【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様によれば、長尺塗布器を用いて第1液体の層を表面の第1エリア上に提供する方法が提供される。なお、塗布器と表面との間には長尺間隙が形成され、間隙は第1液体の長尺小滴で満たされ、ある量の第2液体が塗布器と小滴とに接触して配置され、第1液体および第2液体は不混和性であり、第1エリアは第2液体に対するよりも第1液体に対してより高い濡れ性を示し、この方法は、塗布器と表面との間に相対運動を加えるステップを含み、前記量の第2液体は塗布器の後続側面にのみ配置される。
【0005】
表面に第1液体の層が提供されなければならない支持プレートは、先行技術におけるように第2液体で満たされた槽に沈められなくてもよい。代わって、比較的少量の第2液体を塗布器と表面との間に塗布するのみで充分である。支持プレートの他の表面は第2液体が塗布される必要がなく、したがって本方法の適用の後、これらの表面を洗浄する必要が減る。本方法においては大量の第2液体も必要とされない。
【0006】
塗布器は表面に対して可動であり、表面もまた塗布器に対して可動であり得る。塗布器は第1液体を表面上に分布させ、したがって散布器として機能する。当該量の第2液体は塗布器の後続側面にのみ存在するため、塗布器の前方表面は第2液体に被覆されない。塗布器の前方表面は、好適には、空気等の気体により隣接される。小滴が表面上を通過すると、第1液体の層が第1エリア上に沈殿され、第2液体の層が第1液体の層上に沈殿される。第1液体に対する第1表面の濡れ性がより高いため、第2液体が第1液体を第1表面から押し退けることはない。
【0007】
本発明に係る沈殿方法は先行技術に係る方法よりもより大きい支持プレートの寸法に拡大することがより容易である。
【0008】
第2液体が極性または導電性を有する場合、第1液体および第2液体が提供され且つ支持プレートの1部分を形成する表面は、エレクトロウェッティングディスプレイ装置等のスイッチ可能な光学素子における使用に対して特に好適である。
【0009】
特定の実施形態において、本方法は、ある量の第1液体を間隙内に沈殿することにより間隙を満たすステップを含む。毛管力により、第1液体は間隙の長さに沿って散布され、塗布器が移動する間、第1液体は間隙内に保たれる。間隙の高さは600マイクロメートルよりも小さいことが好ましく、100マイクロメートルより小さいことがより好ましい。
【0010】
第1液体は、塗布器が移動する間、間隙内に沈殿され得る。第2液体は、塗布器の側面に沿った表面上の第2液体の量として、沈殿され得る。第2液体は、第1液体が間隙内に沈殿されることを支援するために、第1液体が提供された後に提供されることが好適である。
【0011】
表面の法線は垂直方向に対して0以外の角度に配置され得る。この角度は沈殿プロセスを調整するために用いられ得る。表面が実質的に水平、すなわち当該角度が実質的に0である場合、作製プロセスは簡素化される。
【0012】
特殊な実施形態において、第1エリアに隣接する第2エリアは、第1液体に対するよりも第2液体に対してより高い濡れ性を示す。濡れ性の差異に起因して、第1液体は、第2エリアに対してではなく、第1エリアに対して優先的に接着するであろう。したがって、塗布器が走査する間、第2液体は第2エリアに対して沈殿、第2エリアから第1液体を排出する。結果として、第1エリアは第1液体の層により被覆され、その厚さは、とりわけ、小滴の形状および走査速度に依存し、第2エリアは第2液体により被覆されることとなる。
【0013】
第1エリアの寸法が小さいとき、沈殿された第1液体は半球に近い形状を取り得る。係る湾曲した沈殿もまた「第1液体の層」という用語に含まれる。
【0014】
表面は第2エリアにより隔てられた複数の第1エリアを含み、それにより1つのパターンが形成され得る。パターンまたはサブパターンは、装飾的機能を有し得、または標識として機能し得る。
【0015】
間隙は、塗布器の長軸に平行であるパターンの寸法と少なくとも同じ長さを有することが好適である。間隙が塗布器の長軸に平行なパターンの寸法と少なくとも同じ長さを有する場合、第1液体の均一な沈殿が表面上において達成されることとなる。第1液体は2回以上の走査においてパターン状に沈殿され、小滴の部分が第1エリア上で2回通過する場合、第1エリア上に沈殿される層の厚さは、小滴が1回のみ通過した第1エリアとは異なるであろう。したがって、厚さの均一度は、より大きい塗布器の1回の掃引でパターンが満たされる場合、より小さい塗布器の数回の掃引で満たされる場合よりも、より大きくなるであろう。
【0016】
好適な実施形態において、塗布器と表面との間の相対運動は塗布器の長軸に対して実質的に垂直な方向でなされる。塗布器および表面が塗布器の長軸に対して好適な実質的垂直方向において互いに対して移動すると、最も広いエリアが塗布器の単一の掃引により被覆される。
【0017】
第1エリアと第2エリアの間の境界線と塗布器の長軸方向とは、本方法を実行するための装置を簡素化するために、0度の角度を形成し得る。
【0018】
本発明の特殊な実施形態において、この角度は0度と異なり得る。長軸の方向は、第1液体および第2液体と表面との間の後続縁部、すなわち第2液体により第1液体が押し退けられる縁部の方向を部分的に決定する。この後続縁部が第1エリアと第2エリアとの間の境界線と線接触を形成するとき、第2エリアにおける第1液体が必ずしも第2エリアから全部すくい取られるとは限らない。境界線が後続縁部に対して0度と異なる角度を形成するとき、線接触はもはや存在せず、点接触のみが存在することとなり、これはピニングをほとんど示さない。結果として、ほぼ全部の第1液体が第2エリアからすくい取られる。境界線と長軸との間の角度が5度以上である場合、顕著な改善がみられる。非常に良好なすくい取り結果は、20度以上の角度に対して取得される。
【0019】
したがって、第1エリアの長方形パターンは、その境界線が長軸に対して0と異なる角度をなす状態で配置されることが好適であるべきである。
【0020】
塗布器による表面のさらなる走査が実行されてもよい。層の厚さの均一度は、塗布器が2回以上走査されるかまたは表面が塗布器の下方で2回以上移動される場合、改善され得る。第1走査の間、第1液体は表面上に沈殿され、それ以降の走査(単数または複数)の間、第1液体は、第1走査において沈殿が過小な場所において第1液体を補い、沈殿が過剰な場所において第1液体を取り除くことにより、表面上に再分布される。
【0021】
表面は第1支持プレートの一部であり得、本方法は第2支持プレートを提供するステップを含む。なお、第2支持プレートは第1支持プレートと第2支持プレートとの間に空間を画成し、この空間は第1液体および第2液体を含む。
【0022】
第1支持プレートおよび第2支持プレートはエレクトロウェッティング素子を形成し得る。第1液体の層および第2液体の層が提供された表面は、表面が第1支持プレートの一部であり、第2支持プレートが提供され、それにより第1支持プレートと第2支持プレートとの間に空間が画成され、空間が第1液体および第2液体を含む場合、閉じられた系に変換され得る。
【0023】
本発明のさらなる態様は、本発明に係る方法を用いて表面の第1エリア上に第1液体の層を提供するための塗布器を含む装置に関する。
【0024】
塗布器は長尺状であることが好適である。本装置は、塗布器および表面を互いに対して移動させるための移動ステージを含むことが好適である。本装置は、塗布器の表面上における高さを制御するための制御器を含むことが好適である。本装置は、大量生産に好適である設備の開発を支援する先行技術に係るスリット被覆設備に非常に類似したものであり得る。本装置は、同一表面の第1走査と後続の第2走査とを実行するために2つの塗布器を有し得る。これら2つの塗布器の間隙は同一であり得、あるいは、第1走査用塗布器に対する間隙は、第2走査用塗布器に対する間隙より大きくてもよく、または小さくてもよい。
【0025】
本発明のさらなる特徴および長所は、本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかとなることであろう。なお、これらの実施形態は例示として提示されたものであり、係る説明は添付の図面を参照してなされる。