特許第5719598号(P5719598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719598
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   G02B7/04 E
   G02B7/04 D
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-1133(P2011-1133)
(22)【出願日】2011年1月6日
(65)【公開番号】特開2012-141545(P2012-141545A)
(43)【公開日】2012年7月26日
【審査請求日】2013年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】田口 禎
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−091894(JP,A)
【文献】 特開2002−231540(JP,A)
【文献】 特開2010−286509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持し前記レンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、前記可動体を前記光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、前記可動体を前記光軸方向へ駆動するための駆動機構とを有するレンズ駆動モジュールと、前記レンズ駆動モジュールが実装される基板とを備えるレンズ駆動装置の製造方法であって、
前記駆動機構は、前記可動体に固定される駆動用コイルと、略柱状または略板状に形成され前記固定体に固定されるとともに前記光軸方向における一端面の磁極と他端面の磁極とが異なるように着磁された駆動用磁石とを備え、
前記固定体は、磁性材料で形成され前記固定体の外周面を構成する略筒状の外周側磁性部材と、磁性材料で形成され前記駆動用磁石の前記一端面が固定される端面側磁性部材とを備え、
前記外周側磁性部材の内周面と前記駆動用磁石の側面とは、所定の隙間をあけて対向配置され、
前記外周側磁性部材と前記端面側磁性部材と前記駆動用磁石とは、前記駆動用磁石、前記端面側磁性部材および前記外周側磁性部材を通過するとともに、前記外周側磁性部材の内周面から前記駆動用磁石の前記他端面に向かって、または、前記駆動用磁石の前記他端面から前記外周側磁性部材の内周面に向かって回り込む磁界が形成されるように配置され、
前記駆動用コイルは、前記駆動用磁石の前記他端面側と前記外周側磁性部材の内周面との間に配置されており、
前記レンズ駆動装置の製造工程には、前記一端面の磁極と前記他端面の磁極とが異なるように着磁された前記駆動用磁石を用いて前記レンズ駆動モジュールを組み立てるモジュール組立工程と、前記モジュール組立工程後に前記レンズ駆動モジュールをリフロー方式で半田付けして前記基板に実装するモジュール実装工程と、前記モジュール実装工程後に前記駆動用磁石を着磁する着磁工程とが含まれ
前記着磁工程では、着磁用の空芯コイルの軸方向と前記光軸方向とが一致するように前記空芯コイルの中に複数の前記レンズ駆動装置を配置して複数の前記レンズ駆動装置を同時に着磁することを特徴とするレンズ駆動装置の製造方法。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記一端面が同じ磁極に着磁された複数の前記駆動用磁石を備え、
前記着磁工程で、複数の前記駆動用磁石を同時に着磁することを特徴とする請求項記載のレンズ駆動装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等に搭載される比較的小型のカメラで使用されるレンズ駆動装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等に搭載されるカメラの撮影用レンズを駆動するレンズ駆動装置として、複数のレンズを保持して光軸方向に移動するレンズホルダと、レンズホルダを光軸方向へ駆動するための駆動機構部とを備えるレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、正方形状に巻回された駆動用コイルがレンズホルダの外周側に固定されており、光軸方向の両側から駆動用コイルを挟むように、2個の駆動用磁石が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−198948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電話等に搭載されるカメラの市場では、カメラの薄型化の要求が一段と高まっており、そのため、カメラに使用されるレンズ駆動装置の薄型化の要求も一段と高まっている。しかしながら、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、レンズホルダに固定される駆動用コイルを光軸方向の両側から挟むように2個の駆動用磁石が配置されているため、装置を薄型化していくと、光軸方向における2個の駆動用磁石間の隙間が狭くなる。したがって、このレンズ駆動装置では、装置を薄型化していくと、レンズのストロークを確保することが困難になる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、レンズのストロークを確保しつつ、光軸方向で薄型化することが可能なレンズ駆動装置を容易に製造することが可能となるレンズ駆動装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のレンズ駆動装置の製造方法は、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、可動体を光軸方向へ駆動するための駆動機構とを有するレンズ駆動モジュールと、レンズ駆動モジュールが実装される基板とを備えるレンズ駆動装置の製造方法であって、駆動機構は、可動体に固定される駆動用コイルと、略柱状または略板状に形成され固定体に固定されるとともに光軸方向における一端面の磁極と他端面の磁極とが異なるように着磁された駆動用磁石とを備え、固定体は、磁性材料で形成され固定体の外周面を構成する略筒状の外周側磁性部材と、磁性材料で形成され駆動用磁石の一端面が固定される端面側磁性部材とを備え、外周側磁性部材の内周面と駆動用磁石の側面とは、所定の隙間をあけて対向配置され、外周側磁性部材と端面側磁性部材と駆動用磁石とは、駆動用磁石、端面側磁性部材および外周側磁性部材を通過するとともに、外周側磁性部材の内周面から駆動用磁石の他端面に向かって、または、駆動用磁石の他端面から外周側磁性部材の内周面に向かって回り込む磁界が形成されるように配置され、駆動用コイルは、駆動用磁石の他端面側と外周側磁性部材の内周面との間に配置されており、レンズ駆動装置の製造工程には、一端面の磁極と他端面の磁極とが異なるように着磁された駆動用磁石を用いてレンズ駆動モジュールを組み立てるモジュール組立工程と、モジュール組立工程後にレンズ駆動モジュールをリフロー方式で半田付けして基板に実装するモジュール実装工程と、モジュール実装工程後に駆動用磁石を着磁する着磁工程とが含まれ、着磁工程では、着磁用の空芯コイルの軸方向と光軸方向とが一致するように空芯コイルの中に複数のレンズ駆動装置を配置して複数のレンズ駆動装置を同時に着磁することを特徴とする。
【0008】
本発明のレンズ駆動装置の製造方法によって製造されるレンズ駆動装置では、固定体の外周面を構成する略筒状の外周側磁性部材の内周面と、略柱状または略板状に形成される駆動用磁石の側面とは、所定の隙間をあけて対向配置されており、駆動用コイルは、光軸方向における駆動用磁石の他端面側と外周側磁性部材の内周面との間に配置されている。そのため、可動体を光軸方向へ移動させても、駆動用磁石と駆動用コイルとが干渉しない。したがって、レンズ駆動装置を光軸方向で薄型化しても、光軸方向における可動体のストローク(すなわち、光軸方向におけるレンズのストローク)を確保することが可能になる。すなわち、本発明では、レンズのストロークを確保しつつ、レンズ駆動装置を薄型化することが可能になる。
【0009】
また、本発明のレンズ駆動装置の製造方法では、モジュール組立工程後のモジュール実装工程で、レンズ駆動モジュールをリフロー方式で半田付けして基板に実装しているため、レンズ駆動モジュールを手作業で半田付けして基板に実装する場合と比較して、レンズ駆動モジュールを基板へ容易に実装することが可能になる。したがって、本発明では、レンズ駆動装置を容易に製造することが可能になる。なお、基板に実装されたコネクタにレンズ駆動モジュールを差し込むことでレンズ駆動モジュールを基板に実装すれば、レンズ駆動モジュールを基板に容易に実装することは可能になるが、この場合には、基板に実装されるコネクタが必要となり、レンズ駆動装置の構成が複雑になる。また、この場合には、基板へコネクタを実装する工程が必要になる。
【0010】
ここで、レンズ駆動装置を薄型化するためには、駆動用磁石の薄型化、小型化が必要である一方で、駆動用磁石を薄型化、小型化しつつも駆動機構の駆動力を確保する必要がある。そのため、レンズ駆動装置では、駆動用磁石として、ネオジム磁石等の磁力の強い磁石が利用されることが好ましいが、ネオジム磁石は、加熱されると熱減磁を生じやすい。したがって、熱減磁を生じやすいネオジム磁石等が駆動用磁石として使用され、かつ、レンズ駆動モジュールをリフロー方式で半田付けして基板に実装する場合には、実装時の熱の影響で、駆動用磁石に熱減磁が生じて、駆動機構の駆動力が低下するおそれがある。
【0011】
本発明では、モジュール実装工程後の着磁工程で駆動用磁石を着磁している。そのため、モジュール実装工程で駆動用磁石に熱減磁が生じても、モジュール実装工程で減磁した分の駆動用磁石の磁力を着磁工程で補うことが可能になる。したがって、本発明では、熱減磁を生じやすいネオジム磁石等が駆動用磁石として使用され、かつ、レンズ駆動モジュールがリフロー方式で半田付けされて基板に実装されても、レンズ駆動装置の完成後の駆動用磁石の磁力を確保することが可能になり、駆動機構の駆動力を確保することが可能になる。
【0012】
また、本発明では、モジュール実装工程後の着磁工程で駆動用磁石を着磁しているため、モジュール組立工程で駆動用磁石に熱減磁が生じても、モジュール組立工程で減磁した分の駆動用磁石の磁力を着磁工程で補うことが可能になる。したがって、本発明では、モジュール組立工程で駆動用磁石にかかる温度の制限を緩和することが可能になる。たとえば、モジュール組立工程で熱硬化型の接着剤を用いて所定の部品を接着固定する場合や、モジュール組立工程で溶接、半田付け等で所定の部品を固定する場合に、駆動用磁石にかかる温度の制限を緩和して、駆動用磁石にかかる温度を高く設定することが可能になる。その結果、本発明では、モジュール組立工程において、より生産性の高い組立方法を選択することが可能になり、レンズ駆動モジュールの組立効率を高めることが可能になる。また、本発明では、着磁工程で、複数のレンズ駆動装置を同時に着磁するため、レンズ駆動装置の生産性を高めることが可能になる。
【0014】
本発明において、駆動機構は、一端面が同じ磁極に着磁された複数の駆動用磁石を備え、着磁工程で、複数の駆動用磁石を同時に着磁することが好ましい。このように構成すると、駆動機構が複数の駆動用磁石を備えている場合であっても、レンズ駆動装置の生産性を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明では、レンズのストロークを確保しつつ、光軸方向で薄型化することが可能なレンズ駆動装置を容易に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置の斜視図である。
図2図1のE−E断面の断面図である。
図3図1に示すレンズ駆動装置の分解斜視図である。
図4図1に示すレンズ駆動装置から可動体、板バネおよびベース部材等を取り外した状態を反被写体側から示す図である。
図5図4のG−G断面において被写体側と反被写体側とを反転させた状態を示す断面図である。
図6】本発明の他の実施の形態にかかる駆動用コイルの構成を説明するための図である。
図7】本発明の他の実施の形態にかかるレンズ駆動装置の概略構成を説明するための図であり、(A)は反被写体側からレンズ駆動装置の概略構成を説明するための図、(B)は(A)のH−H断面において被写体側と反被写体側とを反転させた状態を示す断面図である。
図8】本発明の他の実施の形態にかかるレンズ駆動装置の概略構成を反被写体側から説明するための図である。
図9】本発明の他の実施の形態にかかるレンズ駆動装置の概略構成を説明するための図であり、(A)は反被写体側からレンズ駆動装置の概略構成を説明するための図、(B)は(A)のJ−J断面において被写体側と反被写体側とを反転させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(レンズ駆動装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の斜視図である。図2は、図1のE−E断面の断面図である。図3は、図1に示すレンズ駆動装置1の分解斜視図である。なお、以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、図1等のZ1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0020】
本形態のレンズ駆動装置1は、携帯電話、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるものであり、図1に示すように、全体として略四角柱状に形成されている。すなわち、レンズ駆動装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略四角形状となるように形成されている。本形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、レンズ駆動装置1の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
【0021】
本形態では、Z方向(上下方向)が光軸方向とほぼ一致している。また、本形態のレンズ駆動装置1が搭載されるカメラでは、下側に図示を省略する撮像素子が配置されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0022】
レンズ駆動装置1は、図1図2に示すように、レンズ駆動モジュール2と、レンズ駆動モジュール2が実装される基板3とを備えている。レンズ駆動モジュール2は、撮影用のレンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体4と、可動体4を光軸方向へ移動可能に保持する固定体5と、可動体4を光軸方向へ駆動するための駆動機構6とを備えている。可動体4は、板バネ7、8(図2参照)を介して固定体5に移動可能に保持されている。なお、図3では、板バネ7、8の図示を省略している。
【0023】
可動体4は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ9を保持するスリーブ10を備えている。固定体5は、レンズ駆動装置1の4つの側面(外周面)を構成するカバー部材11と、レンズ駆動装置1の反被写体側の端面を構成するベース部材12とを備えている。なお、図3では、レンズホルダ9の図示を省略している。
【0024】
レンズホルダ9は、段付きの略円筒状に形成されており、その内周側には、光軸方向から見たときの形状が略円形状となる複数のレンズが固定されている。スリーブ10は、たとえば、樹脂材料で形成されている。また、スリーブ10は、略筒状に形成されており、その内周面には、レンズホルダ9の外周面が固定されている。
【0025】
カバー部材11は、磁性材料で形成されるとともに、底部11aと筒部11bとを有する底付きの略四角筒状(略有底四角筒状)に形成されている。底部11aは、上側に配置されており、レンズ駆動装置1の被写体側の端面を構成している。底部11aの中心には、円形の貫通孔11cが形成されている。カバー部材11は、駆動機構6および可動体4の外周側を囲むように配置されている。
【0026】
ベース部材12は、樹脂材料で形成されており、略正方形の平板状のベース部12aと、ベース部12aの四隅から上側に向かって立ち上る立上部12bとを備えている。ベース部12aの中心には、円形の貫通孔12cが形成されている。ベース部材12は、カバー部材11の下端側に取り付けられている。また、ベース部材12には、2個の端子13(図3参照)が固定されている。また、ベース部材12の内周側には、可視光を透過して、近赤外光(IR)をカットするIRカットフィルタ(図示省略)が取り付けられている。
【0027】
板バネ7、8は、導電性を有する金属材料で形成されている。また、板バネ7、8は、スリーブ10に固定される可動体側固定部と、ベース部材12の立上部12bに固定される固定体側固定部と、可動体側固定部と固定体側固定部とを繋ぐバネ部とから構成されている。なお、板バネ7は、後述の駆動用コイル16に電流が供給されていないときに、ベース部12aの上面に形成される基準面とスリーブ10の下端面とが当接して可動体4が所定の基準位置に配置されるように、撓んだ状態で、スリーブ10およびベース部材12に固定されている。
【0028】
本形態のレンズ駆動モジュール2は、2個または4個の板バネ8を備えており、後述の駆動用コイル16の一端が1個の板バネ8に半田付け等によって電気的に接続されて固定され、駆動用コイル16の他端が他の板バネ8に半田付け等によって電気的に接続されて固定されている。また、駆動用コイル16の端部が固定される2個の板バネ8のそれぞれは、2個の端子13のそれぞれに半田付け等によって電気的に接続されて固定されている。
【0029】
駆動機構6は、レンズ駆動装置1の四隅(具体的には、カバー部材11の内側の四隅)に配置される略三角柱状の4個の駆動用磁石15と、スリーブ10の外周側に巻回される1個の駆動用コイル16とを備えている。この駆動機構6の詳細な構成については後述する。
【0030】
基板3の上面には、撮像素子が実装されている。また、基板3の上面には、上述のように、レンズ駆動モジュール2が実装されている。具体的には、基板3の上面に形成された回路パターンに端子13が電気的に接続されて固定されることで、基板3にレンズ駆動モジュール2が実装されている。また、基板3には、レンズ駆動モジュール2の駆動回路等も実装されている。
【0031】
(駆動機構の構成)
図4は、図1に示すレンズ駆動装置1から可動体4、板バネ7、8およびベース部材12等を取り外した状態を反被写体側から示す図である。図5は、図4のG−G断面において被写体側と反被写体側とを反転させた状態を示す断面図である。
【0032】
駆動用磁石15は、ネオジム磁石である。この駆動用磁石15は、上下方向から見たときの形状が略直角二等辺三角形となるように形成されており、光軸Lに略平行でかつ互いに直交する矩形状の2個の第1の側面(第1側面)15aと、光軸Lに略平行でかつ2個の第1側面15aを繋ぐ矩形状の1個の第2の側面(第2側面)15bとを備えている。
【0033】
駆動用磁石15は、カバー部材11の筒部11bの内周面と第1側面15aとが略平行に、かつ、所定の隙間をあけて対向するように配置されている。また、4個の駆動用磁石15は、カバー部材11の底部11aに固定されている。具体的には、4個の駆動用磁石15の上端面が、底部11aの下面に当接した状態で、底部11aの下面に接着等によって固定されている。また、4個の駆動用磁石15の上端面は、底部11aによって完全に覆われている。本形態の底部11aは、駆動用磁石15の一端面が固定される端面側磁性部材であり、筒部11bは、固定体5の外周面を構成する外周側磁性部材である。
【0034】
駆動用磁石15の下端面には、磁性材料で形成された磁性部材17が固定されている。磁性部材17は、上下方向から見たときの形状が駆動用磁石15と同様の略直角二等辺三角形状となる平板状に形成されており、互いに直交する2個の第1の端面(第1端面)17aと、2個の第1端面17aを繋ぐ1個の第2の端面(第2端面)17bとを備えている。この磁性部材17は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように駆動用磁石15の下端面に固定されている。また、磁性部材17は、第1端面17aが駆動用磁石15の第1側面15aと同一平面状に配置され、第2端面17bが駆動用磁石15の第2側面15bと同一平面状に配置されるように、駆動用磁石15の下端面に固定されている。
【0035】
駆動用磁石15は、上端面の磁極と下端面の磁極とが異なるように、上下方向で2極に着磁されている。たとえば、駆動用磁石15の上端面がS極となり、駆動用磁石15の下端面がN極となるように着磁されている。そのため、図5に示すように、レンズ駆動装置1では、カバー部材11の筒部11b、底部11a、駆動用磁石15および磁性部材17を通過するとともに、磁性部材17の下面や第1端面17aから筒部11bの内周面に向かって回り込む磁界Fが形成されている。すなわち、レンズ駆動装置1では、カバー部材11の筒部11b、底部11aおよび駆動用磁石15を通過するとともに、駆動用磁石15の下端面から磁性部材17を介して筒部11bの内周面に向かって回り込む磁界Fが形成されている。この磁界Fは、図4に示すように、筒部11bの内周面の、駆動用磁石15の第1側面15aおよび磁性部材17の第1端面17aに略平行に対向配置される部分に向かって、磁性部材17の下面や第1端面17aから回り込んでいる。なお、図5では、図示を省略しているが、駆動用磁石15の下端面と磁性部材17の上面との当接部分の近傍からも筒部11bの内周面に向かって磁界Fが回り込んでいる。
【0036】
駆動用コイル16は、上下方向から見たときの形状が略正方形状となるように扁平な略四角筒状に巻回されている。上下方向における駆動用コイル16の幅は、磁性部材17の厚さよりも厚くなっている。この駆動用コイル16は、スリーブ10の外周面に接着等で固定されている。
【0037】
駆動用コイル16は、図4に示すように、カバー部材11の筒部11bの内周面に沿って配置されており、駆動用コイル16の四隅およびその近傍部分は、駆動用磁石15の第1側面15aおよび磁性部材17の第1端面17aとカバー部材11の筒部11bとの隙間に配置されている。また、駆動用コイル16の四隅およびその近傍部分は、図5に示すように、磁性部材17の下面や第1端面17a等から筒部11bの内周面に向かって回り込む磁界Fの中に配置されている。
【0038】
本形態では、可動体4の可動範囲において、駆動用コイル16の内周側に磁性部材17が常に配置されるように、駆動用コイル16が配置されている。すなわち、可動体4の可動範囲において、駆動用コイル16の下端面が磁性部材17の下面よりも上側へ移動せず、かつ、駆動用コイル16の上端面が磁性部材17の上面よりも下側へ移動しないように、駆動用コイル16が配置されている。駆動用コイル16に電流が供給されると、駆動用磁石15と駆動用コイル16との作用で、可動体4が上下方向(光軸方向)へ移動する。
【0039】
(レンズ駆動装置の製造方法)
レンズ駆動装置1を製造する際には、まず、レンズ駆動モジュール2を組み立てる(モジュール組立工程)。本形態では、モジュール組立工程で、予め着磁された駆動用磁石15を用いてレンズ駆動モジュール2を組み立てている。
【0040】
レンズ駆動モジュール2の組立が終わると、レンズ駆動モジュール2をリフロー方式で半田付けして基板3に実装する(モジュール実装工程)。すなわち、レンズ駆動モジュール2の組立が終わると、基板3上の回路パターンに塗布された半田ペースト上に端子13が配置されるように、基板3にレンズ駆動モジュール2を載せてから、リフロー炉内で加熱するとともに、その後、冷却をして、レンズ駆動モジュール2を基板3に半田付けして実装する。本形態では、レンズ駆動モジュール2を実装する前の基板3に、撮像素子が予め半田付けされて実装されており、モジュール実装工程では、撮像素子に被せるようにレンズ駆動モジュール2を基板3に載せて、レンズ駆動モジュール2を基板3に実装する。なお、モジュール実装工程では、必要に応じて、レンズ駆動モジュール2以外の部品も基板3に実装される。また、モジュール実装工程で、撮像素子を基板3に搭載し、次に撮像素子に被せるようにレンズ駆動モジュール2を基板3に搭載して、レンズ駆動モジュール2と撮像素子とをリフロー方式で同時に半田付けして基板3に実装しても良い。
【0041】
レンズ駆動モジュール2が基板3に実装されると、基板3とともにレンズ駆動モジュール2を着磁用の空芯コイルの中に配置して、駆動用磁石15を着磁する(着磁工程)。すなわち、レンズ駆動モジュール2が基板3に実装されると、着磁工程で、レンズ駆動装置1を着磁用の空芯コイルの中に配置して、駆動用磁石15を再着磁する。着磁工程では、着磁用の空芯コイルの軸方向とレンズ駆動装置1の光軸方向とが一致するように、レンズ駆動装置1を空芯コイルの中に配置する。本形態では、上述のように、レンズ駆動装置1は4個の駆動用磁石15を備えており、4個の駆動用磁石15が着磁工程で同時に着磁される。また、本形態の着磁工程では、複数のレンズ駆動装置1を着磁用の空芯コイルの中に配置して複数のレンズ駆動装置1を同時に着磁する。具体的には、本形態の着磁工程では、複数のレンズ駆動装置1が光軸方向で重なるように複数のレンズ駆動装置1を空芯コイルの中に配置して、複数のレンズ駆動装置1を同時に着磁する。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のレンズ駆動装置1では、駆動用コイル16の四隅およびその近傍部分は、駆動用磁石15の第1側面15aおよび磁性部材17の第1端面17aとカバー部材11の筒部11bとの隙間に配置されている。そのため、可動体4を光軸方向へ移動させても、駆動用磁石15と駆動用コイル16とが干渉しない。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1を上下方向で薄型化しても、可動体4に保持されるレンズのストロークを確保することが可能になる。すなわち、本形態では、レンズのストロークを確保しつつ、レンズ駆動装置1を薄型化することが可能になる。
【0043】
本形態では、モジュール組立工程後のモジュール実装工程で、レンズ駆動モジュール2をリフロー方式で半田付けして基板3に実装している。そのため、レンズ駆動モジュール2を手作業で半田付けして基板3に実装する場合と比較して、レンズ駆動モジュール2を基板3へ容易に実装することが可能になる。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1を容易に製造することが可能になる。
【0044】
一方で、本形態では、モジュール実装工程でレンズ駆動モジュール2をリフロー方式で半田付けして基板3に実装しているため、実装時の熱の影響で、ネオジム磁石である駆動用磁石15に熱減磁が生じて、駆動機構6の駆動力が低下するおそれがある。しかし、本形態では、モジュール実装工程後の着磁工程で駆動用磁石15を再着磁しているため、モジュール実装工程で駆動用磁石15に熱減磁が生じても、モジュール実装工程で減磁した駆動用磁石15の磁力を着磁工程で補うことができる。したがって、本形態では、熱減磁を生じやすいネオジム磁石が駆動用磁石15として使用され、かつ、レンズ駆動モジュール2がリフロー方式で半田付けされて基板3に実装されても、レンズ駆動装置1の完成後の駆動用磁石15の磁力を確保することが可能になり、駆動機構6の駆動力を確保することが可能になる。
【0045】
また、本形態では、モジュール実装工程後の着磁工程で駆動用磁石15を再着磁しているため、モジュール組立工程で駆動用磁石15に熱減磁が生じても、モジュール組立工程で減磁した分の駆動用磁石15の磁力を着磁工程で補うことが可能になる。したがって、本形態では、モジュール組立工程で駆動用磁石15にかかる温度の制限を緩和することが可能になる。たとえば、モジュール組立工程で熱硬化型の接着剤を用いて所定の部品を接着固定する場合や、モジュール組立工程で溶接、半田付け等で所定の部品を固定する場合に、駆動用磁石15にかかる温度の制限を緩和して、駆動用磁石15にかかる温度を高く設定することが可能になる。その結果、本形態では、モジュール組立工程において、より生産性の高い組立方法を選択することが可能になり、レンズ駆動モジュール2の組立効率を高めることが可能になる。
【0046】
本形態では、着磁工程で、レンズ駆動装置1を構成する4個の駆動用磁石15が同時に着磁されている。また、本形態では、着磁工程で、複数のレンズ駆動装置1を着磁用の空芯コイルの中に配置して複数のレンズ駆動装置1を同時に着磁している。そのため、レンズ駆動装置1の生産性を高めることが可能になる。
【0047】
本形態では、駆動用磁石15の上端面が当接する底部11aは、筒部11bと一体で形成されているため、底部11aと筒部11bとの間で、レンズ駆動装置1の外部への磁束が漏れるのを防止することができる。また、本形態では、駆動用磁石15の第1側面15aと筒部11bの内周面とが略平行になっているため、駆動用磁石15が発生させる磁力線の向きが、磁性部材17の下面や第1端面17a等から筒部11bの内周面へ向かう方向へ向きやすくなる。したがって、本形態では、磁性部材17の下面や第1端面17a等から筒部11bの内周面に向かって回り込む磁束の密度を高めることができる。
【0048】
また、本形態では、駆動用磁石15の下端面に磁性部材17が固定されており、上下方向から見たときの駆動用磁石15の形状と磁性部材17の形状とが略同形状となっているため、磁性部材17に磁束を集中させることが可能になる。また、本形態では、上下方向から見たときの駆動用磁石15の形状と磁性部材17の形状とが略同形状となっているため、駆動用磁石15が発生させる磁力線の向きが、磁性部材17の下面や第1端面17a等から筒部11bの内周面へ向かう方向へ向きやすくなる。したがって、本形態では、磁性部材17の下面や第1端面17a等から筒部11bの内周面へ向かう磁束の密度を効果的に高めることができる。
【0049】
本形態では、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるレンズ駆動装置1の四隅に駆動用磁石15が配置されている。そのため、光軸方向から見たときの形状が略円形状のレンズを駆動するレンズ駆動装置1のデッドスペースとなるレンズ駆動装置1の四隅に駆動用磁石15を配置することができる。また、本形態では、駆動用磁石15は略三角柱状に形成されているため、レンズ駆動装置1の四隅のスペースを小さくしても、駆動用磁石15を配置することができる。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1を小型化することができる。
【0050】
(レンズ駆動装置の変形例1)
図6は、本発明の他の実施の形態にかかる駆動用コイル26の構成を説明するための図である。
【0051】
上述した形態では、駆動機構6は、カバー部材11の筒部11bの内周面に沿って配置される1個の駆動用コイル16を備えているが、駆動機構6は、駆動用コイル16に代えて、図6に示すように、略三角筒状に巻回され、その内周側が駆動用磁石15の側面15a、15bと所定の隙間を介して対向配置される4個の駆動用コイル26を備えていても良い。この変形例1では、駆動用コイル26は、上下方向から見たときの形状が略直角二等辺三角形状となるように巻回されている。また、4個の駆動用コイル26は、駆動用コイル26の内周面と駆動用磁石15の側面15a、15bとが所定の隙間を介して略平行になるように、スリーブ10に固定されている。
【0052】
(レンズ駆動装置の変形例2)
図7は、本発明の他の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の概略構成を説明するための図であり、(A)は反被写体側からレンズ駆動装置1の概略構成を説明するための図、(B)は(A)のH−H断面において被写体側と反被写体側とを反転させた状態を示す断面図である。図8は、本発明の他の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の概略構成を反被写体側から説明するための図である。
【0053】
上述した形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、略三角柱状に形成された駆動用磁石15がレンズ駆動装置1の四隅に配置されている。この他にもたとえば、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、この場合には、図7に示すように、駆動用磁石35が、略四角柱状に形成されるとともに光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の長辺に略平行な方向におけるレンズ駆動装置1の両側に配置されても良い。この変形例2にかかるレンズ駆動装置1は、上述した形態のスリーブ10に相当するスリーブ38と、カバー部材11に相当するカバー部材30とを備えている。
【0054】
駆動用磁石35は、その3つの側面35aとカバー部材30の筒部30bの内周面とが略平行にかつ所定の隙間をあけて対向するように配置されている。また、駆動用磁石35は、カバー部材30の底部30aの下面に当接した状態で固定されている。駆動用磁石35の下端面には、磁性材料で形成された磁性部材37が固定されている。この変形例2では、底部30aは、駆動用磁石35の一端面が固定される端面側磁性部材であり、筒部30bは、固定体5の外周面を構成する外周側磁性部材である。
【0055】
駆動用磁石35は、上端面の磁極と下端面の磁極とが異なるように、上下方向で2極に着磁されている。そのため、図7(B)に示すように、変形例2にかかるレンズ駆動装置1では、カバー部材30の筒部30b、底部30aおよび駆動用磁石35を通過するとともに、駆動用磁石35の下端面から磁性部材37を介して筒部30bの内周面に向かって回り込む磁界Fが形成されている。なお、上述した形態と同様に、駆動用磁石35の下端面と磁性部材37の上面との当接部分の近傍からも筒部30bの内周面に向かって磁界Fが回り込んでいる。
【0056】
駆動用コイル36は、上下方向から見たときの形状が略長方形状となるように巻回されており、短辺部36aと短辺部36aよりも長い長辺部36bとを備えている。この駆動用コイル36は、筒部30bの内周面に沿うように、スリーブ38の外周面に固定されている。駆動用コイル36の長辺部36bの両端側および短辺部36aは、駆動用磁石35の3つの側面35aと、筒部30bの内周面との隙間に配置されている。また、長辺部36bの両端側および短辺部36aは、磁性部材37の下面や端面等から筒部30bの内周面に向かって回り込む磁界Fの中に配置されている。なお、駆動用コイル36に代えて、図8に示すように、略四角筒状に巻回され、その内周側が駆動用磁石35の側面と所定の隙間を介して対向配置される2個の駆動用コイル46がスリーブ38の外周面に固定されても良い。
【0057】
(レンズ駆動装置の変形例3)
図9は、本発明の他の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の概略構成を説明するための図であり、(A)は反被写体側からレンズ駆動装置1の概略構成を説明するための図、(B)は(A)のJ−J断面において被写体側と反被写体側とを反転させた状態を示す断面図である。
【0058】
上述した形態では、略三角柱状に形成された駆動用磁石15がレンズ駆動装置1の四隅に配置されている。この他にもたとえば、図9に示すように、レンズ駆動装置1の4つの側面のそれぞれに、略長方形の板状に形成された駆動用磁石55が配置されても良い。
【0059】
この変形例3では、駆動用磁石55は、その1つの側面55aとカバー部材11の筒部11bの内周面とが略平行にかつ所定の隙間をあけて対向するように配置されている。また、駆動用磁石55は、カバー部材11の底部11aの下面に当接した状態で固定されている。駆動用磁石55の下端面には、磁性材料で形成された磁性部材57が固定されている。磁性部材57は、上下方向から見たときの形状が駆動用磁石55と同様の略長方形状となる平板状に形成されている。
【0060】
駆動用磁石55は、上端面の磁極と下端面の磁極とが異なるように、上下方向で2極に着磁されている。そのため、上述した形態と同様に、変形例3にかかるレンズ駆動装置1では、たとえば、筒部11b、底部11a、駆動用磁石55および磁性部材57を通過するとともに、磁性部材57の下面や端面から筒部11bの内周面に向かって回り込む磁界Fが形成されている。なお、上述した形態と同様に、駆動用磁石55の下端面と磁性部材57の上面との当接部分の近傍からも筒部11bの内周面に向かって磁界Fが回り込んでいる。
【0061】
駆動用コイル16の一部は、駆動用磁石55の側面55aと、筒部11bの内周面との隙間に配置されている。また、駆動用コイル16の一部は、磁性部材57の下面や端面等から筒部11bの内周面に向かって回り込む磁界Fの中に配置されている。
【0062】
(他の実施の形態)
上述した形態では、モジュール組立工程で、予め着磁された駆動用磁石15を用いてレンズ駆動モジュール2を組み立てており、着磁工程で、駆動用磁石15を再着磁している。この他にもたとえば、モジュール組立工程で、未着磁の駆動用磁石15を用いて前記レンズ駆動モジュール2を組み立てるとともに、着磁工程で、駆動用磁石15の上端面の磁極と下端面の磁極とが異なるように駆動用磁石15を着磁しても良い。この場合には、着磁された駆動用磁石15がモジュール実装工程の熱の影響を受けることがない。また、この場合には、着磁された駆動用磁石15がモジュール組立工程の熱の影響を受けることもない。したがって、この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。また、この場合には、モジュール組立工程等で、磁性を有する異物が駆動用磁石15に吸着されるのを防止することが可能になるため、レンズ駆動装置1の信頼性を高めることが可能になる。
【0063】
上述した形態では、着磁工程で、複数のレンズ駆動装置1を着磁用の空芯コイルの中に配置して複数のレンズ駆動装置1を同時に着磁している。この他にもたとえば、着磁工程で、1個のレンズ駆動装置1を着磁用の空芯コイルの中に配置して1個のレンズ駆動装置1を着磁しても良い。
【0064】
上述した形態では、基板3に撮像素子が実装されている。この他にもたとえば、基板3よりも小さな基板(小基板)に撮像素子が実装され、この小基板が基板3に実装されても良い。この場合には、レンズ駆動モジュール2を実装する前の基板3に予め小基板を実装し、モジュール実装工程で、小基板に被せるようにレンズ駆動モジュール2を基板3に載せて、レンズ駆動モジュール2を基板3に実装しても良いし、モジュール組立工程で、小基板をレンズ駆動モジュール2に組み込んで、モジュール実装工程で、レンズ駆動モジュール2と一緒に小基板を基板3に実装しても良い。
【0065】
上述した形態では、駆動用磁石15の下端面に磁性部材17が固定されているが、駆動用磁石15の下端面に磁性部材17が固定されていなくても良い。また、上述した形態では、底部11aと筒部11bとによってカバー部材11が構成されており、底部11aと筒部11bとが一体で形成されているが、磁性材料で形成される底部と、磁性材料で形成される筒部とが別体で形成されても良い。
【0066】
上述した形態では、駆動用磁石15は略三角柱状に形成されているが、駆動用磁石15が略三角柱状以外の略多角柱状、略円柱状または略楕円柱状に形成されても良い。また、上述した形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成されているが、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状以外の略多角形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が略円形状あるいは略楕円形状となるように形成されても良い。この場合には、駆動用コイル16は、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の形状や駆動用磁石15の形状に応じて、たとえば、円筒状等に巻回されても良い。また、変形例1における駆動用コイル26も、光軸方向から見たときのレンズ駆動装置1の形状や駆動用磁石15の形状に応じて、たとえば、円筒状等に巻回されても良い。
【0067】
上述した形態では、レンズ駆動装置1の四隅に駆動用磁石15が配置されているが、駆動機構6の駆動力を得ることができるのであれば、レンズ駆動装置1の四隅の3箇所、2箇所あるいは1箇所のみに駆動用磁石15が配置されても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 レンズ駆動装置
2 レンズ駆動モジュール
3 基板
4 可動体
5 固定体
6 駆動機構
11、30 カバー部材
11a、30a 底部(端面側磁性部材)
11b、30b 筒部(外周側磁性部材)
15 駆動用磁石
15a 第1側面(駆動用磁石の側面)
15b 第2側面(駆動用磁石の側面)
16、26、36、46 駆動用コイル
35、55 駆動用磁石
35a、55a 側面(駆動用磁石の側面)
F 磁界
L 光軸
Z 光軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9