(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る発信機及び火災報知システムの各実施の形態を詳細に説明する。最初に、この発信機を備えて構成された火災報知システムの全体構成を説明し、次に、発信機の構成を説明し、火災報知システムを構成する各機器が実行する中継処理について説明し、さらに、発信機の中継処理について説明し、最後に本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、各実施の形態に係る発信機の設置対象や適用対象は任意であるが、以下では、オフィスビルの屋内に設置された発信機に適用した場合を例として説明を行う。
【0031】
〔実施の形態1〕
まず実施の形態1について説明する。この形態は、発信機が火災信号を無線で送信し、他の機器から確認信号を無線で受信する形態である。
【0032】
(構成−火災報知システム)
図1は、火災報知システムの構成を示す概略図である。
図1に示すように、火災報知システム1は、感知器10、発信機20、中継装置30、受信装置40、及び受信機50を備えて構成されている。感知器10、発信機20、中継装置30、及び受信装置40は、建物の各階における天井や壁に配置されている。このうち、感知器10及び発信機20は、それぞれ法定の設置間隔を満たすように、各階毎に1台又は複数台が配置されている。中継装置30は、各階において中継対象となる感知器10及び発信機20と、受信装置40との相互間に配置されている。受信装置40は、各階に1台配置されている。受信機50は、建物に1台配置されており、例えば建物の管理人室に設置されている。また、これら受信装置40及び受信機50は、信号線2、4及び電源線3により接続されている。
【0033】
ここで、感知器10は、火災を報知する火災信号、又は火災からの復旧を報知する火災復旧信号を送信する無線式の火災報知端末である。発信機20は、火災信号、火災復旧信号、又は当該発信機20から送信される信号の送信状況を確認するための試験信号を送信する無線式の火災報知端末である。また、発信機20は、受信機50から受信装置40を介して送信される確認信号であって、受信機50が発信機20から送信された火災信号の受信を確認したことを通知するための確認信号を受信し、又は受信機50から受信装置40を介して送信される復旧確認信号であって、受信機50が発信機20から送信された火災復旧信号の受信を確認したことを通知するための復旧確認信号を受信する無線式の火災報知端末である。中継装置30は、感知器10又は発信機20から火災信号、火災復旧信号、又は試験信号を受信し、当該受信した火災信号、火災復旧信号、又は試験信号を受信装置40に中継するものである。また、中継装置30は、受信機50から受信装置40を介して送信された確認信号又は復旧確認信号を受信し、当該受信した確認信号又は復旧確認信号を発信機20に中継するものである。受信装置40は、感知器10、発信機20、及び/又は中継装置30から送信された火災信号、火災復旧信号、又は試験信号を受信し、当該受信した火災信号を信号線2を介して受信機50に出力するものである。また、受信装置40は、受信機50から信号線4を介して確認信号を入力し、確認信号又復旧確認信号を送信するものである。受信機50は、受信装置40から信号線2を介して入力された火災信号に基づいて所定処理を行うものである。また、電源線3を介して受信装置40への電力供給を行うものである。また、受信機50は、確認信号を信号線4を介して受信装置40に出力するものである。なお、受信装置40及び受信機50は、特許請求の範囲における他の機器に対応するものである。
【0034】
次に、信号線2、4を介した各端末機器の接続形態について説明する。本実施の形態において、火災報知システム1は、いわゆるP型1級の火災報知システムとして構成されている。
図2は、受信装置40と受信機50との信号線2、4の接続状況を示す概要図である。
図2に示すように、信号線2はA線2a、C線2b、及びL線2cを含んで構成されており、信号線4はA線4a、及びC線4bを含んで構成されている。これらA線2a、4a、C線2b、4b、及びL線2cは、受信装置40及び受信機50を相互に接続する。また、A線2a、4a、及びC線4bは、建物の各階毎に設けられた受信装置40に渡り接続されている(図示省略)。A線2aとC線2b(以下「A−C線」2dという)は、受信装置40にて受信された発信機20の火災信号を受信機50に向けて送信する線である。また、L線2cとC線2b(以下「L−C線」2eという)は、受信装置40にて受信された感知器10の火災信号を送信する線であり、発信機20の火災信号を送信する線でもある。また、A線4aとC線4b(以下「A−C線」4dという)は、受信機50にて出力された確認信号を受信装置40に向けて送信する線である。各系統(ここでは、建物の各階毎)のL−C線2eとA−C線4dにおける終端には、図示しない終端抵抗が設けられている。
【0035】
(構成−火災報知システム−感知器)
次に、感知器10の構成について説明する。感知器10は、センサ部、無線送信部、及び電源部を備えて構成されている(図示省略)。センサ部は、温度や煙濃度等を検知するための検知手段である。無線送信部は、火災信号又は火災復旧信号を送信する無線送信手段である。この無線送信部は、例えば、図示しない火災判断部によって、センサ部における温度や煙濃度の検知結果をもとに、この検知結果が閾値よりも高いと判断された場合に、無線送信部は火災信号を送信する。また、当該火災信号が送信された後、図示しない火災判断部によって、検知結果が閾値よりも低いと判断された場合に、無線送信部は火災復旧信号を送信する。また、この無線送信部は、例えば、感知器10が備える公知の記憶手段(図示省略)に予め記憶された情報であって、当該感知器10を一意に識別する感知器識別情報を火災信号又は火災復旧信号に含めて送信する。ここで、公知の記憶手段に記憶される、感知器識別情報としては、例えば感知器10のアドレス番号又はシリアル番号を用いることができる(後述する発信機20の発信機識別情報についても同様)。電源部は、感知器10の各部に電力を供給する電池であり、例えば公知の乾電池や充電池を備えて構成される(後述する発信機20の電源部25、及び中継装置30の電源部34についても同様)。
【0036】
(構成−火災報知システム−発信機)
次に、発信機20の構成について説明する。
図3は、発信機20の電気的構成を示したブロック図である。
図3に示すように、発信機20は、押しボタン部21、テストスイッチ部22、無線通信部23、表示部24、電源部25、制御部26、及び記憶部27を備えて構成されている。なお、電源部25の構成については上述の感知器10における電源部と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。
【0037】
押しボタン部21は、ユーザによる火災信号又は火災復旧信号の送信指示を受け付ける操作手段である。また、テストスイッチ部22は、試験信号の送信指示をユーザから受け付ける試験操作手段であり、例えばリードスイッチ等を備えて構成されている。
【0038】
無線通信部23は、火災信号、火災復旧信号、又は試験信号を送信する無線送信手段であり、確認信号又は復旧確認信号を受信する無線受信手段である。この無線通信部23は、ユーザによって押しボタン部21が押し下げられた場合に、未確認情報を火災信号に付加して送信する。また、無線通信部23は、当該無線通信部23が確認信号を受信した場合に、後述する未確認情報に代えて、後述する確認済情報を火災信号に付加して送信する。ここで、「未確認情報」とは、無線通信部23が受信機50から受信装置40を介して送信された確認信号を受信していないことを示す情報である。また、「確認済情報」とは、無線通信部23が受信機50から受信装置40を介して送信された確認信号を受信したことを示す情報である。これら未確認情報及び確認済情報としては、例えば、未確認情報の場合には「OFF」を示し、確認済情報の場合には「ON」を示す確認識別フラグが用いられる。また、無線通信部23は、ユーザによって押しボタン部21が押し下げられる前の状態に復旧された場合に火災信号の送信を停止すると共に、火災復旧信号を送信する。また、無線通信部23は、ユーザによってテストスイッチ部22がON状態にされた場合に試験信号を送信する。また、この無線通信部23は、無線信号の受信回路(図示せず)を備え、受信回路を介して受信機50から受信装置40を介して送信された確認信号又は復旧確認信号の受信を行う。
【0039】
表示部24は、発信機20に関する情報を表示するための表示手段であり、例えば公知のLEDランプ、蛍光ランプ等を備えて構成される。
【0040】
制御部26は、発信機20の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成される(後述する中継装置30の制御部35、及び受信装置40の制御部47についても同様)。
【0041】
この制御部26は、機能概念的に火災信号生成部26aを備えている。火災信号生成部26aは、押しボタン部21がユーザから火災信号の送信指示を受け付けた場合に、後述する発信機識別情報を後述する記憶部27から取得し、当該取得した発信機識別情報を火災信号に付加し、又はユーザによって押しボタン部21が押し下げられる前の状態に復旧された場合に、後述する記憶部27から取得した後述する発信機識別情報を火災復旧信号に付加する火災信号生成手段である。なお、この制御部26によって実行される処理の詳細については後述する。
【0042】
記憶部27は、当該発信機20を一意に識別する発信機識別情報等を格納する識別情報格納手段である。この記憶部27は、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる(後述する中継装置30の記憶部36、及び受信装置40の記憶部48についても同様)。
【0043】
(構成−火災報知システム−中継装置)
次に、中継装置30の構成について説明する。
図4は、中継装置30の電気的構成を示したブロック図である。
図4に示すように、中継装置30は、操作部31、表示部32、無線通信部33、電源部34、制御部35、及び記憶部36を備えている。なお、電源部34の構成については上述の感知器10における電源部と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。
【0044】
操作部31は、中継装置30に対する操作入力を受け付ける操作手段であり、例えばスイッチやタッチパネル等の公知の操作手段を用いて構成される(後述する受信装置40の操作部41及び後述する受信機50の操作部51についても同様)。
【0045】
表示部32は、中継装置30に関する情報を表示するための表示手段であり、例えば公知の7セグメントディスプレイや液晶ディスプレイ等を備えて構成される(後述する受信装置40の表示部42についても同様)。
【0046】
無線通信部33は、火災信号、火災復旧信号、試験信号、確認信号、又は復旧確認信号の受信及び送信を行う無線通信手段である。この無線通信部33は、例えば無線信号の受信回路及び送信回路(いずれも図示せず)を備え、受信回路を介して感知器10又は発信機20から送信された火災信号、火災復旧信号、又は試験信号の受信を行い、送信回路を介して受信装置40への火災信号、火災復旧信号、又は試験信号の送信を行う。また、この無線通信部33は、受信回路を介して受信機50から受信装置40を介して送信された確認信号の受信を行い、送信回路を介して感知器10又は発信機20への確認信号又は復旧確認信号の送信を行う。
【0047】
制御部35は、中継装置30の各部を制御する制御手段である。記憶部36は、制御部35による制御に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。
【0048】
(構成−火災報知システム−受信装置)
次に、受信装置40の構成について説明する。
図5は、受信装置40の電気的構成を概念的に示すブロック図である。
図5に示すように、受信装置40は、操作部41、表示部42、無線通信部43、信号出力部44、信号入力部45、電源回路部46、制御部47、及び記憶部48を備えている。なお、操作部41及び表示部42の構成については上述の中継装置30における操作部31及び表示部32と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。
【0049】
無線通信部43は、火災信号、火災復旧信号、又は試験信号の受信を行う受信手段であり、確認信号又は復旧確認信号の送信を行う送信手段である。この無線通信部43は、例えば火災信号、火災復旧信号、又は試験信号の受信回路、及び確認信号又は復旧確認信号の送信回路(いずれも図示せず)を備え、受信回路を介して感知器10、発信機20、及び/又は中継装置30から送信された火災信号、火災復旧信号、又は試験信号の受信を行い、送信回路を介して感知器10、発信機20、及び/又は中継装置30に向けて、後述する信号入力部45にて入力された確認信号又は復旧確認信号の送信を行う。
【0050】
信号出力部44は、感知器10、発信機20、及び/又は中継装置30から受信した火災信号を受信機50に出力する信号出力手段である。この信号出力部44は、A−C出力部44a及びL−C出力部44bを備えて構成されている。A−C出力部44aは、A−C線2dを介して、発信機20及び/又は中継装置30から受信した火災信号を受信機50に出力するA−C出力手段である。L−C出力部44bは、L−C線2eを介して、感知器10、発信機20、及び/又は中継装置30から受信した火災信号を受信機50に出力するL−C出力手段である。
【0051】
図6は、信号出力部44の各端子の接続状況を示す概略図である。
図6に示すように、信号出力部44は、A線出力端子2a1、A線入力端子2a2、C線出力端子2b1、C線入力端子2b2、L線出力端子2c1、及びL線入力端子2c2を備えて構成されている。これらA線出力端子2a1、C線出力端子2b1、及びL線出力端子2c1は、火災信号を受信機50に出力するためのものであり、受信機50側とは逆側(受信装置40を挟んで受信機50側と反対に位置する側)のA線2a、C線2b、及びL線2cと各々接続されている。また、これらA線入力端子2a2、C線入力端子2b2、及びL線入力端子2c2は、火災信号を受信機50に入力するためのものであり、受信機50側のA線2a、C線2b、及びL線2cと各々接続されている。
【0052】
L線出力端子2c1とL線入力端子2c2とを接続するL線2cには、当該L線2cの接続切替のためのリレー2fが設けられている。また、L線出力端子2c1とL線入力端子2c2とを接続するL線2cとC線出力端子2b1とC線入力端子2b2とを接続するC線2bとの間には、これらL線2c及びC線2bの接続切替のためのリレー2gが設けられている。このリレー2gは、リレー2fよりも受信機50側から近い側に配置されている。また、A線出力端子2a1とA線入力端子2a2とを接続するA線2aとL線出力端子2c1とL線入力端子2c2とを接続するL線2cとの間には、これらA線2a及びC線2bの接続切替のためのリレー2hが設けられている。
【0053】
ここで、この信号出力部44が火災信号を受信機50に対して出力する方法としては、例えば、信号出力部44が、受信装置40と接続された信号線2を導通可能にさせたり、又は短絡させることにより、感知器10又は発信機20の火災信号を受信機50に送信する。具体的には、信号出力部44が通常動作を行う場合には、L−C出力部44bは、L−C線2eが導通可能になるように、L線2cをリレー2fにより接続させる。また、信号出力部44が感知器10の火災信号を受信機50に対して出力する場合には、L−C出力部44bは、L−C線2eが短絡するように、当該L−C線2eをリレー2gにより接続させる。また、信号出力部44が発信機20の火災信号を受信機50に対して出力する場合には、A−C出力部44aは、A−C線2dが短絡するように、当該A−C線2dをリレー2hにより接続させると共に、L−C出力部44bは、L−C線2eが短絡するように、当該L−C線2eを公知のリレー2gにより接続させる。
【0054】
図5に戻り、信号入力部45は、受信機50から出力された確認信号を受信装置40に入力する信号入力手段であり、例えば、この信号入力部45は、受信機50から出力された確認信号をA−C線4dを介して取得し、当該取得した確認信号を後述する記憶部48に入力する。
【0055】
電源回路部46は、電源線3を介して受信機50から供給された電力を受信装置40の各部に供給する(なお、電源回路部46から受信装置40の各部に対する電力供給線の図示は省略する)。
【0056】
制御部47は、受信装置40の各部を制御する制御手段である。この制御部47は、機能概念的に識別情報取得部47aを備えている。識別情報取得部47aは、受信装置40が火災信号又は火災復旧信号を受信した場合に、当該火災信号又は火災復旧信号から感知器識別情報又は発信機識別情報を取得する識別情報取得手段である。なお、この制御部47によって実行される処理の詳細については後述する。
【0057】
記憶部48は、制御部47が信号出力部44によって、火災信号を受信機50に送信する際に参照するための移報方法テーブル48aを備えている。
図7は、移報方法テーブル48aに格納される情報の内容を例示した表である。
図7に示すように、移報方法テーブル48aには、テーブル項目「端末ID」、「種別」、及び「移報方法」に対応する情報が相互に関連付けて格納される。項目「端末ID」に対応して格納される情報は、感知器10又は発信機20を一意に識別する識別情報であり、例えば感知器10等のアドレス番号(
図9では「0101」、「0102」、「0103」等)が格納される。項目「種別」に対応して格納される情報は、機器の種別を特定する種別情報であり、例えば「感知器」、「発信機」等が格納される。項目「移報方法」に対応して格納される情報は、感知器10又は発信機20の火災信号の移報方法を特定するための移報方法情報であり、例えば「L−C線短絡」、「L−C線、及びA−C線短絡」等が格納される。
【0058】
(構成−火災報知システム−受信機)
次に、受信機50の構成について説明する。
図8は、受信機50の電気的構成を概念的に示すブロック図である。
図8に示すように、受信機50は、操作部51、表示部52、音声出力部53、通信部54、信号入力部55、信号出力部56、電源回路部57、制御部58、及び記憶部59を備えている。なお、操作部51の構成については上述の中継装置30における操作部31と同様であり、電源回路部57の構成については上述の受信装置40の電源回路部46と同様であるので、特記する部分を除き説明を省略する。
【0059】
表示部52は、火災発生箇所の表示や警報表示等を行うための表示手段であり、例えば公知の7セグメントディスプレイや液晶ディスプレイ、又はLEDランプや蛍光ランプ等を備えて構成される。
【0060】
音声出力部53は、火災発生を音声で出力するための音声出力手段であり、例えば公知のブザーやベル等を備えて構成される。
【0061】
通信部54は、所定情報の通信や移報を行う通信手段であり、例えば、この通信部54は、他の設備(例えば、建物の内部にある管理センター内に設置された受信機等)に向けて火災発生箇所に関する情報を送信したり、他の設備から避難場所や避難経路に関する避難情報等を受信する。
【0062】
信号入力部55は、受信装置40から出力された火災信号を受信機50に入力する信号入力手段であり、例えば、この信号入力部55は、受信装置40から出力された発信機20の火災信号をA−C線2d及びL−C線2eを介して取得し、当該取得した火災信号を後述する記憶部59に入力したり、受信装置40から出力された発信機20の火災信号をL−C線2eを介して取得し、当該取得した火災信号を後述する記憶部59に入力する。
【0063】
信号出力部56は、確認信号を受信装置40に出力する信号出力手段であり、例えば、この信号出力部56は、確認信号をA−C線4dを介して受信装置40に出力する。
【0064】
図9は、信号出力部56の各端子の接続状況を示す概略図である。
図9に示すように、信号出力部56は、A線出力端子4a1、A線入力端子4a2、C線出力端子4b1、及びC線入力端子4b2を備えて構成されている。これらA線出力端子4a1及びC線出力端子4b1は確認信号を受信装置40に出力するためのものであり、受信装置40側とは逆側(受信機50を挟んで受信装置40側と反対に位置する側)のA線4a及びC線4bと各々接続されている。また、これらA線入力端子4a2及びC線入力端子4b2は、確認信号を受信装置40に入力するためのものであり、受信装置40側のA線4a及びC線4bと各々接続されている。
【0065】
A線出力端子4a1とA線入力端子4a2とを接続するA線4aとC線出力端子4b1とC線入力端子4b2とを接続するC線4bとの間には、これらA線4a及びC線4bの接続切替のためのリレー4fが設けられている。
【0066】
ここで、この信号出力部56が確認信号を受信装置40に対して出力する方法としては、例えば、信号出力部56が、受信機50と接続された信号線4を導通可能にさせたり、又は短絡させることにより、確認信号を受信装置40に送信する。具体的には、信号出力部56が通常動作を行う場合には、当該信号出力部56は、A−C線4dが導通可能となるように、当該A−C線4dをリレー4fにより切り離す。また、信号出力部56が確認信号を受信機50に対して出力する場合には、当該信号出力部56は、A−C線4dが短絡するように、当該A−C線4dをリレー4fにより接続させる。
【0067】
図8に戻り、制御部58は、受信機50の各部を制御する制御手段である。記憶部59は、制御部58による制御に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。
【0068】
(処理−火災報知システムを構成する各機器が実行する中継処理について)
次に、火災報知システム1を構成する各機器が実行する中継処理について説明する。
図1に示すように、建物の3階に感知器10、発信機20、中継装置30、及び受信装置40が設置されている場合を例に挙げて説明する。
図10は、発信機20、中継装置30、及び受信装置40によって実行される中継処理のフローチャートである(なお、中継装置30の動作の図示は省略する)。
図11は、
図10に続く発信機20、中継装置30、及び受信装置40によって実行される中継処理のフローチャートである。なお、以下の説明では、「ステップ」を「S」と略記する。また、発信機20のステップを「SA」、受信装置40のステップを「SB」、及び受信機50のステップを「SC」と略記する。また、受信装置40の動作中に発生したイベントは、受信装置40の制御部47によって記憶部48に記録されるものとする。
【0069】
図10及び
図11に示すように、発信機20の押しボタン部21がユーザによって押し下げられたことによって、発信機20の無線通信部23は、未確認情報を火災信号に付加し(SA1)、当該未確認情報が付加された火災信号を無線で送信する(SA2)。なお、発信機20の押しボタン部21が押し下げられる前の状態に復旧するまで、押し下げられた状態を維持している間、発信機20の無線通信部23は、火災信号を継続してまたは断続的に送信する。
【0070】
次いで、受信装置40の無線通信部43が発信機20、及び/又は中継装置30から未確認情報が付加された火災信号を無線で受信した場合(SB1)、受信装置40の信号出力部44は、当該受信した発信機20の火災信号の移報を信号線2を介して受信機50に対して行う(SB2)。
【0071】
次に、受信機50の信号入力部55が受信装置40から発信機20の火災信号の移報を信号線2を介して受信した場合(SC1)、受信機50の信号出力部56は、確認信号を信号線4を介して受信装置40に送信する(SC2)。その後、受信装置40の信号入力部45が受信機50から信号線4を介して確認信号を受信した場合(SB3)、受信装置40の無線通信部43は、当該受信した確認信号を無線で送信する(SB4)。
【0072】
続いて、発信機20の無線通信部23が受信装置40、及び/又は中継装置30から確認信号を無線で受信した場合(SA3)、発信機20の無線通信部23は、未確認情報に代えて、確認済情報を火災信号に付加し(SA4)、当該確認済情報が付加された火災信号を無線で送信する(SA5)。その後、受信装置40の無線通信部43が発信機20、及び/又は中継装置30から確認済情報が付加された火災信号を無線で受信した場合(SB5)、受信装置40の信号出力部44は、当該受信した発信機20の火災信号の移報を信号線2を介して受信機50に対して継続して行う(SB6)。
【0073】
次に、受信機50の信号入力部55が受信装置40から発信機20の火災信号の移報を信号線2を介して継続して受信した場合(SC3)、受信機50の信号出力部56は、確認信号を信号線4を介して受信装置40に継続して送信する(SC4)。その後、受信装置40の信号入力部45が受信機50から信号線4を介して確認信号を継続して受信した場合(SB7)、受信装置40の無線通信部43は、発信機20、及び/又は中継装置30から送信される信号の受信を待機する。
【0074】
続いて、発信機20の押しボタン部21がユーザによって押し下げられた状態から押し下げられる前の状態に復旧されたことによって、発信機20の無線通信部23は、火災復旧信号を無線で送信する(SA6)。
【0075】
次いで、受信装置40の無線通信部43が発信機20、及び/又は中継装置30から火災復旧信号を無線で受信した場合(SB8)、受信装置40の信号出力部44が、SB2の発信機20の火災信号の移報を行っている状態から当該発信機20の火災信号の移報を行う前の状態に復旧させる、すなわち発信機20の火災信号の移報を停止する(SB9)。
【0076】
次に、SB9によって、受信機50の信号出力部56が、受信装置40への確認信号の送信を停止する(SC5)。この場合には、受信装置40の無線通信部43は、復旧確認信号を無線で送信する(SB10)。その後、発信機20の無線通信部23は、受信装置40から復旧確認信号を無線で受信する(SA7)。これにて中継処理が終了する。
【0077】
(処理−中継処理)
次に、発信機20、受信装置40、及び受信機50によって実行される中継処理を、
図10及び
図11に示すSA1〜SA7、SB1〜SB10、SC1〜SC5の中継処理と関連づけて説明する。
図12は、発信機20によって実行される中継処理のフローチャートである。また、
図13は、受信装置40によって実行される中継処理のフローチャートである。また、
図14は、受信機50によって実行される中継処理のフローチャートである。これら中継処理の実行タイミングは任意で、例えば、発信機20又は受信機50の中継処理は当該発信機20の電源が投入された場合に実行され、受信装置40の中継処理は当該受信装置40の操作部41を介して中継処理を実行する旨の操作入力がされた場合に実行される。また、受信装置40と受信機50とを接続する信号線2、4は導通可能な状態であるものとする。なお、以下の説明では、発信機20のステップを「SD」、受信装置40のステップを「SE」、受信機50のステップを「SF」と略記する。
【0078】
(処理−中継処理−発信機)
最初に、発信機20の中継処理について説明する。
図12に示すように、まず、発信機20の制御部26は、押しボタン部21がユーザから火災信号の送信指示を受け付けたか否かを監視する(SD1)。
【0079】
ここで、ユーザによって発信機20の押しボタン部21が押し下げられたことにより、当該押しボタン部21が火災信号の送信指示を受け付けた場合に(SD1、Yes)、発信機20の火災信号生成部26aは、発信機識別情報を記憶部27から取得し、当該取得した発信機識別情報を火災信号に付加する(SD2)。さらに、発信機20の制御部26は、無線通信部23によって未確認情報を火災信号に付加させ(ここでは、確認識別フラグを「OFF」として火災信号に付加させる)(SA1)(SD3)、当該未確認情報が付加された火災信号を無線で送信させる(SA2)(SD4)。これにより、信号線を介して受信装置40に火災信号を送信する有線式の発信機に比べて信号線の敷設等を省くことができ、当該発信機20の設置コストや設置の手間を低減することができる。また、発信機20の無線通信部23は、当該無線通信部23が火災信号生成部26aにて発信機識別情報が付加された火災信号を無線で送信するので、例えば受信装置40は発信機20の火災信号を容易に識別することができる。
【0080】
次に、発信機20の制御部26は、ユーザによって押しボタン部21が火災信号の送信指示を受け付ける前の状態に復旧されたか否かを監視する(SD5)。ここで、ユーザによる押しボタン部21の操作がなされないことで、押しボタン部21が火災信号の送信指示を受け付けた状態を維持する場合(SD5、No)、発信機20の制御部26は、無線通信部23が確認信号を無線で受信したか否かを監視する(SD6)。
【0081】
ここで、発信機20の無線通信部23が確認信号を無線で受信していない場合(SD6、No)、発信機20の制御部26は、所定時間(例えば1分)が経過したか否かを監視する(SD7)。その結果、所定時間が経過していない場合(SD7、No)、発信機20の制御部26は、SD5に移行する。一方、所定時間が経過した場合(SD7、Yes)、発信機20の制御部26は、SD4に移行する。これにより、発信機20の無線通信部23は確認信号を受信するまで火災信号の送信を繰り返すので、受信装置40の火災信号の受信の確実性を向上させることができる。
【0082】
一方、発信機20の無線通信部23が確認信号を無線で受信した場合(SD6、Yes)(SA3)、発信機20の制御部26は、表示部24によって確認信号を受信した旨を表示させる(SD8)。これにより、ユーザに対して火災信号が発信機20から受信機50へ正常に送信されたことを提示できる。次いで、発信機20の制御部26は、無線通信部23によって、未確認情報に代えて確認済情報を火災信号に付加させ(ここでは、確認識別フラグを「ON」として火災信号に付加させる)(SA4)(SD9)、当該確認済情報が付加された火災信号を無線で送信させる(SA5)(SD10)。これにより、発信機20が確認信号を受信したことを中継装置30や受信装置40等に通知することができ、他の機器の火災信号の受信の確実性を一層向上させることができる。その後、発信機20の制御部26は、SD5に移行する。
【0083】
一方で、ユーザによって押しボタン部21が元の位置まで押し上げられることで、押しボタン部21が火災信号の送信指示を受け付ける前の状態に復旧された場合(SD5、Yes)、発信機20の火災信号生成部26aは、発信機識別情報を記憶部27から取得し、当該取得した発信機識別情報を火災復旧信号に付加し(SD11)、当該発信機識別情報が付加された火災復旧信号を無線通信部23によって無線で送信させる(SA6)(SD12)。
【0084】
次に、発信機20の制御部26は、無線通信部23が復旧確認信号を無線で受信したか否かを監視する(SD13)。ここで、発信機20の無線通信部23が復旧確認信号を無線で受信していない場合(SD13、No)、発信機20の制御部26は、所定時間(例えば1分)が経過したか否かを監視する(SD14)。その結果、所定時間が経過していない場合(SD14、No)、発信機20の制御部26は、SD13に移行する。一方、所定時間が経過した場合(SD14、Yes)、発信機20の制御部26は、SD12に移行する。これにより、発信機20の無線通信部23は復旧確認信号を受信するまで火災復旧信号の送信を繰り返すので、受信装置40の火災復旧信号の受信の確実性を向上させることができる。
【0085】
一方、無線通信部23が復旧確認信号を無線で受信した場合(SA7)(SD13、Yes)、発信機20の制御部26は、SD1に移行する。
【0086】
(処理−中継処理−受信装置)
次に、受信装置40の中継処理について説明する。
図13に示すように、まず、受信装置40の制御部47は、未確認情報が付加された発信機20の火災信号を無線通信部43が無線で受信したか否かを監視する(SE1)。具体的には、受信装置40の制御部47は、無線通信部43が受信した火災信号に付加された確認識別フラグが「OFF」であるか否かを判定する(以下、後述するSE7も同様)。
【0087】
ここで、未確認情報が付加された発信機20の火災信号を無線通信部43が無線で受信した場合(具体的には、制御部47にて火災信号に付加された確認識別フラグが「OFF」であると判定された場合)(SB1)(SE1、Yes)、受信装置40の識別情報取得部47aは当該無線通信部43にて受信した発信機20の火災信号の発信機識別情報を取得する(SE2)。そして、受信装置40の制御部47は移報方法テーブル48aを参照し、当該識別情報取得部47aにて取得された発信機識別情報に応じて、信号出力部44によって信号線2を短絡させる(SB2)(SE3)。具体的には、受信装置40の制御部47は、A−C出力部44aによってA−C線2dを短絡させると共に、L−C出力部44bによってL−C線2eを短絡させる。なお、受信装置40の制御部47は、表示部42によってA−C線2d及びL−C線2eが短絡状態である旨を表示させてもよい。これにより、ユーザに対して信号線2が短絡状態であることを提示することができる。
【0088】
続いて、受信装置40の制御部47は、信号入力部45が信号線4を介して確認信号を受信したか否かを監視する(SE4)。ここで、受信装置40の信号入力部45が信号線4を介して確認信号を受信した場合(SB3)(SE4、Yes)、受信装置40の制御部47は、無線通信部43によって当該受信した確認信号を無線で送信させる(SB4)(SE5)。
【0089】
次に、受信装置40の制御部47は、確認済情報が付加された発信機20の火災信号を無線通信部43が無線で受信したか否かを監視する(SE6)。具体的には、受信装置40の制御部47は、無線通信部43が受信した火災信号に付加された確認識別フラグが「ON」であるか否かを判定する。その結果、確認済情報が付加された発信機20の火災信号を無線通信部43が無線で受信していない場合(SE6、No)、受信装置40の制御部47は、未確認情報が付加された発信機20の火災信号を無線通信部43が受信したか否かを監視する(SE7)。
【0090】
ここで、未確認情報が付加された発信機20の火災信号を無線通信部43が無線で受信した場合(SE7、Yes)、受信装置40の制御部47は、SE5に移行する。これにより、受信装置40の制御部47が、無線通信部43によって確認信号を再送信させるので、発信機20の確認信号の受信の確実性を向上させることができる。一方、未確認情報が付加された発信機20の火災信号を無線通信部43が無線で受信していない場合(SE7、No)、受信装置40の制御部47は、所定時間(例えば1分)が経過したか否かを監視する(SE8)。ここで、所定時間が経過した場合(SE8、Yes)、受信装置40の制御部47は、SE5に移行する。
【0091】
一方で、確認済情報が付加された発信機20の火災信号を無線通信部43が無線で受信した場合(具体的には、制御部47にて火災信号に付加された確認識別フラグが「ON」であると判定された場合)(SB5)(SE6、Yes)、又はSE8の処理にて所定時間が経過していない場合(SE8、No)、受信装置40の制御部47は、無線通信部43が発信機20の火災復旧信号を受信したか否かを監視する(SE9)。ここで、受信装置40の無線通信部43が発信機20の火災復旧信号を受信していない場合(SE9、No)、受信装置40の制御部47は、SE6に移行する。なお、SE3〜SE9の処理の間、信号線2が短絡した状態が維持されるので(SB6)、受信装置40の信号入力部45は信号線4を介して確認信号を継続して受信する(SB7)。また、SE6にて確認済情報が付加された発信機20の火災信号を無線通信部43が無線で受信した場合、無線通信部43からの確認信号の送信が停止するので、発信機20と受信装置40との間のトラフィック、中継装置30と受信装置40との間のトラフィック等を減らすことができる。
【0092】
一方、受信装置40の無線通信部43が発信機20の火災復旧信号を受信した場合(SB8)(SE9、Yes)、受信装置40の識別情報取得部47aは当該無線通信部43にて受信した発信機20の火災復旧信号の発信機識別情報を取得する(SE10)。そして、受信装置40の制御部47は移報方法テーブル48aを参照し、当該識別情報取得部47aにて取得された発信機識別情報に応じて、信号出力部44によって信号線2を短絡させた状態から短絡させる前の状態に復旧させる(SB9)(SE11)。具体的には、受信装置40の制御部47はA−C出力部44aによってA−C線2dを短絡状態から導通可能な状態へ復旧させると共に、L−C出力部44bによってL−C線2eを短絡状態から導通可能な状態へ復旧させる。
【0093】
続いて、受信装置40の制御部47は、信号入力部45が信号線4を介して確認信号を受信したか否かを監視する(SE12)。ここで、受信装置40の信号入力部45が信号線4を介して確認信号を受信しなくなった場合(SE12、No)、受信装置40の制御部47は、無線通信部43によって当該受信した復旧確認信号を無線で送信させる(SB10)(SE13)。
【0094】
次いで、受信装置40の制御部47は、無線通信部43が発信機20の火災復旧信号を受信したか否かを監視する(SE14)。ここで、受信装置40の無線通信部43が発信機20の火災復旧信号を受信した場合(SE14、Yes)、受信装置40の制御部47は、SE13に移行する。
【0095】
一方、受信装置40の無線通信部43が発信機20の火災復旧信号を受信しない場合(SE14、No)、受信装置40の制御部47は、所定時間(例えば1分)が経過したか否かを監視する(SE15)。ここで、所定時間が経過していない場合(SE15、No)、受信装置40の制御部47は、SE14に移行する。一方、所定時間が経過した場合(SE15、Yes)、その後、受信装置40の制御部47は、SE1に移行する。
【0096】
(処理−中継処理−受信機)
次に、受信機50の中継処理について説明する。
図14に示すように、まず、受信機50の制御部58は、信号入力部55が火災信号の移報を信号線2を介して受信したか否かを監視する(SF1)。
【0097】
ここで、信号入力部55が火災信号の移報を信号線2を介して受信した場合(SC1、SC3)(SF1、Yes)、受信機50の制御部58は、SF1にて受信した移報が発信機20の移報であるか否かを判定する(SF2)。具体的には、受信機50の制御部58は、A−C出力部44aのA−C線2dが短絡状態であり、かつL−C出力部44bのL−C線2eが短絡状態であるか否かを判定させる。その結果、SF1にて受信した移報が発信機20の移報でなかった場合(SC1、SC3)(SF2、No)、受信機50の制御部58は、SF1に移行する。
【0098】
一方、SF1にて受信した移報が発信機20の移報であった場合(SF2、Yes)、受信機50の制御部58は、信号出力部56によって信号線4を短絡させる(SC2、SC4)(SF3)。具体的には、受信機50の制御部58は、信号出力部56によってA−C線4dを短絡させる。
【0099】
次に、受信機50の制御部58は、信号入力部55が発信機20の火災信号の移報を信号線2を介して受信しているか否かを監視する(SF4)。ここで、受信機50の信号入力部55が発信機20の火災信号の移報を信号線2を介して受信している場合(SF4、Yes)、受信機50の制御部58は、SF3に移行する。
【0100】
一方で、信号入力部55が発信機20の火災信号の移報を信号線2を介して受信していない場合(SF4、No)、受信機50の制御部58は、信号出力部56によって信号線4を短絡させた状態から短絡させる前の状態に復旧させる(SC5)(SF5)。具体的には、受信機50の制御部58は、信号出力部56によってA−C線4dを短絡状態から導通可能な状態へ復旧させる。その後、受信機50の制御部58は、SF1に移行する。
【0101】
(効果)
このように実施の形態1によれば、発信機20は、ユーザによる火災信号の送信指示を受け付ける押しボタン部21と、この押しボタン部21がユーザから火災信号の送信指示を受け付けた場合には、火災信号を無線にて送信し、かつ確認信号を無線で受信する無線通信部23とを備えるので、信号線がなくても他の機器に火災信号を送信したり、確認信号を受信することができ、有線式の発信機と比べて設置コスト及び設置の手間を低減することができる。
【0102】
また、発信機20の無線通信部23は、発信機20の火災信号生成部26aにて発信機識別情報が付加された火災信号を無線にて送信するので、発信機20の火災信号を容易に識別でき、火災の位置を一層容易に特定することができる。
【0103】
また、発信機20の無線通信部23は、未確認情報が付加された火災信号を当該無線通信部23が無線で送信した後に、当該無線通信部23が所定時間内に確認信号を受信しなかった場合には、当該未確認情報が付加された火災信号を無線で再送信するので、他の機器の火災信号の受信の確実性を向上させることができ、有線式の発信機と同等の通信の安定性を確保することができる。
【0104】
また、発信機20の無線通信部23は、当該無線通信部23が確認信号を受信した場合に、未確認情報に代えて、確認済情報を火災信号に付加して無線で送信するので、他の機器の火災信号の受信の確実性を一層向上させることができ、有線式の発信機と同等の通信の安定性を一層確保することができる。
【0105】
また、発信機20は、無線通信部23が確認信号を受信した場合に、その旨を表示する表示部24を備えるので、ユーザに対して発信機20が確認信号を受信したことを提示でき、受信機50が火災信号を受信したことをユーザが容易に確認できる。
【0106】
また、発信機20は、ユーザによる火災信号の送信指示を受け付ける押しボタン部21と、この押しボタン部21がユーザから火災信号の送信指示を受け付けた場合には、火災信号を無線にて送信し、確認信号を無線で受信する無線通信部23とを備え、受信装置40は、確認信号を送信するための無線通信部43と、受信機50が信号線2を介して発信機20の火災信号を受信した場合に、当該受信機50から信号線4を介して送信された確認信号を無線通信部43によって送信させる制御部47と、を備えるので、信号線がなくても他の機器に火災信号を送信したり、確認信号を受信することができ、有線式の発信機を備えて構成される火災報知システム1と比べて設置コスト及び設置の手間を低減することができる。
【0107】
また、受信装置40の制御部47は、受信装置40が発信機20から確認済情報が付加された火災信号を受信した場合に、無線通信部43による確認信号の送信を停止させるので、発信機20と受信装置40との間のトラフィック、中継装置30と受信装置40との間のトラフィック等を減らすことができ、各機器の通信効率を向上させることができる。
【0108】
また、受信装置40の制御部47は、無線通信部43が確認信号を送信した後に、受信装置40が発信機20から未確認情報が付加された火災信号を受信した場合には、当該確認信号を無線通信部43によって再送信させるので、発信機20の確認信号の受信の確実性を向上させることができ、有線式の発信機を備えて構成される火災報知システム1と同等の通信の安定性を確保することができる。
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、発信機が他の機器から確認信号を受信した場合に、発信機が火災信号を送信しない形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0109】
(構成−火災報知システム)
実施の形態2に係る火災報知システム1は、
図1に示した実施の形態1の火災報知システム1とほぼ同様に構成でき、その構成の説明は省略する。
【0110】
(処理−火災報知システムを構成する各機器が実行する中継処理について)
火災報知システム1を構成する各機器が実行する中継処理について説明する。実施の形態1と同様に、
図1に示す建物の3階に発信機20、中継装置30、及び受信装置40が設置されている場合を例に挙げて説明する。
図15は、発信機20、中継装置30、及び受信装置40によって実行される中継処理のフローチャートである。ただし、この中継処理におけるSA1〜SA3、SA5、SB1〜SB4、SB5〜SB7、SC1〜SC3は、
図10及び
図11に示した実施の形態1の処理のSA1〜SA3、SA7、SB1〜SB4、SB8〜SB10、SC1、SC2、SC5と同じであるため、その説明を省略する。なお、実施の形態1と異なる処理としては、SA3の処理後、発信機20の無線通信部23は、未確認情報を火災復旧信号に付加し(SA4)、当該未確認情報が付加された火災復旧信号を無線で送信する(SA5)。
【0111】
(処理−中継処理)
次に、発信機20、受信装置40、及び受信機50によって実行される中継処理について説明する。実施の形態2に係る発信機20、受信装置40、及び受信機50によって実行される中継処理は、発信機20の中継処理を除き、
図13及び
図14に示した実施の形態1の受信装置40及び受信機50の中継処理とそれぞれ同じである。よって、以下では発信機20の中継処理を、
図15に示すSA1〜SA5と関連づけて説明する。
図16は、発信機20によって実行される中継処理のフローチャートである。ただし、この中継処理におけるSD1〜SD4、SD9〜SD12は、
図12に示した実施の形態1の処理のSD1〜SD4、SD11〜SD14と同じであるため、その説明を省略する。
【0112】
図16に示すように、SD4の処理後、発信機20の制御部26は、ユーザによって押しボタン部21が火災信号の送信指示を受け付ける前の状態に復旧されたか否かを監視する(SD5)。ここで、ユーザによる押しボタン部21の操作がなされないことで、押しボタン部21が火災信号の送信指示を受け付けた状態を維持する場合(SD5、No)、発信機20の制御部26は、無線通信部23が確認信号を無線で受信したか否かを監視する(SD6)。
【0113】
ここで、発信機20の無線通信部23が確認信号を無線で受信していない場合(SD6、No)、発信機20の制御部26は、所定時間(例えば1分)が経過したか否かを監視する(SD7)。その結果、所定時間が経過していない場合(SD7、No)、発信機20の制御部26は、SD5に移行する。一方、所定時間が経過した場合(SD7、Yes)、発信機20の制御部26は、SD4に移行する。
【0114】
一方で、発信機20の無線通信部23が確認信号を無線で受信した場合(SD6、Yes)(SA3)、発信機20の制御部26は、表示部24によって確認信号を受信した旨を表示させ(SD8)、SD5に移行する。このように、無線通信部23が確認信号を受信した場合に、発信機20の制御部26は、無線通信部23によって火災信号を送信させないので、発信機20と中継装置30との間のトラフィック、又は発信機20と受信装置40との間のトラフィック等を一層減らすことができると共に、発信機20の電源部25の消費電力を低減できる。
【0115】
(効果)
このように実施の形態2によれば、発信機20の無線通信部23は、当該無線通信部23が確認信号を受信した場合に、火災信号の送信を停止するので、発信機20と中継装置30との間のトラフィック、又は発信機20と受信装置40との間のトラフィック等を一層減らすことができると共に、発信機20の電源部25の消費電力を低減でき、発信機20の通信効率を向上させることができる。
【0116】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0117】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0118】
(分散や統合について)
上述した火災報知システム1の各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成できる。
【0119】
(感知器について)
上述した各実施の形態では、感知器10の無線送信部は、火災信号又は火災復旧信号を送信すると説明したが、これに限られない。例えば、この無線送信部は、感知器10の動作状況を監視するために、当該感知器10の感知器識別情報を定期的に送信してもよい。この場合には、受信装置40の無線通信部43が感知器識別情報を定期的に受信しなくなったと判定された場合に、受信装置40の制御部47は信号出力部44によって信号線2を断線させてもよい。具体的には、受信装置40の制御部47はL−C出力部44bによってL−C線2eを断線させる(なお、発信機20の無線送信部23についても同様)。
【0120】
(発信機識別情報について)
上述した各実施の形態では、発信機識別情報は、発信機20を一意に識別する情報と説明したが、発信機20の各々を識別するものに限られず、例えば単に発信機20であることを識別する情報であってもよい。
【0121】
(確認信号の出力方法について)
上述した各実施の形態では、信号出力部56が、受信機50と接続された信号線4を導通可能にさせたり、又は短絡させることにより、確認信号を受信装置40に送信すると説明したが、これに限られない。例えば、受信装置40と接続された信号線2が信号出力部44によって短絡されることにより、信号出力部56が、確認信号を信号線2を介して受信装置40に送信するようにしてもよい。具体的には、A線出力端子4a1及びC線出力端子4b1は、受信装置40側とは逆側(受信機50を挟んで受信装置40側と反対に位置する側)のA線2a及びC線2bと各々接続させ、A線入力端子4a2及びC線入力端子4b2は、受信装置40側のA線2a及びC線2bと各々接続させる。そして、信号出力部56は、信号出力部44によってA−C線2dが短絡されることにより、A線2aからC線2cに向けて電流が流れるようにし、この電流を発信機20に検知させることにより、受信機50の確認信号を発信機20に送信する。これにより、信号線2のみで火災信号及び確認信号の通信を行うことができるので、信号線4を用いなくて済み、配線の省略化を図ることができます。
【0122】
(発信機の中継処理について)
発信機20が中継処理を実行している間、当該発信機20は継続して動作させると説明したが、上述した各実施の形態の処理に限定されない。例えば、発信機20の無線通信部23は、SD4にて当該無線通信部23が火災信号を無線で送信した場合において、当該火災信号を送信してから所定時間(例えば3分)が経過するまでの間、当該無線通信部23を動作させ、当該所定時間経過後、当該無線通信部23の動作を停止させてもよい。これにより、発信機20の電源部25の消費電力を低減できる。
【0123】
(受信装置の中継処理について)
受信装置40が火災信号や火災復旧信号を受信した際に、当該受信装置40で行われる処理は、上述した各実施の形態の処理に限定されない。すなわち、複数の端末装置(ここでは、感知器10、発信機20、中継装置30)から、それぞれ火災信号が送信された場合、受信装置40は、火災信号が送信された順に、信号線2を各火災信号に対応する形態で短絡させる。この短絡処理において、短絡対象となる信号線2のうち、既に短絡させている部分がある場合には、残りの部分のみを短絡させればよい。あるいは、短絡対象となる信号線2のうち、次に短絡させる部分が既に短絡させている部分と重複する部分を含む場合であって、かつ既に短絡させている部分よりも短絡させる部分が少ない場合には、既に短絡させている部分を維持させたり、又は既に短絡させている部分と次に短絡させる部分と重複する部分の短絡状態を維持させて、残りの部分を復旧させてもよい。また、複数の端末装置から、それぞれ火災復旧信号が送信された場合、受信装置40は、火災復旧信号が送信された順に、信号線2を各火災復旧信号に対応する形態で導通可能な状態に復旧させる。この復旧処理において、復旧対象となる信号線2のうち、既に復旧させている部分がある場合には、残りの部分のみを復旧させればよいが、火災信号を送信した後に未だ火災復旧信号を送信していない端末装置がある場合には、当該端末装置からの火災信号に対応する形態で短絡させている部分は短絡状態に維持したまま、他の部分のみを復旧させる。