(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0033]
図1は、典型的な商業的設定状態としての建物12内の冷液体システムを組み込んだ加熱、通気及び空調(HVAC)システム10のための例示的な環境を示す。システム10は、建物12を冷却するために使用できる冷液体を供給できる蒸気圧縮システム14を含むことができる。システム10は、建物12を加熱するために使用できる加熱液体を供給するためのボイラー16と、建物12を通して空気を循環させる空気分配システムとを含むことができる。空気分配システムは、また空気帰還ダクト18と、空気供給ダクト20と、空気処理器22とを含むことができる。空気処理器22は、導管24によりボイラー16及び蒸気圧縮システム14に接続された熱交換器を含むことができる。空気処理器22内の熱交換器は、システム10の作動モードに応じて、ボイラー16からの加熱液体又は蒸気圧縮システム14からの冷液体のいずれかを受け取ることができる。システム10は、建物12の各床上の別個の空気処理器を伴って示すが、構成要素は床間又は床の中で分配することができることを認識されたい。
【0010】
[0034]
図2、
図3は、HVACシステム10のようなHVACシステム内で使用できる例示的な蒸気圧縮システム14を示す。蒸気圧縮システム14はモータ50により駆動されるコンプレッサ32、凝縮器34、膨張装置(単数又は複数)36及び液体チラー又は蒸発器38を通して冷媒を循環させることができる。蒸気圧縮システム14はまたアナログ/デジタル(A/D)コンバータ42、マイクロプロセッサ44、不揮発性メモリー46及びインターフェイスボード48を含むことのできる制御パネル40を含むことができる。蒸気圧縮システム14内で冷媒として使用できる流体のいくつかの例は、例えばR−410A、R−407、R−134aのようなハイドロフルオロカーボン(HFC)基礎の冷媒、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、アンモニア(NH
3)、R−717、二酸化炭素(CO
2)、R−744に似た「天然」冷媒、又は、炭化水素基礎の冷媒、水蒸気又は任意の他の適当な形式の冷媒である。例示的な実施の形態においては、蒸気圧縮システム14はVSD52、モータ50、コンプレッサ32、凝縮器34及び/又は蒸発器38の各々の1又はそれ以上を使用することができる。
【0011】
[0035]コンプレッサ32と一緒に使用するモータ50は、可変速度ドライブ(VSD)52により稼動することができるか、又は交流(AC)又は直流(DC)電源から直接稼動することができる。使用した場合、VSD52は特定の固定のライン電圧及び固定のライン周波数を有するAC電力をAC電源から受け取り、可変の電圧及び周波数を有する電力をモータ50に提供する。モータ50はVSDにより稼動できるか、又は、AC又はD
C電源から直接稼動できる任意の形式の電気モータを含むことができる。例えば、モータ50は切換え磁気抵抗モータ、誘導モータ、電子的に整流される永久磁石モータ又は任意の他の適当なモータ形式とすることができる。代わりの例示的な実施の形態においては、コンプレッサ32を駆動するために、蒸気又はガスタービン又はエンジンのような他の駆動機構及び関連する構成要素を使用することができる。
【0012】
[0036]コンプレッサ32は、冷媒蒸気を圧縮し、排出ラインを通して蒸気を凝縮器34へ送給する。コンプレッサ32は、遠心コンプレッサ、スクリューコンプレッサ、往復コンプレッサ、回転コンプレッサ、揺動リンクコンプレッサ、スクロールコンプレッサ、タービンコンプレッサ又は、任意の他の適当なコンプレッサとすることができる。コンプレッサ32により凝縮器34へ送給された冷媒蒸気は、例えば水又は空気のような流体へ熱を伝達する。冷媒蒸気は、流体との熱伝達の結果、凝縮器34内で冷媒液体へと凝縮する。凝縮器34からの液体冷媒は、膨張装置36を通って蒸発器38へ流れる。
図3に示す例示的な実施の形態においては、凝縮器34は水冷であり、冷却塔56に接続されたチューブ束54を含む。
【0013】
[0037]蒸発器38へ送給された液体冷媒は、凝縮器34のために使用される流体と同じ形式のものであってもなくてもよい別の流体から熱を吸収し、冷媒蒸気への位相変化を受ける。
図3に示す例示的な実施の形態においては、蒸発器38は、冷却負荷62に接続された供給ライン60S及び帰還ライン60Rを有するチューブ束を含む。例えば水、エチレングリコール、塩化カルシウムブレイン、塩化ナトリウムブレイン又は任意の他の適当な液体のようなプロセス流体は、帰還ライン60Rを介して蒸発器38へ入り、供給ライン60Sを介して蒸発器38から出る。蒸発器38は、チューブ内のプロセス流体の温度を冷やす。蒸発器38内のチューブ束は、複数のチューブ及び複数のチューブ束を含むことができる。蒸気冷媒は蒸発器38を出て、吸入ラインによりコンプレッサ32へ戻り、サイクルを完成させる。
【0014】
[0038]
図3と同様の
図4は、増大した冷却容量、効率及び性能を提供するために凝縮器34と膨張装置36との間に組み込むことのできる中間回路64を備えた冷媒回路を示す。中間回路64は、凝縮器34に直接接続できるか又は凝縮器と流体連通できる入口ライン68を有する。図示のように、入口ライン68は、中間容器70の上流側に位置する膨張装置66を含む。例示的な実施の形態においては、中間容器70は、フラッシュインタークーラーとしても参照されるフラッシュタンクとすることができる。代わりの例示的な実施の形態においては、中間容器70は、熱交換器又は「表面エコノマーザー」として形状づけることができる。
【0015】
フラッシュインタークーラーの構成においては、第1の膨張装置66は、凝縮器34から受け取る液体の圧力を低下させるように作動する。フラッシュインタークーラー内での膨張工程中、液体の一部は蒸発する。中間容器70は、凝縮器から受け取った液体から蒸発蒸気を分離するために使用することができる。蒸発した液体は、吸入及び排出間の圧力で又は圧縮の中間段階で、ライン74を通してポートへ、コンプレッサ32により吸引することができる。蒸発しなかった液体は、膨張工程により冷却され、中間容器70の底部に集められ、そこで、液体は、第2の膨張装置36を有するライン72を通して蒸発器38へ流れるように再生される。
【0016】
[0039]「表面インタークーラー」の構成においては、当業者にとって知られているように、履行は若干異なる。中間回路64は、上述のものと同様の方法で作動できるが、違いは、凝縮器34から全体の量の冷媒を受け取る代わりに、
図4に示すように、中間回路64が凝縮器34から冷媒の一部のみを受け取り、残りの冷媒が膨張装置36へ直接進むことである。
【0017】
[0040]
図5A乃至5Cは、「混成落下フィルム」蒸発器として構成された蒸発器の例示的な実施の形態を示す。
図5A乃至5Cに示すように、蒸発器138は、実質上円筒状のシェル76を含み、シェルは、シェル76の長さに沿って実質上水平に延びるチューブ束78を形成する複数のチューブを備える。少なくとも1つの支持体116は、チューブ束78内で複数のチューブを支持するためにシェル76の内部に位置することができる。水、エチレン、エチレングリコール又は塩化カルシウムブレインのような適当な流体は、チューブ束78のチューブを通って流れる。チューブ束78の上方に位置する分配器80は、複数の位置からチューブ束78内のチューブ上へ冷媒110を分配し、付着させ、適用する。1つの例示的な実施の形態においては、分配器80により付着された冷媒は、全体的に液体冷媒とすることができるが、別の例示的な実施の形態においては、分配器80により付着される冷媒は、液体冷媒及び蒸気冷媒の双方を含むことができる。
【0018】
[0041]状態を変えずにチューブ束78のチューブのまわりを流れる液体冷媒は、シェル76の下方部分に集められる。集められた液体冷媒は、液体冷媒82のプール又はリザーバを形成することができる。分配器80からの付着位置は、チューブ78に関する長手方向又は横方向の位置の任意の組み合わせを含むことができる。別の例示的な実施の形態においては、分配器80からの付着位置は、チューブ束78の上方のチューブ上へ付着させる位置に限定されない。分配器80は、冷媒の分散源により供給される複数のノズルを含むことができる。例示的な実施の形態においては、分散源は、凝縮器34のような冷媒源に接続するチューブである。
【0019】
ノズルはスプレーノズルを含むが、また、チューブの表面上へ冷媒を案内又は誘導できる機械加工した開口を含む。ノズルは、チューブ束78の上方の列のチューブが覆われるように、ジェットパターンのような所定のパターンで冷媒を適用することができる。チューブ束78のチューブは、チューブ表面のまわりのフィルムの形として冷媒の流れを促進するように配列することができ、液体冷媒は、チューブ表面の底部で液滴又はある例では液体冷媒のカーテン又はシートを形成するように合体する。結果としてのシートは、チューブ表面の湿潤を促進させ、これは、チューブ束78のチューブの内部を流れる流体とチューブ束78のチューブの表面のまわりを流れる冷媒との間の熱伝達効率を向上させる。
【0020】
[0042]液体冷媒82のプールにおいては、チューブ束140は、液体冷媒の82のプールを蒸発させるために冷媒とプロセス流体との間の付加的な熱エネルギ伝達を提供するように浸漬又は少なくとも部分的に浸漬することができる。例示的な実施の形態においては、チューブ束78は、チューブ束140の少なくとも部分的に上方で(即ち、少なくとも部分的に重なって)位置することができる。1つの例示的な実施の形態においては、蒸発器138は、2パスシステムを組み込んでおり、この場合、冷却すべきプロセス流体は、最初に、チューブ束140のチューブの内部を流れ、次いで、チューブ束78内の流れとは反対の方向にチューブ束78のチューブの内部を流れるように誘導される。2パスシステムの第2のパスにおいては、チューブ束78内を流れる流体の温度が減少され、従って、プロセス流体の所望の温度を得るためにチューブ束78の表面上を流れる冷媒との熱伝達の量は、一層少なくて済む。
【0021】
[0043]第1のパスがチューブ束140に関連し、第2のパスがチューブ束78に関連するような2パスシステムを説明したが、他の構成を考えることができることを理解すべきである。例えば、蒸発器138は、プロセス流体がチューブ束140及びチューブ束78の双方を通って同じ方向に流れるような1パスシステムを組み込むことができる。代わりに、蒸発器138は、2つのパスがチューブ束140に関連し、残りのパスがチューブ束78に関連するような、又は、1つのパスがチューブ束140に関連し、残りの2つのパスがチューブ束78に関連するような3パスシステムを組み込むことができる。更に、蒸
発器138は、1つのパスがチューブ束78及びチューブ束140の双方に関連し、第2のパスがチューブ束78及びチューブ束140の双方に関連するような交互2パスシステムを組み込むことができる。
【0022】
1つの例示的な実施の形態においては、チューブ束78は、チューブ束140からチューブ束78を分離するギャップを伴って、チューブ束140の少なくとも部分的に上方に位置する。更なる例示的な実施の形態においては、フード86は、チューブ束78の上に位置し、フード86は、ギャップの方に延び、ギャップの近傍で終端する。要約すると、各パスがチューブ束78及びチューブ束140の一方又は双方に関連できるような任意の数のパスが考えられる。
【0023】
[0044]囲い即ちフード86は、チューブ束78のチューブ間での蒸気冷媒又は液体及び蒸気冷媒106のクロスフロー即ち横方向の流れを実質上阻止するようにチューブ束78の上方に位置する。フード86は、チューブ束78のチューブの上方に位置し、チューブを横方向で境界する。フード86は、シェル76の上方部分の近傍に位置する上方端部88を含む。分配器80は、フード86とチューブ束78との間に位置することができる。更に別の例示的な実施の形態においては、分配器80は、分配器80がフード86とチューブ束78との間に位置しないように、フード86の近傍ではあるが、その外部に位置することができる。しかし、分配器80がフード86とチューブ束78との間に位置しない場合、分配器80のノズルは、チューブの表面上へ冷媒を誘導又は適用するように更に構成される。
【0024】
フード86の上方端部88は、適用された冷媒110及び部分的に蒸発した冷媒の流れを実質上阻止するように構成され、即ち、液体及び/又は蒸気冷媒106は、出口104へ直接流れる。代わりに、適用された冷媒110及び冷媒106は、フード86により拘束され、一層詳細には、冷媒がフード86の開口端部94を通って出ることができる前に、壁92間で下方へ進むように強制される。フード86のまわりの蒸気冷媒96の流れはまた、液体冷媒82のプールから離れるように流れる蒸発した冷媒を含む。
【0025】
[0045]少なくとも上述の相対用語は、この開示における他の例示的な実施の形態に関して限定的ではないことを理解すべきである。例えば、フード86は、先に述べた他の蒸発器構成要素に関して回転することができ、即ち、壁92を含むフード86は、垂直方位に限定されない。チューブ束78のチューブに実質上平行な軸線のまわりでのフード86の十分な回転時に、フード86は、もはやチューブ束78のチューブ「の上方に位置する」ことも「を横方向で境界する」こともないものと考えることができる。同様に、フード86の「上方」端部88は、シェル76の「上方部分」の近傍にはもはや位置することがなく、他の例示的な実施の形態は、フードとシェルとの間のこのような構成に限定されない。例示的な実施の形態においては、フード86は、チューブ束78を覆った後に終端するが、別の例示的な実施の形態においては、フード86は、チューブ束78を覆った後に更に延びる。
【0026】
[0046]フード86が壁92間で下方へ及び開口端部94を通して冷媒106を強制送給した後、蒸気冷媒は、シェル76の下方部分からシェル76の上方部分へシェル76と壁92との間の空間内で進行する前に、方向を急激に変化させる。重力の効果と組み合わさって、流れの急激な方向変化は、液体冷媒82又はシェル76のいずれかと衝突するある割合の冷媒の任意の随伴される液滴を生じさせ、それによって、蒸気冷媒96の流れからこのような液滴を除去する。また、壁92間でフード86の長さに沿って進行する冷媒ミスト(霧)は、一層大きな液滴となって合体し、このような液滴は、重力により一層容易に分離されるか、又は、チューブ束78のごく近傍に維持されるか又はチューブ束に接触して維持され、チューブ束との熱伝達による冷媒ミストの蒸発を許容する。
【0027】
増大した液滴寸法の結果、重力による液体分離の効率が改善され、壁92とシェル76との間の空間内で蒸発器を通って流れる蒸気冷媒96の増大した上向き速度を許容する。開口端部94から流れるか又は液体冷媒82のプールから流れるかに拘わらず、蒸気冷媒96は、上方端部88の近傍で壁92から突出する一対の延長部98上でチャンネル100内へ流れる。蒸気冷媒96は、出口104で蒸発器138から出る前に、延長部98の端部とシェル76との間の空間である溝穴102を通ってチャンネル100内へ入る。別の例示的な実施の形態においては、蒸気冷媒96は、溝穴102の代わりに、延長部98に形成した開口又は孔を通してチャンネル100内へ入ることができる。更に別の例示的な実施の形態においては、溝穴102は、フード86とシェル76との間の空間により形成することができ、即ち、フード86は、延長部98を含まない。
【0028】
[0047]別の方法で述べれば、冷媒106がフード86から出た後、蒸気冷媒96は次いで上述の通路に沿ってシェル76の下方部分からシェル76の上方部分へ流れる。例示的な実施の形態においては、通路は、出口104に達する前に、フード86及びシェル76の表面間で実質上対称的にすることができる。例示的な実施の形態においては、延長部98のようなバッフルは、コンプレッサ入口への蒸気冷媒96の直接の経路を阻止するために蒸発器出口の近傍に設けられる。
【0029】
[0048]1つの例示的な実施の形態においては、フード86は、対向する実質上平行な壁92を含む。別の例示的な実施の形態においては、壁92は、実質上垂直に延びることができ、上方端部88とは実質上反対側に位置する開口端部94で終端することができる。上方端部88及び壁92は、チューブ束78のチューブのごく近傍に位置し、壁92は、チューブ束78のチューブを実質上横方向で境界(laterally border)するようにシェル76の下方部分に方へ延びる。例示的な実施の形態においては、壁92は、チューブ束78のチューブから約0.02インチ(0.5mm)乃至約0.8インチ(20mm)の間だけ離間することができる。更なる例示的な実施の形態においては、壁92は、チューブ束78のチューブから約0.1インチ(3mm)乃至約0.2インチ(5mm)の間だけ離間することができる。しかし、上方端部88とチューブ束78のチューブとの間の空間は、チューブとフードの上方部分との間に分配器80を位置させるのに十分な空間を提供するために、0.2インチ(5mm)よりもかなり大きくすることができる。
【0030】
フード86の壁92が実質上平行で、シェル76が円筒状であるような例示的な実施の形態においては、壁92は、また壁92を分離する空間を二分するシェルの中央の対称垂直面のまわりで対称的にすることができる。他の例示的な実施の形態においては、壁92は、チューブ束78の下方チューブを越えて垂直に延びる必要がないか、又は、壁92は、平坦である必要がなく、壁92は、湾曲することができるか、又は、他の平坦ではない形状を有することができる。特定の構成とは関係なく、フード86は、フード86の開口端部94を通して壁92の境界内で冷媒106を方向づけ(channel)するように構成され
る。
【0031】
[0049]
図6A乃至
図6Cは、「落下フィルム」蒸発器128として構成された蒸発器の例示的な実施の形態を示す。
図6A乃至
図6Cに示すように、蒸発器128は、
図5A乃至
図5Cに示す蒸発器138と同様であるが、違いは、蒸発器128がシェルの下方部分内に集められる冷媒82のプール内のチューブ束140を含まないことである。例示的な実施の形態においては、フード86は、チューブ束78を覆った後に、終端するが、別の例示的な実施の形態においては、フード86は、チューブ束78を覆った後に、冷媒82のプールの方へ更に延びる。更に別の例示的な実施の形態においては、フード86は、フードがチューブ束を全体的に覆わない、即ち、チューブ束を実質的に覆うように、終端する。
【0032】
[0050]
図6B及び
図6Cに示すように、ポンプ84は、ライン114を介してシェル76の下方部分から分配器80へ液体冷媒82のプールを循環させるために使用することができる。
図6Bに更に示すように、ライン114は、凝縮器(図示せず)に流体連通することのできる規制装置112を含むことができる。別の例示的な実施の形態においては、凝縮器34からの加圧冷媒を使用してシェル76の下方部分から液体冷媒82を吸引するために、ベルヌーイ効果により作動するエジェクタ(図示せず)を使用することができる。エジェクタは、規制装置112及びポンプ84の機能を組み合わせたものである。
【0033】
[0051]例示的な実施の形態においては、チューブ又は、チューブ束の1つの構成は、実質上矩形となることのできる輪郭を形成する、垂直及び水平に整合した複数の均一に離間したチューブにより画定することができる。しかし、チューブ束の積み重ね構成は、チューブが垂直方向でも又は水平方向でも整合していない場合に、及び、均一に離間していない構成に、使用することができる。
【0034】
[0052]別の例示的な実施の形態においては、異なるチューブ束の構造が考えられる。例えば、チューブ束の最上方の水平な列又は最上方の部分に沿って、一層細いチューブ(図示せず)をチューブ束内で使用できる。一層細いチューブの使用の可能性のほか、「満液式」蒸発器におけるような、プール沸騰応用のための一層効率的な作動のために開発されたチューブも使用することができる。加えて、又は、一層細いチューブと組み合わせて、チューブ束のチューブの外側表面に多孔性のコーティングを適用することができる。[0053]更なる例示的な実施の形態においては、蒸発器シェルの断面プロフィールは、非円形とすることができる。[0054]例示的な実施の形態においては、フードの一部は、シェルの出口内へ部分的に延びることができる。
【0035】
[0055]更に、システム14の膨張装置の膨張機能性を分配器80内に組み込むことが可能である。1つの例示的な実施の形態においては、2つの膨張装置を使用することができる。一方の膨張装置は分配器80のスプレーノズル内に位置する。例えば膨張装置36である他方の膨張装置は、蒸発器の内部に位置するスプレーノズルにより提供される前に、冷媒の予備的な部分膨張を提供できる。例示的な実施の形態においては、他方の膨張装置即ち非スプレーノズル式膨張装置は、蒸発及び凝縮圧力のような作動条件における及び部分冷却負荷における変化を考慮するために蒸発器内の液体冷媒82のレベルにより制御することができる。代わりの例示的な実施の形態においては、膨張装置は、凝縮器内又は、更なる例示的な実施の形態では、「フラッシュエコノマイザー」容器内の液体冷媒のレベルにより制御することができる。1つの例示的な実施の形態においては、膨張の大半はノズル内で生じることができ、ノズルの寸法減少を同時に許容しながら、それ故、ノズルの寸法及びコストを減少させながら、一層大きな圧力差を提供する。
【0036】
[0056]
図7A乃至7Cは、蒸発器の例示的な実施の形態を示す。一層詳細には、
図7Aにおいて、分配器80は、適用される冷媒110をチューブ束78の表面上に適用又は分配するために例えば約15度乃至約60度の間の所定の角度間隔で分離された複数のノズル81を含む。
図7Aに更に示すように、分配器80及びノズル81の双方は、フード86とチューブ束78のチューブとの間に位置する。更なる例示的な実施の形態においては、角度間隔は、同一ではなく、即ち、ノズルは、非均一な配列又はパターンで位置することができ、別の実施の形態においては、ノズルの寸法及び/又は流れ容量は互いに異なることができる。
【0037】
図7Bに示すように、ノズル81は、フード86の構造「内へ組み入れられ」、そのため、ノズル81は、フード86とチューブ束78のチューブとの間に位置しない。
図7Cに示すような更に別の実施の形態においては、分配器ノズル81は、分配器80がフード
86とチューブ束78との間に位置しないように、フード86の近傍ではあるが、その外部に位置することができる。ノズル81は、フード86とチューブ束78との間に位置しないことができるが、分配器80のノズルは、フードに形成した開口83を通してのように、チューブ束の少なくとも1つのチューブの表面上に冷媒を誘導/分配又は適用するように形状づけることができる。
[0057]
図8A、
図8Bは、蒸発器の例示的な実施の形態を示す。
図8Aに示すように、一対のフード86は、シェル76内に位置し、各フードは、それぞれの分配器80及びチューブ束78を包含し、これらを覆う。代わりの例示的な実施の形態においては、異なる数のフードがシェル内に位置することができ、各フードは、対応する分配器及びチューブ束を包含し、更なる例示的な実施の形態においては、それぞれのフード(及び対応するチューブ束及び分配器)は、異なる量の冷媒流れ及びプロセス流体流れを提供するように形状づけることができ、即ち、異なる熱伝達容量を提供するように形状づけることができる。
図8Bに示すように、フード86は、分配器網又は複数の分配器120を覆う。
【0038】
[0058]
図8Cは、分配器網又は複数の分配器120の例示的な実施の形態を示す。入口ライン130は、ライン132及びライン134として二股に分かれる。二股部の上流側で、入口ライン130は、膨張弁のような定量供給装置122を含む。ライン132、134は、ライン132、134の各々を通って流れる冷媒の圧力を規制するためにソレノイド弁を含む弁のようなそれぞれの制御装置124、126を含む。ライン134は、異なる流れ経路即ち流れ部分144に分岐又は分割するマニホルド142に接続される。流れ部分144は、複数のノズル146を含む。1つの例示的な実施の形態においては、マニホルド142は、少なくとも1つのノズル146を含む。同様に、ライン132は、異なる流れ部分150に分岐又は分割するマニホルド148に接続される。流れ部分150は、複数のノズル152を含む。1つの例示的な実施の形態においては、マニホルド148は少なくとも1つのノズル152を含む。
【0039】
マニホルド、マニホルドからの流れ経路及び/又はノズルの任意の組み合わせが、単独に又は集合的に、分配器において考えられることを理解すべきである。例示的な実施の形態においては、制御装置124、126は、マニホルド142、148及びそのそれぞれの流れ経路即ち流れ部分間の作動圧力が異なることができるように、形状づけることができる。換言すれば、複数の分配器120は、複数の分配器のうちの別の分配器により分配される別の流体の圧力とは異なる圧力で流体を分配するように形状づけることができる。
【0040】
[0059]更なる例示的な実施の形態においては、マニホルドに関連する流れ経路即ち流れ部分の数は、互いに異ならせることができ、更に別の例示的な実施の形態においては、1又はそれ以上の制御装置又は、定量供給装置と組み合わせて、単一のマニホルド又は3つ以上のマニホルドを使用することができる。別の例示的な実施の形態においては、流れ経路即ち流れ部分144、150のうちの少なくとも1つは重なり領域154を含む。流れ経路即ち流れ部分144、150が異なる垂直な、水平な又は角度的な方位で位置することができるか、又は、互いに関して回転的に傾斜できるので、重なり領域154は、水平又は垂直な並置若しくは並置の他の組み合わせのような、対応する流れ部分144、150間の多くの方位をとることができる。換言すれば、流れ経路即ち流れ部分144、150の少なくとも一部は、互いに平行でなくともよい。更なる実施の形態においては、少なくとも1つの流れ経路即ち流れ部分のためのノズルは、異なる圧力及び/又は流れ容量で作動するように形状づけることができる。
【0041】
[0060]
図9A、
図9Bは、分配器156の例示的な実施の形態を示す。分配器156は、例えばクリーニング/交換のためにノズルを選択的に設置及び/又は除去できるようにする相互ネジ係合を有するものとして示す、ノズル81のようなノズルを受け入れるように
構成された少なくとも1つの取り付け部158を含むことができる。
図9Aに更に示すように、取り付け部158は、取り付け部158の端部が分配器156の流れ経路即ち流れ部分の壁の内側表面から測定したような挿入距離160を残すように、分配器156内に設置されるように構成される。挿入距離160は、例えば異物粒子又はごみ162及びノズル81による流れ障害を減少させるように構成される。
【0042】
[0061]
図9Bは、分配器156がチューブ支持体116の除去を必要とせずに蒸発器から取り外せるように構成されるような例示的な実施の形態を示す。即ち、
図9Bに更に示すように、入口取り付け部164は、分配器156の一端を受け入れるように構成された開口166を有する。分配器156の他端は、チューブ支持体116に形成した開口170を通して挿入することができ、この支持体は、シートとして普通参照され、機械的なファスナー172によりチューブ支持体116に固定された端部取り付け部168によって固定される。サービス/修理のためのような分配器156への接近即ちアクセスは、蒸発器の一端に位置するプロセス流体箱26を取り外し、続いて、取り付け部168のファスナー172を取り外しことにより、達成することができる。開口170を通しての分配器156のアクセス及び引き出し時に、分配器156又はノズル81のような分配器156の任意の部分の交換を行うことができる。1つの例示的な実施の形態においては、開口170は、分配器からのノズルの除去を必要とせずに、蒸発器から分配器156を除去するのに十分な寸法とされる。
【0043】
[0062]
図10A乃至
図10Cは、蒸発器138の例示的な実施の形態を示す。蒸発器138は、冷媒82、96、106、110を収容するシェル76を含む。冷媒106及び冷媒110は、フード86により覆われたチューブ束78のチューブのまわりを流れるように閉じ込められ、状態を変化させずにチューブ束78のチューブのまわりを流れる液体冷媒は、シェル76の下方部分内に液体冷媒82のプールを形成する。蒸発器138は、また、シェル76を取り囲んで、シェル内に位置するチューブ束78及びチューブ束140のチューブに対してプロセス流体を出入りさせるための分配器又はマニホルドとして機能するように、各端部においてヘッダ即ちプロセス流体箱26、28を有する。蒸発器138のチューブ束78、140のチューブは、シェル76の一端でのプロセス流体箱26からシェルの反対端でのプロセス流体箱28へ延びる。プロセス流体箱26、28は、シェル76内の冷媒からプロセス流体を分離する。チューブ束のチューブ内のプロセス流体は、プロセス流体がシェル内のプロセス流体間での熱伝達工程中に冷媒と混合しないように、シェル内に収容された冷媒から分離しなければならない。
【0044】
[0063]
図10Aは、2パス形状における蒸発器138を示し、即ち、この形状では、プロセス流体は、入口30を通って蒸発器138の第1の端部でのプロセス流体箱26へ入り、第1のセットのチューブ即ちチューブ束78及び/又はチューブ束140の1又はそれ以上のチューブを通って、蒸発器の他端でのプロセス流体箱28に至り、そこで、プロセス流体は方向を変え、次いで、シェル76及び第2のセットのチューブ即ちチューブ束78及び/又はチューブ束140の残りのチューブを通って戻る第2のパスを作る。次いで、プロセス流体は、入口30と同じ蒸発器の端部で出口31を通って蒸発器138から出る。3パス形状又は、1パス形状のような他の蒸発器流れパス形状(図示せず)も使用することができる。
【0045】
[0064]他の実施の形態においては、2パス形状又は3パス形状のような使用される流れパス形状に応じて、異なる仕切り又はバッフルがプロセス流体箱26、28内に位置する。
図10Bは、2パス又は3パス形状のためのチューブ束78と一緒に使用できる例示的な間隔構成を示す。
図10B(
図10Cは、チューブ束78、140の仕切りに関する分離した図である)に更に示すように、間隔部材即ち仕切り58は、チューブ束78のチューブセット119からチューブセット118を分離する。間隔部材即ち仕切り59は、チュ
ーブ束78のチューブセット121からチューブセット119を分離する。これらの仕切りの各々は、プロセス流体箱の1つ内のバッフルと関連してもしなくてもよい。換言すれば、仕切り58、59は、シェルを通って2度パスされた退去プロセス流体からプロセス流体箱26内の入来する未冷却のプロセス流体を分離するバッフルに対応することができる。
【0046】
例示的な実施の形態においては、仕切り58、59は、ヘリンボン(herringbone)即
ち「V」プロフィールに似ることができ、チューブ束78のコンパクトな構造を許容するが、他の例示的な実施の形態においては、仕切り58、59は、垂直に指向したプロフィールのような他のプロフィールを含むことができる。垂直に指向したプロフィールは、チューブセットを通るプロセス流体の左右並列の流れを生じさせる。水平に指向したプロフィールは、チューブセットを通るプロセス流体の上下並列の流れを生じさせる。更なる実施の形態においては、チューブ束140は、
図10Cに更に示すようなチューブ束78と同様のチューブセットに分割することができる。例えば、間隔部材即ち仕切り61は、チューブセット67からチューブセット65を分離し、間隔部材即ち仕切り63は、チューブセット69からチューブセット67を分離する。別の例示的な実施の形態においては、チューブ束140は、水平に指向したプロフィールを有する仕切り61、63を組み込むことができる。
【0047】
[0065]
図11は、蒸発器174の例示的な実施の形態を示す。蒸発器174は、一対のフード86を含み、各フードは、対応する分配器80及びチューブ束78を含む。蒸発器の代わりの例示的な実施の形態が3つ以上のフードを包含できるので、フードは、隣接するフード又は、近接フードとして説明するが、一対のみのフードを
図11に示す。シェル76は、第2のセグメント182の一端に接続された第1のセグメント180を含み、第2のセグメント182の他端は、シェル76の方へ延び、これに接続する。第1のセグメント180は、チューブ束78を覆うフード86の対応する部分に実質上平行に延びることができる。シェル76の方へ延び、これに接続することのできる第2のセグメント182は、チューブ束78を覆うフード86の対応する部分に対して平行に延びなくてもよい。
【0048】
図11に更に示すように、第2の仕切り178が設けられる。第2の仕切り178の第1のセグメント180は、第1の仕切り178の第1のセグメント180に平行とすることができ、第2の仕切り178の第2のセグメント182は、第1の仕切り178の第2のセグメント182に対して非平行とすることができる。ギャップ176が仕切り178を分離する。対応する第2のセグメント182を分離し、シェルの方へ延びるギャップ176の部分は、対応する第1のセグメント180を分離するギャップ176の部分から開拡するものとして
図11に示すが、代わりの実施の形態においては、第2のセグメント182を分離するギャップ部分は、収斂することができる。ギャップ176は、隣接するフード86から出る冷媒96を出口104の方へ案内するように形状づけることができる。「ミストエリミネータ」又は「蒸気/液体分離器」として一般に参照されるフィルタ184は、対応する第2のセグメント182の近傍で又はその間でギャップ176の部分内に位置することができる。
【0049】
1つの例示的な実施の形態においては、フィルタ184は、出口104の近傍に位置できる。別の例示的な実施の形態においては、仕切り178は、対応する隣接するフードにより覆われた隣接するチューブ束間で対称的に位置することができる。更に別の例示的な実施の形態においては、仕切り178の少なくとも一部は、フード86の対応する部分に実質上一致することができ、別の実施の形態においては、フード86は、その全体における一方又は双方でないとしても、仕切り178の部分と交換できる。
【0050】
[0066]
図12は、フード86により覆われたチューブ束186を備えた蒸発器の例示的な
実施の形態を示し、この場合、フード86とチューブ束186の上方チューブとの間に位置する分配器80に加えて、少なくとも1つの付加的な分配器80がチューブ束186の中間領域内に位置するギャップ188内に設けられる。付加的な分配器は、チューブ束のチューブ間に位置することができ、チューブ束の表面上に適用される冷媒の複数/多レベル応用を提供し、それによって、チューブ束のチューブの向上した湿潤を提供することにより蒸発器の性能/容量を改善する。そして、更なる例示的な実施の形態においては、チューブ束のチューブは、分配器(単数又は複数)を少なくとも部分的に取り囲むことができる。代わりの例示的な実施の形態においては、付加的な分配器は異なって位置することができ、即ち、柱構成又は他の不均一構成となって位置することができる。
【0051】
[0067]
図13A乃至
図13Dは、チューブ束196を覆うフード190の例示的な実施の形態を示す。フード190の対向する壁192は、互いに平行ではなくてもよい。壁192は、
図13A、
図13Bに示すようにフードの開口端部に向かう方向において互いから開拡し、
図13C、
図13Dに示すようにフードの開口端部に向かう方向において互いの方へ収斂することができる。壁192の一方又は双方から対向する壁192の方へ内方に延びる突出部194は、流体即ち壁及び/又は突出部上で合体又は集塊した液体液滴をチューブ束196のチューブ上に吸引及び付着又は適用するように構成される。
図13Bに示すように、チューブ束196のチューブは、互いに異なる角度で位置する柱となって配置することができる。例えば、軸線204を有する中央に位置する柱は、軸線202を有するチューブの柱に関して角度198をなして位置する。同様に、軸線204を有するチューブ柱は、軸線206を有するチューブの柱に関して角度200をなして位置する。角度198、200を測定するための参照地点を提供するため、軸線202、204、206は、共通の焦点地点208から延びる。要約すると、軸線202、204は、平行ではなく、軸線204、206も平行ではない。
【0052】
特に開拡するフード壁について非平行のチューブ柱軸線を組み込むことにより、フードの下に付加的なチューブの柱(単数又は複数)を挿入することが可能になり、又は、チューブの少なくとも部分的な柱をチューブ束内に挿入することが可能になる。代わりに、収斂するフード壁について非平行のチューブ柱軸線を組み込んで、チューブ柱間の間隔を減少させることにより、フードの狭い開口端部の近傍でのチューブ束の底部において生じる熱伝達の量を向上させることができる。
【0053】
[0068]
図14、
図14A、
図14Bは、フード210を備えた蒸発器の例示的な実施の形態を示す。フード210は、フードの表面に沿って形成した不連続部212を含むことができる。不連続部212は、フード表面に形成したぎざぎざ部分又は突出部分又は他の表面構造を含むことができる。不連続部212は、流体即ち壁及び/又は不連続部上で合体又は集塊した液体液滴216をフード210により覆われたチューブ束218のチューブ上へ付着又は適用するように構成される。1つの例示的な実施の形態においては、不連続部を含むフードは、単一の構造のものとすることができる。別の例示的な実施の形態においては、フード内に不連続部又は付加的な不連続部を提供するように、部材222をフード210に固定することができる。更に別の例示的な実施の形態においては、部材222は、付加的な不連続部214のような複数の不連続部を含むことができる。1つの例示的な実施の形態においては、チューブ220の付加的な柱又はチューブの少なくとも部分的な柱は、フードの不連続部の追加によりフード内に挿入することができる。
【0054】
[0069]
図15、
図16は、例示的な蒸発器の実施の形態を示す。チューブ束78を覆うフード223は、フードの開口端部の近傍でフードの少なくとも1つの壁に形成したルーバー又は、微細開口224を含むことができる。チューブ束78は、コレクタ234を含むことのできるギャップ225によりチューブ束140から分離することができる。コレクタ234は、比較的速い蒸気速度の区域において蒸気に対する液体の接触を阻止すること
により、「液体の持ち越し」を減少させることができる。1つの例示的な実施の形態においては、コレクタ234は、フード壁上で合体又は集塊した液体液滴を収集するために微細開口224の近傍に位置することができる。別の例示的な実施の形態においては、コレクタ234は、フードを備えた単一構造のものとすることができる。更なる例示的な実施の形態においては、コレクタ234は、冷媒96が冷媒82のプールに遭遇することなくフード223の開口端部のまわりでギャップ225を通って進行できるように、コレクタの部分間に開口(図示せず)を含むことができる。
【0055】
フード223の開口端部のまわりで進行する冷媒96は、第1の障害部226のまわりで、第1の障害部226の近傍に位置することのできる第2の障害部228を通って更に進行しなければならず、各障害部は、フードの開口端部の近傍に位置する。1つの例示的な実施の形態において、第1の障害部226は、シェル76からフード223の方へ延びることができるが、別の例示的な実施の形態においては、第1の障害部226は、フード223からシェル76の方へ延びることができる。更なる例示的な実施の形態においては、第2の障害部228は、複数の開口230を含むことができる。「ミストエリミネータ」又は「蒸気/液体分離器」として一般に参照されるフィルタ232は、フード223とシェル76との間を延びることができる。1つの例示的な実施の形態においては、フィルタ232は、フード223の壁に対して90度以外の角度で位置する。
【0056】
[0070]
図17、
図17A、
図18、
図18Aは、熱交換器236を備えた蒸発器の例示的な実施の形態を示す。熱交換器236は、離間した通路238を含むことができ、これらの通路を通って、プロセス流体240は、冷媒82とプロセス流体240との間の熱エネルギの伝達を実行又は履行するように通路239内を流れる。熱交換器236は、液体冷媒82のような流体内に浸漬されるように形状づけることができる。例示的な実施の形態においては、熱交換器236は、2パス又は3パス形状として
図17、18に示すようなプロセス箱の入口/出口242の構造と選択的に流体連通するように形状づけることができる。2パス構成の1つの例示的な実施の形態においては、第1のパスは、チューブ束78のチューブを通るプロセス流体の流れを含むことができ、第2のパスは、熱交換器236を通るプロセス流体の流れを含む。他の例示的な実施の形態においては、2又は3又はそれ以上の(パス)構成を形成するために、チューブ束78のチューブ及び/又は熱交換器236の他の組み合わせを利用することができる。更なる例示的な実施の形態においては、熱交換器236の表面の少なくとも一部は、例えば焼結、表面粗面化又は他の表面処理により、熱交換器の表面に沿った熱エネルギの伝達を向上させるように構成される。
【0057】
[0071]
図19A乃至19C及び
図20は、分配器244の例示的な実施の形態を示す。分配器244は、複数のノズル246に接続された流れ経路即ち流れ部分245を含むことができる。
図19A乃至19C及び
図20に更に示すように、分配器244は、ノズル246を覆う覆い248を含む。1つの例示的な実施の形態においては、覆い248は、例えば覆いの開口に関連する断面即ち所定の断面領域の程度までノズルスプレーを閉じ込めるように、ノズル246からの流体スプレーを少なくとも部分的に閉じ込めるように形状づけることができる。
図20に更に示すように、ノズル246の構造は、プランジャ形式の構造を含むことができ、この場合、ノズル/弁部材は、第1の(実質上閉じた)位置と第2の(完全に開いた)位置との間で覆い248に関して運動するように構成されるが、第1及び第2の位置間の他の中間の位置を利用することができる。1つの例示的な実施の形態においては、ノズル/弁から延びるシャフトは、流れ部分を通って更に延びることができ、モータ(図示せず)のような駆動装置により制御することができる。
【0058】
[0072]
図21は、蒸発器250の例示的な分配器の実施の形態を示す。蒸発器250は、流れ経路即ち流れ部分260を有する分配器網又は複数の分配器258を含むことができ、流れ部分260は、チューブ束256の表面上へ流体を適用又は誘導するように構成さ
れたノズル261を含むことができる。シェル76は、プロセス流体箱26に関連する入口252と、プロセス流体箱28に関連する出口254とを含むことができる。
図21に示すような1パス形状においては、代わりの例示的な実施の形態において多パス形状を使用することができるが、チューブ束256のチューブの対向する端部は、入口252から入るプロセス流体がチューブ束256を通して導かれ、出口254を通してシェル76から出るように、プロセス流体箱26、28間を延びる。(
図21に示す)複数の分配器258の流れ部分260の断面は、
図8Cの21−21線に沿った複数の分配器120の断面と同様のものとすることができる。
【0059】
しかし、
図8Cの21−21線(複数の分配器120)及び(
図21に示す)複数の分配器258に関連する断面間の区別は、隣接する流れ部分260間の相対間隔である。即ち、対をなす流れ部分251として参照される、入口252に最も近い隣接する流れ部分260は、間隔即ち距離D1だけ互いに離間される。対をなす流れ部分253においては、隣接する流れ部分260は、間隔即ち距離D2だけ互いに離間される。距離D2は、距離D1よりも大きくなるように構成される。[0073]同様に、対をなす流れ部分255として参照される、入口252から最も遠い隣接する流れ部分260間の距離は、距離D(N)であり、この距離D(N)は、
図21に示す他の隣接する流れ部分260間の距離よりも大きい。
【0060】
[0074]蒸発器250に関するプロセス流体は、蒸発器の入口252を入るときにその最高温度となり、プロセス流体と蒸発器内に収容された冷媒との間に(「デルタT」としても参照される)最大温度差を生じさせる。最大「デルタT」において、対応する最大熱エネルギ伝達は、冷媒とプロセス流体との間で生じる。従って、例えば入口252の最も近くに位置する隣接する流れ部分260間の間隔を減少させることによって入口252に最も近いチューブ束256のチューブ上に付着する冷媒の量を増大させることにより、プロセス流体と冷媒との間の熱エネルギ伝達を増大させることができる。1つの例示的な実施の形態においては、流れ部分260間の間隔は、不均一とすることができ、更なる実施の形態においては、複数の分配器の隣接する流れ部分260間の間隔即ち距離は、プロセス流体と冷媒との間の熱エネルギ伝達を最大にするように、所定の量だけ増減させることができる。他の例示的な実施の形態においては、間隔構成は、流れ部分を通る不均一な流量を含む理由のため、異ならせることができる。
【0061】
[0075]
図22は、蒸発器の例示的な実施の形態を示す。蒸発器262は仕切り268を含むことができる。
図22に更に示すように、仕切り268及びシェル76の一部は、一緒になってフード267を形成し、このフード及び仕切りは、シェル76を区画269、271に分割する。分配器266は、適用された冷媒110をチューブ束264の表面上に付着させ、分配器及びチューブ束の双方は、フード267により覆われる。1つの例示的な実施の形態においては、仕切り268は、仕切り268を通って流れる冷媒から随伴液体を除去するように構成された出口104の近傍に位置する「ミストエリミネータ」又は「蒸気/液体分離器」として一般に参照されるフィルタ272を含むことができる。
【0062】
フード267により覆われたチューブ束264は、区画269内に閉じ込められる。
図22に更に示すように、仕切り268は、チューブ束264を境界し、チューブ束264、140を分離するギャップの近傍で終端する。更に別の例示的な実施の形態においては、蒸発器262は、チューブ束140を含まなくてもよいが(
図6B、6Cにおけるように、ポンプ又はエジェクタが必要となろう)。別の例示的な実施の形態においては、仕切り268は、チューブ束264、140を分離するギャップを越えて更に延び、チューブ束140の近傍で終端することができる。
図22に更に示すように、仕切り268のまわりを流れる冷媒96は、区画271へ入って、仕切り268とシェル76との間を延びる出口104の近傍に位置する「ミストエリミネータ」又は「蒸気/液体分離器」として一
般に参照されるフィルタ270に遭遇する。
【0063】
[0076]
図23、
図24は、例示的な分配器273を示す。分配器273は、「スプレー1」としても参照される分配器流れ経路即ち流れ部分274と、「スプレー2」としても参照される分配器流れ経路即ち流れ部分280とを含むことができる。分配器流れ部分274は、ノズル276を含むことができ、各ノズル276は、対応するスプレー分配領域278を有する。分配器流れ部分280は、ノズル282を含むことができ、各ノズル282は、チューブ束288のチューブの表面上への対応するスプレー分配領域284を有する。重なり部286は、それぞれのノズル276、282の対応するスプレー分配領域278、284間の重なったスプレーを表し、チューブ束表面の一層均一な湿潤を生じさせることができる。
図23に更に示すように、ノズルスプレー分配即ち両方のカバー範囲及び流量は、個々に変えることができる。1つの例示的な実施の形態においては、角度は、蒸発器の長さに沿って変更することができる。例示的な実施の形態においては、スプレーされた流体は、蒸発器の長さに沿って両方向からチューブ束に適用することができる。従って、1つの流れ部分の1つのスプレー領域及び別の流れ部分の第2のスプレー領域は、全体のチューブ束に沿った流体の一層均一な分配を生じさせるように組み合わせることができる。
【0064】
[0077]
図25、
図26は、フード290の例示的な実施の形態を示す。フード290は、ある量の冷媒292が開口を通って流れることができるように、フードの表面に形成した複数の開口294を含む。1つの例示的な実施の形態においては、複数の開口294は、フードの開口端部の近傍に主として位置することができるが、別の例示的な実施の形態においては、開口は、グループとなることができるか、又は、フード表面の他の部分に沿って位置することができる。更なる実施の形態においては、
図26に示すように、複数の開口294を含むフード表面の割合は、フードの長さに沿って変化する。即ち、フードの各端部の近傍では、複数の開口294を含むフード表面の割合は、フードの端部の近傍ではないフード表面の部分に比べて、増大する。
【0065】
[0078]本発明のある特徴及び実施の形態のみを図示し、説明したが、当業者なら、特許請求の範囲に記載した要旨の新規な教示及び利点から本質的に逸脱することなく、多くの修正及び変更(例えば、規模、寸法、構造、形状及び種々の構成要素の割合の変更、パラメータ(例えば、温度、圧力等)の値、装着構成、材料、色彩、方位の使用等)を行うことができる。任意のプロセス又は方法工程の順番又は順序は代わりの実施の形態に従って変更又は順番変えできる。それ故、特許請求の範囲は、本発明の真の精神内に入るようなすべてのこのような修正及び変更をカバーすることを意図するものであることを理解すべきである。
【0066】
更に、例示的な実施の形態の簡潔な説明を提供する努力として、実際の履行のすべての特徴は述べなかった(即ち、本発明を実行する現時点で考えられる最良のモードに関係しないもの、又は、特許請求の範囲の発明を可能にすることに関係しないものは述べなかった)。任意の技術的又は設計的プロジェクトにおけるような、任意のこのような実際の履行の開発において、多くの履行上の特定の決定を行うことができることを認識すべきである。このような開発努力は複雑で時間を消費するかもしれないが、それにも係らず、過度な経験を伴わずにこの開示の利益を有する当業者にとっては、設計、製作及び製造の日常の仕事であろう。