特許第5719856号(P5719856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719856
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】台紙付き包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/00 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   B65D73/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-9604(P2013-9604)
(22)【出願日】2013年1月22日
(65)【公開番号】特開2014-141264(P2014-141264A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2013年7月25日
【審判番号】不服2014-8147(P2014-8147/J1)
【審判請求日】2014年5月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591004881
【氏名又は名称】東洋アドレ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502332991
【氏名又は名称】富士ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 恵子
(72)【発明者】
【氏名】三本 真也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋一
(72)【発明者】
【氏名】宮田 篤志
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【合議体】
【審判長】 栗林 敏彦
【審判官】 渡邊 豊英
【審判官】 渡邊 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−188127(JP,A)
【文献】 特開平9−173917(JP,A)
【文献】 特開2000−344280(JP,A)
【文献】 実開昭61−97152(JP,U)
【文献】 特開平9−142508(JP,A)
【文献】 特開昭62−238733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 73/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙と、
熱収縮したフィルムで包装された物品と、
前記熱収縮したフィルムと前記台紙を接合する発泡ホットメルト接着剤層と、を備えた台紙付き包装体の製造方法であって、
熱収縮し得るフィルムで前記物品を被覆し、当該熱収縮し得るフィルムを熱収縮する工程と、
熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤を用意し、気泡を含有する発泡ホットメルト接着剤を形成する工程と、
前記台紙および前記熱収縮したフィルムの少なくともいずれかに前記発泡ホットメルト接着剤を用いて発泡ホットメルト接着剤層を形成する工程と、
前記発泡ホットメルト接着剤層を介在して前記台紙と前記熱収縮したフィルムを接合する接合工程とを含
前記発泡ホットメルト接着剤の式(2)から求められる発泡倍率が、1.5以上、3以下である台紙付き包装体の製造方法。
<数2> V3/V4・・・式(2)
式中V3は、前記ホットメルト接着剤の気泡を含まない状態におけるホットメルト接着剤の100ccあたりの質量であり、V4は前記発泡ホットメルト接着剤の100ccあたりの質量である。
【請求項2】
台紙と、
熱収縮したフィルムで包装された物品と、
前記熱収縮したフィルムと前記台紙を接合する発泡ホットメルト接着剤層と、を備えた台紙付き包装体の製造方法であって、
熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤を用意し、気泡を含有する発泡ホットメルト接着剤を形成する工程と、
前記台紙および前記熱収縮したフィルムを収縮させる前の熱収縮し得るフィルムの少なくともいずれかに前記発泡ホットメルト接着剤を用いて発泡ホットメルト接着剤層を形成する工程と、
前記発泡ホットメルト接着剤層を介在して前記台紙と前記熱収縮し得るフィルムを接合し、熱収縮し得るフィルム付き台紙を得る接合工程と、
前記物品を、前記熱収縮し得るフィルムで被覆し、当該熱収縮し得るフィルムを熱収縮する工程とを含
前記発泡ホットメルト接着剤の式(2)から求められる発泡倍率が、1.5以上、3以下である台紙付き包装体の製造方法。
<数2> V3/V4・・・式(2)
式中V3は、前記ホットメルト接着剤の気泡を含まない状態におけるホットメルト接着剤の100ccあたりの質量であり、V4は前記発泡ホットメルト接着剤の100ccあたりの質量である。
【請求項3】
前記ホットメルト接着剤の気泡を含まない状態における溶融粘度が、1,000mPa・s以上、50,000mPa・s以下である請求項1又は2に記載の台紙付き包装体の製造方法。
【請求項4】
前記発泡ホットメルト接着剤層を形成する工程と、
前記接合工程を、前記発泡ホットメルト接着剤の溶融状態を維持して連続的に行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の台紙付き包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙付き包装体およびその製造方法に関する。より詳細には、ホットメルト接着剤を用いて形成された台紙付き包装体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装形態として、従来からブリスター包装が多用されている。ブリスター包装は、薄い熱可塑性樹脂の板を熱して軟化させ、物品の形状に合わせて型取った比較的硬質の透明なプラスチック内に物品を収容し、物品名や物品情報を印刷した台紙にプラスチックを貼り付ける包装形態である。透明なパッケージングのため、物品を包装しつつ中身を目視で確認できるというメリットがある。しかしながら、昨今においては、包装材料由来のCO排出量の削減、ゴミの減容化の観点から、ブリスター包装に代わる包装形態としてシュリンクフィルム包装に注目が集まっている。
【0003】
シュリンクフィルム包装の製造方法として、例えば、特許文献1では、(a)台紙をコンベア上に1枚ずつ供給する台紙供給工程、(b)コンベア上に供給されて搬送される台紙の表面に版ロールにより接着剤を塗布する接着剤塗布工程、および(c)接着剤の塗布された台紙に対して熱収縮し得る筒状フィルムを1枚ずつ供給してその台紙に貼着する筒状フィルム貼着工程によりシュリンクフィルム付き台紙(熱収縮し得るフィルム付き台紙)を製造する方法が開示されている。また、特許文献2においては、台紙の形状を任意に変えることができるシュリンクフィルム付き台紙(熱収縮し得るフィルム付き台紙)の製造方法が提案されている。
【0004】
シュリンクフィルムと台紙を接着する接着剤としては、例えば、特許文献3においては、粘着剤や、ホットメルト接着剤、反応型ホットメルト接着剤を用いることが、特許文献4においては、紙器の製造で一般的に用いられグルーと呼ばれている水系エマルジョン型の接着剤や、ホットメルトの接着剤、反応型ホットメルトを用いることが記載されている。また、特許文献5においては、台紙に、溶融させた反応型ホットメルト接着剤を吐出して塗布し、その塗布した塗布部に、筒状に形成されたシュリンクフィルムを貼り付けて、接着させて台紙付き包装体を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−244832号公報
【特許文献2】特開平11−208715号公報
【特許文献3】特開2012−188127号公報
【特許文献4】特開2012−166459号公報
【特許文献5】特開2012−121590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シュリンクフィルム包装によれば、前述したように、ブリスター包装に比してコスト削減・減容化・包装材に由来するCO削減等を実現できるので、近年その使用が増加しつつある。しかしながら、ブリスター包装においては、物品の形状に合わせて型取ったプラスチックの縁部を接着剤により台紙に接合するので、接合に際して物品の形状が問題とならないのに対し、シュリンクフィルム包装においては、物品と台紙とが、接着剤層および熱収縮されたフィルム(熱収縮されたシュリンクフィルム)越しに固定されるので、物品の形状に制約がある。換言すると、被包装物である物品の対象が多い点において、ブリスター包装の方がシュリンクフィルム包装よりも優れており、シュリンクフィルム包装においては、適用可能な物品の対象を拡大できる技術が求められていた。
【0007】
本発明は、上記背景に鑑みて成されたものであり、その目的とすることは、シュリンクフィルム包装において、被包装物である物品の対象を拡大可能な台紙付き包装体およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明に係る台紙付き包装体は、台紙と、熱収縮したフィルムで包装された物品と、前記熱収縮したフィルムと前記台紙を接合する接着剤層と、を備えた台紙付き包装体であって、前記接着剤層は、熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤に気泡を含有する発泡ホットメルト接着剤層からなるものである。
【0009】
本発明に係る台紙付き包装体によれば、接着剤層として発泡ホットメルト接着剤層を用いているので、接着剤層の弾力性を高め、被接合物(熱収縮したフィルムや台紙)や物品と、接着剤層との追随性を向上させることができる。また、追随性を増加させることによって、被接合部との接触面積を高め、接着力を向上させることができる。従って、被包装物である物品の対象を拡大可能な台紙付き包装体を提供することができる。
【0010】
本発明の台紙付き包装体の好ましい一態様には、前記ホットメルト接着剤の気泡を含まない状態における溶融粘度が、1,000mPa・s以上、50,000mPa・s以下のものがある。なお、ここでいう「気泡を含まない状態」とは、発泡処理を行う前という意味であり、発泡処理前に極微量に含まれる気泡等は「気泡を含まない状態」であるものとする。
本発明の台紙付き包装体の製造方法の好ましい一態様には、前記ホットメルト接着剤層を形成する工程と、前記台紙と前記熱収縮したフィルムを接合する工程を、前記ホットメルト接着剤の溶融状態を維持して連続的に行うものがある。
また、本発明の台紙付き包装体の好ましい一態様には、前記発泡ホットメルト接着剤層下記式(1)から求められる発泡倍率が、1.1以上、10以下のものがある。
<数1> V/V・・・式(1)
式中Vは、前記台紙付き包装体から回収した前記発泡ホットメルト接着剤層の体積であり、Vは、前記台紙付き包装体から回収した前記発泡ホットメルト接着剤層を加熱溶融して脱泡した後の体積である。
【0011】
本発明に係る第1の態様の台紙付き包装体の製造方法は、台紙と、熱収縮したフィルムで包装された物品と、前記熱収縮したフィルムと前記台紙を接合する発泡ホットメルト接着剤層と、を備えた台紙付き包装体の製造方法であって、熱収縮し得るフィルムで前記物品を被覆し、当該フィルムを熱収縮する工程と、熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤を用意し、気泡を含有する発泡ホットメルト接着剤を形成する工程と、前記台紙および前記熱収縮したフィルムの少なくともいずれかに発泡ホットメルト接着剤層を形成する工程と、前記発泡ホットメルト接着剤層を介在して前記台紙と前記熱収縮したフィルムを接合する接合工程とを含むものである。
【0012】
本発明に係る第2の態様の台紙付き包装体の製造方法は、台紙と、熱収縮したフィルムで包装された物品と、前記熱収縮したフィルムと前記台紙を接合する発泡ホットメルト接着剤層と、を備えた台紙付き包装体の製造方法であって、熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤を用意し、気泡を含有する発泡ホットメルト接着剤を形成する工程と、前記台紙および前記熱収縮したフィルムを収縮させる前の熱収縮し得るフィルムの少なくともいずれかに前記発泡ホットメルト接着剤を用いて発泡ホットメルト接着剤層を形成する工程と、前記発泡ホットメルト接着剤層を介在して前記台紙と前記熱収縮し得るフィルムを接合し、熱収縮し得るフィルム付き台紙を得る接合工程と、前記物品を、前記熱収縮し得るフィルムで被覆し、当該フィルムを熱収縮する工程とを含む、ものが挙げられる。
【0013】
また、本発明の第1の態様もしくは第2の態様の台紙付き包装体の製造方法の好ましい一態様では、前記ホットメルト接着剤の気泡を含まない状態における溶融粘度が、1,000mPa・s以上、50,000mPa・s以下のものがある。
また、本発明の第1の態様もしくは第2の態様の台紙付き包装体の製造方法の好ましい一態様では、前記発泡ホットメルト接着剤の式(2)から求められる発泡倍率が、1.1以上、10以下のものがある。
<数2> V/V・・・式(2)
式中Vは、発泡前の前記ホットメルト接着剤の100ccあたりの質量であり、Vは前記発泡ホットメルト接着剤の100ccあたりの質量である。
【0014】
また、本発明の第1の態様もしくは第2の態様の台紙付き包装体の製造方法の好ましい一態様では、前記接合工程を、前記発泡ホットメルト接着剤の溶融状態を維持して連続的に行う態様がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シュリンクフィルム包装において、被包装物である物品の対象を拡大可能な台紙付き包装体およびその製造方法を提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】第1実施形態に係る台紙付き包装体の概略説明図。
図1B図1AのIB−IB切断部断面図。
図2A】台紙付き包装体の製造方法における第1実施形態を示す模式的説明図。
図2B】台紙付き包装体の製造方法における第1実施形態を示す模式的説明図。
図2C】台紙付き包装体の製造方法における第1実施形態を示す模式的説明図。
図3】台紙付き包装体の製造方法における第1または第2実施形態のフローチャート図。
図4A】第2実施形態に係る台紙付き包装体の概略説明図。
図4B図4AのIVB−IVB切断部断面図。
図5A】台紙付き包装体の製造方法における第3実施形態を示す模式的説明図。
図5B】台紙付き包装体の製造方法における第3実施形態を示す模式的説明図。
図5C】台紙付き包装体の製造方法における第3実施形態を示す模式的説明図。
図6】台紙付き包装体の製造方法における第3または第4実施形態のフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る台紙付き包装体は、物品を包装してなる熱収縮したフィルムと台紙とが、接着剤層を介在して接合されたものである。この接着剤層は、熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤からなり、かつ気泡を含有する発泡ホットメルト接着剤層であることを特徴とする。以下、本発明の台紙付き包装体およびその製造方法の具体的な実施形態を説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。また、下記の実施形態は、互いに好適に組み合わせられる。
【0018】
[第1実施形態]
図1Aに、第1実施形態に係る台紙付き包装体の概略説明図を、図1B図1AのIB−IB切断部断面図を示す。台紙付き包装体1は、フィルム包装物品21が接着剤層13を介在して台紙12に貼り付けられた包装物品であり、熱収縮したフィルム11が接着剤層13を介して台紙12に接合されたものである。台紙付き包装体1は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の部材を有していてもよい。例えば、商品を衝撃から守るためのクッション材、物品を接着剤層13の形成時の熱から守るための断熱部材、放熱部材などが例示できる。また、接着剤層13は、熱収縮したフィルム11と台紙12を接合するものであるが、熱収縮したフィルム11および台紙12が、接着剤層13と直接接合されているものに限定されず、熱収縮したフィルム11および/または台紙12と一体的に形成された他のシート等の部材を介して接着剤層13と接合された態様も含むものとする。
【0019】
熱収縮したフィルム11は、物品20の少なくとも一部を被覆して物品20を包装する役割を担うものであり、いわゆるシュリンクフィルムを熱収縮したフィルムである。図1Aの例のように、熱収縮したフィルム11により、物品20の側面部全体を包装したり、物品の中央部のみを帯状に包装したり、物品全体を包装してもよい。包装箇所の物品の状態を確認できるように、熱収縮したフィルム11は、無色透明或いは有色透明であることが好ましいが、非透明であってもよい。また、熱収縮したフィルム11には、視認可能な文字情報等が印字されていてもよいし、種々の画像が印刷されていてもよい。
【0020】
熱収縮したフィルム11は、延伸フィルム等の熱収縮性のあるフィルムを熱収縮したものであればよく、一般に用いられているものを制限なく用いることができる。例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルが例示できる。また、環境に配慮した生分解性フィルムとしてポリ乳酸ベースの熱可塑性樹脂(ポリエステル系樹脂等)等も好適である。熱収縮したフィルム11には、ニーズに応じて、図1Aに示すようなミシン目15や2列以上のミシン目が形成された開封口16等を設けてもよい。
【0021】
台紙12は、物品20を包装する基材としての役割と、物品名や物品情報等の情報提供部としての役割を主に担う。台紙12には、物品20の陳列手段として吊り下げ孔14等を設けてもよい。台紙12の素材は、物品20を貼り付けた際に変形しない素材であればよく、特に限定されない。好適な例として、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデン、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム、又はこれらの積層体からなるプラスチックシートや、紙、金属シート、複合材料からなる複合シート、およびこれらの積層体を例示できる。例えば、プラスチィックフィルムとアルミ箔の積層体などでもよい。物品20の質量やサイズ等に応じて、台紙12の厚みや素材等を適宜選定すればよい。また、台紙12は、平板形状の他、曲面形状や折れ曲がり形状等を有していてもよい。また、L字型やコの字型の台紙であってもよい。さらに、台紙付き包装体1から物品20を取り出しやすくするために、台紙12の裏面側の物品20との当接部やその近傍等に、ミシン目や開封口を設けてもよい。
【0022】
接着剤層13は、熱収縮したフィルム11と台紙12を貼り合わせる役割を担い、熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得る高温溶融型の熱可塑性を示すホットメルト接着剤に気泡が含有された発泡ホットメルト接着剤層からなる。本発明に用いる接着剤層13は、常温では固体であり、加熱により溶融して被接合部に塗布可能であり、被接合部を塗布後に常温に戻すことにより固化して被接合部との接着力を発揮するものである。即ち、本発明に用いる接着剤は、熱収縮したフィルム11と台紙12を接合した後に、接着のための後処理工程(湿気や熱による硬化を進行させるためのエージング処理やUV硬化処理等)が必要な反応性ホットメルト接着剤や、高粘度タイプのいわゆるシーラントと呼ばれる接着剤とは異なるものである。なお、接着剤層13は、感圧性接着剤層であってもよい。
【0023】
本発明のホットメルト接着剤は、少なくとも熱可塑性樹脂、粘着付与樹脂を含有する。また、ホットメルト接着剤は、ワックスを含有することが好ましい。さらに、必要に応じて、ホットメルト接着剤には、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、チキソ付与剤、発泡剤などを含有できる。ホットメルト接着剤は、溶剤を含有しないことが好ましい。ホットメルト接着剤の材料は、本発明に趣旨を逸脱しない限りにおいて特に制限されないが、好適な例として、以下の例を挙げることができる。
【0024】
熱可塑性樹脂としては、スチレン系ポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン−不飽和エステル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等のホットメルト接着剤を例示できる。これらは、ブロック共重合体であってもよい。スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロックポリマー(SEPS),スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(SIS),スチレン−ブチレン・ブタジエン−スチレンブロックポリマー(SBBS)等が例示できる。熱可塑性樹脂は、単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
用いられる熱可塑性樹脂のMFR(JIS K7210 200℃/5kg)は、0.01g〜100gであることが好ましい。MFRを100g以下にすることで、その他の成分を加えてホットメルト接着剤を作製した際の耐熱性と接着性のバランスが取りやすくなる。一方、MFRを0.01g以上とすることで低温雰囲気での接着性を維持しやすくなる。なお、本発明においてMFRとは、JIS K7210に規定される方法で条件として(温度200℃、重5kg)により求められる熱可塑性樹脂の質量である。熱可塑性樹脂のMFRのより好ましい範囲は0.1〜80であり、さらに好ましい範囲は1〜70である。
【0026】
粘着付与樹脂としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂が挙げられる。また、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂や、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂や、フェノール−変性石油樹脂も好適である。また、ロジンエステル樹脂、水素添加されたロジンエステル樹脂等のロジン系樹脂も好適である。さらに、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水素添加されたテルペン樹脂なども例示できる。粘着付与樹脂は、単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用できる。
用いられる粘着付与樹脂の軟化点は、80〜160℃であることが好ましい。軟化点を80℃以上とすることにより、発泡後のホットメルト中の気泡を高温下でも潰れにくくし、接着力を良好にすることができる。一方、軟化点を160℃以下とすることにより、低温雰囲気下におけるタック性を良好にし、接着性を良好に保つことができる。なお、本発明において軟化点とは、JIS K 6863に規定される方法により求められる温度である。粘着付与樹脂の軟化点のより好ましい範囲は、接着性、耐熱性、耐寒性のバランスを取る観点から、90〜140℃であり、さらに好ましい範囲は100〜130℃である。
【0027】
ワックスとしては、カルナバワックス、キャンデリアワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、これらのワックスの酸化物、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。ワックスは、単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用できる。ワックスの150℃における溶融粘度は、10〜2,000mPa・sであることが好ましく、15〜1,000mPa・sであることがより好ましく、15〜500mPa・sであることがさらに好ましい。ワックスを用いることにより、ホットメルト接着剤の粘度を下げ、塗工を容易にすることができる。
用いられるワックスの軟化点は、70〜120℃であることが好ましい。軟化点が70℃以上になることで、高温下でワックスが溶融し接着力が低下する恐れがなくなる。一方、軟化点を120℃以下とすることでホットメルトの加熱溶融させる温度が下がるため、ホットメルトの塗工性が確保できるため。なお、本発明において軟化点とは、JIS K 6863に規定される方法により求められる温度である。ワックスの軟化点のより好ましい範囲は80〜140℃であり、さらに好ましい範囲は90〜130℃である。
【0028】
着色剤としては酸化チタンなどが挙げられる。
ブロッキング防止剤としてはシリコーン、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド、ステアリン酸アミドやベヘニン酸アミドなどの飽和脂肪酸アミドなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、高分子量ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体、高分子量ヒンダード・フェノール、ジアルキル・フェノール・スルフィド、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、4,4−メチレン−ビス−(2,6−ジ−第三−ブチルフェノール)、2,6−ジ−第三−ブチルフェノール−p−クレゾール、2,5−ジ−第三−ブチルヒドロキノン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノン、ジブチル・ジチオカルバミン酸ニッケル、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
【0029】
本発明のホットメルト接着剤は、ホットメルト接着剤100質量部中に、耐熱性を高める観点から熱可塑性樹脂が30〜80質量部の範囲にあることが好ましく、接着力を向上させる観点から粘着付与樹脂が40〜80質量部の範囲で含まれていることが好ましい。また、粘度を適切に調整する観点から、ワックスを用いることが好ましい。
【0030】
本発明のホットメルト接着剤の軟化点は、使用環境温度により変動し得るが、屋外での使用も考慮すると、80〜160℃であることが好ましい。軟化点が80℃以上になることで、接着力と凝集力のバランスが取りやすくなる。一方、軟化点を160℃以下とすることで低温雰囲気下でもタックを維持しやすくなる。なお、本発明において軟化点とは、JIS K 6863に規定される方法により求められる温度である。本発明のホットメルト接着剤の軟化点のより好ましい範囲は90〜140℃であり、さらに好ましい範囲は100〜130℃である。
【0031】
接着剤層13の以下の式(1)から求められる発泡倍率は、接着力や追随性を効果的に保つ観点から、1.1〜10の範囲であることが好ましい。当該範囲とすることにより、高温使用時の接着性と追随性をより効果的に引き出すことができる。より好ましくは1.5〜5であり、さらに好ましくは、1.5〜3である。
<数3> V/V・・・式(1)
式中Vは、台紙付き包装体から回収した発泡ホットメルト接着剤層の体積であり、Vは、台紙付き包装体から回収した発泡ホットメルト接着剤層を加熱溶融して脱泡した後の体積である。
例えば、1cm当たりの発泡ホットメルト接着剤層を集めて体積を求め、その後に、加熱溶融して泡を完全に脱泡させた後の接着剤の体積を求めることができる。なお、回収後、および脱泡後の接着剤の体積は、粉体の空隙度を測りとる様な比重瓶等の測定器具を用いて求めることができる。つまり、任意の量のホットメルト接着剤を単離し、容器容積の分かっている測定器具にホットメルト接着剤を入れ、質量を量りとり、空隙が無いように水を入れた質量との差から、水比重を基にホットメルトの体積を求めることができる。
【0032】
物品20は、熱収縮したフィルム11によって包装することが好適なものであればよく、特に制限されない。例えば、化粧品、薬、食品、電池、玩具、衣料品、文房具品、雑貨等が例示できる。包装する物品20の数は、単数であっても複数であってもよい。また、包装の目的は、商品として店頭に陳列させる態様をはじめ、輸送包装などの種々の目的に利用できる。
【0033】
次に、第1実施形態に係る台紙付き包装体の製造方法の一例について図2A図2Cおよび図3を用いつつ説明する。第1実施形態に係る台紙付き包装体の製造方法は、熱収縮し得るフィルム10で物品20を被覆し、熱収縮し得るフィルム10を加熱して熱収縮したフィルム11で包装したフィルム包装物品21を製造し、これを台紙12に接着剤層13を介して貼り合わせることにより製造されるものである。以下、詳細に説明する。
【0034】
まず、物品20を熱収縮し得るフィルム10で包装し、熱収縮したフィルム11で包装されたフィルム包装物品21を得る(ステップ1)。図2A図2Cの例においては、円筒状の熱収縮し得るフィルム10に物品20を挿入し(図2A参照)、次いで、熱収縮し得るフィルムを加熱することによって、熱収縮し得るフィルムを収縮させ、物品20に熱収縮したフィルム11をフィット(密着)させる(図2B参照)。熱収縮し得るフィルム10を加熱して熱収縮させる方法は、常套的に用いられている方法を任意に適用できる。これらの工程により、熱収縮したフィルム11で被覆されたフィルム包装物品21が得られる。熱収縮し得るフィルム10は、予め個別に裁断されたものを用いてもよいし、ロール状に巻き取った熱収縮し得るフィルム10を、熱収縮直前に裁断してもよい。
【0035】
熱収縮し得るフィルム10は、必要に応じて印刷や、ミシン目15、スリット、折癖、開封口16等を形成し、所望のサイズや形状のものを用意する。また、熱収縮し得るフィルム10は、必要に応じて方向により収縮率が異なるものを選定する。なお、図2A等の例は一例であり、種々の変形が可能である。例えば、シート状の熱収縮し得るフィルム10を物品20に巻き付けて重なり部分同士を接着剤により接合してもよい。或いは、接着剤を用いずにシート状の熱収縮し得るフィルム10をそのまま用いたり、紐状の熱収縮し得るフィルム10を物品20に巻き付けたりしてもよい。シート状の熱収縮し得るフィルム10をそのまま用いる方法としては、例えば、物品20の側周囲(胴部)を熱収縮し得るフィルム10で一周以上巻き、速やかに加熱し、熱収縮し得るフィルム10を熱収縮させ、物品20に熱収縮したフィルム11をフィット(密着)させる方法が例示できる。紐状の熱収縮し得るフィルム10の場合も同様の方法を例示できる。
【0036】
フィルム包装物品21の製造は、台紙付き包装体1を製造する工程で行っても、物品20を製造する工場等において製品完成と同時に包装しておいてもよい。製品完成と同時に包装して、輸送や保管の際に物品を適切に保護させるようにしてもよい。
【0037】
次に、台紙12又は/及び熱収縮したフィルム11上に接着剤層13を形成する(ステップ2)。第1実施形態においては、台紙12上に接着剤層13を形成する例について説明する。台紙12は、必要に応じて印刷や装飾、吊り下げ孔14等を形成する。台紙12側に、物品20を取り出し容易にするためのミシン目や開封のための切り口等を設けてもよい。台紙12は、予め製品毎に裁断しておいてもよいし、接着剤塗布前後で裁断してもよい。また、フィルム包装物品21を貼り付け後の最終段階で、台紙12を分離することも可能である。製造工程を効率化する観点からは、台紙12をロール状に巻き取っておき、台紙付き包装体1を製造する工程で裁断する方法が例示できる。
【0038】
接着剤層13は、前述したとおり、熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤において、気泡を含有する発泡ホットメルト接着剤層からなる。ホットメルト接着剤を発泡させるタイミングは、特に限定されないが、生産性を高める観点や品質を高精度に管理する観点から、接着剤層13を形成する直前、塗工時、若しくは塗工直後にホットメルト接着剤を発泡させるのが好適である。これらの中でも塗工直前もしくは塗工時に発泡させることがより好ましい。接着剤層13は、溶融したホットメルト接着剤を台紙12の所定の位置に塗工することによって得られる。
【0039】
ホットメルト接着剤に気泡を含有させる方法や装置は、特に限定されないが、気体を吹き込むことによりホットメルト接着剤を発泡させる方法が好適である。また、加熱分解型発泡剤をホットメルト接着剤中に添加しておき、接着剤層13を形成させる際に微細な気泡を発生させるようにしてもよい。
【0040】
ホットメルト接着剤に気体を吹き込んで発泡させる装置は、例えば、常圧もしくは加圧下でホットメルト接着剤を溶融加熱する加熱撹拌容器と、加熱撹拌容器内に気体等の揮発性物質を導入する揮発性物質供給手段と、加熱撹拌容器内の温度や粘度をモニターするセンサと、加熱撹拌容器内に設けられた撹拌手段と、ホットメルト接着剤の粘度等に応じて撹拌条件(回転数等)を制御可能な制御部等を有する装置を例示できる。揮発性物質は、特に限定されないが、窒素やアルゴン等の不活性ガスが例示でき、窒素を好適に使用できる。
また、接着剤の成分と分子間で相互作用して接着剤層内部に保持可能なガスを用いてもよい。接着剤層の種類によるが、このような例として二酸化炭素が例示できる。ガスは、常圧で導入してもよいが、加圧下で行うことが効率的である。また、超臨界二酸化炭素等を用いることも可能である。
【0041】
気体を吹き込むときのホットメルト接着剤の溶融粘度は、気泡を効率的に導入させる観点から、1,000〜50,000mPa・s以下の範囲に含まれることが好ましく、より好ましくは、5,000〜20,000mPa・sの範囲であり、特に好ましくは、5,000〜15,000mPa・sの範囲である。発泡させる温度は、用いるホットメルト接着剤の種類によるが、通常、120〜180℃であり、好ましくは、120〜150℃である。発泡ホットメルト接着剤を形成後、通常、常温に戻す。これにより、接着剤が固化し、発泡部も固定される。
【0042】
ホットメルト接着剤の適切な発泡倍率は、用途やニーズに応じて変動し得るものであり、任意に設定できる。物品の形状に対する汎用性を高める観点からは、溶融状態で100ccの容器に充填させたときの質量の比において、以下の式(2)において1.1〜10の範囲とすることが好ましい。より好ましくは1.5〜5であり、特に好ましくは1.5〜3の範囲である。
<数4> V/V・・・式(2)
式中Vは、未発泡のホットメルト接着剤の100ccの質量であり、Vは発泡ホットメルト接着剤の100ccの質量である。
【0043】
続いて、熱収縮したフィルム11で包装されたフィルム包装物品21と台紙12を、接着剤層(発泡ホットメルト接着剤層)13を介在して貼り合わせる(ステップ3、図2C参照)。接合には、溶融している接着剤層13が被接合部と接し、その後、接着剤層13を固化させる必要がある。従って、生産性の観点からは、ステップ2の接着剤層13の形成工程と、ステップ3のフィルム包装物品21と台紙12との接合工程を、接着剤層13の溶融状態を維持したまま連続して行うことが好ましい。好ましい例として、例えば、溶融状態の接着剤を発泡させつつ台紙12の所定位置に塗工し、溶融・発泡状態の接着剤層13とし、この状態を維持しながら速やかに熱収縮したフィルムで包装された物品21を接触させた後、自然冷却によって発泡状態を保ちながら接着剤層13を固化させ、貼り合わせる方法が例示できる。
【0044】
フィルム包装物品21と台紙12の接合方法は、上記方法に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、溶融・発泡状態のホットメルト接着剤を台紙12の所定の位置に塗工した後、一端、接着剤層13を冷却し、フィルム包装物品21と台紙12との貼り付けに際して、再度、接着剤層13の発泡状態を維持できる程度に加熱し、溶融・発泡状態の接着剤層13にフィルム包装物品21を貼り合わせることもできる。この方法によれば、接着剤層13付きの台紙12、フィルム包装物品21、台紙付き包装体1の各製造工程を別々のタイミングや場所で行うことが可能となる。フィルム包装物品21と台紙12とを接合するための接着剤層13を溶融するための加熱は、接着剤層13の表面から行う他、台紙12の裏側やサイドから加熱してもよい。例えば、台紙12の裏面側から熱風により、発泡状態を維持できる程度に接着剤層13を溶融させ、フィルム包装物品21と台紙12を接合することができる。また、ランプ等を用いて加熱してもよい。また、台紙12がプラスチィックの場合には蒸気で行うことも可能である。
【0045】
台紙付き包装体1における接着剤層13は、目視において発泡を確認できる。但し、前述した式(2)の値よりも、通常、発泡倍率が小さくなる。これは、熱収縮したフィルム11で被覆された物品21と台紙12との貼り付け工程の際、接着剤層13中の気泡が減少するためである。また、物品20の質量等により気泡同士が接合したり、接着剤層13自体の接着特性ゆえに接合力の方が強くなるため、気泡がつぶれて見かけ上の発泡倍率が少なくなることがあるためである。従って、製造工程や経時にて、発泡倍率が多少は初期より小さくなる。台紙付き包装体1における接着剤層13の発泡倍率は、接着力や追随性を効果的に保つ観点から、前述したとおり、上記式(1)において求められる値が上述した所定範囲に入っていることが好ましい。
【0046】
熱収縮し得るフィルム10を台紙12に貼り付けた後に物品を挿入して、加熱して熱収縮したフィルム11に変換する方法によれば、特にバランスの悪い形状の物品や、動きやすい物品や、複数の物品を包装したい場合等において、物品20の位置ずれが生じるおそれがあった。一方、第1実施形態に係る台紙付き包装体の製造方法よれば、フィルム包装物品21を先に形成し、これを台紙12に貼り付ける方式を採用しているので、台紙12に対して物品の位置ずれが生じるのを防止できる。特に、物品20がバランスの悪い形状の場合や、動きやすい物品の場合、或いは複数の物品を包装したい場合などにも好適に適用できる。
【0047】
ところで、接着剤層の耐熱性を向上するためには、一般的には高温で軟化しにくい接着剤を用いる。しかし、高温で軟化しにくい接着剤を用いた場合、接着剤層は低温では堅く、割れやすいという欠点を有している。また、高温で軟化しにくい接着剤を用いた場合、接着剤層は微小な凹凸面への追従性が悪化し、曲面追従性も悪化する。また、近年、積極的に開発が進められている反応性ホットメルト接着剤によれば、接着剤を介在させて熱収縮し得るフィルムと台紙を貼り合わせた後、湿気硬化のための時間やUV硬化処理が必要となる。これら硬化処理により、接着剤層の硬化性を高めて耐熱性が高まる利点が想像できる。しかしながら、硬化による耐熱性が向上する分、接着剤層の弾力性が低下し、追随性が低下する。追随性の低下は、とりわけ、低温時において問題となる。なお、接着力を大きくする手段としては、接着剤をより高温にすることによって低粘度化し、熱収縮したフィルムや台紙への濡れ性を向上させる方法がある。しかし、接着剤を単純に高温にすると、物品への熱的ダメージを無視できなくなる。
【0048】
第1実施形態に係る台紙付き包装体1によれば、接着剤層13を発泡させることにより、未発泡の接着剤層に比して、弾力性および接着力が優れたものとなる。接着剤層13が弾力性に富むようになるので、耐熱性に優れる堅い接着剤であっても、発泡により弾力性を高め、低温で割れにくくすることが可能となる。しかも、弾力性の向上によって、台紙12とフィルム包装物品21との貼り合せの際、接着剤層13の追随性を高め、台紙12や熱収縮したフィルム11或いは物品の表面の微小凹凸に接着剤層13が良く追従するようになる。接着力が大きくなるのは、接着剤層13と被接合部との接着面積が増えるためと考察している。
【0049】
シュリンクフィルム包装においては、前述したように、包装物品の対象を拡大することが求められていた。包装対象である物品の形状は、様々であり、物品の側面の一部がくびれ等による曲面形状を有するものがある。このような曲面部分は、フィルム包装物品21と台紙12の接合時に、浮き易くなる。第1実施形態に係る台紙付き包装体1によれば、そのような物品の場合においても、弾力性に富む接着剤層を用いることで、前記くびれ部分を台紙12に押圧することによって接合面積を増やし、接着力を充分に高めることが可能となる。従って、被包装物である物品20の適用対象を拡大することが可能となる。
【0050】
また、発泡している接着剤層13を用いることによって、未発泡ホットメルト接着剤を用いる場合に比して、物品20に対する熱的ダメージを低減することができる。これは、発泡している接着剤層13に存在する気泡により熱伝導性が低下するので、物品20への熱の伝播を抑制でき、また、接着剤層13に気泡を含ませることで加熱溶融後の冷却効率を高め、接合時の熱的負荷を低減できたものと考察している。つまり、熱的ダメージを抑制しながら、高温で低粘度の接着剤層13を利用して、熱収縮したフィルム11や台紙12への濡れ性を向上させることも可能となる。さらに、濡れ性の向上は、包装対象物品の種類を拡大することができる。
【0051】
また、第1実施形態に係る台紙付き包装体によれば、発泡ホットメルト接着剤層を用いているので、比重を低くし、接着剤の使用量を削減することが可能となる。その結果、製品1個当たりについては僅かであるが軽量化し、大量の製品等を輸送する場合には、輸送費等も含めトータルコストを削減できる。さらに、本発明に係る台紙付き包装体によれば、熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤を用いているので、熱収縮し得るフィルムと台紙の接合が、溶融状態の接着剤層を介して貼り合わせる工程のみで完了するというメリットもある。
【0052】
[第2実施形態]
次に、上記実施形態とは異なる台紙付き包装体の製造方法の一例について説明する。第2実施形態に係る台紙付き包装体の製造方法は、以下の点を除く基本的な製造方法は第1実施形態と同様である。即ち、第2実施形態においては、フィルム包装物品21に接着剤層13を形成し、これを台紙12に貼り合わせる点において、台紙12に接着剤層13を形成し、これをフィルム包装物品21に貼り合わせる第1実施形態の製造方法とは相違する。
【0053】
第2実施形態に係る台紙付き包装体の製造方法によれば、図2Bに示すような熱収縮したフィルム11で包装されたフィルム包装物品21を得た後、フィルム包装物品21の所定位置に、溶融・発泡状態の接着剤層13を設け、これを台紙12と接合させる。
【0054】
第2実施形態の方法によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、フィルム包装物品21に接着剤層13を形成しているので、フィルム包装物品21と台紙12を接合する際に、接着剤層13の位置と接合位置がずれることをより確実に防止できる。熱収縮したフィルム11や物品20への熱的な影響を考慮すると、溶融・発泡状態の接着剤層13は、図2Cに示すように台紙12側に形成する第1実施形態が好ましい。しかし、例えば、図4に示すように、物品が歯ブラシ等の幅細の場合など、若干の位置ずれにより接合不良に繋がりやすい場合等において特に有用である。また、一つの台紙に複数のフィルム包装物品21を接合したい場合や、開口部等を有する複雑な形状の物品を包装したい場合等においても第2実施形態が有用である。
【0055】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る台紙付き包装体の製造方法は、以下の点を除く基本的な構成、製造方法は第1実施形態と同様である。即ち、第3実施形態の製造方法は、熱収縮し得るフィルム付き台紙を製造し、その後に、熱収縮し得るフィルム10内に物品を挿入した後、熱収縮し得るフィルム10を熱収縮させて台紙付き包装体を製造する方法である。つまり、この第3実施形態は、物品を被覆する工程よりも先に、台紙12と熱収縮し得るフィルム10とを貼り合わせている点で、第1実施形態とは相違する。この第3実施形態について図5A図5Cおよび図6を参照しつつ説明する。
【0056】
第3実施形態においては、まず、図5Aに示すように台紙12上に接着剤層13を形成する(ステップ1a)。接着剤層13は、前述したように、熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤に気泡を含有させた発泡ホットメルト接着剤層である。ホットメルト接着剤を発泡させる方法は、第1実施形態と同様の方法を挙げることができる。
【0057】
その後、溶融・発泡状態の接着剤層13を介在して熱収縮し得るフィルム10を台紙12の所定位置に接触させて所定の圧力で押圧することにより、熱収縮し得るフィルム10と台紙12とを貼り合わせ、熱収縮し得るフィルム付き台紙2を得る(ステップ2a、図5B参照)。例えば、熱収縮し得るフィルム10と台紙12を2つの押圧ローラにより所望の圧力でローリングすることができる。製造工程の効率化の観点から、ステップ1aとステップ2aは、接着剤層13を塗布後、発泡ホットメルト接着剤が溶融している状態を維持している間に、直ちに熱収縮し得るフィルム10と台紙12を貼り合わせることが好ましい。なお、図5A図5Bでは、熱収縮し得るフィルム10として円筒状のものを示すが、第1実施形態の場合と同様、例えばシート状の熱収縮し得るフィルム10を円筒状に丸め、重なり部分を接着剤により接合したものを用いることもできる。
【0058】
熱収縮し得るフィルム10と台紙12を、溶融・発泡状態の接着剤層13を介して貼り合わせ後、接着剤層13が固化するように冷却することが好ましい。冷却は、自然冷却でもよいし、強制的に冷却してもよい。この工程により、熱収縮し得るフィルム10と台紙12が貼り合わされ、熱収縮し得るフィルム付き台紙2が得られる(図5B参照)。
【0059】
次いで、円筒状の熱収縮し得るフィルム10内に被包装物である物品20を挿入して(図5C参照)、熱収縮し得るフィルム10を熱収縮させることにより、例えば図1Aのような熱収縮したフィルム11で包装がなされた物品21を台紙12上に固定してなる台紙付き包装体を得る(ステップ3a)。なお、接着剤層13を塗布した台紙12を予め作製しておき、熱収縮し得るフィルム10と台紙12を接合する際に、再度、接着剤層13を加熱溶融させて台紙12と熱収縮し得るフィルム10を接合してもよい。
【0060】
第3実施形態に係る熱収縮し得るフィルム付き台紙2における接着剤層13は、目視において発泡を確認できる。但し、前述した式(2)の値よりも、通常、発泡倍率が小さくなる。これは、熱収縮し得るフィルム10と台紙12との貼り付け工程や、熱収縮し得るフィルム10に物品20を挿入後、熱収縮し得るフィルム10を熱収縮させるフィルム工程の際、接着剤層13中の気泡が減少するためである。また、接着剤層13自体の接着特性ゆえに接合力の方が強くなるため、気泡がつぶれて見かけ上の発泡倍率が少なくなることがある。また、物品挿入後に、物品の質量等により気泡同士が接合する場合もある。従って、製造工程や経時にて、発泡倍率が多少は初期より小さくなる。熱収縮し得るフィルム付き台紙における接着剤層の発泡倍率および物品挿入後の台紙付き包装体の接着剤層の発泡倍率は、接着力や追随性を効果的に保つ観点から、前述したとおり、上記式(1)より算出される値が上述した所定範囲に入っていることが好ましい。
【0061】
第3実施形態に係る台紙付き包装体およびその製造方法によれば、発泡ホットメルト接着剤層を用いているので上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
[第4実施形態]
次に、第3実施形態とは異なる台紙付き包装体の製造方法の一例について説明する。第4実施形態に係る台紙付き包装体の製造方法は、以下の点を除く基本的な製造方法は第3実施形態と同様である。即ち、第4実施形態においては、熱収縮し得るフィルム付き台紙を製造する際、熱収縮し得るフィルム10上に接着剤層13を形成し、これを台紙12に貼り合わせる点において、台紙12上に接着剤層13を形成し、これを熱収縮し得るフィルム10と貼り合わせる第3実施形態の製造方法とは相違する。
【0063】
第4実施形態においては、まず、熱収縮し得るフィルム10上に接着剤層13を形成する(ステップ1a)。次いで、これを台紙12に貼り合わせることによって、図5Bに示すような熱収縮し得るフィルム付き台紙を得る。その後、図5Cに示すように、包装対象である物品20を熱収縮し得るフィルム10内に入れ、加熱処理することによって、熱収縮し得るフィルム10を熱収縮させ、物品20に密着させ、図1に示すような台紙付き包装体を得ることができる。
第4実施形態の方法によれば、上記第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
≪実施例≫
以下に本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」をそれぞれ表すものとする。
【0065】
[製造例(発泡ホットメルト接着剤の製造例)]
〈製造例1〉
加熱装置を備えた卓上ニーダー(入江商会製PNV−1H)に粘着付与樹脂1を480g、エラストマー1を160g、酸化防止剤8gを加え、120〜140℃で3時間加熱攪拌した。攪拌中は真空ポンプにより減圧させて熱劣化を防いだ。エラストマーの溶け残りがないことを確認し、製造例1のホットメルト接着剤を得た。
〈製造例2〜8〉
粘着付与樹脂、エラストマーの種類、部数、撹拌条件を表1に従って変更した以外は、上記製造例1と同様の方法において製造例2〜8のホットメルト接着剤を得た。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に記載の粘着付与樹脂、エラストマー、酸化防止剤の略号を以下に示す。
粘着付与樹脂1:芳香族部分水添樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂2:芳香族水添樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂3:部分水添テルペン樹脂、軟化点105℃
粘着付与樹脂4:水添テルペン樹脂、軟化点105℃
粘着付与樹脂5:ロジンエステル、軟化点108℃
粘着付与樹脂6:水添ロジンエステル、軟化点105℃
エラストマー1:スチレン−イソプレン−スチレン共重合体
MFR15g/10分(JISK7210 200℃/10kg)
エラストマー2:スチレン−エチレン/ポリイソプレン−スチレン共重合体
MFR100g/10分(JISK7210 200℃/10kg)
エラストマー3:スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体
MFR20g/10分(JISK7210 200℃/5kg)
エラストマー4:スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体
MFR8g/10分(JISK7210 200℃/5kg)
エラストマー5:スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体
MFR11g/10分(JISK7210 200℃/5kg)
エラストマー6:スチレン−水添ポリ(イソプレン/ブタジエン)−スチレン共重合体
MFR<0.1g/10分(JISK7210 200℃/10kg)
酸化防止剤:リン系加工安定剤+ヒンダードフェノール系酸化防止剤、密度1.1g/cm(20℃)
【0068】
<軟化点>
環球法により測定した。規定の環に試料を充填し、グリセリン浴中に水平に保持した。試料の中央に規定の球(JIS B 1501)を置き、グリセリンの温度を規定の速さで上昇させて、試料が軟化して球の重みにより試料または球が環台の底板に触れたときの温度を軟化点とした(JIS K 6863)。
【0069】
<粘度>
500mL容量の缶に気泡を含まない状態におけるホットメルト接着剤を300g入れた。ホットメルト接着剤の温度を180℃にした後に、B型回転粘度計(RB80L型粘度計)にローターM4をセットし、ローター標線までホットメルト接着剤を浸した。そして、回転数12rpmで30秒回転させたときの値を粘度とした(JIS K 6862)。
【0070】
<実施例1〜8(試料作製1)>
発泡ホットメルト塗布装置(サンツール社製CF−03)の溶融槽に、製造例1〜8のホットメルト接着剤を500g入れて180℃に加熱した。ホース、ノズルは、180℃に設定した。発泡倍率を2.5とし、約0.4gの接着剤を幅約5mm、長さ約10cm、台紙に塗布した。換算塗布量は4g/mとした。
別途、物品として日焼け止めジェルが120mL入った楕円円筒形状のプラスチックボトル(総質量140g)を用意し、当該物品をミシン目付きの熱収縮し得るフィルムで包んだ後に、ドライヤーにて熱風を当て、前記熱収縮し得るフィルムをシュリンクさせた包装物品(熱収縮したフィルムで包装された物品)を得た。
台紙に発泡ホットメルト接着剤層を形成し、オープンタイム8秒後に前記包装物品の熱収縮したフィルムと台紙とを貼り合わせることにより実施例1〜8の試料(台紙付き包装体)を得た。
<比較例1〜8(試料作製1)>
製造例1〜8のホットメルト接着剤に対して発泡処理しない(便宜上、「発泡倍率1」ともいう)以外は、上記実施例1〜8と同様にして比較例1〜8の試料(台紙付き包装体)を得た。
【0071】
製造例1〜8のホットメルト接着剤を用いて作製した試料の熱収縮したフィルム(以下、「シュリンクフィルム」ともいう)に対する熱的ダメージ試験、接着性試験を行なった。また、ホットメルト接着剤の発泡の有無による接着力を評価するために、製造例1〜8のホットメルト接着剤について、発泡・未発泡の各サンプルについて同一体積における接着力を求めた。評価結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
<シュリンクフィルムに対する熱的ダメージ試験>
試料作製1で得られた試料(台紙付き包装体)のシュリンクフィルムをミシン目から剥がして、前記物品であるプラスチックボトルを取り除き、発泡ホットメルト接着剤層(実施例)および未発泡ホットメルト接着剤層(比較例)と接しているシュリンクフィルム(熱収縮したフィルム)の熱収縮の状態を確認し、シュリンクフィルムに対する熱的ダメージを以下の基準で評価した。
○:シュリンクフィルムにシワ、収縮が見られなかった。
×:シュリンクフィルムにシワ、収縮が見られた。
【0074】
<接着性試験>
試料作製1で得られた各実施例、比較例の試料における接着剤層の接着性の状態を目視により以下の基準で評価した。
◎:シュリンクフィルムと台紙が接着し、かつ、曲面に対する追随性が優れている。
○:シュリンクフィルムと台紙が接着している。
×:シュリンクフィルムと台紙の接着に接着不良部がある。
【0075】
<同一体積時の接着力>
台紙に、6mLのホットメルト接着剤(発泡倍率2.5の発泡ホットメルト接着剤、未発泡(発泡倍率1)のホットメルト接着剤)を幅約10mm、厚さ約5mmのビード状に塗布し、オープンタイム10秒後に熱収縮し得るフィルムを貼り合わせることにより試料を作製した。そして、ホットメルト接着剤が充分冷めてから、23℃恒温室中で10分温調した後、23℃環境下、剥離角度180°角で300mm/分の条件で熱収縮し得るフィルムを剥がすときの接着力を測定した。得られた接着力について以下の基準で評価した。
○:剥離強度が20N以上。
×:剥離強度が20N未満。
【0076】
参考例9,13,14、実施例10〜12、比較例9(試料作製2)>
表1に示す製造例4のホットメルト接着剤を用い、発泡倍率を1〜10に適宜設定した以外は実施例1、比較例1と同様にして、参考例9,13,14、実施例10〜12、比較例9に係る試料(台紙付き包装体)を得た。
【0077】
得られたホットメルト接着剤を用いて作製した試料について、50℃中での剥がれ試験、23℃および0℃での接着力試験を行なった。その評価結果を表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】
<50℃中での剥がれ>
試料作製2で得られた試料を、50℃で温調されたオーブン中に吊り下げて72時間保存した時の試料の状態を以下の基準で評価した。
○:包装物品の剥がれが無く、かつ、貼り付け位置の位置ズレも無い。
△:包装物品の剥がれは無いが、貼り付け位置に10mm未満のズレが見られた。
×:包装物品の剥がれがある、又は/及び貼り付け位置に10mm以上のズレが見られた。
【0080】
<23℃における接着力>
試料作製2で得られた試料のシュリンクフィルムをミシン目から剥がして前記プラスチックボトルを取り除き、23℃の恒温室内で10分間温調後、23℃環境下で剥離角度180°角で300mm/分で剥がしたときの接着力を測定し、23℃中での接着力について以下の基準で評価した。
○:剥離強度が10N以上。
△:剥離強度が5N以上、10N未満。
×:剥離強度が5N未満。
【0081】
〈0℃における接着力〉
試料作製2で得られた試料のシュリンクフィルムをミシン目からで剥がして前記プラスチックボトルを取り除き、0℃の環境下にて10分間温調後、0℃環境下で剥離角度180°角で300mm/分で剥がしたときの接着力を測定し、以下の基準で評価した。
○:剥離強度が5N以上。
△:剥離強度が1N以上5N未満。
×:剥離強度が1N未満。
【0082】
発泡倍率2.5の発泡ホットメルト接着剤を用いた実施例1〜8(表2参照)は、同じホットメルト接着剤の未発泡(発泡倍率1.0)のホットメルト接着剤を用いた比較例1〜8に比して、優れた接着力が得られることがわかった。また、発泡させることにより未発泡に比してシュリンクフィルムに対する熱的ダメージも小さいことがわかった。
さらに表3の参考例9,13,14、実施例10〜12の結果より、発泡倍率1.5〜5の場合により優れた接着力が得られることがわかった。なお、参考例9,13,14、実施例10〜12について、台紙付き包装体を製造後、23℃で3か月保管した後に、発泡ホットメルト接着剤層の発泡状態を確認したところ、式(1)の発泡倍率1.1〜10の範囲に含まれていることを確認した。


【0083】
(付記1)
台紙と、
物品を包装するための熱収縮し得るフィルムと
前記熱収縮し得るフィルムと前記台紙とを接合する接着剤層と、を備えた熱収縮し得るフィルム付き台紙であって、
前記接着剤層は、熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤に気泡を含有する発泡ホットメルト接着剤層である、熱収縮し得るフィルム付き台紙。
(付記2)
台紙と、
熱収縮し得るフィルムとを接合する接着剤層と、を備えた熱収縮し得るフィルム付き台紙の製造方法であって、
熱により溶融と固化とを可逆的に繰り返し得るホットメルト接着剤を用意し、気泡を含有する発泡ホットメルト接着剤を形成する工程と、
前記台紙および前記熱収縮し得るフィルムの少なくともいずれかに前記発泡ホットメルト接着剤を用いて接着剤層を形成する工程と、
前記発泡ホットメルト接着剤層を介在して前記台紙と前記熱収縮し得るフィルムを接合する接合工程とを含む、熱収縮し得るフィルム付き台紙の製造方法。
【符号の説明】
【0084】
1 台紙付き包装体
2 熱収縮し得るフィルム付き台紙
10 熱収縮し得るフィルム
11 熱収縮したフィルム
12 台紙
13 接着剤層
14 吊り下げ孔
15 ミシン目
16 開封口
20 物品
21 フィルム包装物品
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6