特許第5719317号(P5719317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5719317導電膜用粘着剤組成物、積層体および該積層体を有するタッチパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719317
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】導電膜用粘着剤組成物、積層体および該積層体を有するタッチパネル
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20150423BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20150423BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20150423BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20150423BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20150423BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20150423BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   C09J175/04
   C09J133/14
   C09J7/02 Z
   B32B7/02 104
   B32B27/00 M
   G06F3/041
   G06F3/044
【請求項の数】18
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2012-3130(P2012-3130)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-142121(P2013-142121A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000202350
【氏名又は名称】綜研化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】工藤 良太
(72)【発明者】
【氏名】金塚 洋平
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−246700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸性基以外の官能基を有する重量平均分子量が5万〜15万である(メタ)アクリ
ル系ポリマーと、
(B)イソシアネート系架橋剤とを含み、
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部中に、
(a-1)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び/又はアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートが50〜99.8重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-2)水酸基を有するモノマーが0.1〜10重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-3)窒素含有モノマーが0.1〜5重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-4)アルキル(メタ)アクリレートが0〜49.8重量部の範囲内の量で共重合され、
該(A)(メタ)アクル系ポリマーに(B)イソシアネート系架橋剤による架橋構造が形成される際に、ゲル分率が50〜80%となることを特徴とする導電膜用粘着剤組成物。
【請求項2】
上記導電膜用粘着剤組成物が有機溶媒中に(A)(メタ)アクリル系ポリマーと(B)イソシアネート系架橋剤とが分散若しくは溶解されてなる塗布液を形成してなり、該塗布液中における固形分含量が40〜80重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の導電膜用粘着剤組成物。
【請求項3】
上記導電膜用粘着剤組成物のゲル分率が、60〜70重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の導電膜用粘着剤組成物。
【請求項4】
上記導電膜用粘着剤組成物が厚さ25〜2000μmのガラス基板の表面にITO電極を貼着するための導電膜用粘着剤組成物であることを特徴とする請求項第1項記載の導電膜用粘着剤組成物。
【請求項5】
上記ガラス基板の表面にITO電極を貼着する際の導電膜用粘着剤組成物によって形成される粘着剤層の乾燥厚さが10〜1000μmの範囲内になるように塗布することを特徴とする請求項第項記載の導電膜用粘着剤組成物。
【請求項6】
基材と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層された積層体であって、
前記粘着剤層は、
(A)酸性基以外の官能基を有する重量平均分子量が5万〜15万である(メタ)アクリル系ポリマーと、
(B)イソシアネート系架橋剤とを含み、
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部中に、
(a-1)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び/又はアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートが50〜99.8重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-2)水酸基を有するモノマーが0.1〜10重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-3)窒素含有モノマーが0.1〜5重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-4)アルキル(メタ)アクリレートが0〜49.8重量部の範囲内の量で共重合され、
前記粘着剤層は、該(A)(メタ)アクル系ポリマーに(B)イソシアネート系架橋剤による架橋構造が形成され、ゲル分率が50〜80%であることを特徴とする積層体。
【請求項7】
上記粘着剤層のゲル分率が、60〜70重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項第6項記載の積層体。
【請求項8】
上記基材がガラス基材であり、該ガラス基材の厚さが25〜2000μmの範囲内にあり、かつ導電層がITO電極であることを特徴とする請求項第6項記載の積層体。
【請求項9】
上記粘着剤層の乾燥厚さが10〜1000μmの範囲内にあることを特徴とする請求項第6項記載の積層体。
【請求項10】
上記積層体が、静電容量方式のタッチパネル用の積層体であることを特徴とする請求項第6項記載の積層体。
【請求項11】
上記アルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び/又はアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a-1)が、メトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレートより選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項第6項記載の積層体。
【請求項12】
表面支持体と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層された積層体を含むタッチパネルユニットと、該タッチパネルユニット上に積層されたフラットパネルディスプレイとからなるタッチパネルにおいて、
前記積層体が、請求項第6項〜第11項のいずれかの項記載の積層体であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項13】
上記タッチパネルが、静電容量方式のタッチパネルであることを特徴とする請求項第12項に記載のタッチパネル。
【請求項14】
前記積層体において、前記表面支持体の前記粘着剤層と対面する面の縁部に額縁印刷がなされていることを特徴とする請求項第12項記載のタッチパネル。
【請求項15】
前記額縁印刷の厚さが、10〜50μmの範囲内にあることを特徴とする請求項第14項に記載のタッチパネル。
【請求項16】
前記導電層が、金属酸化物としてITOを用いた回路パターンであり、該回路パターンに前記粘着剤層が直接接触していることを特徴とする請求項第12項〜第15項のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項17】
前記表面支持体の厚さが25〜2000μmの範囲内にあることを特徴とする請求項第12項〜第16項のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項18】
前記導電層が回路パターンを形成しており、該回路パターンの厚さが10〜100nmの範囲内にあることを特徴とする請求項第12項記載のタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の組成を有する導電膜用粘着剤組成物、この導電膜用粘着剤組成物を粘着剤として用いたタッチパネル形成部材用の積層体、および、この積層体を有するタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主に用いられているタッチパネルユニットには、大別して抵抗膜式タッチパネルと静電容量方式のタッチパネルとがあり、これらは共には各種材料の積層体であり、その貼り合わせには主にアクリル系粘着剤が使用されている。タッチパネルユニットは、画面の最表面に配置されることから、使用されるアクリル系粘着剤には、高い透明性が求められ、さらに耐久性試験や加速試験において高温高湿の環境におかれることから、高い耐熱性、耐湿熱安定性などの特性が必要とされる。
【0003】
具体的には、各種材料の積層体であるタッチパネルユニットは、タッチパネル装置の最表面に配置されることから、外部からの水分の浸入によって白化現象を生ずることがあり、また、積層体の構成層を粘着剤により貼り合わせる際、空気を巻き込むことによる発泡および積層する材料から発生するアウトガスによる発泡などにより、外観不良を生じることが問題になる。
【0004】
また、これまでのタッチパネルの主流であった抵抗膜方式のタッチパネルにおいては、ポリカーボネート(PC)あるいはインモールドフィルム(IMD)の貼り付けのために種々の粘着剤が使用されてきた。
【0005】
しかしながら、PCの材料上の特性として高温条件でアウトガスが発生すること、また、PCは水分を通しやすいために耐熱条件で発泡が起きること、湿熱条件で水分流入による粘着剤層の白化現象を抑えることが難しいという問題もある。さらに、IMDはサブミクロンオーダーの段差を有するために、その段差に粘着剤が追従できずに泡を巻き込むという問題もある。
【0006】
従来は、上記のような問題を、粘着剤に酸成分を配合することにより解決していた。即ち、酸成分は混入した水分を分散させて析出させないという機能を有しており、粘着剤層に浸入した水分は酸成分の分散力によって粘着剤層内に分散され析出することがなかったので、粘着剤層が白化するのを防止し、また水素結合を形成することからその水素結合による高い凝集力によって、耐熱発泡における泡の発生を抑えていたのである。
【0007】
ところで、近時、マルチタッチ化をはじめとする機能の充実化に伴い、抵抗膜方式のタッチパネルに代わって静電容量方式のタッチパネルが主流になりつつある。この静電容量方式のタッチパネルにおいては、抵抗膜方式のタッチパネルで要求されていた特性は当然必要となるが、それに加えて、粘着剤が配線を形成している導電層と直接接触するために、粘着剤が導電層の特性を変動させないという特性が必要になる。導電層は、酸化インジウムスズ(ITO)のような金属あるいは金属酸化物で形成されており、酸との接触により腐食を起こし、その抵抗値が上昇してしまうので、従来使用されていた酸成分を用いて耐熱性、耐湿熱性などの特性を確保するという手段は用いることができない。
【0008】
このようなITO等の金属あるいは金属酸化物からなる透明電極の腐食に関しては、特許文献1(特開2010-77287号公報)には、アルコキシアルキルアクリレートを主成分とする重合体が開示されており、この特許文献1では、重量平均分子量が40万〜160万のアルコキシアルキルアクリレート系のポリマーであってカルボキシル基含有モノマーを使用しないポリマーを用いることが開示されている。
【0009】
このようにカルボキシル基含有モノマーを使用せずに40万〜160万のアルコキシアルキルアクリレート系のポリマーを使用することにより、ITOなどの金属あるいは金属酸化物からなる透明電極の腐食に関してはある程度改善されるものの、耐湿熱白化性、耐熱発泡性などの性能に関しては充分な効果を得られていない。さらに、粘着剤を透明電極等に塗工する際の作業性も充分とはいえない。
【0010】
さらに、特許文献1に開示されているポリマーの重量平均分子量は40万〜160万と大きいので、これを溶媒に溶解して塗布液を調製する際に固形分の量が多くなるとポリマー溶液の粘度が高くなりすぎる。タッチパネル用途、特に静電容量方式のタッチパネル用途においては、表面支持体とITOなどの導電性膜を接着するため、また静電容量の変化を検知する感度を上げるために厚膜の粘着剤層を形成する必要がある。しかし、重量平均分子量が40万〜160万のアルコキシアルキルアクリルレート系ポリマーを用いたのでは固形分含量が高い塗布液を調製することができないので、固形分含有量が低い塗布液を調製し、繰返し塗布する必要があり、一度の塗工で必要とされる厚さの粘着剤層を形成することが困難であるとの問題がある。
【0011】
また、特許文献2(特許第4531099号)には、アルコキシアルキルアクリレート及び水酸基を有するアクリル系モノマーを必須の単量体成分として共重合して得られた、重量平均分子量40万〜160万で分子量分布が10〜50ではないアクリル系ポリマーおよびイソシアネート架橋剤を含み、前記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中にカルボキシル基含有モノマーを実質的に含まない透明プラスチック用粘着剤組成物が開示されている。また当該特許の審査過程において、前記アクリル系ポリマーの分子量分布はおよそ4〜9であることが、前記特許の出願人により説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010-77287号公報
【特許文献2】特許第4531099号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、金属あるいは金属酸化物からなる導電膜を有するタッチパネル用の積層体において、耐熱発泡性、耐湿熱安定(耐白化)性に優れ、金属あるいは金属酸化物に対する腐食性のない導電膜用粘着剤組成物、これを用いた積層体およびこの積層体を用いたタッチパネルを提供することを目的としている。
【0014】
さらに、本発明は、一度の塗布工程で充分な厚さの塗膜を形成することができる導電膜用粘着剤組成物を提供することを目的としている。
また、近年はタッチパネルの表面を構成する表面支持体に、ディスプレイの額縁を印刷することが行われている。この額縁が印刷された表面支持体と、透明電極等とを接着するためにも粘着剤が使用されるが、特許文献1や2に開示されているポリマーでは、重量平均分子量が大きく、また特に特許文献2に開示されているポリマーは分子量分布が狭いために、印刷部分の段差に粘着剤が充分に追従せず、空隙が出来てしまい、これが発泡の原因となる。
【0015】
そこで本発明は、印刷段差に充分に追従する粘着剤を用いたタッチパネル用の積層体を提供することをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の導電膜用粘着剤組成物は、(A)酸性基以外の官能基を有する重量平均分子量が5万〜15万である(メタ)アクリル系ポリマーと、
(B)イソシアネート系架橋剤とを含み、
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部中に、
(a-1)アルコキシアルキル(メタ)アクリレートが50〜99.8重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-2)水酸基を有するモノマーが0.1〜10重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-3)窒素含有モノマーが0.1〜5重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-4)アルキル(メタ)アクリレートが0〜49.8重量部の範囲内の量で共重合され、
該(A)(メタ)アクル系モノマーに(B)イソシアネート化合物による架橋構造が密に形成されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の導電膜用粘着剤組成物は、有機溶媒中に(A)(メタ)アクリル系ポリマーと(B)イソシアネート系架橋剤とが分散若しくは溶解されてなる塗布液を形成してなり、該塗布液中における固形分含量が50〜80重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0018】
この本発明の導電膜用粘着剤組成物のゲル分率は、通常は、60〜70重量%の範囲内にある。
この本発明の導電膜用粘着剤組成物は、ガラス基板の表面にITO電極層等を貼着するための導電膜用粘着剤組成物であることが好ましい。
【0019】
本発明の導電膜用粘着剤組成物のガラス基板の表面にITO電極を貼着する際の導電膜用粘着剤組成物によって形成される粘着剤層の乾燥厚さは、通常は10〜1000μmの範囲内にある。
【0020】
また、本発明の積層体は、基材と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層された積層体であって、
前記粘着剤層は、
(A)酸性基以外の官能基を有する重量平均分子量が5万〜15万である(メタ)アクリル系ポリマーと、
(B)イソシアネート系架橋剤とを含み、
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部中に、
(a-1)アルコキシアルキル(メタ)アクリレートが50〜99.8重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-2)水酸基を有するモノマーが0.1〜10重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-3)窒素含有モノマーが0.1〜5重量部の範囲内の量で共重合され、
(a-4)アルキル(メタ)アクリレートが0〜49.8重量部の範囲内の量で共重合され、
該(A)(メタ)アクル系モノマーに(B)イソシアネート化合物による架橋構造が密に形成されていることを特徴としている。
【0021】
本発明の積層体に用いられる導電膜用粘着剤組成物のゲル分率は、通常は60〜70重量%の範囲内にある。
本発明の積層体においては、通常は基材がガラス基材であり、該ガラス基材の厚さが25〜2000μmの範囲内にあり、かつ導電層がITO電極である。
【0022】
本発明の積層体において粘着剤層の厚さは、通常は10〜1000μmの範囲内にある。
この積層体は、静電容量方式のタッチパネル用の積層体として好適に使用することができる。
【0023】
本発明において、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び/又はアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a-1)は、メトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレートであることが好ましい。
【0024】
本発明のタッチパネルは、表面支持体と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層された積層体を含むタッチパネルユニットと、該タッチパネルユニット上に積層されたフラットパネルディスプレイとからなるタッチパネルにおいて、
前記積層体が、上述のいずれかの積層体であることを特徴としている。
【0025】
本発明において、上記のタッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルであることが好ましい。
本発明のタッチパネルには、通常は、積層体の前記表面支持体の前記粘着剤層と対面する面の縁部に額縁印刷がなされており、この額縁印刷の厚さは、通常は10〜50μmの範囲内にある。
【0026】
また本発明のタッチパネルでは、通常は、導電層が、金属酸化物としてITOを用いた回路パターンであり、該回路パターンに前記粘着剤層が直接接触している。
本発明のタッチパネルにおいて表面支持体の厚さは、通常は25〜2000μmの範囲内にある。
【0027】
また、本発明のタッチパネルでは、通常は、導電層が回路パターンを形成しており、該回路パターンの厚さは10〜100nmの範囲内にある。
【発明の効果】
【0028】
本発明の積層体における粘着剤層は、酸性基以外の官能基を有する重量平均分子量が5万〜15万である(メタ)アクリル系ポリマーから形成されている。即ち、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤には実質的に酸成分は含有されていないので、ITOなどの金属あるいは金属酸化物からなる配線の腐食による劣化を有効に抑えることができる。
【0029】
さらに、前記粘着剤層を形成することになる粘着剤組成物は、粘着剤成分であるポリマーの重量平均分子量(Mw)が5万〜15万であるので、このような重量平均分子量の小さいポリマーに多数の官能基を有するので、架橋密度が高くなり硬質の粘着剤層が形成される。このように粘着剤層が硬質でありことにより、外部からの水分の浸入を防止することができる。
【0030】
さらに重量平均分子量が小さいことから、塗布液の固形分濃度を高くすることができ、例えば70重量%程度の高濃度であっても問題なく塗工することができ、塗膜塗工工程を簡略化することができるとの利点を有する。
【0031】
さらに、前記ポリマーは、分子量が小さく、これを架橋剤で高密度に架橋しているので導電膜用粘着剤組成物の硬度が非常に高くなり、外部からの水分の浸入を有効に防止することができるため、粘着剤層の白化が有効に抑制される。
【0032】
従って、本発明の導電膜用粘着剤組成物、積層体およびそれを使用したタッチパネルにおいては、ITOなどの金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜に対する腐食がおこりにくく透明導電膜の電気的特性の変動が少ないと共に、白化、発泡も発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の積層体を組み込んだ抵抗膜方式のタッチパネルにおけるタッチパネルユニットの例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の積層体を組み込んだ静電容量方式のタッチパネルにおけるタッチパネルユニットの例を模式的に示す断面図である。
図3図3は、静電容量方式のタッチパネルにおける端部の構成の例を模式的に示す断面図である。
図4図4は、タッチパネルの端部に形成された額縁印刷部分への粘着シートの粘着状態を模式的に示す断面図である。
図5図5は、タッチパネル用の積層体に生ずる発泡の状態を説明するための断面図である。
図6図6は、タッチパネル用の積層体に生ずる白化現象の発生を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の積層体は、基材と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層されたものである。以下、各構成層について説明する。
〔基材〕
前記基材は、一般にタッチパネルの最表面を構成する表面支持体などとして機能するものであり、そのような表面支持体としての機能、すなわち、一定の強度、透明性を有していれば特に制限されない。
【0035】
基材を構成する材料の例としては、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートおよびガラスが挙げられる。
本発明における基材は、単層構成の層であってもよく、複数の層が積層されて各層の特性をまとめた複層構成の層であってもよい。
【0036】
〔粘着剤層〕
本発明の積層体における粘着剤層は、上述の通り特定の(メタ)アクリル系ポリマー(A)とイソシアネート架橋剤(B)とを含み、必要に応じて(メタ)アクリル系低分子量体およびその他の成分を含んでもよい。以下、各成分について説明する。
【0037】
<(A)(メタ)アクリル系ポリマー>
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び/又はアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a-1)と、水酸基を有するモノマー(a-2)と、窒素含有モノマー(a-3)と、
アルキル(メタ)アクリレート(a-4)とを共重合させて得られる共重合体である。以下、各構成モノマーについて説明する。
【0038】
((a-1)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート及び/又はアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート)
前記アルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよびアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a-1)は、エステル構造のアルコール由来部分として、アルコキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキレングリコール基を有する(メタ)アクリレートであれば、特に限定されない。前記アルコキシアルキル基、アルコキシアルキレングリコール基は親水性に優れているため、本発明の積層体において、仮に粘着剤層中に水が浸入した場合であっても、それを分散させ、かつ前記親水性や水素結合といった作用により水を保持し、水が粘着剤層中で析出して白化するのを有効に抑制することができる。
【0039】
このようなアルコキシアルキル(メタ)アクリレート(a-1)としては、前記白化の抑制の観点から、アルコキシ部分の炭素数が1〜2であり、アルキル部分の炭素数が1〜4であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、および、アルコキシ部分の炭素数が1〜2であり、アルキレングリコールがエチレングリコール及び/又はプロピレングリコールであるアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、アルコキシ部分の炭素数が1であり、アルキル部分の炭素数が1〜2であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、および、アルコキシ部分の炭素数が1であり、アルキレングリコールがエチレングリコールであるアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0040】
このようなアルコキシアルキル(メタ)アクリレート(a-1)の例としては、2-メトキシメチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0041】
このようなアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートの例としては、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0042】
これらの中でも、白化の抑制の観点から、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレートが好ましい。
本発明においてアルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよびアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート(a-1)は、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
このようなモノマーが、本発明の積層体における粘着剤層を形成する(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量%中、50〜99.8重量%、好ましくは、55〜99.1重量%共重合されている。共重合量が50重量%よりも少ないと、湿熱時に水分の析出が抑えられないことがあり、粘着剤層が白化し、外観に異常をきたすことがある。一方共重合量が99.8重量%を超えると、必然的に官能基を有するモノマーの使用量が少なくなり充分な架橋構造を形成できないことがある。
【0044】
((a-2)水酸基を有するモノマー)
本発明の積層体を構成する粘着剤層に使用される(メタ)アクリル系ポリマー(A)には、水酸基を有するモノマー(a-2)が共重合されている。
【0045】
このモノマー(a-2)の少なくとも一部が後述するイソシアネート系架橋剤(B)によって架橋されることで、前記粘着剤層において高い凝集力が達成され、発泡が効率的に抑制される。
【0046】
また、水酸基を有するモノマーとしては、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルがモノマー(a-2)が好ましい。そのような化合物の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートおよび8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0047】
上記のような水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、イソシアネート系架橋剤(B)との反応性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0048】
以上説明した水酸基を有するモノマー(a-2)は、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用する(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量%中において、モノマー(a-2)は0.1〜10重量%、好ましくは0.8〜9重量%、さらに好ましくは1.2〜6重量%の範囲内の量で共重合されている。
【0049】
モノマー(a-2)の量が上記範囲より少ないと、架橋に関与する水酸基が少なくなり、後述するイソシアネート系架橋剤(B)による架橋構造が充分に形成されないことがある。一方共重合量が10重量%より多いと、架橋構造が過度に形成され、段差追従性などのその他の特性が不充分になることがある。
((a-3)窒素含有モノマー)
本発明の導電膜用粘着剤組成物を構成する粘着剤には、上記のアクリル系ポリマー(A)中に窒素含有モノマーが共重合している。
【0050】
窒素含有モノマーの例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー、
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、
ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム等の窒素系複素環含有モノマー、
シアノ(メタ)アクリレート等のシアノ基含有モノマー、
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー等のマレイミド基含有モノマーを挙げることができる。
【0051】
このような窒素含有モノマーを、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量%中、0.1〜5重量、好ましくは0.1〜4重量%の範囲内の量で共重合させる。
この窒素含有モノマーは、架橋剤であるポリイソシアネート化合物(B)と水酸基を有するモノマー(a-2)との架橋構造形成を促進し、さらに、(メタ)アクリル系ポリマー(A)中の水酸基と水素結合による擬架橋構造を形成する成分であり、この窒素含有モノマーが上記規定する範囲より少ないと、架橋構造の形成が不充分になり、硬質の粘着剤層を形成することができなくなり、粘着剤層の耐水性が低下し、白化などが発生し易くなる。また、上記範囲を逸脱して多量に窒素含入モノマーを使用すると、粘着剤が硬質になりすぎて、額縁印刷部における形態追従性が低下して耐久性が不充分となる虞がある。
【0052】
((a-4)アルキル(メタ)アクリレート)
本発明の導電膜用粘着剤組成物を構成する粘着剤には、さらに(a-4)アルキル(メタ)アクリレートが0〜49.8重量部の範囲内の量、好ましくは0〜44.1重量部の範囲内の量で共重合していてもよい。即ち、本発明の導電性膜のような粘着剤組成物には、以下に記載するような(メタ)アクリル酸エステルが共重合していなくともよいし、共重合していてもよい。ただし、これらの単量体を共重合させる量が上記上限を超えて共重合させると、本発明の(A)成分の特性が損なわれて本発明によって奏される作用効果を示さなくなる。
【0053】
ここで使用する(a-4)(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよびジデカ(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0054】
(その他のモノマー)
さらに、本発明で使用する(メタ)アクリル系ポリマー(A)には、本発明の粘着剤の特性を損なわない範囲内で、他の重合性化合物が共重合していてもよい。このような他の重合性化合物の例としては、酢酸ビニル;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレンおよびオクチルスチレンなどのアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレンおよびメトキシスチレン等のスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等を本発明の作用効果を損なわない範囲で使用することができる。上述した他のモノマーは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができるが、許容される共重合量は極僅かである。
【0055】
((A)(メタ)アクリル系ポリマー)
本発明で使用する(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、以上説明したモノマーを上記割合で共重合することにより得られるが、酸性基を有するモノマーを使用することがないので、得られる共重合体は酸性基を実質的に有していない。ここで酸性基を実質的に有していないとは、共重合に際して作為的に酸性基を有するモノマーを配合しないことを意味し、得られるポリマーの酸価で表すと通常は0.5mgKOH/g以下である。
【0056】
ここで酸性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、リン酸基を有するモノマー、硫酸基を有するモノマーなどを挙げることができ、これらのモノマーは本発明の粘着剤を形成する共重合体中には含有されていない。
【0057】
本発明において(メタ)アクリル系ポリマー(A)には、前記のような酸性基含有モノマーは共重合していない。このように酸性基含有モノマーを共重合させていないので、本発明に使用される(メタ)アクリル系ポリマー(A)が、金属あるいは金属酸化物からなる配線と直接接触してもこれらを腐食することがなく、本発明の積層体における粘着剤層に、配線の抵抗値を長期間にわたって変動させないとする特性を賦与することができる。
【0058】
さらに、本発明で使用する(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、重量平均分子量が5万〜15万、好ましくは8万〜15万の範囲内にある。なお、本明細書において重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0059】
従来使用されていた粘着剤では重量平均分子量が40万〜160万程度の高分子量のアクリル系ポリマーが使用されていたが、本発明では上述のように(メタ)アクリル系ポリマーとして5万〜15万という従来使用されていた粘着剤(40万〜160万)と比較すると著しく小さい分子量のポリマー(A)を使用することにより、架橋密度が高くなり、結果として硬化した粘着剤は非常に硬質になる。ただし、粘着剤が完全に硬化するまでは、アクリル系ポリマーの重量平均分子量が低いので、良好な流動性を示し、非常に優れた形態追従性を示すが、架橋構造が完全に進行した後は、この粘着剤層は非常に硬質になり、構成体端部などから浸入する水分が、この粘着剤層に取り込まれることはない。従って、本発明の粘着剤層が白化することがなく、非常に優れた耐水性を有している。
【0060】
また本発明において、(メタ)アクリル系ポリマー(A)について、Foxの式により求めたガラス転移温度(Tg)が通常は−70℃〜0℃、好ましくは−70℃〜−30℃の範囲内にある。このようなガラス転移温度(Tg)を有する(メタ)アクリル系ポリマー(A)を用いることにより、常温で優れた接着強度を有する粘着剤層を得ることができる。
【0061】
((メタ)アクリル系ポリマー(A)の製造方法)
上記の(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、公知の方法により製造することができるが、溶液重合により製造することが好ましい。溶液重合においては、重合溶媒として、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトンなどを使用することができる。
【0062】
具体的には反応容器内に重合溶媒、原料モノマーを上記で説明した割合で仕込み、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応温度50〜90℃程度に加熱し、4〜20時間反応させる。
【0063】
溶液重合に用いる反応開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を挙げることができる。これらの反応開始剤は、原料モノマー100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部の範囲内の量で使用される。また、上記重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、原料モノマー、溶媒を適宜追加添加してもよい。
【0064】
上記のような条件において、得られる(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、公知技術に従って、ノルマルアルキルメルカプタン(例;ノルマルデシルメルカプタン)のような分子量調整剤の使用、使用する溶媒の種類および量、重合開始剤の種類および量、反応時間、反応温度などの反応条件を調整することにより調節することができる。
【0065】
<(B)イソシアネート系架橋剤>
本発明の積層体における粘着剤層は、さらにイソシアネート系架橋剤(B)を含有している。当該架橋剤(B)が(メタ)アクリル系ポリマー(A)中の、上記モノマー(a-2)に由来する架橋性官能基と架橋反応を起こして三次元架橋構造を形成し、粘着剤層に高い凝集力が付与される。イソシアネート系架橋剤以外の、例えば金属キレート系架橋剤では、高温環境下での耐久性が不充分であり発泡を抑えることができない虞がある。
【0066】
前記イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどの分子中に二個以上のイソシアネート基を有する化合物:それらをトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールと付加反応させた化合物やイソシアヌレート化合物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンなどと付加反応させたウレタンプレポリマー型の分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。
【0067】
これらの中でも、被着体への馴染み性を向上させ貼り合わせ時の泡の巻き込みを低減することができ、高温でのアウトガスを抑制できる点でキシリレンジイソシアネートおよびそのトリメチロールプロパン付加体、ならびにヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート化合物が好ましく、また、貼り付け面の段差追従性を向上させ、耐熱発泡性を良好にすることができる点でヘキサメチレンジイソシアネートおよびそのトリメチロールプロパン付加体が好ましい。
【0068】
以上説明したイソシアネート系架橋剤(B)は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記イソシアネート系架橋剤(B)を配合することにより、本発明の積層体における粘着剤層の凝集力が向上し、貼り付け時に僅かに気泡を巻き込んでも、この気泡の膨張を抑えることができ、優れた耐熱発泡性が発揮される。
【0069】
<(メタ)アクリル系低分子量体>
本発明の積層体における粘着剤層は、基材及び被着体への馴染み性の向上及び(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相互作用による凝集力の向上の観点から、窒素含有(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマーを重合してなる、酸性基を実質的に有さない(メタ)アクリル系低分子量体を含有しても良い。「酸性基を実質的に有さない」の意義は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)におけるのと同様である。
【0070】
前記窒素含有(メタ)アクリル系モノマーの例としては、上述の窒素含有モノマーが挙げられ、これらの中でも、粘着剤の凝集力を向上させ、さらに、イソシアネート系架橋剤(B)による架橋を促進することができる観点からジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびアクリルアミドが好ましい。
【0071】
なお、(メタ)アクリル系低分子量体が窒素非含有(メタ)アクリル系モノマーを構成モノマーとして有していてもよいことは勿論であり、そのようなモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレートおよびジデカ(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートおよび8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0072】
さらに、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマーが共重合されていてもよい。
これらの中でも、重合性、(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相溶性の観点から、アルキル(メタ)アクリレートを80〜99重量%の割合で用いることが好ましい。
【0073】
以上説明した(メタ)アクリル系低分子量体の重量平均分子量は5000以上5万未満である。またこのような(メタ)アクリル系低分子量体は、公知の種々の方法により製造することができる。
【0074】
このような(メタ)アクリル系低分子量体は、単独でも2種以上を組み合わせて使用することができる。
<その他の成分>
本発明の積層体における粘着剤層には、本発明の積層体における粘着剤層の効果を損なわない範囲で、さらに酸化防止剤、金属腐食防止剤、光安定剤、粘着賦与剤、可塑剤、帯電防止剤、架橋促進剤、リワーク剤などを配合することもできる。
【0075】
前記金属腐食防止剤の例としては、ベンゾトリアゾール系化合物、フェノール系化合物、芳香族アミン系化合物が挙げられる。
これらのその他の成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整される。
【0076】
〔導電層〕
本発明の積層体における導電層は、金属あるいは金属酸化物からなる単層の構造であってもよいし、当該層に更に電極支持体等が積層した複層構造であってもよい。複層構造の場合には、本発明の積層体における粘着剤層は、電極支持体と接する。
【0077】
また前記金属あるいは金属酸化物としては、ITO(インジウムティンオキサイド)、ATO(アンチモンティンオキサイド)、酸化錫などが挙げられる。これらは透明性に優れているので、タッチパネルにおける透明導電膜として好適である。
【0078】
さらに、前記電極支持体の構成材料としては、透明性の高いガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよびポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
導電層は好ましくは、静電容量方式のタッチパネルにおいて主流の、金属あるいは金属酸化物からなる単層構造である。
【0079】
〔積層体の製造方法〕
本発明の積層体は、以上説明した基材と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層されてなる。
【0080】
当該積層体の製造方法は特に限定されないが、例えば
(1)基材上に粘着剤層を形成する粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、さらにその粘着剤層上に導電層を形成する方法、
(2)導電層上に粘着剤層を形成する粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、さらにその粘着剤層上に基材を積層する方法、
(3)予め剥離ライナー上に粘着剤層を形成しておき、これ(粘着剤層)を基材上に転写し、剥離ライナーを剥離し、さらに転写された粘着剤層を、粘着剤層が導電層に接するようにして、基材とともに導電層に貼着する方法、
(4)予め剥離ライナー上に粘着剤層を形成しておき、これ(粘着剤層)を導電層上に転写し、剥離ライナーを剥離し、さらに転写された粘着剤層を、粘着剤層が基材に接するようにして、導電層とともに基材に貼着する方法が挙げられる。
【0081】
前記粘着剤組成物は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、この(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(B)を通常0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、必要に応じてその他の成分を配合することにより得られる。
【0082】
また、基材上または導電層上に前記粘着剤組成物を塗布する際、または剥離ライナー(例:剥離処理PET等)上に粘着剤層を形成する際には、粘着剤層形成成分を、公知の粘着剤と同様に、溶媒で適当な濃度に希釈し、それを基材または剥離ライナー上に塗工して、乾燥する。これにより、粘着剤層が形成される。
【0083】
なお、前記塗工の方法に特に制限は無いが、例えばグラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーターまたはスプレーコーターなどを用いて塗布することができる。
【0084】
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマー(A)、架橋剤(B)、および必要に応じて使用されるその他の成分を溶媒中に含有する塗布溶液は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)が低いことから、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンなどの溶剤中で容易に不揮発分の濃度を調整することができる。そのため、そのような塗布溶液を用いることにより、塗工後の粘着剤層の厚さを容易に所望の厚さにすることができる。特に前記塗布溶液は、容易に不揮発分含量を高くすることができ、例えば不揮発分を40〜80%、好ましくは50〜75%の範囲内で調整することが可能であるので、所望の厚さ(乾燥厚さ)の粘着剤層を少ない塗布回数で形成することができる。
【0085】
また、このように不揮発分含量の高い溶液を用いることにより、塗工・乾燥後の塗膜のレベリング性が向上し、さらに乾燥時間も短縮され作業性が向上する。さらに揮発溶剤量が少ないので環境への負荷も小さくなる。
【0086】
このような特性を利用して、本発明の積層体における粘着剤層は、上記塗布溶液を、乾燥後の膜厚(乾燥厚さ)が10〜1000μmの範囲内の厚さ、好ましくは25〜500μmの範囲内の厚さになるように塗布することにより得られる。
【0087】
この粘着剤の塗布溶液は、剥離ライナー上に塗布される場合には、ライナー上に塗布し、溶媒を除去した後、形成された粘着剤層の表面(剥離ライナーに接していない面)に、もう一つの剥離ライナーを貼着して、通常は0〜50℃の温度で1日〜10日養生し、イソシアネート系架橋剤(B)による架橋を行う。
【0088】
これにより、形成された粘着剤層のゲル分率が、通常は50〜80%、好ましくは50〜70%の範囲内になる。なお、本発明においてゲル分率は以下のようにして求める。
23℃で7日間熟成後の粘着剤層サンプル約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30ccを加えて4時間振盪した後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥して乾燥重量を測定し、次式により求める。
【0089】
【数1】
このようにして粘着剤層を用いて粘着シートを形成して使用することもできる。
【0090】
[タッチパネル]
本発明のタッチパネルは、表面支持体と、粘着剤層と、導電層とがこの順に積層された積層体を含むタッチパネルユニットと、該タッチパネルユニット上に積層されたフラットパネルディスプレイとからなるタッチパネルであって、前記積層体が、本発明の積層体であることを特徴としている。すなわち、本発明の積層体における基材は、本発明のタッチパネルにおける表面支持体として機能する。
【0091】
図1および図2に示すように、タッチパネルユニットには、抵抗膜方式タッチパネルのユニット(図1参照)と、静電容量方式タッチパネルのユニット(図2参照)とがある。
図1に抵抗膜方式タッチパネルユニット10-1の例を示す。図1に示されるように、抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1は、貼り合わせ剤30によって間隙34が形成されるように上部積層体11-1と下部積層体13-1とが離間して結合してなり、間隙34内には有効にスペースを確保するためにスペーサー32が配置されている。
【0092】
上部積層体11-1には、間隙34に面して金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜27-1が配置されている。この透明導電膜27-1は、ITO(インジウムティンオキサイド)、ATO(アンチモンティンオキサイド)、酸化錫などの透明性を有する導電材料で形成されており、通常は図1に示すようにポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはガラスからなる上部電極支持体25-1の表面に形成されている。
【0093】
上部積層体11-1の最表面には表面支持体21-1が配置されており、この表面支持体21-1は通常は透明性の高いガラスあるいはポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明フィルムである。
【0094】
上記表面支持体21-1と上部電極支持体25-1とを接着するために、粘着剤層23-1が形成されている。以上説明した上部積層体11-1が、本発明の積層体に該当する。
また、下部積層体13-1には、同様に間隙34に面して金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜27-2が形成されており、この透明導電膜27-2は、ITO(インジウムティンオキサイド)、ATO(アンチモンティンオキサイド)、酸化錫などの透明性を有する導電材料で形成されており、通常は図1に示すようにポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはガラスからなる下部電極支持体25-2の表面に形成されている。
【0095】
下部積層体13-1の最深部にはフラットパネルディスプレイ(FPD)の表面と対面するように深部の表面支持体21-2が形成されており、この深部の表面支持体21-2はガラスあるいはポリカーボネートなどの透明性の高い部材から形成されている。
【0096】
下部積層体13-1において、深部の表面支持体21-2と下部電極支持体25-2とを接着するために、粘着剤層23-2が形成されている。以上説明した下部積層体13-1もまた、本発明の積層体に該当する。
【0097】
また、上記貼り合わせ剤30として本発明の積層体における粘着剤層を構成する粘着剤が使用されることもある。
なお、上記透明導電膜27-1および27-2は、回路パターンとして形成されており、表面支持体21-1の上から指などで圧力を加えることにより、圧力が加わった部分の間隙34が消滅して透明導電膜27-1および27-2が接触して通電し、加圧部分を検知するように形成されている。
【0098】
抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1において、表面支持体21-1の厚さは通常は25〜2000μmであり、上部透明導電膜27-1の厚さは通常10〜100nmであり、上部電極支持体25-1の厚さは通常は25〜2000μmである。これらを積層する粘着剤層23-1の厚さは上述の通り、10〜1000μmの範囲内にある。
【0099】
同様に抵抗膜方式のタッチパネルユニットにおいて、深部の表面支持体21-2の厚さは通常は25〜2000μmであり、下部透明電膜27-2の厚さは通常10〜100nmであり、下部電極支持体25-2の厚さは通常は25〜2000μmである。これらを積層する粘着剤層23-2の厚さは上述の通り、10〜1000μmの範囲内にある。
【0100】
また、抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1において、中央に形成されている間隙34の幅は、通常は100〜300μmの範囲内にある。
他方、静電容量方式のタッチパネルユニット10-2は、図2に示すように、一般にはガラス、ポリカーボネートなどの透明性の高い部材からなる中央支持体60を挟んで上部積層体15-1と下部積層体15-2とが対向配置された構造を有していることが多い。
【0101】
静電容量方式のタッチパネル10-2における上部積層体15-1では、中央支持体60に接触して透明導電膜57-1が配置されており、最表面には、カバーガラスあるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等の光透過性部材からなる表面支持体51-1が配置されている。この透明導電膜57-1と表面支持体51-1とを接着するように粘着剤層53-1が配置されており、この粘着剤層53-1は、透明導電膜57-1と直接接触している。以上説明した上部積層体15-1が、本発明の積層体に相当する。
【0102】
一方、静電容量方式のタッチパネルユニット10-2における下部積層体15-2では、中央支持体60に接触して透明導電膜57-2が配置されており、最深部には、カバーガラスあるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等の光透過性部材からなる表面支持体51-2が配置されている。この透明導電膜57-2と最深部の表面支持体51-2とを接着するように粘着剤層53-2が配置されており、この粘着剤層53-2は、透明導電膜57-2と直接接触している。以上説明した下部積層体15-2もまた、本発明の積層体に該当する。
【0103】
静電容量方式のタッチパネルユニット10-2において、最深部の表面支持体51-2は、フラットパネルディスプレイと対面するように配置される。
上記静電容量方式のタッチパネルユニット10-2において、上部表面支持体51-1の厚さは通常は25〜2000μm、上部透明導電膜57-1の厚さは通常は10〜100nmであり、両者を接着する粘着剤層53-1の厚さは上述のように10〜1000μmである。また下部積層体15-2において、下部透明導電膜57-2の厚さは通常は10〜100nmであり、最深部の表面支持体51-2の厚さは通常は25〜2000μmであり、両者を接着する粘着剤層53-2の厚さは上述のように10〜1000μmである。また、上記上部積層体15-1と下部積層体15-2との間にある中央支持体60の厚さは、通常は25〜2000μmの範囲内にある。
【0104】
なお、上部透明導電膜57-1および下部透明導電膜57-2は、回路パターンを形成している。また、図2に示す静電容量方式のタッチパネルユニット10-2においては、上部積層体15-1および下部積層体15-2を、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ独立に設けられた二系列の回路とすることにより、上部積層体15-1または下部積層体15-2の一方を省略することもできる。
【0105】
静電容量方式のタッチパネルにおいては、タッチパネルユニット10-2の表面に指が接触することによる接触部分の静電容量の変化を読み取ってタッチパネルを駆動させる。
上記のようなタッチパネルユニットには、例えば図2にAで示す上部表面支持体51-1の縁部の、表面支持体51-1の粘着剤層53-1と接触する面に額縁印刷が施される。この額縁印刷部分を図3に拡大して示す。図3において額縁印刷部分は付番62で示されている。この額縁印刷部分62の厚さ(t0)は通常10〜50μmであり、その断面はほぼ矩形に形成されている。粘着剤層53-1は、上述したように予め剥離ライナー上に形成された粘着剤層を導電層上に転写し、剥離ライナーを剥離して露出した粘着剤層の面に基材(表面支持体51-1)を貼着することなどにより形成されるので、粘着剤層が硬質で形態追従性に乏しいと、図4(イ)に示すように額縁印刷部分62の端部であって表面支持体51-1との間に、粘着剤層53-1が表面支持体51-1および額縁印刷部分62の縁部のいずれにも接触していない空隙64が形成されてしまう。この部分は本来は図4(ロ)に示すように、空隙64を形成せずに表面支持体51-1および額縁印刷部分62の縁部に粘着剤層53-1が密着しなければならない。
【0106】
しかしながら、従来のように重量平均分子量が40万〜160万のポリマーであり、しかも分子量分布が狭い粘着成分をベースにした粘着剤においては、こうした非常に微細な形態の変化に粘着剤層の形状が変化しきれずに、空隙64が形成されてしまうのである。
【0107】
表面支持体、粘着剤層および(支持体を有することもある)導電膜が積層された本発明の積層体を構成する粘着剤層53-1は、上述のように特定のモノマー(a-1)を共重合させた、重量平均分子量(Mw)が5万〜15万の(メタ)アクリル系ポリマー(A)を用いるので、これらをイソシアネート系架橋剤(B)で架橋して高い凝集力を付与した状態であっても、非常に優れた形態追従性を有しており、額縁印刷部分62の周辺に空隙64が形成されることがなく、発泡が抑制される。
【0108】
また、本発明のタッチパネルが、図5に示すように支持体51-2としてポリカーボネート(PC)のようにアウトガスの発生し易い部材を用いた場合、例えば耐熱試験条件80℃で試験を行うと支持体からのアウトガスが発生して支持体と粘着剤層との間に気泡66を生じさせることがある。また、アウトガスが発生しない支持体を用いたとしても、支持体と粘着剤層との接着の際に泡68を巻き込むことがあり、温度変化によってこの気泡が成長すれば発泡原因となる。本発明のタッチパネルにおける粘着剤層は、特定の組成を有し、重量平均分子量(Mw)が5万〜15万の低分子量のポリマーを用いて高密度に架橋構造が形成されているので、粘着剤層が支持体(ミクロの視点で見ると凹凸を有している)や額縁印刷の印刷段差に充分に追従することができ、泡の巻き込みはほとんど発生せず、しかも前記ポリマー(A)をイソシアネート系架橋剤(B)で架橋しているので、粘着剤層は非常に高い凝集力を有しており、上記のようなアウトガスによる発泡および巻き込み気泡の成長による発泡を高い凝集力によって抑え込むことができる。従って、本発明のタッチパネルでは、上記のような発泡は殆ど観察されないようにすることができる。
【0109】
また、タッチパネルでは、耐久試験条件(60℃、90%RH)でタッチパネルを放置すると、図6に示すように、支持体及び端部から水分が浸入することがある。温度が高い条件では、この浸入した水分が析出することはないが、温度が下がると浸入した水分が析出してタッチパネルが白化し、ヘイズが著しく悪化する(図6上側)。本発明のタッチパネルを形成する粘着剤層は、前述のようにポリマーの分子量が小さく密に架橋構造が形成されており、硬化した粘着剤層は非常に硬質であるので、水分が浸入しにくく、白化現象によるヘイズの悪化が極めて発生しにくい(図6下側)。
【0110】
さらに、本発明のタッチパネルにおける粘着剤層には酸性基が実質的に含有されていないので、金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜にこの粘着剤層が直接接触したとしても、透明電極膜の抵抗値の変化は最大でも10%以下であり、この変化量はタッチパネルを駆動させる上では全く問題にならない量である。
【0111】
上記のように本発明のタッチパネルは、粘着剤層として特定の組成を有する重量平均分子量5万以上40万未満で分子量分布が10以上の(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、イソシアネート系架橋剤(B)とを有する粘着剤層を用いて、表面支持体(基材)と導電層(例:透明導電膜)とを粘着しており、前記粘着剤層は優れた形態追従性を有しており、縁部に形成された額縁印刷部分に空隙が形成されることなく、また、巻き込みによる発泡およびアウトガスによる発泡の両者を抑えることができ、さらにアルコキシアルキル(メタ)アクリレートのアルコキシ部分の影響で、粘着剤層が白化してヘイズが低下することもほとんどない。
【実施例】
【0112】
次に本発明の実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下に示す方法により、粘着剤の重量平均分子量、ゲル分率、不揮発分、湿熱白化性、耐熱発泡性、ITO腐食性、塗工性、作業性、段差追従性、接着強度を測定した。
【0113】
〔測定方法〕
<分子量>
分子量はゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記の条件で標準ポリスチレン換算による重量平均分子量を求めた。
GPCの測定条件
測定装置HCL-8120GPC(東ソー(株)製)
GPCカラム構成、以下に記載する五連のカラム(全て東ソー(株)製)を用いた。
(1)TSK-DEL HXL-H〔ガードカラム〕
(2)TSK-DEL G7000HXL
(3)TSK-DEL GMHXL
(4)TSK-DEL GMHXL
(5)TSK-DEL G2500HXL
サンプル濃度1.0mg/cm3となるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mg/cm3
カラム温度:40℃
<ゲル分率>
23℃で7日間熟成後、粘着剤約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30ccを加えて4時間振盪させた後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥させて乾燥重量を測定し、次式によりゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=(乾燥重量/粘着剤採取重量)×100
<白化(ヘイズ)>
得られた粘着シートの片面の剥離シートを剥がして厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わせて、50mm×50mmのサイズに裁断した。
【0114】
次いでもう一方の剥離フィルムを剥がして、厚み1.5mmのガラス板に貼り合わせて試験片を作成した。
作成した試験片の耐久試験前のヘイズを測定した後、60℃90%RH環境下、および、85℃、85%RH環境下にそれぞれ静置した。24時間試験片を取り出し、常温下で1時間放置した後ヘイズを測定し、耐久試験前のヘイズ値との差を求めた。
【0115】
ヘイズの測定は、MH-150(村上色彩研究所(株)製)を用いた。
<発泡>
得られた粘着シートの片面の剥離シートを剥がし、ITOを蒸着した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わせて試験片を作成した。
【0116】
次いで、もう一方の剥離フィルムを剥がして、厚み1.5mmのガラス板に貼り合わせて試験片を作成した。
作成した試験片の試験前のヘイズを、上述の方法に従って測定した後、60℃、90%RH、85℃ドライ環境下に放置した後、85℃85%の環境下にそれぞれ放置した。500時間後試験片を取り出し、常温で1時間静置下後、目視で発泡の有無を確認した。
<段差追従性>
得られた粘着シート(粘着剤厚さ50μm)の片面の剥離処理されたPETフィルムを剥がし、25μm厚のPETフィルムを貼り合わせ50mm×50mmに裁断して試験片を作成した。
【0117】
次いで25mm×25mmに裁断した10μmPETフィルムをガラス板上に置き、作成した試験片のもう一方の剥離処理されたPETフィルムを剥がし、ガラス板上のPETフィルムを全面を覆うように貼り付け80℃環境下に500時間静置した後常温下に1時間静置し,段差部分の外観を観察した。
<塗工性>
得られた粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが250μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗工した。塗工後、塗膜の外観を目視で観察した。
【0118】
評 価 内 容
○・・塗膜表面が平滑で外観異常がない。
×・・塗膜表面にスジ、気泡などの外観異常が見られる。
〔実施例1〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0119】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部およびノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、窒素雰囲気下70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部およびを数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0120】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(1)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(1)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0121】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例2〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシジエチレングリコールアクリレート(ECA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0122】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、窒素雰囲気下70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部およびを数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0123】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(2)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(2)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0124】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例3〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)50重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0125】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0126】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(3)を得た。
〔実施例4〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、n-ビニルピロリドン(n-VP)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0127】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0128】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(4)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(4)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0129】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例5〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクロイルモルホリン(ACMO)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0130】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0131】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(5)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(5)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0132】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例6〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)91重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、アクロイルモルホリン(ACMO)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0133】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0134】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(6)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(6)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0135】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例7〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)37.5重量部、アクリルアミド(AM)0.5重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0136】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0137】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(7)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(7)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0138】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例8〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、アクリルアミド(AM)4重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0139】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0140】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(8)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(8)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0141】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例9〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)43重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0142】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0143】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(9)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(9)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0144】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例10〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)41重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)2重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0145】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0146】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(10)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(10)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0147】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例11〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)33重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)10重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0148】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0149】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(11)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(11)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0150】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例12〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら81℃に昇温した。
【0151】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0152】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量5万のアクリル系ポリマー(12)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(12)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0153】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
〔実施例13〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら82℃に昇温した。
【0154】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0155】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量14万のアクリル系ポリマー(13)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(13)に表1に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0156】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表1に示す。
【0157】
【表1】
〔比較例1〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)31重量部、ブチルアクリレート(BA)60重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0158】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0159】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(14)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(14)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0160】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
〔比較例2〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)31重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0161】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0162】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(15)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(14)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0163】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
〔比較例3〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ブチルアクリレート(BA)91重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら82℃に昇温した。
【0164】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0165】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(16)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(16)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0166】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
〔比較例4〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)91重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0167】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0168】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(17)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(17)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0169】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
〔比較例5〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)38重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0170】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0171】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(18)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(18)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0172】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
〔比較例6〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)32重量部、アクリルアミド(AM)6重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0173】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0174】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(19)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(19)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0175】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
〔比較例7〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)32重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら89℃に昇温した。
【0176】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、ノルマルドデシルメルカプタンNDM)を加えずに、70℃で5時間反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分35%、平均分子量35万のアクリル系ポリマー(20)を得た。
【0177】
得られたアクリル系ポリマー(20)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0178】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
〔比較例8〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)32重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部、アクリル酸(AA)1重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら89℃に昇温した。
【0179】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部を数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0180】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマ(21)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(21)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0181】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
〔比較例9〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)65重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら89℃に昇温した。
【0182】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部、ノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え5時間反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(22)を得た。
【0183】
得られたアクリル系ポリマー(22)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0184】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
〔比較例10〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)55重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)7重量部およびメチルエチルケトン(MEK)45重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0185】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.005重量部およびノルマルドデシルメルカプタン(NDM)0.3重量部を加え、窒素雰囲気下70℃で反応を開始し、反応途中でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4重量部およびを数回に分けて添加しながら5時間反応を行った。
【0186】
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて固形分65%、平均分子量9万のアクリル系ポリマー(23)を得た。
得られたアクリル系ポリマー(23)に表2に示すようにイソシアネート系硬化剤(タケネートD-110N、三井化学(株)製)を加えて混合し、剥離処理を施したPETフィルムの表面に乾燥厚さ250μmになるように塗布し、さらにこの塗布面に別の剥離性PETフィルムを配置して7日間養生した。
【0187】
得られたフィルムのゲル分率、ヘイズ変化、耐ガラス発泡、段差追従性、ITOの抵抗変化率および250μm厚の塗工適性を表2に示す。
【0188】
【表2】
【符号の説明】
【0189】
10-1・・・抵抗膜方式のタッチパネルユニット
10-2・・・静電容量方式のタッチパネルユニット
11-1・・・上部積層体
13-1・・・下部積層体
15-1・・・上部積層体
15-2・・・下部積層体
21-1・・・表面支持体
21-2・・・深部の表面支持体
23-1・・・粘着剤層
23-2・・・粘着剤層
25-1・・・上部電極支持体
25-2・・・下部電極支持体
27-1・・・透明導電膜
27-2・・・透明導電膜
30・・・貼り合わせ剤
32・・・スペーサー
34・・・間隙
51-1・・・表面支持体
51-2・・・表面支持体
53-1・・・粘着剤層
53-2・・・粘着剤層
57-1・・・透明導電膜
57-2・・・透明導電膜
60・・・中央支持体
62・・・額縁印刷部分
64・・・空隙
66・・・気泡
68・・・泡
図1
図2
図3
図4
図5
図6