(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719274
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】導電性の洗浄部材を備えた印刷システムにおける媒体を洗浄するための方法、装置、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20150423BHJP
G03G 15/22 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
G03G21/00
G03G15/22 103Z
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-231048(P2011-231048)
(22)【出願日】2011年10月20日
(65)【公開番号】特開2012-93756(P2012-93756A)
(43)【公開日】2012年5月17日
【審査請求日】2014年10月17日
(31)【優先権主張番号】12/911,026
(32)【優先日】2010年10月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・イー・セイヤー
(72)【発明者】
【氏名】エラリー・エフ・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エル・ハワード
【審査官】
三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭56−137558(JP,A)
【文献】
特開平06−095537(JP,A)
【文献】
特開平07−072776(JP,A)
【文献】
特開2011−059575(JP,A)
【文献】
特開2011−232752(JP,A)
【文献】
特開平06−001507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ経路を共に規定する第1部分および第2部分を含む洗浄ユニットと、前記第2部分から前記ウェブ経路の方へ伸びる少なくとも1つの導電性の洗浄部材と、を備えたウェブ印刷システムにおけるウェブの洗浄方法であって、
前記第1部分は、前記ウェブ経路を規定するために前記第2部分の向かい側に配置されており、
前記ウェブは、印刷可能面を含み、前記ウェブ経路を介して移動可能であり、
前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材および支持部材に電源を印加して、前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材および前記支持部材に電気的にバイアスをかけるステップと、
前記ウェブの前記印刷可能面に前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材を使用して、前記ウェブを洗浄するステップと、を含み、
前記支持部材は、前記洗浄ユニットの前記第1部分から前記ウェブ経路の方へ伸び、前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材と向かい合うように配置されて、前記ウェブを支持し、
前記支持部材は、導電性の繊維毛の敷物である、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材に静電気によって帯電したトナー粒子を引き付けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材に前記静電気によって帯電したトナー粒子を保持するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1側面および第2側面を有するウェブを洗浄するためのウェブ洗浄装置であって、
第1部分および第2部分を含む洗浄システムであって、前記第1部分は、ウェブ経路を規定するために前記第2部分の向かい側に位置付けられており、前記ウェブは、前記ウェブ経路を介して移動可能である、前記システムと、
前記ウェブの前記第1側面および前記第2側面のうちの少なくとも1つを洗浄するための電界を形成するために構成および配置され、前記洗浄システムの第2部分から前記ウェブ経路の方へ伸びる、少なくとも1つの導電性の洗浄部材と、
前記洗浄システムの第1部分から前記ウェブ経路の方へ伸び、前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材と向かい合うように配置されて、前記ウェブを支持する支持部材と、を含み、
前記支持部材は、導電性の繊維毛の敷物である、
ウェブ洗浄装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材は静電ブラシである、請求項4に記載のウェブ洗浄装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材は、帯電したトナー粒子を引き付けるために、電気的にバイアスをかけられている、請求項4に記載のウェブ洗浄装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材は、帯電したトナー粒子を退けるために、電気的にバイアスをかけられている、請求項4に記載のウェブ洗浄装置。
【請求項8】
前記支持部材は、電源に接続されており、電気的にバイアスをかけられており、前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材と共に電界を形成している、請求項4に記載のウェブ洗浄装置。
【請求項9】
ウェブを洗浄するための、導電性の洗浄部材を含んだウェブ洗浄手段と、
電界を形成するために、前記導電性の洗浄部材および導電性の支持部材のうちの少なくとも1つに電気的にバイアスをかけるためのバイアス手段と、
前記電気的にバイアスをかけられた静電洗浄部材に対して前記ウェブを移動するためのウェブ移動手段と、を含み、
前記支持部材は、前記洗浄部材と向かい合うように前記ウェブを間にして前記洗浄部材の反対側に配置されて、前記ウェブを支持し、
前記支持部材は、導電性の繊維毛の敷物である、
ウェブ洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷システムの媒体を洗浄するための、方法、装置、および、システムに関する。本開示はさらに、印刷システムの印刷された媒体を洗浄するための導電性の静電洗浄部材の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体洗浄問題は、印刷システムに共通している。カットシートまたはウェブシートの形態をした紙または他の媒体を、印刷面への印刷前に洗浄する必要がある場合がある。従って、従来技術の洗浄システムは、例えば紙のウェブシートに印刷する前に、ウェブシートをロールから印刷機または無塵紙の入力に必要な他の機械に供給するときに、ウェブシートの繊維やほこりを除去するように設計されている。従来技術の媒体洗浄技術は、印刷される入力媒体を洗浄するための固定された機械のブラシを用いる。機械のブラシは、緩んだ繊維や、媒体に印刷する前の媒体からの汚れ、を除去するための真空および/または空気ジェットと組み合わせて用いられる。
【0003】
従来技術の印刷システムは、例えば印刷前の紙のウェブシートを洗浄するが、ウェブシートの表面に画像を印刷した後で、画像を損なうことなくウェブシートを効果的に洗浄することが必要である。例えば、従来技術の連続的な給紙ウェブシート印刷システムは、フラッシュラジアント定着を用いる。ラジアント定着は、高質量のトナー画像を媒体に定着させるが、さらには低密度の散らばった背景トナーを定着させないことがある。印刷されたウェブシートがプリンタから出て、大きさごとに切断され、様々な仕上げ装置を通過すると、定着していないトナーが、仕上げ装置に移動してしまうことがある。
【0004】
多くの従来技術の媒体洗浄器は、印刷された媒体上で適切に用いるには強すぎる方法で媒体と接触することがある。従来技術の固定されたブラシおよび真空システムは、印刷された媒体への損傷を最小化することができるが、固定されたブラシは、トナーによって急速に汚染されてしまう。印刷時の汚れから固定されたブラシにトナーが蓄積することを防止するために、押圧を止め、ブラシを洗浄する必要がある。このプロセスには時間がかかり、効率的な印刷製造を妨げてしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここに開示される方法、装置、およびシステムは、印刷の質を改善し、システムの構成要素の汚染物を最小限にし、サービス間隔を伸ばすために、紙のウェブシートを含む印刷された媒体を洗浄するための、導電性の洗浄部材に関するものである。方法、装置、およびシステムは、媒体を洗浄する間に例えば定着していないトナー粒子を引き付けるまたは退ける、例えば導電性の静電洗浄部材を含んでいてもよい。ここに開示した方法、装置、およびシステムは、印刷前の媒体の洗浄に用いられてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
方法の実施形態は、導電性の洗浄部材および支持部材のうちの1つに電気的にバイアスをかけることを含んでいる。これらの部材はそれぞれ、洗浄ユニットの第1部分および第2部分によって規定された媒体経路の両側に配置され、これにより、電界が形成される。方法の実施形態は、媒体経路を介して移動するウェブシートの第1印刷可能面および第2印刷可能面のうちの少なくとも1つに、導電性の静電洗浄部材を使用することを含んでいてもよい。
【0007】
さらに、方法の実施形態は、静電気によって帯電したトナー粒子、または、電気的にバイアスをかけられた支持部材と向かい合う接地した洗浄部材を、電気的にバイアスをかけられた洗浄部材に引き付けることを含んでいてもよい。静電気によって帯電したトナー粒子は、例えば、ウェブシートへの画像の印刷の副産物である、放出されたトナー粒子であってもよい。実施形態は、電気的にバイアスをかけられた洗浄部材、または、電気的にバイアスをかけられた支持部材と向かい合う接地した洗浄部材に、静電気によって帯電したトナー粒子を保持することを含んでいてもよい。保持された粒子は、適切な時間、例えば、所望のサービス間隔で、洗浄部材から放出さてもよいし、あるいは、洗浄部材またはそれと向かい合う支持部材は、洗浄部材から静電気によって帯電したトナー粒子を退けるために電気的にバイアスをかけられていてもよい。
【0008】
さらに、方法の実施形態は、第1洗浄ユニット部分および第2洗浄ユニット部分のうちの少なくとも1つから伸びる導電性の第2洗浄部材に電気的にバイアスをかけることを含んでいる。第2洗浄部材は、電気的にバイアスをかけられた第1洗浄部材と向かい合うように配置されていてもよい。バイアスをかけられた第1洗浄部材と摩擦帯電したウェブシートとによって、および、これらの間に、および/または、バイアスをかけられた第2洗浄部材と摩擦帯電したウェブシートとによって、および、これらの間に、電界が形成されてもよい。さらなる1つの実施形態は、ウェブシートの第1印刷可能面および第2印刷可能面のうちの少なくとも1つに、電気的にバイアスをかけられた第1洗浄部材および電気的にバイアスをかけられた第2洗浄部材のうちの少なくとも1つを使用することを含んでいてもよい。さらにもう1つの実施形態は、ウェブシートの両側の洗浄を行うために、ウェブシートの両面に電気的にバイアスをかけられた第1洗浄部材および電気的にバイアスをかけられた第2洗浄部材の両方を使用することを含んでいてもよい。
【0009】
同じ部材を含む洗浄装置および洗浄システムの実施形態は、媒体経路を共に規定する第1部分および第2部分を備えた洗浄ユニットを含んでいてもよい。連続的な給紙印刷システムに用いるための紙のウェブシートといった媒体は、媒体経路を介して移動してもよい。ウェブシートは、第1印刷可能面および第2印刷可能面を含んでいてもよく、これらの面には、画像を形成するためにトナーが堆積している場合がある。例えば、第1印刷可能面は、洗浄ユニットの第1部分に面していてもよく、第2印刷可能面は、洗浄ユニットの第2部分に面していてもよい。
【0010】
少なくとも1つの洗浄部材が、経路内に位置付けられたウェブシートの洗浄を行うために、洗浄ユニットの第1部分および第2部分のうちの少なくとも1つから媒体経路の方へ伸びていてもよい。洗浄部材は、導電性であり、電源に接続されていてもよく、電気的にバイアスをかけられていてもよい。他の実施形態では、支持部材は、洗浄部材と向かい合っていてもよく、接地していてもよい。あるいは、支持部材は、向かい合う洗浄部材が接地している間、電気的にバイアスをかけられていてもよい。
【0011】
他の実施形態では、第1洗浄部材は、第1洗浄部分から伸びていてもよく、第2洗浄部材は、第2洗浄部分から伸びていてもよい。第1洗浄部分および第2洗浄部分は、互いに向かい合って配置されていてもよく、それらの間で紙のウェブシートといった媒体が移動する媒体経路を規定している。第1洗浄部材および第2洗浄部材は、媒体経路の方へ伸びていてもよい。このような構成は、印刷された紙のウェブシートといったウェブシートの両側のより一層の洗浄を行うことができ、ウェブシートの同時洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1Aは、従来技術のウェブシート洗浄ユニットを示す側面図である。
【
図1B】
図1Bは、
図1Aの従来技術の洗浄ユニットを含む従来技術の洗浄システムを示す上端透視図である。
【
図2】模式的な一実施形態に従った洗浄ユニットを示す側面図である。
【
図3A】模式的な一実施形態に従った洗浄ユニットを示す側面図である。
【
図3B】模式的な一実施形態に従った洗浄ユニットを示す側面図である。
【
図4】、模式的な一実施形態に従った洗浄ユニットを示す側面図である。
【
図5】模式的な一実施形態に従った、獣毛ブラシと導電性の静電ブラシとの洗浄性能を比較したグラフである。
【
図6】様々な洗浄部材パラメータの洗浄効果を比較したグラフである。
【0013】
導電性の静電洗浄部材を備えた媒体を洗浄するための方法、装置、およびシステムを理解するために、図面に参照符号を付した。図面では、同様のまたは同一の要素を示すために、全体にわたって同じ参照符号を用いている。図面は、様々な実施形態、および、導電性の静電洗浄部材を備えた媒体を洗浄するための図示した方法、装置、およびシステムの実施形態に関連したデータを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
通常は紙のウェブシートである印刷用のウェブシートは、一側面において、あるいは、両側で同時に洗浄されてもよい。固定された繊維ブラシまたは他の材料といった洗浄部材、または、洗浄媒体の洗浄に適した構造が、ウェブシートから汚染物質粒子を取り除いてもよい。取り除かれた粒子は、次に、例えばウェブシートを横断する空気流によって、ウェブシートから離れて運ばれ得る。このことは、1つまたは複数組の固定された繊維ブラシ間をウェブシートが通過し、ウェブシートを横断する空気流を用いることによって、成し遂げられることができる。空気流に取り込まれた汚染物質粒子は、粗い粒子フィルタおよび細かい粒子フィルタを含む空気フィルタを介して空気流を通過することによって除去され得る。
【0015】
例えば固定されたブラシといった洗浄部材は、調整可能であってもよく、これにより、張力をかけたウェブシートに多かれ少なかれ入り込むことができる。通常、より大きな入り込みは、ウェブシート表面全域により大きな洗浄力を生じさせ、より強く材料を取り除く。固定されたブラシの材料および密度は、洗浄力の総量およびウェブシートと接する繊維の数を変えることによって、変更されてもよい。例えば、従来技術の獣毛ブラシは、馬の毛または雄ブタの毛から形成されてもよい。雄ブタの毛は、通常、および馬の毛よりも堅く、密度が低く、したがって、馬の毛とは異なる洗浄効果を有している。従来技術の洗浄部材は、印刷前に入力媒体の洗浄に適切なものであり得る。
【0016】
図1Aは、従来技術の媒体洗浄システムを示している。従来技術の媒体洗浄システムは、洗浄ユニット100を含んでいてもよい。洗浄ユニット100は、通路ロール101aおよび通路ロール101bといった回転可能または固定された部材によって規定された媒体通路101を含んでいてもよい。洗浄ユニット100は、第1洗浄ユニット部分105および第2洗浄ユニット部分107を含んでいてもよい。第1洗浄ユニット部分105および第2洗浄ユニット部分107は、その間に媒体経路108を規定するために配置されていてもよい。ウェブシート109といった媒体は、通路101を通って媒体経路108を介して移動してもよい。
【0017】
図1Aに示したように、固定された獣毛ブラシ111といった従来技術の洗浄部材は、洗浄ユニットの第1部分105および/または洗浄ユニットの第2部分107から伸びていてもよい。ブラシ111は、接地板112と共に配置されていてもよい。ブラシ111は、例えば第1部分105から、媒体経路108の方へ伸びていてもよい。ブラシ111は、ウェブ109と接するために、媒体経路108内で移動可能に配置されていてもよい。
【0018】
図1Bに示したように、洗浄ユニット100は、洗浄システムを形成するために、真空および/または空気流システム119、または、放たれた屑の除去に適した他の装置またはシステムと結合していてもよい。例えば、
図1Bは、洗浄ユニット100を、粗いおよび細かいフィルタを含む空気フィルタ120に接続する、たわみやすいホース114を示している。空気フィルタ120は、送風機124と結合していてもよい。空気流システム119は、ウェブを横断する空気流130を発生させてもよい。ウェブシートを横断する空気流130は、ウェブ109から、たわみやすいホース114を介して空気フィルタ120に屑を運んでもよい。送風機124は、空気流に対する吸引を行ってもよい。あるいは、もう1つの手段によって空気流が提供されてもよい。
【0019】
例えば導電性の静電ブラシといった導電性の洗浄部材は、特に印刷された媒体を用いるための、すなわち印刷後の媒体を洗浄するための、従来技術の洗浄部材の洗浄性能を高める。電界が、導電性のブラシおよびその向かい側の導電性の支持部材、または、導電性のブラシおよび摩擦帯電したウェブによって形成される。電界は、印刷されたウェブの表面において、定着していないトナー粒子に影響を与えてもよい。例えば、第1洗浄ユニット部分から伸びる支持部材は、電気的にバイアスをかけられていてもよく、一方、第2洗浄ユニット部分から伸びる向かい側の洗浄部材は、接地している。あるいは、洗浄部材は、電気的にバイアスをかけられていてもよく、一方、向かい側の支持部材は、電気的にバイアスをかけられている。
【0020】
実施形態では、洗浄システムが、
図2に示したように、洗浄ユニット200を含んでいてもよく、
図2では、向かい側の洗浄部材は接地している間、支持部材が電気的にバイアスをかけられていてもよい。洗浄ユニット200は、ロール201aおよびロール201bによって規定された媒体通路201を含んでいてもよい。ロールが示されているが、洗浄ユニット200を介した媒体の移動の提供に適した任意の回転可能部材が、実行されてもよい。あるいは、滑らかな滑り面が提供されてもよく、これにより、印刷された媒体は、媒体の印刷面にわずかな損傷しか有さない、または、損傷を有していない滑り面を滑る。洗浄ユニット200は、第1洗浄ユニット部分205および第2洗浄ユニット部分207を含んでいてもよい。第1洗浄ユニット部分205および第2洗浄ユニット部分207は、それらの間に媒体経路208を規定するために配置されていてもよい。ウェブ209といった媒体が、媒体経路208を介して通路201を通って移動していてもよい。
【0021】
図2に示したように、ブラシ211といった導電性の洗浄部材は、洗浄ユニット第2部分207から伸びていてもよい。ブラシを示しているが、導電性の発泡体パッドおよび毛の短い導電性の繊維布、または、媒体と接して移動するために弾性材料によって支持された他の導電性の布といった、媒体の洗浄に適した他の材料または構造が提供されてもよい。ブラシ211は、媒体経路208の方へ伸びていてもよい。ウェブ209が洗浄ユニット200の媒体経路208を介して移動するとき、ブラシ211は、接触点213において媒体経路208内でウェブ209と接するように配置されていてもよい。洗浄される媒体は、紙のウェブ、プラスチック薄膜ウェブ、または、印刷に適した他の任意のウェブ媒体であってもよい。
【0022】
ブラシ211は、導電性のブラシである。例えば、ブラシ211は、導電率の高いまたは低い静電ブラシであってもよい。ブラシ211の導電率の高い繊維の好ましい模式的な抵抗は、10
12Ω/cm未満であってもよい。導電率の低い繊維の模式的な抵抗は、10
12Ω/cmから10
15Ω/cmであってもよい。
図2は、接地したブラシ211を示している。他の実施形態では、しかし、ブラシ211は、電源223に接続されていてもよく、向かい側の支持部材または摩擦帯電したウェブによって電界を生み出すために、電気的にバイアスをかけられていてもよい。
【0023】
図2に示したように、洗浄ユニット200は、導電性の金属板228といった支持部材を含んでいてもよい。導電性の金属板228を示しているが、支持部材は、向かい側の洗浄部材によって電界の形成に適した任意の構造であってもよい。例えば、支持部材は、導電性の毛の敷物、発泡体によって支持された導電性の布またはシート、または、導電性のセラミックによって被覆されたロールまたは板であってもよい。支持部材または洗浄部材に電気的にバイアスをかけることによって、電界が形成されてもよい。
【0024】
導電性の金属板228は、洗浄ユニット第1部分205から媒体経路208の方へ伸びていてもよく、第2部分207から伸びるブラシ211の向かい側に配置されていてもよい。
【0025】
実施形態では、導電性の金属板228は、ステンレス鋼または他の磨耗の少ない導電性の材料から構成されていてもよい。他の実施形態では、金属板228は、支持部材としての使用に適した適切な導電率を有する任意の材料から構成されていてもよい。模式的な支持部材は、硬質アルマイト、導電率が制御されたセラミックによって被覆された鋼、アルミニウムまたは他の適切な金属から構成されていてもよい。セラミックによる被覆物を、アルミナ、ジルコニア、トリア、ベリリア、マグネシア、スピネル、シリカ、チタニア、および、ホルステライトから構成された一群の材料から選択することができる。
【0026】
ブラシ211および金属板228の幅は、いくつかの実施形態では、洗浄ユニット200を介して移動するウェブよりも広くてもよいので、ウェブが存在しない洗浄部材と支持部材との間のショーティングを防止するための様々な構成が好ましい。例えば、ブラシ211は、接地していてもよく、導電率の高い繊維を含んでいてもよく、金属板228は、誘電性の被覆物を備えていてもよいし、電気的にバイアスをかけられていてもよい。あるいは、ブラシ211は、電気的にバイアスをかけられていてもよく、導電率の低い繊維を含んでいてもよく、導電率の高い金属板228は、接地していてもよい。
【0027】
導電性の金属板228は、誘電性の被覆物を含んでいてもよく、電源223に接続されていてもよい。誘電性の被覆物を有する模式的な支持部材は、例えば10
−8(Ω−cm)
−1未満の導電率を有していてもよい。他の容認可能な導電率は、10
−15(Ω−cm)
−1から10
−8(Ω−cm)
−1の範囲の値を含んでいてもよい。
【0028】
印刷されたおよび定着したウェブ209が媒体経路208を介して移動すると、帯電した屑は、ブラシ211に引き付けられてもよく、あるいは、媒体経路208のウェブ209に印加された電界に応じて、ブラシから退けられてもよい。電界を発生させるために、導電性のブラシ211が接地している間、金属板228は、電源223に接続されていてもよく、
図2に示したように電気的にバイアスをかけられていてもよい。ウェブ209は、洗浄ユニット200を介して移動されてもよく、これにより、ブラシ211がウェブ209と接している間にウェブに電界を印加することができる。他の実施形態では、導電性の金属板228は、ブラシ211が電気的にバイアスをかけられている間、接地していてもよい。
【0029】
実施形態では、
図3Aおよび
図3Bに示したような洗浄システムは、電気的にバイアスをかけられた導電性の洗浄部材と、接地した向かい側の支持部材とを備えた洗浄ユニット300を含んでいてもよい。あるいは、支持部材は、電気的にバイアスをかけられていてもよく、洗浄部材は、接地していてもよい。特に、洗浄ユニット300は、通路ロール301aおよび通路ロール301bによって規定された媒体通路301を含んでいてもよい。洗浄ユニット300は、第1洗浄ユニット部分305および第2洗浄ユニット部分307を含んでいてもよい。第1洗浄ユニット部分305および第2洗浄部分307は、それらの間で媒体経路308を規定するように配置されていてもよい。ウェブ309といった媒体は、通路301を通って媒体経路308を介して移動していてもよい。媒体は、紙のウェブまたは他の印刷可能な媒体であってもよい。
【0030】
洗浄ユニット300は、例えば導電率の低い繊維から構成された導電性のブラシ311を含んでいてもよい。あるいは、ブラシ311は、導電率の高い繊維から構成されていてもよい。ブラシ311は、電源323に接続されていてもよく、電気的にバイアスをかけられていてもよい。他の実施形態では、ブラシ311は、接地し、支持部材と向かい合うように配置されていてもよく、電源323に接続され、電気的にバイアスをかけられていてもよい。
【0031】
洗浄ユニット300はまた、
図3Aに示した支持部材を構成する接地した導電性の繊維毛の敷物328を含んでいてもよい。あるいは、支持部材は、接地していてもよい。繊維毛の敷物328は、導電率の高いまたは低い繊維を有する生地または織り布から形成されていてもよい。導電性の繊維毛の敷物328は、第1洗浄ユニット部分305から媒体経路308の方へ伸びていてもよく、第2洗浄ユニット部分307から伸びるブラシ311と向かい合って配置されていてもよい。従って、接地した繊維毛の敷物328および電気的にバイアスをかけられたブラシ311を通って、媒体経路308に電界が印加されてもよい。
【0032】
実施形態では、支持部材は、
図3Bに示したような接地した導電性のたわみやすいシート328といった他の形態を有していてもよい。のたわみやすいシート328は、導電率の高いまたは低い繊維を有する生地または織り布から形成されていてもよい。あるいは、たわみやすいシート328は、金属被覆されたポリマー(例えば、アルミで被覆されたマイラー)、金属箔、ポリマー薄板、または、薄い金属シートといった、他のたわみやすい導電性の材料から形成されてもよい。たわみやすいシート328は、弾力性のある支持部材を含んでいてもよい。
【0033】
導電性のたわみやすいシート328は、第1洗浄ユニット部分305から媒体経路308の方へ伸びていてもよく、第2洗浄ユニット部分307から媒体経路308の方へ伸びるブラシ311と向かい合うように配置されていてもよい。従って、接地した導電性のたわみやすいシート328および電気的にバイアスをかけられた静電ブラシ311を通って媒体経路308の全域に電界が印加されていてもよい。
【0034】
実施形態では、
図4に示したような洗浄システムが、電気的にバイアスをかけられた第1洗浄部材と、電気的にバイアスをかけられていてもよい、第1洗浄部材と向かい合う第2洗浄部材とを備えた洗浄ユニット400を含んでいる。特に、洗浄ユニット400は、ロール401aおよびロール401bといった移動可能な部材によって規定された媒体通路401を含んでいてもよい。洗浄ユニット400は、第1洗浄ユニット部分405および第2洗浄ユニット部分407を含んでいてもよい。第1洗浄ユニット部分405および第2洗浄部分407は、それらの間に媒体経路408を規定するように配置されていてもよい。ウェブ409といった媒体は、通路401を通って媒体経路408を介して移動していてもよい。
【0035】
第1洗浄部材410は、導電率の高い繊維から構成されていてもよいブラシ411を含んでいてもよい。第1洗浄部材410は、第1部分405から媒体経路408の方へ伸びていてもよい。第2洗浄部材412は、ブラシ411を含んでいてもよく、第1洗浄部材と向かい合って配置されていてもよい。第2洗浄部材は、第2部分407から媒体経路408の方へ伸びている。第1洗浄部材および第2洗浄部材のどちらか、または、それらのどちらも、電源423に接続されていてもよく、電気的にバイアスをかけられていてもよい。
【0036】
洗浄ユニット400は、バイアスをかけられた導電性の洗浄部材と摩擦帯電したウェブとの間に電界を生み出してもよく、帯電した粒子は、ウェブに付着する。従って、長い時定数なしに、ブラシ411の繊維の先端においてブラシにバイアスをかけるために、ブラシ411の導電性は高くてもよい。ウェブ409とブラシ411との間に生み出された電界が、ブラシ411の向かい側の導電性の支持部材によって能動的に制御されないので、効果的な洗浄に必要なバイアスは、予測が困難である場合がある。電界は、ウェブ409の摩擦帯電電荷、ウェブ409に付着された定着していないトナーおよび他の粒子の電荷、および、ブラシ411の先端の摩擦帯電電荷によって影響を受ける。これらのパラメータは、ブラシ繊維または他の洗浄部材、媒体特性、トナータイプ、環境の状態、および汚染物の、摩擦電気特性および抵抗特性に基づいて、変更されてもよい。
【0037】
上述の実施形態は、洗浄中にウェブに電界を印加するために、導電性の洗浄部材を用いて、定着していないトナー粒子および他の帯電した屑を引き付けて保持することにより、あるいは、このような粒子および屑を退けることにより、洗浄部材性能を改善する。実施形態の導電性の洗浄部材は、従来技術の洗浄部材よりも改善された洗浄性能を示している。例えば、
図5は、バイアスをかけられた導電性のブラシおよび従来技術の動物からなるブラシの洗浄効果と比較した、ウェブ洗浄器の試験結果を示している。
【0038】
ウェブ洗浄器の試験では、試験洗浄部材の下流に位置付けられた本対象のウェブ印刷システムの様々な表面が、蓄積されたトナー汚染物を簡単に集めることができる高いトナー蓄積領域であると確認された。試験中、蓄積されたトナーは、真空ノズルを用いて確認された表面から除去された。除去されたトナーは、小型の細孔フィルタにおいて集められた。それぞれの異なる洗浄部材の試験操作用に位置付けられた表面に蓄積されたたくさんのトナーを測定するための収集前およびその後に、フィルタの重さを測定した。フィルタを、電位計に接続されたファラデーケージ内に収容した。電位計は、フィルタ内に集められたトナーの蓄積された電荷を測定した。それぞれの洗浄部材の試験操作のためのトナー電荷測定値は、約+6μC/gと比較的低かった。
【0039】
図5は、導電性のブラシといった洗浄部材の性能が、全ての試験済みのバイアスの選択、+200VDC、−200VDC、+200AC、および、OVすなわち接地した状態に関して、獣毛ブラシよりも改善されたことを示している。ウェブ洗浄器試験の好ましい結果は、+200VDCでバイアスをかけられた導電性のブラシにおいて生じた。このことは、プラスに帯電したトナー粒子を洗浄部材から退ける実施形態によって洗浄性能が改善されていることを示している。帯電したトナー粒子の反発作用は、洗浄部材、例えばブラシ、内のトナーの増加を防止する。プラスに帯電したトナー粒子の反発作用も、機械的障害に加えて静電反発作用を用いることによって、印刷されたウェブのトナー粒子をより効果的に妨害して、印刷されたウェブへのトナーの付着を遮断し、これにより、空気流が定着していないトナー粒子および他の屑を運搬することができる。
【0040】
試験されたブラシの状態に関する洗浄効果を測定するための、印刷物を洗浄するための試験結果を、
図6に示す。具体的には、導電性の洗浄部材および支持部材を備えた洗浄システムが、試験された。洗浄部材用のバイアス選択が、接地した支持部材および電位が決まっていない支持部材の両方に関して試験された。導電性の繊維ブラシおよび馬の毛ブラシが試験された。
【0041】
試験結果は、試験印刷物上をブラシが一度通過することによって印刷物が洗浄されたということを示している。印刷物は、次に、洗浄を評価するために検査された。基準マークを印刷物に取り付けることにより、洗浄前および洗浄後に、顕微鏡写真を比較することができ、除去された背景トナー粒子の割合を定量化できる。試験結果は、導電性のブラシ、および特に、電気的にバイアスをかけられた導電性のブラシの洗浄性能が改善されたことを示している。試験結果はまた、導電性の洗浄部材、および、電位が決まっていない支持部材よりもむしろ接地した支持部材を備えた洗浄システムの洗浄性能が改善されたことも示している。
【0042】
導電性の洗浄部材を備えた媒体を洗浄するための方法、装置、およびシステムを、模式的な実施形態と関連付けながら記載してきたが、他の多くの形態、変更形態、および、変形形態が、当業者には明らかであろう。従って、ここに記載の方法、装置、および、システムの実施形態は、実例のためであり、限定されるためのものではない。模式的な実施形態の精神および範囲から離れない変更がなされてもよい。
【0043】
様々な上記の開示されたおよび他の特徴および機能、または、それらの他の形態が、他の多くの異なるシステムまたは用途と組み合わされることが望ましいということを理解されたい。さらに続いて、本発明の現在ではまだ予測できないまたは予期しない様々な他の形態、変更形態、変形形態、または、改良形態が、当業者によってなされてもよい。
なお、以下に、付記として本発明の構成の一例を示す。
(付記1)
ウェブ経路を共に規定する第1部分および第2部分を含む洗浄ユニットと前記第1部分および前記第2部分のうちの少なくとも1つから前記ウェブ経路の方へ伸びる少なくとも1つの導電性の洗浄部材とを備えたウェブ印刷システムにおけるウェブの洗浄方法であって、前記ウェブは、印刷可能面を含み、前記ウェブ経路を介して移動可能であり、
前記導電性の洗浄部材および支持部材のうちの少なくとも1つに電源を印加して、前記洗浄部材および前記支持部材のうちの少なくとも1つに電気的にバイアスをかけるステップと、
前記ウェブの前記印刷可能面に前記洗浄部材を使用して、前記ウェブを洗浄するステップとを含む、前記方法。
(付記2)
前記導電性の洗浄部材に静電気によって帯電したトナー粒子を引き付けるステップをさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記導電性の洗浄部材に前記静電気によって帯電したトナー粒子を保持するステップをさらに含む、付記2に記載の方法。
(付記4)
第1側面および第2側面を有するウェブを洗浄するためのウェブ洗浄装置であって、
第1部分および第2部分を含む洗浄システムであって、前記第1部分は、ウェブ経路を規定するために前記第2部分の向かい側に位置付けられており、前記ウェブは、前記ウェブ経路を介して移動可能である、前記システムと、
前記ウェブの前記第1側面および前記第2側面のうちの少なくとも1つを洗浄するための電界を形成するために構成および配置され、前記洗浄システムの第2部分から前記ウェブ経路の方へ伸びる、導電性の洗浄部材とを含む、前記装置。
(付記5)
前記洗浄システムの第1部分から前記ウェブ経路の方へ伸び、前記少なくとも1つの導電性の洗浄部材と向かい合う、支持部材をさらに含む、付記4に記載のウェブ洗浄装置。
(付記6)
前記洗浄部材は静電ブラシである、付記4に記載のウェブ洗浄装置。
(付記7)
前記第2洗浄部材は、帯電したトナー粒子を引き付けるために、電気的にバイアスをかけられている、付記4に記載の装置。
(付記8)
前記洗浄部材は、帯電したトナー粒子を退けるために、電気的にバイアスをかけられている、付記4に記載の装置。
(付記9)
前記支持部材は、電源に接続されており、電気的にバイアスをかけられており、前記洗浄部材と共に電界を形成している、付記5に記載のウェブ洗浄装置。
(付記10)
ウェブを洗浄するための、導電性の洗浄部材を含んだウェブ洗浄手段と、
電界を形成するために、前記導電性の洗浄部材および導電性の支持部材のうちの少なくとも1つに電気的にバイアスをかけるためのバイアス手段と、
前記電気的にバイアスをかけられた静電洗浄部材に対して前記ウェブを移動するためのウェブ移動手段とを含む、ウェブ洗浄システム。