(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1電圧入力端子と、第2電圧入力端子と、スイッチング素子と、磁気エネルギー伝達素子とを含むスイッチング型電源装置に使用される磁気エネルギー伝達素子において、
磁気エネルギー伝達素子のコアと、
前記磁気エネルギー伝達素子のコアに巻かれ、前記第1電圧入力端子と前記スイッチング素子の一側の端子との間に接続され、前記スイッチング素子のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第1入力巻線と、
前記磁気エネルギー伝達素子のコアに巻かれ、前記第2電圧入力端子と前記スイッチング素子の他側の端子との間に接続され、前記スイッチング素子のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第2入力巻線と、を含み、
前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第1入力巻線の電位変動及び発生したノイズが外部に及ぼす影響と、前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第2入力巻線の電位変動及び発生したノイズが外部に及ぼす影響とが逆極性であるため、互いに相殺されることを特徴とする磁気エネルギー伝達素子。
前記スイッチング素子のスイッチング動作によって前記第1入力巻線に発生して放出される高周波ノイズと前記スイッチング素子のスイッチング動作によって前記第2入力巻線に発生して放出される逆極性の高周波ノイズとが相殺されて、電源装置の輻射ノイズを低くすることを特徴とする請求項1記載の磁気エネルギー伝達素子。
前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第1入力巻線の電位変動によって電源装置内の線路及び素子に生成される容量結合と、前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第2入力巻線の電位変動によって電源装置内の線路及び素子に生成される逆極性の容量結合とが相殺されて、電源装置の伝導ノイズを低くすることを特徴とする請求項1記載の磁気エネルギー伝達素子。
第1電圧入力端子と、第2電圧入力端子と、スイッチング素子と、磁気エネルギー伝達素子と、出力整流器と、出力線路とを含むスイッチング型電源装置に使用される磁気エネルギー伝達素子において、
磁気エネルギー伝達素子のコアと、
前記磁気エネルギー伝達素子のコアに巻かれ、前記第1電圧入力端子と前記スイッチング素子の一側の端子との間に接続され、前記スイッチング素子のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第1入力巻線と、
前記磁気エネルギー伝達素子のコアに巻かれ、前記第2電圧入力端子と前記スイッチング素子の他側の端子との間に接続され、前記スイッチング素子のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第2入力巻線と、
前記第1入力巻線及び前記第2入力巻線に磁気的に結合してエネルギーを引き出す出力巻線と、を含み、
前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第1入力巻線の電位変動及び発生したノイズが外部に及ぼす影響と、前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第2入力巻線の電位変動及び発生したノイズが外部に及ぼす影響とが逆極性であるため、互いに相殺されることを特徴とする磁気エネルギー伝達素子。
前記スイッチング素子のスイッチング動作によって前記第1入力巻線に発生して放出される高周波ノイズと前記スイッチング素子のスイッチング動作によって前記第2入力巻線に発生して放出される高周波ノイズとが逆極性であり、互いに相殺されることを特徴とする請求項4記載の磁気エネルギー伝達素子。
前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第1入力巻線の電位変動によって電源装置内の線路及び素子に生成される容量結合と、前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第2入力巻線の電位変動によって電源装置内の線路及び素子に生成される逆極性の容量結合とが相殺されることを特徴とする請求項4記載の磁気エネルギー伝達素子。
前記第1入力巻線と前記第2入力巻線とが容量結合して、前記第1入力巻線に生成される高周波ノイズと前記第2入力巻線に生成される逆極性の高周波ノイズとが相殺されて低くなることを特徴とする請求項7記載の磁気エネルギー伝達素子。
前記第1入力巻線と前記第2入力巻線とが容量結合して、前記第2入力巻線に生成される高周波ノイズが前記第1入力巻線に生成される逆極性の高周波ノイズにより相殺されて低くなり、前記第2入力巻線から前記出力巻線に伝達される高周波ノイズが低くなることを特徴とする請求項7記載の磁気エネルギー伝達素子。
さらに前記第1入力巻線に対向して巻かれて前記第2入力巻線に連結される第1結合巻線を含み、前記第1入力巻線と前記第2入力巻線とが前記第1入力巻線と前記第2入力巻線の間の分布容量により結合し、前記第1入力巻線と前記第1結合巻線の間の分布容量により結合して、前記第2入力巻線に生成される高周波ノイズが前記第1入力巻線に生成される逆極性の高周波ノイズによって相殺されることを特徴とする請求項9記載の磁気エネルギー伝達素子。
前記第1入力巻線と前記第2入力巻線が容量結合して、前記第1入力巻線に生成された高周波ノイズが前記第2入力巻線に生成された逆極性の高周波ノイズを相殺し、前記第2入力巻線に生成された高周波ノイズが前記第1入力巻線に生成された逆極性の高周波ノイズを相殺して、両巻線に生成された高周波ノイズが低くなることを特徴とする請求項11記載の磁気エネルギー伝達素子。
第1電圧入力端子と、第2電圧入力端子と、スイッチング素子と、磁気エネルギー伝達素子と、出力整流器と、出力線路とを含むスイッチング型電源装置に使用される磁気エネルギー伝達素子において、
磁気エネルギー伝達素子のコアと、
前記磁気エネルギー伝達素子のコアに巻かれ、前記第1電圧入力端子と前記スイッチング素子の一側の端子との間に接続され、前記スイッチング素子のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第1入力巻線と、
前記磁気エネルギー伝達素子のコアに巻かれ、前記第2電圧入力端子と前記スイッチング素子の他側の端子との間に接続され、前記スイッチング素子のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第2入力巻線と、
前記第1入力巻線及び前記第2入力巻線に結合してエネルギーを引き出す出力巻線と、を含み、
前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第1入力巻線の電位変動により前記出力巻線に及ぼす影響と、前記スイッチング素子のスイッチング動作による前記第2入力巻線の電位変動により前記出力巻線に及ぼす影響とが逆極性であるため、互いに相殺されることを特徴とする磁気エネルギー伝達素子。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気エネルギー伝達素子の巻線による相殺作用を用いて電源装置で電気的な接地に流れる変位電流を低く抑えた磁気エネルギー伝達素子や電源装置がある。しかし、相殺のために少ない巻回(T:Turn)数でぎっしり1層の巻線層を巻き付けるためには、5〜6つの細線を並べて巻く必要がある。よって、巻線作業が容易ではなくトランスフォーマの生産性が低いため単価が上がり、トランスフォーマの高さが低い場合は、複数の巻線をピンに接続できないなどの短所がある。また低いトランスフォーマにおける高さ制限を解除するために変形形態の方式が用いられているが、この場合、電源装置で電気的な接地に流れる変位電流を低く抑える効果の偏差が大きいため、大量生産時にEMIの規格を満たすことが難しいという短所がある。
【0003】
以下、従来技術について簡略に説明する。
【0004】
図1は、一般的なフライバックコンバータ(flyback converter)において、トランスフォーマ13と入力線路16と出力線路17とがトランスフォーマ内の分布容量により結合し、電気的な接地に変位電流を発生させる原理を示している。以下、全ての添付図面において、トランスフォーマの巻線に示された黒点は巻線の開始又は終了を表す。
【0005】
図1において、交流入力電圧は整流されてコンデンサ(capacitor)11によって平滑化される。出力電圧のフィードバックに対応してスイッチング素子12が断続され、トランスフォーマ13の入力巻線131のエネルギーの蓄積及び放出が行われる。出力整流器14及びコンデンサ15は出力巻線133の電圧を整流して負荷に電力を供給する。
【0006】
通常、トランスフォーマ13の入力巻線131の一端とスイッチング素子12との接続点では、スイッチング素子12のターンオン又はターンオフの際に電圧の変化速度が非常に速く、最大500〜600Vの電位変動が発生する。この電位変動は、入力巻線131と出力巻線133の間の分布容量Cpsによる経路、又は入力巻線131とトランスフォーマコアとの分布容量Cpc及びトランスフォーマコアと出力巻線133との分布容量Cscによる経路で出力巻線133に伝達され、出力線路17にノイズ電位を持たせる。また電位変動は、入力巻線131と入力線路16の間の分布容量Cpiにより、入力線路16にノイズ電位を持たせる。また電位変動は、入力巻線131とトランスフォーマコア136との分布容量Cpcにより、トランスフォーマコアにノイズ電位を持たせる。これらノイズの電位は夫々、入力線路16と接地との分布容量Cig、出力線路17と接地との分布容量Cog及びトランスフォーマコアと接地との分布容量Cegによって電流が流れるようにして同相雑音を生成し、このノイズ電流は法規定で定められたレベル以下に管理しなければならない。
【0007】
図2は、従来技術による入力巻線の電位によって出力巻線が容量結合することを相殺させる原理を示している。
【0008】
図2に示すように、入力巻線131は、出力巻線133に向かう方向に電場を生成して出力巻線133に対向する面の分布容量により容量結合電流を生成させ、また出力巻線133に向かう方向の反対方向に電場を生成して入力巻線131とトランスフォーマコア136との分布容量及びトランスフォーマコア136と出力巻線133との分布容量により容量結合電流を生成させる。
【0009】
図2において、出力線路を介して電気的な接地に流れる変位電流を許容値以下に維持するためには、入力巻線131と出力巻線133の間の容量結合電流を低く保持しなければならない。このために、
図2では、入力巻線131から出力巻線133に向かう方向に生成される電場を相殺巻線132によって遮蔽し、また入力巻線131から出力巻線133に向かう方向の反対方向に生成される電場を遮蔽巻線134によって遮蔽している。
【0010】
一方、遮蔽にもかかわらず生成された容量結合は、遮蔽巻線134が入力巻線131の電位と逆極性の電位の電場を形成して除去する。また相殺巻線132は相殺巻線132と出力巻線133の間に逆極性の容量結合を生成して、遮蔽にもかかわらず生成された入力巻線131と出力巻線133の間の容量結合を相殺して除去する。
【0011】
相殺巻線132は、高い電位変動を有する入力巻線131から同じ極性かつ低い電位変動を有する出力巻線133に生成される容量結合を相殺する逆極性の電流を生成するために、出力巻線133の電位変動よりも低い電位変動を有する必要があり、このために相殺巻線132の巻回数は出力巻線133の巻回数よりも少ない。
【0012】
例えば、220Vの定格電圧を入力とし5Vを出力とする携帯電話充電器用の電源に主に使用される8mm巻線幅のトランスフォーマを挙げることができると、出力巻線133の巻回数が8Tである場合、
図2に示す方式では入力巻線131が出力巻線133と容量結合できないように遮蔽しながら結合を相殺するために、相殺巻線132の巻回数は6〜7Tである。7Tで8mmの巻線幅を完全に巻き付けるためには、直径0.18mmの6本の細線を並べてぎっしり並列に巻き付けなければならないため、巻線の巻回が容易ではなく、生産性が低下し、コストが高くなる短所がある。
【0013】
図3は、
図2に示すトランスフォーマの実例を示しており、
図4は、
図3に示すトランスフォーマにおいて、さらに10V内外の補助電源を引き出すための3本のバイアス巻線135を含む例を示している。3本のバイアス巻線135及び6本の相殺巻線132が連結される共通接地用端子5a、7aには総9本の巻線が結線されるが、半田付けされた部品の高さに制限がある小型製品では、この方法を使用することができない。
【0014】
図5は、巻線の作業性を改善するためのトランスフォーマの変形構造を示している。入力巻線131と出力巻線133の間に、相殺のための巻回数より格段に多い巻回数を有するバイアス巻線135を位置させ、入力巻線131と出力巻線133の間及びバイアス巻線135と出力巻線133の間に生成される容量結合を相殺させるために、さらに出力巻線133の一部と容量結合する1つの相殺巻線137を有する構造である。ところが、相殺巻線137を位置付けるためのバリアテープ138が幅の偏差が大きく、相殺巻線137の物理的位置が一定していないため、相殺巻線137と出力巻線133の間の結合には大きい偏差が発生し、この偏差は製品によって大きいEMIを発生させる。
【0015】
図6は、従来技術によるサンドイッチ巻線構造の一例を示しており、入力巻線が電位変動幅の小さい第1入力巻線131aと電位変動幅の大きい第2入力巻線131bとに分かれて出力巻線133の両巻線面をサンドイッチしている。第1入力巻線131aと出力巻線133の間及び第2入力巻線131bと出力巻線133の間には夫々第1遮蔽巻線132a及び第2遮蔽巻線132bを位置させて、第1入力巻線131aと出力巻線133の間及び第2入力巻線131bと出力巻線133の間の容量結合を遮蔽している。ところが、電位変動幅の大きい第2入力巻線131bと出力巻線133の間の容量結合を遮蔽しても、
図3において入力巻線131の巻線層のうち最も低い電位変動幅を有する巻線層と出力巻線133の間で発生する結合電流に比べて格段に大きい結合電流が発生する。また、電位変動幅の大きい第2入力巻線131bが有する高いスパイク電圧は第2遮蔽巻線132bにさらなるノイズを発生させる。したがって、大きい伝導ノイズ及び輻射ノイズが生成され、ラインフィルターを補強したり高周波フィルターを使用したりするなどのノイズ対策が求められている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1の実施形態)
図7は、単一方向の電位変動を有する入力巻線と出力巻線の間の容量結合を遮蔽し相殺するトランスフォーマ19aの一実施形態である原理1を示している。
【0031】
図7に示す原理1では、トランスフォーマ19aは、トランスフォーマコア196の巻線の区間に巻かれた入力巻線191aと出力巻線193と相殺巻線192aとからなっている。
【0032】
図8は、
図7に示す原理1により構成されたトランスフォーマ19aの一実施形態を示しており、
図9は、
図8に示すトランスフォーマ19aを適用したフライバックコンバータの構成図である。
【0033】
図7に示す入力巻線191aは、
図9に示したスイッチング素子12のスイッチング動作による電流の流れの断続によって電位が変動し、出力巻線193の端子のうち、出力整流器に接続された端子の電位変動は、入力巻線191aの電位変動と逆極性である。
【0034】
スイッチング素子12のスイッチングによる入力巻線191aの電位変動の度に、入力巻線191aの電位変動によって電場が変化して出力巻線193が容量結合する。
【0035】
図7に示すトランスフォーマ19aにおいて、入力巻線191aと出力巻線193の間の電位差の変動による容量結合は、入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向に生成させる電場による結合と、入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成させる電場による結合とに分かれる。入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成させる電場によりトランスフォーマコア196が容量結合し、コアの磁路を経てトランスフォーマコア196がさらに出力巻線193と容量結合する。
【0036】
相殺巻線192aは、トランスフォーマ19aに含まれる相殺巻線192a以外の巻線及びトランスフォーマコア196が出力巻線193に生成させる容量結合の和を相殺して除去するために、相殺巻線192aと出力巻線193の間に電位差を持たせて容量結合を生成する。
【0037】
即ち、相殺巻線192aは、相殺巻線192aが出力巻線193との電位差によって出力巻線193に生成させる容量結合が、トランスフォーマ19aに含まれる相殺巻線192a以外の巻線及びトランスフォーマコア196が出力巻線193に生成させる容量結合の和と同じ大きさを有しかつ逆極性になるようにして、出力巻線193に生成される全ての容量結合を相殺して除去する。
【0038】
相殺巻線192aは、入力巻線191aの電位変動と逆極性の電位変動を有する出力巻線193と入力巻線191aとの間の電位差の容量結合と逆極性の容量結合を生成するために、出力巻線193よりも大きい逆極性の電位変動を有する必要がある。したがって、相殺のための相殺巻線192aの巻回数は出力巻線193の巻回数よりも多い。
【0039】
また相殺巻線192aは、入力巻線191aと出力巻線193の間の1層の巻線層をぎっしり詰めて巻かれ、入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向に生成させる電場による容量結合を遮蔽して極小の容量結合が発生する。相殺巻線192aは、遮蔽のために、入力巻線191aと出力巻線193の間の1層の巻線層をぎっしり詰めて巻かれる。
【0040】
相殺巻線192aは、もし入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成させた電場が出力巻線193と全く容量結合しないと、入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向に生成されて遮蔽された電場による小量の容量結合を相殺するために、相殺巻線192aの巻回数が出力巻線193の巻回数よりも1〜2T多く設定される。
【0041】
しかし、本発明では、入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成される電場による容量結合の量を、入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向に生成されて遮蔽される電場による結合の量より大きくして、相殺のために必要な相殺巻線192aの巻回数を生産性のよい巻回数に設定する。
【0042】
入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成させる電場による容量結合の量が大きいほど相殺のための相殺巻線192aの巻回数と出力巻線193の巻回数との差が大きくなるが、大き過ぎると伝導性ノイズが増加する。
【0043】
図7に示す原理1による本発明の一実施形態であるトランスフォーマ19aについて説明する。
【0044】
図8に示すトランスフォーマ19aにおいて、トランスフォーマコア196には入力巻線191aと相殺巻線192aと出力巻線193が順に巻かれる。入力巻線191aの巻線層のうち出力巻線193に最も近接する巻線層は、入力巻線191aの巻線層のうち最も低い電位変動を有する巻線層である。入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向に生成される電場の強度は、主に入力巻線191aの巻線層のうち最も低い電位変動を有する巻線層の電位の影響を受ける。入力巻線191aの巻線層のうち、出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線層は、入力巻線191aの巻線層のうち、最も高い電位変動を有する巻線層である。入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成される電場の強度は、主に入力巻線191aの巻線層のうち最も高い電位変動を有する巻線層の電位の影響を受ける。
【0045】
図9は、トランスフォーマ19aを適用したフライバックコンバータの一例である。
【0046】
図9に示すコンデンサ11、スイッチング素子12、入力線路16及び出力線路17の夫々は、
図1に示した要素に対応する。
【0047】
図9に示す出力整流器14aは、トランスフォーマ19aの出力巻線193が入力巻線191aの電位変動と逆極性の電位変動を有するため、負の電圧を整流し、コンデンサ15の電圧及び出力電圧の極性も
図1の場合と反対である。
【0048】
以下、
図7〜
図9による本発明を再度整理する。
【0049】
図7に示す原理1による本発明のトランスフォーマ19aは、磁気エネルギー伝達素子のコア196と、磁気エネルギー伝達素子のコア196に巻かれ、スイッチング素子12のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される入力巻線191aと、入力巻線191aの一側に対向して巻かれ、入力巻線191aと磁気的に結合してエネルギーを引き出して負荷に供給し、出力整流器14aに接続される端子の電位変動が入力巻線191aの一端とスイッチング素子12の一端との接続点における電位変動と逆極性である出力巻線193と、入力巻線191aと出力巻線193の間に位置して、入力巻線191aと出力巻線193の間の対向する面の分布容量による容量結合を遮蔽し、出力巻線193以外の巻線及び磁気エネルギー伝達素子のコア196から出力巻線193に生成される容量結合の和を相殺して低くするために、出力巻線193に容量結合を生成する相殺巻線192aと、を含み、出力巻線193に生成される容量結合の和を低くするための1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる相殺巻線192aの巻回数は、1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる出力巻線193の巻回数よりも多い。
【0050】
また
図7に示す原理1による本発明のトランスフォーマ19aでは、入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線の巻線面における入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成される電場が、磁気エネルギー伝達素子のコア196を経て出力巻線193と容量結合する。
【0051】
さらに
図7に示す原理1による本発明のトランスフォーマ19aでは、入力巻線191aの巻線層のうち出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線の巻線面における入力巻線191aが出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成される電場によって出力巻線193と容量結合する量が多いほど、1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる相殺巻線192aの巻回数が1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる出力巻線193の巻回数よりも多くなる。
【0052】
図10は、
図7に示す原理1による本発明の他の実施形態であるトランスフォーマ19bを示す。
【0053】
図8に示したトランスフォーマ19aでは、入力巻線191aの巻線層のうち最も高い電位変動を有する層が出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置して、出力巻線193に対向する方向の反対方向に電場を生成する。AC 220Vの入力を整流して使用する場合、最も高い電位変動を有する層の電位変動幅が500V内外と高すぎるため、出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成される電場が大き過ぎて出力巻線193との結合が行過ぎることができる。逆に、入力巻線191aの巻線層のうち高い電位変動を有する層が出力巻線193に最も近接して位置し、最も低い電位変動を有する層が出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置する場合は、入力巻線191aが有する高いスパイク電圧のリンギング(ringing)が分布容量により相殺巻線192aに伝達されて相殺作用の間違いなどを発生させることができる。
【0054】
図10に示すトランスフォーマ19bは、
図8に示したトランスフォーマ19aの問題を改善するためのものである。
【0055】
トランスフォーマ19bは、入力巻線191bの巻線層のうち最も高い電位変動を有する巻線層191b−cを、最も低い電位変動を有する巻線層191b−aと中間の電位変動を有する巻線層191b−bとの間に位置させる。このような構造により、
図8に示すトランスフォーマ19aの入力巻線191aが有する高いスパイク電圧のリンギングが分布容量により他の巻線に影響を及ぼすことを防止することができる。トランスフォーマ19bは、出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成される電場の強度を調節するために、入力巻線191bの巻線層のうち最も低い電位変動を有する巻線層191b−aが出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置する。
【0056】
出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線層191b−aの巻線の厚さや数を他の巻線層191b−b,191b−cと異ならせて巻回数が互いに異なると、巻線層191b−aの電位によって出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成される電場の強度を変化することができる。したがって、相殺のために必要な相殺巻線192bの巻回数を所望の値に設定することができる。
【0057】
図10に示すトランスフォーマ19bでは、入力巻線191bの電位変動幅によって、入力巻線191bの夫々の巻線層191b−a〜191b−cの位置配列を様々に変更することができる。
【0058】
即ち、入力巻線191bの電位変動幅が低い場合、入力巻線191bの巻線層のうち最も高い電位変動を有する巻線層191b−cが、出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置する。入力巻線191bの電位変動幅がより高い場合は、入力巻線191bの巻線層のうち中間の電位変動を有する巻線層191b−bが出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置し、入力巻線191bの電位変動幅が最も高い場合は、最も低い電位変動を有する巻線層191b−aが位置する。
【0059】
図11は、トランスフォーマ19bを適用したフライバックコンバータの構成図であり、トランスフォーマ19b以外の要素は
図9と同様である。
【0060】
以下、
図10及び
図11による本発明を再度整理する。
【0061】
図7に示す原理1による本発明のトランスフォーマ19bでは、出力巻線193との容量結合の量を調節して1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる相殺巻線192bの巻回数を所望の値に設定するために、入力巻線191bの巻線層のうち最も低い電位変動幅を有する巻線層191b−a、最も高い電位変動幅を有する巻線層191b−c及び中間の電位変動幅を有する巻線層191b−bの位置配列を選択する。
【0062】
また
図7に示す原理1による本発明のトランスフォーマ19bでは、入力巻線191bの巻線層のうち電位変動幅が最大である巻線層191b−cが、入力巻線191bの巻線層のうち電位変動幅が最小である巻線層191b−aと入力巻線のその他の巻線層191b−bとの間に位置することができる。
【0063】
さらに
図7に示す原理1による本発明のトランスフォーマ19bでは、1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる相殺巻線192bの巻回数を所望の値に設定するために、入力巻線191bの巻線層のうち出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線層の巻回数と入力巻線191a,191b−a,191b−cの他の巻線層の巻回数とを異ならせることができる。
【0064】
図12に示す原理2は、入力巻線191cの電位変動幅に関係なく、出力巻線193に対向する方向の反対方向に形成される電場の強度を調節する方法を提示している。
図12に示す入力巻線191c及び出力巻線193の夫々は、
図7に示した入力巻線191a及び出力巻線193に対応する。
【0065】
図12において、入力巻線191cの電位変動と同じ極性の電位を有するコアバイアス巻線194は、入力巻線191cの高い電位変動を有する層とトランスフォーマ19cのコア196との容量結合を遮蔽するとともに、入力巻線191c及びコアバイアス巻線194が有する電位によって出力巻線193に対向する方向の反対方向に電場を形成してトランスフォーマコア196を容量結合し、コアの磁路を経て出力巻線193と容量結合させる。
【0066】
相殺巻線192cは入力巻線191cと出力巻線193の間の1層の巻線層をぎっしり詰めて巻かれて入力巻線191cが出力巻線193に対向する方向に生成させた電場による容量結合を遮蔽し、遮蔽にもかかわらず生成された微小な結合電流及び入力巻線191cとコアバイアス巻線194が出力巻線193に対向する反対方向に生成させた電場による結合電流を、相殺巻線192aと出力巻線193の間に生成された容量結合電流で相殺して除去する。
【0067】
したがって、コアバイアス巻線194の巻回数を適切に選定すれば、相殺のために必要な相殺巻線192cの巻回数を生産性のよい回数に設定することができる。
【0068】
図13は、
図12に示す原理2によって構成されたトランスフォーマの一実施形態である。
図13に示すトランスフォーマ19cにおいて、入力巻線191cの巻線層のうち最も低い電位変動を有する巻線層が出力巻線193から最も近接して巻かれ、最も高い電位変動を有する巻線層が最も遠くに位置する。その他の事項は
図12と同様である。
【0069】
図14は、トランスフォーマ19cを適用したフライバックコンバータの構成図であり、トランスフォーマ19c以外の要素は
図9と同様である。
【0070】
以下、
図12〜
図14による本発明を再度整理する。
【0071】
図12に示す原理2による本発明のトランスフォーマ19cは、さらに、入力巻線191cの巻線層のうち出力巻線193から最も遠い巻線層とトランスフォーマのコア196との間に巻かれ、入力巻線191cの一端とスイッチング素子12の一端との接続点における電位変動の極性と同じ極性の電位変動を有するコアバイアス巻線194を含み、入力巻線191cが出力巻線193に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線層の巻線面における出力巻線193に対向する方向の反対方向に形成される電場によって出力巻線193に生成される容量結合の量はコアバイアス巻線194の巻回数により調節される。
【0073】
図12に示すトランスフォーマ19cでは、コアバイアス巻線194によって出力巻線193に対向する方向の反対方向に電場を生成する。これに比べて、
図15に示すトランスフォーマ19dでは、コアバイアス巻線194dの終端をトランスフォーマコア196に直接接続させ、トランスフォーマコア196がコアバイアス巻線194の電位によって電場を生成する。
図15に示す入力巻線191d、出力巻線193及び相殺巻線192dの夫々は、
図12に示す入力巻線191c、出力巻線193及び相殺巻線192cに対応する。
【0074】
図15に示した相殺巻線192dは、入力巻線191dが出力巻線193に対向する方向に生成させた電場による容量結合を遮蔽し、遮蔽にもかかわらず生成された微小な結合電流及びトランスフォーマコア196が生成させた電場による結合電流を、相殺巻線192dと出力巻線193の間の電位差による容量結合電流で相殺して除去する。
【0075】
したがって、コアバイアス巻線194dの巻回数を適切に選定することにより相殺のために必要な相殺巻線192dの巻回数を所望の値に設定することができる。
【0076】
図16は
図15のトランスフォーマ19dを適用したフライバックコンバータの構成図であり、トランスフォーマ19d以外の要素は
図9と同様である。
【0077】
以下、
図15及び
図16による本発明を再度整理する。
【0078】
図12に示す原理2による本発明のトランスフォーマ19dは、さらに、入力巻線191dの巻線層のうち出力巻線193から最も遠い巻線層とトランスフォーマコア196との間に巻かれ、入力巻線191dの一端とスイッチング素子12の一端との接続点の電位変動の極性と同じ極性の電位変動を有する一側の端子がトランスフォーマコア196に接続するコアバイアス巻線194dを含み、トランスフォーマコア196に形成される電場によって出力巻線193に生成される容量結合の量がコアバイアス巻線194dの巻回数によって調節される。
【0079】
このように本発明では、出力巻線193に対向する方向の反対方向に生成される電場によってトランスフォーマコア196などを経て出力巻線193と容量結合する量を設定して、電源装置で電気的な接地に流れる変位電流を低くするための相殺巻線192a〜192dの巻回数を、生産に有利かつ補助電源の引き出しに適合する巻回数に設定することができる。
【0080】
また、本発明によるトランスフォーマ19a〜19dの相殺巻線192a〜192dは、巻線が容易であるため生産性が向上し、多い巻回数によって1層の巻線層をぎっしり詰めた相殺巻線192a〜192dの物理的な位置変動が少なく出力巻線との容量結合の偏差が少ないため、相殺特性の偏差が少なく大量生産時にも伝導性EMIの偏差を小さく抑えることができ、生産単価を低減してコスト削減の効果を奏することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
図3に示す従来のトランスフォーマ13a及び
図8〜
図16に示すトランスフォーマ19a〜19dにおいて、相殺巻線132,192a〜192dは、入力巻線131,191a〜191dと出力巻線133,193の間の磁気的結合を阻害して漏れインダクタンスを増加させ、効率を低下させる。また相殺巻線132,192a〜192dは、導かれた電圧を用いて入力巻線131,191a〜191dと出力巻線133,193の間の容量結合を相殺させるが、導かれた電圧は入力巻線131,191a〜191dの電圧波形に比べて遅延されかつ歪んだ波形を有するので、相殺の間違いによって周波数帯毎に相殺の効果が異なる。
【0082】
図17は、入力巻線と出力巻線の間の磁気的結合を高めて漏れインダクタンスを低くしかつ効率を向上させ、相殺の間違いを減らして周波数帯毎に相殺の効果に優れた解決対策を提示する原理3を示している。
【0083】
図17に示すトランスフォーマコア226、第1入力巻線221a及び出力巻線223は、
図7に示すトランスフォーマコア196、入力巻線191a及び出力巻線193に対応し、第2入力巻線222aは
図7に示した相殺巻線192aの代わりである。
【0084】
図7と同様に、
図17でも、第1入力巻線221aと出力巻線223の間の容量結合は、第1入力巻線221aが出力巻線223に対向する方向に生成する電場による結合と、第1入力巻線221aが出力巻線223に対向する方向の反対方向に生成する電場による結合とからなる。第2入力巻線222aは第1入力巻線221aと出力巻線223の間の1層の巻線層をぎっしり詰めて巻かれ、第1入力巻線221aが出力巻線223に対向する方向に生成する電場による容量結合を遮蔽する。また遮蔽にもかかわらず生成された第1入力巻線221aと出力巻線223の間の対向する面を通じた微小な結合電流及び第1入力巻線221aが出力巻線223に対向する方向の反対方向に生成する電場によりトランスフォーマコア226を経た結合電流は、第2入力巻線222aと出力巻線223の間に生成された容量結合電流により相殺されて低くなる。また
図7に示した相殺巻線192aと同様に、相殺のために必要な第2入力巻線222aの巻回数は出力巻線223の巻回数よりも多い。
【0085】
図18は、
図17に示す原理3を適用したトランスフォーマ22aを示し、
図19は、
図18に示すトランスフォーマ22aを適用したフライバックコンバータである。以下、
図18及び
図19について説明する。
【0086】
トランスフォーマ22aのトランスフォーマコア226に巻かれた入力巻線は、第1入力巻線221aと第2入力巻線222aとに分かれる。
図19に示すように、“+”入力電圧とスイッチング素子12の間に連結されている第1入力巻線221a及び“−”入力電圧とスイッチング素子12の間に連結されている第2入力巻線222aは、駆動回路18の制御によるスイッチング素子12の断続によって夫々異なる極性の電位変動を有して磁気エネルギーを伝達し、出力巻線223の出力電圧を出力整流器14a及びコンデンサ15で整流し平滑化して負荷にエネルギーを供給する。第2入力巻線222aは入力巻線の一部としてエネルギーを伝達して出力巻線223との結合度が高く漏れインダクタンスが低いため、
図3に示す従来のトランスフォーマ13a及び
図8〜
図16に示すトランスフォーマ19a〜19dに比べてエネルギーの伝達効率が高い。
【0087】
第1入力巻線221aに生成される電位変動や高周波ノイズは、第2入力巻線222aに生成される電位変動や高周波ノイズと逆極性であり、2つの巻線から電源装置内の他の素子や線路に伝われる値が相殺されてこれらの差だけが残る。したがって、2つの巻線からの電場の変動や高周波ノイズのサイズが同一である場合は、電源装置内の他の素子や線路に伝達されるノイズの値が互いに相殺されて非常に低い。
【0088】
第1入力巻線221a及び第2入力巻線222aはスイッチング素子12による断続によって同じ電流の変化を有し、両巻線は同じ瞬間に逆極性の対称波形を生成する。したがって、第2入力巻線222aの電圧は、
図7に示す電圧を導いて用いる相殺巻線192aよりも第1入力巻線221aの電圧波形に一層類似する波形を有し、より正確な相殺作用が可能であるため、広い周波数帯域における優れた相殺の効果が得られる。
【0089】
図18は、
図7と同様に、相殺のために必要な第2入力巻線222aの巻回数を出力巻線223の巻回数よりも多くするために、出力整流器14aに接続される出力巻線223の端子の電圧が第1入力巻線221aの電位変動と逆極性になるようにする。したがって、
図19に示すように、出力整流器14aにより整流し、コンデンサ15により平滑化した出力電圧は“−”電圧である。
【0090】
図18では第2入力巻線222aは、第2入力巻線222aと出力巻線223の間に生成される容量結合によって第2入力巻線222a以外の巻線及びトランスフォーマコア226から出力巻線223に容量結合する和を相殺して除去することにより、電源装置の出力線路17を介して電気的接地に流れる変位電流を格段に低くする。
【0091】
図7に示す相殺巻線192aと同様に、第1入力巻線221aから逆極性の電位を有する出力巻線223に生成される容量結合を相殺するために、第2入力巻線222aは出力巻線223よりも大きい逆極性の電位を有する必要があり、出力巻線223の巻回数より多い巻回数を有する。また相殺のための第2入力巻線222aの巻回数は、第1入力巻線221aが出力巻線223に対向する方向の反対方向に生成する電場による容量結合の量によって、出力巻線223の巻回数よりも遥かに多く設定される。また第2入力巻線222aのフライバック電圧をダイオード20及びコンデンサ21で整流し平滑化して、駆動回路18のための補助電源に活用することもできる。この場合、補助電源の供給のための別途の巻線が不要であるため、巻線の構造が簡単となり、コストを節減することができる。
【0092】
図18に示すように、
図19に示したスイッチング素子12の電流変化により第1入力巻線221a及び第2入力巻線222aに発生する高周波ノイズは互いに対称した逆極性を有する。
【0093】
第1入力巻線221aと第2入力巻線222aを容量結合して第1入力巻線221aに発生した高周波ノイズを第2入力巻線222aに重畳すると、第2入力巻線222aの高周波ノイズが相殺されて低くなる。この場合、第2入力巻線222aに対向して巻かれて容量結合する出力巻線223には小さい高周波ノイズが伝達されるので、電源装置の出力線路を介する高周波ノイズの輻射が低くなるというさらなる長所がある。第1入力巻線221aに第2入力巻線222aに発生した高周波ノイズが重畳されることにより、第1入力巻線221aの高周波ノイズも相殺されて弱くなる。
【0094】
実際の使用においては、第1入力巻線221a、第2入力巻線222a、出力巻線223、スイッチング素子12或いは出力整流器14aなどの適切な部材に抵抗及びコンデンサを設け、高周波ノイズの輻射をさらに低くしているが、これは一般的な事項に過ぎないため、本発明の添付図面では特に図示していない。
【0095】
以下、
図17〜
図19による本発明を再度整理する。
【0096】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aは、トランスフォーマコア226と、トランスフォーマコア226に巻かれ、“+”入力電圧端子とスイッチング素子12の一側の端子との間に接続して、スイッチング素子12のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第1入力巻線221aと、トランスフォーマコア226に巻かれ、“−”入力電圧端子とスイッチング素子12の他側の端子との間に接続して、スイッチング素子12のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第2入力巻線222aと、を含み、スイッチング素子12のスイッチング動作による第1入力巻線221aの電位変動及び発生したノイズが外部に及ぼす影響と、スイッチング素子12のスイッチング動作による第2入力巻線222aの電位変動及び発生したノイズが外部に及ぼす影響とが逆極性であるので相殺される。
【0097】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aは、トランスフォーマコア226と、トランスフォーマコア226に巻かれ、“+”入力電圧端子とスイッチング素子12の一側の端子との間に接続して、スイッチング素子12のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第1入力巻線221aと、トランスフォーマコア226に巻かれ、“−”入力電圧端子とスイッチング素子12の他側の端子との間に接続して、スイッチング素子12のスイッチング動作によって電流の流れ及び磁気エネルギーの伝達が断続される第2入力巻線222aと、第1入力巻線221a及び第2入力巻線222aに磁気的に結合してエネルギーを引き出す出力巻線223と、を含み、スイッチング素子12のスイッチング動作による第1入力巻線221aの電位変動及び発生したノイズが外部に及ぼす影響と、スイッチング12のスイッチング動作による第2入力巻線222aの電位変動及び発生したノイズが外部に及ぼす影響とが逆極性であるので相殺される。
【0098】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aでは、スイッチング素子12のスイッチング動作によって第1入力巻線221aで発生して放出される高周波ノイズと、スイッチング素子12のスイッチング動作によって第2入力巻線222aで発生して放出される高周波ノイズとが逆極性であるので相殺される。
【0099】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aでは、
図18と同様に、スイッチング素子12のスイッチング動作による第1入力巻線221aの電位変動によって電源装置内の線路及び素子に生成される容量結合と、スイッチング素子12のスイッチング動作による第2入力巻線222aの電位変動によって電源装置内の線路及び素子に生成される逆極性の容量結合とが逆極性であるので相殺される。
【0100】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aは、第1入力巻線221aと出力巻線223の間に第2入力巻線222aが位置する。
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aでは、トランスフォーマ22aを含む電源装置の伝導性ノイズを低くするために、出力巻線223以外の巻線及びトランスフォーマコア226から出力巻線223に生成される容量結合の和を相殺して低くするために必要な第2入力巻線222aと出力巻線223の間の容量結合を生成するための1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる第2入力巻線222aの巻回数が、1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる出力巻線223の巻回数よりも多い。
【0101】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aでは、第1入力巻線221aが出力巻線223に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線の巻線面における第1入力巻線221aが出力巻線223に対向する方向の反対方向に生成される電場が、トランスフォーマコア226を経て第2入力巻線222aと容量結合する。
【0102】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aでは、第1入力巻線221aの巻線層のうち、出力巻線223に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線層の巻線面における出力巻線223に対向する方向の反対方向に形成される電場によって出力巻線223に生成される容量結合の量が大きいほど、1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる第2入力巻線222aの巻回数が1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる出力巻線223の巻回数よりも多くなる。
【0103】
図18においては、トランスフォーマ22aは第1入力巻線221aの巻線層のうち最も高い電位変動を有する巻線層が出力巻線223に対向する方向の反対方向の端部に位置して出力巻線223に対向する方向の反対方向に電場を生成する。
図8と同様に、トランスフォーマ22aの構造は入力電圧が遥かに高い場合は、第1入力巻線221aの巻線層のうち最も高い電位変動を有する巻線層が生成する電場が強すぎるため、低くする必要がある。
【0104】
図20は、高い入力電圧の場合に対応する一実施形態であるトランスフォーマ22bの構造を示す。
図20に示すトランスフォーマ22bは、第1入力巻線221bの巻線層のうち最も低い電位変動を有する巻線層221b−aが、出力巻線223に対向する方向の反対方向の端部に位置して出力巻線223に対向する方向の反対方向に電場を生成する。またトランスフォーマ22bは、第1入力巻線221bの巻線層のうち最も高い電位変動を有する巻線層221b−cを、最も低い電位変動を有する巻線層221b−aと中間の電位変動を有する巻線層221b−bとの間に位置させ、最も高い電位変動を有する巻線層221b−cの高いスパイク電圧が第2入力巻線222bに容量結合して波形を歪ませ、相殺の間違いが発生しないようにしている。
【0105】
図10と同様に、第1入力巻線221b−a〜221b−cの巻線層のうち電位の変化幅が最も小さい巻線層と、最も大きい巻線層と、中間である巻線層の位置配列は、入力電圧のサイズ、或いは第1入力巻線221bの電位変動幅のサイズによって様々に変更することができる。
【0106】
トランスフォーマ22bは、出力巻線223に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線層の電位によって出力巻線223に対向する方向の反対方向に電場を生成する。第1入力巻線221bにおける各巻線層221b−a〜221b−cの位置及び巻回数の選定によって、出力巻線223に対向する方向の反対方向に生成される電場の強度を調節することができ、相殺のための第2入力巻線222bの巻回数を生産性を考慮した所望の値に設定することができる。
【0107】
トランスフォーマ22bは、第1入力巻線221b−a〜221b−cの巻線層のうち中間の電位変動を有する巻線層221b−bの高周波ノイズを分布容量により第2入力巻線222bに伝達して重畳し、第2入力巻線222bに発生する高周波ノイズを相殺して低くする。
【0108】
図21は、トランスフォーマ22bを適用したフライバックコンバータの構成図であり、トランスフォーマ22b以外の要素は
図19に対応する。
【0109】
以下、
図20及び
図21による本発明を再度整理する。
【0110】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22bは、第1入力巻線221bの巻線層のうち電位の変化幅が最も小さい巻線層221b−aと、電位の変化幅が最も大きい巻線層221b−bと、電位の変化幅が中間である巻線層221b−cとが様々な位置配列で構成されている。
【0111】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22bは、第1入力巻線221bの巻線層のうち電位の変化幅が最も大きい巻線層221b−bが、第1入力巻線221bの巻線層のうち電位の変化幅が最も小さい巻線層221b−aと、その他の巻線層との間に位置する。
【0112】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22bは、1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる第2入力巻線222bの巻回数を所望の値に設定するために、第1入力巻線221b−a〜221b−cの巻線層のうち、出力巻線223に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線層の巻回数と、第1入力巻線221b−a〜221b−cの他の巻線層の巻回数とを異ならせることができる。
【0113】
図22は、
図12及び
図13と同様に、コアバイアス巻線224により出力巻線223に対向する方向の反対方向に生成される電場の強度を設定して出力巻線223に生成される容量結合を相殺させる第2入力巻線222cの巻回数を所望の値に設定するトランスフォーマ22cの構造を示している。
【0114】
図22において、相殺のために必要な第2入力巻線222cの巻回数を出力巻線223の巻回数よりも多くする必要がない場合は、コアバイアス巻線224の巻回数を少なくすることができ、場合によってはコアバイアス巻線224の電位変動と第1入力巻線221cの電位変動とを逆極性にして、コアバイアス巻線224を第1入力巻線221cとトランスフォーマコア226の間の容量結合を遮蔽するために使用することができる。
【0115】
図23は、トランスフォーマ22cを適用したフライバックコンバータの構成図であり、トランスフォーマ22cのコアバイアス巻線224と第2入力巻線222cのフライバック電圧の和をダイオード30及びコンデンサ31で整流し平滑化して駆動回路18のための補助電源として活用する一実施形態を示している。その他の要素は
図19に対応する。
【0116】
以下、
図22及び
図23による本発明を再度整理する。
【0117】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22cは、さらに、第1入力巻線221cの巻線層のうち出力巻線223から最も遠くに位置する巻線層とトランスフォーマコア226との電位差変動による容量結合を遮蔽するコアバイアス巻線224を含む。コアバイアス巻線224は第1入力巻線221cの電位変動と同じ極性或いは逆極性の変動を有する。
【0118】
また
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22cは、さらに、第1入力巻線221cの巻線層のうち出力巻線223から最も遠くに位置する巻線層とトランスフォーマコア226との間に巻かれ、第1入力巻線221cの電位変動と同じ極性の電位変動を有するコアバイアス巻線224を含み、第1入力巻線221cが出力巻線223に対向する方向の反対方向の端部に位置する巻線層の巻線面における出力巻線223に対向する方向の反対方向に形成される電場によって出力巻線223に生成される容量結合の量がコアバイアス巻線224の巻回数により調節される。
【0119】
図24は、第1入力巻線221dと出力巻線223の間に第2入力巻線222dが位置し、第2入力巻線222dと出力巻線223の間に相殺巻線225が位置するトランスフォーマ22dを示している。
【0120】
トランスフォーマ22dは出力巻線223に静電気などのサージ電圧が印加されて生じる影響を防ぐために使用され、出力巻線223を介して相殺巻線225に伝達されたサージ電圧は交流的接地にバイパスされて、第2入力巻線222dには減少した電圧が印加されてスイッチング素子12などを保護することができる。
【0121】
トランスフォーマ22dの相殺巻線225は、第2入力巻線222dと出力巻線223の間の1層の巻線層をぎっしり詰めて巻かれ、第1入力巻線221d及び第2入力巻線222dが出力巻線223に対向する方向に生成する電場による容量結合を遮蔽して非常に小さくする。
【0122】
トランスフォーマ22dの相殺巻線225は、相殺巻線225と出力巻線223の間に容量結合を生成し、トランスフォーマ22dに含まれた相殺巻線225以外の巻線及びトランスフォーマコア226が出力巻線223に生成する容量結合の和を相殺して除去する。相殺のための相殺巻線225の巻回数は、第1入力巻線221dの電位変動と逆極性の電位変動を有する出力巻線223と第1入力巻線221d及び第2入力巻線222dとの間の容量結合の和に逆極性の容量結合を生成するために、出力巻線223より大きい逆極性の電位変動を有する必要があるため、出力巻線223の巻回数よりも多い。
【0123】
図25は、トランスフォーマ22dを適用したフライバックコンバータの構成図であり、トランスフォーマ22d以外の要素は
図19に対応する。
【0124】
以下、
図24及び
図25による本発明を再度整理する。
【0125】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22dは、さらに、第2入力巻線222dと出力巻線223の間の電位差の変動による容量結合を遮蔽し、出力巻線223以外の巻線及びトランスフォーマコア226から出力巻線に生成される電位差の変動による容量結合の和を相殺するための相殺巻線225を含む。
【0126】
また
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22dでは、出力巻線223以外の巻線及びトランスフォーマコア226から出力巻線223に生成される電位差の変動による容量結合の和を相殺して低くするために必要な1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる相殺巻線225の巻回数が、1層の巻線層の単位面積当たりに巻かれる出力巻線223の巻回数よりも多い。
【0127】
図26は、コアバイアス巻線224eの終端をトランスフォーマコア226に接続して、トランスフォーマコア226がコアバイアス巻線224eの電位を有して電場を形成するようにして出力巻線223への容量結合の量を決定し、コアバイアス巻線224eの巻回数を調節することにより相殺に必要な第2入力巻線222eの巻回数を所望の値に設定するトランスフォーマ22eを示しており、
図27は、トランスフォーマ22eを適用したフライバックコンバータの構成図である。トランスフォーマ22e以外の要素は
図19に対応する。
【0128】
以下、
図26及び
図27による本発明を再度整理する。
【0129】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22eは、さらに、第1入力巻線221eの巻線層のうち出力巻線223から最も遠くに位置する巻線層とトランスフォーマコア226との間に巻かれ、第1入力巻線221eの電位変動と同じ極性の電位変動を有する一側の端子がトランスフォーマコア226に接続されるコアバイアス巻線224eを含み、トランスフォーマコア226に形成される電場によって出力巻線223に生成される容量結合の量はコアバイアス巻線224eの巻回数により調節される。
【0130】
図19、
図21及び
図28〜
図30は、高周波ノイズの生成を抑制するか、出力巻線への伝達を防ぐための本発明のフライバックコンバータの構成図である。
【0131】
図19において、スイッチング素子12の駆動による速い電流流れの変化によって第1入力巻線221aに発生する高周波ノイズと、同じ電流流れの変化を有する第2入力巻線222aに発生する高周波ノイズとは逆極性である。第1入力巻線221aと第2入力巻線222aとが分布容量により容量結合しているため、第2入力巻線222aに発生する高周波ノイズに第1入力巻線221aに発生する逆極性の高周波ノイズが重畳され、第2入力巻線222aの高周波ノイズが相殺されて低くなる。高周波ノイズが低くなった第2入力巻線222aに対向して位置する出力巻線223にも低くなった高周波ノイズが伝達されるため、電源装置の出力線路を介する高周波ノイズの輻射が低くなる。また、第1入力巻線221aにも第2入力巻線222aに発生した逆極性の高周波ノイズが伝達されて、第1入力巻線221aに発生した高周波ノイズに第2入力巻線222aに発生する高周波ノイズが重畳されることにより、第1入力巻線221aの高周波ノイズも相殺されて弱くなる。
【0132】
以下、
図19による本発明を再度整理する。
【0133】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aでは、第1入力巻線221aと第2入力巻線222aが容量結合して、第1入力巻線221aに生成される高周波ノイズと第2入力巻線222aに生成される逆極性の高周波ノイズとが相殺して低くなる。
【0134】
また
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22aでは、第1入力巻線221aと第2入力巻線222aが容量結合して、第2入力巻線222aに生成される高周波ノイズが第1入力巻線221aに生成される逆極性の高周波ノイズによって相殺されて低くなり、第2入力巻線222aから出力巻線223に伝達される高周波ノイズが低くなる。
【0135】
図19において、第2入力巻線222aに生成された高周波ノイズを相殺して除去するためには、第1入力巻線221aから第2入力巻線222aに伝達されるノイズのサイズと、第2入力巻線222aに生成された高周波ノイズのサイズとが同一でなければならない。このために、第1入力巻線221aの巻線層のうち第2入力巻線222aと分布容量により容量結合して第2入力巻線222aに生成された高周波ノイズと同じサイズのノイズを伝達できる第1入力巻線221aの巻線層を選定して結合する必要がある。
【0136】
図21は、上記目的を達成するための解決方法の1つとして、第1入力巻線221bの中間層221b−bと第2入力巻線222bとを巻線間の分布容量により結合し、第2入力巻線222bに生成された高周波ノイズを第1入力巻線221bの中間層221b−bに生成された逆極性の高周波ノイズによって相殺して除去した一例を示している。第1入力巻線221bの中間層221b−bの高周波ノイズのサイズを第2入力巻線222bの高周波ノイズを除去するために必要な値に設定するために、第1入力巻線221bの各層の巻回数の比率を調節する。
【0137】
図21において、第2入力巻線222bに発生する高周波ノイズは、第1入力巻線221bの巻回数に対する第2入力巻線222bの巻回数の比率が小さいほど第1入力巻線221bに発生する高周波ノイズに比べて小さく、第1入力巻線221bの巻回数に対する第2入力巻線222bの巻回数の比率が大きいほど第1入力巻線221bに発生する高周波ノイズに比べて大きい。したがって、第1入力巻線221bの巻回数に対する第2入力巻線222bの巻回数の比率によって、第1入力巻線221bの巻線層221b−a〜221b−cのうち、第2入力巻線222bに発生する高周波ノイズを相殺して除去するために第2入力巻線222bと結合すべき巻線層を選定する必要がある。また第2入力巻線222bの高周波ノイズを除去するために、第1入力巻線221bの各巻線層221b−a〜221b−cの巻回数を調節することにより、巻線間の分布容量により第2入力巻線222bに重畳させる高周波ノイズのサイズと、第2入力巻線222bに生成される逆極性の高周波ノイズのサイズとを同一にすることができる。
【0138】
以下、
図21による本発明を再度整理する。
【0139】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22bでは、第1入力巻線221bと第2入力巻線222bが両巻線間の分布容量により結合して、第2入力巻線222bに生成される高周波ノイズが第1入力巻線221bに生成される逆極性の高周波ノイズによって相殺されて低くなる。
【0140】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22bでは、第2入力巻線222bと最も近接して位置する第1入力巻線221bの巻線層が、電位の変化幅が最も小さい巻線層221b−a、電位の変化幅が最も大きい巻線層221b−c及び電位の変化幅が中間である巻線層221b−bのうちのいずれかである。
【0141】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22bでは、分布容量によって第2入力巻線222bと結合する第1入力巻線221bの高周波ノイズのサイズを最適の相殺に必要なサイズに設定するために、第1入力巻線221bの1つ以上の巻線層の巻回数がその他の巻線層の巻回数と異なるように設定される。
【0142】
図28では、
図21に示したように第1入力巻線221bの中間層221b−bと第2入力巻線222bとを巻線間の分布容量により結合することに加えて、第1入力巻線221bの一部と第2入力巻線222bとを抵抗24及びコンデンサ23により結合している。この結合によって、第1入力巻線221bから伝達されたノイズが第2入力巻線222bに生成された逆極性の高周波ノイズを相殺して除去され、出力巻線223に高周波ノイズが伝達されないようにする。
【0143】
図29は、一般的な巻線構造の第1入力巻線251−a,251−bの巻線層と第2入力巻線252の間の分布容量により高周波ノイズを相殺するとともに、第1入力巻線251−a,251−bのタブと第2入力巻線252の間をコンデンサ23及び抵抗24或いはコンデンサ23により結合して、第1入力巻線251の一部巻線の高周波ノイズと第2入力巻線252の逆極性の高周波ノイズとを相殺する実施例を示している。
【0144】
以下、
図28及び
図29による本発明を再度整理する。
【0145】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ22b,25では、
図19、
図21、
図28及び
図29に示したように、第1入力巻線221b,251−a,251−b及び第2入力巻線222b,252は、両巻線間の分布容量による結合及び1つ以上の結合素子による容量結合によって、第2入力巻線222b,252に生成される高周波ノイズが第1入力巻線221b,251−a,251−bに生成される逆極性の高周波ノイズによって相殺されて低くなる。結合素子はコンデンサ23或いはコンデンサ23及び抵抗24であることができる。
【0146】
図28に示すコンデンサ23は高耐圧が求められるものであり、高価である。よって、これを安価の部品に交替するか、或いは除去するためのものを
図30に示す。
【0147】
図30は、第1結合巻線264と第1入力巻線261の一部とを分布容量により結合して、第1結合巻線264をコンデンサ23及び抵抗24を経て第2入力巻線262に連結したものを示しており、第1入力巻線261の一部に生成された高周波ノイズが分布容量により第1結合巻線264に伝達され、第2入力巻線262の逆極性の高周波ノイズに重畳されて、第2入力巻線262の高周波ノイズを除去する。ここで、第1結合巻線264は抵抗24を経て第2入力巻線262に連結されるか、或いは第2入力巻線262に直接連結される。
図30において、第2入力巻線262の高周波ノイズが効果的に除去された場合、第1結合巻線264も高周波ノイズを持たず、第1入力巻線261は高周波ノイズが除去された第1結合巻線264及び第2入力巻線262により遮蔽されて高周波ノイズを外部に輻射することができない。
【0148】
以下、
図30による本発明を再度整理する。
【0149】
図17に示す原理3による本発明のトランスフォーマ26は、
図30と同様に、さらに、第1入力巻線261に対向して巻かれる第1結合巻線264を含み、第1入力巻線261と第2入力巻線262とが第1入力巻線261と第2入力巻線262の間の分布容量により結合し、また第1入力巻線261と第1結合巻線264の間の分布容量により結合して、第2入力巻線262に生成される高周波ノイズが第1入力巻線261に生成される逆極性の高周波ノイズによって相殺されて低くなる。ここで、第2入力巻線262と第1結合巻線264とは直結されるか、或いはコンデンサ23或いはコンデンサ23及び抵抗24或いは抵抗24によって連結される。
【0150】
このような本発明の実施形態では、第2入力巻線222a〜222eの巻回数を出力巻線223より遥かに大きく生産性を考慮した所望の値に設定して、2つ程度の細かい巻線により1層の巻線層をぎっしり詰めて巻くことにより、トランスフォーマの巻線作業の生産性を向上させる。また第2入力巻線222a〜222eのフライバック電圧を整流して補助電源を供給することにより、補助巻線を別に巻いた従来方式に比べて、補助巻線が除去されてトランスフォーマのコストが低くなる。また、1層をぎっしり詰めた第2入力巻線222a〜222eの物理的な位置変動が小さいため、出力巻線との結合の偏差が少なく、大量生産しても均一な相殺によってEMIの偏差を小さく抑えることができる。また高周波ノイズの生成及び輻射を低くすることができるため、ラインフィルターなどの費用を低減することができる。
【0151】
(第3の実施形態)
図31は、本発明によって伝導性ノイズ及び高周波の輻射ノイズを相殺させる構造を有するサンドイッチ巻線構造の一実施形態であるトランスフォーマ27aを示しており、
図32は、
図31に示すトランスフォーマ27aを適用したフライバックコンバータの構成図である。
【0152】
図31及び
図32に示すように、トランスフォーマ27aの入力巻線は第1入力巻線271と第2入力巻線272とに分かれる。“+”入力電圧とスイッチング素子12との間に連結される第1入力巻線271と、“−”入力電圧とスイッチング素子12との間に連結される第2入力巻線272とは、スイッチング素子12の断続によって夫々逆極性の電位変動を有し、磁気エネルギーを蓄積して放出し、出力巻線273を介して出力整流器14a及びコンデンサ15で整流され平滑化されて負荷にエネルギーを供給する。
【0153】
トランスフォーマ27aの第1入力巻線271の端子のうち、スイッチング素子12に接続された端子の電位変動と、第2入力巻線272の端子のうち、スイッチング素子12に接続された端子の電位変動とは逆極性であり、スイッチング素子12の駆動による同じ電流流れの変化によって、第1入力巻線271に発生する高周波ノイズと第2入力巻線272に発生する高周波ノイズとは逆極性である。したがって、第1入力巻線271の電位変動による入力線路16或いは出力巻線273との容量結合と、第2入力巻線272の電位変動による入力線路16或いは出力巻線273との容量結合とが逆極性であるため相殺され、電源装置の入力線路16或いは出力線路17を介して電気的接地に流れる電流は
図1に比べて格段に減少する。また第1入力巻線271に発生して入力線路16或いは出力巻線273に伝達される高周波ノイズは、第2入力巻線272に発生して入力線路16或いは出力巻線273に伝達される逆極性の高周波ノイズによって相殺され、入力線路16或いは出力線路17を介する輻射ノイズも
図1〜
図6に示す従来技術に比べて格段に減少する。
【0154】
また第2入力巻線272の巻回数を出力巻線273に比べて十分に多くすることができるため、1〜2本の細線で1層を詰めて巻くことが容易であり、第2入力巻線272のフライバック電圧をダイオード30及びコンデンサ31で整流し平滑化して補助電源の電圧を引き出すことができるため、別の補助電圧を引き出すための補助巻線が不要である。
【0155】
図31に示すトランスフォーマ27aでは、第1入力巻線271の巻線層271b及び第2入力巻線272がいずれも
図6に示す第2入力巻線131bの高い電位変動に比べて格段に低い電位変動を有し、サンドイッチ巻線構造を有しても
図6に示す従来技術のような大きい結合が発生しない。
【0156】
サンドイッチ巻線構造の一実施形態であるトランスフォーマ27aでは、出力巻線273と第1入力巻線271の間の容量結合と、出力巻線273と第2入力巻線272の間の容量結合とが互いに相殺して除去される。
【0157】
例えば、第2入力巻線272の巻回数が30Tであり、出力巻線273の巻回数が同一方向に8Tであれば、出力巻線273と第2入力巻線272の間には同じ極性に22Tの巻回数の差による電位差が発生し、第1入力巻線271の巻線層のうち出力巻線273と容量結合して対向する巻線層271bの巻回数を反対方向に14Tとすれば、出力巻線273と第1入力巻線271の巻線層271bの間にも22Tの巻回数の差による電位差が発生する。第1入力巻線271の巻線層271aの電位による電場は1層の巻線層をぎっしり詰めて巻かれた第1入力巻線271の巻線層271bにより遮蔽されるが、遮蔽にもかかわらず第1入力巻線271の巻線層271aから出力巻線273に生成される容量結合を勘案して、第2入力巻線272の巻回数を1〜2T増やすか、第1入力巻線271の巻線層271bの巻回数を1〜2T減らすと、第1入力巻線271及び第2入力巻線272から出力巻線273に生成される容量結合の和は相殺され除去される。
【0158】
また30Tである第2入力巻線272に発生して入力線路16や出力巻線273に伝達される高周波ノイズは、高い電位変動を有する巻線層271aと14Tの巻線層271bに発生して入力線路16や出力巻線273に伝達される高周波ノイズによって相殺されて、入力線路16や出力線路17を介する輻射ノイズが
図1〜
図6に示す従来技術に比べて格段に減少する。
【0159】
図32に示す出力整流器14aは、トランスフォーマ27aの第2入力巻線272の電位変動と出力巻線273の電位変動とが同じ極性を有するため、出力巻線273から負の電圧を整流し、コンデンサ15で平滑化して負の出力電圧が得られる。もし出力巻線273の電位変動と第1入力巻線271の電位変動とが同じ極性であれば、出力整流器14aの方向が変化し、コンデンサ15で平滑化して得られたる出力電圧は陽の電圧になる。
【0160】
以下、
図31及び
図32による本発明を再度整理する。
【0161】
図31に示すトランスフォーマ27aは、出力巻線273が第1入力巻線271と第2入力巻線272との間に位置する。
図31に示すトランスフォーマ27aでは、第1入力巻線271から出力巻線273に生成される容量結合と、第2入力巻線272から出力巻線273に生成される容量結合とが相殺されて低くなる。
【0162】
図33に示すトランスフォーマ27bは、第1入力巻線271、出力巻線273及び第2入力巻線272のサンドイッチ構造において、第1入力巻線271と出力巻線273の間に第1遮蔽巻線274を、第2入力巻線272と出力巻線273の間に第2遮蔽巻線275を含む。
【0163】
図31に示すトランスフォーマ27aの一例では、出力巻線273と容量結合する第2入力巻線272は30T、出力巻線273と容量結合する第1入力巻線271の巻線層271bは14Tであった。トランスフォーマ27aの第2入力巻線272に発生して出力巻線273に伝達される高周波ノイズは、たとえ従来技術より低いが、第1入力巻線271の巻線層271bに発生して出力巻線273に伝達される高周波ノイズとサイズが異なるので、完全には相殺しない。また8Tの出力巻線273と30Tの第2入力巻線272の間には22Tに該当する電位差があるので、生成される容量結合の量も大きく、相殺して除去しても出力線路17を介する伝導ノイズを減らすには限界がある。
【0164】
図33は、第1入力巻線271から出力巻線273に伝達される高周波ノイズのサイズと、第2入力巻線272から出力巻線273に伝達される高周波ノイズのサイズとを一致させて除去し、生成される容量結合の量を大幅減らす解決方法を示している。
【0165】
図33では、トランスフォーマ27bにおける第1遮蔽巻線274と第2遮蔽巻線275とは、第1入力巻線271及び第2入力巻線272から出力巻線273に生成される容量結合を遮蔽し、遮蔽にもかかわらず生成された結合を第1遮蔽巻線274と出力巻線273との容量結合及び第2遮蔽巻線275と出力巻線273との容量結合により相殺する。また第1入力巻線271及び第2入力巻線272の巻線層のうち、出力巻線273に最も近接して巻かれた層の巻回数を調節することにより、第2入力巻線272に発生して出力巻線273に伝達された高周波ノイズのサイズと、第1入力巻線271に発生して出力巻線273に伝達された逆極性の高周波ノイズのサイズとを一致させ、出力巻線273に伝達される高周波ノイズのほとんどを相殺して除去し、出力線路17を介する輻射ノイズの伝達を
図31よりも低くすることができる。
【0166】
以下、
図33による本発明を再度整理する。
【0167】
図33に示すトランスフォーマ27bは、
図31に示すトランスフォーマ27aにおいて、さらに第1入力巻線271と出力巻線273の間の電位差変動による容量結合を遮蔽する第1遮蔽巻線274と、第2入力巻線272と出力巻線273の間の電位差変動による容量結合を遮蔽する第2遮蔽巻線275と、を含む。
【0168】
図34に示すトランスフォーマ27cは、
図31に示す第1入力巻線271、出力巻線273及び第2入力巻線272のサンドイッチ構造において、さらに第2入力巻線272と出力巻線273の間に第2遮蔽巻線275を含む。
【0169】
この場合、第1入力巻線271の巻線層のうち、出力巻線273に近接する巻線層271bの巻回数を第2入力巻線272の巻回数と同一又は同様に設定することができるため、第2入力巻線272に発生して出力巻線273に伝達された高周波ノイズのサイズと、第1入力巻線271に発生して出力巻線273に伝達された逆極性の高周波ノイズのサイズとを一致させることができる。
【0170】
第2遮蔽巻線275は第2入力巻線272から出力巻線273に生成される容量結合を遮蔽し、遮蔽にもかかわらず生成された結合及び第1入力巻線271と出力巻線273の間の容量結合を第2遮蔽巻線275と出力巻線273の間の容量結合により相殺する。例えば、第1入力巻線271の巻線層のうち、出力巻線273に最も近い巻線層271bの巻回数が30Tであり、出力巻線273の巻回数が同じ方向に8Tであれば、第2入力巻線272の巻回数を30T内外に設定して高周波ノイズのサイズを一致させる。第2遮蔽巻線275を第1入力巻線271の逆極性で14T内外に設定して、第1入力巻線271と出力巻線273の間の24Tの電位差による容量結合と逆極性でかつ同じサイズの容量結合を出力巻線273との間に生成して相殺させる。
【0171】
したがって、出力線路17を介する輻射ノイズを
図31よりも低くすることができる。
【0172】
以下、
図34による本発明を再度整理する。
【0173】
図34に示すトランスフォーマ27cは、
図31に示すトランスフォーマ27aにおいて、さらに第2入力巻線272と出力巻線273の間の電位差の変動による容量結合を遮蔽する第2遮蔽巻線275を含む。
【0174】
図35に示すトランスフォーマ27dは、
図31に示す第1入力巻線271、出力巻線273及び第2入力巻線272のサンドイッチ構造において、第1入力巻線271と出力巻線273の間に第1遮蔽巻線274を含む。
【0175】
図35は、第1入力巻線271の巻線層のうち、出力巻線273と最も近接する巻線層271bの巻回数を第2入力巻線272の巻回数と同一或いは同様にすることができるため、第2入力巻線272に発生して出力巻線273に伝達された高周波ノイズのサイズと、第1入力巻線271に発生して出力巻線273に伝達された逆極性の高周波ノイズのサイズとを一致させることができる。
【0176】
第1遮蔽巻線274は第1入力巻線271から出力巻線273に生成される容量結合を遮蔽し、遮蔽にもかかわらず生成された結合及び第2入力巻線272と出力巻線273の間の容量結合を第1遮蔽巻線274と出力巻線273の間の容量結合により相殺する。例えば、第2入力巻線272の巻回数が30Tであり、出力巻線273の巻回数が同じ方向に8Tであれば、第1入力巻線271の巻線層のうち出力巻線273に最も近い巻線層271bの巻回数を30T内外に設定して高周波ノイズのサイズを一致させる。第1遮蔽巻線274を第2入力巻線272の逆極性で14T内外に設定し、第2入力巻線272と出力巻線273の間の24Tの電位差による容量結合と逆極性でかつ同じサイズの容量結合を出力巻線273との間に生成して相殺させる。
【0177】
以下、
図35による説明した本発明を再度整理する。
【0178】
図35に示すトランスフォーマ27dは、
図31に示すトランスフォーマ27aにおいて、さらに第1入力巻線271と出力巻線273の間の電位差の変動による容量結合を遮蔽する第1遮蔽巻線274を含む。
【0179】
図示していないが、
図31〜
図35に示すトランスフォーマ27a〜27dでは、
図28〜
図30に示したように別の結合巻線や外部の結合素子を用いて第1入力巻線271と第2入力巻線272を容量結合し、第1入力巻線271及び第2入力巻線272に生成されるノイズを相殺することができる。
【0180】
図30を応用すれば、トランスフォーマ27a〜27dは、さらに第1入力巻線271の一部に対向して巻かれる第1結合巻線を含み、第1入力巻線271の一部と第2入力巻線272とが第1入力巻線271と第1結合巻線の間の分布容量により結合して、第1入力巻線271の一部に生成される高周波ノイズと第2入力巻線272に生成される逆極性の高周波ノイズとを重畳して相殺することができる。
【0181】
図30を他の方法で応用すれば、トランスフォーマ27a〜27dは、さらに第2入力巻線272に対向して巻かれる第2結合巻線を含み、第2入力巻線272と第1入力巻線271とが第2入力巻線272と第2結合巻線の間の分布容量により結合して、第1入力巻線271に生成される高周波ノイズと第2入力巻線272で生成される逆極性の高周波ノイズとを重畳して相殺することができる。
【0182】
図30をさらに他の方法で応用すれば、トランスフォーマ27a〜27dは、さらに第1入力巻線271の一部に対向して巻かれる第1結合巻線、及び第2入力巻線272に対応して巻かれる第2結合巻線を含み、第2入力巻線272と第1入力巻線271とが第1入力巻線271と第1結合巻線の間の分布容量及び第2入力巻線272と第2結合巻線の間の分布容量により結合して、第1入力巻線271に生成される高周波ノイズと第2入力巻線272に生成される逆極性の高周波ノイズとを重畳して相殺することができる。
【0183】
以下、図示していない本発明について再度整理する。
【0184】
図31〜
図35に示すトランスフォーマ27a〜27dでは、
図28〜
図30に示すように第1入力巻線271と第2入力巻線272が容量結合して第1入力巻線271に生成された高周波ノイズが第2入力巻線272に生成された逆極性の高周波ノイズを相殺し、第2入力巻線272に生成された高周波ノイズが第1入力巻線271に生成された逆極性の高周波ノイズを相殺して、両巻線に生成された高周波ノイズが低くなる。
【0185】
図31〜
図35に示すトランスフォーマ27a〜27dでは、
図28〜
図30に示すように第1入力巻線271と第2入力巻線272が1つ以上の結合素子により容量結合して、第1入力巻線271に生成される高周波ノイズと第2入力巻線272に生成される逆極性の高周波ノイズとが互いに相殺して低くなる。結合素子としては、コンデンサ或いはコンデンサ及び抵抗を挙げられる。結合素子の一側の端子が第1入力巻線271に接続される接続点は、第1入力巻線271とスイッチング素子12との接続点であるか、或いは第1入力巻線271の中間タブであり、結合素子の他側の端子が第2入力巻線272に接続される接続点は、第2入力巻線272とスイッチング素子12との接続点であるか、或いは第2入力巻線272の中間タブである。
【0186】
図31〜
図35に示すトランスフォーマ27a〜27dでは、図示していないが、
図30を応用して、さらに第1入力巻線271に対向して巻かれる第1結合巻線を含み、第1入力巻線271と第2入力巻線272とが第1入力巻線271と第1結合巻線の間の分布容量により結合して、第1入力巻線271の一部に生成される高周波ノイズと第2入力巻線272に生成される逆極性の高周波ノイズとを相殺することができる。
【0187】
図31〜
図35に示すトランスフォーマ27a〜27dでは、図示していないが、
図30を応用して、さらに第2入力巻線272に対向して巻かれる第2結合巻線を含み、第2入力巻線272と第1入力巻線271とが第2入力巻線272と第2結合巻線の間の分布容量により結合して、第1入力巻線271に生成される高周波ノイズと第2入力巻線272に生成される逆極性の高周波ノイズとを相殺することができる。
【0188】
また
図31〜
図35に示すトランスフォーマ27a〜27dでは、図示していないが、
図30を応用して、さらに第1入力巻線271の一部に対向して巻かれる第1結合巻線と、第2入力巻線272に対向して巻かれる第2結合巻線とを含み、第2入力巻線272と第1入力巻線271が第1入力巻線271と第1結合巻線との間の分布容量及び第2入力巻線272と第2結合巻線との間の分布容量により結合して、第1入力巻線271に生成される高周波ノイズ及び第2入力巻線272に生成される逆極性の高周波ノイズを相殺することができる。
【0189】
(第4の実施形態)
図36は、
図8に示すトランスフォーマ19aを適用したフォワードコンバータの構成図の一例である。
【0190】
トランスフォーマ19aは、コンデンサ11で平滑化された電圧を入力電圧として、駆動回路18によって制御されるスイッチング素子12の断続により、入力巻線191a及び出力巻線193を介してエネルギーを伝達する。出力整流器14a、出力整流器14b、インダクタ29及びコンデンサ15で負の出力電圧を引き出す。
図36においても、入力巻線191aと出力巻線193の間の容量結合を相殺巻線192aにより相殺させ、
図9に示すように、相殺のための相殺巻線192aの巻回数を出力巻線193の巻回数よりも多くすることができる。
【0191】
図37は、
図18に示すトランスフォーマ22aを適用したフォワードコンバータの構成図の一例である。
【0192】
図37に示すように、トランスフォーマ22aは、駆動回路18によって制御されるスイッチング素子12の断続により、第1入力巻線221a、第2入力巻線222a及び出力巻線223を介してエネルギーを伝達し、第1入力巻線221aと出力巻線223の間の容量結合を第2入力巻線222aと出力巻線223の間の容量結合により相殺させ、相殺のための第2入力巻線222aの巻回数を出力巻線223の巻回数よりも多くすることができる。それ以外の素子は
図36に対応する。
【0193】
このように本発明のフライバックコンバータは、サンドイッチ構造で高効率のエネルギー伝達が可能でかつ容量結合による伝導性ノイズの発生が非常に低い。また高周波ノイズの相殺によって輻射ノイズが低く、補助電源を引き出すための補助巻線が不要であるためトランスフォーマの構造が簡単であり、ラインフィルターなどの補強が不要であるため製造コストを大幅節減することができる。