特許第5719451号(P5719451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許5719451-内接歯車ポンプ 図000002
  • 特許5719451-内接歯車ポンプ 図000003
  • 特許5719451-内接歯車ポンプ 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719451
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】内接歯車ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/10 20060101AFI20150430BHJP
   F04C 15/06 20060101ALI20150430BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   F04C2/10 341E
   F04C2/10 341G
   F04C15/06 A
   F04C15/00 H
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-540366(P2013-540366)
(86)(22)【出願日】2011年11月24日
(65)【公表番号】特表2013-543950(P2013-543950A)
(43)【公表日】2013年12月9日
(86)【国際出願番号】EP2011070949
(87)【国際公開番号】WO2012072492
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2013年5月28日
(31)【優先権主張番号】102010062219.2
(32)【優先日】2010年11月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】レーネ・シェップ
(72)【発明者】
【氏名】コルネリウス・レーヴ
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−145658(JP,A)
【文献】 特開平08−177754(JP,A)
【文献】 特開2003−129964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/10
F04C 15/00
F04C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リングギヤ(2)と、リングギヤ(2)に偏心的に配置され、1つの円周区域でリングギヤ(2)と噛み合うピニオン(3)とを有しており、リングギヤ(2)とピニオン(3)は相互の間で外方および内方に向かってポンプ室(7)を区切っており、該ポンプ室はリングギヤ(2)とピニオン(3)が噛み合う円周区域の外部で円周方向に吸込領域(8)から圧力領域(9)まで延びており、および、リングギヤ(2)とピニオン(3)の端面に配置され、リングギヤ(2)とピニオン(3)の端面に当接し、リングギヤ(2)およびピニオン(3)と反対を向いている外面で圧力付勢され、ポンプ室(7)を一方の側で区切る少なくとも1つのアキシャルディスク(16)を有している内接歯車ポンプにおいて、
前記内接歯車ポンプ(1)は吸込領域から少なくとも1つのアキシャルディスク(16)とリングギヤ(2)および/またはピニオン(3)との間への潤滑剤供給部を有しており、
少なくとも1つのアキシャルディスク(16)はリングギヤ(2)およびピニオン(3)のほうを向く内面に斜面(23)を有しており、該斜面は前記内接歯車ポンプ(1)の吸込領域(8)でリングギヤ(2)および/またはピニオン(3)から間隔を有しており、前記内接歯車ポンプ(1)の送出方向でリングギヤ(2)および/またはピニオン(3)に近づいていき、送出方向で狭くなっていく楔形間隙(24)を少なくとも1つのアキシャルディスク(16)とリングギヤ(2)および/またはピニオン(3)との間で区切っており、該楔形間隙は吸込領域(8)と連通するとともに、潤滑剤供給部を形成することを特徴とする、内接歯車ポンプ。
【請求項2】
潤滑剤供給部は、前記内接歯車ポンプ(1)の吸込領域(8)と連通し、少なくとも1つのアキシャルディスク(16)の内面でリングギヤ(2)および/またはピニオン(3)の端面に連通する、少なくとも1つのアキシャルディスク(16)にある潤滑剤通路(25,26)を有しており、
前記潤滑剤通路(25,26)は少なくとも1つのアキシャルディスク(16)を外面から内面へ貫通していることを特徴とする、請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提項の構成要件を備える内接歯車ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
内接歯車ポンプは特許文献1から公知であり、2つの歯車を有しており、すなわち、内歯歯車とも呼ぶことができるリングギヤと、以下において明確に区別するためにピニオンと呼ぶ外歯歯車とを有している。リングギヤとピニオンを合わせて歯車と呼ぶこともある。ピニオンはリングギヤに偏心的に配置されており、それにより、これら両方の歯車は1つの円周区域で相互に噛み合っている。両方の歯車は互いの間で三日月形のポンプ室を区切っており、このポンプ室は円周方向で、内接歯車ポンプの吸込領域から圧力領域まで延びている。ポンプ室は、両方の歯車が互いに噛み合う円周区域の範囲外で延びている。このような内接歯車ポンプのポンプ室は、一部では押除室または単に中間室もしくは自由空間とも呼ばれる。リングギヤはポンプ室を外方に向かって区切り、ピニオンは内方に向かって区切っている。吸込領域は内接歯車ポンプの取込部として理解することができ、圧力領域は排出部として理解することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ特許第19613833B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポンプ室を側方で区切るために、公知の内接歯車ポンプは両方の歯車の各々の側に、歯車のほうを向く内面で歯車の端面に当接するとともに、歯車と反対のほうを向く外面で圧力付勢される、いわゆるアキシャルディスクを有している。アキシャルディスクの内面と外面はその端面である。アキシャルディスクは、内接歯車ポンプの歯車に対して密閉をするためのものであり、定置のアキシャルディスクは、回転する歯車との少ない摩擦を有しているのがよい。アキシャルディスクは気密に密閉をするのではなく、アキシャルディスクと歯車の間には漏れが発生する。良好な密閉作用と、アキシャルディスクと歯車との間の少ない摩擦との間で、良好な妥協を見出すことが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の構成要件を備える本発明の内接歯車ポンプは、内接歯車ポンプの歯車すなわちリングギヤとピニオンの端面に、外面で圧力付勢されるとともに内面で内接歯車ポンプの歯車の端面に対して押圧される、少なくとも1つのアキシャルディスクを有している。本発明による内接歯車ポンプは、外面での圧力付勢によって内面で内接歯車ポンプの歯車の端面に向かって押圧される2つのアキシャルディスクを有しているのが好ましく、すなわち、歯車の各々の端面に1つのアキシャルディスクを有している。本発明は、内接歯車ポンプの吸込領域から、内接歯車ポンプの1つまたは複数のアキシャルディスクと歯車との間への潤滑剤供給を意図している。内接歯車ポンプが作動すると、内接歯車ポンプの回転する歯車が、すなわちリングギヤとピニオンが、吸込領域から、すなわち内接歯車ポンプの取込部から、回転する歯車と、1つまたは複数の定置のアキシャルディスクとの間に液体を送出する。内接歯車ポンプの歯車の端面で、歯車と1つまたは複数のアキシャルディスクとの間へ膜として送出される液体は、内接歯車ポンプにより送出される液体であり、潤滑剤として利用される。このプロセスは、流体力学式のアキシャル・スライドベアリングの潤滑に比肩することができる。本発明は、外面で圧力付勢され、それによって内面で内接歯車ポンプの回転する歯車に向かって押圧される1つまたは複数の定置のアキシャルディスクと、回転する歯車との間の潤滑を改善する。歯車と、1つまたは複数のアキシャルディスクとの間の摩擦および摩耗が少なくなり、耐用寿命が長くなり、内接歯車ポンプの効率が向上する。内接歯車ポンプの作動中に、本発明は、内接歯車ポンプの回転する歯車と、外から歯車に向かって押圧される1つまたは複数の定置のアキシャルディスクとの間の混合摩擦または乾燥摩擦を回避し、もしくは、少なくとも本発明は、摩擦と摩耗を増やして効率と耐用寿命を引き下げる、そのような混合摩擦もしくは乾燥摩擦の危険を低減する。内接歯車ポンプの停止時と始動時にのみ、歯車と、1つまたは複数のアキシャルディスクとの間に混合摩擦または乾燥摩擦が生じることがあり、本発明は内接歯車ポンプの始動時に、歯車とアキシャルディスクとの間の潤滑膜生成を改善して促進する。
【0006】
本発明による内接歯車ポンプは、クレセントすなわち通常三日月形の部材をリングギヤとピニオンの間のポンプ室に備え、その内面に沿ってピニオンの歯の歯先が摺動するとともにその外面に沿ってリングギヤの歯の歯先が摺動する、いわゆるクレセントポンプであってよく、および、そのようなクレセントのないいわゆる内接歯車リングポンプであってもよい。1つまたは複数のアキシャルディスクの外面は、従来技術から知られているとおり、1つまたは複数のアキシャルディスクを内接歯車ポンプの歯車に対して押圧するために、圧力領域すなわち内接歯車ポンプの排出部からの液体で付勢される。
【0007】
従属請求項は、請求項1に記載の発明の好ましい実施形態および発展例を対象としている。
【0008】
本発明の1つの実施形態は、内接歯車ポンプの吸込領域と連通し、1つまたは複数のアキシャルディスクの内面でリングギヤおよび/またはピニオンの端面に連通する、1つまたは複数のアキシャルディスクにある潤滑剤供給部としての潤滑剤通路を意図している。潤滑剤通路は両方の歯車へ分かれていてよく、または、2つ(もしくはそれ以上)の潤滑剤通路が設けられていてよい。
【0009】
本発明のこの実施形態の発展例は、潤滑剤通路が1つまたは複数のアキシャルディスクを外面から内面へ貫通しており、たとえば1つまたは複数の穴が、1つまたは複数のアキシャルディスクを通る1つまたは複数の潤滑剤通路を形成することを意図している。
【0010】
請求項4は、吸込領域を起点として歯車の回転方向で、およびこれに伴って内接歯車ポンプの送出方向で先細になる、1つまたは複数のアキシャルディスクと、内接歯車ポンプの歯車の一方または両方との間の一種の楔形間隙の構成を意図している。楔形間隙を形成するために、1つまたは複数のアキシャルディスクは、内接歯車ポンプの吸込領域で、内接歯車ポンプの歯車から間隔を有する斜面を有しており、この間隔は、歯車の回転方向およびこれに伴って内接歯車ポンプの送出方向で狭まっていく。この斜面は平坦な面であってよいが、必ずしもそうでなくてもよい。楔形間隙はその幅広の領域で内接歯車ポンプの吸込領域と連通し、それにより内接歯車ポンプの歯車は、内接歯車ポンプの作動時に回転したときに、推進作用に基づいて液体を吸込領域から狭まっていく楔形間隙へ、およびこれに伴って回転する歯車の端面と1つまたは複数のアキシャルディスクの内面との間へ送出する。1つまたは複数のアキシャルディスクの斜面と、内接歯車ポンプの歯車との間の楔形間隙は潤滑剤供給部を形成し、単独で、または1つもしくは複数の潤滑剤通路との共同で、1つまたは複数のアキシャルディスクに具体化されていてよい。
【0011】
次に、図面に示されている実施形態を参照しながら、本発明について詳しく説明する。図面は次のものを示している:
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による内接歯車ポンプを示す端面から見た図である。
図2図1の内接歯車ポンプのアキシャルディスクの内面を示す図である。
図3図1の内接歯車ポンプのリングギヤとアキシャルディスクを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す本発明の内接歯車ポンプ1は、リングギヤ2すなわち内歯歯車と、ここではピニオン3と呼ぶ外歯歯車とを有している。ピニオン3は、シャフト4に回転不能に配置されている。リングギヤ2は、図示しないポンプハウジングに押し込まれた軸受リング5で回転可能に滑り支承されている。ピニオン3とリングギヤ2は等しい幅と平行な軸を有しており、ピニオン3とリングギヤ2が1つの円周区域で互いに噛み合うように、互いに偏心的に配置されている。シャフト4を回転駆動することでピニオン3が回転駆動され、さらにこれがリングギヤ2を回転駆動し、回転方向は矢印6で図示されている。ピニオン3とリングギヤ2は、いわば内接歯車ポンプ1の歯車2,3とも呼ぶことができる。
【0014】
ピニオン3とリングギヤ2は、噛み合っていない円周区域で三日月形のポンプ室7を相互の間で区切っており、リングギヤ2はポンプ室7を外側で区切り、ピニオン3はポンプ室7を内側で区切っている。ポンプ室7は吸込領域8から圧力領域9まで延びている。吸込領域8には、取込部10としての穴が連通している。ポンプ室7には、吸込領域8を圧力領域9から隔てる、ここではクレセント11と呼ぶ三日月形の部材が配置されている。クレセント11はピニオン3およびリングギヤ2と同じ幅であり、その円筒状の外面に沿ってリングギヤ2の歯先が摺動するとともに、その中空円筒状の内面に沿ってピニオン3の歯先が摺動する。クレセント11は、リングギヤ2とピニオン3の歯の中間スペースで液体容積を取り囲み、この液体容積が、内接歯車ポンプ1の作動時に回転するピニオン3および回転するリングギヤ2によって、吸込側8から圧力側9へと送出される。本発明の図示した実施例では、クレセント11は2部分からなる部材であり、その両方の部分が互いに枢着結合されるとともに、内部に位置するクレセントばね12により、外方に向かってはリングギヤ2の歯先に対して押圧され、内方に向かってはピニオン3の歯先に対して押圧される。さらに、クレセント11の内側部分と外側部分の間の中間スペース13が圧力領域9と連通しており、それにより、クレセント11の両方の部分は外方に向かってリングギヤ2の歯先に対して押圧されるとともに、内方に向かってピニオン3の歯先に対して押圧される。圧力側9からの圧力付勢に抗して円周方向でストッパボルト15に支持されるピン14が、クレセント11を保持している。
【0015】
ピニオン3およびリングギヤ2の両側にアキシャルディスク16が配置されており、そのうちの一方が図2に示されている。アキシャルディスク16は図示しないポンプハウジングに定置に配置されており、ピニオン3およびリングギヤ2とともに回転はしない。アキシャルディスク16は、その内面で、ピニオン3およびリングギヤ2の端面に当接する。アキシャルディスク16はポンプ室7を側方で区切る。アキシャルディスク16の内面と外面は、アキシャルディスク16の端面である。
【0016】
本発明の図示した実施例では、アキシャルディスク16は略円切片形であり、すなわち円弧と弦で区切られており、アキシャルディスク16は半円よりも大きい。アキシャルディスク16の弦の方向に延びる縁部17は、斜め段部の形態の切込み18で終わっている。アキシャルディスク16のこの形状は、本発明にとって絶対的なものではない。アキシャルディスク16は、内接歯車ポンプ1のシャフト4のための貫通孔19と、クレセント11のストッパボルト15のための穴20とを有している。
【0017】
アキシャルディスク16をピニオン3およびリングギヤ2に対して密閉するために、その外面が圧力付勢される(図2は、一方のアキシャルディスク16の内面を示している。圧力付勢をするために、アキシャルディスク16の外面は、図2には破線で図示され、図3の断面図に見ることができる、いわゆる圧力区画21を有している。圧力区画21は、たとえば三日月形をした、アキシャルディスク16の外面にある凹部である。圧力区画21は、図示しないポンプハウジングに構成されていてもよい。本実施例では圧力区画21は、アキシャルディスク16を横向きに貫通する略四分円のスリット22により、ポンプ室7の圧力領域9と連通している。
【0018】
弦の方向に延びるアキシャルディスク16の縁部17に沿って、本発明による内接歯車ポンプ1のアキシャルディスク16は、アキシャルディスク16の内面に斜面23を有している。斜面23は、アキシャルディスク16の縁部17と平行な帯状部に延びている。ピニオン3およびリングギヤ2に当接するアキシャルディスク16の内面にある斜面23は、ピニオン3およびリングギヤ2の端面と自らの間で楔形間隙24を区切っている。楔形間隙24は、リングギヤ2の断面と、これと平行に外方に向かってリングギヤ2の歯の高さにオフセットされたアキシャルディスク16の断面とを示す図3に見ることができる。その他の部分はすべて明瞭な図解のために図3では省略している。アキシャルディスク16とリングギヤ2との間の楔形間隙24は、アキシャルディスク16とピニオン3との間にも同様に存在している。楔形間隙24は、リングギヤ2およびピニオン3の回転方向6で狭まっていく。図3には破線で図示する吸込領域8に向かって、楔形間隙24は開いている。図3には、内接歯車ポンプ1の取込部10を形成する、ポンプ室7の吸込領域8に連通する穴も破線で図示されている。
【0019】
内接歯車ポンプ1が作動したとき、楔形間隙24は、アキシャルディスク16とピニオン3およびリングギヤ2との間に流体力学式の潤滑を惹起し、もしくはこれを改善する。すなわちピニオン3とリングギヤ2はその回転により、それぞれの端面に付着している液体を吸込領域8から潤滑膜として、自身とアキシャルディスク16との間に送出する。このとき、アキシャルディスク16の斜面23を自身とピニオン3およびリングギヤ2との間で形成する楔形間隙24は、潤滑膜の形成を改善する。圧力付勢により外からピニオン3およびリングギヤ2に対して押圧されるそれぞれのアキシャルディスク16の間の潤滑膜の生成は、流体力学式のアキシャルスライドベアリングの潤滑膜の生成に比肩することができる。潤滑膜は、摩擦と摩耗を低減させる。
【0020】
半径方向で見てピニオン3およびリングギヤ2の歯の高さに、および円周方向で見てストッパボルト15のための穴20の高さに、本発明による内接歯車ポンプ1のアキシャルディスク16は、本発明による内接歯車ポンプ1のアキシャルディスク16を横向きに貫通する穴25,26を有している。換言すると穴25,26は、ピニオン3とリングギヤ2が回転駆動されたときにそれぞれのアキシャルディスク16の間に入るように動く、アキシャルディスク16の縁部17の近傍に配置されている。図3に破線で図示するように、アキシャルディスク16の穴25,26は、内接歯車ポンプ1の側壁にある通路27によって、ポンプ室7の吸込領域8ないし内接歯車ポンプ1の取込部10と連通する。液体は穴25,26を通って、内接歯車ポンプ1の取込部10ないし吸込領域8からピニオン3およびリングギヤ2の端面へと達し、ピニオン3およびリングギヤ2が回転駆動されたときに、外側で当接するアキシャルディスク16と、ピニオン3およびリングギヤ2との間へ送出される。このように穴25,26により、ピニオン3およびリングギヤ2の流体力学式の潤滑が、それぞれのアキシャルディスク16の間で同じく行われる。穴25,26は斜面23に追加して、またはその代替として設けられていてよい。潤滑膜としての液体を、アキシャルディスク16とピニオン3およびリングギヤ2との間の別の個所で供給するために、穴25,26または追加の穴をアキシャルディスク16の別の個所に設けることが考えられる(図示せず)。
【0021】
楔形間隙24は、穴25,26と同様に、アキシャルディスク16と、ピニオン3およびリングギヤ2との間への潤滑剤供給部を形成し、アキシャルディスク16の穴25,26は、より一般的には、潤滑剤通路として理解することもできる。
【符号の説明】
【0022】
2 リングギヤ
3 ピニオン
7 ポンプ室
8 吸込領域
10 取込部
16 アキシャルディスク
17 縁部
21 圧力区画
24 楔形間隙
25 穴
27 通路
図1
図2
図3