(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明に係る情報記録媒体用ガラス基板の一実施形態を示す断面図である。
【0025】
情報記録媒体用のガラス基板1は、中心に貫通孔20が形成されたドーナツ状の円板形状をしている。貫通孔20は、ガラス基板1を回転軸6(
図1には図示せず)に固定して当該中心の周りにガラス基板1を回転させるために使用される。ガラス基板1は、主表面10a及び主表面10bの貫通孔20の周縁部を両側から挟み込んで回転軸6と固定される。ガラス基板1の主表面10a及び主表面10bは平滑な面である。
【0026】
図1に示すように、ガラス基板1の断面は、貫通孔20から外側面40に向かって主表面10a及び主表面10bの貫通孔20近傍が凸状に反った形状に形成されている。
【0027】
なお、ガラス基板1の主表面10bを紙面上側に、主表面10aを紙面下側になるようにして用いることもできるので、その場合ガラス基板1の断面は、貫通孔20近傍が凹状に反っていることになる。
【0028】
このようにガラス基板1は製造時から反っているので、後の工程で主表面10a及び主表面10bの貫通孔20の周縁部を両側から挟み込んで回転軸6と固定する際に締め付けることにより逆方向の反りを発生させてガラス基板1を平坦にすることができる。ガラス基板1は、基板の反りの方向が回転軸6と固定する際に発生する反りと反対方向になるように回転軸6に取り付ける。
【0029】
図2(a)は、干渉計を用いて主表面10aにレーザー光を照射して発生させた干渉縞の一例である。
図2(b)は、ガラス基板1の断面であり、Wは反りを示す。
【0030】
図2(a)のe1、e2、e3は干渉縞の暗くなっている部分であり、主表面10aの等高線に相当する。
図2(a)に示す例では、等高線e1、e2、e3は、何れも同心円でありその間隔は等間隔である。また、主表面10bにレーザー光を照射して干渉縞を発生させても同様に3つの等高線が発生する。その等高線は、何れも同心円であり間隔は等間隔である。
【0031】
このように、主表面10a及び主表面10bを、等高線が同心円でありその間隔が等間隔になるような形状にすると、主表面10a及び主表面10bの貫通孔20の周縁部を両側から挟み込んで回転軸6と固定することによってガラス基板1をより平坦にすることができる。
【0032】
図3は、本発明に係る情報記録媒体の一例である磁気ディスク5の断面図である。磁気ディスク5は、円形のガラス基板1の主表面10aに磁性膜11aが、主表面10bに磁性膜11bが直接形成されている。なお、本実施形態では磁気ディスク5の両面に磁性膜11を形成した例を説明するが、磁性膜11は、主表面10aまたは主表面10bの何れか一方の上だけに設けても良い。
【0033】
また、本発明のガラス基板1は、光磁気ディスク用などのガラス基板としても利用できる。
【0034】
図4は、磁気ディスク5が装着された、本発明に係る情報記録装置の一例であるランプロード方式のハードディスク装置200の上視図である。
図5は、ハードディスク装置200の動作例を示す要部斜視図であり、記録再生ヘッド53を支持するサスペンション54をランプ51の摺動面51a上に退避させた状態を示す。
【0035】
図4、
図5に示すように、本実施形態のハードディスク装置200は、記録再生ヘッド53を支持するサスペンション54、サスペンション54を固定するアーム37を備えている。アーム37は、ピボット38を軸に筐体501に対して回転可能に取り付けられ、ピボット38を挟んでサスペンション54と反対側に設けられているボイスコイルモータ(不図示)によって回転駆動される。
【0036】
リフトタブ52は、サスペンション54の先端に設けられる突起で、記録再生ヘッド53より先端側に位置する。ランプ51は、リフトタブ52が接触する摺動面51aを有し、リフトタブ52がランプ51の摺動面51aに接触している間は、2枚のサスペンション54の間隔が規制され、記録再生ヘッド53同士の接触及び記録再生ヘッド53と磁気ディスク5の接触が防止される。
【0037】
記録再生ヘッド53は、磁気ディスク5の回転によって発生する空気流で磁気ディスク5の面上より浮上する。このため、記録再生ヘッド53を磁気ディスク5の面上へロードさせるときは、記録再生ヘッド53が磁気ディスク5の面上に到達するまで、ランプ51でリフトタブ52を支持する必要がある。また、記録再生ヘッド53を磁気ディスク5の外側へアンロードさせるときは、記録再生ヘッド53が磁気ディスク5の外側に出る前に、ランプ51でリフトタブ52を支持する必要がある。
【0038】
すなわち、
図5に示すように、記録再生ヘッド53が磁気ディスク5の外周付近の面上に位置する状態で、ランプ51でリフトタブ52を支持する必要がある。ここで、記録再生ヘッド53が磁気ディスク5の面上に位置する状態では、リフトタブ52も磁気ディスク5の面上に位置するので、リフトタブ52とランプ51の接触点は磁気ディスク5の面上になければならず、したがってランプ51の先端部は磁気ディスク5の面上に被った位置に配置する必要がある。通常、一枚の磁気ディスク5に対して記録再生ヘッド53は両面分の2個設けられるから、
図5に示すように、ランプ51の先端部51b、51cは磁気ディスク5を挟むようにカラス口状に形成されている。このようなランプは、樹脂材料を成型して製造することができる。
【0039】
磁気ディスク5と対向する側に環状の突起部が設けられたクランプ治具2は、
図4のようにビス3によって図示せぬ磁気ディスク駆動用モータの回転軸6に固定され、
図4には図示せぬリング状治具7との間に磁気ディスク5を挟み込んで回転軸6と固定している。
【0040】
次に、
図6、
図7を用いて磁気ディスク5を回転軸6に固定することによる反りの変化を説明する。
【0041】
図6は、磁気ディスク5を回転軸6に固定する状態を示す模式的な断面図、
図7は、回転軸6に固定する際に、平坦な磁気ディスク59に反りの発生する原因を説明するための断面図である。
【0042】
最初に、
図7を用いて、従来の平坦な磁気ディスク59をハードディスク装置200の回転軸6に固定する際に反りの発生する現象を説明する。
【0043】
図7(a)は、回転軸6にリング状治具7、平坦な磁気ディスク59の順に挿入し、クランプ治具2をビス3でこれから締め付ける状態を示している。なお、回転軸6の軸中心には、ビス3と螺合するネジ穴が設けられている。図中、矢印Aで示す点は、クランプ治具2の環状の突起部2aが磁気ディスク59に当接する点、矢印Bで示す点は、リング状治具7の最外周で磁気ディスク59に当接する点、矢印Cで示す点は、磁気ディスク59の最外周の厚みの中心である。Lcは点Cまでの径である。
図7(a)の例では、クランプ治具2の環状の突起部2aの径Laはリング状治具7の外径Lbより小である。
【0044】
図7(b)は、ビス3を締めてリング状治具7とクランプ治具2との間に磁気ディスク59を所定の圧力で挟み込んだ状態である。ビス3を締めると図中Aで示すクランプ治具2の突起部2aと磁気ディスク59の当接部から磁気ディスク59に圧力が加わる。この圧力により、磁気ディスク59の先端は、
図7(b)のようにクランプ治具2側に反ってしまう。
図7(b)では、
図7(a)の平坦な状態の磁気ディスク59の厚みの中心線Sから反り量αだけクランプ治具2側に磁気ディスク59が反っている状態を示している。なお、反り量αはクランプ治具2側方向(紙面上方向)への反りを正方向とし、リング状治具7側方向(紙面下方向)への反りを負方向とする。
【0045】
次に、クランプ治具2の環状の突起部2aの径Laがリング状治具7の外径Lbより大の場合の例を説明する。
【0046】
図7(c)は、回転軸6にリング状治具7、平坦な磁気ディスク59の順に挿入し、クランプ治具2を回転軸6の軸中心に設けられたネジにビス3をこれから締め付ける状態を示している。
図7(c)の例では、クランプ治具2の環状の突起部2aの径Laはリング状治具7の外径Lbより大である。
【0047】
図7(d)は、ビス3を締めてリング状治具7とクランプ治具2との間に磁気ディスク59を所定の圧力で挟み込んだ状態である。ビス3を締めると図中Aで示すクランプ治具2の突起部2aと磁気ディスク59の当接部から磁気ディスク59に圧力が加わる。
図7(d)のクランプ治具2とリング状治具7は、
図7(b)の場合と違ってLa>Lbなので、磁気ディスク59は、この圧力により図中Bで示すリング状治具7の先端部分から折れ曲がるようにリング状治具7側方向に反ってしまう。
図7(d)では、
図7(c)の平坦な状態の磁気ディスク59の厚みの中心線Sから反り量−αだけリング状治具7側方向に磁気ディスク59が反っている状態を示している。
【0048】
次に、
図6について説明する。
図6は、クランプ治具2の環状の突起部2aの径Laは、
図7(a)、(b)のようにリング状治具7の外径Lbより小の例である。また、ランプ51の先端部51b、51cの間隔はDである。
【0049】
図6(a)、(b)は本発明の実施形態であり、
図6(a)は、
図3に示す磁気ディスク5を断面が凸状になるように回転軸6に挿入した状態、
図6(b)は、ビス3を締め付けてリング状治具7とクランプ治具2との間に磁気ディスク5を所定の圧力で挟み込んだ状態である。
【0050】
図6(c)、(d)は従来例であり、
図6(c)は、平坦な磁気ディスク59を回転軸6に挿入した状態、
図6(d)は、ビス3を締め付けてリング状治具7とクランプ治具2との間に磁気ディスク59を所定の圧力で挟み込んだ状態である。
【0051】
図6(e)、(f)は比較例であり、
図6(e)は、
図3に示す磁気ディスク5を断面が凹状になるように回転軸6に挿入した状態、
図6(f)はビス3を締め付けてリング状治具7とクランプ治具2との間に磁気ディスク5を所定の圧力で挟み込んだ状態である。
【0052】
図6(a)のように断面が凸状に反った状態で本発明の磁気ディスク5を回転軸6に挿入し、ガラス基板1の厚みに応じた圧力にビス3を締め付けると、
図6(b)のように磁気ディスク5の反りは矯正され、平坦な状態にすることができる。このことにより、磁気ディスク5の外周部はランプ51の先端部51b、51cと等間隔になり、磁気ディスク5がランプ51と衝突して破損する確率を減らすことができる。
【0053】
なお、ガラス基板1の厚みは0.78mm〜2.2mmの範囲にすることが好ましい。ガラス基板1の厚みが2.2mmを越えると、所定の圧力で挟み込んでもガラス基板1の反りはほとんど発生しないので、予め反りを設けなくても良い。しかし、基板の厚みが厚いとガラス基板1とランプ51の先端部51b、51cとの間隔が狭くなり、ランプ51と衝突して破損する確率が増すので、厚みは2.2mm以下にすることが望ましい。
【0054】
また、ガラス基板1の厚みが0.78mm未満では、所定の圧力で挟み込むとガラス基板1が大きく反るので、予め反り量の大きなガラス基板1を作製する必要がある。ところが、基板の厚みが薄く、反り量の大きなガラス基板1は良品率が低くなるので厚みは0.78mm以上にすることが望ましい。
【0055】
また、貫通孔20の近傍における主表面10の周方向TIR(Total Indicated Runout)は0.7μm以下であることが望ましい。
【0056】
TIRとは、ガラス基板1の平坦度(うねり量)を表す指標であり、評価面(主表面10a、10b)の最小二乗平面から最高点までの距離と、最小二乗平面から最低点までの距離との合計のことである。本実施形態において、周方向TIRは、ランプ治具2の環状の突起部2aが当接する貫通孔20の近傍の位置における周方向1周分のTIRをいう。
【0057】
貫通孔20の近傍はクランプ治具2の環状の突起部2aが当接するので、周方向TIRが0.7μmより大きいガラス基板1を用いた磁気ディスク5では、クランプ治具2の突起部2aと磁気ディスク5表面の接触が均一にならず、不連続な線接触となってしまう。その結果、クランプ後の磁気ディスク5表面の形状は断面方向によって異なる形状となってしまう。
【0058】
周方向TIRが0.7μm以下のガラス基板1を用いた磁気ディスク5の場合は、クランプ治具2の突起部2aと磁気ディスク5の表面の接触がほぼ均一な円周状になるので、クランプ後の磁気ディスク5の表面の形状は、どの断面においてもほぼ同等になる。したがって、磁気ディスク59がランプ51と衝突して破損する確率を減らすことができる。
【0059】
このような周方向のTIRは、白色光の干渉を利用して表面形状を測定する方式(例えば、Phase Shift Technology社製Optiflat)や、被測定面に対して斜めにレーザー光を入射することで垂直入射方式に比べ高い反射率を得ることができ、粗い面形状においても測定が可能な方式(例えば、TROPEL社製FlatMaster FM100XRA)などにより測定すればよい。
【0060】
またさらに、ビス3を締め付ける前の記録媒体の反り量の絶対値α1、ビス3を締め付けて回転軸6に固定した状態での反りの矯正量の絶対値をα2としたときα1≧α2を満たすことが望ましい。
【0061】
α1<α2の場合では突起部2a近傍のガラス基板1の内部歪が大きくなり、落下衝撃時にドライブ回転軸から伝わる振動をきっかけとしてガラス基板1が割れやすい。
【0062】
ヤング率Eが84GPa未満の場合は、磁気ディスク5を回転軸6に固定するために所定の圧力で挟み込むと、α1<α2となる傾向があるため、情報記録媒体用のガラス基板1のヤング率E(GPa)は84以上にすることが好ましい。
【0063】
一方、従来の平坦な磁気ディスク59を用いた
図6(d)の場合は、クランプ治具2の環状の突起部2aの径Laは、リング状治具7の外径Lbより小なので、ビス3を締めると
図7(b)と同様に磁気ディスク59は紙面上向き方向に反ってしまう。そのため、磁気ディスク59の外周部はランプ51の先端部51bと近づき、磁気ディスク59がランプ51と衝突して破損する確率が高くなる。
【0064】
また、
図6(e)のように断面が凹状に反った状態で磁気ディスク5を回転軸6に挿入し、ビス3を締め付けると、
図6(f)のように磁気ディスク5の反りはさらに大きくなってしまう。このように磁気ディスク5の挿入方向を間違えると、磁気ディスク5の外周部はランプ51の先端部51bとさらに近づき、磁気ディスク59がランプ51と衝突して破損する確率が非常に高くなる。
【0065】
なお、クランプ治具2の環状の突起部2aの径Laがリング状治具7の外径Lbより大の場合は、磁気ディスク5を断面が凹状に反るように回転軸6に挿入し、ビス3を締め付けると、反りを矯正することができる。
【0066】
次に、第2の実施形態の情報記録媒体用ガラス基板について説明する。
【0067】
図8は本発明に係る情報記録媒体用ガラス基板の第2の実施形態を示す断面図である。
図9は、
図8に示すガラス基板1から作製した磁気ディスク5を回転軸6に固定する状態を示す模式的な断面図である。
図9に示すクランプ治具2の環状の突起部2aの径Laは、
図7(a)、(b)のようにリング状治具7の外径Lbより小になっている。
【0068】
情報記録媒体用のガラス基板1の全体構成は円盤状のものであり、中心部に貫通孔20があけてある。
図1の実施形態と同様に、貫通孔20は、ガラス基板1を回転軸6に固定して当該中心の周りにガラス基板1を回転させるために使用される。ガラス基板1の主表面10a及び主表面10bは平滑な面である。
【0069】
図8に示すように、ガラス基板1の断面は、貫通孔20から外側面40に向かって凸状に反るとともに、貫通孔20から外側面40に向かって厚みが全体的に薄肉になるように、主表面10a、10bがわずかに傾斜している。
【0070】
図9(a)は、このようなガラス基板1から作製した磁気ディスク5を回転軸6に挿入した状態、
図9(b)は、ビス3を締め付けてリング状治具7とクランプ治具2との間に磁気ディスク5を所定の圧力で挟み込んだ状態である。
【0071】
図9(a)のように凸状に反った状態で第2の実施形態の磁気ディスク5を回転軸6に挿入し、ガラス基板1の厚みに応じた圧力でビス3を締め付けると、
図9(b)のように磁気ディスク5の反りは矯正され、平坦な状態にすることができる。
【0072】
第2の実施形態では、主表面10a、10bが中央部から外側面40に向かって先細に全体的に傾斜していることにより、
図6(b)の第1の実施形態の場合よりも磁気ディスク5の外周部とランプ51の先端部51b、51cとの間隔x
1、x
2を均等に広くすることができる。また、主表面10aから外側面40への接続をよりなだらかにできるので、応力集中がより発生しにくくなる。これらにより、磁気ディスク59がランプ51と衝突して破損する確率をさらに減らすことができる。
【0073】
<ガラス基板の製造工程>
次に、ガラス基板1の製造工程について説明する。
【0074】
ガラス基板1の大きさに特に限定はない。例えば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチなど種々の大きさのガラス基板1がある。ガラス基板1の厚みは、0.78mm〜2.2mmの範囲が好ましい。
【0075】
図10は、本発明に係るガラス基板の製造方法の一例の製造工程図である。
図10を用いて、実施形態のガラス基板の製造工程について詳しく説明する。
【0076】
(ガラス溶融工程)
最初に、ガラス素材を溶融する。
【0077】
ガラス基板の材料としては、特に制限はない。例えば、SiO
2、Na
2O、CaOを主成分としたソーダライムガラス;SiO
2、Al
2O
3、R
2O(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラス;ボロシリケートガラス;Li
2O−SiO
2系ガラス;Li
2O−Al
2O
3−SiO
2系ガラス;R’O−Al
2O
3−SiO
2系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)などを使用することができる。中でも、アルミノシリケートガラスやボロシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるため特に好ましい。
【0078】
(プレス成形工程)
溶融ガラスを下型に流し込み、上型によってプレス成形して円板状のガラス基板前駆体を得る。なお、円板状のガラス基板前駆体は、プレス成形によらず、例えばダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよい。
【0079】
(コアリング加工工程)
プレス成形したガラス基板前駆体は、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリル等で中心部に孔を開ける。
【0080】
(第1ラッピング工程)
次に、ガラス基板の両表面をラッピング加工し、ガラス基板の全体形状、すなわち
図1に示すガラス基板の形状および厚みを予備調整する。
【0081】
(内・外径加工工程)
次に、ガラス基板の外周端面および内周端面を、例えば鼓状のダイヤモンド等の研削砥石により研削することで内・外径加工する。この内・外径加工により、ガラス基板の外径寸法および真円度、貫通孔の内径寸法、並びにガラス基板と貫通孔との同心度を微調整し、また、ガラス基板の内・外周角部を、例えば、0.1mmから0.2mm程度の45°の面取りをする。
【0082】
(内周端面加工工程)
この後、ガラス基板の内周端面を、研磨液を使用したブラシ研磨により面取り部の角部を曲面とし、また微細なキズ等を除去する。
【0083】
(第2ラッピング工程)
次に、ガラス基板の両表面を再びラッピング加工して、ガラス基板の平行度、平坦度および厚みを微調整する。
【0084】
(外周端面加工工程)
そして、ガラス基板の外周端面を、研磨液を使用したブラシ研磨により面取り部の角部を曲面とし、また微細なキズ等を除去する。
【0085】
なお、コアリング加工以降の第1ラッピング工程から外周端面加工工程までの順序は、
図10に示したものに限定されず、状況に応じて適宜変更することができる。例えば、ラッピング工程を一つにして最初に行い、その後、内・外径加工工程、内周、外周端面加工工程を行っても良い。また、第1ラッピング工程、内・外径加工工程の後、第2ラッピング工程、内周、外周端面加工工程を行っても良い。
【0086】
第1及び第2ラッピング工程にてガラス基板をラッピングする研磨機について説明する。研磨機は、例えばオスカー研磨機と呼ばれる公知の研磨機を使用することができる。
【0087】
図11は、オスカー研磨機の下研磨皿13にガラス基板1を載置した状態を示す説明図、
図12は、オスカー研磨機の横断面図、
図13は、左右に揺動する上研磨皿14を説明するためのオスカー研磨機の上視図である。
【0088】
オスカー研磨機は、上研磨皿14と下研磨皿13の間に研磨対象物であるガラス基板1をはめ込み治具12に置いた状態で、下研磨皿13を矢印Uで示すように自転させ上研磨皿14を
図13のように左右に揺動させる。
図13(a)は、上研磨皿14が下研磨皿13の左側に移動した状態、
図13(b)は、上研磨皿14が下研磨皿13と重なる位置に移動した状態、
図13(c)は、上研磨皿14が下研磨皿13の右側に移動した状態である。
【0089】
オスカー研磨機のこのような動作により、研磨対象物であるガラス基板1に上研磨皿14と下研磨皿13の形状を転写するように研磨することができる。さらに、条件によっては連れ回りする研磨対象物の自転を促すことができる。自転させることにより、
図1のような点対称形状のガラス基板1を製造することができる。
【0090】
このような動作している研磨機において、研削液を上研磨皿14とガラス基板1及びが下研磨皿13とガラス基板1との間に供給することでガラス基板1のラッピングを行うことができる。
【0091】
(第1ポリッシュ研磨工程)
次に、研磨工程に関して説明する。研磨工程では、ガラス基板の表面を精密に仕上げるとともに主表面の外周端部の形状を所望の形状に研磨する。
【0092】
まず、第1ポリッシュ研磨工程では、第2ポリッシュ研磨工程で最終的に必要とされる面粗さを効率よく得ることができるように、面粗さを向上させるとともに最終的に所望の形状を効率よく得ることができる研磨を行う。
【0093】
研磨の方法は、ラッピング工程で使用した研削液に代えて、研磨液を使用する以外は第1及び第2ラッピング工程で使用した研磨機と同一の構成の研磨機を使用する。
【0094】
(第1洗浄工程)
公知の超音波洗浄機を用いてガラス基板を洗浄し、第1ポリッシュ研磨工程で付着した研磨剤等を除去する。洗浄液には純水などを用いることができる。
【0095】
(予熱工程)
次の化学強化工程で300℃〜400℃に加熱された化学強化処理液に浸漬する前に、予熱槽でガラス基板を所定温度に加熱する。予熱温度は例えば200℃以上である。
【0096】
予熱工程で加熱することにより、加熱された化学強化処理液に浸漬される際の熱衝撃によるガラス基板の割れや微細なクラックの発生を防止することができる。なお、化学強化工程でガラス基板の割れや微細なクラックが発生するおそれが無い場合は、本工程を省略することもできる。
【0097】
(化学強化工程)
第2ポリッシュ研磨工程の前に、化学強化液にガラス基板を浸漬してガラス基板に化学強化層を形成する。化学強化層を形成することでガラス基板の表面状態を改善するとともに、耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
【0098】
化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス基板を浸漬することによってガラス基板に含まれるリチウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンによって置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の表面が強化される。
【0099】
化学強化処理液に特に制限はなく、公知の化学強化処理液を用いることができる。通常、カリウムイオンを含む溶融塩又はカリウムイオンとナトリウムイオンを含む溶融塩を用いることが一般的である。カリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融塩としては、カリウムやナトリウムの硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩やこれらの混合溶融塩が挙げられる。中でも、融点が低く、ガラス基板の変形を防止できるという観点からは、硝酸塩を用いることが好ましい。
【0100】
化学強化処理液は、上記の成分が融解する温度よりも高温になるよう加熱される。一方、化学強化処理液の加熱温度が高すぎると、ガラス基板の温度が上がりすぎ、ガラス基板の変形を招く恐れがある。このため、化学強化処理液の加熱温度はガラス基板のガラス転移点(Tg)よりも低い温度が好ましく、ガラス転移点−50℃よりも低い温度とすることが更に好ましい。
【0101】
化学強化層の厚みとしては、ガラス基板の強度向上と研磨工程の時間の短縮との兼ね合いから、5μm〜15μm程度の範囲が好ましい。強化層の厚みがこの範囲の場合、平坦度、機械的強度である耐衝撃性が良好なガラス基板とすることができる。
【0102】
化学強化工程後の主表面10aの外周端部の形状は、化学強化工程前とほとんど変わらず、上記の5μm〜15μm程度の化学強化層がガラス基板の表面全体にほぼ一様に載った状態となる。
【0103】
(第2ポリッシュ研磨工程)
第2ポリッシュ研磨工程は、第1ポリッシュ研磨工程後のガラス基板の表面を更に精密に研磨する工程である。第2ポリッシュ研磨工程で使用するパッドは、第1ポリッシュ研磨工程で使用するパッドより柔らかい軟質パッド、例えば発泡ウレタンやスウェードを使用するのが好ましい。研磨剤としては、第1ポリッシュ研磨工程と同様の酸化セリウム、コロイダルシリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化マンガン等を用いることができるが、ガラス基板の表面をより滑らかにするため、粒径がより細かくバラツキが少ない研磨剤を用いるのが好ましい。
【0104】
(第2洗浄工程)
(検査工程)
第2ポリッシュ研磨工程の終了後、ガラス基板の洗浄及び検査を行い、ガラス基板が完成する。
【0105】
なお、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、上記以外の種々の工程を有していても良い。例えば、ガラス基板の内部歪みを緩和するためのアニール工程、ガラス基板の強度の信頼性確認のためのヒートショック工程、種々の検査・評価工程等を有していても良い。
【0106】
また、第2ポリッシュ研磨工程では、第1ポリッシュ研磨工程で使用した研磨機をそのまま用いるのではなく、同一構成ではあるがそれぞれの工程専用に用意された別の研磨機を用いて研磨を行うのが好ましい。これは、第1ポリッシュ研磨工程で使用した研磨機をそのまま用いると第1ポリッシュ研磨工程で残留した研磨剤等により第2ポリッシュ研磨工程での研磨精度が低下したり、研磨条件を再設定する等の煩雑な作業が必要となり、製造効率が低下するためである。
【0107】
(ガラス基板の厚みを内周から外周にかけて薄くする工程)
第2の実施形態では、本工程を行って
図8に示すようにガラス基板の厚みを内周から外周にかけて薄くする。
【0108】
図14は、ガラス基板の厚みを内周から外周にかけて薄くする工程を説明する説明図である。
図14(a)は加工方法の一例を説明する断面図、
図14(b)は加工後の形状を示す断面図である。
【0109】
本工程では、
図14(a)に示すように、固定部材20、21によってガラス基板1の内径付近を挟み込んで固定するとともに、ガラス基板1の上下の主表面を弾性のあるスウェード材22で挟み込む。
【0110】
次に、図示せぬモータによって固定部材20、21とともにガラス基板1を回転させ、研磨材としてコロイダルシリカを供給しながら研磨を行う。
【0111】
所定時間研磨を行うと、
図14(b)のような内周から外周にかけて厚みが薄くなったガラス基板1が得られる。
【0112】
(磁性膜形成工程)
次に、ガラス基板に設ける磁性膜11について説明する。以下、
図3に基づき磁性膜11を設けた磁気ディスク5について説明する。
【0113】
磁性膜11の形成方法としては従来の公知の方法を用いることができ、例えば磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を基板上にスピンコートして形成する方法や、スパッタリング、無電解めっきにより形成する方法が挙げられる。スピンコート法での膜厚は約0.3μm〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.04μm〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.05μm〜0.1μm程度であり、薄膜化および高密度化の観点からはスパッタリング法および無電解めっき法による膜形成が好ましい。
【0114】
磁性膜に用いる磁性材料としては、特に限定はなく従来公知のものが使用できるが、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金などが好適である。具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiOなどが挙げられる。磁性膜は、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割しノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTaなど)としてもよい。上記の磁性材料の他、フェライト系、鉄−希土類系や、SiO
2、BNなどからなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散された構造のグラニュラーなどであってもよい。また、磁性膜は、内面型および垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
【0115】
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために磁性膜の表面に潤滑剤を薄くコーティングしてもよい。潤滑剤としては、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
【0116】
さらに必要により下地層や保護層を設けてもよい。磁気ディスクにおける下地層は磁性膜に応じて選択される。下地層の材料としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Niなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。Coを主成分とする磁性膜の場合には、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造としても構わない。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層としてもよい。
【0117】
磁性膜の摩耗や腐食を防止する保護層としては、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層などが挙げられる。これらの保護層は、下地層、磁性膜など共にインライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、これらの保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一又は異種の層からなる多層構成としてもよい。なお、上記保護層上に、あるいは上記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して二酸化ケイ素(SiO
2)層を形成してもよい。
【実施例】
【0118】
<実施例1〜4>
実施例1〜4の磁気ディスク5に用いるガラス基板を以下のように作製した。
【0119】
(ガラス基板の作製)
図10で説明した第1の実施形態の製造工程図に従って、実施例1〜3のガラス基板1を各1000枚作製した。また、実施例4では、実施例2と同じ工程の後、(ガラス基板の厚みを内周から外周にかけて薄くする工程)を行って第2の実施形態のガラス基板1を1000枚作製した。
【0120】
ガラス材料としてアルミノシリケートガラス(Tg:500℃)を用い、溶融ガラスをプレス成形してブランク材を作製した。内外周加工工程、ラッピング工程を経て、外径63.5mm、内径(貫通孔20の径)20mm、基板厚みは0.8mmのガラス基板とした。なお、ここでいう基板厚みとは基板上の任意の複数点で測定した値の平均値である。実施例1の反り量αの目標値は−4μm、実施例2の反り量αの目標値は−5μm、実施例3の反り量αの目標値は−6μm、実施例4の反り量αの目標値は−5μmとした。
【0121】
(第1ポリッシュ研磨工程)
オスカー研磨機の上研磨皿14と下研磨皿13の直径は1000mmであり、上研磨皿14と下研磨皿13の対向する面に弾性を有するスウェードを貼り付けた。内径65mm、外径67mm、厚み0.5mmのはめこみ治具12にラッピング工程を経たガラス基板1をはめ込んだもの100セットを、
図11のように下研磨皿13に載置する。
【0122】
研磨剤としては、酸化セリウムを用い、研磨剤の粒径0.6(μm)とした。
【0123】
実施例1では、下研磨皿13の回転数50(rpm)で回転させ、上研磨皿14を下研磨皿13の中心から左右500mmの範囲を1分間に25往復で揺動させた。ガラス基板はこのような上下研磨皿の相対動作によってつれ回りして自転する。研磨時間は40分である。
【0124】
実施例2、4では、下研磨皿13の回転数60(rpm)で回転させ、上研磨皿14を下研磨皿13の中心から左右500mmの範囲を1分間に30往復で揺動させた。ガラス基板の自転速度は実施例1より速くなる。研磨時間は30分である。
【0125】
実施例3では、下研磨皿13の回転数70(rpm)で回転させ、上研磨皿14を下研磨皿13の中心から左右500mmの範囲を1分間に35往復で揺動させた。ガラス基板の自転速度は実施例2より速くなる。研磨時間は20分である。
【0126】
(第1洗浄工程)
超音波洗浄機で10分間洗浄を行った。
【0127】
(予熱工程)
予熱温度T0(℃)に加熱した予熱槽でガラス基板を30分間加熱した。
【0128】
(化学強化工程)
強化温度T1(℃)に加熱した化学強化処理液にガラス基板を浸漬した。化学強化処理液にはカリウムの硝酸塩を用いた。
【0129】
(第2ポリッシュ研磨工程)
上研磨皿14と下研磨皿13にスウェードを貼り付けたオスカー研磨機を用い、研磨剤としては、酸化セリウムおよびコロイダルシリカを用い、研磨剤の粒径30(nm)とした。上研磨皿14と下研磨皿13は第1ポリッシュ研磨工程と同じ条件で動作させた。
【0130】
(第2洗浄工程)
第3洗浄工程として、ロールスクラブ機、カップスクラブ機でのブラシ洗浄を行い、その後超音波洗浄機で洗浄を行った。
【0131】
(ガラス基板の厚みを内周から外周にかけて薄くする工程)
実施例4では、
図14で説明した加工方法によって、内周付近の厚みは0.8mmで外周にいくほど薄くなるように研磨し、最外周の厚みを0.7mmにした。
【0132】
(磁性膜形成工程)
洗浄後のガラス基板1の両表面にCr合金からなる密着層、CoFeZr合金からなる軟磁性層、Ruからなる配向制御下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、C系の保護層、F系からなる潤滑層を順次、スパッタ装置により基板両面に成膜する。総膜厚は約100nmである。
【0133】
本実施例では、このように垂直磁気記録用の磁性膜を形成した磁気ディスク5を作製したが、特に限定されるものではなく面内磁気ディスクとして磁性層等を構成してもよい。
【0134】
<実施例5〜9>
ガラス基板1の厚みを変え実施例5〜7の磁気ディスク5を各1000枚作製した。ガラス基板1の厚みは、実施例5は0.635mm、実施例6は0.77mm、実施例7は0.78mm、実施例8は1.5mm、実施例9は2.2mmである。ガラス基板1の厚みによって、適正な締め付けトルクが変わるとともに、固定時の挟み込む力によって発生する反りの量も変わってくる。固定時の挟み込む力によって発生する反りの量に応じて、反り量αの目標値を定めた。
【0135】
実施例5の反り量αの目標値は−15μm、実施例6の反り量αの目標値は−10μm、実施例7の反り量αの目標値は−8μm、実施例8の反り量αの目標値は−4μm、実施例9の反り量αの目標値は−2μmとした。目標の反り量αが得られるよう、下研磨皿13の回転数と研磨時間をそれぞれ設定して実施例5〜7の磁気ディスク5を作製した。その他の条件は、実施例2と同じ条件である。
【0136】
<実施例10〜13>
貫通孔20近傍のφ22mmの位置における周方向TIRの異なるガラス基板1を用いて、実施例10〜13の磁気ディスク5を、実施例3と同じ厚み、同じ工程で各1000枚作製した。実施例10の周方向TIRは0.4μm、実施例11の周方向TIRは0.7μm、実施例12の周方向TIRは0.8μm、実施例13の周方向TIRは1.0μmである。
【0137】
周方向TIRの測定は、Phase Shift Technology社製Optiflatを用いて行った。
【0138】
[比較例]
<比較例1>
比較例1では、実施例と同じ工程で条件を変えて目標の反り量αが0μmのガラス基板の作製を行った。
【0139】
比較例1では、各研磨工程において下研磨皿13を0.5rpmで自転させ、上研磨皿14を下研磨皿13の中心から左右300mmの範囲を1分間に2往復させた。研磨時間は150分である。この条件ではガラス基板は上下研磨皿の相対動作によってほとんどつれ回りしないので、上下研磨皿の形状をそのまま転写できる。その他の製造条件は実施例1と同じである。
【0140】
比較例1では、磁気ディスク59を1000枚作製した。
【0141】
<比較例2、3>
比較例2のガラス基板の厚みは2.3mm、比較例3のガラス基板の厚みは2.5mmであり、厚みが厚いため固定時の挟み込む力によって反りは発生しない。そのため、比較例1と同じ条件でガラス基板の厚みを変えて目標の反り量αが0μmのガラス基板の作製を行った。
【0142】
[評価方法]
ガラス基板の回転軸に情報記録媒体を固定する際に、発生する反りと、ランプの衝突による基板の割れの評価方法について説明する。
【0143】
磁気ディスク5の評価は、
図4に示すハードディスク装置200に実施例、比較例の磁気ディスクを取り付けて実験を行った。
【0144】
評価実験に用いたハードディスク装置200のリング状治具7の外径は直径24mm(Lb=12mm)、内径は直径20mm、厚み1.8mmである。クランプ治具2の突起部2aの直径は22mm(La=11mm)である。したがって、突起部2aの径Laはリング状治具7の径Lbより小である。
【0145】
また、実施例1〜4と比較例1の評価実験に用いたランプ51の先端部51bと先端部51cの間隔Dは1.5mmである。実施例1〜4、実施例10〜13と比較例1の評価実験ではクランプ治具2のビス3を20N・mのトルクで締め付けて磁気ディスク5または磁気ディスク59を回転軸6に固定した。
【0146】
実施例5〜9、比較例2、3の評価実験では、先端部51b、51cの隙間の間隔Dが2.6mmのランプ51を用いた。
【0147】
反り量の測定は、多機能ディスク用干渉計(オプティフラット Phase Shift Technology.Inc.製)を用いて行い、ガラス基板表面の全面を測定する。測定原理は、ガラス基板の表面に白色光を照射し、位相の異なる参照光と測定光の干渉の強度変化を測定することで、表面の形状を測定する方法である。
【0148】
ランプの衝突による基板の割れの評価は、市販の落下衝撃試験機を用いて実施例または比較例の磁気ディスクを取り付けたハードディスク装置200を一定の高さから落下させて行った。実験では1mmの高さからハードディスク装置200を落下させた後、ハードディスク装置200を分解し、磁気ディスクのワレの有無を目視で確認した。
【0149】
[評価結果]
実施例1〜4と比較例1で作製した各1000枚の磁気ディスクのハードディスク装置200の評価結果を表1に示す。落下試験後のワレ発生率の判定は、発生したワレが1枚以下の場合を◎、2〜5枚の場合を○、6枚以上の場合を×としている。
【0150】
【表1】
【0151】
表1に示すように、実施例1の固定後の反り量αの平均値は1μm、実施例2の固定後の反り量αの平均値は0μm、実施例3の固定後の反り量αの平均値は−1μm、実施例4の固定後の反り量αの平均値は0μmであった。また、ワレ数は、実施例2が1枚、実施例4が0枚、実施例1、3が3枚であり、ワレ発生率の判定は実施例2、4が◎、実施例1、3が○であった。
【0152】
ランプ51の先端部51b、51cの隙間1.5mmに対して、実施例1〜4では磁気ディスク5がほぼ中心に位置していた。実施例1では、先端部51bと磁気ディスク5の間隔x
1は0.349mm、先端部51cと磁気ディスク5の間隔x
2は0.351mmであった。また、実施例2では、x
1は0.350mm、x
2は0.350mm、実施例3では、x
1は0.351mm、x
2は0.349mm、実施例4では、x
1は0.4mm、x
2は0.4mmであった。
【0153】
一方、比較例1では表1に示すように固定後の反り量αの平均値は5μmであった。また、8枚ワレが発生しワレ発生率の判定は×であった。比較例1では、x
1は0.345mm、x
2は0.355mmであり、磁気ディスク59とランプ51の先端部51bの間隔が狭くなっていた。
【0154】
このように、実施例1〜4ではハードディスク装置200の固定軸6に固定すると反り量αがほぼ0になり、磁気ディスク5をランプ51の先端部51b、51cの隙間のほぼ中心に位置させることができたので、落下試験後のワレの発生が少なかった。特に、実施例4では、ランプ51の先端部51b、51cと磁気ディスク5との間隔を広くできるので落下試験後のワレの発生を0にすることができた。
【0155】
一方、比較例1は、固定後の反り量αの平均値が5μmと大きいため、落下試験後のワレの発生が多かった。
【0156】
実施例5〜9と比較例2、3で作製した各1000枚の磁気ディスクのハードディスク装置200の評価結果を表2に示す。本実験では、試作時のガラス基板良品率が95%以上の場合を判定◎、良品率が95%未満では○、良品率が60%以下を×としている。
【0157】
【表2】
【0158】
表2に示すように、実施例5の固定後の反り量αの平均値は3μm、実施例6の固定後の反り量αの平均値は2μm、実施例7〜9の固定後の反り量αの平均値は0μmであった。また、実施例5のワレ数は5枚、実施例6のワレ数は3枚、ワレ発生率の判定は○であり、実施例7〜9のワレ数は0枚、ワレ発生率の判定は何れも◎であった。基板良品率は、実施例7〜9ではほとんど100%であり判定は◎であるが、実施例5、6は厚みが薄いうえに目標の反り量が大きいため基板良品率が低下し、判定は○になっている。
【0159】
一方、比較例2、3の固定後の反り量αの平均値は0μmであるが、基板の厚みが厚くランプ51の先端部51b、51cとの間隔x
1、x
2が狭いため、比較例2は7枚、比較例3は6枚のワレが発生し、ワレ発生率の判定は何れも×であった。
【0160】
次に、実施例10〜13で作製した各1000枚の磁気ディスクのハードディスク装置200の評価結果を表3に示す。
【0161】
【表3】
【0162】
反り量の評価は、
図15に示す断面C−Cとこれと直交する断面D−Dの2個所で行った。
図15は、磁気ディスク5の平面図である。
【0163】
表3に示すように、実施例10、11の固定後の断面C−Cと断面D−Dの反り量αの平均値は何れも−1μmであった。また、ワレ数は、実施例10、11ともに1枚であり、ワレ発生率の判定は何れも◎であった。
【0164】
実施例12の固定後の断面C−Cと断面D−Dの反り量αの平均値はそれぞれ−2μm、−1μm、実施例13の固定後の断面C−Cと断面D−Dの反り量αの平均値はそれぞれ−4μm、+2μmであった。また、ワレ数は、実施例12、13はそれぞれ3枚、5枚であり、ワレ発生率の判定は何れも○であった。
【0165】
このように、周方向TIRが0.7μm以下の実施例10、11では、固定後の断面C−Cと断面D−Dの反り量αは同じであり、ワレ発生率の判定も◎であった。これは、磁気ディスク5の主表面10とクランプ治具2の突起部2aとの接触が全周にわたってほぼ均一になるからである。
【0166】
一方、周方向TIRが0.7μmを越える実施例12、13は、固定後の断面C−Cと断面D−Dの反り量αが異なり、ワレ発生率の判定は○であった。これは、磁気ディスク5の主表面10とクランプ治具2の突起部2aとの接触が均一にならず、不連続な線接触となってしまうためと考えられる。
【0167】
以上このように、本発明によれば、従来の情報記録媒体固定機構を用いて回転軸に情報記録媒体を固定する際に、反りが発生しないようにして、ランプの衝突による基板の割れを防止することが可能な情報記録媒体用ガラス基板、情報記録媒体、および該情報記録媒体を用いた情報記録装置を提供することができる。