特許第5719561号(P5719561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719561
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】ボルト識別方法およびボルト識別装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/34 20060101AFI20150430BHJP
   B07C 5/12 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   B07C5/34
   B07C5/12
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-235982(P2010-235982)
(22)【出願日】2010年10月20日
(65)【公開番号】特開2012-86180(P2012-86180A)
(43)【公開日】2012年5月10日
【審査請求日】2013年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390009896
【氏名又は名称】愛知機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(74)【代理人】
【識別番号】100086520
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義久
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 隆
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−038146(JP,U)
【文献】 特開2004−324734(JP,A)
【文献】 米国特許第02618965(US,A)
【文献】 特開2000−240627(JP,A)
【文献】 実開昭62−092313(JP,U)
【文献】 特開2001−232528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C1/00−99/00
B65G47/00−47/20
F16B23/00,35/00
G01M13/00
G01L7/00−23/32,27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ルトの頭部上面に工具が挿入可能なように形成された工具挿入凹部の開口を塞ぎ、
(b)前記工具挿入凹部内にエアーを供給し、
(c)前記工具挿入凹部内のエアー圧を測定し、
(d)前記エアー圧に基づいて前記ボルトの仕様を識別
(e)前記識別によって識別した前記ボルトを仕様に応じて振り分ける
ボルト識別方法であって、
前記ステップ(e)は、前記識別によって識別した前記ボルトの仕様が第1仕様であった場合は、前記ボルトを保持するとともに水平移動可能なシャッターをそのままの位置で開いて、前記第1仕様のボルトを落下させ、
前記識別によって識別した前記ボルトの仕様が第2仕様であった場合は、前記シャッターが所定位置まで水平移動した後に開いて、前記第2仕様のボルトを落下させるステップである
ボルト識別方法。
【請求項2】
前記ステップ(e)は、前記ステップ(d)で第1仕様であると識別した前記ボルトを適正品として次工程としての締結工程へ送り出し、前記ステップ(d)で第2仕様であると識別した前記ボルトを異品として排出するステップである請求項に記載のボルト識別方法。
【請求項3】
前記ステップ(e)は、前記ステップ(d)で第1仕様であると識別した前記ボルトを次工程としての第1工程へ送出し、前記ステップ(d)で第2仕様であると識別した前記ボルトを次工程としての第2工程へ送り出すステップである請求項に記載のボルト識別方法。
【請求項4】
前記ステップ(d)は、測定した前記エアー圧が所定値未満であるときに前記ボルトを前記第1仕様であると識別し、測定した前記エアー圧が前記所定値以上であるときに前記ボルトを前記第2仕様であると識別するステップである請求項または請求項何れかに記載のボルト識別方法。
【請求項5】
前記ステップ(d)は、測定した前記エアー圧が所定値以上であるときに前記ボルトを前記第1仕様であると識別し、測定した前記エアー圧が前記所定値未満であるときに前記ボルトを前記第2仕様であると識別するステップである請求項または請求項何れかに記載のボルト識別方法。
【請求項6】
仕様の異なるボルトを識別するボルト識別装置であって、
工具が挿入可能なように前記ボルトの頭部上面に形成された上方が開口した工具挿入凹部の該開口を塞ぐ塞ぎ手段と、
該塞ぎ手段により塞がれた前記工具挿入凹部内にエアーを供給するエアー供給手段と、
前記工具挿入凹部内のエアー圧を測定する測定手段と、
前記エアー圧に基づいて前記ボルトの仕様を識別する識別手段と、
前記識別手段によって識別した前記ボルトを仕様に応じて振り分ける振り分け手段とからなり、
前記振り分け手段は、
前記ボルトを保持するとともに水平移動可能なシャッターを備え、
前記識別手段によって識別した前記ボルトの仕様が第1仕様であった場合は、そのままの位置で前記シャッターを開いて、前記第1仕様のボルトを落下させ、
前記識別手段によって識別した前記ボルトの仕様が第2仕様であった場合は、前記シャッターが所定位置まで水平移動した後に前記シャッターを開いて、前記第2仕様のボルトを落下させる手段である
ボルト識別装置。
【請求項7】
前記振り分け手段は、前記識別手段により第1仕様であると識別された前記ボルトを適正品として次工程である締結工程へ送出し、前記識別手段により第2仕様であると識別された前記ボルトを異品として排出する手段である請求項に記載のボルト識別装置。
【請求項8】
前記振り分け手段は、前記識別手段により第1仕様であると識別された前記ボルトを次工程としての第1工程へ送出し、前記識別手段により第2仕様であると識別された前記ボルトを次工程としての第2工程へ送り出す手段である請求項に記載のボルト識別装置。
【請求項9】
前記識別手段は、前記測定手段により測定された前記エアー圧が所定値未満であるときに前記ボルトを前記第1仕様であると識別し、前記測定手段により測定された前記エアー圧が前記所定値以上であるときに前記ボルトを前記第2仕様であると識別する手段である請求項または請求項何れかに記載のボルト識別装置。
【請求項10】
前記識別手段は、前記測定手段により測定された前記エアー圧が所定値以上であるときに前記ボルトを前記第1仕様であると識別し、前記測定手段により測定された前記エアー圧が前記所定値未満であるときに前記ボルトを前記第2仕様であると識別する手段である請求項または請求項何れかに記載のボルト識別装置。
【請求項11】
前記塞ぎ手段は、前記ボルトの頭部上面と接触する部分が弾性部材により形成されてなる請求項乃至請求項10何れかに記載のボルト識別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトを識別できるボルト識別方法およびボルト識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のボルト識別方法としては、特許文献1に開示されているように、ボルトの寸法や呼び名をボルト頭部上面やボルト頭部側面に刻設やシール貼着して、視覚的に識別できるようにするものが提案されている。
こうした方法では、作業者はボルト締結を行う際に、そのボルトが適当であるか否かを視覚的に確認できるので、異なるボルトを誤って使用することがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−193110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている方法では、ボルト締結工程が自動化されているような場合には、ボルト締結装置に誤ったボルトがセットされてしまうと、仕様の異なるボルトであることを識別できずにそのまま使用されてしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のボルト識別方法およびボルト識別装置は、自動化されたボルト締結工程においても確実にボルトの識別をできるようにすることを目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明は、
(a)ルトの頭部上面に工具が挿入可能なように形成された工具挿入凹部の開口を塞ぎ、
(b)前記工具挿入凹部内にエアーを供給し、
(c)前記工具挿入凹部内のエアー圧を測定し、
(d)前記エアー圧に基づいて前記ボルトの仕様を識別
(e)前記識別によって識別した前記ボルトを仕様に応じて振り分ける
ボルト識別方法であって、
前記ステップ(e)は、前記識別によって識別した前記ボルトの仕様が第1仕様であった場合は、前記ボルトを保持するとともに水平移動可能なシャッターをそのままの位置で開いて、前記第1仕様のボルトを落下させ、
前記識別によって識別した前記ボルトの仕様が第2仕様であった場合は、前記シャッターが所定位置まで水平移動した後に開いて、前記第2仕様のボルトを落下させるステップであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のボルト識別方法では、ボルト締結工程が自動化されているような場合であっても、当該工程を追加することにより、ボルトを確実に識別することができ、ボルトを仕様に応じて振り分けることができる。
【0007】
また、本発明のボルトを仕様に応じて振り分けるボルト識別方法において、前記ステップ(e)は、前記ステップ(d)で第1仕様であると識別した前記ボルトを適正品として次工程としての締結工程へ送り出し、前記ステップ(d)で第2仕様であると識別した前記ボルトを異品として排出するステップであるものとすることもできる。
こうすれば、適正なボルトのみを自動的に次工程である締結工程へ送り出すことができる。しかも、適正ボルトでないものは異品として排出することができる。
【0008】
また、本発明のボルトを仕様に応じて振り分けるボルト識別方法において、前記ステップ(e)は、前記ステップ(d)で第1仕様であると識別した前記ボルトを次工程としての第1工程へ送出し、前記ステップ(d)で第2仕様であると識別した前記ボルトを次工程としての第2工程へ送り出すステップであるものとすることもできる。
こうすれば、識別したボルトを各自工程に自動的に送り出すことができる。
【0009】
また、本発明のボルト識別方法において、前記ステップ(d)は、測定した前記エアー圧が所定値未満であるときに前記ボルトを前記第1仕様であると識別し、測定した前記エアー圧が前記所定値以上であるときに前記ボルトを前記第2仕様であると識別するステップであるものとすることもできる。
こうすれば、第1仕様であるか第2仕様であるかを容易に識別できる。
【0010】
また、本発明のボルト識別方法において、前記ステップ(d)は、測定した前記エアー圧が所定値以上であるときに前記ボルトを前記第1仕様であると識別し、測定した前記エアー圧が前記所定値未満であるときに前記ボルトを前記第2仕様であると識別するステップであるものとすることもできる。
こうすれば、第1仕様であるか第2仕様であるかを容易に識別できる。
【0011】
また、本発明は、仕様の異なるボルトを識別するボルト識別装置であって、
工具が挿入可能なように前記ボルトの頭部上面に形成された上方が開口した工具挿入凹部の該開口を塞ぐ塞ぎ手段と、
該塞ぎ手段により塞がれた前記工具挿入凹部内にエアーを供給するエアー供給手段と、
前記工具挿入凹部内のエアー圧を測定する測定手段と、
前記エアー圧に基づいて前記ボルトの仕様を識別する識別手段と、
前記識別手段によって識別した前記ボルトを仕様に応じて振り分ける振り分け手段とからなり、
前記振り分け手段は、
前記ボルトを保持するとともに水平移動可能なシャッターを備え、
前記識別手段によって識別した前記ボルトの仕様が第1仕様であった場合は、そのままの位置で前記シャッターを開いて、前記第1仕様のボルトを落下させ、
前記識別手段によって識別した前記ボルトの仕様が第2仕様であった場合は、前記シャッターが所定位置まで水平移動した後に前記シャッターを開いて、前記第2仕様のボルトを落下させる手段であることを要旨とする。
【0012】
本発明のボルト識別装置では、上方が開口した工具挿入凹部の開口を塞いだ状態で、工具挿入凹部内にエアーを供給し、工具挿入凹部内のエアー圧に基づいてボルトの仕様を識別するから、ボルト締結工程が自動化されているような場合であっても、当該装置を用いてボルトを確実に識別することができ、ボルトを仕様に応じて振り分けることができる。
【0013】
また、本発明のボルト識別装置における前記振り分け手段は、前記識別手段により第1仕様であると識別された前記ボルトを適正品として次工程である締結工程へ送出し、前記識別手段により第2仕様であると識別された前記ボルトを異品として排出する手段であるものとすることもできる。
こうすれば、適正なボルトのみを自動的に次工程である締結工程へ送り出すことができる。しかも、適正ボルトでないものは異品として排出することができる。
【0014】
また、本発明のボルト識別装置における前記振り分け手段は、前記識別手段により第1仕様であると識別された前記ボルトを次工程としての第1工程へ送出し、前記識別手段により第2仕様であると識別された前記ボルトを次工程としての第2工程へ送り出す手段であるものとすることもできる。
こうすれば、識別したボルトを各自工程に自動的に送り出すことができる。
【0015】
また、本発明のボルト識別装置における前記識別手段は、前記測定手段により測定された前記エアー圧が所定値未満であるときに前記ボルトを前記第1仕様であると識別し、前記測定手段により測定された前記エアー圧が前記所定値以上であるときに前記ボルトを前記第2仕様であると識別する手段であるものとすることもできる。
こうすれば、第1仕様であるか第2仕様であるかを容易に識別できる。
【0016】
また、本発明のボルト識別装置における前記識別手段は、前記測定手段により測定された前記エアー圧が所定値以上であるときに前記ボルトを前記第1仕様であると識別し、前記測定手段により測定された前記エアー圧が前記所定値未満であるときに前記ボルトを前記第2仕様であると識別する手段であるものとすることもできる。
こうすれば、第1仕様であるか第2仕様であるかを容易に識別できる。
【0017】
また、本発明のボルト識別装置における前記塞ぎ手段は、前記ボルトの頭部上面と接触する部分が弾性部材により形成されてなるものとすることもできる。
こうすれば、工具挿入凹部の開口をより密着した状態とすることができ、工具挿入凹部内のエアー圧の安定化を図ることができる。この結果、識別の際の誤判定を減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ボルト識別装置の概略正面構成図である。
図2】ボルト識別装置の概略平面構成図である。
図3】識別ボルトの要部拡大斜視図である。
図4】識別ボルトの頭部上面にパッド(塞ぎ手段)を密着させた状態の説明図である。
図5】ボルト識別装置におけるボルト識別処理のフローチャート図である。
図6】識別ボルトの別例を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、ボルト識別装置の概略正面構成図であり、図2は、ボルト識別装置の概略平面構成図である。
このボルト識別装置1は、作業員がボルトを取る前、即ち、ボルトがラインに供給される前にボルトの識別を行う装置である。
【0020】
このボルト識別装置1は、台ベース2上に水平方向に移動可能に移動ベース3が設けられ、図示右端には移動ベース3用のストッパー5が設けられている。なお、移動ベース3は、シリンダー30のロッド32に接続されており、ロッド32の出没により台ベース2上を水平方向に移動する。
また、移動ベース3上にはボルト保持ユニット4が設けられており、このボルト保持ユニット4の上方には、弾性材よりなるパッド8を下面に備えた昇降プレート9が配設されており、昇降プレート9は昇降シリンダー10を介して上下方向に昇降できるものである。
昇降プレート9とパッド8とには、互いに連通するエアー通路9a,8aが貫通形成されており、昇降プレート9の上面には、エアー通路9a,8aに連通するエアー通路11aが内部に形成された連結部材11が取り付けられるとともに、この連結部材11にエアー供給管12が接続されている。エアー供給管12には、エアー切替弁13を介してエアーが供給されるように構成されている。
【0021】
ボルト保持ユニット4は、ボルト7の首部を挟み込み可能なシャッター6と、シャッター6に接続されたロッド62を有するシャッターシリンダー60とから構成されており、ロッド62を突出方向に駆動することによりシャッター6が閉じ、ロッド62をシャッターシリンダー60の図示しないシリンダー内に引っ込めることによりシャッター6が開く。
【0022】
また、エアー供給管12の連結部材11側には、エアー圧を測定する圧力センサ14が接続されている。この圧力センサ14からの信号が制御装置15に送られ、また、制御装置15ではエアー切替弁13の切り替えやシャッター6の開閉および移動ベース3の移動制御を行えるように構成されており、この制御装置15はCPUを中心とするマイクロプロセッサを備え、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備えている。
【0023】
なお、識別ボルトは、図3の要部拡大斜視図で示すような構造となっている。
識別ボルト7は、頭部7aに一体状に垂下してネジ部7bが形成されており、頭部7aには、上面が開放された工具挿入用の工具挿入凹部71が凹状に形成されており、また、頭部7aの上面には、工具挿入凹部71の内外を連通可能に、頭部7aの側面から工具挿入凹部71までに亘って凹設された一対の凹溝72,72が形成されている。
【0024】
なお、図4は、ボルトを識別する際の状態を要部断面で示すものである。
即ち、ボルト保持ユニット4のシャッター6に識別ボルト7がセットされた状態で、昇降シリンダー10が下降し、昇降プレート9の下降により弾性部材であるパッド8が識別ボルト7の頭部7aの上面に密着されると、工具挿入凹部71の上面開口71aが閉ざされることとなり、この状態で、エアー供給管12内にエアーがエアー切替弁13から供給され、図4に示すように、連結部材11および昇降プレート9およびパッド8にそれぞれ同軸状に形成されているエアー通路11a,9a,8aを通り、エアーが識別ボルト7の工具挿入凹部71内に供給される。
【0025】
この状態で圧力センサ14によりエアー圧を測定し、その測定値を制御装置15に送信すると、制御装置15ではROM内に格納されている図5にフローチャートで示す処理プログラムに従ってボルトを識別する。
即ち、図5におけるステップS1では、前述した如く、識別ボルト7がボルト保持ユニット4に供給されているか否かが識別され、供給されている場合には、ステップS2でパッド8が降下して識別ボルト7に密着され、この状態で、ステップS3において、エアー供給管12を介して識別ボルト7の工具挿入凹部71内にエアーが供給され、ステップS4において、圧力センサ14を介してエアー圧が測定され、エアー圧が所定値未満の場合には、即ち、図3のような凹溝72,72が形成されている識別ボルト7の場合には、この凹溝72,72からエアーが外に逃げるために、圧力センサ14で測定されるエアー圧は所定値未満となるため、この識別ボルト7が適正品であると判定して、ステップS5において、昇降シリンダー10を介してパッド8を上昇させる。
【0026】
さらにステップS6でシャッター6を開くことで、適正品と判定された識別ボルト7は下方の正規品シュート16に落下されて、予め正規品シュート16にセットされてあるワッシャーWにセットされてワッシャーWと共に正規品シュート16を介して次工程であるボルト締結工程へ送られる。
凹溝72が形成されていないボルトの場合には、エアーが逃げないためにステップS4で測定されるエアー圧は所定値以上となるため、この所定値以上のエアー圧が測定された場合は、ステップS8でパッド8を上昇させ、ステップS9で、ボルト保持ユニット4を移動ベース3を介し図1における図示右側のストッパー5に当接する位置まで移動させる。移動完了後に、ステップS10においてシャッター6を開き、ボルトを落下させて、下方に配設されている異品排出シュート17内にボルトが排出される(ステップS11)。
【0027】
このようにボルト識別装置1では、上方が開口した工具挿入凹部71の開口71aをパッド8で塞いだ状態で工具挿入凹部71内にエアーを供給し、工具挿入凹部71内のエアー圧に基づいてボルトの仕様を識別するものであるため、ボルト締結工程が自動化されているような場合であっても、このようなボルト識別装置を用いてボルトを確実に識別することができるものとなる。しかも、適正でないボルトは異品として排出することができ、適正品と判定されたボルトのみを自動的に締結工程へ送り出すことができるものとなる。
【0028】
なお、図6は、識別ボルトの変更例を示すものであり、図6の識別ボルト7では、頭部7aの側面から工具挿入凹部71まで貫通するように貫通孔73,73が形成されたものである。
このような構造においても、工具挿入凹部71内にエアーを供給して識別する際に、エアーが貫通孔73,73を通り外側に逃げるために、圧力センサ14で測定されるエアー圧は低く(所定値未満)なる。即ち、貫通孔73を有さないボルトよりもエアー圧が低くなるため、確実にボルトを識別することができるものとなる。
【0029】
なお、本例では、適正品として識別されたボルトのみを次工程としての締結工程へ送出する場合を例示しているが、適正品として識別されたボルトを第1工程へ送出し、異品として識別されたボルトを第2工程へ送出するように構成しても良く、識別したボルトを各次工程に自動的に送り出すことができる。この場合、排出シュート17に替えて第2工程としての締結工程へボルトを送出するためのシュートを配置するものとすれば良い。
【0030】
また、本例では、ボルトを識別する際に、エアー圧が所定値未満であるときは適正品であると識別し、エアー圧が所定値以上であるときは異品であると識別したが、逆に、エアー圧が所定値以上のときに適正品であると識別し、エアー圧が所定値未満であるときに異品であると識別するような構成とすることもできる。
【0031】
なお、本例のボルト識別装置1では、ワークに締結する締結ラインにボルトを供給する前にボルトの識別を行うものとしているが、ボルトをワークに締結する際にボルトの識別を行うものとしても構わない。この場合、ボルト締結装置に本願発明の識別機能、即ち、工具挿入凹部71内にエアーを供給するとともにエアー圧を測定し、エアー圧の値に基づいて適正ボルトか否かを識別する機能を備えるものとすれば良い。
【0032】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
1 ボルト識別装置
3 移動ベース
4 ボルト保持ユニット
6 シャッター
7 識別ボルト
7a 頭部
7b ネジ部
8 パッド(弾性部材)
9 昇降プレート
10 昇降シリンダー
11 連結部材
12 エアー供給管
13 エアー切替弁
14 圧力センサ(エアー圧測定手段)
15 制御装置(識別手段)
30 シリンダー
32 ロッド
60 シャッターシリンダー
62 ロッド
71 工具挿入凹部
71a 上面開口
72 凹溝(連通部)
73 貫通孔(連通部)
W ワッシャー
図1
図2
図3
図4
図5
図6