【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、第1外層と、第2外層と、当該第1外層と当該第2外層との間に配置される内層とを有する衣類であって、
前記第1外層と前記第2外層との間に配置される前記内層の層厚みが、当該内層の生地厚みより大きく形成されて、当該第1外層と当該第2外層との間に空間部を有する。
【0007】
この構成によれば、内層の層厚みが内層の生地厚みよりも大きく形成されていることで、第1、第2外層間に空間部を好適に形成できるため、軽量で、折りたたみ時のコンパクト性、保温性、低コスト、メンテナンスフリーとなる衣類を提供できる。
【0008】
上記発明において、内層の生地は、糸材料、織編方法は特に制限されず、また、各種加工処理(例えば、透湿防水加工、撥水加工、反発加工、抗菌防臭加工等)も適宜施されていてもよい。内層の生地は、例えば、編み組織、織り組織、不織布である。内層生地は、1層構造でも複層構造でもよいが、軽量性の観点から単層の方がより好ましい。内層生地は、例えば、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維でもよく、天然繊維でもよい。内層生地は、1種類の繊維で構成されていてもよく、複数種類の繊維の組み合わせで構成されていてもよい。また、内層生地の原糸(繊維)自体に上記各種加工処理が施されていてもよい。
【0009】
上記発明において、第1、第2外層の生地は、糸材料、縫製方法は特に制限されず、また、各種加工処理(例えば、透湿防水加工、撥水加工、反発加工、抗菌防臭加工等)も適宜施されていてもよい。第1、第2外層の生地は、同じ生地でもよく、異なる生地でもよい。第1、第2外層の生地は、例えば、編み組織、織り組織、不織布である。第1、第2外層生地は、1層構造でも複層構造でもよいが、軽量性の観点から単層の方がより好ましい。第1、第2外層生地は、例えば、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維でもよく、天然繊維でもよい。第1、第2外層生地は、1種類の繊維で構成されていてもよく、複数種類の繊維の組み合わせで構成されていてもよい。また、第1、第2外層生地の原糸(繊維)自体に上記各種加工処理が施されていてもよい。
【0010】
上記発明において、内層の層厚みを内層生地厚みよりも大きくして、空間部を設けるために、生地面がでこぼこしていることが好ましい。また、内層生地を形状記憶樹脂繊維で構成して、あるいは一部に含ませて、生地面のでこぼこ形状を維持させるように構成してもよい。
【0011】
また、内層の生地は、第1外層と第2外層と間に配置されるが、第1外層と第2外層との間に必ず配置されている必要はなく、衣類(衣類の形状、衣類のパーツ形状、パーツの必要性、目的)に応じて、内層が省略され、第1外層と第2外層の生地のみ、あるいはその第1外層と第2外層との間に別の生地(あるいは部材)が存在している場合もある。例えば、フィット性あるいは締め付け用にゴム素材や、開閉自在の留め具が設けられていてもよい。留め具としては、例えば、通常のボタン、点ファスナー(例えば、スナップボタン)、線ファスナー(例えば、ジッパー、チャック)または面ファスナー(例えば、登録商標「マジックテープ」)が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上を適宜組み合わせて用いることもできる。また、衣類には、ポケットが設けられていてもよい。
【0012】
また、上記発明において、前記内層は、1種または複数種の立体形状面を有する1枚の生地を有する。内層は、1種または複数種の立体形状面を有する1枚の生地で構成されていることが好ましい。衣類のパーツに応じて、異なる立体形状面を有することで、衣類の形状等に適した内層を構成できる。立体形状は、例えば、波形状、凹凸形状等挙げられる。また、生地面に立設するように起毛や別の生地を縫い合わせて立体形状を作ってもよいが、生地自体を立体的にするほうが、軽量、コンパクト性、低コストなどの面で好ましい。1枚の生地を立体的にするには、波型や凹凸形状を含む生地を編む(例えば、丸編みによって部分的な凹凸形状を複数箇所に作る)または織るようにしてもよい。また、平面状の生地に対し、凹凸、波型、山折りと谷折りを繰り返す蛇腹型、円筒形状、半円筒形状等の立体加工を施してもよい。また、1枚の生地は、1種類の編みまたは織りで形成されていてもよく、複数種類の編みまたは織りの組み合わせで1枚生地を構成していてもよく、複数の生地を縫い合わせて1枚生地に構成してあってもよい。1枚生地の厚みは、例えば0.01mm〜1.5mmの範囲が挙げられ、好ましくは0.01mm〜1.0mmの範囲で、より好ましくは0.01mm〜0.5mmの範囲である。薄いほど、軽量となるため好ましい。
【0013】
また、上記発明の一実施形態として、前記内層は、複数の生地が嵩高く層状に配置されている。内層を構成する生地が1枚ではなく2枚以上積層されており、それぞれの生地が立体形状面を有して、嵩高くかつ大きい空間層を形成できる。積層される生地同士は、すべてが同じ立体形状面を有するものでもよく、異なる立体形状面を有するものでもよい。また、積層される生地同士は、端部分以外が縫い止めされていなくてもよく、部分的に縫い止めされてもいてもよい。また、生地同士の間に平面状の生地を全体または部分的に介在させてあってもよく、この平面状生地が前記生地に部分的に縫い止めされていてもよい。
【0014】
上記発明において、衣類の端部において、前記内層の生地の端部が、前記第1外層および/または前記第2外層と縫い合わされていることが好ましい。空間部を広範囲に形成して保温性を確保しつつ、折りたたみ時のコンパクト性を向上できる。キルティングや部分的な縫い止め(内層生地と外層生地との縫製)を極力なくすことで、衣類着用時のごわごわ感を抑制し、着衣感触を好適にできる。衣類の端部は、ベストであれば、例えば、襟周り、肩(上腕)周り、胴周り、ファスナー部分などである。
【0015】
また、上記発明において、前記内層の生地は、部分的に収縮させた収縮部と、収縮されていない部分(非収縮部あるいは実質的に収縮していない部分)を有して、立体形状を形成することが好ましい。非収縮部は、収縮部に比べて相対的に収縮していない状態であればよく、例えば、収縮部は強く収縮させた強収縮部であり、非収縮部はあまり収縮されていない弱収縮部であってもよい。生地面に熱収縮性樹脂を例えば、格子状に塗布し、次いで加熱し、熱収縮樹脂が塗布された生地部分が強く収縮し、それ以外の生地部分があまり収縮しないため、1枚の生地で立体形状を好適に形成できる。また、熱収縮樹脂に限定されず、生地面に塗布することで、塗布面を強く収縮させ、他の生地面をあまり収縮させてないものであればよく、例えば、紫外線収縮樹脂を用いることもできる。また、収縮部に形状記憶樹脂繊維を含ませて、収縮させ、それ以外をあまり収縮させないように構成してもよい。なお、収縮部は、格子状のパターンに限定されない。
【0016】
また、収縮させるのではなく、逆に生地面を部分的に強く膨張させた強膨張部と、あまり膨張させない弱膨張部によって、生地面を立体的に構成してもよい。
【0017】
また、上記発明において、前記内層の生地は、複数の開口部を有し、当該開口部の生地端面を立設することで、立体形状面を形成することが好ましい。開口部は、生地に複数のスリットをいれて形成でき、生地の両端を引っ張ることで、スリット部を開口させて開口部を形成し、開口部の生地端面を立設させる。この立設方向の高さがスリット間隔に相当し、空間部の厚みを規定できる。
【0018】
また、上記発明において、前記内層の生地は、筒径方向に配置された複数の筒状部を有して、立体形状面を形成する。この筒状部によって、嵩高くして空気層、保温層(材)を作り出す。筒状のサイズ(外径寸法、筒軸方向長さ)は、すべて同じである必要はなく、衣類の形状、配置箇所に応じてサイズを異なるようにしてもよい。筒状部は連続的に形成せずに、間隔をあけて形成してもよい。
【0019】
また、上記発明において、前記内層の立体形状面を有する生地は、半円筒径方向に配置された、複数の半円筒状部(断面視で半円状、放物線状)を有し、当該半円状開口部が別の生地(ベース生地)と連結されている。
この半円筒状部によって、嵩高くして空気層、保温層(材)を作り出す。半円筒状のサイズ(外径寸法、筒軸方向長さ)は、すべて同じである必要はなく、衣類の形状、配置箇所に応じてサイズを異なるようにしてもよい。半円筒状部は連続的に形成せずに、間隔をあけて形成してもよい。