(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る光源装飾体1および照明装置2の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(照明装置2の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る照明装置2を示すものであり、光軸Xを含む面における断面の概略の構成を示す図である。説明の便宜上、
図1に矢印Fで示す方向を前方(前側)とし、その反対方向である矢印Bで示す方向を後方(後側)とし、また、光軸Xと直交する方向を側方として、以下の説明を行うこととする。
【0019】
照明装置2は、光源装飾体1と、光源としてLED3と、LED3が実装されるLED基板4と、LED3を点滅駆動させる回路基板5と、LED基板4および回路基板5を保持する基体6等とを有している。
【0020】
LED基板4には、複数のLED3が実装されている。回路基板5は、図示外の電源部から供給される電力により、LED3の点滅を制御することができる。回路基板5は、複数のLED3が同一のタイミングで点滅しないように、少なくとも2つの組に分け、各組のLED3を、時間分割で順次点滅することができるように構成されている。たとえば、LED3を3個備え、
図2に示すタイミングで、各LED3を順次に点滅することができる。LED3を点滅させる制御は、周知の種々の手段を用いることができるが、たとえば、回路基板5に、タイマーICを使用してLEDの点滅回路を構成することで、LED3の点滅制御を行うことができる。なお、LED3の数は3個に限らず2個あるいは4個以上とすることができる。また、点滅の組み分けの数も2組あるいは3組に限らず4組以上とすることもでき、各組のLED3の数を違えるようにしてもよい。
【0021】
光源装飾体1は、導光体7とプリズムシート8とを有している。LED3から出射した光は、導光体7の光入射部9から導光体7内に入射し、導光体7の光出射部10から出射する。光出射部10から出射した光は、プリズムシート8を透過し、光源装飾体1の外部に出射する。なお、
図1に示す導光体7は、導光体7の断面(光軸Xを含む面における断面)が示されているものであるが、導光体7の説明の便宜上、ハッチングを省略している。
【0022】
導光体7の光出射部10は、ローソクの炎の形状を模した形状を呈している。したがって、光入射部9から光が入射した光が光出射部10から出射すると、光出射部10は、全体としてローソクの炎の形状に光って見える。このローソクの炎の形状に光る光出射部10をプリズムシート8を介して観察することで、LED3から出射した光を、さらにローソクの炎に近い形状に装飾された状態で観察することができる。
【0023】
基体6は、台座部11と、台座部11の前面に取り付けられる基板収容体12とを有している。基板収容体12には、回路基板5が収容される。基板収容体12は、前端が天板部13により閉塞される略円筒形を呈している。基板収容体12には、天板部13の後方に空間14が形成され、この空間14内に、基板収容体12と一体に形成される基板取付部15が設けられている。回路基板5は、この基板取付部15に取り付けられている。
【0024】
天板部13の前面には、LED基板4が収容される基板収容体16が取り付けられている。基板収容体16は、後端が底板部17により閉塞され、前端が開口される略円筒形を呈している。底板部17には、LED基板4が取り付けられている。基板収容体16は、基板収容体12の天板部13にねじ結合することができるビス18により、基板収容体12に対して取り付けられている。ビス18は、光軸Xの周囲に等間隔で3箇所に配置されている。
図1において、ビス18は、2本のみ図示され、1本は図示外の位置に配置されている。
【0025】
基板収容体16の前端の開口部には、導光体7を保持する保持環19が取り付けられている。保持環19は、孔部20が形成された環形状を呈している。保持環19は、基板収容体16の前端の内周に嵌合され、基板収容体16に対して取り付けられている。導光体7は、基板収容体16に取り付けられた保持環19の孔部20に通され、保持環19により側方(光軸Xと直交する方向)に対して位置決めが行われている。
【0026】
また、導光体7は、後端部がLED基板4に対して位置決めされている。導光体7の後端面には、後方に突出する突起部21が形成されている。突起部21は、光軸Xの周囲に等間隔で3箇所に形成され、突起部21がLED基板4に対して当接させることで、導光体7がLED基板4に対して位置決めされる。
図1において、突起部21は、2本のみ図示され、1本は図示外の位置に配置されている。突起部21の前後方向の長さは、LED3の前後方向の厚さよりも長く形成されている。したがって、突起部21をLED基板4に当接させ、導光体7をLED基板4に位置決めした状態で、LED3と導光体7とは干渉することなく、LED3の前方に導光体7の後端面である光入射部9を配置することができる。
【0027】
導光体7の周囲には、光軸Xを中心とする円筒状に、プリズムシート8が配置されている。プリズムシート8は、導光体7の側方の周囲を全周に亘って囲むように配置されている。プリズムシート8は、取付具22により基板収容体16に対して取り付けられている。取付具22は、プリズムシート8を保持するプリズムシート保持筒23と、このプリズムシート保持筒23を基板収容体16に取り付ける取付部24とを有する。プリズムシート保持筒23は、たとえば、PMMA(アクリル Polymethyl methacrylate)等の透明な樹脂材により形成され、円筒形を呈している。プリズムシート保持筒23は、側面が水平方向に沿う方向に配置された場合であっても、自重で変形してしまうことのない剛性を有している。取付部24は、円筒部25と、導光体7が通される孔部26が形成される環体部27とを有している。
【0028】
プリズムシート保持筒23は、円筒部25の前端部に取り付けられている。円筒部25の内周側に基板収容体16を嵌め込むことで、取付具22を基板収容体16に対して取り付けることができる。円筒部25が基板収容体16に嵌められたときに、取付部24が、基板収容体16に対して側方にがたつかないように、円筒部25の内周の直径および基板収容体16の外周の直径は設定されている。プリズムシート保持筒23の内周面に添ってプリズムシート8を配置することで、プリズムシートを導光体7の周囲に円筒状に配置することができる。
【0029】
プリズムシート8は、撓みに対して復元性を有するように形成されている。かかるプリズムシート8を復元力に抗して、プリズムシート保持筒23の内周の直径よりも小さな直径の円筒にカールさせた状態で、プリズムシート保持筒23内に挿入する。そして、プリズムシート保持筒23内に挿入されたプリズムシート8から、プリズムシート8をカールさせている力を解くと、プリズムシート8は、カールが開く方向に復元し、プリズムシート保持筒23の内周面に添って配置される。つまり、プリズムシート8は、円筒形に整形される。
【0030】
プリズムシート8を円筒形に整形した状態で、円筒の側面を水平方向に沿う方向に配置した場合に、プリズムシート8の剛性が低いと、プリズムシート8が自重で変形してしまい易い。しかしながら、上述のように、プリズムシート保持筒23によりプリズムシート8を整形することで、プリズムシート8の剛性が低くても、プリズムシート8の配置の向きに拘わらず、プリズムシート8を円筒形状に保持することができる。
【0031】
上述のように構成される照明装置2においては、LED3から出射した光が導光体7の後端に設けられる光入射部9から導光体7内に入射し、導光体7の光出射部10からプリズムシート8側に出射する。光出射部10からプリズムシート8側に出射した光は、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を透過して光源装飾体1の外側に出射する。
【0032】
なお、プリズムシート8を円筒形に整形した状態で、円筒の側面を水平方向に沿う方向に配置しても、自重で変形してしまうことがない場合には、プリズムシート保持筒23を用いることなく、円筒形に整形したプリズムシート8を、取付具22に直接取り付ける構成としてもよい。
【0033】
(導光体7の構成)
導光体7は、光軸Xに直交する断面における形状が円形を呈し、光拡散部として構成される円柱部28と、LED3から出射し導光体7内に入射した光が出射する光出射部10とを有している。光出射部10は、円柱部28の前側に備えられ、ローソクの炎の形状を模した形状を呈し、炎の先端部に当たる頂点部29を前方に向けて配置されている。
【0034】
円柱部28の後端面は、光入射部9として構成され、LED3から出射した光は、光入射部9から導光体7内に入射することができる。光出射部10は、後方から前方に向かって直径が徐々に太くなり、光低出射部として構成される増径部30と、逆に、後方から前方に向かって直径が徐々に細くなり、光高出射部として構成される減径部31とを有している。減径部31は、増径部30よりも前方に配置され、頂点部29は、減径部31の先端に配置されている。円柱部28の直径L1は、増径部30の直径が一番細くなる後端部の直径L2と同一の直径に構成され、円柱部28と増径部30とは段差を生じることなく連続している。また、円柱部28の直径L1と、円柱部28の前後方向の長さH1とは、2:1以上〜1:2以下の範囲とすることが好ましい。本実施の形態では、概ね1:1に設定されている。
【0035】
導光体7は、たとえば、PE(ポリエチレン Polyethylene)樹脂等の透明な樹脂により、一部材として中実な構造に形成されている。なお、導光体7は、PE樹脂の他に、PP(ポリプロピレン Polypropylene)、PC(ポリカーボネート Polycarbonate)、PMMA(アクリル Polymethyl
methacrylate)等の樹脂を用いて形成することもできる
【0036】
導光体7を形成する透明樹脂には、光散乱手段として、光を多重散乱させることができる球形の光散乱粒子が、体積的に一様に多数含有されている。すなわち、導光体7は、散乱能が与えられた導光体として構成されている。したがって、導光体7の内部に光が入射すると、その光は光散乱粒子によって散乱する。つまり、
図1に例示的に示す光線R1、R2のように、1本の光線が、光散乱粒子により様々な方向に散乱させられる。光散乱粒子は、たとえば、以下に説明するシリコーン粒子により形成することができる。
【0037】
ここで、光散乱粒子(シリコーン粒子)の理論的な基礎を与えるMie散乱理論について説明する。Mie散乱理論は、一様な屈折率を有する媒体(マトリックス)中に該媒体と異なる屈折率を有する球形粒子(光散乱粒子)が存在するケースについてマックスウェルの電磁方程式の解を求めたものである。光散乱粒子に相当する光散乱粒子によって散乱した散乱光の角度に依存した強度分布I(Α、Θ)は下記(1)式で表される。Αは、光散乱粒子の光学的大きさを示すサイズパラメータであり、マトリックス中での光の波長λで規格化された球形粒子(光散乱粒子)の半径rに相当する量である。角度Θは散乱角で、入射光の進行方向と同一方向をΘ=180°にとる。
【0038】
また、(1)式中のi
1、i
2は(4)式で表される。そして、(2)〜(4)式中の下添字ν付のaおよびbは(5)式で表される。上添字1および下添字νを付したP(cosΘ)は、Legendreの多項式、下添字ν付のa、bは1次、2次のRecatti−Bessel関数Ψ
*、ζ
*(ただし、「*」は下添字νを意味する。)とその導関数とからなる。mはマトリックスを基準にした光散乱粒子の相対屈折率で、m=nscatter/nmatrixである。
【0040】
図10は、上記(1)〜(5)式に基づいて、単一真球粒子による強度分布I(Α、Θ)を示すグラフである。この
図10では、原点Gの位置に光散乱粒子としての真球粒子があり、
図10における下方から入射光が入射した場合の散乱光強度の角度分布I(Α、Θ)を示している。そして、原点Gから各曲線までの距離が、それぞれの散乱角方向の散乱光強度である。ひとつの曲線はΑが1.7であるときの散乱光強度、別の曲線はΑが11.5であるときの散乱光強度、さらに別の曲線はΑが69.2であるときの散乱光強度である。なお、
図10においては、散乱光強度を対数目盛で示している。このため、
図10では僅かな強度差として見える部分が、実際には非常に大きな差となる。
【0041】
この
図10に示すように、サイズパラメータΑが大きくなればなるほど(ある波長λで考えた場合は真球粒子の粒径が大きくなればなるほど)、
図10における上方(照射方向の前方)に対して指向性が高く光が散乱されていることがわかる。また、実際のところ、散乱光強度の角度分布I(Α、Θ)は、入射光波長λを固定すれば、散乱子の半径rと、媒体および光散乱粒子の相対屈折率mとをパラメータとして制御することができる。
【0042】
このような、単一真球粒子がN個含まれる導光体7に光が入射すると、光は真球粒子により散乱される。散乱光は光散乱導光部材中を進み、他の真球粒子により再度散乱される。ある程度以上の体積濃度で粒子を添加した場合には、このような散乱が逐次的に複数回行われた後、光が光散乱導光部材から出射する。このような散乱光がさらに散乱されるような現象を多重散乱現象と呼ぶ。このような多重散乱においては、透明ポリマーでの光線追跡法による解析は容易ではない。しかし、モンテカルロ法により光の挙動を追跡し、その特性を解析することはできる。それによると、入射光が無偏光の場合、散乱角の累積分布関数F(Θ)は下記の(6)式で表される。
【0044】
ここで(6)式中のI(Θ)は、(1)式で表されるサイズパラメータΑの真球粒子の散乱強度である。強度I
oの光が導光体7に入射し、距離yを透過した後、光の強度が散乱によりIに減衰したとすると、これらの関係は下記の(7)式で表される。
【0046】
この(7)式中のτは濁度と呼ばれ、媒体の散乱係数に相当するものであり、下記の(8)式のように粒子数Nに比例する。なお、(8)式中、σ
sは散乱断面積である。
【0048】
(7)式から長さLの導光体7を散乱せずに透過する確率P
t(L)は下記の(9)式で表される。
【0050】
反対に光路長Lまでに散乱される確率P
s(L)は下記の(10)式で表される。
【数6】
【0051】
これらの式からわかるように、濁度τを変えることにより、光散乱導光部材内での多重散乱の度合いを制御することができる。
【0052】
以上の関係式により、光散乱粒子のサイズパラメータΑと濁度τとの少なくとも1つをパラメータとして、導光体7内での多重散乱が制御可能である。
【0053】
ここで、導光体7に含有されている光散乱粒子は、たとえば、平均粒径が2.4μmの透光性のシリコーン粒子とすることができる。また、光散乱粒子による散乱係数に相当する散乱パラメータである濁度τは、τ=0.49(λ=550nm)とすることができる。
【0054】
(プリズムシート8)
図3は、
図1に示す囲み部A部分の拡大図であり、プリズムシート8の一部断面を拡大して示す図である。
図3に示すように、プリズムシート8は、一方の面が平滑な面(平滑面32)に形成されている。プリズムシート8の他方の面は、断面三角形状のプリズム33が複数配列されたプリズム面34として形成されている。
【0055】
プリズムシート8は、プリズム面34が導光体7の反対側に配置される向きに、また、プリズム33の稜線部35を光軸Xと直交する面に沿わせると共に、光軸Xを中心に導光体7の周囲に環状となるように配置されている。つまり、プリズムシート8は、導光体7から出射した光が平滑面32からプリズム面34の側に出射することが出来るように、かつ、導光体7の周囲に円筒状に配置されている。また、プリズムシート8は、複数のプリズム33の各稜線部35の配列方向が、前後方向となるように配置されている。したがって、導光体7から出射された光は、プリズム33により前後方向に屈折させられて、プリズムシート8から出射する。プリズムシート8は、たとえば、可視光透過率が高く、屈折率の比較的高い樹脂材料から形成する。たとえば、アクリル系樹脂により形成することができる。アクリル系樹脂の他、ポリカーボネート系樹脂、あるいは塩化ビニル系樹脂を用いることもできる。
【0056】
(第1の実施の形態に係る照明装置2および光源装飾体1の効果)
光源装飾体1は、上述のように、光源としてのLED3から出射された光に、ローソクの炎の形状を模する装飾的効果を与えて出射することができるものである。光源装飾体1は、光が入射することができる光入射部9と、光入射部9から入射した光を出射させることができる光出射部10とを有する導光体7を備えている。光出射部10は、ローソクの炎の形状を呈している、光入射部9は、ローソクの炎の形状の根元側となる光出射部10の後方に位置している。光出射部10は、光入射部9から入射した光を散乱させる光散乱手段として光拡散粒子を有している。
【0057】
光出射部10は、ローソクの炎の形状を模した形状である。そのため、光入射部9から導光体7内に入射した光が光出射部10から出射すると、光出射部10は、ローソクの炎の形状に光って見える。導光体7には光散乱粒子が含有されている。そのため、導光体7に入射した光は、導光体7内で散乱させられる。導光体7内で光が散乱させられことで、導光体7が光散乱粒子を含有しない無色透明体である場合に比べて、光出射部10から光が出射する部分の面積を広くすることができる。
【0058】
図4の上段左欄(A)は、光散乱粒子を含有する導光体7から出射する光の輝度分布を示す図であり、
図4の上段右欄(B)は、光散乱粒子を含有しない導光体7から出射する光の輝度分布を示す図である。
図4の下段(C)は、
図4(A)のA−Aにおける輝度分布を示すグラフである。
図4の(A)と(B)との比較から判るように、光散乱粒子を含む導光体7の方が、光出射部10の光が出射する部分の面積を多くすることができ、光出射部10の光っている部分の形状が、よりローソクの炎の形状に近く見える。なお、
図4(A)(B)は、ハッチングの密度が高いほど光の輝度が高いことを示している。
【0059】
光出射部10は、後方から順に、増径部30と減径部31が形成されている。前方に向かって直径が徐々に大きくなる増径部30の側面は、円柱部28から増径部30の側面に入射する光に対する入射角が大きくなる方向に傾斜している。つまり、増径部30の側面は、光入射部9から増径部30の側面に入射した光を減径部31側に全反射させ易くなるように配置されている。一方、前方に向かって直径が徐々に小さくなる減径部31の側面は、増径部30あるいは光入射部9から減径部31の側面に入射する光に対する入射角が小さくなる方向に傾斜している。つまり、減径部31の側面は、増径部30あるいは光入射部9から減径部31の側面に入射した光を全反射させ難くし減径部31の外側に出射させ易くなるように配置されている。したがって、光出射部10は、増径部30に比べて減径部31の光の出射率が高く、減径部31の方が増径部30に比べて輝度が高くなるように構成されている。
【0060】
ローソクの炎は、先端側(上方)ほど明るくなっている。したがって、増径部30よりも先端側に位置する減径部31の方を光の出射率を高くし輝度を高くすることで、光出射部10をよりローソンクの炎の形状に近く光らせることができる。
【0061】
また、減径部31の側面は、前端側に向かうほど、増径部30あるいは光入射部9から進行する光に対しての入射角が小さくなる方向に傾斜している。したがって、
図4(A)に示すように、減径部31は、前端側に向かうほど、光の出射率が高くなり輝度も高くなる。つまり、光出射部10から出射する光は、前方に向かうほど輝度が高くなる。光出射部10の前端側ほど輝度を高くすることで、光出射部10をより一層ローソンクの炎の形状に近く光らせることができる。
【0062】
導光体7の光出射部10と光入射部9との間には、LED3からの光を拡散することができる光拡散部としての円柱部28が設けられている。LED3から出射した光は、導光体7の後端に設けられる光入射部9から、導光体7の円柱部28に入射する。LED3から出射する光は発散光である。そのため、LED3から出射し円柱部28に入射した光の一部は、円柱部28の内側面で全反射を繰り返し、拡散された状態で光出射部10に入射する。したがって、LED3から出射され円柱部28から光出射部10に入射する光の光軸Xと直交する面における照度の均一化を図ることができる。
【0063】
すなわち、円柱部28は、いわゆる、光拡散機能を有するロッドレンズとしての機能を有する。円柱部28から光出射部10に入射する光の照度の均一化を図ることで、光出射部10の光軸Xの周方向における輝度の均一化を図ることができる。そのため、光出射部10をよりローソンクの炎の形状に近く光らせることができる。円柱部28にも、光出射部10と同様に光散乱粒子を含む構成とすることで、円柱部28から光出射部10に入射する光の照度の均一化を一層図ることができる。
【0064】
実際のローソクの炎は、芯の傾きや、芯へのろう材の吸い込み斑等により、炎の場所により輝度が異なる。円柱部28の直径L1と前後方向の長さH1とを、上述したように、2:1〜1:2に設定することで、円柱部28における光の拡散による照度の均一化の程度がやや劣るものとなり、光出射部10の輝度に斑を発生させることができる。このように、光出射部10の輝度に斑が出来ることで、光出射部10から出射する光に、自然な炎の形状により近づくように装飾することができる。
【0065】
円柱部28の直径L1は、増径部30の直径が一番細くなる後端部の直径L2と同一の直径に構成され、円柱部28と増径部30とは段差を生じることなく連続している。このように構成されることで、LED3から円柱部28に入射した光を光出射部10に効率良く入射させることができる。また、直径L2が直径L1よりも大きくなり、円柱部28と増径部30との間に段差が生じると、該段部の周囲、すなわち、光出射部10の側面の後端に不自然な暗部が発生する虞がある。しかしながら、直径L1と直径L2とを同一の直径として円柱部28と増径部30との接続部に段差を生じないようにすることで、光出射部10の後端に不自然な暗部が発生することを防ぐことができ、光出射部10をよりローソクの炎の形状に近く光らせることができる。
【0066】
光出射部10の周囲には、プリズムシート8が配置されている。したがって、観察者は、導光体7から出射した光をプリズムシート8を介して観察することになる。複数のプリズム33の各稜線部35は、前後方向に配列されている。そのため、導光体7から出射された光は、プリズム33により前後方向に屈折させられて、プリズムシート8から出射する。したがって、観察者は、導光体7の光出射部10の虚像を観察することになる。そのため、光出射部10の実像を観察する場合に比べて、観察者の見た目において立体的な光学像を観察することができ、実像を観察するよりもローソクの炎により近い光学像を観察することができる。
【0067】
また、プリズムシート8を介すことで、光出射部10の輪郭や導光体7を形成する部材の質感が視認し難くなる。そのため、光出射部10からの出射光を、よりローソクの炎に近い感じで観察することができる。
【0068】
照明装置2は、LED3を複数備え、少なくとも2のLED3について、互いに異なるタイミングで光の出射量を経時的に増減することができるように構成されている。具体的には、3つのLED3が
図2に示すように、時分割で異なるタイミングで点滅している。このように、複数のLED3を互いに異なるタイミングで点滅させることで、光出射部10から出射する光を、ローソクの炎が揺らいでいるように演出することができる。
【0069】
複数のLED3を互いに異なるタイミングで点滅させると、光出射部10から出射する光がプリズムシート8に入射する位置や角度が変わる。そのため、プリズムシート8により形成される光出射部10の虚像は、LED3の点滅に併せて若干変形し、ローソクの炎の揺らぎをよりリアルに演出することができる。
【0070】
なお、LED3の点滅は、消灯と点灯とするほか、発光の明るさを増減させるようにしてもよい。また、複数のLED3を異なるタイミングで点滅させる他、LED3を1個としたり、あるいは、複数のLED3を同一タイミングで点滅させるようにしてもよい。このように、1個のLED3を点滅させたり、あるいは複数のLED3を同一タイミングで点滅させても、光出射部10から出射する光を、ローソクの炎が揺らいでいるように演出することができる。また、複数のLED3のうち、一部のLED3を点灯状態とし、他のLED3を点滅させるようにしてもよい。
【0071】
(第2の実施の形態)
以下に、
図5を参照しながら、光源装飾体1および照明装置2の他の実施の形態に係る光源装飾体50および照明装置51の構成について説明する。光源装飾体1および照明装置2と同様な部材については同一の符号を付し、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0072】
光源装飾体50および照明装置51は、導光体52の構成が導光体7と異なるのみで他の構成については、光源装飾体1および照明装置2と同様である。導光体52は、導光体7と同様に、光軸Xに直交する断面の形状が円形を呈し、光拡散部として構成される円柱部28と、LED3から出射し導光体52内に入射した光が出射する光出射部53とを有している。
【0073】
光出射部53は、円柱部28の前側に備えられ、ローソクの炎の形状を模した形状を呈し、炎の先端部に当たる頂点部54が前方を向けて配置されている。光出射部53は、後方から前方に向かって直径が徐々に太くなり、光低出射部として構成される増径部55と、逆に、後方から前方に向かって直径が徐々に細くなり、光高出射部として構成される減径部56とを有している。減径部56は、増径部55よりも前方に配置され、頂点部54は、減径部56の先端に配置されている。
【0074】
増径部55および減径部56は、増径部30および減径部31と同様に、減径部56の側面は、増径部55の側面に比べて、導光体52内の光を外側に出射させ易くなるように配置されている。増径部55は、光散乱粒子を含まない構成であるのに対し、減径部56は光散乱粒子を含む構成とされている。したがって、減径部56は、増径部55に比べて光の出射率が高く構成されている。このように構成した場合にも、増径部55よりも先端側に位置する減径部56の方を光の出射率を高くし輝度を高くすることができ、光出射部53をよりローソンクの炎の形状に近く光らせることができる。
【0075】
図6は、導光体52から出射する光の輝度分布を示す図である。
図6と、
図4(A)を比べると、導光体52の方が、先端側と後端側との輝度の変化が急峻となり、
図4(A)とは異なる形状の炎を演出することができる。また、光出射部53から出射した光をプリズムシート8を介することで、
図7の上段(A)に示すように、先端側と後端側との輝度の変化を、プリズムシート8を介さないとき(
図6)に比べてなだらかにする演出を行うことができる。
【0076】
増径部55と減径部56との接合面57は、ローソクの炎の形状の根元側となる後方から先端側となる前方に向けて湾曲する曲面とされている。具体的には、増径部55の前端面58は、周縁から光軸Xに向うに従って前方に徐々に突出する曲面に形成され、減径部56の後端面59は、前端面58と全面で接触することができる曲面に形成されている。このように、増径部55と減径部56との接合面57が前方に向けて湾曲する曲面とされることで、導光体52の外部から接合面57を視認し難くすることができる。
【0077】
(変形例1)
導光体7に光散乱粒子を含有することに換えて、光出射部10の側面に、光散乱手段としてシボ加工を施してもよい。
図8の上段(A)は、光出射部10の側面に、シボ加工を施した導光体7から出射した光の輝度分布を示す図である。
図8の下段(B)は、
図8(A)のA−Aにおける輝度分布を示すグラフである。
図9の上段(A)は、
図8(A)の輝度分布を有する導光体7から出射した光がプリズムシート8を透過したときの輝度分布を示す図である。
図9の下段(B)は、
図9(A)のA−Aにおける輝度分布を示すグラフである。
【0078】
(変形例2)
導光体52の減径部56に光散乱粒子を含有することに換えて、減径部56の側面に、光散乱手段としてシボ加工を施してもよい。
【0079】
(変形例3)
導光体7に光散乱粒子を含有することに換えて、光出射部10の側面に、光散乱手段として光拡散シートを貼着してもよい。
【0080】
(変形例4)
導光体7の減径部56に光散乱粒子を含有することに換えて、減径部56の側面に、光散乱手段として光拡散シートを貼着してもよい。
【0081】
上述実施の形態およびその変形例においては、プリズムシート8を導光体7,52の周囲に円筒状に配置する例を説明したが、プリズムシート8は、導光体7,52と観察者との間に、配置されていればよく、たとえば、板状のプリズムシートを導光体7,52と観察者との間に配置するようにしてもよい。また、光源としてLED3を用いる例を説明したが、光源としては、LED3の他、麦球等の電球を用いるようにしてもよい。
【0082】
なお、本発明の光源装飾体としては、プリズムシート8を用いることなく、導光体7あるいは導光体52を光源装飾体として構成することができる。また、導光体7あるいは導光体52とプリズムシート8とを備えることで、本発明の光源装飾体として構成することもできる。
【0083】
(変形例5)
上述実施の形態およびその変形例において、プリズムシート8は、取付具22により基板収容体16に対して取り付けられている。これに対し、
図11に示すように、プリズムシート8を取付具70により基板収容体16に対して取り付ける構成としてもよい。以下、
図11の説明において、上述実施の形態およびその変形例と同様の部材については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0084】
取付具70は、プリズムシート8を空中に浮上させる浮上手段として、同極を対向させて配置される永久磁石71と永久磁石72とを有している。つまり、取付具70は、永久磁石71と永久磁石72との反発力により、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を空中に浮上させた状態で保持することができるように構成されている。
【0085】
取付具70は、プリズムシート8を保持するプリズムシート保持筒23と、このプリズムシート保持筒23を基板収容体16に取り付ける取付部73とを有する。取付部73は、円筒部74と、導光体7が通される孔部75が形成される環体部76と、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を上下方向に移動可能に保持する保持部77とを有している。保持部77は、光軸Xを中心に形成される外筒部77Aと内筒部77Bとを有し、外筒部77Aと内筒部77Bとの間に溝78が形成されている。溝78は、上方に開口部78Aを有し、光軸Xの周りに環状に形成されている。プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23は、その下側の一部が溝78内に挿入されることで、保持部77に対して保持されている。
【0086】
溝78の底部78Bには、永久磁石71が配置されている。また、溝78内の永久磁石71の上方には、永久磁石72が配置され、さらに、永久磁石72の上方には、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23が配置されている。永久磁石71と永久磁石72とは、同極を対向させて配置されている。したがって、永久磁石71と永久磁石72とは反発し、永久磁石71および永久磁石72の磁力を適正に設定することで、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を永久磁石72と共に、永久磁石71の上方に磁気浮上させることができる。
【0087】
このように、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を、永久磁石71および永久磁石72の磁力により浮上させた状態とすることで、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23の周囲の空気対流や風等により、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を揺動させることができる。これにより、光出射部10(53)からの出射光を、よりローソクの炎の感じに近づくように演出することができる。
【0088】
なお、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23の厚さW1と、永久磁石72の幅W2は、プリズムシート8、プリズムシート保持筒23、および永久磁石72が上下方向に移動することができるように、溝78の幅よりも薄く形成されている。なお、プリズムシート8が、側方に僅かに揺動することで、よりローソクの炎の感じを演出することができる。そのため、厚さW1および幅W2と溝78との間の隙間間隔は、プリズムシート8、プリズムシート保持筒23、および永久磁石72の上下方向への移動を許容するだけの幅よりも、若干広くすることが好ましい。
【0089】
永久磁石71,72は、リング状に形成することで、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23が傾斜しないように浮上させ易い。しかしながら、光軸Xの周囲の3方向に等間隔で、永久磁石71,72を配置することで、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23の傾斜を抑えて浮上させることができる。
【0090】
なお、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を揺動させる揺動手段として永久磁石71の側を電磁石により構成し、磁気力を変えることで、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を揺動させることができる。また、揺動手段として、LED3あるいはLED基板4等の発熱体を用いることができる。つまり、LED3あるいはLED基板4の発熱により、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23の周囲の空気に熱対流を発生させ、この空気の対流により、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を揺動させることもできる。
【0091】
浮上手段は、溝78内に、たとえば、オイル等の液体を充填し、この液体に対してプリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を浮上させる構成とすることもできる。浮上手段は、溝78内に、たとえば、窒素等の気体を充填し、この気体に対してプリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を浮上させる構成とすることもできる。なお、溝78内の流体あるいは気体の容積を僅かに変化させたり、溝78内で流体あるいは気体を波打たせることで、プリズムシート8およびプリズムシート保持筒23を揺動することができる。