価を測定した。得られたアクリル樹脂は、アミン価が0mmol/g−solid、数平均分子量(Mn)が18000のものであった。
【0072】
次に、このアクリル樹脂の溶液と、実施例3で得られたチタン酸薄片の水分散液とを用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして光輝性塗料組成物を調製し、それを用いて実施例1と同様にして積層塗膜を得た。得られた積層塗膜の意匠性と付着性の評価結果を表1に示す。
【0073】
(比較例2)
モノマーとして、エチルアクリレート144.7g(1.45mol)、アクリル酸10.4g(0.145mol)、およびジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)0.6g(0.004mol)を用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてアミノ基含有アクリル樹脂の溶液を得た。重合率は誤差範囲内で100%であった。また、実施例1と同様にしてアミン価を測定した。得られたアミノ基含有アクリル樹脂は、アミン価が0.03mmol/g−solid、数平均分子量(Mn)が18000のものであった。
【0074】
次に、このアミノ基含有アクリル樹脂の溶液と、実施例3で得られたチタン酸薄片の水分散液とを用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして光輝性塗料組成物を調製し、それを用いて実施例1と同様にして積層塗膜を得た。なお、得られた光輝性塗料組成物において、アミノ基含有アクリル樹脂中のアミノ基の量は、配合されているチタン酸薄片を作製するのに必要なアミノ基量の8%に相当する。得られた積層塗膜の意匠性と付着性の評価結果を表1に示す。
【0075】
(比較例3)
モノマーとして、エチルアクリレート144.7g(1.45mol)、アクリル酸10.4g(0.145mol)、およびジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)9.4g(0.06mol)を用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてアミノ基含有アクリル樹脂の溶液を得た。重合率は誤差範囲内で100%であった。また、実施例1と同様にしてアミン価を測定した。得られたアミノ基含有アクリル樹脂は、アミン価が0.4mmol/g−solid、数平均分子量(Mn)が18000のものであった。
【0076】
次に、このアミノ基含有アクリル樹脂の溶液と、実施例3で得られたチタン酸薄片の水分散液とを用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして光輝性塗料組成物を調製し、それを用いて実施例1と同様にして積層塗膜を得た。なお、得られた光輝性塗料組成物において、アミノ基含有アクリル樹脂中のアミノ基の量は、配合されているチタン酸薄片を作製するのに必要なアミノ基量の100%に相当する。得られた積層塗膜の意匠性と付着性の評価結果を表1に示す。
【0077】
(比較例4)
モノマーとして、エチルアクリレート144.7g(1.45mol)およびアクリル酸11.8g(0.165mol)を用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてカルボキシル基含有アクリル樹脂の溶液を得た。重合率は誤差範囲内で100%であった。また、実施例1と同様にしてアミン価を測定した。得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂は、アミン価が0mmol/g−solid、数平均分子量(Mn)が16000のものであった。
【0078】
次に、このカルボキシル基含有アクリル樹脂の溶液と、実施例3で得られたチタン酸薄片の水分散液とを用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして光輝性塗料組成物を調製し、それを用いて実施例1と同様にして積層塗膜を得た。得られた積層塗膜の意匠性と付着性の評価結果を表1に示す。
【0079】
(比較例5)
モノマーとして、エチルアクリレート144.7g(1.45mol)、アクリル酸10.4g(0.145mol)、およびヒドロキシエチルアクリレート2.2g(0.02mol)を用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして水酸基含有アクリル樹脂の溶液を得た。重合率は誤差範囲内で100%であった。また、実施例1と同様にしてアミン価を測定した。得られた水酸基含有アクリル樹脂は、アミン価が0mmol/g−solid、数平均分子量(Mn)が17000のものであった。
【0080】
次に、この水酸基含有アクリル樹脂の溶液と、実施例3で得られたチタン酸薄片の水分散液とを用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして光輝性塗料組成物を調製し、それを用いて実施例1と同様にして積層塗膜を得た。得られた積層塗膜の意匠性と付着性の評価結果を表1に示す。
【0081】
(比較例6)
モノマーとして、エチルアクリレート144.7g(1.45mol)、アクリル酸10.4g(0.145mol)、およびスチレン2.0g(0.02mol)を用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてスチリル基含有アクリル樹脂の溶液を得た。重合率は誤差範囲内で100%であった。また、実施例1と同様にしてアミン価を測定した。得られたスチリル基含有アクリル樹脂は、アミン価が0mmol/g−solid、数平均分子量(Mn)が16000のものであった。
【0082】
次に、このスチリル基含有アクリル樹脂の溶液と、実施例3で得られたチタン酸薄片の水分散液とを用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして光輝性塗料組成物を調製し、それを用いて実施例1と同様にして積層塗膜を得た。得られた積層塗膜の意匠性と付着性の評価結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示した結果から明らかなように、アミン価が所定の範囲にあるアミノ基含有アクリル樹脂とチタン酸薄片とを含有する本発明の光輝性塗料組成物を用いて得られた積層塗膜(実施例1〜3)は、光輝性が高く良好なシルキー感を呈すると共に、剥離などの発生が十分に抑制されて付着性に優れたものであった。
【0085】
一方、アミン価がゼロであるアクリル樹脂を用いた場合(比較例1)や、アミン価が前記所定の範囲より低いアミノ基含有アクリル樹脂を用いた場合(比較例2)は、シルキー感と付着性がいずれも劣るものであった。また、アミン価が前記所定の範囲より高いアミノ基含有アクリル樹脂を用いた場合(比較例3)は、チタン酸薄片が凝集してしまい、シルキー感が著しく劣るものであった。
【0086】
さらに、アミノ基以外の官能基を含有するアクリル樹脂(アミン価はゼロ)を用いた場合(比較例4〜6)は、シルキー感と付着性がいずれも劣るものであった。