特許第5719407号(P5719407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719407
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/04 20060101AFI20150430BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20150430BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20150430BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20150430BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   H01L29/78 657D
   H01L29/78 652S
   H01L29/78 652H
   H01L29/78 652M
   H01L29/78 656C
   H01L29/78 652J
   H01L29/48 F
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-116064(P2013-116064)
(22)【出願日】2013年5月31日
(62)【分割の表示】特願2007-222839(P2007-222839)の分割
【原出願日】2007年8月29日
(65)【公開番号】特開2013-201450(P2013-201450A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2013年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149766
【弁理士】
【氏名又は名称】京村 順二
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 俊雄
【審査官】 大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−173783(JP,A)
【文献】 特開2006−295014(JP,A)
【文献】 特開2003−229570(JP,A)
【文献】 特開2003−258252(JP,A)
【文献】 特開2005−101551(JP,A)
【文献】 特開平04−261065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/04
H01L 27/088
H01L 29/47
H01L 29/78
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を空けて形成された複数のベース領域を有するSJMOSFET(Super Junction Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と、
複数の前記ベース領域の間にショットキー接合を有し、前記SJMOSFETが有する寄生ダイオードと並列に設けられたSBD(Schottky Barrier Diode)とを含む半導体装置であって、
第1導電型の半導体層と、
前記半導体層上に形成された層間絶縁膜とを含み、
前記ベース領域は、第2導電型を有し、前記半導体層の表層部に千鳥配列され、
前記SJMOSFETは、前記層間絶縁膜上に形成されたソース電極と、前記ベース領域の表層部に形成され、前記ソース電極が前記層間絶縁膜に形成されたソースコンタクトホールを介して接続された第1導電型のソース領域とを有し、
前記層間絶縁膜には、前記千鳥配列の列方向に隣り合う少なくとも2つの前記ベース領域の間において、前記列方向に延び、各前記ベース領域に臨む各前記ソースコンタクトホールを連通させるアノードコンタクトホールが形成され、
前記ショットキー接合は、前記ソース電極が前記アノードコンタクトホールに入り込み、前記半導体層に接続されることにより形成されている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングデバイスとして用いられる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)において、低オン抵抗化および高耐圧化を図るために、SJ(Super Junction:スーパージャンクション)構造を有するもの(SJMOSFET)が知られている。
図7は、SJMOSFETを備える半導体装置の模式的な断面図である。
半導体装置101は、N(高濃度N型)型基板102を備えている。N型基板102上には、N型のドリフト層103が積層されている。一方、N型基板102の裏面(ドリフト層103が積層されている側と反対側の面)には、ドレイン電極(図示せず)が形成されている。
【0003】
ドリフト層103の表層部には、複数のP型のベース領域104が互いに間隔を空けて形成されている。各ベース領域104には、N型のソース領域105が選択的に形成されている。
ドリフト層103上には、SiO(酸化シリコン)からなるゲート酸化膜106が形成されている。ゲート酸化膜106上には、ゲート電極107が形成されている。ゲート電極107は、所定方向に隣り合うベース領域104間に跨るように設けられ、所定方向と直交する方向に延びている。また、ゲート酸化膜106上には、SiOからなる層間絶縁膜108が積層され、この層間絶縁膜108により、ゲート電極107が被覆されている。
【0004】
層間絶縁膜108上には、ソース電極109が形成されている。ベース領域104上には、コンタクトホール110が層間絶縁膜108およびゲート酸化膜106を貫通して形成されており、ソース電極109は、そのコンタクトホール110を介して、ベース領域104およびソース領域105に接続されている。
また、ドリフト層103には、各ベース領域104に対応して、P型のリサーフ層111が形成されている。各リサーフ層111は、ベース領域104からN型基板102に向けて延びている。これにより、ドリフト層103とリサーフ層111とが交互に並ぶ、SJ構造が形成されている。
【0005】
このSJMOSFETを液晶バックライト用インバータなどにスイッチングデバイスとして用いる場合に、回生用ダイオードを備えずに、ドリフト層103とベース領域104とにより形成される寄生ダイオードを回生用ダイオードとして使用することが考えられる。
しかし、SJMOSFETでは、寄生ダイオードに逆バイアスが印加されると、ドリフト層103が急速に空乏化するため、寄生ダイオードがオンの状態でドリフト層103に蓄積されたキャリアは、寄生ダイオードのターンオフ時に一気に消失してしまう。そのため、図8に示すように、寄生ダイオードのターンオフ時には、寄生ダイオードに逆方向電流が流れ、この逆方向電流が急激に零に戻る(逆方向電流の時間変化率が大きい)、いわゆるハードリカバリ特性が現れる。このようなハードリカバリ特性は、ノイズ(リカバリノイズ)の発生の原因となる。
【0006】
この問題を解決するために、図7に破線で示すように、リサーフ層111の深さを小さくし、または、ドリフト層103の厚さを大きくすることにより、リサーフ層111の底面をN型基板102から離間させることが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この提案に係る構造では、寄生ダイオードへの逆バイアスの印加時に、リサーフ層111の底面とN型基板102との間で、空乏層がリサーフ層111の底面とドリフト層103との界面から徐々に伸びるので、寄生ダイオードに流れる逆方向電流の零への戻りを緩やかにすることができる(寄生ダイオードの逆回復特性をソフトリカバリ特性に近づけることができる)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−101022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、リサーフ層111の層厚に対するリサーフ層111の底面とN型基板102との間隔の割合が1に近づくほど、SJMOSFETのオン抵抗が増大することが知られている。そのため、ノイズの発生を効果的に防止するために、リサーフ層111の底面とN型基板102との間隔を十分に大きくすると、SJ構造による低オン抵抗化の効果が損なわれ、SJMOSFETのオン抵抗がSJ構造を有していないノーマルのMOSFETのオン抵抗とほぼ同じになってしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は、SJ構造による効果を損なうことなく、ソフトリカバリ特性を発揮することができる、半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
求項に記載の発明は、互いに間隔を空けて形成された複数のベース領域を有するSJMOSFET(Super Junction Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と、複数の前記ベース領域の間にショットキー接合を有し、前記SJMOSFETが有する寄生ダイオードと並列に設けられたSBD(Schottky Barrier Diode)とを含む半導体装置であって、第1導電型の半導体層と、前記半導体層上に形成された層間絶縁膜とを含み、前記ベース領域は、第2導電型を有し、前記半導体層の表層部に千鳥配列され、前記SJMOSFETは、前記層間絶縁膜上に形成されたソース電極と、前記ベース領域の表層部に形成され、前記ソース電極が前記層間絶縁膜に形成されたソースコンタクトホールを介して接続された第1導電型のソース領域とを有し、前記層間絶縁膜には、前記千鳥配列の列方向に隣り合う少なくとも2つの前記ベース領域の間において、前記列方向に延び、各前記ベース領域に臨む各前記ソースコンタクトホールを連通させるアノードコンタクトホールが形成され、前記ショットキー接合は、前記ソース電極が前記アノードコンタクトホールに入り込み、前記半導体層に接続されることにより形成されている、半導体装置である。
この構造によれば、SJMOSFETおよびSBDを備えている。SBDは、SJMOSFETの寄生ダイオードと並列に設けられている。そのため、SBDおよびSJMOSFETの寄生ダイオードのターンオフ時にSJMOSFETのソース−ドレイン間を流れる電流の波形は、SBDを流れる電流の波形と寄生ダイオードを流れる電流の波形とを合成して得られる波形となる。SBDは、キャリアの蓄積効果がなく、ターンオフ時に逆方向電流が流れない。
したがって、ターンオフ時にSJMOSFETのソース−ドレイン間を流れる電流の波形は、逆方向電流が小さく、かつ、逆方向電流が零へ戻るときの変化が緩やかな波形となる。逆方向電流が小さいので、SBDおよびSJMOSFETの寄生ダイオードのターンオフから逆方向電流が零になるまでに要する時間(リバースリカバリ時間)が短い。また、SBDが設けられることによって、SJ構造による低オン抵抗化および高耐圧化に影響はない。よって、SJ構造による効果を損なうことなく、高速かつソフトなリカバリ特性を発揮することができる。その結果、低オン抵抗、高耐圧、高速スイッチングおよび低ノイズを並立させることができる。
また、SJMOSFETの複数のベース領域の間に、SBDのショットキー接合が形成されている。すなわち、SJMOSFETおよびSBDは、同じ領域内に混在して形成されている。したがって、SJMOSFETが形成されている領域とは別の領域にSBDを形成した構造と比較して、半導体装置のサイズを小さくすることができる。また、ベース領域が千鳥配列されている。これにより、ベース領域を効率的に配置することができ、半導体装置のサイズの縮小を図ることができる。
また、SJMOSFETのソース電極をSBDのアノード電極と兼用することにより、半導体装置の構造を簡素化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、参考例に係る形態および本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、参考例に係る半導体装置の図解的な平面図である。図2は、図1に示す切断線II−IIで半導体装置を切断したときの模式的な断面図である。図3は、図1に示す切断線III−IIIで半導体装置を切断したときの模式的な断面図である。
図2および図3に示すように、半導体装置1は、N型基板2を備えている。N型基板2上には、N型の半導体層としてのドリフト層3が積層されている。一方、N型基板2の裏面(ドリフト層3が積層されている側と反対側の面)には、ドレイン電極(図示せず)が形成されている。
【0017】
ドリフト層3の表層部には、複数のP型のベース領域4が形成されている。複数のベース領域4は、複数列をなし、各列において列方向に一定のピッチで配置されている。ベース領域4の各列間において、ベース領域4の位置は、半ピッチ(列方向にベース領域4が配置されるピッチの半分)ずれている。換言すれば、複数のベース領域4が互いに間隔を空けて千鳥配列されている。
【0018】
すなわち、複数のベース領域4は、複数のベース領域4に着目したときに、互いに隣り合うベース領域4を頂点とする平面視多角形状の領域が形成されるようにレイアウトされている。より具体的に、この参考例では、複数のベース領域4は、1つのベース領域4に着目したときに、そのベース領域4を中心とする正六角形の各頂点の位置にベース領域4が配置されるようにレイアウトされている。
【0019】
各ベース領域4には、N型のソース領域5が選択的に形成されている。ソース領域5は、平面視で、ベース領域4の中央を取り囲むリング状に形成されている。
また、ドリフト層3には、各ベース領域4に対応して、P型のリサーフ層6が形成されている。各リサーフ層6は、ベース領域4からN型基板2に向けて延びている。これにより、N型のドリフト層3とP型のリサーフ層6とが交互に並ぶ、SJ構造が形成されている。
【0020】
ドリフト層3上には、SiOからなるゲート絶縁膜7が形成されている。ゲート絶縁膜7には、各ベース領域4と対向する位置に、ベース領域4の中央部およびその周囲のソース領域5の一部に臨むサイズの貫通孔8が形成されている。また、ゲート絶縁膜7には、互いに隣り合うベース領域4を頂点とする平面視多角形状の領域内に、貫通孔8とほぼ同じサイズの貫通孔9が形成されている。貫通孔9は、互いに一定の間隔を空けて隣り合う3つのベース領域4を頂点とする三角形の中心の位置に形成されていてもよいし(図3参照)、隣り合う2つのベース領域4の間に形成されていてもよい。貫通孔9には、ドリフト層3の表面が臨んでいる。
【0021】
ゲート絶縁膜7上には、たとえば、N型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコンからなるゲート電極10が形成されている。ゲート電極10は、ゲート絶縁膜7の周囲から所定幅の領域以外の全領域を覆っている。
ゲート絶縁膜7およびゲート電極10上には、SiOからなる層間絶縁膜11が積層(被覆)されている。層間絶縁膜11には、ゲート絶縁膜7の貫通孔8と対向する位置に、貫通孔8と同じサイズの貫通孔12が形成されている。また、層間絶縁膜11には、ゲート絶縁膜7の貫通孔9と対向する位置に、貫通孔9と同じサイズの貫通孔13が形成されている。
【0022】
層間絶縁膜11上には、Ti(チタン)/TiN(窒化チタン)の積層構造を有するバリア膜14を介して、Al(アルミニウム)からなるソース電極15が形成されている。
バリア膜14およびソース電極15は、貫通孔8,12内に入り込み、各ベース領域4の中央部およびその周囲のソース領域5の一部に接続されている。すなわち、貫通孔8,12は、ソースコンタクトホール16をなし、バリア膜14およびソース電極15は、ソースコンタクトホール16を介して、各ベース領域4の中央部およびその周囲のソース領域5の一部に接続されている。これにより、半導体装置1は、N型基板2、ドリフト層3、ベース領域4、ソース領域5、リサーフ層6、ゲート絶縁膜7、ゲート電極10、ソース電極15およびドレイン電極からなるSJMOSFET17を備えている。ソース電極15の表面には、各ソースコンタクトホール16と対向する位置に、図1に示す平面視円形状の凹部18が形成されている。
【0023】
また、バリア膜14およびソース電極15は、貫通孔9,13内に入り込み、ドリフト層3の表面に接続されている。すなわち、貫通孔9,13は、貫通孔8,12(ソースコンタクトホール16)と同一の孔径を有するアノードコンタクトホール19をなし、バリア膜14およびソース電極15は、アノードコンタクトホール19を介して、ドリフト層3の表面に接続されている。これにより、バリア膜14およびソース電極15とドリフト層3とのショットキー接合が形成され、半導体装置1は、ソース電極15とドレイン電極との間に、ドリフト層3とベース領域4とにより形成される寄生ダイオードと並列に接続されるSBD20を備えている。ソース電極15の表面には、各アノードコンタクトホール19と対向する位置に、図1にハッチングを付して示す平面視円形状の凹部21が形成されている。
【0024】
図4は、SBD20およびSJMOSFET17の寄生ダイオードのターンオフ時に、ソース電極15とドレイン電極との間(ソース−ドレイン間)を流れる電流の波形を示す図である。
半導体装置1では、SJMOSFET17の寄生ダイオードと並列に、SBD20が設けられている。これにより、SBD20およびSJMOSFET17の寄生ダイオードのターンオフ時に、ソース電極15とドレイン電極との間(ソース−ドレイン間)を流れる電流の波形は、SBD20を流れる電流の波形と寄生ダイオードを流れる電流の波形とを合成して得られる波形となる。SBD20は、キャリアの蓄積効果がなく、ターンオフ時に逆方向電流が流れない。したがって、ターンオフ時にソース−ドレイン間を流れる電流の波形は、逆方向電流が小さく、かつ、逆方向電流が零へ戻るときの変化が緩やかな波形となる。逆方向電流が小さいので、SBD20およびSJMOSFET17の寄生ダイオードのターンオフから逆方向電流が零になるまでに要する時間(リバースリカバリ時間)が短い。また、SBD20が設けられることによって、SJ構造による低オン抵抗化および高耐圧化に影響はない。よって、半導体装置1では、SJ構造による効果を損なうことなく、高速かつソフトなリカバリ特性を発揮することができる。その結果、低オン抵抗、高耐圧、高速スイッチングおよび低ノイズを並立させることができる。
【0025】
また、SJMOSFET17の複数のベース領域4の間に(複数のベース領域4を頂点とする平面視多角形状の領域内に)、SBD20のショットキー接合が形成されている。すなわち、SJMOSFET17およびSBD20は、同じ領域内に混在して形成されている。したがって、SJMOSFET17が形成されている領域とは別の領域にSBD20を形成した構造と比較して、半導体装置1のサイズを小さくすることができる。
【0026】
さらに、ベース領域4の千鳥配列により、ベース領域4を効率的に配置することができ、半導体装置1のサイズをさらに縮小することができる。
また、半導体装置1では、SJMOSFET17のソース電極15がSBD20のアノード電極と兼用されることにより、半導体装置1の構造の簡素化が図られている。
さらにまた、半導体装置1では、図3に示すように、ドリフト層3におけるアノードコンタクトホール19と対向する領域22には、P型不純物がドーピングされている。領域22を低濃度で厚さの小さいP型領域とすることにより、そのP型の領域22とN型のドリフト層3とによる弱いPN接合を形成することができ、SBD20におけるリーク電流の発生を抑制することができる。
【0027】
また、ゲート絶縁膜7の貫通孔9が形成されることにより、ゲート絶縁膜7の面積が小さくなるので、ゲート−ドレイン間容量が小さくなる。その結果、SJMOSFET17のスイッチング速度をさらに向上させることができる。
図5は、本発明の実施形態に係る半導体装置の図解的な平面図である。図6は、図5に示す切断線VI−VIで半導体装置を切断したときの模式的な断面図である。図5および図6において、前述の各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付して示している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
【0028】
図5および図6に示す半導体装置51では、ベース領域4は、ドリフト層3の表層部に千鳥配列されている。そして、千鳥配列の列方向に隣り合う2つのベース領域4の間において、各ベース領域4に臨むソースコンタクトホール16を連通させるように、列方向に延びるアノードコンタクトホール52がゲート絶縁膜7および層間絶縁膜11を貫通して形成されている。
【0029】
そして、バリア膜14およびソース電極15は、アノードコンタクトホール52に入り込み、ドリフト層3の表面に接続されている。これにより、その2つのベース領域4の間において、バリア膜14およびソース電極15とドリフト層3とのショットキー接合が形成されている。
ソース電極15の表面には、図5に示すように、各ソースコンタクトホール16と対向する位置に、平面視円形状の凹部18が形成されるとともに、アノードコンタクトホール52と対向する位置に、2つの凹部18に連通する長手状の凹部53が形成されている。
【0030】
この構造によっても、半導体装置1と同様な効果を達成することができる。
以上、参考例に係る形態および本発明の実施形態を説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、半導体装置1,51の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。すなわち、半導体装置1,51において、P型の部分がN型であり、N型の部分がP型であってもよい。
【0031】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。この明細書および図面から抽出される特徴を以下に示す。
項1.互いに間隔を空けて形成された複数のベース領域を有するSJMOSFET(Super Junction Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と、複数の前記ベース領域の間にショットキー接合を有し、前記SJMOSFETが有する寄生ダイオードと並列に設けられたSBD(Schottky Barrier Diode)とを含む半導体装置であって、第1導電型の半導体層と、前記半導体層上に形成された層間絶縁膜とを含み、前記ベース領域は、第2導電型を有し、前記半導体層の表層部に配列され、前記SJMOSFETは、前記層間絶縁膜上に形成されたソース電極と、前記ベース領域の表層部に形成され、前記ソース電極が前記層間絶縁膜に形成されたソースコンタクトホールを介して接続された第1導電型のソース領域とを有し、前記層間絶縁膜には、互いに隣り合う前記ベース領域を頂点とする平面視多角形状の領域内に、アノードコンタクトホールが形成され、前記半導体層の表層部における前記アノードコンタクトホールと対向する領域には、第2導電型不純物のドーピングによって第2導電型不純物領域が形成され、前記ショットキー接合は、前記ソース電極が前記アノードコンタクトホールに入り込み、前記第2導電型不純物領域に接続されることにより形成されている、半導体装置。
項2.前記ショットキー接合は、隣り合う2つの前記ベース領域の間に形成されている、項1に記載の半導体装置。
項3.前記ソースコンタクトホールおよび前記アノードコンタクトホールの孔径が同一である、項1または2に記載の半導体装置。
項4.互いに間隔を空けて形成された複数のベース領域を有するSJMOSFET(Super Junction Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と、複数の前記ベース領域の間にショットキー接合を有し、前記SJMOSFETが有する寄生ダイオードと並列に設けられたSBD(Schottky Barrier Diode)とを含む半導体装置であって、第1導電型の半導体層と、前記半導体層上に形成された層間絶縁膜とを含み、前記ベース領域は、第2導電型を有し、前記半導体層の表層部に千鳥配列され、前記SJMOSFETは、前記層間絶縁膜上に形成されたソース電極と、前記ベース領域の表層部に形成され、前記ソース電極が前記層間絶縁膜に形成されたソースコンタクトホールを介して接続された第1導電型のソース領域とを有し、前記層間絶縁膜には、前記千鳥配列の列方向に隣り合う少なくとも2つの前記ベース領域の間において、前記列方向に延び、各前記ベース領域に臨む各前記ソースコンタクトホールを連通させるアノードコンタクトホールが形成され、前記ショットキー接合は、前記ソース電極が前記アノードコンタクトホールに入り込み、前記半導体層に接続されることにより形成されている、半導体装置。
項1によれば、SJMOSFETおよびSBDを備えている。SBDは、SJMOSFETの寄生ダイオードと並列に設けられている。そのため、SBDおよびSJMOSFETの寄生ダイオードのターンオフ時にSJMOSFETのソース−ドレイン間を流れる電流の波形は、SBDを流れる電流の波形と寄生ダイオードを流れる電流の波形とを合成して得られる波形となる。SBDは、キャリアの蓄積効果がなく、ターンオフ時に逆方向電流が流れない。
したがって、ターンオフ時にSJMOSFETのソース−ドレイン間を流れる電流の波形は、逆方向電流が小さく、かつ、逆方向電流が零へ戻るときの変化が緩やかな波形となる。逆方向電流が小さいので、SBDおよびSJMOSFETの寄生ダイオードのターンオフから逆方向電流が零になるまでに要する時間(リバースリカバリ時間)が短い。また、SBDが設けられることによって、SJ構造による低オン抵抗化および高耐圧化に影響はない。よって、SJ構造による効果を損なうことなく、高速かつソフトなリカバリ特性を発揮することができる。その結果、低オン抵抗、高耐圧、高速スイッチングおよび低ノイズを並立させることができる。
また、SJMOSFETの複数のベース領域の間に、SBDのショットキー接合が形成されている。すなわち、SJMOSFETおよびSBDは、同じ領域内に混在して形成されている。したがって、SJMOSFETが形成されている領域とは別の領域にSBDを形成した構造と比較して、半導体装置のサイズを小さくすることができる。前記ベース領域は、千鳥配列されている。これにより、ベース領域を効率的に配置することができ、半導体装置のサイズの縮小を図ることができる。また、SJMOSFETのソース電極をSBDのアノード電極と兼用することにより、半導体装置の構造を簡素化することができる。
前記半導体層の表層部における前記アノードコンタクトホールと対向する領域には、第2導電型不純物がドーピングされていてもよい。半導体層の表層部におけるアノードコンタクトホールと対向する領域を、低濃度で厚さの小さい第2導電型領域とすることにより、その第2導電型領域と第1導電型の半導体層とによる弱いPN接合を形成することができ、SBDにおけるリーク電流の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1参考例に係る半導体装置の図解的な平面図である。
図2図1に示す切断線II−IIで半導体装置を切断したときの模式的な断面図である。
図3図1に示す切断線III−IIIで半導体装置を切断したときの模式的な断面図である。
図4】SBDおよびSJMOSFETの寄生ダイオードのターンオフ時に、ソース電極とドレイン電極との間(ソース−ドレイン間)を流れる電流の波形を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る半導体装置の図解的な平面図である。
図6図5に示す切断線VI−VIで半導体装置を切断したときの模式的な断面図である。
図7】従来の半導体装置の模式的な断面図である。
図8】寄生ダイオードのターンオフ時に、寄生ダイオードに流れる電流の波形を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 半導体装置
3 ドリフト層
4 ベース領域
5 ソース領域
11 層間絶縁膜
15 ソース電極
16 ソースコンタクトホール
17 SJMOSFET
19 アノードコンタクトホール
20 SBD
22 領域
51 半導体装置
52 アノードコンタクトホール
図1
図2
図3
図5
図6
図7
図4
図8