特許第5719605号(P5719605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719605
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】電動アシスト台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   B62B3/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-7151(P2011-7151)
(22)【出願日】2011年1月17日
(65)【公開番号】特開2012-148610(P2012-148610A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2013年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100114236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100157473
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 啓
(72)【発明者】
【氏名】関根 伸一
(72)【発明者】
【氏名】安江 圭信
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】河井 崇
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 修
(72)【発明者】
【氏名】伏見 一徳
(72)【発明者】
【氏名】中田 健太
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−308466(JP,A)
【文献】 特開2008−072816(JP,A)
【文献】 特開2009−255693(JP,A)
【文献】 特開2007−253767(JP,A)
【文献】 特開2001−228901(JP,A)
【文献】 特開平09−202235(JP,A)
【文献】 特開平07−033026(JP,A)
【文献】 特開2007−290519(JP,A)
【文献】 特開2005−075043(JP,A)
【文献】 特開2000−134722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者によって付与される駆動力にアシスト力が付与されて走行可能な電動アシスト台車であって、
荷台を介して荷物を載置可能な車体フレームと、
前記車体フレームの左右に間隔をあけて設けられる一対の駆動輪と、
作業者によって押圧操作され、前記車体フレームの左右二箇所から駆動力を入力可能な操作部と、
前記操作部が押圧操作されることによって前記車体フレームの左右二箇所の各々に作用する駆動トルクを検出する一対のトルク検出部と、
前記トルク検出部によって検出された駆動トルクに応じて、各々の前記駆動輪に付与するアシスト力を演算するコントローラと、
前記コントローラによって演算されたアシスト力を各々の前記駆動輪に付与する一対の電動モータと、を備え
前記コントローラは、前記一対のトルク検出部によって検出された左右の駆動トルクが相違する場合に、各々の前記駆動輪に付与するアシスト力が相違するように演算することを特徴とする電動アシスト台車。
【請求項2】
前記トルク検出部は、前記操作部と前記車体フレームとを連結して前記操作部から入力される駆動力によって捩れるとともに当該駆動力を前記車体フレームに伝達するトーションバーを備え、前記トーションバーの捩れに基づいて駆動トルクを検出することを特徴とする請求項1に記載の電動アシスト台車。
【請求項3】
前記電動モータは、その回転軸が前記駆動輪の進行方向を向くように配設され、
前記電動モータの回転を減速するとともに回転方向を変換して前記駆動輪に伝達する変速機を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動アシスト台車。
【請求項4】
前記駆動輪は、前記車体フレームの前後方向に向かって転舵不能に設けられ、
前記車体フレームに装着され前記駆動輪の後方に設けられる一対の自在輪を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電動アシスト台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力が電動モータによってアシストされる電動アシスト台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、工場などで使用される台車に重量のある荷物が載せられると、作業者は運搬開始時に大きな力で台車を押す必要があるため、重労働となっていた。
【0003】
この対策として、特許文献1には、台車を押す作業者の力を検出し、電動モータによって人力に応じた補助動力が与えられる電動アシスト手押し台車が提案されている。この電動アシスト手押し台車では、作業者による手押し枠体の操作に応じて前進時及び後進時における作業者の押す力をアシストしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−290319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電動アシスト手押し台車では、前進及び後進のアシストのみを行うため、旋回する場合などに、作業者の操作に対して違和感が生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、作業者の操作に応じて違和感なく駆動力がアシストされる電動アシスト台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、作業者によって付与される駆動力にアシスト力が付与されて走行可能な電動アシスト台車であって、荷台を介して荷物を載置可能な車体フレームと、前記車体フレームの左右に間隔をあけて設けられる一対の駆動輪と、作業者によって押圧操作され、前記車体フレームの左右二箇所から駆動力を入力可能な操作部と、前記操作部が押圧操作されることによって前記車体フレームの左右二箇所の各々に作用する駆動トルクを検出する一対のトルク検出部と、前記トルク検出部によって検出された駆動トルクに応じて、各々の前記駆動輪に付与するアシスト力を演算するコントローラと、前記コントローラによって演算されたアシスト力を各々の前記駆動輪に付与する一対の電動モータと、を備え、前記コントローラは、前記一対のトルク検出部によって検出された左右の駆動トルクが相違する場合に、各々の前記駆動輪に付与するアシスト力が相違するように演算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、作業者によって操作部が押圧操作されると、車体フレームの左右二箇所に作用する駆動トルクを検出し、検出した駆動トルクに応じて左右の駆動輪にアシスト力を付与する。よって、例えば、操作部から入力される左右の駆動力が相違し、旋回するような場合には、入力される駆動力に応じて、左右の駆動輪に付与するアシスト力を相違させることができる。したがって、作業者の操作に応じて違和感なく駆動力をアシストすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る電動アシスト台車の斜視図である。
図2図1における側面図である。
図3図1における正面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態に係る電動アシスト台車の斜視図である。
図5図4における側面図である。
図6図4における底面図である。
図7図6におけるA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
まず、図1から図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る電動アシスト台車100について説明する。
【0012】
電動アシスト台車100は、例えば工場などにて、重量物を運搬するのに使用される。電動アシスト台車100は、作業者によって付与される駆動力に、後述する電動モータ15の回転によるアシスト力が付与されて走行するものである。
【0013】
電動アシスト台車100は、車体フレーム1と、車体フレーム1上に設けられ荷物を載置可能な荷台3と、車体フレーム1の左右二箇所から駆動力を入力可能な操作部としての操作ハンドル5と、車体フレーム1の左右に間隔をあけて設けられる一対の駆動輪11と、車体フレーム1に装着され駆動輪11の後方に設けられる一対の自在輪12とを備える。駆動輪11は、電動アシスト台車100の前輪であり、自在輪12は、電動アシスト台車100の後輪である。
【0014】
車体フレーム1は、角形のパイプ材が組み合わされたフレームである。車体フレーム1は、荷台3を介して荷物が載置される平面部1aと、平面部1aの下部に突設される下部突設部1bと、平面部1aの後端上部に立設される立設部1cとを有する。
【0015】
荷台3は、車体フレーム1における平面部1aの上方を覆うようにして設けられる縁付きの平板である。荷台3上には、荷物が直接載置される。荷台3は、縁なしの平板であってもよい。また、荷台3に代えて、車体フレーム1上にローラコンベアを設置し、ローラコンベアを介して荷物を載置してもよい。
【0016】
車体フレーム1と荷台3の間には、図2に示すように、昇降装置2が設けられる。この昇降装置2は、電動昇降シリンダ(図示省略)によって荷台3を車体フレーム1に対して昇降させる。例えば、荷台3に重量物が載置され、後述する懸架装置20によって駆動輪11及び自在輪12に対して車体フレーム1が沈み込んだ場合に、昇降装置2が荷台3を上昇させ、路面に対する荷台3の高さを一定に調節することが可能である。
【0017】
操作ハンドル5は、作業者によって押圧操作される逆U字型のハンドルである。操作ハンドル5は、その左右の両端が、車体フレーム1における立設部1cに連結される。これにより、作業者が操作ハンドル5を操作することによって入力される駆動力が、車体フレーム1に伝達される。
【0018】
駆動輪11は、車体フレーム1の前後方向に向かって転舵不能に設けられる小型の車輪である。駆動輪11は、車体フレーム1の前端部近傍に一対設けられる。駆動輪11は、車体フレーム1の下部突設部1bに対して上下運動可能に固定される。
【0019】
自在輪12は、走行時に常に進行方向を向く小型の車輪である。自在輪12は、路面との間の摩擦抵抗によって旋回し、進行方向を向くように操舵される。自在輪12は、車体フレーム1の下部突設部1bに対して上下運動可能に固定される。
【0020】
電動アシスト台車100は、車体フレーム1に対して上下運動可能な四個のサブフレーム4と、サブフレーム4を介して駆動輪11と自在輪12とを懸架する懸架装置20とを備える。
【0021】
サブフレーム4は、一対の駆動輪11と一対の自在輪12との各々の車輪に対応して四個設けられる。サブフレーム4は、車体フレーム1の左右に二個ずつ配設される。各々のサブフレーム4の下面には、駆動輪11又は自在輪12が回転可能に固定される。
【0022】
懸架装置20は、車体フレーム1に左右のサブフレーム4を上下運動可能に支持する四本のサスペンションアーム22と、車体フレーム1と左右のサブフレーム4の間に設けられるスプリングダンパ23とを備える。
【0023】
サスペンションアーム22は、一個のサブフレーム4に対して四本ずつ設けられる。サスペンションアーム22は、それぞれの両端部が車体フレーム1と左右のサブフレーム4とに水平軸まわりに回動可能に連結され、車体フレーム1に対してサブフレーム4を平行移動可能に支持する平行リンク機構を構成する。
【0024】
これにより、車体フレーム1に対してサブフレーム4が昇降しても、サブフレーム4の姿勢が変化せず、駆動輪11と自在輪12との位置関係(アライメント)が一定に保たれる。よって、サブフレーム4が昇降しても、駆動輪11と自在輪12との一方が路面から浮くことが抑制される。
【0025】
スプリングダンパ23は、路面不整などによる駆動輪11及び自在輪12の上下振動を吸収して緩和し、路面からの振動が車体フレーム1に伝達されることを抑制するものである。スプリングダンパ23は、コイルスプリング23aとダンパ23bとを備え、サブフレーム4が昇降するのに伴って伸縮する。
【0026】
コイルスプリング23aは、そのバネ力によってサブフレーム4が受ける荷重を支持し、サブフレーム4が昇降するのに伴って伸縮する。
【0027】
ダンパ23bは、伸縮作動するのに伴ってこれに充填された作動油が減衰弁(図示省略)を通過し、サブフレーム4の振動を抑制する減衰力を発生する。
【0028】
なお、懸架装置20は、上述の構成に限らず、車体フレーム1に対するサブフレーム4の姿勢が保たれるならば、他の構成であってもよい。
【0029】
電動アシスト台車100は、操作ハンドル5が押圧操作されることによって車体フレーム1の左右二箇所の各々に作用する駆動トルクを検出する一対のトルク検出部としてのトルクセンサ6と、トルクセンサ6によって検出された駆動トルクに応じて各々の駆動輪11に付与するアシスト力を演算するコントローラ30と、コントローラ30によって演算されたアシスト力を各々の駆動輪11に付与する一対の電動モータ15とを備える。
【0030】
トルクセンサ6は、コントローラ30に電気的に接続され、検出した駆動トルクに応じた電気信号をコントローラ30に出力する。トルクセンサ6は、操作ハンドル5と車体フレーム1とを連結して操作部から入力される駆動力によって捩れるとともに駆動力を車体フレーム1に伝達するトーションバー(図示省略)と、トーションバーの捩れに応じた電気信号を出力するポテンショメータ(図示省略)とを備え、トーションバーの捩れに基づいて駆動トルクを検出する。トルクセンサ6に設けられるトーションバーを変更することで、その他の部材を変更することなく、台車の積載荷重などに応じて作業者による操作感覚を変更することも可能である。
【0031】
電動モータ15は、コントローラ30に電気的に接続され、コントローラ30から入力される電気信号に応じて回転する。電動モータ15は、図3に示すように、駆動輪11の内側に配設され、駆動輪11にアシスト力を付与する。左右の電動モータ15は、互いに同軸に設けられ、一対の駆動輪11の間に直列に配設される。電動モータ15は、回転を減速して駆動輪11に伝達する変速機16を備える。
【0032】
コントローラ30は、電源装置や他の電子機器とともに車体フレーム1に搭載される。コントローラ30は、電動アシスト台車100の制御を行うものであり、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAMなどをROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって電動アシスト台車100の制御が実現される。
【0033】
コントローラ30は、左右のトルクセンサ6によって検出された駆動トルクに応じたアシスト力を左右の電動モータ15にそれぞれ発生させる制御を行い、電動アシスト台車100を前進または後退させるとともに、直進、旋回、曲折させるアシスト力を付与する。
【0034】
以下、電動アシスト台車100の作用について説明する。
【0035】
まず、電動アシスト台車100を真っ直ぐ前進又は後退させる場合について説明する。
【0036】
作業者が操作ハンドル5を両手で平行に押した場合には、電動アシスト台車100は、真っ直ぐ前進することとなる。この場合、操作ハンドル5が押されることによって車体フレーム1に入力される駆動力は操作ハンドル5の左右両端で略同一である。よって、左右のトルクセンサ6によって検出される駆動トルクは、略同一となる。
【0037】
左右のトルクセンサ6が同一の駆動トルクを検出すると、コントローラ30は、左右の電動モータ15から左右の駆動輪11に同一のアシスト力を付与するように指令する。これにより、左右の駆動輪11には、同一のアシスト力が付与される。
【0038】
したがって、電動アシスト台車100は、作業者によって付与される駆動力に、電動モータ15のアシスト力が付与されて真っ直ぐ前進することとなる。
【0039】
なお、電動アシスト台車100を真っ直ぐ後退させる場合には、操作ハンドル5が押される方向が逆になり、電動モータ15の回転方向が逆になるだけで、その他の作用は真っ直ぐ前進する場合と同様である。
【0040】
次に、電動アシスト台車100を旋回走行させる場合について説明する。
【0041】
作業者が操作ハンドル5を押す左右の力を相違させた場合には、電動アシスト台車100は、左又は右に旋回走行することとなる。このとき、左右の駆動輪11に付与されるアシスト力は、左右の電動モータ15で相違する。
【0042】
具体的には、例えば電動アシスト台車100を左方向に旋回させる場合、作業者が右手で操作ハンドル5を押す力は、左手で操作ハンドル5を押す力と比較して大きくなる。よって、右側のトルクセンサ6が検出する駆動トルクは、左側のトルクセンサ6が検出する駆動トルクと比較して大きくなる。
【0043】
これにより、コントローラ30は、右側の電動モータ15から駆動輪11に付与するアシスト力が、左側の電動モータ15から駆動輪11に付与するアシスト力と比較して大きくなるように指令する。これにより、右側の駆動輪11に付与されるアシスト力は、左側の駆動輪11に付与されるアシスト力と比較して大きくなる。
【0044】
なお、左右のトルクセンサ6は、駆動トルクを無段階に検出可能であるため、作業者が操作ハンドル5を押圧操作する力に応じてアシスト力の大きさをコントロールすることができる。
【0045】
以上より、作業者によって操作ハンドル5から入力される左右の駆動力が相違し、電動アシスト台車100が旋回するような場合には、入力される駆動力に応じて、左右の駆動輪11に付与するアシスト力を相違させることができる。したがって、作業者の操作に応じて違和感なく駆動力をアシストすることができる。
【0046】
これにより、電動アシスト台車100は、操作ハンドル5を操作するだけで、前進及び後退の直進時だけでなく、旋回時においても作業者の操作をアシストすることができる。そのため、作業者は、電動アシスト台車100を、通常の手動台車と同じ感覚で、直感的に操作することが可能である。よって、作業者は、電動アシスト台車100を操作するために特別なトレーニングを実施する必要がない。また、操作に慣れていない作業者であっても、電動アシスト台車100を容易に操作することが可能である。
【0047】
以上の第1の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0048】
作業者によって操作ハンドル5が押圧操作されると、車体フレーム1の左右二箇所に作用する駆動トルクをトルクセンサ6によって検出し、検出した駆動トルクに応じて左右の駆動輪11にアシスト力を付与する。よって、例えば、操作ハンドル5から入力される左右の駆動力が相違し、旋回するような場合には、作業者によって入力される駆動力に応じて、左右の駆動輪11に付与するアシスト力を相違させることができる。したがって、作業者の操作に応じて違和感なく駆動力をアシストすることができる。
【0049】
(第2の実施の形態)
以下、図4から図7を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る電動アシスト台車200について説明する。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0050】
第2の実施の形態では、一体型の電動アシストユニット300が設けられる点で、第1の実施の形態とは相違する。電動アシスト台車200は、通常の手動台車の後輪を電動アシストユニット300に交換するだけで、容易に電動アシスト化を可能とするものである。
【0051】
電動アシスト台車200は、車体フレーム201と、車体フレーム1の左右二箇所から駆動力を入力可能な操作部としての操作ハンドル5と、車体フレーム1に装着されて前輪を構成する一対の自在輪12と、作業者によって付与される駆動力に電動モータ15のアシスト力を付与するための電動アシストユニット300とを備える。
【0052】
車体フレーム201は、矩形の平板状に形成され、その上面が荷台3を構成する。車体フレーム201は、通常の手押し台車のフレームをそのまま流用することが可能である。車体フレーム201は、前後方向に長く形成され、操作ハンドル5が挿通する一対の長穴1dを有する。
【0053】
長穴1dは、操作ハンドル5が基端を中心に前後方向に回動するのに伴って前後方向に長く形成される。長穴1dは、通常の手動台車のフレームに追加工を施すことによって形成される。長穴1dを形成するのではなく、操作ハンドル5の径を小さいものに変更して、操作ハンドル5が回動できるようにしてもよい。また、長穴1dを形成せずに、操作ハンドル5をL字状に形成し、操作ハンドル5が車体フレーム201の後方を通って立設するように構成してもよい。
【0054】
電動アシストユニット300は、車体フレーム201の左右に間隔をあけて設けられ後輪を構成する一対の駆動輪11と、操作ハンドル5が押圧操作されることによって車体フレーム201の左右二箇所の各々に作用する駆動トルクを検出する一対のトルクセンサ6と、トルクセンサ6によって検出された駆動トルクに応じて各々の駆動輪11に付与するアシスト力を演算するコントローラ30と、コントローラ30によって演算されたアシスト力を各々の駆動輪11に付与する一対の電動モータ15とを備える。
【0055】
電動アシストユニット300は、一体に形成されて車体フレーム201の下面に固定される。これにより、通常の手動台車の後輪を取り外して電動アシストユニット300を取り付けるだけで、台車の電動アシスト化が可能となる。よって、既存の手動台車を容易に電動アシスト化することができるため、コストを抑制することが可能である。
【0056】
電動モータ15は、その回転軸が駆動輪11の進行方向を向くように配設される。電動モータ15は、回転を減速するとともに回転方向を変換して駆動輪に伝達する変速機16を備える。
【0057】
変速機16は、図7に示すように、電動モータ15の回転によって回転するウォーム16aと、ウォーム16aと噛合して駆動輪11に固定されるウォームホイール16bとを備える。変速機16は、電動モータ15の回転を減速するとともに回転方向を垂直に変換して出力する。
【0058】
ここで、第1の実施の形態の電動アシスト台車100のように一対の駆動輪11の間に一対の電動モータ15が直列に配設される場合には、電動モータ15の全長が長いと、駆動輪11間の距離が大きくなり、電動アシスト台車100の小型化が困難である。
【0059】
これに対して、電動アシスト台車200では、電動モータ15が駆動輪11の進行方向を向いて配設されることによって、電動モータ15の全長と関係なく一対の駆動輪11間の距離を設定することができる。よって、電動アシスト台車200を小型化することが可能である。
【0060】
以上の第2の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0061】
一体に形成されて車体フレーム201の下面に固定される電動アシストユニット300を備えることによって、通常の手動台車の後輪を取り外して電動アシストユニット300を取り付けるだけで、台車の電動アシスト化が可能となる。よって、既存の手動台車を容易に電動アシスト化することができるため、コストを抑制することが可能である。
【0062】
また、電動モータ15が駆動輪11の進行方向を向いて配設されることによって、電動モータ15の全長と関係なく一対の駆動輪11間の距離を設定することができる。よって、電動アシスト台車200を小型化することが可能である。
【0063】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る電動アシスト台車は、荷物を運搬するための台車として利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
100 電動アシスト台車
1 車体フレーム
3 荷台
4 サブフレーム
5 操作ハンドル(操作部)
6 トルクセンサ(トルク検出部)
11 駆動輪
12 自在輪
15 電動モータ
16 変速機
20 懸架装置
30 コントローラ
200 電動アシスト台車
201 車体フレーム
300 電動アシストユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7