(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接続される接続管に跨るように配置されるとともに、管に穿設される分岐孔に連通する貫通孔を有するサドル部と、前記貫通孔に連通するように設けられる分岐栓部とを有し、前記分岐栓部は、前記貫通孔と管軸を一致させるように一端が前記貫通孔に開口する縦筒と、この縦筒に交差するように設けられた分岐筒と有し、この分岐筒が、縦筒の中心軸回りに回転可能に設けられ、前記縦筒が、前記サドル部に固定された固定筒部と、前記分岐筒が連設され分岐筒とともに回転する回転筒部と有し、固定筒部及び回転筒部の一方に受口部が設けられ、他方に前記受口部に嵌り込み、固定筒部の中心軸まわりに回転可能な差口部が設けられるとともに、固定筒部及び回転筒部の外側から前記接続管を流れる流体に非接触位置に装着され、前記差口部の受口部からの抜けを防止する抜け止め部材を備えている分岐栓付きサドル継手であって、
前記抜け止め部材が、一部に切れ目を有し、切れ目を閉じる方向に縮径可能な略C字形弾性体から形成され、
前記固定筒部及び回転筒部のうち、受口部を有する筒部が、前記略C字形弾性体の外径方向の一部が込む環状凹溝を筒部側の内周面に有し、差口部を有する筒部が、縮径された前記略C字形弾性体が通過可能なリング状の挿入隙間を、前記受口部を有する筒部との間に形成する小径筒部を備えているとともに、
前記挿入隙間は、その一部に、ペンチ状の専用治具の挟持部を差し入れ、挟持部で挟み込みながら、前記略C字形弾性体を引き出し可能にする、あるいは、ニッパー状の専用治具の先端で前記略C字形弾性体を切断可能にする、幅が大きくなった部分を備えていることを特徴とする分岐栓付きサドル継手。
【背景技術】
【0002】
地中の埋設された老朽化した水道管を新しい配管材と交換する場合、交換が完了するまでに工事期間が数ヶ月にも及ぶことがある。
したがって、交換が完了するまで、工事区間外の水道管と水道管との間を仮設配管で接続し、工事中に断水時間を極力防ぐようにしている。
【0003】
一方、上記仮設配管等の接続構造として、両側にフランジ部を有し、一方のフランジ部(以下、「第1フランジ部」と記す)の端面が平坦であり、他方のフランジ部(以下、「第2フランジ部」と記す)の端面に、別の短管のフランジ部の一方の端面に水密に密着するリング状パッキンを備えたフランジ付き管を、接続する一方のフランジ付き管の第1フランジ部と、他方のフランジ付き管の第2フランジ部とを突合せ、両フランジ部を外周側から包囲しかつ狭持する一対の分離自在な分割部材からなる接合部材によって接続するようにした接続構造が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、上記のような接続構造を用いれば、上記接合部材の分割部材と分割部材とを分離することによって、2つの管を傷めることなく容易に分離できるので、工事が完了し、仮設配管が不要になれば、仮設配管を容易に分解撤去できるとともに、使用していた上記フランジ付き管を他の工事区間の仮設配管に再利用することができ、コスト面で有利である。
【0004】
また、上記のような仮設配管においては、仮設配管の本管部から各戸等への仮設分岐配管を設ける必要がある場合がある。
このような場合、仮設配管本管部の分岐部を設ける位置に分岐栓を設け、各戸等への仮設分岐配管を敷設するとともに、分岐栓の分岐口に仮設分岐配管の元を接続したのち、分岐栓を解除し、仮設分岐配管を介して各戸等への給水できるようにしている。
【0005】
また、仮設配管としては、軽量で施工性に優れるポリエチレン管等の樹脂管が用いられ、上記のように分岐栓を設ける場合にはフランジ付き管に分岐栓付きのサドル型電気融着継手(特許文献2参照)を融着する方法が採られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1及び
図2は、本発明にかかる分岐栓付きサドル継手の第1の実施の形態がフランジ付き管に融着されて得られた仮設配管用管継手の第1の実施の形態をあらわしている。
【0015】
図1及び
図2に示すように、この仮設配管用管継手Aは、接続管としてのフランジ付き管1に分岐栓付きサドル継手2aが融着されて形成されている。
フランジ付き管1は、例えばポリエチレンやポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂で形成されていて、
図1に示すように、管本体11の一端に第1フランジ部12を有し、他端に第2フランジ部13を有している。
【0016】
管本体11は、
図2に示すように、後述するサドル本体31の融着前に予め穿設された分岐孔11aを備えている。
第1フランジ部12は、その接合面が平坦面となっている。
【0017】
第2フランジ部13は、その接合面にOリング嵌合溝(図示せず)が設けられ、このOリング嵌合溝にNBR(ニトリルゴム)等で形成されたOリング14がその一部を第2フランジ部13の端面から突出した状態で嵌合している。
図1中、11bはバット融着部である。
【0018】
一方、分岐栓付きサドル継手2aは、サドル部3と、分岐栓部4aとを備えている。
サドル部3は、サドル本体31と、支持筒部32と、2つの端子部33とを備えている。
【0019】
サドル本体31は、フランジ付き管1と同様の熱可塑性樹脂で形成されていて、
図2に示すように、円弧内径が接続されるフランジ付き管1の管本体11の外径と略同じ円弧状をした形状になっていて、中央部に貫通孔31aを有している。
そして、サドル本体31は、中央部に貫通孔31aを有し、この貫通孔31aがフランジ付き管1の分岐孔11aに連通した状態で、管本体11に跨るように配置され、上記端子部33の端子33b間に通電することによって、内部に埋設された電気抵抗発熱体(図示せず)が発熱して、従来のサドル型電気融着継手と同様に、貫通孔31aの周囲がフランジ付き管1の外周面に融着されている。
また、サドル本体31の下端には、
図2に示すように、フランジ部34が両側に張り出すように一体成形されている。
【0020】
支持筒部32は、
図2に示すように、サドル本体31と一体成形された外筒部32aと、外筒部32a内にインサート成形された砲金などの銅合金からなるねじ筒部32bとを備えている。
ねじ筒部32bは、
図2に示すように、上端が雌ねじ32cになっていて、下端がこの雌ねじ32cより内径が小径のOリング圧縮部32dとなっている。
【0021】
端子部33は、
図1に示すように、サドル本体31と一体成形された端子カバー用筒部33aと、この端子カバー用筒部33a内に設けられ、一端が上記電気抵抗発熱体の端部に接続された状態でサドル本体31内に埋設された端子33bとを備えている。
【0022】
分岐栓部4aは、
図2及び
図3に示すように、ねじ筒6aと、分岐栓本体5aとを備えている。
ねじ筒6aは、砲金等の銅合金で形成され,縦筒の固定筒部を構成するようになっていて、
図3〜
図5に示すように、その上端部外周面に雄ねじ61が設けられ、下端部が少し小径になって、この小径部62に設けられたOリング嵌合溝62aにNBR(ニトリルゴム)等で形成されたOリング62bが嵌り込んでいる。
【0023】
また、ねじ筒6aは、その内部に、
図4に示すように、リングガイド部64、環状凹溝65、受口部66及び貫通孔連通部67を上側から順に備えている。
リングガイド部64は、その上端部に環状凹溝65に向かって徐々に縮径するテーパ面64aを備え、その後、ねじ筒6aの中心軸に平行な平行面64bとなっている。
【0024】
テーパ面64aの上端縁は、その径が後述する抜け止めリング7aの非縮径状態の中心径(円弧の中心からリングの厚みの中心を通る仮想円弧までの距離)より大径になっている。
テーパ面64aの下端縁は、その径が上記抜け止めリング7aの非縮径状態の外径より小径となっている。
【0025】
環状凹溝65は、その溝底の径が、上記抜け止めリング7aの非縮径状態の外径と略同じか少し小径になっている。
受口部66は、後述する分岐栓本体5aの差口部50aが嵌合するとともに、内周面に2条のOリング嵌合溝66bが設けられている。このOリング嵌合溝66bにはそれぞれNBR(ニトリルゴム)等で形成されたOリング66aが嵌合している。
貫通孔連通部67は、受口部66の内径より小径で貫通孔31aに連通している。
【0026】
そして、ねじ筒6aは、
図2に示すように、雄ねじ61がねじ筒部32bの雌ねじ32cにねじ込まれ、大きな力が加わらない限り、ねじが緩まないようにされている。
また、ねじ筒6aと支持筒部32とは、上記ねじ込み状態となることによって、小径部62がOリング圧縮部32dに入り込み、Oリング62bがOリング圧縮部32dとOリング嵌合溝62aの底面との間で圧縮されて、ねじ筒6aと支持筒部32とが水密状態で接続されている。
【0027】
分岐栓本体5aは、縦筒の回転筒部50と、分岐筒51とを備えている。
回転筒部50は、差口部50aと、小径筒部50bと、上部筒部50cとを備えている。
【0028】
差口部50aは、その周面とリング嵌合溝66bの底面との間でOリング66aを圧縮して水密状態かつねじ筒6aの中心軸回りに回転自在に受口部66に嵌合されている。
小径筒部50bは、差口部50aより小径なっていて、上記リングガイド部64との間に後述する抜け止めリング7aの挿入隙間Sを形成している。
【0029】
上部筒部50cは、弁体53が内蔵されるとともに、分岐筒螺合部50dを備えている。
弁体53は、縦筒部50の上端から突出するように設けられたハンドル52を操作することによって、回転して分岐筒51と縦筒部50の下端部と間を開閉可能に仕切るようになっている。
【0030】
分岐筒51は、砲金等の銅合金で形成されていて、分岐筒本体51aと、ねじ筒部51bとを備えている。
【0031】
分岐筒本体51aは、分岐口51cを有し、その外周面に後述する分岐配管200の端部を分岐口51cと連通固定するための袋ナット210が螺合するねじ部51dが設けられている。
ねじ筒部51bは、分岐筒螺合部50dに螺合されている。
【0032】
そして、分岐栓本体5aは、差口部50aが受口部66に嵌合されることによって、小径筒部50bと、リングガイド部64との間に抜け止めリング7aの挿入隙間Sが形成された状態で固定筒部としてのねじ筒6aの中心軸まわりに回転自在に支持される。
また、分岐栓本体5aは、
図2及び
図3に示すように、抜け止め部材としての抜け止めリング7aの外周側が環状凹溝65に嵌り込み、抜け止めリング7aの内周側が差口部50aの外周縁より小径筒部50bの外周縁側に張り出すように装着されることによって、ねじ筒6aからの抜け止めがなされている。
すなわち、抜け止めリング7aは、一部に切れ目を有し、切れ目を閉じる方向に縮径可能な略C字形をしたステンレス鋼やばね鋼等の弾性材料から形成されている所謂Cリングである。
【0033】
そして、この抜け止めリング7aは、
図4に示すように、小径筒部50bに外嵌しておき、
図5に示すように、分岐栓本体5aの差口部50aを受口部66に嵌合したのち、差口部50a方向に押し込まれることによって、抜け止め状態に装着される。
すなわち、抜け止めリング7aを差口部50a方向に押し込むと、リングガイド部64のテーパ面64aにまず受けられる。そしてさらに押し込むと、抜け止めリング7aがテーパ面64aのテーパによって切れ目を閉じる方向に縮径して行き、平行面64bの内周面に沿うようになる。平行面64bからさらに差口部50a方向に押し込まれて、平行面64bを通りすぎると、抜け止めリング7aが弾性復元力によって拡径してその外周側が環状凹溝65内に嵌り込む。また、抜け止めリング7aの内周側が差口部50aの上端面に係止される。
【0034】
なお、抜け止めリング7aは、例えば、通常の抜け止め作用が維持できる状態で、挿入隙間Sの幅を大きくし、あるいは、一部の幅を大きくする切欠きを設けるなどして、ペンチ状の専用治具の挟持部を挿入隙間Sに差し入れ、挟持部で挟み込みながら、引き出す、あるいは、挿入隙間Sに差し入れたニッパー状の専用治具の先端で細かく切断されることによって必要に応じて抜け止めが解除できるようにしても構わない。
上記のように専用治具等を用いて一旦装着された抜け止めリング7aの抜け止めを解除することができるようにすれば、Oリング66aの止水性が悪くなり漏水が生じた場合にもOリング66aの交換を容易にできるなどメンテナンスが容易かつ低コストにできる。
【0035】
次に、この仮設配管用管継手Aの使用例を、
図6を参照して説明する。
すなわち、この仮設配管用管継手Aは、
図6に示すように、第1フランジ部12と他のフランジ付き管1a(または、同種の仮設配管用管継手A)の第2フランジ部13と突合せた状態で、接合部材の一対の分離自在な分割部材8a,8bによって両側から挟み込むことによって、他のフランジ付き管1(または、同種の仮設配管用管継手Aでもよい)と接続されて仮設配管100を形成する。
【0036】
そして、分岐筒51には、袋ナット210をねじ部51dにねじ込むことによって分岐配管200の一端を接続する。なお、分岐配管200を分岐筒51に接続する際には、例えば、
図2に示すように、断面クサビ形のKを挿入隙間Sに圧入し、摩擦抵抗によって回転筒部50が回転しないようにされる。なお、キーKは、回転筒部50の回転を一時的に止めることができれば、予め定型のものが用意されていなくても、施工現場で端材を利用して作製してもよい。
【0037】
この仮設配管用管継手Aは、上記のように、分岐筒51が縦筒部50の中心軸周りに回転自在となっている分岐栓付きサドル継手2aを方向性のあるフランジ付き管1に電気融着して形成されているので、分岐口51cの方向を変更することが可能である。
したがって、取り付け方向が自由になり、分岐栓部がサドル部に固定されて回転しない従来の分岐栓付きサドル継手とフランジ付き管1を用いて形成された仮設配管用管継手のように接続される他の管の第1フランジ部12と第2フランジ部13との方向によって取り付けられないといった問題が起こらない。
すなわち、第1フランジ部12と第2フランジ部13の取り付け方向が決まっている作業現場でも使用できる。
また、設けようとする分岐口51cの方向を自由に選択できるので、施工性がよいとともに、分岐口51cの方向の異なる多数の仮設配管用管継手をストックしておく必要がなく、施工コストを低減できる。
【0038】
しかも、仮設配管に作業者や通行人などが足をひっかけても分岐筒51が回転しようとするので、分岐栓本体5aにかかる負荷が緩和されて仮設配管用管継手Aの破損を防止することができる。
【0039】
一方、上記分岐栓付きサドル継手2aは、フランジ付き管1に容易に電気融着できるとともに、容易に上記仮設配管用管継手Aを形成することができる。
また、上記分岐栓付きサドル継手2aは、普通のポリエチレン管、例えば、多層階集合住宅の給水立管から各戸への分岐部にも用いることができる。
【0040】
さらに、抜け止めリング7aは、貫通孔31a側にOリング66aが設けられていて、フランジ付き管1内を流れる流体と直接接触することがない。したがって、抜け止めリング7aの腐食によって流体を汚染したりすることがない。
【0041】
図7は、本発明にかかる分岐栓付きサドル継手の第2の実施の形態がフランジ付き管に融着されて得られた仮設配管用管継手の第2の実施の形態をあらわしている。
図7に示すように、この仮設配管用管継手Bは、分岐栓付きサドル継手2bの、分岐栓本体5bの縦筒部50が弁体58より上方に分岐孔穿孔用の穿孔機接続部54を備えている。
【0042】
穿孔機接続部54は、ねじ付きのキャップ54aを備え、縦筒部50の上端に螺合されて縦筒部50と一体化されている。
弁体58は、分岐筒54と対向するように設けられたハンドル54によって回転して分岐筒54と、縦筒部50及び穿孔機接続部54とを連通状態および非連通状態にすることができるようになっている。
【0043】
分岐筒54は、縦筒部50と一体成形されている。
また、この仮設配管用管継手Bは、上記構成以外は、上記仮設配管用管継手Aと同様の構成になっている。なお、
図7中、4bは分岐栓部、55aは分岐口、55bはねじ部である。
【0044】
つぎに、
図8を用いて説明すると、この仮設配管用管継手Bは、例えば、以下のようにして得ることができる。
(1)
図8に示すように、上記分岐栓付きサドル継手2bを、予め仮設配管に組み込まれた分岐孔が穿設されていないフランジ付き管1bの分岐孔形成部に貫通孔連通部67が臨むようにフランジ付き管1bに電気融着する。
(2)キャップ54aを取り外し、取り外したキャップ54aを分岐筒54のねじ部55bに螺合させて分岐口55aを塞ぐ。
(3)穿孔機9の雌ねじ筒部91を穿孔機接続部54の雄ねじ筒部54bに螺合する。
(4)弁体58を、
図8に示すように、分岐筒54と、縦筒部50及び穿孔機接続部54との連通位置にして穿孔機9の軸93をハンドル(図示せず)回転させて穿孔機9の刃92を縦筒部50の貫通孔連通部67から貫通孔31aをとおり、フランジ付き管1bの管壁まで到達させ、刃92によって
図7に示すように分岐孔11aを穿設する。
(5)分岐孔11aを穿設したのち、軸93を逆回転し、刃92を弁体58より上方に引き上げる。
(6)弁体58を非連通位置にしたのち、穿孔機9を穿孔機接続部54から取り外す。
(7)キャップ54aを分岐筒54から取り外し、取り外したキャップ54aを穿孔機接続部54の雄ねじ筒54bに再び螺合させる。
(8)分岐筒54の分岐口55aに分岐配管を上記仮設配管用管継手Aと同様にして接続する。
(9)ハンドル54を操作して弁体58を連通位置にして仮設配管と仮設分岐配管とを連通させる。
【0045】
この仮設配管用管継手Bは、上記のようになっており、分岐筒54が縦筒部50の中心軸まわりに回転自在であるので、本管の取り替え作業完了後、
図6に示す接合部材の分割部材8a,8bを分離して接合を解除して保存しておけば、上記仮設配管用管継手Aと同様に再利用する際に取り付け方向を選ばない。
また、上記仮設仮設配管用管継手Bは、仮設仮設配管用管継手Aと同様の構成部分は、仮設仮設配管用管継手Aと同様の作用効果を発揮する。
一方、上記分岐栓付きサドル継手2bは、上記のように、穿孔機接続部54を備えているので、仮設配管施工後、仮設配管の途中に新たに分岐部を設ける必要が生じた場合でも容易に分岐配管施工することができる。
【0046】
図9は
、仮設配管用管継手の
他の例をあらわしている。
図9に示すように、この仮設配管用管継手Cは、フランジ付き管1に融着された分岐栓付きサドル継手2cの分岐栓本体5cが、差口部50aの上方に小径筒部50bを設けず、下端に外側に張り出すリング状のフランジ59を備えている。
【0047】
また、ねじ筒6bがその上端に上記フランジ59と同径のフランジ68を備えている。
分岐栓本体5cが両フランジ59、68を抜け止め部材としてのファスナクリップ7bを用いて係止することによってねじ筒6bから抜け止め状態にされている。
【0048】
ファスナクリップ7bは、特開2009−281493号公報に記載されているファスナクリップとほぼ同じ構造を備えていて、クリップ本体72と、抜け止め板75とを備えている。
クリップ本体72は、板状のばね鋼材を折り曲げ成形して形成されていて、2つの弾性係止部73(
図9では片側しかあらわれていない)と、連結部74と、
図9ではあらわれていない抜け止め板係止部とを備えている。
【0049】
2つの弾性係止部73は、同寸同大で略くの字形に折り曲げ形成されていて、くの字の両辺にスリット73a、73bが設けられているとともに、くの字の鋭角側が対向した状態で、連結部74を介してくの字の一端同士が連結されている。
上記抜け止め係止部は、弾性係止部73の他端から外側に広がるように設けられている。
抜け止め板75は、図示していないが、係合溝が設けられていて、上記抜け止め係止部がこの係合溝に係合されてクリップ本体72の弾性係止部73間の距離が広がりクリップ本体72が離脱することを防止するようになっている。
【0050】
なお、
図9中、4cは分岐栓部である。
この仮設配管用管継手Cは、上記した以外は、上記第2の実施の形態の仮設配管用管継手Bと同様になっている。
【0051】
この仮設配管用管継手Cは、クリップファスナ7bによって抜け止めを図るようになっているので、上記仮設配管用管継手Aや仮設配管用管継手Bに比べ、ねじ筒1□の支持筒部32からの突出長さを大きくとらなければならないが、分岐栓本体5cのねじ筒6bからの取り外しを容易に行うことができ、Oリング66aの交換作業などを容易に行えるようになる。
また、仮設配管用管継手Cは、上記仮設配管用管継手Bと同じ構成部分は、仮設配管用管継手Bと同様の作用効果を発揮する。
【0052】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、分岐栓付きサドル継手が、地上の露出する仮設配管用に用いられていたが、埋設されても構わないし、恒久的に使用される水道管の分岐部に用いるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、分岐栓付きサドル継手がフランジ付き管に融着されるようになっていたが、接着固定されても構わないし、ボルトナットなどで固定するようにしても構わない。
【0053】
上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、断面クサビ形のキーを挿入隙間に圧入することによって、仮設分岐配管接続時の分岐栓本体の回転を防止するようにしていたが、例えば、ねじ筒の上端部にボルト孔を穿設し、ねじ筒の外側からねじ込んだボルト先端を小径筒部の外周面等に圧接するなど、他の手段を用いて分岐栓本体の回転を止めるようにしても構わない。