特許第5719763号(P5719763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5719763ガス発生剤組成物及びその成形体、並びにそれを用いたガス発生器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719763
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】ガス発生剤組成物及びその成形体、並びにそれを用いたガス発生器
(51)【国際特許分類】
   C06D 5/00 20060101AFI20150430BHJP
   C06B 31/08 20060101ALI20150430BHJP
   C06B 43/00 20060101ALI20150430BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20150430BHJP
   B60R 21/264 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   C06D5/00 Z
   C06B31/08
   C06B43/00
   B01J7/00 A
   B60R21/264
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-503708(P2011-503708)
(86)(22)【出願日】2010年3月9日
(86)【国際出願番号】JP2010001665
(87)【国際公開番号】WO2010103811
(87)【国際公開日】20100916
【審査請求日】2012年12月3日
(31)【優先権主張番号】特願2009-61450(P2009-61450)
(32)【優先日】2009年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】緒方 智博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英史
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0145921(US,A1)
【文献】 特開2006−076849(JP,A)
【文献】 特開2000−319086(JP,A)
【文献】 特開平10−297419(JP,A)
【文献】 特開2004−155645(JP,A)
【文献】 伊達新吾、外3名,火薬学会誌,1999年,第60巻、第1冊,第31−37頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C06D 5/00
B60R 21/264
C06B 21/00−49/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料成分(A)として硝酸グアニジンと、酸化剤成分(B)とし塩基性金属硝酸塩(B−1)並びに50%粒径が1〜50μmの過塩素酸塩(B−2)とを含有し、酸化剤成分(B)の全質量中に占める前記過塩素酸塩(B−2)の含有量が5質量%以上で且つ35質量%未満であり、水酸化アルミニウムを含まないことを特徴とするガス発生剤組成物。
【請求項2】
塩基性金属硝酸塩(B−1)が、塩基性硝酸銅であることを特徴とする請求項1に記載のガス発生剤組成物。
【請求項3】
前記過塩素酸塩(B−2)が、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム及び過塩素酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス発生剤組成物。
【請求項4】
前記硝酸グアニジンの含有量が35〜60質量%で、前記塩基性金属硝酸塩(B−1)の含有量が20〜50質量%で、前記過塩素酸塩(B−2)の含有量が1〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガス発生剤組成物。
【請求項5】
前記過塩素酸塩(B−2)は、50%粒径が1〜30μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガス発生剤組成物。
【請求項6】
更に、バインダー剤(C)を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガス発生剤組成物。
【請求項7】
更に、スラグ形成剤(D)を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガス発生剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載のガス発生剤組成物の成形体。
【請求項9】
成形体の形状が円柱状であり、その直径が4mm以下であることを特徴とする請求項に記載のガス発生剤組成物の成形体。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のガス発生剤組成物の成形体を備えることを特徴とするガス発生器。
【請求項11】
長尺筒状のハウジングを備えることを特徴とする請求項10に記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス発生剤組成物及び該ガス発生剤組成物の成形体、並びに該ガス発生剤組成物の成形体を用いたガス発生器に関し、特には、燃焼起動のための電気信号に迅速に呼応し(即ち、燃焼起動のための電気信号に対する応答性に優れる)、車両搭乗者安全装置用ガス発生器への使用に好適なガス発生剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の安全性向上の方策において、近年、火薬を利用した車両搭乗者安全装置としてエアバッグ、シートベルトプリテンショナーが広く採用されている。エアバッグ装置の原理は、車両の衝突を検出したセンサーからの電気信号により、ガス発生器内に充填されているガス発生剤を燃焼させて大容量のガスを生成し、そのガス圧力によりエアバッグを乗員と車体内壁との間に展開させるものである。また、シートベルトプリテンショナーにおいても同様であり、車両の衝突をセンサーにより検知し、該センサーからの電気信号によりガス発生器に充填したガス発生剤を燃焼させてガスを生成し、そのガス圧力によりシートベルト巻取り機構を作動させ、そのシートベルトの拘束力を高めることにより乗員を保護するというものである。車両の衝突において、車両搭乗者安全装置用ガス発生器は、衝突感知センサーからの電気信号に対して極めて迅速な応答が要求される。即ち、該ガス発生器には、衝突感知センサーからの電気的な信号を受けてガス発生剤を燃焼させ、ガスを生成させると共に、その生成ガスの最大圧力に数十ミリ秒で到達する性能が要求される。
【0003】
車両搭乗者安全装置用ガス発生器としての極めて迅速な応答性能要求に応えるため、応答性に優れたガス発生剤が求められており、具体的には、ガス発生器内点火器の点火炎を受けて速やかに着火すると共に、短時間で完全に燃焼してガスを生成できるガス発生剤が求められている。そして、このような応答性に優れたガス発生剤により、車両搭乗者安全装置として好適で、衝突による起動信号を発してから生成ガスの最大圧力に到達するまでの時間が極めて短い、優れた応答性を示すガス発生器を提供することができる。
【0004】
また、車両安全機能に関する意識の高まりから、近年では、従来装備されてきた運転者及び助手席搭乗者のための前方衝突用エアバッグ以外にも、車両内側壁面及びガラス面並びに車両内天井面における衝突用エアバックの装備や下肢部保護用の衝突用エアバッグの装備が進められている。このような側面、頭部面、下肢部相対面は、搭乗者との距離が近いため、前方衝突用エアバッグより迅速に展開させる優れた応答性が要求され、このような位置への装備に適用可能な車両搭乗者安全装置用ガス発生器の開発が進められている。
【0005】
ガス発生器に用いるガス発生剤は、一般に、燃料成分と酸化剤成分との混合組成物を主成分として調製される。燃料成分としては、かつて用いられてきたアジ化金属化合物に代えて含窒素有機化合物が使用されており、該含窒素有機化合物と無機酸化剤を組み合わせてなる非アジド系ガス発生剤組成物が提案されている。酸化剤成分の役割としては、燃料成分に酸素を供給し燃焼性を向上させると共に、一酸化炭素、アンモニア、一酸化窒素、二酸化窒素、塩化水素等の好ましくないガス成分の生成を抑制する機能が要求される。ここで、ガス発生剤組成物の酸化剤成分としては、各種硝酸塩が広く使用されており、具体的には、金属硝酸塩、塩基性金属硝酸塩、硝酸アンモニウム、相安定化硝酸アンモニウム等が知られている。更に、酸化剤成分としてかかる硝酸塩と過塩素酸塩とを併用したガス発生剤組成物の例が知られている。特許文献1には、含窒素化合物、塩基性金属硝酸塩及び塩素酸化合物を含有するガス発生剤組成物が開示されている。また、特許文献2には、窒素含有燃料、銅含有化合物及び平均粒径が100ミクロンを超えるアルカリ金属過塩素酸塩を含有するガス発生剤組成物が開示されている。これらの特許文献は、いずれも生成ガス成分中に含まれる窒素酸化物やアンモニア等の有毒なガス成分の生成を抑制できるガス発生剤組成物に関するものである。しかしながら、これらの特許文献に記載のガス発生剤組成物は、十分な燃焼速度を有するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−119926号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0016529号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、着火性及び燃焼性が向上したガス発生剤組成物及び該ガス発生剤組成物の成形体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、該ガス発生剤組成物の成形体を備えることで、燃焼起動のための電気信号の発信から生成ガスの最大圧力に到達するまでの時間が極めて短い、即ち優れた応答性を示すガス発生器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、燃料成分として含窒素有機化合物と、酸化剤成分として金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩並びに過塩素酸塩とを含有するガス発生剤組成物において、該過塩素酸塩の50%粒径を1〜50μmの範囲に限定し、酸化剤成分の全質量中に占める該過塩素酸塩の含有量を5質量%以上で且つ35質量%未満の範囲に限定することで、ガス発生剤組成物の着火性及び燃焼性が顕著に向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明のガス発生剤組成物は、燃料成分(A)として含窒素有機化合物と、酸化剤成分(B)として金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)並びに50%粒径が1〜50μmの過塩素酸塩(B−2)とを含有し、酸化剤成分(B)の全質量中に占める前記過塩素酸塩(B−2)の含有量が5質量%以上で且つ35質量%未満であることを特徴とする。
【0010】
本発明のガス発生剤組成物の好適例においては、前記含窒素有機化合物が、グアニジン、トリアゾール、テトラゾール、ビトリアゾール、ビテトラゾール及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0011】
本発明のガス発生剤組成物の他の好適例においては、金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)が、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸ストロンチウム及び塩基性硝酸銅からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0012】
本発明のガス発生剤組成物の他の好適例においては、前記過塩素酸塩(B−2)が、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム及び過塩素酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0013】
本発明のガス発生剤組成物においては、前記含窒素有機化合物の含有量が35〜60質量%で、前記金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)の含有量が20〜50質量%で、前記過塩素酸塩(B−2)の含有量が1〜20質量%であることが好ましい。ここで、前記含窒素有機化合物が硝酸グアニジンであり、前記金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)が塩基性金属硝酸銅であり、前記過塩素酸塩(B−2)が過塩素酸カリウムであることが更に好ましい。
【0014】
本発明のガス発生剤組成物において、前記過塩素酸塩(B−2)は、50%粒径が1〜30μmであることが好ましい。
【0015】
本発明のガス発生剤組成物の他の好適例においては、更にバインダー剤(C)を含む。
【0016】
本発明のガス発生剤組成物の他の好適例においては、更にスラグ形成剤(D)を含む。
【0017】
また、本発明のガス発生剤組成物の成形体は、上述のガス発生剤組成物の成形体である。
【0018】
本発明のガス発生剤組成物の成形体の好適例においては、成形体の形状が円柱状であり、その直径が4mm以下である。
【0019】
更に、本発明のガス発生器は、上述のガス発生剤組成物の成形体を備えることを特徴とし、長尺筒状のハウジングを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、燃料成分として含窒素有機化合物と、酸化剤成分として金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩並びに過塩素酸塩とを含有するガス発生剤組成物において、該過塩素酸塩の50%粒径を1〜50μmの範囲に限定し、酸化剤成分の全質量中に占める該過塩素酸塩の含有量を5質量%以上で且つ35質量%未満の範囲に限定することで、着火性及び燃焼性に優れるガス発生剤組成物及び該ガス発生剤組成物の成形体を提供することができ、該ガス発生剤組成物及びその成形体は、車両搭乗者安全装置用ガス発生器への使用に好適である。なお、本発明のガス発生剤組成物及びその成形体は、熱安定性にも優れる。また、かかるガス発生剤組成物の成形体を備えることで、燃焼起動のための電気信号の発信から生成ガスの最大圧力に到達するまでの時間が極めて短い、即ち優れた応答性を示すガス発生器を提供することができる。なお、本発明のガス発生器は、ガス発生剤組成物が着火性に優れることから、従来のエアバック用インフレータ等に使用されるエンハンサー剤の使用が不要であり、ガス発生器の小型化を達成でき、特に迅速な応答が要求される側面衝突(側突)用エアバック用ガス発生器として好適である。また、本発明のガス発生器は、ガス発生剤組成物が燃焼性に優れることから、一酸化炭素、アンモニア及び窒素酸化物成分が比較的少なく、更には塩素や塩化水素をほとんど含んでいない清浄な排気ガスを生成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のガス発生器の一例の断面図である。
図2】本発明のガス発生剤の他の例の断面図である。
図3】試験例4.燃焼性試験(28.3Lタンク試験)によって得られた実施例3及び比較例3の圧力−時間曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のガス発生剤組成物は、燃料成分(A)として含窒素有機化合物と、酸化剤成分(B)として金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)並びに50%粒径が1〜50μmの過塩素酸塩(B−2)とを含有し、酸化剤成分(B)の全質量中に占める前記過塩素酸塩(B−2)の含有量が5質量%以上で且つ35質量%未満であることを特徴とし、着火性及び燃焼性に優れ、車両搭乗者安全装置用ガス発生器への使用に好適である。
【0023】
本発明のガス発生剤組成物の燃料成分(A)は、含窒素有機化合物であり、ここで、該含窒素有機化合物としては、特に限定されず、車両搭乗者安全装置用ガス発生器用ガス発生剤組成物に通常使用される含窒素有機化合物を好適に使用できるが、グアニジン又はその誘導体、トリアゾール又はその誘導体、テトラゾール又はその誘導体、ビトリアゾール又はその誘導体、ビテトラゾール又はその誘導体、アゾジカルボンアミド又はその誘導体、ヒドラジン又はその誘導体、及びヒドラジド誘導体が好ましく、より具体的には、5−オキソ−1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、5−アミノテトラゾール、硝酸アミノテトラゾール、ニトロアミノテトラゾール、ビテトラゾール(5,5'−ビ−1H−テトラゾール)、5,5'−ビ−1H−テトラゾールジアンモニウム塩、アゾビステトラゾール、5,5'−アゾビステトラゾールジグアニジウム塩、グアニジン、ニトログアニジン、シアノグアニジン、トリアミノグアニジン硝酸塩、硝酸グアニジン、硝酸アミノグアニジン、ビウレット、アゾジカルボンアミド、カルボヒドラジド、カルボヒドラジド硝酸塩錯体、シュウ酸ヒドラジド、ヒドラジン硝酸塩錯体、アンミン錯体等が好適に挙げられる。これらの含窒素有機化合物の中でも、安価で反応性が良く比較的取り扱いが容易であることから、テトラゾール誘導体、ビテトラゾール誘導体及びグアニジン誘導体が好ましく、ニトログアニジン、硝酸グアニジン、ビテトラゾール、アゾビステトラゾール及び5−アミノテトラゾールが更に好ましい。これらの中でも、硝酸グアニジンは、分子中に酸素を含有するため酸化剤成分の配合量を低減でき、また良好な熱安定性を有し、更には低コスト、燃焼時の高いガス収率が期待できる等のメリットがあり、特に好ましい。なお、これら含窒素有機化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
また、上記含窒素有機化合物は、取り扱いが容易であることから粉末若しくは顆粒状であることが好ましく、その50%粒径は、5〜80μmが好ましく、10〜50μmが更に好ましい。なお、含窒素有機化合物の50%粒径は、大き過ぎるとガス発生剤組成物成形体の強度が低下する一方で、小さ過ぎると粉砕に多大なコストを必要とする。また、本発明において、50%粒径とは、測定粒子数基準の50%粒径を意味し、例えばレーザー回折・散乱法等で測定できる。
【0025】
本発明のガス発生剤組成物中に占める含窒素有機化合物の含有率(配合割合)は、35〜60質量%が好ましく、40〜58質量%が更に好ましい。該含窒素有機化合物の含有率(配合割合)が35質量%未満では、ガス発生剤組成物100g当たりの発生ガスモル数が減少し、酸素過剰で窒素酸化物の発生が増加する傾向にある。一方、含窒素有機化合物の含有率(配合割合)が60質量%を超えると、有機物が多くなるため、ガス発生剤組成物の真比重が減少し、体積当たりの充填量が減少し、また、酸化剤成分が不足するために有毒な一酸化炭素が多く発生する傾向にある。
【0026】
本発明のガス発生剤組成物の酸化剤成分(B)は、金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)と50%粒径が1〜50μmの過塩素酸塩(B−2)を併用する。
【0027】
上記金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、銅、マグネシウム、コバルト、ニッケル、亜鉛等から選択される金属塩が挙げられる。具体的には、アルカリ金属の硝酸塩として硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等、アルカリ土類金属の硝酸塩として硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム等が挙げられる。なお、これら金属硝酸塩は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、塩基性金属硝酸塩としては、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マグネシウム、塩基性硝酸鉄等が挙げられる。これらの中でも、塩基性硝酸銅が特に好ましい。なお、これら塩基性金属硝酸塩は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
また、上記金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)は、取り扱いが容易であることから粉末若しくは顆粒状であることが好ましく、その50%粒径は、1〜80μmが好ましく、1〜50μmが更に好ましい。なお、金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)の50%粒径は、大き過ぎるとガス発生剤組成物成形体の強度が低下する一方で、小さ過ぎると粉砕に多大なコストを必要とする。
【0029】
上記過塩素酸塩(B−2)としては、例えば、アルカリ金属の過塩素酸塩、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、過塩素酸アンモニウム等が挙げられる。具体的には、アルカリ金属の過塩素酸塩として過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等、アルカリ土類金属の過塩素酸として過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸ストロンチウム等が挙げられる。なお、これら過塩素酸塩は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
また、上記過塩素酸塩(B−2)は、その粒径が小さい程、燃料成分(A)との接触面積が増大し、該燃料成分(A)に対して優れた反応性を示すため、ガス発生剤組成物の着火性及び燃焼性を大幅に向上できることから、その50%粒径を1〜50μmの範囲にすることが必要であり、1〜30μmの範囲が好ましく、5〜30μmの範囲が更に好ましく、8〜25μmの範囲が一層好ましい。なお、上記過塩素酸塩(B−2)の50%粒径が1μm未満では、粉砕に多大なコストを必要とする一方、50μmを超えると、ガス発生剤組成物成形体の強度が低下することに加えて、着火性、燃焼性等のガス発生特性の向上効果が十分に得られない。
【0031】
上述のように、上記過塩素酸塩(B−2)は、該燃料成分(A)に対して反応性が非常に高いので、例えば、ガス発生剤組成物に必要とされる酸化剤成分の全てを該過塩素酸塩(B−2)としてしまうと、反応性が鋭敏すぎ、その取り扱いが非常に困難になる。このため、本発明のガス発生剤組成物においては、酸化剤成分中に占める過塩素酸塩(B−2)の含有量の制御が非常に重要であり、本発明者らが最適化を試みたところ、酸化剤成分(B)の全質量中に占める過塩素酸塩(B−2)の含有量を5質量%以上で且つ35質量%未満の範囲に限定する必要があることを見出した。本発明のガス発生剤組成物において、酸化剤成分(B)の全質量中に占める過塩素酸塩(B−2)の含有量が35質量%以上では、上記した通り、反応性が高くなり過ぎ、その取り扱いが困難になる他、作動時に塩素由来のガス成分の発生量が増加し、該ガス成分を回収するための添加剤が必要となり、ガス発生剤組成物の有効成分(燃焼成分及び酸化剤成分)の含有量を低減するため回避すべきである。また、自立燃焼性を喪失し、場合によっては燃焼が中断してしまうおそれがある。なお、ここでいう自立燃焼性とは、着火後に燃焼が中断せずに完全に燃え尽きる性質を意味する。一方、酸化剤成分(B)の全質量中に占める過塩素酸塩(B−2)の含有量が5質量%未満では、着火性、燃焼性等のガス発生特性の向上効果が十分に得られない。なお、本発明のガス発生剤組成物において、酸化剤成分(B)の全質量中に占める過塩素酸塩(B−2)の含有量は、着火性、燃焼性等のガス発生特性を更に向上させる観点から、8質量%以上で且つ35質量%未満の範囲が好ましく、10質量%以上で且つ35質量%未満の範囲が更に好ましい。
【0032】
本発明のガス発生剤組成物中に占める酸化剤成分(B)の含有率(配合割合)は、上記燃料成分(A)の種類、添加剤の種類、酸素バランス等によって異なるが、30〜65質量%が好ましく、35〜60質量%が更に好ましい。ここで、本発明のガス発生剤組成物中に占める上記金属硝酸塩及び/又は塩基性金属硝酸塩(B−1)の含有量(配合割合)は、20〜50質量%が好ましく、25〜50質量%が更に好ましい。また、本発明のガス発生剤組成物中に占める上記過塩素酸塩(B−2)の含有量(配合割合)は、1〜20質量%が好ましく、3〜18質量%が更に好ましい。
【0033】
本発明のガス発生剤組成物は、更に添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、一般的に車両搭乗者安全装置用ガス発生器用のガス発生剤組成物に使用可能な添加剤を用いることができる。例えば、好適な燃焼特性を維持するために成形性や形状保持性を付与するためのバインダー剤(C)、燃焼残渣を容易にろ過することを可能にするためのスラグ形成剤(D)、燃焼調整剤、滑剤等の添加剤を用いることができる。これら添加剤の含有量は、その用途により異なるが、いずれの用途においても、添加剤の含有量が多くなり過ぎると、燃焼性等の性能が低下するため、ガス発生剤組成物中に占める添加剤の含有量は、0.1〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましい。
【0034】
上記バインダー剤(C)は、好適な燃焼特性を維持させるために成形性、形状保持性を付与する添加剤であり、例えば、ガス発生剤組成物がバインダー剤(C)を含有する場合、インフレータが使用される過酷な環境下であっても、燃焼性能を保持することができる。該バインダー剤(C)としては、ガス発生剤組成物の燃焼挙動に大幅な悪影響を与えなければ特に制限なく使用でき、例えば、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、デンプン等の多糖誘導体、ステアリン酸塩等の有機バインダー、二硫化モリブデン、合成ヒドロタルサイト、酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、シリカ、アルミナ等の無機バインダーが好適に挙げられる。これらの中でも、セルロース系バインダー、酸性白土等が特に好ましい。本発明のガス発生剤組成物中におけるバインダー剤(C)の含有量は、1.0〜10質量%が好ましく、1.0〜5質量%が更に好ましい。バインダー剤(C)の含有量が高いと、成形体の破壊強度を高めることができるが、組成物中の炭素元素及び水素元素の数が増大し、炭素元素の不完全燃焼生成物である一酸化炭素ガスの濃度が増大し、発生ガスの品質を低下させ、また燃焼を阻害してしまうおそれもあることから、ガス発生剤組成物の形状を維持できる最低量での使用が好ましい。特に、バインダー剤(C)の含有量が10質量%を超えると、酸化剤成分の相対的存在割合の増大が必要となり、ガス発生剤組成物中における燃料成分(含窒素有機化合物)の相対的存在割合が低下し、ガス発生器の実用化が困難になるおそれがある。
【0035】
上記スラグ形成剤(D)は、ガス発生剤組成物の燃焼後に生成する燃焼残渣を容易にろ過することを可能にする添加剤であり、インフレータの外に放出することを防ぐことを目的に添加される。該スラグ形成剤(D)の具体例としては、例えば、窒化珪素、炭化珪素、二酸化珪素、珪酸塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸性白土、クレー等の天然鉱物等が挙げられる。本発明のガス発生剤組成物中におけるスラグ形成剤(D)の含有量は、0.5〜10質量%が好ましく、1.0〜5.0質量%が更に好ましい。スラグ形成剤(D)の含有量が高いと、燃焼性を低下させ、更には発生ガスのモル数を低下させることから、乗員保護性能が十分に発揮されないおそれがある。
【0036】
上記滑剤は、ガス発生剤組成物の調製時において原料成分の混合性向上、流動性改善を目的として添加される。該滑剤の具体例としては、例えば、グラファイト、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、窒化ホウ素、高分散シリカ(二酸化珪素)、タルク等が挙げられる。これらの中でも、高分散シリカ(二酸化珪素)は、原料混合時の固着や凝集を抑制して均一に分散混合する機能を有しており、各成分の粒度特性・作用を維持する効果があり、特に有用である。本発明のガス発生剤組成物中における滑剤の含有量は、0.1〜5.0質量%が好ましく、0.1〜2.0質量%が更に好ましい。滑剤の含有量が高いと、燃焼性の低下、発生ガスのモル数の低下、更には発生ガス中の一酸化炭素の濃度の増大等が起きるおそれがある。
【0037】
上記燃焼調整剤は、ガス発生剤組成物の燃焼を調整するための添加剤であり、具体例としては、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化クロム、酸化コバルト、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン等の金属酸化物活性炭粉末、グラファイト、カーボンブラック等の炭素類等が挙げられる。本発明のガス発生剤組成物中における燃焼調整剤の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下が更に好ましい。

【0038】
本発明のガス発生剤組成物は、適当な形状を有する成形体として使用することが好ましい。以下、ガス発生剤組成物の成形体をガス発生剤とも称する。なお、ガス発生剤組成物は、ガス発生剤組成物の燃焼性能、ガス発生器の燃焼特性に合わせて様々な形状に成形することができる。その成形方法としては、加圧成形方法、押出成形方法が挙げられる。本発明のガス発生剤組成物の成形体の形状は、特に限定されず、ペレット状、ディスク状、球状、棒状、円柱状、円筒状、金平糖状、テトラポット状等が挙げられる。また、該成形体は、無孔のものでもよいし、単孔又は多孔といった有孔のもの(例えば、単孔円筒状又は多孔円筒状)でもよい。更に、ペレット状、ディスク状の成形体は、片面又は両面に1〜数個程度の突起を設けてもよい。突起の形状は特に制限されず、例えば、円柱状、円筒状、円錐状、多角錘状等が挙げられる。
【0039】
本発明のガス発生剤組成物の加圧成形体において、その形状が円柱状である場合、該成形体の円柱直径が小さいと、ガス発生剤の燃焼性を顕著に向上できることを見出した。加えて、円柱状成形体の直径が小さいと、ガス発生剤の嵩密度が高くなることを見出した。ガス発生器に該ガス発生剤を充填した場合、円柱直径が大きいものと同程度の充填量において、ガス発生特性の向上が期待される。また、嵩密度が高いと、単位体積当たりのガス発生剤充填量の増量が可能となり、ガス発生器の高出力を図るこが可能となるため望ましい。また、別の観点では、嵩密度が高いと、ガス発生剤を充填する空間の小容量化が可能となり、ガス発生器の小型化が達成できるため望ましい。特に、ガス発生剤を充填する空間の形状が制限される長尺円筒状のハウジングを備えるガス発生器においては、該ガス発生器に適用されるガス発生剤の充填性の向上が重要な課題となる。従って、本発明のガス発生剤組成物の成形体を長尺円筒状のハウジングを備えるガス発生器に充填する場合、該ガス発生器への充填性を向上させる観点から、成形体の形状を円柱状とし、その円柱直径を小さくすることが好ましい。具体的には、円柱状成形体の直径は、好ましくは4.0mm以下、より好ましくは3.2mm以下、更に好ましくは2.5mm以下である。また、特に限定されるものではないが、円柱状成形体の直径は、2.0mm以上が好ましい。更に、円柱状成形体の厚み(高さ)は、薄く(低く)すると、燃焼性能は向上するものの充填性が低下し、一方、厚く(高く)すると、充填性は向上するものの燃焼性能が低下するため、厚み/直径の比率は、30〜80%が好ましく、30〜60%が更に好ましい。加えて、燃焼性、充填性、成形体の強度等を考慮した場合、円柱状成形体の厚みは3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下が更に好ましく、1.5mm以下が一層好ましい。また、特に限定されるものではないが、円柱状成形体の厚みは、1.0mm以上が好ましい。なお、円柱状成形体としては、厚みが2.0mm以下で、直径が4.0mm以下の加圧成形体が、最も好適である。また、円柱状成形体とは、該円柱状成形体の表面に曲面を形成した形状も含まれるものであり、その曲面高さは0.5mm以下が好ましく、0.3mm以下が更に好ましく、0.1mm以下が一層好ましい。また、成形体角面の面取りをした形状も含まれる。
【0040】
次に、本発明のガス発生剤組成物の成形体の加圧成形方法による製造方法を例示する。加圧成形により、錠剤状、ペレット状又はディスク状にガス発生剤組成物を成形する場合、燃料成分、酸化剤成分、任意の各種添加剤をV型混合機又はロッキングミキサー等の乾式混合機にて混合する。混合の際には、該成分の混合物中に球体を分散し介在させることで、該成分の粉末が球体による力を細部にわたって受けるため、組成物中に各成分が均一に分散する。ロッキングミキサーのような回転と揺動運動を行う混合機を用いることで、各成分がより均一に分散したガス発生剤組成物を得ることができるため望ましい。得られたガス発生剤組成物(粉末)に、バインダー剤(C)を含有する溶液(バインダー溶液)を添加し、撹拌造粒機等の湿式造粒機を用いて該ガス発生剤組成物を造粒する。バインダー溶液の添加量は、一概には言えないが、混合粉末に対して5〜20質量%添加することができる。その後、80〜100℃にて熱処理して顆粒を得る。熱処理後の顆粒の水分量は、1%を超えると流動性の低下が起こり、安定して次工程の加圧成形を行うことができないおそれがあるため、顆粒中の水分量は1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下が望ましい。次に、該顆粒をロータリー打錠機によって所望の形状に加圧成形する。加圧成形の際、通常使用されるステアリン酸マグネシウム等の滑剤を0.1〜5質量%の範囲で添加することも可能である。加圧成形された成形体は、100〜110℃で5〜20時間熱処理した後、ガス発生剤として使用できる。熱処理後のガス発生剤中の水分量は1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下が望ましい。
【0041】
一方、押出成形方法により本発明のガス発生剤組成物の成形体を製造する場合には、燃料成分、酸化剤成分、各種添加剤を混合機にて混合し、得られた混合粉末に外割で10〜20質量%の水又は有機溶媒を加えて十分に混練し、粘性を有する湿薬にする。その後、所望の形状に押出成形可能なダイスに該湿薬を通し、押出成形体を適宜切断していく。押出成形体は柱状体であり、より好ましい形体としては長尺円柱状成形体である。その形状は、直径が3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下、更に好ましくは2.0mm以下である。また、特に限定されるものではないが、該直径は、1.0mm以上が好ましい。長さ/直径の比率は、130〜350%が好ましく、130〜250%が更に好ましく、130〜200%が一層好ましい。加えて、燃焼性、充填性等を考慮した場合、長尺円柱状成形体の長さは、6.5mm以下、好ましくは4.5mm以下、更に好ましくは2.5mm以下が望ましい。また、特に限定されるものではないが、長さは、2.0mm以上が好ましい。押出成形体としては、長さが2.5mm以下で、直径が2.0mm以下の長尺円柱状成形体が、最も好適である。このようにして得られた押し出し成形体を熱処理し、ガス発生剤として使用できる。
【0042】
なお、上記熱処理では、50〜150℃の温度で10〜20時間程度熱処理を行うことにより、経時変化の少ないガス発生剤組成物の成形体を得ることができる。押出成形による製造方法では、水分を10〜20質量%含んだ成形体を熱処理するため、低温で長時間熱処理することが必要である。特に、107℃×400時間の過酷な耐熱老化試験にパスするためには、この熱処理が極めて有効である。なお、熱処理時間が10時間未満では、熱処理が不十分であり、一方、20時間を超える熱処理時間も意味が無いため、10〜20時間の範囲で適宜選択するのが良い。また、熱処理温度は、50℃未満では、成形体の品質を向上させる効果が小さく、80℃を超えると、水分の蒸発速度が早すぎるため、成形体内に気泡が生じ、成形体の強度不足、燃焼中の異常燃焼の原因となる。そのため、50〜70℃にて一次熱処理を行い、ガス発生剤中の水分量を7%以下、好ましくは5%以下とし、その後、80〜150℃にて二次熱処理を行い、ガス発生剤中の水分量を1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下にすることが望ましい。
【0043】
本発明のガス発生剤組成物の成形体は、車両搭乗者安全装置用ガス発生器への使用に好適で、特にエアバッグ装置用ガス発生器への使用に好適である。
【0044】
以下に、図を参照しながら本発明のガス発生器を詳細に説明する。本発明のガス発生器は、上述のガス発生剤組成物の成形体を備えることを特徴とする。本発明のガス発生器は、かかるガス発生剤組成物の成形体を備えることで、燃焼起動のための電気信号の発信から生成ガスの最大圧力に到達するまでの時間が極めて短いため、車両搭乗者安全装置用ガス発生器として好適である。なお、車両搭乗者安全装置用ガス発生器としては、特に限定されるものではないが、例えば、図1及び図2に示されるような、エアバック装置用ガス発生器が挙げられる。
【0045】
図1は、本発明のガス発生器の一例の断面図であり、該ガス発生器は、通常、前方衝突用エアバッグ装置に使用される。図1に示すガス発生器1は、ガス放出孔6が複数個設置された金属製容器からなるハウジング2を備え、該ハウジング2により外殻が形成されている。また、該ハウジング2の内部には、点火装置3、フィルター5が装備され、ガス発生剤4が充填されている。上記点火装置3の近接部には、点火室7が設置されおり、通常、点火装置3から発生する点火炎をガス発生剤4に伝達するエンハンサー剤(伝火薬)が充填されている。なお、本発明のガス発生剤組成物は、着火性に優れるため、エンハンサー剤が不要又は少量化することが可能となる。従って、点火室7が不要であったり、小容積化することが可能であるため、ガス発生器の小型化、軽量化及び低コスト化を達成することができる。
【0046】
図2は、本発明のガス発生器の他の例の断面図であり、該ガス発生器は、長尺筒状のハウジングを備えており、側突用エアバック装置に好適に使用される。なお、ここでいう長尺とは、長さ(L)と断面の径(D)の比(L/D)が3以上であることを意味し、また、断面の形状が円以外の場合は、面積円相当径をDとする。また、長尺筒状のハウジングの断面形状には、例えば、三角形、四角形、台形、円形、楕円形等がある。図2に示すガス発生器11は、ガス放出孔16が複数個設置された金属製容器からなる長尺筒状ハウジング12を備え、該ハウジング12により外殻が形成されている。また、該ハウジング12の内部には、点火装置13、フィルター15が装備され、ガス発生剤14が充填されている。上記点火装置13の近接部には、点火室17が設置されおり、通常、点火装置13から発生する点火炎をガス発生剤14に伝達するエンハンサー剤(伝火薬)が充填されている。なお、本発明のガス発生剤組成物は、着火性に優れるため、エンハンサー剤が不要又は少量化することが可能となる。従って、点火室17が不要であったり、小容積化することが可能であるため、ガス発生器の小型化、軽量化及び低コスト化を達成することができる。また、図2に示すガス発生器11は、図1に示すガス発生器1に比べて小型化が容易であり、車両内の設置スペースが小さい場所で使用されるエアバック用ガス発生器として好適である。その上、本発明のガス発生器は優れた応答性を示すため、図2に示すガス発生器11は、側突用、下肢部保護用又はシート座面上昇用エアバッグ装置用ガス発生器として特に好適である。
【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各試験は以下の方法で行った。
【0048】
1.粒度測定法
レーザー回折・散乱法式粒度測定装置(日機装株式会社製 マイクロトラック MT3300II)を用いて、50%粒径を測定した。なお、50%粒径とは、上述の通り、測定粒子数基準の50%粒径を指す。
【0049】
2.耐環境試験(高温安定性試験)
ガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)をアルミ容器に入れて密封した後、107℃に調温された恒温槽に入れて放置した。その後、任意の時間でガス発生剤を取り出し、ガス発生剤の重量減少率を測定し、分解の有無について確認した。
【0050】
3.燃焼性試験(18ccタンク試験)
ガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)2.0gを容積18ccの燃焼用密閉容器に充填してガス発生剤を燃焼させ、最大到達圧力及び最大圧力への到達時間を計測した。また、この計測値に基づき、圧力発生速度を求めた。
【0051】
4.排ガス測定(18ccタンク試験)
18ccタンク試験後、タンク内のガスをテドラーバックに回収し、ガステック製検知管を用いて生成ガス成分の濃度分析を実施した。
【0052】
5.燃焼性試験(28.3Lタンク試験)
ガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)9.9gを、長尺筒状のハウジングを備えたガス発生器に充填し、28.3Lタンク試験を実施し、圧力−時間曲線を計測した。
【0053】
6.着火性試験
ガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)0.5gを大気中でバーナーにより着火し、ガス発生剤が着火し燃焼するかどうかについて確認した。
【0054】
(実施例1)
硝酸グアニジン55質量部、塩基性硝酸銅40質量部、50%粒径が19.84μmの過塩素酸カリウム5質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、更に0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、次いで、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。その後、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で10時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0055】
(実施例2)
硝酸グアニジン56質量部、塩基性硝酸銅34質量部、50%粒径が19.84μmの過塩素酸カリウム10質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で10時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0056】
(実施例3)
硝酸グアニジン45質量部、塩基性硝酸銅31.2質量部、50%粒径が19.84μmの過塩素酸カリウム15質量部、ポリビニルピロリドン1.4質量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2.2質量部、高分散シリカ0.4質量部、酸性白土4.8質量部を混合し、次いで、水16質量部、変性エタノール3質量部を添加し、万能混合機で混練した。その後、押出機にて直径φ1.5mm、長さ2.5mmの円柱物に成形した後、55℃で8時間、110℃で8時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0057】
(実施例4)
硝酸グアニジン55質量部、塩基性硝酸銅40質量部、50%粒径が14.89μmの過塩素酸カリウム5質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で10時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0058】
(実施例5)
硝酸グアニジン55質量部、塩基性硝酸銅40質量部、50%粒径が44.41μmの過塩素酸カリウム5質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で10時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0059】
(実施例6)
硝酸グアニジン56質量部、塩基性硝酸銅34質量部、50%粒径が19.84μmの過塩素酸カリウム10質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径3.2mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で10時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0060】
(実施例7)
硝酸グアニジン56質量部、塩基性硝酸銅34質量部、50%粒径が19.84μmの過塩素酸カリウム10質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径2.5mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で10時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0061】
(比較例1)
硝酸グアニジン53質量部、塩基性硝酸銅47質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液12質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で熱処理をして比較例用のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0062】
(比較例2)
硝酸グアニジン55質量部、塩基性硝酸銅40質量部、50%粒径が194.4μmの過塩素酸カリウム5質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0063】
(比較例3)
硝酸グアニジン40.2質量部、塩基性硝酸銅51質量部、ポリビニルピロリドン1.4質量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2.2質量部、高分散シリカ0.4質量部、酸性白土4.8質量部を混合し、次いで、水16質量部、変性エタノール3質量部を添加し、万能混合機で混練した。その後、押出機にて直径φ1.5mm、長さ2.5mmの円柱物に成形した後、55℃で8時間、110℃で8時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0064】
(比較例4)
硝酸グアニジン59質量部、塩基性硝酸銅21質量部、50%粒径が19.84μmの過塩素酸カリウム20質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0065】
(比較例5)
硝酸グアニジン55質量部、塩基性硝酸銅40質量部、50%粒径が92.73μmの過塩素酸カリウム5質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で10時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0066】
(比較例6)
硝酸グアニジン55質量部、塩基性硝酸銅40質量部、50%粒径が144.8μmの過塩素酸カリウム5質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で10時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0067】
(比較例7)
硝酸グアニジン55質量部、塩基性硝酸銅40質量部、50%粒径が222.9μmの過塩素酸カリウム5質量部、高分散シリカ0.4質量部を混合し、次いで、0.6質量%のポリビニルアルコール水溶液11質量部を噴霧添加し、その後、90℃で5時間熱処理して顆粒を作製した。次に、ステアリン酸マグネシウム0.4質量部を添加し、直径4.0mm、厚さ1.50mmの円柱物に成形した後、110℃で10時間熱処理して本発明のガス発生剤組成物の成形体(ガス発生剤)を得た。
【0068】
<試験例1.耐環境試験(高温安定性試験)>
実施例2のガス発生剤組成物の成形体を、107℃にて400時間、800時間、1200時間の耐環境試験に投入した。初期重量及び試験後重量から算出した重量減少率を表1に示す。実施例2の重量減少率は1%以下であり、高温条件下における分解はほとんどなくガス発生剤として容認できる性能であることを確認できる。また、この耐環境試験に供した実施例2のガス発生剤について、上記燃焼性試験(18ccタンク試験)にて性能評価を行なった。その結果を表2に示す。耐環境試験を経た実施例2のガス発生剤は、最大到達圧力(PMax)及び最大圧力への到達時間(tPmax)、並びに圧力発生速度(dP/dt)が、初期と比較して変化しておらず、高温安定性に優れていることが分かる。
【0069】
【0070】
【0071】
<試験例2.燃焼性試験(18ccタンク試験)>
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2のガス発生剤組成物成形体について、18ccタンク試験を実施した。その結果を表3に示す。実施例1及び実施例2は、比較例1より最大圧力到達時間(tPmax)が短く、圧力上昇速度(dP/dt)も高い値を示しており、燃焼速度が速くなっていることが分かる。また、50%粒径が異なる過塩素酸カリウムを使用した実施例1と比較例2の比較では、実施例1の方が、最大圧力到達時間(tPmax)が短く、圧力上昇速度(dP/dt)も大きいことから、燃焼速度が速くなっていることを確認できる。また、最大到達圧力(Pmax)も、実施例1の方が比較例2より高くなることが確認できる。
【0072】
【0073】
<試験例3.排ガス測定(18ccタンク試験)>
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2のガス発生剤組成物成形体について、18ccタンク試験後の排ガスを回収し、燃焼後の発生ガス分析を実施した。その結果を表4に示す。実施例1は、発生ガス成分の全てにおいて比較例1及び比較例2より発生量が少ないことを確認できる。また、実施例2においても、実施例1と同程度の結果が得られることが分かる。なお、全てのガス発生剤において塩化水素の生成は認められない。
【0074】
【0075】
<試験例4.燃焼性試験(28.3Lタンク試験)>
実施例3及び比較例3のガス発生剤組成物成形体について、28.3Lタンク試験を実施した。通常、ガス発生器には点火具からの火炎を増幅させるエンハンサー剤が使用されているが、この実験では、エンハンサー剤を取り除いた仕様で行った。その結果を図3に示す。実施例3は、エンハンサー剤がなくても着火しタンク圧を上昇させているが、比較例3では、着火が起きていないことが分かる。このことから、実施例3のガス発生剤は、着火性に優れることが分かる。また、得られた圧力−時間曲線の結果から、実施例3のガス発生剤が、優れた応答性と十分なガス発生特性とを有することは明らかである。
【0076】
<試験例5.着火性試験>
実施例1、実施例2、実施例3及び比較例4のガス発生剤組成物成形体について、バーナーを用いた着火性試験を実施した。その結果を表5に示す。比較例4のガス発生剤は、酸化剤成分中に占める過塩素酸カリウムの含有量が高過ぎるため、自立燃焼が困難になることが分かる。
【0077】
【0078】
<試験例6.燃焼性試験(18ccタンク試験);過塩素酸カリウム粒径の影響>
過塩素酸カリウム(PP)の50%粒径が異なる実施例1、実施例4、実施例5及び比較例5〜7のガス発生剤組成物成形体について、18ccタンク試験を実施した。その結果を表6に示す。使用した過塩素酸カリウムの50%粒径が小さい程、最大圧力到達時間(tPmax)が速く、圧力上昇速度(dP/dt)が大きくなる傾向を示しており、燃焼速度が速くなることが分かる。その上、50%粒径が小さい程、最大到達圧力(PMax)も大きくなる傾向を示す。これらの例では、酸化剤成分中に占める過塩素酸カリウムの含有量が同一であるため、過塩素酸カリウムの50%粒径を小さくすることで、ガス発生剤の性能向上が達成できることが明らかとなる。また、50%粒径が50μm以下の過塩素酸カリウムを用いることにより、ガス発生剤の燃焼性を向上できることが分かる。
【0079】
【0080】
<試験例7.燃焼性試験(18ccタンク試験);ガス発生剤組成物の成形体形状の影響>
本発明のガス発生剤組成物の成形体において、成形体の形状が燃焼性に与える影響を検証するため、打錠成形体の直径が異なる実施例2、実施例6及び実施例7のガス発生剤組成物の成形体について、18ccタンク試験を実施した。結果を表7に示す。実施例2、実施例6及び実施例7は、同一の組成であるにもかかわらず、直径が小さい程、最大圧力到達時間(tPmax)が短くなるため、最大到達圧力(PMax)の差異は認められないが、結果として、圧力上昇速度(dP/dt)が速くなることが分かる。
【0081】
<試験例8.嵩密度測定;ガス発生剤組成物の成形体形状の影響>
実施例2、実施例6及び実施例7のガス発生剤組成物の成形体について、容積100ccの円筒容器を用いて、成形体の嵩密度の測定を行った。測定結果を表7に示す。ガス発生剤の直径が小さい程、嵩密度が高くなることが分かる。
【0082】
【0083】
ガス発生剤組成物の成形体形状に関する試験例7及び試験例8の結果から、本発明に係るガス発生剤組成物の成形体は、円柱直径が小さい程、圧力上昇速度が速く、燃焼性を向上できることが分かる。この理由は解明されていないが、成形体の直径が小さい程、ガス発生剤単位質量当たりのガス発生剤表面積が大きいため、燃焼性の向上に寄与するものと予想される。
【0084】
更に、本発明のガス発生剤組成物の円柱状成形体においては、直径が小さい程、嵩密度が大きくなるという結果が得られた。これは、該ガス発生剤のガス発生器への充填性が向上することを示すものであるため、単位容積当たりのガス発生剤の充填量を増加でき、ガス発生器の高出力化を達成できるという効果を奏する。また、本発明のガス発生剤組成物の円柱状成形体の直径を小さくすれば、充填性が向上する上、応答性に優れるため、ガス発生器へガス発生剤を充填する容積を小さくすることが可能であり、ガス発生器の小型化を達成できるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のガス発生剤組成物は、着火性及び燃焼性に優れるため、燃焼起動のための電気信号に迅速に呼応し、速やかに着火して大量の燃焼ガスは発生させるものであり、該電気起信号の発信から生成ガスの最大圧力に到達するまでの時間を極めて短くすることができる。このため、優れた応答性が望まれる車両搭乗者安全装置用ガス発生器への使用に好適で、特には、側突用、下肢部保護用又はシート座面上昇用エアバッグ装置用ガス発生器への使用に好適である。
【符号の説明】
【0086】
1,11 ガス発生器
2,12 ハウジング
3,13 点火装置
4,14 ガス発生剤
5,15 フィルター
6,16 ガス放出孔
7,17 点火室
図1
図2
図3