特許第5719625号(P5719625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719625
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20150430BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20150430BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   B23Q17/00 A
   B23Q15/00 C
   G05B19/19 F
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-31554(P2011-31554)
(22)【出願日】2011年2月17日
(65)【公開番号】特開2012-45703(P2012-45703A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2013年12月19日
(31)【優先権主張番号】特願2010-166781(P2010-166781)
(32)【優先日】2010年7月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】300035331
【氏名又は名称】インテリジェント マニュファクチャリング システムズ インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100163027
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 健一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 和雄
(72)【発明者】
【氏名】藤森 徹
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−093069(JP,A)
【文献】 特開2011−240423(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/092104(WO,A1)
【文献】 特開昭63−200947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00
B23Q 15/00
G05B 19/19
B23Q 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具が装着される工具装着手段と、
ワークが装着されるワーク装着手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段を直交3軸方向に移動自在に支持する第1支持手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段を前記直交3軸方向に移動させる送り手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段の前記直交3軸方向における位置を検出する第1位置検出手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段の前記直交3軸方向における目標移動位置と、前記第1位置検出手段によって検出される位置とを基に、前記送り手段をフィードバック制御して、前記工具装着手段及びワーク装着手段を前記目標移動位置に移動させる制御手段とを備えた工作機械であって、
前記第1支持手段とは別に設けられる第2支持手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段の内、移動可能な手段に設けられるスケールと、前記第2支持手段に設けられ、前記スケールの目盛りを読み取る読取器とを少なくとも2組有し、前記工具装着手段及びワーク装着手段の前記直交3軸方向における位置を検出する第2位置検出手段とを更に備えており、
前記第2支持手段は、前記第1支持手段よりも線膨張係数が低い材料から構成されていることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記第1支持手段は、ベッドと、前記ベッド上に固設される門形のコラムであって、前記ベッドの両側に設けられた1対の支柱と、前記1対の支柱間に掛け渡されたクロスビームとを有するコラムとから構成され、
前記工具装着手段は、前記クロスビームに上下方向たる第1軸方向に移動自在に設けられる主軸頭と、前記主軸頭によって軸線が前記第1軸と平行に支持され、工具が装着される主軸とから構成され、
前記ワーク装着手段は、前記ベッド上に水平方向たる第2軸方向に移動自在に設けられるサドルと、前記サドル上に、前記第2軸と垂直な水平方向たる第3軸方向に移動自在に設けられ、ワークが装着されるテーブルとから構成され、
前記送り手段は、前記主軸頭を前記第1軸方向に、前記サドルを前記第2軸方向に、前記テーブルを前記第3軸方向にそれぞれ移動させるように構成され、
前記第1位置検出手段は、前記主軸頭の前記第1軸方向における位置、前記サドルの前記第2軸方向における位置及び前記テーブルの前記第3軸方向における位置をそれぞれ検出するように構成され、
前記制御手段は、前記主軸頭,サドル及びテーブルの前記第1軸,第2軸及び第3軸方向における目標移動位置と、前記第1位置検出手段によって検出される位置とを基に、前記送り手段をフィードバック制御して、前記主軸頭,サドル及びテーブルを前記目標移動位置に移動させるように構成され、
前記サドルは、上下に貫通する貫通穴を前記テーブルの移動領域内に有し、
前記第2支持手段は、矩形状且つ枠状の部材から構成されて、縦辺部が前記第1軸に沿い、横辺部が前記クロスビームの長手方向に沿うように、且つ枠内に前記サドル及びテーブルが位置するように前記ベッド及びコラムに配設され、
前記第2位置検出手段は、前記第1軸方向に目盛りが形成され、前記主軸頭に設けられる第1スケールと、前記第2軸方向及び第3軸方向に目盛りが形成され、前記テーブルの下面に設けられる第2スケールと、前記第2支持手段の、前記主軸頭の近傍部分に設けられ、前記第1スケールの目盛りを読み取る第1読取器と、前記第2支持手段の、前記テーブルの下方部分且つ前記貫通穴に対応した部分に設けられ、前記第2スケールの目盛りを読み取る第2読取器とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項3】
前記各スケール及び読取器は、前記工具とワークとの接触点たる切削点の近傍に配設されていることを特徴とする請求項2記載の工作機械。
【請求項4】
前記第2読取器は、前記主軸の真下に配設されていることを特徴とする請求項2又は3記載の工作機械。
【請求項5】
前記第2位置検出手段は、前記第1軸方向及び第2軸方向に目盛りが形成され、前記主軸頭に設けられる第1スケールと、前記第2軸方向及び第3軸方向に目盛りが形成され、前記テーブルの下面に設けられる第2スケールと、前記第1軸方向及び第3軸方向に目盛りが形成され、前記主軸頭に設けられる第3スケールと、前記第2支持手段の、前記主軸頭の近傍部分に設けられ、前記第1スケールの目盛りを読み取る第1読取器と、前記第2支持手段の、前記テーブルの下方部分且つ前記貫通穴に対応した部分に設けられ、前記第2スケールの目盛りを読み取る第2読取器と、前記第2支持手段の、前記主軸頭の近傍部分に設けられ、前記第3スケールの目盛りを読み取る第3読取器との3組のスケール及び読取器から構成されていることを特徴とする請求項2乃至4記載のいずれかの工作機械。
【請求項6】
前記第2支持手段は、その線膨張係数が1.5×10−6/℃の部材から構成されていることを特徴とする請求項1乃至5記載のいずれかの工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具及びワークの移動位置をフィードバック制御するための位置検出器とは別の位置検出器を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械では、従来から、工具及びワークの移動位置がフィードバック制御により制御されており、その一例として、例えば、特開2008−114322号公報に開示された工作機械がある。
【0003】
この工作機械は、ベースと、ベース上に水平方向たるX軸方向に移動自在に設けられ、ワークが装着されるテーブルと、ベース上に、X軸と垂直な水平方向たるZ軸方向に移動自在に設けられるコラムと、コラムに上下方向たるY軸方向に移動自在に設けられる主軸頭と、主軸頭に支持され、工具が装着される主軸と、X軸モータによってテーブルをX軸方向に移動させるX軸送り機構と、Z軸モータによってコラムをZ軸方向に移動させるZ軸送り機構と、Y軸モータによって主軸頭をY軸方向に移動させるY軸送り機構と、X軸方向におけるテーブルの位置を検出するX軸位置検出器と、Z軸方向におけるコラムの位置を検出するZ軸位置検出器と、Y軸方向における主軸頭の位置を検出するY軸位置検出器と、テーブル,コラム及び主軸頭のX軸方向,Z軸方向及びY軸方向における目標移動位置と、X軸,Z軸及びY軸位置検出器によって検出される位置とを基に、X軸,Z軸及びY軸送り機構をフィードバック制御して、テーブル,コラム及び主軸頭を前記目標移動位置に移動させる制御装置とを備える。
【0004】
尚、前記X軸,Z軸及びY軸位置検出器は、X軸方向,Z軸方向及びY軸方向に目盛りが形成されたX軸,Z軸及びY軸スケールと、X軸,Z軸及びY軸スケールの目盛りを読み取るX軸,Z軸及びY軸読取器とから構成され、X軸及びZ軸スケールはベースに、Y軸スケールはコラムにそれぞれ設けられ、X軸読取器はテーブルに、Z軸読取器はコラムに、Y軸読取器は主軸頭にそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−114322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ベース,テーブル,コラム及び主軸頭などの工作機械構造体にそれぞれ取り付けられたスケール及び読取器によってテーブル,コラム及び主軸頭の位置を検出するようになった上記従来の工作機械では、工作機械構造体の自重及び外力による弾性変形や熱変形によって読取器の3次元空間内における位置や各読取器間の位置関係が変化するため、位置検出器の検出値が誤差を含んだものとなって正確な位置を検出することができない。
【0007】
このため、例えば、工具に代えて測定ヘッドを主軸に装着し、この測定ヘッドの測定子をテーブル上に固定された加工後のワークに接近,接触させて、測定子がワークに接触した時点における、テーブル,コラム及び主軸頭のX軸方向,Z軸方向及びY軸方向の位置をX軸,Z軸及びY軸位置検出器により検出し、検出した位置を基にワークの形状精度を算出しても、精度の良い機上測定を行うことはできない。
【0008】
また、単にワークの形状精度を算出するだけではなく、算出したワークの形状精度を基に、ワーク加工時におけるテーブル,コラム及び主軸頭のX軸方向,Z軸方向及びY軸方向の移動位置を補正しても、同様に、精度の高い補正を実施することはできない。
【0009】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、工具及びワークの正確な位置を検出することができる工作機械の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、
工具が装着される工具装着手段と、
ワークが装着されるワーク装着手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段を直交3軸方向に移動自在に支持する第1支持手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段を前記直交3軸方向に移動させる送り手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段の前記直交3軸方向における位置を検出する第1位置検出手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段の前記直交3軸方向における目標移動位置と、前記第1位置検出手段によって検出される位置とを基に、前記送り手段をフィードバック制御して、前記工具装着手段及びワーク装着手段を前記目標移動位置に移動させる制御手段とを備えた工作機械であって、
前記第1支持手段とは別に設けられる第2支持手段と、
前記工具装着手段及びワーク装着手段の内、移動可能な手段に設けられるスケールと、前記第2支持手段に設けられ、前記スケールの目盛りを読み取る読取器とを少なくとも2組有し、前記工具装着手段及びワーク装着手段の前記直交3軸方向における位置を検出する第2位置検出手段とを更に備えており、
前記第2支持手段は、前記第1支持手段よりも線膨張係数が低い材料から構成されていることを特徴とする工作機械に係る。
【0011】
この発明によれば、工具装着手段及びワーク装着手段の直交3軸方向における目標移動位置と、第1位置検出手段によって検出される位置とを基に、制御手段により、送り手段がフィードバック制御されて、工具装着手段及びワーク装着手段が前記目標移動位置に移動せしめられる。また、第2位置検出手段によって工具装着手段及びワーク装着手段の直交3軸方向における位置が検出される。
【0012】
尚、第2位置検出手段は、直交3軸方向の位置を検出することができればどのようなものを採用しても良く、例えば、直交2軸方向の位置を検出可能なスケール及び読取器と、1軸方向のみの位置を検出可能なスケール及び読取器とによって直交3軸方向の位置を検出したり、1軸方向のみの位置を検出可能な3組のスケール及び読取器によって直交3軸方向の位置を検出したり、直交2軸方向の位置を検出可能な3組のスケール及び読取器によって直交3軸方向の位置を検出しても良い。
【0013】
本発明では、第2位置検出手段の読取器が、工具装着手段及びワーク装着手段を支持する第1支持手段とは別の第2支持手段に設けられているので、第1支持手段が自重や外力によって弾性変形したり、熱変形しても、第2支持手段はこれらの影響を受け難く、読取器の3次元空間内における位置や各読取器間の位置関係が変化するのを抑えることができる。したがって、この第2位置検出手段では、その検出値に誤差が含まれるのを防止して、工具装着手段及びワーク装着手段(工具及びワーク)の直交3軸方向における位置を正確に検出することができる。
【0014】
したがって、例えば、第2位置検出手段により検出される位置と、前記目標移動位置、或いは第1位置検出手段によって検出される位置とを比較すれば、工具装着手段及びワーク装着手段の運動誤差を高精度に解析することができる。
【0015】
また、ワーク加工時において、工具装着手段及びワーク装着手段を直交3軸方向に移動させるに当たり、第1位置検出手段の検出値など、工具装着手段及びワーク装着手段の位置を前記解析した運動誤差を基に補正すれば、高精度にワークを加工することができる。
【0016】
更に、工具に代えて測定ヘッドを工具装着手段に装着し、この測定ヘッドの測定子をワーク装着手段に装着された加工後のワークに接近,接触させて、測定子がワークに接触した時点における工具装着手段及びワーク装着手段の直交3軸方向の位置を第1位置検出手段により検出し、検出した位置を基にワークの形状精度を算出するに当たり、前記第1位置検出手段の検出値を前記解析した運動誤差を基に補正すれば、機上測定を高精度に実施することができる。
【0017】
尚、前記第1支持手段は、ベッドと、前記ベッド上に固設される門形のコラムであって、前記ベッドの両側に設けられた1対の支柱と、前記1対の支柱間に掛け渡されたクロスビームとを有するコラムとから構成され、前記工具装着手段は、前記クロスビームに上下方向たる第1軸方向に移動自在に設けられる主軸頭と、前記主軸頭によって軸線が前記第1軸と平行に支持され、工具が装着される主軸とから構成され、前記ワーク装着手段は、前記ベッド上に水平方向たる第2軸方向に移動自在に設けられるサドルと、前記サドル上に、前記第2軸と垂直な水平方向たる第3軸方向に移動自在に設けられ、ワークが装着されるテーブルとから構成され、前記送り手段は、前記主軸頭を前記第1軸方向に、前記サドルを前記第2軸方向に、前記テーブルを前記第3軸方向にそれぞれ移動させるように構成され、前記第1位置検出手段は、前記主軸頭の前記第1軸方向における位置、前記サドルの前記第2軸方向における位置及び前記テーブルの前記第3軸方向における位置をそれぞれ検出するように構成され、前記制御手段は、前記主軸頭,サドル及びテーブルの前記第1軸,第2軸及び第3軸方向における目標移動位置と、前記第1位置検出手段によって検出される位置とを基に、前記送り手段をフィードバック制御して、前記主軸頭,サドル及びテーブルを前記目標移動位置に移動させるように構成され、前記サドルは、上下に貫通する貫通穴を前記テーブルの移動領域内に有し、前記第2支持手段は、矩形状且つ枠状の部材から構成されて、縦辺部が前記第1軸に沿い、横辺部が前記クロスビームの長手方向に沿うように、且つ枠内に前記サドル及びテーブルが位置するように前記ベッド及びコラムに配設され、前記第2位置検出手段は、前記第1軸方向に目盛りが形成され、前記主軸頭に設けられる第1スケールと、前記第2軸方向及び第3軸方向に目盛りが形成され、前記テーブルの下面に設けられる第2スケールと、前記第2支持手段の、前記主軸頭の近傍部分に設けられ、前記第1スケールの目盛りを読み取る第1読取器と、前記第2支持手段の、前記テーブルの下方部分且つ前記貫通穴に対応した部分に設けられ、前記第2スケールの目盛りを読み取る第2読取器とから構成されていても良い。
【0018】
この場合には、主軸頭,サドル及びテーブルの第1軸,第2軸及び第3軸方向における目標移動位置と、第1位置検出手段によって検出される位置とを基に、制御手段により、送り手段がフィードバック制御されて、主軸頭,サドル及びテーブルが前記目標移動位置に移動せしめられる。また、主軸頭の第1軸方向における位置は第2位置検出手段の第1スケール及び第1読取器によって検出され、サドルの第2軸方向における位置及びテーブルの第3軸方向における位置は第2位置検出手段の第2スケール及び第2読取器によって検出される。
【0019】
また、この場合、第1読取器及び第2読取器が同じ部材(矩形状且つ枠状をした部材)に設けられているので、各読取器間の位置関係を容易且つ精度良く認識することができ、主軸頭,サドル及びテーブルの位置をより高精度に検出することができる。
【0020】
また、前記各スケール及び読取器は、前記工具とワークとの接触点たる切削点の近傍に配設されていることが好ましく、このように、切削点の近傍に配設すれば、離れているときに比べ、より精度良く位置検出を行うことができる。
【0021】
また、前記第2読取器は、前記主軸の真下に配設されていることが好ましく、このように、主軸の真下に配設すれば、真下以外に配置されているときに比べ、位置検出精度をより高いものにすることができる。
【0022】
また、前記第2位置検出手段は、前記第1軸方向及び第2軸方向に目盛りが形成され、前記主軸頭に設けられる第1スケールと、前記第2軸方向及び第3軸方向に目盛りが形成され、前記テーブルの下面に設けられる第2スケールと、前記第1軸方向及び第3軸方向に目盛りが形成され、前記主軸頭に設けられる第3スケールと、前記第2支持手段の、前記主軸頭の近傍部分に設けられ、前記第1スケールの目盛りを読み取る第1読取器と、前記第2支持手段の、前記テーブルの下方部分且つ前記貫通穴に対応した部分に設けられ、前記第2スケールの目盛りを読み取る第2読取器と、前記第2支持手段の、前記主軸頭の近傍部分に設けられ、前記第3スケールの目盛りを読み取る第3読取器との3組のスケール及び読取器から構成されていても良い。
【0023】
この場合には、主軸頭の第1軸方向及び第2軸方向における位置が第1スケール及び第1読取器によって検出され、主軸頭の第1軸方向及び第3軸方向における位置が第3スケール及び第3読取器によって検出され、テーブルの第2軸方向及び第3軸方向における位置が第2スケール及び第2読取器によって検出される。このようにして検出された各軸方向についての2つ(合計6つ)の検出値を基により精度の高い位置検出を実施することができる。
【0024】
また、前記第2支持手段は、その線膨張係数が1.5×10−6/℃の部材から構成されていることが好ましく、このようにすれば、雰囲気温度が変動したり、工作機械の発熱源(例えば、軸受やモータなど)から熱が伝導しても第2支持手段の熱変位をごく僅かに抑え、読取器の3次元空間内における位置や各読取器間の位置関係が変化するのを防止することができるので、第2位置検出手段の検出精度が低下するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明に係る工作機械によれば、第2位置検出手段の読取器を第2支持手段に設けて工具装着手段,ワーク装着手段及び第1支持手段から分離させたので、工具及びワークの正確な位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械の概略構成を示した斜視図である。
図2図1における矢示A−A方向の断面図である。
図3図1における矢示B方向の平面図である。
図4図1における矢示C−C方向の断面図である。
図5】本実施形態に係る制御装置及び位置検出器などの概略構成を示したブロック図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る制御装置及び位置検出器などの概略構成を示したブロック図である。
図7】スケールと読取器との関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。
【0028】
図1乃至図5に示すように、本例の工作機械1は、矩形状をしたベッド11と、ベッド11上に固設される門形のコラム12と、コラム12に上下方向たるZ軸方向に移動自在に設けられる主軸頭15と、主軸頭15によって軸線がZ軸と平行且つ軸線中心に回転自在に支持され、下端に工具Tが装着される主軸16と、ベッド11上に水平方向たるY軸方向に移動自在に設けられるサドル17と、サドル17上に、Y軸及びZ軸の双方と垂直なX軸方向に移動自在に設けられ、上面にワークWが装着されるテーブル18と、主軸頭15をZ軸方向に移動させるZ軸送り機構と、サドル17をY軸方向に移動させるY軸送り機構と、テーブル18をX軸方向に移動させるX軸送り機構と、主軸頭15のZ軸方向における位置を検出するZ軸位置検出器30と、サドル17のY軸方向における位置を検出するY軸位置検出器33と、テーブル18のX軸方向における位置を検出するX軸位置検出器36と、各送り機構の作動を制御する制御装置40とから構成される。
【0029】
また、前記工作機械1は、更に、主軸頭15のX軸方向及びZ軸方向における位置を検出するX−Z位置検出器51と、主軸頭15のY軸方向及びZ軸方向における位置を検出するY−Z位置検出器54と、サドル17のY軸方向における位置及びテーブル18のX軸方向における位置(即ち、テーブル18のX軸方向及びY軸方向における位置)を検出するX−Y位置検出器57と、ベッド11及びコラム12とは別に設けられ、各位置検出器51,54,57を構成する後述の読取器53,56,59が配設される計測フレーム(第2支持手段)50とを備えている。
【0030】
尚、前記ベッド11及びコラム12は、特許請求の範囲に言う第1支持手段と、前記主軸頭15及び主軸16は、特許請求の範囲に言う工具装着手段と、前記サドル17及びテーブル18は、特許請求の範囲に言うワーク装着手段と、前記Z軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36は、特許請求の範囲に言う第1位置検出手段と、前記X−Z,Y−Z及びX−Y位置検出器51,54,57は、特許請求の範囲に言う第2位置検出手段としてそれぞれ機能する。
【0031】
前記ベッド11には、その上面に開口する溝11aがX軸方向に沿って形成される。前記コラム12は、ベッド11のX軸方向における両側に立設された1対の支柱13と、1対の支柱13の上部間にX軸と平行に掛け渡されたクロスビーム14とから構成される。支柱13には、その互いに向かい合う面に開口する溝13aがZ軸方向に沿って形成されており、この溝13aの下端は前記溝11aに接続されている。一方、クロスビーム14には、その長手方向の中央部に上下に貫通する貫通穴14aが形成され、この貫通穴14aのX軸方向における両側には、下面に開口する溝14bがX軸方向に沿って形成されており、この溝14bの両端は前記貫通穴14a及び溝13aにそれぞれ接続されている。
【0032】
前記主軸頭15は、クロスビーム14の貫通穴14a内に配置されており、主軸頭15の外周面に設けられた案内部材20と、貫通穴14aの内周面に設けられた案内部材21との係合関係により案内されてZ軸方向に移動する。
【0033】
前記サドル17は、長手方向がX軸方向に沿った矩形状に形成されており、テーブル18の移動領域内且つ長手方向の中央部には、上下に貫通する矩形状の貫通穴17aが形成されている。このサドル17は、その下面に形成された案内部22と、ベッド11の上面に設けられた案内部材23との係合関係により案内されてY軸方向に移動する。また、前記テーブル18は、その下面に形成された案内部24と、サドル17の上面に形成された案内部25との係合関係により案内されてX軸方向に移動する。
【0034】
前記Z軸,Y軸及びX軸送り機構は、Z軸駆動モータ26,Y軸駆動モータ27及びX軸駆動モータ28や、Z軸,Y軸及びX軸駆動モータ26,27,28によって回転せしめられるZ軸ボールねじ,Y軸ボールねじ及びX軸ボールねじ、Z軸,Y軸及びX軸ボールねじと螺合したZ軸ナット,Y軸ナット及びX軸ナットを備え、Z軸,Y軸及びX軸駆動モータ26,27,28を駆動することで、主軸頭15,サドル17及びテーブル18をZ軸方向,Y軸方向及びX軸方向に移動させる。
【0035】
前記Z軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36は、それぞれリニアエンコーダから構成されており、検出した位置を制御装置40に送信する。
【0036】
前記Z軸位置検出器30は、貫通穴14aの内周面にZ軸方向に沿って設けられるとともに、Z軸方向に目盛りが形成されたZ軸スケール31と、主軸頭15の外周面にZ軸スケール31と対向するように設けられ、Z軸スケール31の目盛りを読み取るZ軸読取器32とからなる。
【0037】
前記Y軸位置検出器33は、ベッド11の案内部材23の側面にY軸方向に沿って設けられるとともに、Y軸方向に目盛りが形成されたY軸スケール34と、サドル17の側面にY軸スケール34と対向するように設けられ、Y軸スケール34の目盛りを読み取るY軸読取器35とからなる。
【0038】
前記X軸位置検出器36は、サドル17の側面にX軸方向に沿って設けられるとともに、X軸方向に目盛りが形成されたX軸スケール37と、テーブル18の側面にX軸スケール37と対向するように設けられ、X軸スケール37の目盛りを読み取るX軸読取器38とからなる。
【0039】
前記制御装置40は、予め作成されたNCプログラムが格納されるプログラム記憶部41と、プログラム記憶部41に格納されたNCプログラムを解析して、主軸頭15,サドル17及びテーブル18の移動位置などに関する動作指令を抽出するプログラム解析部42と、プログラム解析部42によって抽出された動作指令を基に主軸頭15,サドル17及びテーブル18のZ軸方向,Y軸方向及びX軸方向における目標移動位置を生成し、生成した目標移動位置、並びにZ軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36から送信される位置(Z軸,Y軸及びX軸読取器32,35,38によって読み取られた位置)を基に、Z軸,Y軸及びX軸駆動モータ26,27,28をフィードバック制御して、主軸頭15,サドル17及びテーブル18を前記目標移動位置に移動させる送り制御部43と、前記X−Z,Y−Z及びX−Y位置検出器51,54,57の検出結果が格納される検出結果記憶部44とを備える。
【0040】
前記計測フレーム50は、矩形状且つ枠状の部材から構成され、横辺(上辺及び下辺)部がX軸と平行、縦辺部がZ軸と平行に設けられており、枠の中空部内には、サドル17及びテーブル18が位置している。この計測フレーム50の上辺部には、そのX軸方向の中間部に、上下に開口して内部が中空となった筒状部50aが形成されており、この筒状部50aの内部空間50bはクロスビーム14の貫通穴14aと連通している。また、計測フレーム50の下辺部には、そのX軸方向の中間部に、上辺側に突出した突起部50cが形成され、この突起部50cは、テーブル18の下方且つサドル17の貫通穴17a内に位置している。
【0041】
尚、この計測フレーム50は、その各辺部がベッド11の溝11a,支柱13の溝13a及びクロスビーム14の溝14b内に収容,配置されるとともに、筒状部50aが前記貫通穴14aの下部に収容,配置されている。また、計測フレーム50は、ベッド11,コラム12,主軸頭15,サドル17及びテーブル18といった構造体とは別部材から構成されて、線膨張係数が低い(少なくとも前記構造体よりも低い)、例えば、1.5×10−6/℃以下の材料から構成されていることが好ましく、このような材料としては、例えば、ガラスセラミックが挙げられる。
【0042】
前記X−Z,Y−Z及びX−Y位置検出器51,54,57は、それぞれレーザ式の位置検出器から構成されており、検出した位置(読取器53,56,59によって読み取られた位置)を前記検出結果記憶部44に格納する。
【0043】
前記X−Z位置検出器51は、X軸方向及びZ軸方向に格子状の目盛りが形成されたX−Zスケール52と、X−Zスケール52の目盛りを読み取るX−Z読取器53とから構成され、X−Zスケール52は、主軸頭15の外周面且つ主軸頭15の下部寄りにX軸−Z軸平面と平行に配設され、X−Z読取器53は、X−Zスケール52と対向するように計測フレーム50の筒状部50aの内周面に配設される。尚、X−Zスケール52が主軸頭15の下部寄りに配置されることで、工具TとワークWとの接触点たる切削点の近傍となる位置にX−Zスケール52が配置され、また、計測フレーム50の中でも前記切削点の近傍となる位置にX−Z読取器53が配置される。
【0044】
前記Y−Z位置検出器54は、Y軸方向及びZ軸方向に格子状の目盛りが形成されたY−Zスケール55と、Y−Zスケール55の目盛りを読み取るY−Z読取器56とから構成され、Y−Zスケール55は、主軸頭15の外周面且つ主軸頭15の下部寄りにY軸−Z軸平面と平行に配設され、Y−Z読取器56は、Y−Zスケール55と対向するように計測フレーム50の筒状部50aの内周面に配設される。尚、このY−Zスケール55及びY−Z読取器56についても、X−Zスケール52及びX−Z読取器53と同様、前記切削点の近傍位置に配置されている。
【0045】
前記X−Y位置検出器57は、X軸方向及びY軸方向に格子状の目盛りが形成されたX−Yスケール58と、X−Yスケール58の目盛りを読み取るX−Y読取器59とから構成され、X−Yスケール58は、X軸−Y軸平面と平行にテーブル18の下面に配設され、X−Y読取器59は、X−Yスケール58と対向するように且つ主軸16の真下に位置するように計測フレーム50の突起部50cの上面に配設される。尚、X−Yスケール58は、テーブル18の下面に設けられることで、前記切削点の近傍となる位置に配置され、また、X−Y読取器59は、主軸16の真下に設けられることで、計測フレーム50の中でも前記切削点の近傍となる位置に配置される。
【0046】
以上のように構成された本例の工作機械1によれば、送り制御部43により、主軸頭15,サドル17及びテーブル18のZ軸方向,Y軸方向及びX軸方向における目標移動位置が生成され、生成された目標移動位置と、Z軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36から送信される位置とを基に、Z軸,Y軸及びX軸駆動モータ26,27,28がフィードバック制御されて、主軸頭15,サドル17及びテーブル18が前記目標移動位置に移動せしめられ、このようにして、工具T及びワークWが直交3軸方向に移動する。
【0047】
また、X−Z,Y−Z及びX−Y位置検出器51,54,57により、主軸頭15のX軸方向及びZ軸方向における位置、主軸頭15のY軸方向及びZ軸方向における位置、並びにテーブル18のX軸方向及びY軸方向における位置が検出され、検出結果記憶部44に格納される。そして、検出結果記憶部44内のデータと、計測フレーム50におけるX−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59の位置関係などから、例えば、工具T及びワークWの3次元空間内における3次元運動が認識される。
【0048】
本例の工作機械1では、上述のように、X−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59が、例えば、ベッド11,コラム12,主軸頭15,サドル17及びテーブル18といった構造体とは別部材の計測フレーム50に設けられて当該構造体から分離している。
【0049】
したがって、これらの構造体が自重や外力によって弾性変形したり、熱変形しても、当該計測フレーム50はこれらの影響を受け難く、X−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59の3次元空間内における位置やX−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59間の位置関係が変化するのを抑えることができる。したがって、前記X−Z,Y−Z及びX−Y位置検出器51,54,57では、その検出値に誤差が含まれるのを防止して、主軸頭15のX軸方向及びZ軸方向における位置、主軸頭15のY軸方向及びZ軸方向における位置、並びにテーブル18のX軸方向及びY軸方向における位置を正確に検出することができる。
【0050】
また、X−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59が計測フレーム50という同じ部材に設けられているので、X−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59の位置関係を容易且つ精度良く認識することができ、主軸頭15,サドル17及びテーブル18の位置をより高精度に検出することができる。
【0051】
更に、X−Z,Y−Z及びX−Yスケール52,55,58並びにX−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59を、可能な限り前記切削点に近づくように配置しており、このように、切削点に近づけることで、離れているときに比べ、より精度良く位置検出を行うことができる。また、X−Y読取器59を主軸16の真下に配置しているので、主軸16の真下以外のときに比べ、位置検出精度をより高いものにすることができる。
【0052】
また、X−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59でそれぞれ2平面における位置を検出しているため、このようにして検出された各軸方向についての2つ(合計6つ)の検出値を基により精度の高い位置検出を実施することができる。
【0053】
また、計測フレーム50の線膨張係数を、例えば、1.5×10−6/℃以下のように低くすれば、雰囲気温度が変動したり、工作機械1の発熱源(例えば、軸受やモータなど)から熱が伝導しても当該計測フレーム50の熱変位をごく僅かに抑えることができるので、X−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59の3次元空間内における位置やX−Z,Y−Z及びX−Y読取器53,56,59間の位置関係が変化するのを防止して、X−Z,Y−Z及びX−Y位置検出器51,54,57の検出精度が低下するのを防止することができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、検出結果記憶部44内のデータを基に、主軸頭15,サドル17及びテーブル18の運動誤差を算出するようにしても良い。この場合、制御装置40内には、図6に示すように、誤差算出部45及び誤差記憶部46が更に設けられており、誤差算出部45は、検出結果記憶部44内のデータ(主軸頭15,サドル17及びテーブル18のZ軸方向,Y軸方向及びX軸方向における位置)と、前記目標移動位置、又はZ軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36によって検出される位置とを比較して差分を求めることにより、主軸頭15,サドル17及びテーブル18の運動誤差を算出する。そして、算出した運動誤差が誤差記憶部46に格納される。このようにして運動誤差を求めれば、精度良く運動誤差を求めることができる。
【0056】
更に、ワーク加工時において、工具T及びワークWを直交3軸方向に移動させるに当たり、主軸頭15,サドル17及びテーブル18の位置を前記算出した運動誤差を基に補正するようにすれば、更に高精度にワークWを加工することができる。
【0057】
尚、このようにして補正するに当たっては、例えば、次のようにすると良い。即ち、前記算出した運動誤差から3次元エラーマッピングを作成し、作成したエラーマッピングを基に、誤差補正装置が、Z軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36の検出値、即ち、Z軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36から送り制御部43にフィードバックされる位置データを補正し、当該送り制御部43が、補正後のデータを基にZ軸,Y軸及びX軸駆動モータ26,27,28を制御する。また、工作機械1の稼働中、運動誤差を誤差繰り返し性特定システムにより監視し、3次元エラーマッピングで用いられている運動誤差が繰り返されていないと判断した場合には、運動誤差情報の更新及び3次元エラーマッピングの再構築を実施する。
【0058】
また、工具Tに代えて測定ヘッドを主軸16に装着し、この測定ヘッドの測定子をテーブル18上の加工後のワークWに接近,接触させて、測定子がワークWに接触した時点における主軸頭15,サドル17及びテーブル18の位置をZ軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36により検出し、検出した位置を基にワークWの形状精度を算出する場合に、前記算出した運動誤差から3次元エラーマッピングを作成し、作成したエラーマッピングを基に、誤差補正装置によって、測定子がワークWに接触した時点におけるZ軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36の検出値を補正し、補正後の位置データを測定値とすれば、機上測定を高精度に実施することができる。尚、測定中、運動誤差を誤差繰り返し性特定システムにより監視する点については、上記と同様である。
【0059】
また、上例では、X−Z,Y−Z及びX−Y位置検出器51,54,57によってそれぞれ2軸方向の位置を検出するようにしたが、これらの検出器51,54,57に代えて、1軸方向のみの位置を検出する3つの検出器を設け、この検出器により直交3軸方向の位置を検出しても良い。
【0060】
更に、上例では、Z軸,Y軸及びX軸位置検出器30,33,36をリニアエンコーダから構成したが、ロータリエンコーダから構成しても良い。この他、計測フレーム50は、振動が絶縁されるように構成されていても良い。
【0061】
また、上例では、X−Z位置検出器51によってX軸方向及びZ軸方向の位置を検出し、Y−Z位置検出器54によってY軸方向及びZ軸方向の位置を検出し、X−Y位置検出器57によってX軸方向及びY軸方向の位置を検出するようにしたが、X−Z読取器53はY軸方向の位置、Y−Z読取器56はX軸方向の位置、X−Y読取器59はZ軸方向の位置を検出可能に構成すれば、6自由度の運動誤差を求めることができる。
【0062】
図7に示すように、スケール70に設定された座標系をXと、読取器71に設定された座標系をXと、Xセンサ1の出力をx+Δxと、Yセンサ1の出力をy+Δyと、Zセンサ1の出力をh+Δzと、Yセンサ2の出力をy+Δyと、Zセンサ2の出力をh+Δzと、Zセンサ3の出力をh+Δzとすれば、読取器71のスケール70に対する回転は次のように表される。即ち、X軸回りの回転は(Δz−Δz)/Lと、Y軸回りの回転は(Δz−Δz)/Lと、Z軸回りの回転は(Δy−Δy)/Lと表される。尚、x,yは公称位置、hはスケール70と読取器71との公称隙間、Δx,Δy,Δz,Δy,Δz,Δzは実際の運動と公称運動との偏差である。
【0063】
そして、座標系Xと座標系Xとの間の同次変換行列は下式(数1)のようになる。
【0064】
【数1】
【0065】
また、読取器71に関する同次変換行列をT、テーブル18とこれに対応する読取器71との位置関係をT、主軸16とこれに対応する読取器71との関係をTとすれば、主軸16とテーブル18との空間的関係は、これらの同次変換行列T,T,Tの乗算によって表される。このようにして、誤差を含む6自由度運動を求めることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 工作機械
11 ベッド
12 コラム
15 主軸頭
16 主軸
17 サドル
18 テーブル
30 Z軸位置検出器
33 Y軸位置検出器
36 X軸位置検出器
40 制御装置
50 計測フレーム
51 X−Z位置検出器
52 X−Zスケール
53 X−Z読取器
54 Y−Z位置検出器
55 Y−Zスケール
56 Y−Z読取器
57 X−Y位置検出器
58 X−Yスケール
59 X−Y読取器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7