(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719441
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイとしての窓ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 17/34 20060101AFI20150430BHJP
C03C 17/32 20060101ALI20150430BHJP
B32B 17/10 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
C03C17/34 A
C03C17/32 D
C03C17/32 B
B32B17/10
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-528582(P2013-528582)
(86)(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公表番号】特表2013-539741(P2013-539741A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】EP2011064354
(87)【国際公開番号】WO2012038170
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2013年8月2日
(31)【優先権主張番号】10177778.7
(32)【優先日】2010年9月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラブロート,ミヒヤエル
【審査官】
國方 恭子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0171007(US,A1)
【文献】
特開平09−327898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00−23/00
B32B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
a.ガラス(1)、
b.前記ガラス(1)上に接着剤層(2)
を備えており、
前記接着剤層(2)が、発光顔料(2a)を有する少なくとも1つの熱可塑性膜(2b)と、アンチスクラッチコーティング(2d)を有するバリア膜(2c)とを含み、
前記発光顔料(2a)が、式:R1−COO−P(OH)x(0−4)−COO−R2(式中、R1、R2は、1から10個のC原子を有するアルキルまたはアリル残基であり、Pはフェニル環であり、OHは、前記フェニル環に結合しているヒドロキシル基であり、xは、前記フェニル環に結合しているヒドロキシル基の数である。)を有するヒドロキシアルキルテレフタレートを含有する、ガラス板。
【請求項2】
前記バリア膜(2c)が第2の発光顔料を含有する、請求項1に記載のガラス板。
【請求項3】
前記ガラス(1)が強化または部分強化安全ガラスで構成されている、請求項1または2に記載のガラス板。
【請求項4】
前記バリア膜(2c)が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリビニルブチラール(PVB)を可塑剤なしで、および/またはこの混合物およびコポリマーを含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項5】
前記第1または第2の発光顔料(2a、2e)が、350nmから450nmの範囲の励起極大、および/または400nmから800nmの範囲の発光極大を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項6】
前記アンチスクラッチコーティング(2d)が、有機または無機結合SiO2、TiO2、Al2O3、Si3N4、またはポリシロキサンを含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項7】
前記接着剤層(2)が0.30mmから0.9mmの厚さを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項8】
前記発光顔料(2a)が、ジエチル2,5−ジヒドロキシテレフタレートを含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項9】
前記発光顔料(2a)が、ベンゾピラン、ナフトピラン、2H−ナフトピラン、3H−ナフトピラン、2H−フェナントロピラン、3H−フェナントロピラン、フォトクロミック樹脂、クマリン、キサンチン、ナフタル酸誘導体、オキサゾール、スチルベン、スチリル、ペリレン、ランタニド、Y2O3:Eu、YVO4:Tm、Y2O2S:Pr、Gd2O2S:Tb、および/またはこの混合物を含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項10】
前記ガラス(1)が、1mmから8mmの厚さを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項11】
前記バリア膜(2c)が、被膜(2e)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項12】
請求項1から11に記載のガラス板、および前記ガラス板に指向される光源(4)を備えており、前記光源(4)が電磁放射線を前記ガラス板上に放出する、ピクトグラム、図形文字および/または数字を表示するためのデバイス。
【請求項13】
前記光源(4)がレーザーで構成されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
a.熱可塑性膜(2b)と、アンチスクラッチコーティング(2d)を有するバリア膜(2c)とを接着させて接着剤層(2)を形成し、
b.発光顔料(2a)を前記接着剤層(2)の熱可塑性膜(2b)上に適用し、
c.前記接着剤層(2)を前記ガラス(1)と積層板(3)との間に積層し、
d.前記積層板(3)を外すことを含み、
前記発光顔料(2a)が、式:R1−COO−P(OH)x(0−4)−COO−R2(式中、R1、R2は、1から10個のC原子を有するアルキルまたはアリル残基であり、Pはフェニル環であり、OHは、前記フェニル環に結合しているヒドロキシル基であり、xは、前記フェニル環に結合しているヒドロキシル基の数である。)を有するヒドロキシアルキルテレフタレートを含有する
ことを特徴とする、ガラス板の作製方法。
【請求項15】
建造物、自動車、飛行機および/またはヘリコプターにおけるヘッドアップディスプレイとしての、または自動車におけるフロントガラスとしての請求項1から11のいずれか一項に記載のガラス板の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラス、窓ガラスの作製方法、及びヘッドアップディスプレイとしてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)は航空機産業において広く普及している。パイロットの視野に直接搭載される前記システムは、この航空機自体及び他の航空機に関する最も重要なデータを表示する。また、このシステム(軍事部門で確立されており、多く使用されている。)は、民間部門、特に自動車部門における使用のための多くの可能性を有する。従って、速度、前方の車両との距離に関するデータ、ナビゲーション機器からの又は方向のデータが、ヘッドダウンディスプレイ(HDD)とは対照的に、ドライバーの目の高さにちょうどよく表示され得る。ドライバーは、計器を見ると同時に交通状況にも気をつけることはできないため、このような可能性によって車両の交通安全性が明白に改善される。例えば、高速道路で自動車の速度が上がると、車両が「ブラインド」進行する距離は相当となり得、事故の危険性の増大が引き起こされ得る。
【0003】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)がレーザーなどの外部光源によって照光されると、光照射野が可視状態となり得、このときの一般的な光条件及び気象条件にもよるが、視認の困難さはわずかである。強い日光及び光反射が水滴又は汚れ粒子を介すると、ヘッドアップディスプレイに投影されたデータを見ることが有意に困難となる。これは、表示領域(例えば、フロントウィンドウ)上に投影される虚像で特に明らかに明白である。また、投影データの表示のための視野が限られていることも、このような従来のHUDの欠点である。電磁励起される染料又は顔料によって表示領域に実像を作成することは、解決策に対する可能なアプローチを構成する。この場合、原理的にはガラス全体がデータ担体として使用され得る。
【0004】
ガラスの大きさ、及び顔料が接着剤層中に不均一に分布される傾向のため、比較的高濃度の発色顔料が必要である。窓ガラスをオートクレーブ内で処理すると、接着剤層中への顔料の溶解が強化される。しかしながら、多くの場合、高い顔料濃度は非常に高価となり、場合によっては、危険物質としての顔料又は染料の規制区分及び取り扱いに鑑みた特別な予防措置が必要とされる。
【0005】
DE60314613T2には、フォトクロミック組成物及びこの作製方法が開示されている。この組成物は、線状の架橋性ポリウレタン又はポリウレタン−尿素ポリマー、及びフォトクロミック有機化合物を含有している。
【0006】
WO2004/099172A1には、アリールアミン基で置換されている、ベンゾ−、ナフト−及びフェナントロクロメン構造上のフォトクロミック組成物が開示されている。
【0007】
US7,230,767B2には、自動車の窓ガラスにおける画像表示システムが開示されている。前記構成は、内側ガラスの外側に面する面上に発光化合物を含有している。発光化合物は光源によって照光され、自動車のドライバーの視野内に出現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許発明第60314613号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/099172号
【特許文献3】米国特許第7,230,767号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ヘッドアップディスプレイとして使用され得、あらゆる光条件下で顔料又は染料の濃度が低い場合であっても1つ又は複数の色の良好な認識性ならびに高い光度を可能にする窓ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、本発明により独立請求項1によって達成される。好ましい実施形態をこの下位請求項に示す。
【0011】
ヘッドアップディスプレイを伴う窓ガラスを作製するための本発明による方法、デバイス、及びこの使用は、他の請求項の組合せから明らかとなる。
【0012】
本発明による窓ガラスは、少なくとも1つのガラスと、少なくとも1つのポリマー接着剤層とを備えている。前記ガラスは、好ましくは、板ガラス(フロートガラス)、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスを含む。前記ガラスは、好ましくは、80%より高い、好ましくは90%より高い平均光透過率を有する(特にA型で2°の光の光透過率と指定していない限り−標準観測者により380nmから780nmの波長の光に対するDIN 5033に従う。)。前記ガラスは、好ましくは、360nmから420nmの波長範囲において70%より高い、特に好ましくは75%の光透過率を有する。
【0013】
接着剤層は、少なくとも第1の発光顔料、熱可塑性膜、及びバリア膜を含む。前記接着剤層は、前記ガラス上に熱可塑性膜の面を有するように配設され、前記ガラスに固定的に接着される。バリア膜は、接着剤層の前記ガラスから離れる方向に面する面上に配設される。熱可塑性膜は、好ましくはPVB(ポリビニルブチラール)又はEVA(ポリ−エチル−酢酸ビニル)を含有する。第1の発光顔料は、好ましくは第1の熱可塑性膜の容積全体に含有されている。バリア膜は、発光顔料の拡散バリアとしての機能を果たす。バリア膜の前記ガラスから離れる方向に面する面上のアンチスクラッチコーティングは、硬質の引っかき抵抗性表面としての機能を果たす。バリア膜は、好ましくは熱可塑性膜中の20%未満、特に好ましくは10%未満、特により好ましくは1%未満の濃度の発光顔料を含む。発光顔料は、本発明との関連において、有機及び/又は無機系の発光化合物、イオン、凝集体及び/又は分子を含有する。発光としては、蛍光プロセス及び/又はリン光プロセス、電磁放射線での励起、ならびに電磁放射線の放出が挙げられる。放出される放射線は、好ましくは励起放射線と異なる波長を有する。放出される放射線は、好ましくは長波長を有する。前記熱可塑性膜及びさらなる熱可塑性膜(ある場合)は、好ましくは、405nmの波長で測定したとき70%より高い、特に好ましくは82%より高い光透過率を有する。熱可塑性膜の光透過率は、膜厚、ポリマー組成、重合度、重合の分布、UVブロッカー、又は可塑剤によって調整され得る。
【0014】
バリア膜は、好ましくは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリビニルブチラール(PVB)を可塑剤なしで、及び/又はこのコポリマー、特に好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)を含有する。
【0015】
バリア膜は、好ましくは、405nmの波長で測定したとき70%より高い、特に好ましくは80%より高い光透過率を有する。
【0016】
熱可塑性膜は、好ましくは、390nmから410nmの波長範囲において75%より高い、好ましくは82%より高い光透過率を有する。
【0017】
前記接着剤層は、好ましくは、PVC(ポリ塩化ビニル)、PU(ポリウレタン)、EVA(ポリ−エチル酢酸ビニル)、及び混合物ならびにこのコポリマーを含有する。
【0018】
バリア膜は、好ましくは第2の発光性の顔料又は染料を含有する。第2の発光顔料は、好ましくは、第1の発光顔料と異なる励起波長及び発光波長を有する。又は、発光顔料を含むさらなる熱可塑性膜及びこの間に配置されるバリア膜を配設してもよい。
【0019】
前記接着剤層は、好ましくは、360nmから400nmの蛍光粒子の励起スペクトル範囲で活性な他のUVブロッカーを含まない。本発明による発光顔料は、好ましくはUVブロッカーとしての機能を果たす。
【0020】
発光顔料は、好ましくは350nmから450nm、特に好ましくは390nmから420nmの範囲の
局所励起極大を有する。
【0021】
発光顔料は、好ましくは400nmから800nmの範囲の
局所発光極大を有する。
【0022】
アンチスクラッチコーティングは、好ましくは、有機結合及び/又は無機結合SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、Si
3N
4、好ましくはポリシロキサンを含む。アンチスクラッチコーティングは、接着剤層においてバリア膜の前記ガラスから離れる方向に面する面上に配設される。
【0023】
前記接着剤層は、好ましくは0.30mmから1.2mm、好ましくは0.70mmから0.90mmの厚さを有する。バリア膜は、好ましくは0.10mmから0.30mmの厚さを有する。熱可塑性膜は、好ましくは0.3mmから0.9mmの厚さを有する。
【0024】
発光顔料は、好ましくは、式:R
1−COO−P(OH)x(0−4)−COO−R
2を有するヒドロキシアルキルテレフタレートを含み、式中、R
1、R
2は、1から10個のC原子を有するアルキル又はアリル残基であり、Pはフェニル環であり、OHは、前記フェニル環に結合しているヒドロキシル基であり、xは、前記フェニル環に結合しているヒドロキシル基の数である。一般構造式は、
【0025】
【化1】
である。
【0026】
発光顔料は、好ましくは、ジエチル2,5−ジヒドロキシテレフタレート(terephtalate)を含む。
【0027】
構造式は、
【0028】
【化2】
である。
【0029】
発光顔料は、好ましくは、ベンゾピラン、ナフトピラン、2H−ナフトピラン、3H−ナフトピラン、2H−フェナントロピラン、3H−フェナントロピラン、フォトクロミック樹脂、クマリン、キサンチン、ナフタル(naphthalinic)酸誘導体、オキサゾール、スチルベン、スチリル、ペリレン、ナフタルイミド、ナフタール、フェニル、キサンテン、ランタニド、好ましくは、Y
2O
3:Eu、YVO
4:Tm、Y
2O
2S:Pr、Gd
2O
2S:Tb及び/又はこの混合物を含有する。
【0030】
熱可塑性膜は、好ましくは、0.1g/m
2から15g/m
2の発光顔料を含有している。量の表示は、ほぼ0.76mmの厚さの熱可塑性膜を基準にしている。
【0031】
前記ガラスは、好ましくは1mmから8mm、特に好ましくは1.4mmから2.5mmの厚さを有する。
【0032】
バリア膜は、好ましくは、被膜、好ましくは金属被膜、特に好ましくはZnO、Ag、In
2O
3、TiO
2、AlNを有する。前記被膜により、発光性の顔料又は染料に対する拡散バリアとしてのバリア膜の作用が強化される。前記被膜は、好ましくは、熱可塑性膜に隣接しているバリア膜上に配設される。
【0033】
さらに、本発明は、ピクトグラム、数字及び図形文字を表示するためのデバイスを含む。前記デバイスは、上記の窓ガラスと、前記窓ガラスに指向される光源とを備えている。光源は、電磁放射線、好ましくは360nmから420nmの波長の電磁放射線を放出する。光源によって放出される放射線は、前記接着剤層中の発光顔料によって吸収され、波長が変化して再放出される。放出されたこの放射線は、見ている人間によって前記ガラス上の画素として認識される。光源は、好ましくは、ダイオードレーザー又はレーザースキャナーで構成されている。
【0034】
さらに、本発明は、窓ガラスの作製方法を含む。第1工程では、熱可塑性膜(好ましくは、PVB又はEVA)と、アンチスクラッチコーティング(好ましくは、ポリシロキサン)を有するバリア膜(好ましくは、PET)を接着させて、バリア膜の外側に接着剤層(積層膜)を形成させる。次いで、発光顔料を接着剤層の熱可塑性膜の面上に適用する。以下の工程において、接着剤層は、ガラス(熱可塑性膜側)と積層ガラス(アンチスクラッチコーティングを有するバリア膜側)との間に積層される。積層は、好ましくは、120℃から170℃の温度、10バールから15バールの圧力で、30分から240分の間行われる。積層中、発光顔料が、好ましくは、熱可塑性膜全体及びほんのわずかバリア膜中に均一に分布する。積層後、バリア膜は、好ましくは、熱可塑性膜中の1wt%未満の第1の発光顔料を含有する。続いて、積層ガラスを注意深く外し、ガラスと接着剤層の複合材を得る。
【0035】
発光顔料は、好ましくは、噴霧、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用される。
【0036】
さらに、本発明は、建造物、自動車、飛行機、及び/又はヘリコプターの透明又は(部分)着色ディスプレイシステム、ヘッドアップディスプレイとしての、特に好ましくは、自動車のフロントガラスとしての前記窓ガラスの使用を含む。
【0037】
以下において本発明を、図面及び例示的な実施形態ならびに比較例を参照してより詳細に説明する。図面は模式図にすぎず、同じ縮尺ではない。図面は、なんら本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】先行技術による発光粒子含有積層窓ガラスの断面である。
【
図4】本発明による接着剤層の好ましい実施形態の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、先行技術による発光粒子(2a)含有窓ガラス(I)断面を示す。窓ガラス(I)は、少なくとも1つのガラス(1)、1つの他のガラス(6)、及び少なくとも1つのポリマー接着剤層(2)を備えている。接着剤層(2)はPVB製の熱可塑性膜(2b)と発光性の顔料又は染料(2a)とを含み、前記顔料又は染料は、窓ガラス(I)の積層後、熱可塑性膜(2b)中に統計学的に分布する。顔料(2a)熱可塑性膜(2b)中に広範に分布することにより、顔料密度(2a)が高いだけで光度が充分に高くなるため、必要とされる高い顔料濃度となる。
【0040】
図2は、本発明による窓ガラス(II)の断面を示す。窓ガラス(II)は、少なくとも1つのガラス(1)と、少なくとも1つのポリマー接着剤層(2)とを備えている。接着剤層(2)は、PVB製の第1の熱可塑性膜(2b)と、熱可塑性膜(2b)中に分布している発光顔料(2a)とを含む。第1の熱可塑性膜(2b)に続いてPET製のバリア膜(2c)が存在しており、これは、発光性の顔料又は染料(2a)を事実上、含有しない。表現「事実上、含有しない」とは、本発明との関連において、適当な放射線源で励起したとき肉眼で認識可能なバリア膜(2c)中における電磁放射線の放出がないことを意味する。バリア膜(2c)は、ポリシロキサン製のアンチスクラッチコーティング(2d)を含有している。
【0041】
図3は、発光粒子(2a)を有する熱可塑性膜(2b)ならびに熱可塑性膜(2b)に続いてバリア膜(2c)及びポリシロキサン製のアンチスクラッチコーティング(2d)で構成された本発明による接着剤層(2)の拡大断面を示す。
【0042】
図4は、発光粒子(2a)を有する熱可塑性膜(2b)と、第1の熱可塑性膜(2b)に続いてバリア膜(2c)及びアンチスクラッチコーティング(2d)とで構成された本発明による接着剤層(2)の好ましい実施形態の拡大断面を示す。バリア膜(2c)は、熱可塑性膜(2b)に隣接している金属被膜(2e)を有する。この金属被膜は、例えば、IR反射可能又は電気加熱可能に施され得る。
【0043】
図5は、本発明によるデバイスの断面を示す。窓ガラス(II)は、ガラス(1)と接着剤層(2)とを備えている。前記接着剤層(2)は、光源(4)、好ましくはレーザースキャナーによって照光される。接着剤層(2)中に存在する発光顔料(2a)は、見ている人間によって認識される光を放出する。
【符号の説明】
【0044】
(1)ガラス
(2)接着剤層
(2a)発光性の顔料又は染料
(2b)熱可塑性膜
(2c)バリア膜
(2d)アンチスクラッチコーティング
(2e)バリア膜と熱可塑性膜間の被膜
(3)積層ガラス
(4)光源
(5)見ている人間
(6)第2のガラス