(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、
図1は超音波内視鏡システムの概略構成図、
図2は超音波内視鏡の先端部の斜視図、
図3は超音波アレイの斜視図、
図4は超音波振動子エレメントの平面図、
図5は
図4のV−V線に沿う要部断面図、
図6は超音波観測装置の概略構成を示す機能ブロック図、
図7は超音波用処置具の平面図、
図8は穿刺針の斜視図、
図9,10は穿刺針の断面図、
図11は超音波の高周波数成分と低周波成分との関係を示す周波数特性図、
図12は超音波画像を模式的に示す説明図である。
【0013】
図1に示す超音波内視鏡システム1は、超音波内視鏡2と、超音波観測装置3と、モニタ4と、を具備して構成されている。また、超音波内視鏡2は、体内に挿入される細長の挿入部10と、挿入部10の基端に連設された操作部20と、操作部20の側部から延出したユニバーサルコード30と、を具備して構成されている。
【0014】
ここで、ユニバーサルコード30の基端部には、光源装置(図示せず)に接続されるコネクタ31が配設されている。コネクタ31からは、カメラコントロールユニット(図示せず)にコネクタ32aを介して接続されるケーブル32と、超音波観測装置3にコネクタ33aを介して着脱自在に接続されるケーブル33と、が延出されている。そして、超音波内視鏡2には、コネクタ33aを介して超音波観測装置3が接続され、さらに、超音波観測装置3を介してモニタ4が接続されている。
【0015】
挿入部10は、先端側から順に、先端硬性部(以下、「先端部」という)11と、先端部11の後端に位置する湾曲部12と、湾曲部12の後端に位置して操作部20に至る細径かつ長尺で可撓性を有する可撓管部13と、が連設されて要部が構成されている。
【0016】
図2に示すように、先端部11の先端側には、超音波ユニット15が配設されている。さらに、超音波ユニット15よりも基部側において、先端部11には、照明光学系を構成する照明用レンズ16と、観察光学系の観察用レンズ17と、吸引口を兼用する先端開口である鉗子口18と、図示しない送気送水ノズルと、が配設されている。
鉗子口18は、処置具挿通路の導出口である。鉗子口18部には処置具起上台(図示せず)が配設されている。処置具起上台には図示しない操作ワイヤが接続され、図示しない鉗子起上ノブを操作することよって、操作ワイヤが牽引されて、処置具挿通路から導出される穿刺針の導出角度の調整を行えるようになっている。
【0017】
操作部20には、湾曲部12を所望の方向に湾曲制御するアングルノブ21と、送気および送水操作を行う送気送水ボタン22と、吸引操作を行う吸引ボタン23と、体内に導入する処置具の入口となる処置具挿入口24と、が配設されている。
【0018】
ここで、処置具挿入口24は、挿入部10の内部に設けられた処置具挿通チャンネル(図示せず)を介して鉗子口18に連通されている。この処置具挿入口24には、後述する超音波用処置具35(
図6参照)のシース36を挿入することが可能となっている。そして、シース36内に挿通された穿刺針38の先端側を鉗子口18から突出させることにより、超音波ユニット15の観察視野内に穿刺針38を進退可能に配置させることが可能となっている。
【0019】
図3に示すように、超音波ユニット15の超音波アレイ45は、例えば、平面視矩形状をなす複数の超音波振動子エレメント46を有し、これら超音波振動子エレメント46の長辺が互いに連結されて円弧形状に湾曲配置されたコンベックス型振動子群によって構成されている。すなわち、超音波アレイ45では、例えば、半径5[mm]の円弧の側面に、短辺が0.1[mm]以下の超音波振動子エレメント46が100個、180度方向に配設されている。なお、
図3に示す超音波アレイ45はコンベックス型を採用しているが、例えば、2次元配列を施したラジアルタイプや湾曲していないリニア型振動子群を採用することも可能である。
【0020】
円弧状の超音波アレイ45の一端部には各超音波振動子エレメント46の一端部に設けられた下部電極端子51が配列されており、これら下部電極端子51は、同軸ケーブル束47から分岐された各信号線48とフレキシブル基板(FPC基板)を介してそれぞれ接続されている。一方、超音波アレイ45の他端部には各超音波振動子エレメント46の他端部に設けられた上部電極端子52が配列されており、これら上部電極端子52は、同軸ケーブル束47から分岐されたグランド線49とそれぞれ接続されている。
【0021】
同軸ケーブル束47は、先端部11から、湾曲部12、可撓管部13、操作部20、ユニバーサルコード23、及び、超音波ケーブル26の各内部に挿通され、超音波コネクタ26aを介して超音波観測装置3と接続されている。
【0022】
次に、
図4,5を参照して超音波振動子エレメント46の構成について説明する。なお、図は何れも説明のための模式図であり、パターンの数、厚さ、大きさ、及び、大きさの比率等は実際とは異なる。
【0023】
図4に示すように、超音波振動子エレメント46には、例えば、複数種類の超音波セル50(例えば、3種類の超音波セル50a〜50c)がそれぞれマトリクス状に複数個配置されている。ここで、各超音波セル50a〜50cは、例えば、(MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて製造されるものであり、平面視円形をなす静電容量型の超音波セル(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer:C−MUT)によって構成されている。各超音波セル50a〜50cは、例えば、メンブレンの有効半径や膜厚等を適宜調整することにより、互いに共振周波数が異なるよう設定されている。これにより、各超音波セル50a〜50cは、所定の駆動信号(電気信号)が印加された際に、同一視野方向に対してそれぞれ異なる帯域特性の超音波を送受信することが可能となっている。
【0024】
これらのうち、例えば、超音波セル50a及び50bは、主として生体観察に好適な高周波数帯域の超音波を送受信する第1超音波送受信部として機能するものである。具体的には、超音波セル50aは、例えば、メンブレンの共振周波数が5[MHz]に設定されたセルで構成されている。これにより、超音波セル50aは、所定の駆動信号が印加された際に中心周波数(強度がピークとなる周波数)が5[MHz]となる所定帯域幅の超音波を送信するとともに、そのエコー波等(例えば、送信波と略同等の正反射波、及び、その高調波等)を受信することが可能となっている。
【0025】
また、超音波セル50bは、例えば、メンブレンの共振周波数が7.5[MHz]に設定されたセルで構成されている。これにより、超音波セル50bは、所定の駆動信号が印加された際に中心周波数が7.5[MHz]となる所定帯域幅の超音波を送信するとともに、そのエコー波等を受信することが可能となっている。
【0026】
なお、一般に、生体観察には、5[MHz]〜20[MHz]程度の範囲内にある超音波が有効であることが知られており、上述のように例示した超音波セルの他に、例えば、共振周波数が10[MHz]、12[MHz]、20[MHz]等に設定された各超音波セルを、超音波振動子エレメント46上に適宜配置することも可能である。
【0027】
一方、超音波セル50cは、主として穿刺針観察に好適な低周波数帯域の超音波を送受信する第2超音波送受信部として機能するものである。具体的には、超音波セル50cは、例えば、メンブレンの共振周波数が2[MHz]に設定されたセルで構成されている。これにより、超音波セル50cは、所定の駆動信号が印加された際に中心周波数が2[MHz]となる所定帯域幅の超音波を送信するとともに、そのエコー波等を受信することが可能となっている。
【0028】
ここで、各超音波セル50は、例えば、
図5に示すような断面構造をなす積層体で構成されている。すなわち、超音波セル50は、下部電極端子51と接続された下部電極層54と、下部絶縁層(第1絶縁層)55と、円板状のキャビティ56が形成された上部絶縁層(第2絶縁層)57と、上部電極端子52と接続された上部電極層58と、保護層(第3絶縁層)59と、を備え、これらが基体であるシリコン基板53上に順次積層されて要部が構成されている。なお、シリコン基板53は、シリコン53aの表面にシリコン酸化膜53b,53cを形成した基板である。
【0029】
下部電極層54は、各キャビティ56の下層側にそれぞれ配置された平面視略円形の下部電極部54aと、各下部電極部54aの縁辺部から2方向に延設された複数の下部配線部54bと、を有する。そして、これらの下部配線部54bにより、同一超音波振動子エレメント46上で隣接する下部電極部54aが相互に接続され、さらに、下部電極端子51と接続されている。
【0030】
上部電極層58は、各キャビティ56の上層側にそれぞれ配置された平面視略円形の上部電極部58aと、各上部電極部58aの縁辺部から2方向に延設された複数の上部配線部(図示せず)と、を有する。そして、これらの上部配線部により、同一超音波振動子エレメント46上で隣接する上部電極部58aが相互に接続され、さらに、上部電極端子52と接続されている。
【0031】
このように、それぞれの超音波セル50は、キャビティ56を介して対向配置している下部電極部54aと上部電極部58aとを有する。
【0032】
また、
図4に示す超音波セル50では、キャビティ56の直上領域の上部絶縁層57と、上部電極層58と、保護層59とが、振動部であるメンブレン60を構成している。
【0033】
次に、超音波観測装置3の主たる構成の概略を機能的に示すと、例えば、
図6に示すように、超音波観測装置3は、駆動部としての駆動信号生成部3aと、エコー波検出部3bと、生体画像生成部3cと、針画像生成部3dと、重畳画像生成部3eとを有する。
【0034】
駆動信号生成部3aは、生態観察(すなわち、B−Mode画像の生成)に好適な高周波帯域(例えば、中心周波数が5〜12[MHz]の範囲内となる所定帯域)の超音波信号を発生するための駆動信号(駆動パルス)を生成する。具体的には、駆動信号生成部3aは、例えば、予め設定された超音波観察用のレンジ等に応じて、超音波セル50aの共振周波数に適合した駆動パルス、或いは、超音波セル50bの共振周波数に適合した駆動パルスを、選択的に、或いは、同時に生成する。
【0035】
また、駆動信号生成部3aは、穿刺針38の観察に好適な低周波数帯域(例えば、中心周波数が2〜3[MHz]の範囲内となる所定帯域)の超音波信号を発生するための駆動信号(駆動パルス)を生成する。具体的には、駆動信号生成部3aは、例えば、超音波セル50cの共振周波数に適合した駆動パルスを生成する。
【0036】
そして、駆動信号生成部3aは、これら高周波数帯域の超音波信号発生用の駆動信号、及び、低周波数帯域の超音波信号発生用の駆動信号を合成し、超音波ユニット15(超音波アレイ45)に対して出力する。
【0037】
これにより、超音波振動子エレメント46毎にそれぞれ所定のタイミングにおいて、超音波振動子エレメント46上の各超音波セル50a〜50cの下部電極部54aには、駆動信号が同時に印加される。駆動信号による電圧が下部電極部54aに印加されると、上部電極部58aは静電力により下部電極部54a側に引き寄せられ、上部電極部58aを含むメンブレン60は変形する。そして、下部電極部54aへの電圧印加が解除されると、メンブレン60は弾性力により元の形状に回復する。このメンブレン60の変形/回復により超音波が発生する。このように、超音波振動子エレメント46上の超音波セル50a〜50cは同時に駆動され、超音波振動子エレメント46からは、高周波帯域の超音波信号と低周波帯域の超音波信号とが同時に出力される。
【0038】
一方、超音波受信時には、受信した超音波エネルギーにより上部電極部58aを含むメンブレン60が変形する。この変形により上部電極部58aと下部電極部54aとの距離が変化すると、これらの間の静電容量が変化する。
【0039】
エコー波検出部3bは、各メンブレン60の変形に伴う容量変化を電極間にDCバイアスを印加することにより電圧信号に変換し、エコー信号として受信する。さらに、エコー波検出部3bは、例えば、受信したエコー信号に対して周知のFFT処理及びバンドパスフィルタ処理等を行うことで、エコー信号を高周波成分のエコー信号と低周波成分のエコー信号とに分離する。そして、エコー波検出部3bは、分離した高周波成分のエコー信号を生体画像生成部3cに出力し、低周波成分のエコー信号を針画像生成部3dに出力する。
【0040】
生体画像生成部3cは、例えば、高周波成分のエコー信号から生体組織由来の正反射波成分を抽出し、抽出した正反射波成分に基づいて通常の生体画像(B−Mode画像)を生成する。或いは、生体画像生成部3cは、例えば、高周波成分のエコー信号から生体組織由来の高調波成分(例えば、二次高調波成分)を抽出し、当該高調波成分に基づく生体画像(ハーモニック画像)を生成する。
【0041】
針画像生成部3dは、低周波成分のエコー信号から針由来の正反射波成分を抽出し、抽出した正反射波成分に基づいて穿刺針38を示す画像(針画像)を生成する。或いは、針画像生成部3dは、例えば、低周波成分のエコー信号から針由来の高調波成分(例えば、二次高調波成分)を抽出し、当該高調波成分に基づく針画像を生成する。
【0042】
重畳画像生成部3eは、生体画像生成部3cから入力された生体画像上に、針画像生成部3dから入力された針画像を重畳した合成画像を生成し、モニタ4に出力する。これにより、例えば、
図12に示すように、モニタ4上には、生体画像上に穿刺針38の像が表示される。
【0043】
図7に示すように、超音波用処置具35は、例えば、超音波内視鏡2の処置具挿通チャンネルに挿入されるシース36と、このシース36の基端部に配置された把持部を兼ねる操作部37と、この操作部37を介してシース36内に進退自在に挿通配置される先端部が鋭利な形状に形成された細長な針管からなる穿刺針38と、を有して構成されている。
【0044】
また、例えば、
図8,9に示すように、穿刺針38の先端部には、凹部としての凹溝39が設けられている。この凹溝39は、例えば、断面略円弧状をなし、穿刺針38の外周面に沿って螺旋状をなして刻設されている。なお、例えば、
図10に示すように、凹溝39は、断面略矩形状をなすものであってもよい。
【0045】
ここで、凹溝39を螺旋状に刻設する際のピッチ(凹溝39間のエッジ間距離a)は、超音波セル50cから送信される穿刺針検出用超音波の中心周波数Frに対応付けて設定されるものである。
【0046】
具体的に説明すると、凹部を設けた部分の穿刺針38を伝達する超音波の音速がC[m/s]である場合、以下の(4)式の関係を満たす距離aを設定することにより、穿刺針38の固有振動数Frを穿刺針検出用超音波の中心周波数と合致させることができる。
C/a=Fr …(4)
【0047】
そして、このような関係を満たす距離aを設定して穿刺針38の固有振動数Frを穿刺針検出用超音波の中心周波数と合致させると、穿刺針38を中心周波数Frと共振する周波数にて効率よく励振させることができる。この穿刺針38の振動は、穿刺針38が刺入された人体にも伝達され、超音波セル50cにおいて、見かけ上、穿刺針由来の低周波のエコー波(正反射波、及び、その高調波)として的確に受信される。これにより、上述の針画像生成部3dでは、良好な針画像を生成することが可能となる。
【0048】
このような現象は、例えば、中心周波数Frの「λモード」のみならず、「λ/2モード」、「3λ/2モード」、「4λ/2モード」、…、に対しても実現可能である。この点を考慮し、自然数nを用いて(4)式を一般化すると、以下の(5)式の関係を得ることができる。
C/(2×n×a)=Fr …(5)
【0049】
そして、(5)式に基づいて距離aを設定すれば、超音波セル50cにおいて、針由来の低周波のエコー波を的確に受信可能となる。
【0050】
以上を考慮すると、穿刺針検出用超音波の中心周波数を任意な値に設定した場合にも、穿刺針38上の凹溝39間の距離aを最適化することにより、針由来の低周波のエコー波を的確に受信して、針画像生成部3dにおいて良好な針画像を生成可能であることが分かる。
【0051】
そして、穿刺針検出用超音波の中心周波数を生体診断用の超音波の周波数帯域との干渉を回避可能な値に設定すれば、生体観察用の超音波と穿刺針検出用の超音波とを同時に出力した場合にも、受信したエコー波を互いに干渉させることなく、容易に分離することが可能となる。
【0052】
この場合、超音波セル50cから送信される穿刺針検出用超音波の中心周波数は、例えば、その二次高調波の影響まで排除することを考慮し、生体検出用の超音波の中心周波数に対して最低限3[MHz]のマージンを確保することを念頭に設定されている(
図11参照)。
【0053】
すなわち、中心周波数Fr及び距離aは、以下の(1)式を満たす値に設定されている。
X=Y+α=((C/a)×(n/2))+α …(1)
但し、
X:第1超音波送受信部の送信用中心周波数
Y:第2超音波送受信部の送信用中心周波数
α:3[MHz]以上
C:穿刺針上での音速
a:凹部と凹部との距離
n:自然数
である。
【0054】
或いは、第2超音波送受信部の送信用中心周波数及び距離aは、以下の(2)式及び(3)式を満たす値に設定されている。
Y=(C/a)×(n/2) …(2)
但し、
Y:第2超音波送受信部の送信用中心周波数
α:3[MHz]以上
C:穿刺針上での音速
a:凹部と凹部との距離
n:自然数
であり、
Y
2f<X
f12 …(3)
但し、
Y
2f:第2超音波送受信部からの送信波に対する受信波の二次高調波成分の中心周波数
X
f12:第1超音波送受信部の送信用周波数帯域のうち画像生成に有効な強度帯域の低周波側の閾値(例えば、第1超音波送受信部の送信用周波数のうち信号強度を1/4に落とした部分(所謂12dB落ちの部分)の値であって、且つ低周波側の値)
である。
【0055】
以上に基づき、本実施形態において、超音波セル50cから送信される超音波の中心周波数Frは、超音波セル50a,50bから送信される超音波との関係に基づき、上述した通り、2[MHz]に設定されている。
【0056】
また、例えば、穿刺針38がSUS304によって形成されている場合においては、穿刺針38上を伝達する超音波の音速Cは、5800m/sであることから、例えば、超音波セル50cから送信される超音波の中心周波数が2[MHz]に設定されている場合、凹溝39間の距離aは、1.45[mm](λ/2モード)、2.9[mm](λモード)、4.35[mm](3λ/2モード)、…、の何れかに設定されている。
【0057】
このような実施形態によれば、超音波セル50cから送信される穿刺針検出用の超音波の中心周波数を、当該穿刺針検出用超音波のエコー波が超音波セル50a,50bから送信される生態観察用の超音波のエコー波との干渉を回避可能な十分に低い値に設定することにより、穿刺針検出用の超音波を生態観察用の超音波と同時に送信した場合にも各エコー波の受信信号を的確に分離することができる。その上で、穿刺針38上に螺旋状の凹溝39を設け、この凹溝39間のエッジ間の距離aの最適化によって、穿刺針38の固有振動数と穿刺針検出用超音波の中心周波数とを合致させることにより、穿刺針検出用超音波によって穿刺針38を効率よく励振して穿刺針38の振動を、見かけ上、穿刺針由来の低周波のエコー波として的確に受信させることができる。これにより、フレームレートを低下させることなく穿刺針の視認性を向上することができる。
なお、針の凹部間の共振を利用すると、周期的な針由来のエコー波が検出され、針の深さ方向の分解能が低下することがある。生体画像生成部3cおいては、一つの音線上では針からのエコー波のもっとも強度が高い部分を表示させる機能を持たせることにより、より鮮明に針を描出可能となる。
【0058】
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。
【0059】
例えば、上述の実施形態においては、穿刺針38の外周面上に凹溝39を設け、この凹溝39の間隔aによって穿刺針38の固有振動数を調整する一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、穿刺針の外表面上に複数のディンプルを配列し、このディンプルの間隔によって穿刺針の固有振動数を調整することも可能である。
そして、上述の実施形態においては、穿刺針について記述したが、穿刺針に限定したものではなく内視鏡用として公知の各種処置具の外周面に凹部を設けて、上述の超音波内視鏡と併用することで同様の効果を得ることができる。処置具としては、例えば、鉗子、鋭匙、ブラシ、クリップ、鋏、ナイフ、ネットなどが挙げられる。
【0060】
また、穿刺針の材質としては、上述の実施形態で示したSUS304の他に、例えば、SUS316、NiTi、CoCr等を好適に適用することが可能である。
【0061】
また、上述の実施形態においては、静電容量型の超音波セルを用いて超音波ユニットを構成した一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、特開2002−248100号公報に開示されているような圧電素子を用いて超音波ユニットを構成してもよいことは勿論である。