【課題を解決するための手段】
【0029】
この目的は、本発明によれば、少なくとも1つの金属補強要素層から成る半径方向カーカス補強材を有するタイヤであって、タイヤが、それ自体トレッドで半径方向に被覆されたクラウン補強材を有し、トレッドが2つのサイドウォールを経て2つのビードに接合されている、タイヤにおいて、少なくとも1つのカーカス補強材層の金属補強要素は、透過度試験において20cm
3/分未満の流量を示す非たが掛けコードであり、タイヤのキャビティの内面とキャビティの内面の最も近くに位置するカーカス補強材の金属補強要素の箇所との間のゴムコンパウンドの厚さは、4mm未満であることを特徴とするタイヤによって達成された。
【0030】
透過度又は通気度試験は、所与の時間にわたり一定の圧力下で試験体を通過した空気の量を測定することによって試験対象のコードの長手方向における空気の透過度又は通気度を求めるために用いられる。当業者には周知であるかかる試験の原理は、コードが空気に対して不透過性であるようにするためにコードの処理の有効性を実証することにある。この試験は、例えば、規格ASTM・D2692−98に記載されている。
【0031】
この試験は、コードが補強している加硫ゴムプライから引き剥がしにより直接取り出されたコード及びかくして硬化ゴムが浸透したコードに対して行われる。
【0032】
試験をこの場合以下の仕方で包囲ゴムコンパウンド(又は被覆ゴム)で被覆された長さ2cmのコード片について実施し、1バールの圧力下で空気をコードの入口に注入し、流量計を用いてこれから出る空気の量を測定する(例えば、0〜500cm
3/分まで較正する)。測定中、コード試験体をコードの長手方向軸線に沿って一端から他端までコードを通過した空気の量だけが測定されるよう圧縮シール(例えば、高密度フォーム又はゴムシール)中に不動化する。中実ゴム試験体を用いて、即ち、コードなしのゴム試験体を用いて、シール自体により提供される密封度を、事前チェックする。
【0033】
測定された平均空気流量(10個の試験体に関する平均値)は、コードの長手方向不透過性が高ければ高いほど、それだけ一層低い。測定値は±0.2cm
3/分という精度で行われるので、0.2cm
3/分以下の測定値は、ゼロと見なされ、これら測定値は、コードの軸線に沿って(即ち、コードの長手方向に沿って)完全に気密であるといえるコードに対応している。
【0034】
この浸透度試験は、ゴム配合物によるコードの浸透の度合いを間接的に測定する簡単な手段にもなる。測定流量は、ゴムによるコードの浸透度が高ければ高いほど、それだけ一層低くなる。
【0035】
浸透度試験において20cm
3/分未満の流量を示すコードは、66%を超える浸透度を有する。
【0036】
コードの浸透度は又、以下に説明する方法を用いて推定できる。層状コードの場合、この方法では、先ず最初に、2〜4cmの長さを持つ試料の外側層を除去し、次に、長手方向に沿い且つ所与の軸線に沿って、ゴムコンパウンドの長さの和を試料の長さで除算して得られる値を求める。これらゴムコンパウンド長さ測定では、この長手方向軸線に沿って浸透しなかった空間が除かれる。かかる測定は、試料の周囲に沿って分布して位置する3本の長手方向軸線に沿って繰り返すと共に5つのコードを試料に対して繰り返す。
【0037】
コードが数個の層を有する場合、最初の除去ステップを新たに外側に位置する層について繰り返し、ゴムコンパウンドの長さを長手方向軸線に沿って測定する。
【0038】
次に、このようにして求められたゴムコンパウンド長さと試料長さの比の全てを平均してコードの浸透度を求める。
【0039】
タイヤのキャビティの内面とこの表面の最も近くに位置する補強要素の箇所との間のゴムコンパウンド厚さは、タイヤのキャビティの内面上へのかかる内面の最も近くに位置する補強要素の箇所の端の投影像の長さに等しい。
【0040】
ゴムコンパウンドの厚さの測定をタイヤの断面に関して実施し、したがって、タイヤは、非インフレート状態にある。
【0041】
本発明者の実証したところによれば、本発明に従ってこのように製造されたタイヤにより、耐久性と製造費の妥協点の観点において非常に有利な向上が得られる。確かに、かかるタイヤの耐久性は、通常の走行条件下にあるにせよインフレーション不足モードで走行している場合であるにせよいずれにせよ、少なくとも上述した最善の解決策の場合と同じほど良好である。さらに、カーカス補強材とタイヤのキャビティとの間のゴムコンパウンド層の厚さは、標準型タイヤの厚さよりも小さいので(この厚さは、タイヤの最も高価のコンポーネントのうちの1つを構成する)、タイヤの製造費は、標準型タイヤの製造費よりも低い。浸透度試験において20cm
3/分未満の流量を示すカーカス補強材のコードは、一方において、腐食に起因した危険性を制限することができると共に他方において座屈防止効果を提供するように思われ、かくして、タイヤのキャビティの内面とカーカス補強材との間のゴムコンパウンドの厚さを最小限に抑えることができる。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、コードは、透過度試験において、10cm
3/分未満、好ましくは2cm
3/分未満の流量を示す。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、タイヤのキャビティと半径方向最も内側のカーカス補強材層の補強要素との間のゴムコンパウンドは、少なくとも2つのゴムコンパウンド層から成り、半径方向最も内側のゴムコンパウンド層の厚さは、2mm未満、好ましくは1.8mm未満である。上述したように、通常、この層は、タイヤの不浸透性を増大させるよう一部がブチルゴムで構成されており、この種の材料は、取るに足りないほどのコストではないので、この層における厚さの減少が好ましい。
【0044】
この場合も又好ましくは、本発明によれば、タイヤのキャビティと半径方向最も内側のカーカス補強材層の補強要素との間のゴムコンパウンドは、少なくとも2つのゴムコンパウンド層から成り、半径方向最も内側のゴムコンパウンド層に半径方向に隣接して位置するゴムコンパウンド層の厚さは、2.5mm未満、好ましくは2mm未満である。構成要素が特に空気中の酸素を固定することができるようにするこの層の厚さも又、タイヤのコストを一段と減少させるために減少させるのが良い。
【0045】
これら2つの層の各々の厚さは、かかる層の一方の表面上の箇所のかかる層の他方の表面上への正投影像の長さに等しい。
【0046】
本発明の有利な一実施形態によれば、カーカス補強材の少なくとも1つの層の金属補強要素は、少なくとも2つの層を有するコードであり、少なくとも内側の層は、架橋可能な又は架橋済みのゴム配合物、好ましくは少なくとも1種類のジエンエラストマーを主成分とする架橋可能な又は架橋済みのゴム配合物から成る層で外装されている。
【0047】
本発明は又、少なくとも1つの金属補強要素層から成る半径方向カーカス補強材を有するタイヤであって、タイヤが、それ自体トレッドで半径方向に被覆されたクラウン補強材を有し、トレッドが2つのサイドウォールを経て2つのビードに接合されている、タイヤにおいて、カーカス補強材の少なくとも1つの層の金属補強要素は、少なくとも2つの層を有する非たが掛けコードであり、少なくとも内側の層は、架橋可能な又は架橋済みのゴム配合物、好ましくは少なくとも1種類のジエンエラストマーを主成分とする架橋可能な又は架橋済みのゴム配合物から成る層で外装されており、タイヤのキャビティの内面とキャビティの内面の最も近くに位置するカーカス補強材の金属補強要素の箇所との間のゴムコンパウンドの厚さは、4mm未満であることを特徴とするタイヤを提供する。
【0048】
「少なくとも1種類のジエンエラストマーを主成分とする配合物」という表現は、公知のように、かかる配合物が主としてこのジエンエラストマー又はこれらのジエンエラストマーを含んでいる(即ち、質量フラクション(分率)が50%を超える)ということを意味するものと理解されたい。
【0049】
本発明によるシースは、有利にはほぼ円形の断面を有する連続スリーブを形成するようシーズが覆っている層の周りに連続的に延びている(即ち、このシースは、半径方向に垂直なコード「オルトラジアル(orthoradial)」方向に連続している)ことに注目されるべきである。
【0050】
また、このシースのゴム配合物は架橋可能であり又は架橋済みであり、即ち、かかるゴム配合物は、定義上、適当な架橋系であり、かくして、これが硬化を生じている状態で(すなわち、これが硬化するが、溶融しない状態で)ゴム配合物が架橋可能であることに注目されるべきである。かくして、このゴム配合物を「非溶融性」と呼ぶことができる。というのは、このゴム配合物をどのような温度に加熱してもかかるゴム配合物を溶融することができないからである。
【0051】
「ジエン」エラストマー又はゴムという用語は、公知のように、少なくとも一部がジエンモノマー(共役であるにか否かを問わず、2つの炭素−炭素2重結合を備えたモノマー)から得られるエラストマー(すなわち、ホモポリマー又はコポリマー)を意味するものと理解されたい。
【0052】
ジエンエラストマーは、公知のように、2つのカテゴリ、すなわち「本質的に不飽和」ジエンエラストマー及び「本質的に飽和」ジエンエラストマーと呼ばれるカテゴリに分類可能である。一般に、「本質的に不飽和」ジエンエラストマーとは、本願では、少なくとも一部が、15%(モル%)より大きい一定含有量のジエンオリジン(共役ジエン)のメンバー又はユニットを有する共役ジエンモノマーから得られるジエンエラストマーを意味するものと理解すべきである。かくして、例えば、ブチルゴム又はジエンのコポリマー及びEPDM型のα−オレフィンのコポリマー等のジエンエラストマーは、前述の定義には含まれず、より詳しくは、「本質的に飽和」されたジエンエラストマーとして説明される(低い又は非常に低い(常に15%より低い)含有量のジエンオリジンのユニット)「本質的に不飽和」のジエンエラストマーのカテゴリ内で、「高度の不飽和」ジエンエラストマーとは、特に、50%より大きい一定含有量のジエンオリジン(共役ジエン)のユニットを有するジエンエラストマーを意味するものと理解すべきである。
【0053】
これらの定義が与えられているものとして、次のことが、本発明のコードに使用できるジエンエラストマーを特に意味するものと理解されよう。
(a)4〜12個の炭素原子をもつ共役ジエンモノマーの重合により得られるあらゆるホモポリマー
(b)1つ以上の共役ジエンと8〜20個の炭素原子をもつ1種類又は2種類以上 の芳香族ビニル化合物との共重合により得られるあらゆるコポリマー
(c)例えば、エチレン及び上記種類の非共役ジエンモノマーから得られる、より詳しくは1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン又はジクロペンタジエン等の、エチレンと、3〜6個の炭素原子をもつα−オレフィンと、6〜12個の炭素原子をもつ非共役ジエンモノマーとの共重合により得られる三元コポリマー
(d)イソブテン及びイソプレン(ブチルゴム)のコポリマー及びこの種のコポリマーのハロゲン化、より詳しくは塩素化又は臭化バージョン
【0054】
本発明は、任意種類のジエンエラストマーに利用できるが、本発明は、主として本質的に不飽和ジエンエラストマー、特に上記種類(a)又は(b)のジエンエラストマーに使用される。
【0055】
かくして、ジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、種々のブタジエンコポリマー、種々のイソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの配合物からなる群から選択するのが好ましい。これらのコポリマーは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)及びイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選択するのがより好ましい。
【0056】
より好ましくは、本発明によれば、選択されるジエンエラストマーは、主として(即ち、50phr超える)、イソプレンエラストマーから成る。「イソプレンエラストマー」という用語は、公知のように、イソプレンホモポリマー又はコポリマーを意味し、換言すれば、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、種々のイソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの配合物からなる群から選択されるジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。
【0057】
本発明の有利な実施形態によれば、選択されるジエンエラストマーは、もっぱら(すなわち100phrに関し)、天然ゴム、合成ポリイソプレン又はこれらのエラストマーの配合物から成り、合成ポリイソプレンは、シス1,4結合の含有量(モル%)、好ましくは90%より大きい、より好ましくは98%より大きい含有量を有する。
【0058】
本発明の特定の一実施形態によれば、この天然ゴム及び/又はこれらの合成ポリイソプレンと、他の高度の不飽和ジエンエラストマー、特に上記のようなSBR又はBRとのブレンドを使用することもできる。
【0059】
本発明のコードのゴムシースには単一又は幾つかのジエンエラストマーを含有させることができ、かかるジエンエラストマーは、ジエンエラストマー以外の任意の種類の合成エラストマー又はエラストマー以外のポリマー(例えば熱可塑性ポリマー。エラストマー以外のこれらのポリマーは少数ポリマーとして存在する)と組合せて使用できる。
【0060】
シースのゴム配合物には、どのようなプラストマーも含まれず、かかるシースのゴム配合物は、ポリマーベースとして1つのジエンエラストマー(又はジエンエラストマーの配合物)のみを有するのが好ましいが、かかる配合物は、1種類の又は多種類のエラストマーの質量フラクションx
eより少ない質量フラクションx
pの少なくとも1つのプラストマーを更に含んでも良い。かかる場合、好ましくは次の関係式、即ち0<x
p<0.5x
eが適用されり、より好ましくは、次の関係式、即ち0<x
p<0.1x
eが適用される。
【0061】
好ましくは、ゴムシースの架橋系は、加硫系と呼ばれる系であり、即ち、硫黄(又は硫黄供与体)及び第一加硫促進剤である。このベース加硫系には、種々の既知の第二促進剤又は加硫活性剤を添加できる。硫黄は、好ましくは0.5〜10phrの間、より好ましくは1〜8phrの間の量で使用され、第一加硫促進剤(例えば、スルフェンアミド)が好ましくは0.5〜10phr、より好ましくは0.5〜5.0phrの間の量で使用される。
【0062】
本発明によるシースのゴム配合物は、架橋系に加え、タイヤ用ゴム組成に使用できる全ての通常成分、例えばカーボンブラックをベースとする補強フィラー及び/又は補強無機フィラーを含み、かかる補強無機フィラーには、シリカ、耐老化剤(例えば酸化防止剤)、エキステンダーオイル、可塑剤又は未硬化状態での配合物の加工を容易にする薬剤、メチレン受容体及び供与体、樹脂、ビスマレイミド(bismaleimides)、「RFS」(レゾルシノール/ホルムアルデヒド/シリカ)形式の既知の接着促進系、又は金属塩(より詳しくはコバルト塩)がある。
【0063】
好ましくは、ゴムシースの配合物は、架橋状態では、ASTM・D・412(1998)規格に従って測定した10%伸び率における割線伸びモジュラス(M10と呼ばれる)が20MPa未満、より好ましくは12MPa未満であり、特に4〜11MPaである。
【0064】
好ましくは、このシースの配合物は、本発明によるコードが補強用のものである場合のゴムマトリックスに使用される配合物と同一のものが選択される。かくして、シース及びゴムマトリックスのそれぞれの材料間に不適合性の問題は生じない。
【0065】
好ましくは、上記配合物は、天然ゴムを主成分としており、かかる配合物は、補強フィラーとしてカーボンブラック、例えばASTM300、500又は700等級(例えばN326,N330、N347、N375、N683、N772)のカーボンブラックを含む。
【0066】
本発明の変形例によれば、カーカス補強材の少なくとも1つの層の金属補強要素は、タイヤカーカス補強材の補強要素として使用できる[L+M]又は[L+M+N]構造の層状金属コードであり、層状金属コードは、直径d
1のL本の細線(Lは、1〜4である)を有する第1の層C1をピッチp
2で螺旋の状態に互いに巻かれた直径d
2のM本の細線(Mは、3〜12である)を有する少なくとも1つの中間層C2で包囲したものであり、層C2は、オプションとして、ピッチp
3で螺旋の状態に互いに巻かれた直径d
3のN本の細線(Nは、8〜20である)の外側層C3によって包囲され、少なくとも1種類のジエンエラストマーを主成分とする架橋可能な又は架橋済みゴム配合物から成るシースが、[L+M]構造では、第1の層C1を覆い、[L+M+N]構造では、少なくとも中間層C2を覆う。
【0067】
好ましくは、内側層又は第1の層(C1)の細線の直径は、0.10〜0.5mmであり、層(C2,C3)の細線の直径は、0.10〜0.5mmである。
【0068】
外側層(C3)の細線の螺旋巻きピッチは、8〜25mmである。
【0069】
本発明の意味の範囲内において、ピッチは、コードの軸線に平行に測定された長さを表し、コードの端のところでは、このピッチを持つ細線は、コードの軸線回りに丸一回転し、かくして、軸線がこの軸線に垂直であり且つコードの構成層の細線のピッチに等しい長さだけ隔てられた2つの平面によって分けられた場合、これら2つの平面内に位置するこの細線の軸線は、問題の細線の層に相当する2つの円上に同一の位置を有する。
【0070】
本発明によるコードでは、下記特性の少なくとも1つ、より好ましくは全てが満たされる。
‐層C3は飽和層である。すなわち、この層には、少なくとも直径d
3の第(N+1)番目の細線をこれに追加するには不十分なスペースが存在する。ここで、Nは、層C2の回りに1つの層として巻回できる細線の最大本数を表す。
‐ゴムシースは、内側層C1を覆い及び/又は中間層C2の隣接対の細線を分離する。
‐ゴムシースは、事実上、層C3の各細線の半径方向内方の半周を覆い、この層C3の隣接対をなす細線を互いに分離する。
【0071】
本発明のL+M+N構造では、中間層C2は、好ましくは6本又は7本の細線を有し、この場合、本発明によるコードは下記の好ましい特性を有している(d
1、d
2、d
3、p
2、p
3の単位は、mmである)。
(i) 0.10<d
1<0.28
(ii) 0.10<d
2<0.25
(iii)0.10<d
3<0.25
(iv) M=6又はM=7
(v) 5π(d
1+d
2)<p
2≦p
3<5π(d
1+2d
2+d
3)
(vi) 層C2,C3の細線は、同一捩り方向(S/S又はZ/Z)に巻かれている。
【0072】
好ましくは、特性(v)は、p
2≦p
3であるようなものであり、従って、このコードは、更に特性(vi)(層C2及びC3の細線が同一方向に巻かれている)を考慮すると、「コンパクト」であると言える。
【0073】
特性(vi)によれば、層C2及びC3の全ての細線は同じ捩り方向、すなわち、S方向(S/S構造)又はZ方向(Z/Z構造)のいずれかの方向に巻かれる。層C2及びC3を同方向に巻くと、本発明によるコードにおいて、これらの2つの層C2及びC3間の摩擦を最小にでき、従って該層を構成する細線の摩耗を最小限に抑えることができる(というのは、もはや細線間に交差接触が存在しないからである)。
【0074】
好ましくは、本発明のコードは1+M+N構造の層状コードであり、即ち、その内側層C1は、単一細線から成る。
【0075】
この場合も又、有利には、比(d
1/d
2)が、次式のように、層C2の細線の本数M(6又は7)に従って所与の範囲内に設定される。
M=6の場合、0.9<(d
1/d
2)<1.3
M=7の場合、1.3<(d
1/d
2)<1.6
【0076】
小さすぎる比の値は、層C2の内側層と細線との間の摩耗にとって不利な場合がある。大き過ぎる比の値は、最終的な強度レベルがほとんど変更されない場合、コードのコンパクトさ及びコードの可撓性を損なう場合がある。直径d
1が過度に大きいことによる内側層C1の剛性の増大は、ケーブリング作業中のコードの実現容易性そのものにとって不利な場合がある。
【0077】
層C2及びC3の細線は、同一の直径を有しても良く、或いは層毎に異なる直径を有しても良い。特にケーブリング方法を簡単化しかつコストを低減させるためには、同じ直径(d
2=d
3)の細線を使用するのが好ましい。
【0078】
層C2の周囲に単一飽和層C3として巻回可能な細線の最大本数N
maxは、当然のことながら、多くのパラメータ(内側層の直径d
2、層C2の細線の本数M及び直径d
2、層C3の細線の直径d
3)で決まる。
【0079】
本発明は、1+6+10、1+6+11、1+6+12、1+7+11、1+7+12又は1+7+13構造のコードから選択されるコードについて実施するのが好ましい。
【0080】
一方においてはコードの強度、実現容易性及び曲げ強度と他方においてゴム浸透度との良好な妥協点を見出すためには、層C2及びC3の細線の直径が0.12〜0.22mmの間にあることが好ましい(両者の直径が同一であるか否かは問わない)。
【0081】
かかる場合、次の関係式を満たすことがより好ましい。すなわち、
〔数1〕
0.14<d
2<0.22
0.12<d
2≦d
3<0.20
5<p
2≦p
3<12(小ピッチ、単位mm)、又は
20<p
2≦p
3<30(大ピッチ、単位mm)
【0082】
0.19mmよりも小さい直径は、コードの曲率が大きく変化しているときに細線の受ける応力レベルを小さくするのに役立つ場合があり、他方、0.16mmよりも大きい直径を、特に細線の強度及び工業的コストの理由で選択することが好ましい。
【0083】
有利な一実施形態では、例えば、p
2及びp
3を8〜12mmの間に選択し、1+6+12構造のコードを使用するのが有利である。
【0084】
好ましくは、ゴムシースの平均厚さは、0.010〜0.040mmである。
【0085】
一般に、本発明は、上述のカーカス補強コードを形成するために、任意の種類の金属細線、より詳しくは、例えば炭素鋼細線及び/又はステンレス鋼細線等のスチール細線を用いて実施できる。炭素鋼を使用することが好ましいが、当然のことながら、他のスチール又は他の合金を使用することが可能である。
【0086】
炭素鋼を用いる場合、その炭素含有量(スチールの重量を基準とした%)は、好ましくは、0.1%〜1.2%、特に0.4%〜1.0%である。これら含有量は、タイヤに必要な機械的性質と細線の実現可能性との良好な妥協点となっている。注目されるべきこととして、0.5%〜0.6%の炭素含有量は、最終的に、かかるスチールを安価にする。というのは、これらは、引き抜き加工が容易だからである。また、本発明の別の有利な実施形態では、意図した用途に応じて、特にコストが低く且つ引き抜き加工性が良好なので、低炭素含有量、例えば0.2%〜0.5%の炭素含有量のスチールを用いることができる。
【0087】
本発明によるコードは、当業者に知られている種々の技術によって、例えば2つのステップで、即ち、第1に、押出ヘッドを用いてL+M中間構造又はコア(層C1+C2)を外装し、第2に、このステップの次にこのようにして外装された層C2周りにN本の残りの細線(層C3)をケーブリング又はツイスティングする最終作業によって得ることができる。実施される場合のある中間巻回作業及び巻出し作業中にゴムシースにより引き起こされる未硬化状態における結合の問題は、例えば中間プラスチックフィルムを用いることによって当業者には知られているやり方で解決可能である。
【0088】
有利には、クラウン補強材は、周方向と、10°〜45°の角度をなして一方の層から他方の層にクロス掛けされた非伸張性補強要素の少なくとも2つの実働クラウン層で形成される。
【0089】
本発明の他の実施形態によれば、クラウン補強材は、周方向補強要素の少なくとも1つの層を更に含む。
【0090】
本発明の好ましい実施形態では、クラウン補強材には、半径方向外側に、少なくとも1つの補足保護プライが補足されており、少なくとも1つの補足保護プライは、該保護プライに半径方向に隣接して位置する実働プライの非伸張性要素のなす角度と同一の意味で周方向に対して10°〜45°の角度をなして差し向けられた弾性補強要素から成る。
【0091】
保護層は、幅の最も狭い実働層の軸方向幅よりも小さい軸方向幅を有するのが良い。かかる保護層は、幅の最も狭い実働層の軸方向幅よりも大きな軸方向幅を有しても良く、その結果、かかる保護層は、幅の最も狭い実働層の縁部を覆うようになり、幅の最も狭いものとしての半径方向上側層の場合、保護層は、追加の補強材の軸方向延長方向において軸方向幅にわたり幅の最も広い実働クラウン層に結合され、しかる後、軸方向外側において、厚さが少なくとも2mmの異形要素によりかかる幅の最も広い実働層から結合解除されるようになる。弾性補強要素で形成された保護層は、上述の場合、一方において、オプションとして2つの実働層の縁部を互いに離隔させる異形要素の厚さよりも実質的に小さい厚さを持つ異形要素によって幅の最も狭い実働層の縁部から結合解除され、他方において、幅の最も広いクラウン層の軸方向幅よりも小さい又は大きい軸方向幅を有することができる。
【0092】
上述の本発明の実施形態のうちのいずれにおいても、クラウン補強材には、カーカス補強材とこのカーカス補強材の最も近くに位置する半径方向内側実働層との間で半径方向内側に、周方向と60°の角度をなすと共にカーカス補強材の半径方向に最も近くの層の補強要素のなす角度と向きと同一の向きにあるスチール製の非伸長性金属補強要素の三角形構造形成層が更に補足されている。
【0093】
本発明の他の細部及び有利な特徴は、
図1〜
図4を参照して行なわれる本発明の例示の実施形態の説明から以下において明らかになろう。