【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の高温用センサ素子は、NTC素子またはPTC素子とすることが可能な少なくとも1つのサーミスタ素子を備えており、当該サーミスタ素子は、少なくとも2つの接続領域を有している。略称であるNTCサーミスタは、負温度係数サーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)を表すものである。従って、このようなセンサ素子は、少なくとも特定の温度範囲内において、電気抵抗に負の温度係数を有したセンサ素子ということになる。また、略称であるPTCサーミスタは、正温度係数サーミスタ(Positive Temperature Coefficient Thermistor)を表すものである。このようなセンサ素子は、少なくとも特定の温度範囲内において、電気抵抗に正の温度係数を有したセンサ素子ということになる。NTC素子として形成されたサーミスタ素子について以下に述べる態様だけではなく、更なる態様として、NTC素子をPTC素子に置き換えることも可能である。
【0005】
高温用センサ素子は、高絶縁性を有するのが好ましいセラミックス基体と、少なくとも2つの導電線路とを備えた少なくとも1つの接続部材を備える。そして、NTC素子の接続領域は、導電性ブリッジにより接続部材の導電線路に接続されている。絶縁性セラミックス基体は上面と下面とを有し、少なくとも2つの導電線路は、1つが下面に配設され、他の1つが上面に配設されている。
導電性ブリッジは、サーミスタ素子の接続領域を接続部材の導電線路に電気的に接続する電線部材からなり、電線部材は、導電性焼結材により接続領域及び導電線路に固定され、サーミスタ素子は、耐熱性接続体を介し、接続部材に接続される。
【0008】
別の態様として、接続部材は、パネル状または薄板状に形成されたセラミックス基体を備える。セラミックス基体を構成するセラミックスは、酸化アルミニウム(Al
2O
3)を主成分とするのが好ましい。接続部材は、スクリーン印刷によってセラミックス基体に形成された金属製の導電線路を更に備える。
【0009】
一態様として、NTC素子と、接続部材のNTC素子側の一部とは、周囲を取り囲む封止体によって密封されている。
【0010】
一態様として、封止体はセラミックス及び/またはガラスからなる。
封止体の材料は、NTC素子の電気的特性に影響を及ぼすものではないのが好ましい。
【0011】
上述したセンサ素子の製造方法として、NTC素子を耐熱性接続体によって接続部材に接続し、
電線部材を、導電性焼結材により接続領域及び導電線路に固定して、サーミスタ素子の接続領域を導電線路に電気的に接続することにより、導電性ブリッジを形成し、NTC素子と接続部材のNTC素子側の一部とを、周囲を取り囲む封止体によって密封する。
【0012】
製造方法の一態様として、NTC素子は、絶縁性の高耐熱型接着剤により、一時的に接続部材に固定される。
一時的に固定されたNTC素子は、次に、接続領域において、導電性ブリッジにより接続部材の導電線路に恒久的に接続される。
【0014】
製造方法の別の態様として、NTC素子と接続部材のNTC素子側の一部とは、ガラス管内に配設される。その後、ガラス管は、ガラス管がつぶれて封止体となるまで加熱される。
別の態様として、NTC素子と接続部材のNTC素子側の一部とは、セラミックス材またはガラス材によって密封される。
【0015】
高温用センサ素子のNTC素子は、当該NTC素子の対向する2つの面に接続領域を備えた矩形の薄板状に形成されてもよい。NTC素子への接続を行うため、高絶縁性のセラミックス基体を備えた接続部材が用いられる。接続部材は、セラミックス基体の対向する2つの面に導電線路を備えている。NTC素子の接続領域、及びセラミックス基体における接続部材の導電線路は、銀、銀白金、金、及び白金のいずれかの化合物を用いて形成される。導電線路の材料は、NTC素子の接続領域の材料と異なっていてもよい。金属化合物がスクリーン印刷によってセラミックス基体に塗布され、焼結されてセラミックス材となる。
【0016】
接続部材のセラミックス基体は、例えば酸化アルミニウム(Al
2O
3)を主成分とするセラミックスで形成してもよい。NTC素子と接続部材との接続は、接続部材の金属面と、NTC素子の金属面とで行うのが好ましい。
【0017】
一態様として、NTC素子と接続部材との接続は、NTC素子の上面及び下面において当該NTC素子を接続部材と電気的且つ機械的に連結する、高温で安定的な金属製短絡電線部材を用いて行ってもよい。この金属製短絡電線部材とセラミックス材の金属面との接続は、導電性化合物を用いて行うようにしてもよい。この導電性化合物により、接続部材の金属面及びNTC素子の金属面と、これらの間にある金属電線とを接続するのが好ましい。導電性化合物は、焼結されることによって、金属製短絡電線部材と接続部材の金属面との電気的接続、及び金属製短絡電線部材とNTC素子の金属面との電気的接続を行うのが好ましい。
【0020】
接続部材とNTC素子との間の接続における機械的安定性を向上させるため、NTC素子と接続部材との間に、高温にて安定的な接着剤を塗布するようにしてもよい。このような接着剤は、例えば、酸化ジルコニウムまたは酸化アルミニウムを主成分とするものであってもよい。
【0021】
接続部材とNTC素子との間の接続を支持するため、NTC素子と接続部材のNTC素子側の一部とを、封止体で取り囲むようにしてもよい。このような封止体は、ガラスまたはセラミックスを主成分とする接着剤などの封止材を用いるのが好ましい。
【0022】
一態様として、高温用センサ素子はガラスにより密封される。高温用センサ素子の頭部は、ガラス管内に配設することができる。ガラス管は潰れるまで加熱され、NTC素子と接続部材のNTC素子側の一部とを包囲するガラス球が生成される。ガラス管は、溶融ガラスまたはガラス粉から製造することが可能である。
【0023】
別の態様として、ガラススラリーを用いることも可能である。NTC素子と接続部材のNTC素子側の一部とがガラススラリーに浸され、或いはガラススラリー中に封入成形される。そして、続く加熱工程により、固体のガラス製封止体が得られる。
【0024】
別の態様として、NTC素子と接続部材のNTC素子側の一部とは、セラミックス封止材中に浸され、或いはセラミックス系接着剤によって覆われる。そして、続く加熱処理により、硬い被覆を有した固体の封止体が得られる。
【0025】
封止されたNTC素子は、外部環境温度におけるNTC素子の抵抗率やいわゆるB値などといった電気的特性が時間の経過に伴い大きく変動しないような極めて安定した温度特性を備えていなければならない。NTC素子の導電面は、セラミックス基体に対する導電極めて安定した接着力を備えつつ、NTC素子のセラミックス基体との電気的接続抵抗がさほど大きくないのが好ましい。NTC素子の導電面は、封止体によって覆われている場合に、高温に対して安定的となる。
【0026】
接続部材は、外部環境温度の上限領域において、十分に高い抵抗値を有するのが好ましい。
【0027】
NTC素子と接続部材とは、互いに並列に接続されているのが好ましい。感温NTC素子の信号が不正確にならないようにするため、高温用センサ素子の構成部品の抵抗値は、最低温度と最高温度との間の温度範囲に適応したものとする必要がある。接続部材の抵抗値は、最低温度と最高温度との間の温度範囲において、NTC素子の抵抗値より大きいのが好ましい。
【0028】
接続部材の導電面は、空気中の酸素などによる酸化雰囲気において安定的であるのが好ましい。導電性ブリッジを形成するための導電性化合物の焼結の際、或いは高温用センサ素子の頭部を密封する際には、高温用センサ素子の頭部における最高温度より高い温度に達する可能性がある。
【0029】
接続部材の導電面は、上述した処理によって生じうる悪影響に耐えるべく、高温において安定的であるのが好ましい。更に、接続部材の導電面は、接続部材のセラミックス基体に対して高い機械的安定性を有した接着力を備えているのが好ましい。
【0030】
接続部材の導電面の抵抗は、対象温度領域の全域において、NTC素子の抵抗値と同様に低い値を有するようにしてもよい。接続部材の熱膨張係数は、温度変化によるクラックの発生を防止するため、高温用センサ素子の封止体に応じて調整するのが好ましい。導電性ブリッジは、高温に対して安定的な被覆状態にあるのが好ましい。
【0031】
封止体の材料がガラスの場合、高温に対して安定的であるのが好ましい。ガラスの変態温度は、高温用センサ素子の最大温度より高いのが好ましい。
また、封止体の熱膨張係数は、機械的な損傷を防止するため、NTC素子の熱膨張係数及び高温用センサ素子の接続部材の熱膨張係数に応じて調整するのが好ましい。
感温NTC素子の信号に対する影響をなくすため、封止体は、少なくともTminからTmaxの温度範囲において、NTC素子の抵抗値より大きい抵抗値を有するのが好ましい。