特許第5719857号(P5719857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719857
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】排気浄化システム及びオゾン生成装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20150430BHJP
   C01B 13/10 20060101ALI20150430BHJP
   B01D 53/94 20060101ALN20150430BHJP
【FI】
   F01N3/08 DZAB
   C01B13/10 B
   C01B13/10 D
   F01N3/08 B
   !B01D53/36 101A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-18136(P2013-18136)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-148937(P2014-148937A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年2月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】津曲 一郎
(72)【発明者】
【氏名】川田 吉弘
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3884819(US,A)
【文献】 特開2013−10647(JP,A)
【文献】 特開平6−24710(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/094907(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
C01B 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気通路に設けられた選択還元型触媒と、
前記排気通路のうち前記選択還元型触媒流に尿素系流体を供給する流体供給装置と、
料ガスを高酸素濃度ガス及び高窒素濃度ガスに分離するガス分離部と、
前記高酸素濃度ガスが導入されるオゾン生成空間を有し、導入された前記高酸素濃度ガスからオゾンを生成するオゾン発生器と、
前記排気通路のうち前記選択還元型触媒流にオゾンを供給するオゾン供給部と、
記高窒素濃度ガスを冷気及び暖気に分けて排出するボルテックスチューブと、
前記ボルテックスチューブから排出された冷気を前記オゾン発生器に当てることによって前記オゾン生成空間を冷却する冷却装置とを備えた排気浄化システム。
【請求項2】
記ボルテックスチューブから排出される暖気を前記流体供給装置に導く暖気通路と、
前記暖気通路を介して送られた暖気によって前記尿素系流体を昇温する熱交換部と、
前記暖気通路を開閉するバルブとをさらに備える請求項1に記載の排気浄化システム。
【請求項3】
記ボルテックスチューブから排出される暖気を前記エンジンに向けて導く暖気通路と、
前記暖気通路を介して送られた暖気によって前記エンジンを暖機する熱交換部と、
前記暖気通路を開閉するバルブとをさらに備える請求項1に記載の排気浄化システム。
【請求項4】
前記ボルテックスチューブは第1のボルテックスチューブであり、
記高酸素濃度ガスを冷気及び暖気に分けてそれぞれ排出する第2のボルテックスチューブをさらに備え、
前記第2のボルテックスチューブから排出された冷気を前記オゾン発生器に導入して低温の前記高酸素濃度ガスからオゾンを生成する請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気浄化システム。
【請求項5】
気を圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサから送られた圧縮ガスを乾燥し、乾燥した圧縮ガスを前記ガス分離部に送るドライヤとをさらに備え、
前記冷却装置は、
前記ドライヤによって前記圧縮ガスから除去された水分を前記オゾン発生器まで導く排水供給路と、
前記オゾン発生器に設けられた吸湿材とをさらに備え、
前記冷却装置は、前記水分を前記吸湿材に浸透させるとともに前記ボルテックスチューブから噴射される冷気を前記吸湿材に当てることによって、前記吸湿材に浸透した水を気化させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の排気浄化システム。
【請求項6】
料ガスを高酸素濃度ガス及び高窒素濃度ガスに分離するガス分離部と、
前記高酸素濃度ガスが導入されるオゾン生成空間を有し、導入された前記高酸素濃度ガスからオゾンを生成するオゾン発生器と、
記高窒素濃度ガスを冷気及び暖気に分けて排出するボルテックスチューブと、
前記ボルテックスチューブから排出された冷気を前記オゾン発生器に当てることによって前記オゾン生成空間を冷却する冷却装置とを備えたオゾン生成装置。
【請求項7】
前記ボルテックスチューブは第1のボルテックスチューブであり、
記高酸素濃度ガスを冷気と暖気とに分けて排出する第2のボルテックスチューブをさらに備え、
前記第2のボルテックスチューブから排出された冷気を前記オゾン発生器に導入し、低温の前記高酸素濃度ガスからオゾンを生成する請求項6に記載のオゾン生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンを用いて排ガスを浄化する排気浄化システム、及びオゾンを生成するオゾン生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは強い酸化力を有するため、汚染物質の分解や殺菌等の目的で幅広い分野で利用されている。オゾンが利用される装置の一つに、エンジンの排ガスを浄化する排気浄化システムがある。
【0003】
排気浄化システムとして、選択還元型触媒を用いたシステム(尿素SCRシステム)が既に実用化されているが、当該システムの一つとして尿素系流体とともにオゾンを選択還元型触媒の上流側に添加する選択還元型触媒システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。排ガスにオゾンを添加することによって、排ガスに含まれる一酸化窒素(NO)の一部を二酸化窒素(NO)に変換し、排ガスに含まれるNO及びNOの比率が1対1に近付ける。NO及びNOの比率が1対1に近付くと、NO及びNOがNに還元される反応が速く進行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−193620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、オゾンは、自己分解しやすい性質をもつ。オゾンの自己分解が進行する条件は複数あるが、例えば40℃等の高温下でもオゾンの自己分解が進む。従って一般的なオゾン生成装置には、空冷ファンや水冷装置等の冷却装置が備えられている。
【0006】
オゾン生成効率を高めるには冷却効果が高い冷却装置が必要であるが、このような冷却装置は大型化する傾向にある。特に排気浄化システムでは、冷却装置を搭載可能な車両上のスペースが限られ、しかも冷却装置がエンジン等から放出される熱の影響を受けやすいといった問題があった。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、排気浄化システム及びオゾン生成装置におけるオゾン生成効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する排気浄化システムは、エンジンの排気通路に設けられた選択還元型触媒と、前記排気通路のうち前記選択還元型触媒よりも上流側に尿素系流体を供給する尿素系流体供給装置と、オゾンの原料ガスを高酸素濃度ガス及び高窒素濃度ガスに分離するガス分離部と、前記高酸素濃度ガスをオゾン生成空間に導入してオゾンを生成するオゾン発生器と、前記排気通路のうち前記選択還元型触媒よりも上流側にオゾンを供給するオゾン供給部と、前記ガス分離部の下流に設けられ、該ガス分離部によって分離された前記高窒素濃度ガスを導入し冷気及び暖気に分けて排出するボルテックスチューブと、前記ボルテックスチューブから供給された冷気を前記オゾン発生器に当てて前記オゾン生成空間を冷却する冷却装置とを備えた。
【0008】
この態様によれば、選択還元型触媒の上流側に尿素系流体及びオゾンを添加してNOxを窒素に還元する反応を促進する排気浄化システムにおいて、ガス分離部によって分離された高酸素濃度ガスをオゾン発生器に供給してオゾン濃度を高める一方、ガス分離部によって分離された高窒素濃度ガスをボルテックスチューブに導入して冷気及び暖気に分ける。そして、分けられた冷気をオゾン発生器に当てることによってオゾン生成空間を冷却する。このため、オゾン生成空間におけるオゾンの自己分解が抑制されるため、オゾン生成効率を高めることができる。
【0009】
上記排気浄化システムにおいて、前記高窒素濃度ガスを分離するボルテックスチューブから排出される暖気を前記尿素系流体供給装置に導く暖気通路と、前記暖気通路を介して送られた暖気によって前記尿素系流体を昇温する熱交換部と、暖気通路を開閉するバルブとを備えることが好ましい。
【0010】
この態様によれば、分離されたボルテックスチューブから排出される暖気を尿素系流体の昇温に用いるので、暖気の熱エネルギーを有効利用できる。また、バルブを制御することで、例えば低温環境下において尿素系流体の凍結を抑制することができる。
【0011】
上記排気浄化システムにおいて、前記高窒素濃度ガスが導入されるボルテックスチューブから排出される暖気を前記エンジン側に導く暖気通路と、前記暖気通路を介して送られた暖気によって前記エンジンを暖機する熱交換部と、前記暖気通路を開閉するバルブとを備えることが好ましい。
【0012】
この態様によれば、分離されたボルテックスチューブから排出される暖気をエンジンの暖機に用いるので、暖気の熱エネルギーを有効利用できる。また、バルブを制御することで、例えば始動時等の必要なときにエンジンの暖機を行うことができる。
【0013】
上記排気浄化システムにおいて、前記ガス分離部によって分離された前記高酸素濃度ガスを冷気及び暖気に分離してそれぞれ排出するボルテックスチューブを備え、前記ボルテックスチューブから排出された冷気を前記オゾン発生器に導入して低温の前記高酸素濃度ガスからオゾンを生成することが好ましい。
【0014】
この態様によれば、排気浄化システムは、高窒素濃度ガスを冷気及び暖気に分離するボルテックスチューブに加えて、高酸素濃度ガスを冷気及び暖気に分離するボルテックスチューブを備え、その冷気をオゾン発生器に導入した。即ち、空気そのものを冷却するのではなく、オゾン生成反応に係る酸素をボルテックスチューブによって集中的に冷却する。従って、オゾン生成空間が冷却できるとともに、オゾンの原料となる酸素に対しても冷却効果が高められるため、オゾン生成効率を向上することができる。
【0015】
上記排気浄化システムにおいて、前記ガス分離部よりも上流側に設けられ空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサから送られた圧縮ガスを乾燥して前記ガス分離部に送るドライヤとを備え、前記冷却装置は、前記ドライヤによって前記圧縮ガスから除去された水分を前記オゾン発生器まで導く排水供給路と、前記オゾン発生器に設けられた吸湿材とを備え、前記水分を前記吸湿材に浸透させるとともに、前記ボルテックスチューブから噴射した冷気を前記吸湿材に当てて前記吸湿材に浸透した水を気化させることが好ましい。
【0016】
この態様によれば、水分を吸収した吸湿材に冷気を当てることによって浸透した水の気化を促し、オゾン発生器の冷却効果を高めることができる。また、水分は吸湿材全体に浸透するので、オゾン発生器全体を冷却することができる。このため、吸湿材を介してオゾン生成空間が冷却され、オゾンの自己分解を抑制することができる。
【0017】
上記課題を解決するオゾン生成装置は、オゾンの原料ガスを高酸素濃度ガス及び高窒素濃度ガスに分離するガス分離部と、前記高酸素濃度ガスを用いてオゾン生成空間でオゾンを生成するオゾン発生器と、前記ガス分離部の下流に設けられ、該ガス分離部により分離された前記高窒素濃度ガスを冷気及び暖気に分離して排出するボルテックスチューブと、前記ボルテックスチューブから供給された冷気を前記オゾン発生器に当てて前記オゾン生成空間を冷却する冷却装置とを備えた。
【0018】
この態様によれば、ガス分離部によって分離された高酸素濃度ガスをオゾン発生器に供給してオゾン濃度を高める一方、ガス分離部によって分離された高窒素濃度ガスをボルテックスチューブに導入して冷気及び暖気に分けた。そして、分けられた冷気をオゾン発生器に当てることによってオゾン生成空間を冷却した。このため、オゾン生成空間で生成されたオゾンの自己分解が抑制されるため、オゾン生成効率を高めることができる。
【0019】
上記課題を解決する排気浄化システムは、エンジンの排気通路に設けられた選択還元型触媒と、前記排気通路のうち前記選択還元型触媒よりも上流側に尿素系流体を供給する尿素系流体供給装置と、オゾンの原料ガスを高酸素濃度ガス及び高窒素濃度ガスに分離するガス分離部と、前記高酸素濃度ガスを用いてオゾン生成空間でオゾンを生成するオゾン発生器と、前記排気通路のうち前記選択還元型触媒よりも上流側にオゾンを供給するオゾン供給部と、前記ガス分離部の下流に設けられ、該ガス分離部によって分離された前記高酸素濃度ガスを冷気と暖気とに分離して排出するボルテックスチューブとを備え、前記ボルテックスチューブから供給された冷気を前記オゾン発生器に導入し、低温の前記高酸素濃度ガスからオゾンを生成する。
【0020】
上記課題を解決するオゾン生成装置は、オゾンの原料ガスを高酸素濃度ガス及び高窒素濃度ガスに分離するガス分離部と、前記高酸素濃度ガスを用いてオゾン生成空間でオゾンを生成するオゾン発生器と、前記ガス分離部の下流に設けられ、該ガス分離部によって分離された前記高酸素濃度ガスを冷気と暖気とに分離して排出するボルテックスチューブとを備え、前記ボルテックスチューブから供給された冷気を前記オゾン発生器に導入し、低温の前記高酸素濃度ガスからオゾンを生成する。
【0021】
これらの態様によれば、ガス分離部によって高酸素濃度ガスを分離した後、該高酸素濃度ガスをボルテックスチューブによって冷気及び暖気に分離し、高酸素濃度の冷気をオゾン発生器に導入する。即ち、空気そのものを冷却するのではなく、オゾン生成反応に係る酸素をボルテックスチューブによって集中的に冷却する。従って、オゾン生成空間が冷却できるとともに、オゾンの原料となる酸素に対しても冷却効果が高められるため、オゾン生成効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明における排気浄化システムを具体化した第1実施形態をエンジンとともに示す概略図。
図2】同排気浄化システムの概略図。
図3】同システムを構成するボルテックスチューブの概略図。
図4】同システムを構成するオゾン発生器の要部を示す概略図。
図5】本発明における排気浄化システムを具体化した第2実施形態をエンジンとともに示す概略図。
図6】同排気浄化システムの概略図。
図7】本発明における排気浄化システムを具体化した第3実施形態をエンジンとともに示す概略図。
図8】本発明における排気浄化システムを具体化した変形例をエンジンとともに示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、排気浄化システム及びオゾン生成装置の第1実施形態を説明する。本発明では、排気浄化システムが搭載される車両を、ディーゼルエンジンが搭載された車両に具体化して説明する。
【0024】
図1に示すように、エンジン11の吸気マニホールド12には吸気通路13が接続され、排気マニホールド14には排気通路15が接続されている。吸気通路13の途中にはターボ過給機16のコンプレッサ17が設けられ、排気通路15の途中にはターボ過給機16のタービン18が設けられている。
【0025】
(排気浄化システムの構成)
排気通路15のうち、タービン18の下流側には、排気浄化システム20が設けられている。排気浄化システム20は、排気通路15に図示しない酸化触媒、DPF(Diesel Particulate Filter)、選択還元型触媒21を備えている。選択還元型触媒21は、排気通路15のうち酸化触媒及びDPFよりも下流側に設けられている。この選択還元型触媒21は公知の触媒であって、例えばハニカム担体にゼオライト又はジルコニアを担持させたものである。
【0026】
また、排気浄化システム20は、尿素水供給装置22、オゾン生成装置30、及びそれらを制御するECU50を備えている。オゾン生成装置30は原料ガスからオゾンを生成し、生成したオゾンを排気通路15の選択還元型触媒21よりも上流側に供給する。排ガスにオゾンが添加されると、排気ガスに含まれるNOが、反応式(1)のようにNOに酸化される。
NO+O→NO+O・・・(1)
【0027】
尿素水供給装置22は、尿素系流体としての尿素水を貯留するとともに、尿素水を排気通路15の選択還元型触媒21よりも上流側に供給する。尿素水は、排ガスの熱で加水分解してアンモニアとなる。アンモニアは、反応式(2)のように、排ガスに含まれる一酸化窒素及び二酸化窒素と反応し、それらを窒素に還元する
NO+NO+NH→2N+3HO・・・(2)
【0028】
反応式(2)に示すように、NO:NOの比が1:1に近づくと反応が速く進行する。このため、オゾンを添加することにより、NOをNOに酸化して、それら比率を1:1に近づける。
【0029】
(尿素水供給装置)
尿素水供給装置22は、尿素水を貯留した尿素水タンク23、尿素水を選択還元型触媒21の上流に添加する尿素水供給ノズル24、及び尿素水タンク23及び尿素水供給ノズル24を接続する尿素水供給路25を備えている。尿素水供給路25の途中には、尿素水を尿素水タンク23から尿素水供給ノズル24に圧送するポンプ26、及び尿素水の供給量を調整する流量調整弁27が設けられている。ECU50は、ポンプ26を駆動するとともに、流量調整弁27の開度を制御する。またECU50は、駆動パルスを尿素水供給ノズル24に印加し、駆動パルスを受信した尿素水供給ノズル24は開弁して排気通路15に尿素水を噴射する。
【0030】
(オゾン生成装置)
次にオゾン生成装置30について説明する。オゾン生成装置30は、オゾン生成空間を有するオゾン発生器31を備えている。オゾン発生器31は、公知の構成の装置であって、電子線照射式、放射線照射式、光照射式、電解式等があるが、本実施形態では無声放電式の装置を用いている。オゾン発生器31は、オゾン発生空間を介して設けられた一対の電極板、電極板の間に介在する誘電体、及び交流高圧電源を備えている。交流高圧電源により電極間に高電圧を印加することによってオゾン発生空間の酸素からオゾンを発生する。
【0031】
オゾン発生器31の上流側には空気導入路35が連結されている。空気導入路35の始端は大気に開放され、外部空気を吸入する。空気導入路35の途中には、大気開放口側からコンプレッサ36、ドライヤ37及びガス分離部としての酸素富化ユニット38が設けられている。コンプレッサ36は、大気開放口から導入した空気を圧縮してドライヤ37に導入する。ドライヤ37は、例えば中空糸膜を用いたドライヤであって、圧縮空気を乾燥して酸素富化ユニット38に供給する。
【0032】
酸素富化ユニット38は、窒素に比べて酸素透過性が高い酸素富化膜を有している。酸素富化膜は、その透過速度の違いによって圧縮空気を、高酸素濃度ガストしての酸素富化ガスと、高窒素濃度ガスとしての窒素富化ガスとに分離する。酸素富化膜は、酸素及び窒素を完全分離するのではなく、例えば酸素濃度が20%の圧縮空気を、酸素濃度35%程度にまで高める。また、酸素富化膜の一次圧が0.5MPa〜1MPaの場合、酸素富化膜の背圧は数Paに達する。
【0033】
酸素富化ユニット38には、酸素富化膜を透過した酸素富化ガスが圧送される第1供給路35aと、窒素富化ガスが圧送される第2供給路35bとが連結されている。第1供給路35aの出口はオゾン発生器31に連結されている。即ち、オゾン発生器31には酸素富化ガスが導入される。このように酸素富化ガスからオゾンを生成することにより、同じガス流量及びオゾン発生器31へ供給される電力で比較して、約1.75倍の量のオゾンを生成することができる。
【0034】
オゾン発生器31の下流には、オゾン供給路33が設けられ、オゾン供給路33の途中には、流量調整弁34が設けられている。ECU50は、流量調整弁34の開度を制御して、排気通路15に供給されるオゾン量を調整する。オゾン供給路33の先端には、オゾン供給ノズル32が設けられている。オゾン供給ノズル32の吐出口は、排気通路15のうち尿素水供給ノズル24よりも上流側に設けられている。ECU50は、駆動パルスをオゾン供給ノズル32に印加し、駆動パルスを受信したオゾン供給ノズル32は開弁して排気通路15にオゾンを噴射する。
【0035】
またECU50は、選択還元型触媒21に導入される排気の温度を検出する温度センサ51、エンジン回転数を検出する回転センサ52、例えばスロットルポジションセンサ等の負荷センサ53からそれぞれ検出信号を入力する。ECU50は、流量調整弁27,34の開度、ポンプ駆動時間、オゾン発生器31の動作条件等を、エンジン回転数、エンジン負荷、排ガス温度に応じて変化させたデータ又はマップを格納している。また、ECU50は、排気温度、負荷等に応じて変化させたNO:NOの比率を示す比率マップを格納している。ECU50は、その時々のエンジン運転状態とマップとを比較してNO:NOの比率を推測し、その比率等からオゾン供給量を算出する。そしてECU50は、オゾン供給量に応じた条件でコンプレッサ36を駆動する。
【0036】
またオゾン生成装置30には、オゾン発生器31を冷却する冷却装置40が設けられている。図2に示すように、冷却装置40は、コンプレッサ36、ドライヤ37及びボルテックスチューブ41から構成されている。即ちコンプレッサ36及びドライヤ37は、オゾン発生器31の冷却装置40としても機能している。
【0037】
酸素富化ユニット38から分岐した第2供給路35bは、ボルテックスチューブ41の導入口41bに接続されている。図3に示すように、ボルテックスチューブ41は公知の構成であって、内側に流路41fを備えたチューブ41a、チューブ41a内の流路41fにそれぞれ連通する導入口41b、流路41fに連通する冷気導出口41c及び暖気導出口41dを備えている。上述したように導入口41bからは窒素富化ガスが導入され、窒素富化ガスは流路41fに供給される。流路41f内では窒素富化ガスがらせん状に高速で回転し、暖気導出口41d側で、暖気及び冷気に分離される。暖気は暖気導出口41dから噴射される。また暖気導出口41dはドライヤ37に接続されている。ドライヤ37に戻された暖気は、コンプレッサ36から圧送される外部空気が通過するドライヤ内の流路とは別の流路を通って、ドライヤで分離された水分と一緒にドライヤ外に排出される。冷気は暖気導出口41dの手前で折り返して流路41f内を回転しながら逆方向に進み、冷気導出口41cから排出される。
【0038】
図2に示すように、冷気導出口41cは冷気通路41eを介してオゾン発生器31に接続されている。また、ドライヤ37から排出されるドレン水は、排水供給路37aに供給される。尚、ここでいう「ドレン水」は、ドライヤ37から排出された水分であって、液体としての水及び水蒸気の両方を含む。またこのときドレン水は、ボルテックスチューブ41からドライヤ37に戻された暖気によって押し出される。排水供給路37aの先端はオゾン発生器31のうち第1供給路35aとは異なる位置に接続されている。
【0039】
図4に示すように、オゾン発生器31は、電極を収容した本体31aの外側に吸湿材31bを備えている。本体31aを構成する筐体は、オゾンに対する耐久性が高く、且つ熱伝導性が高い金属材からなる。吸湿材31bは、例えば筐体の壁部と同じ大きさの板状の部材であって、ゼオライト、ジルコニア、多孔質グラファイト材等の吸湿性が高い物質から構成されている。この吸湿材31bの近傍には、排水供給路37aの出口が設けられている。排水供給路37aの出口は、吸湿材31bに接触させるか、或いは吸湿材31bの表面近傍に配置される。吸湿材31bは、排水供給路37aの出口から排出されるドレン水を受け止めて吸収する。吸湿材31bに排出されたドレン水は注入された箇所から吸湿材31b全体に浸透していく。
【0040】
また、ボルテックスチューブ41に接続する冷気通路41eの出口は、吸湿材31bの表面近傍に設けられている。また、冷気通路41eの出口は、その中心軸が吸湿材31bの表面に対して斜めとなる角度に配置されている。このため、冷気通路41eの出口から噴射される冷気は、吸湿材31bの表面に対して斜めに入射するので、吸湿材31bのうち冷気が曝される範囲を、冷気が表面に垂直に入射する配置に比べ、広範囲にすることができる。
【0041】
ドレン水が浸透した吸湿材31bに乾燥した冷気が噴射されることにより、吸湿材31bが冷却されるとともにドレン水が気化される。冷気がオゾン発生器31に噴射されるのみでもオゾン生成空間は冷却されるが、吸湿材31bのドレン水の気化に伴って吸湿材31bから奪われる気化熱により、吸湿材31bはさらに冷却される。また、噴射される冷気は乾燥されているので、ドレン水の気化を促進することができる。
【0042】
吸湿材31bが冷却されることにより本体31aが全体的に冷却され、電極を介してオゾン生成空間が冷却される。オゾンは40℃付近で自己分解速度が促進され、低温で生成効率が高められる。また、ボルテックスチューブ41は、細長状で例えば数百mmであるため、冷却装置40の大型化を抑制することができる。
【0043】
(動作)
次に、排気浄化システム20の動作について説明する。本実施形態ではECU50は、排ガス温度に基づいて、オゾン生成装置30の駆動を開始する。例えば温度センサ51から取得した排ガス温度が200℃以下の低温であるとき、ECU50は、オゾン生成装置30を駆動し、排ガス温度が200℃超の高温であるときオゾン生成装置30を停止する。排ガス温度が200℃超のとき、排ガスに含まれるNOの一部をNOに変換しなくても、NOxが選択還元型触媒21でアンモニアと反応してNに速やかに還元されるためである。
【0044】
また、ECU50は、記憶部に格納された上記比率マップ、及びエンジン11の運転状態に基づき、単位時間あたりに排出されるNO量を推定し、NOの量と同じ質量、又はNOの量に対して所定の割合の質量を、単位時間あたりオゾン供給量として算出する。そして算出したオゾン供給量に基づき、コンプレッサ流量及び流量調整弁34の開度を調整する。また、ECU50は、オゾン供給量に基づき、オゾン発生器31の電極に印加するパルスの周波数、出力パワー等の放電条件を設定する。
【0045】
また、ECU50は、エンジン11の運転状態及び選択還元型触媒21の状態に基づいて、選択還元型触媒21へ噴射する尿素水の単位時間当りの噴射量を、所定の演算周期毎に算出する。エンジン11の運転状態は、温度センサ51、回転センサ52及び負荷センサ53等に基づいて判断する。選択還元型触媒21の状態は、既に尿素水を噴射した積算値、又は排気通路15に設けられたNOxセンサ等により判断する。尿素水の噴射量が決定すると、ECU50は、ポンプ26を駆動するとともに流量調整弁27の開度をその噴射量に応じて制御し、尿素水供給ノズル24に駆動パルスを印加する。その結果、尿素水供給ノズル24が駆動パルスに応じて開き、尿素水が排気通路15に噴射される。
【0046】
コンプレッサ36がECU50により駆動されると、外気が空気導入路35の入口から導入され、ドライヤ37に圧送される。ドライヤ37により乾燥された乾燥エアは、酸素富化ユニット38に供給され、酸素富化ガス及び窒素富化ガスに分離される。酸素富化ガスはオゾン発生器31の電極間に導入される。この電極間の放電によって、酸素分子の励起や解離等が発生してオゾンが生成される。生成されたオゾンはオゾン供給路33を介してオゾン供給ノズル32へ送られる。ECU50は駆動パルスを所定間隔でオゾン供給ノズルに印加し、オゾン供給ノズル32は受信した駆動パルスにより開弁し、オゾンを排気通路15に噴射する。
【0047】
上述したように、排気通路15に噴射されたオゾンは、排気に含まれるNOをNOに酸化して、NO:NOの比率を1:1に近づける。また、排気通路15に噴射された尿素水は、加水分解してアンモニアに変換される。選択還元型触媒21は、アンモニアとNO及びNOとを反応させてNO及びNOをNに還元し、下流に送り出す。
【0048】
またオゾン発生器31を駆動するとき、ECU50は第2供給路35bの途中に設けられた流量調整弁35cを開状態とする。第2供給路35bに供給される窒素富化ガスは、ボルテックスチューブ41の導入口41bから内部へ導入される。
【0049】
ボルテックスチューブ41によって分離された冷気は、冷気通路41eを介してオゾン発生器31の吸湿材31bに噴射される。またボルテックスチューブ41によって分離された暖気は、管路を介してドライヤ37に戻される。
【0050】
ドライヤ37から排出されたドレン水は、排水供給路37aを介して吸湿材31bに吐出される。吸湿材31bは、ボルテックスチューブ41から圧送された冷気によって冷却されるとともに、ドレン水の気化熱によってさらに冷却される。吸湿材31bはオゾン発生器31の熱を吸収し、本体31aの筐体を介してオゾン生成空間を冷却する。そしてオゾン生成空間の温度が低下した結果、オゾンの自己分解が抑制され、オゾン生成効率が高められる。
【0051】
以上説明したように、第1実施形態の排気浄化システムによれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)第1実施形態によれば、排気浄化システム20は、尿素水供給装置22により選択還元型触媒21に尿素を添加するシステムであって、空気を酸素富化ガス及び窒素富化ガスに分離する酸素富化ユニット38と、酸素富化ガスを用いてオゾンを生成し、排気通路15のうち選択還元型触媒21よりも上流側にオゾンを供給するオゾン生成装置30とを備える。また排気浄化システム20は、酸素富化ユニット38の下流に設けられ、酸素富化ユニット38によって分離された窒素富化ガスを導入し冷気及び暖気に分けて排出するボルテックスチューブ41と、ボルテックスチューブ41から供給された冷気をオゾン発生器31に当てて該オゾン発生器31を冷却する冷却装置40とを備えた。このため、ボルテックスチューブ41から噴射される冷気によってオゾン発生器31に対する冷却効果が高められるので、オゾン発生器31におけるオゾンの自己分解を抑制することができる。従って冷却装置を大型化することなく、オゾン生成効率を高めることができる。
【0052】
(2)第1実施形態では、排気浄化システム20は、酸素富化ユニット38よりも上流側に設けられ空気を圧縮するコンプレッサ36と、該コンプレッサ36から送られた圧縮ガスを乾燥して酸素富化ユニット38に送るドライヤ37とを備える。また排気浄化システム20は、ドライヤ37によって圧縮ガスから除去された水分であるドレン水をオゾン発生器31まで導く排水供給路37aと、ドレン水を吸収しボルテックスチューブ41の冷気が噴射される吸湿材31bとを備える。このため、吸湿材31bに吸収されたドレン水の気化が促進されるので、単にオゾン発生器31に冷気を噴射する構成に比べ、オゾン生成空間を低温にすることが可能となる。また、ドレン水は吸湿材31b全体に浸透するので、このドレン水の気化により、本体31aを全体的に冷却することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図5及び図6にしたがって説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態のオゾン生成装置30を変更したのみの構成であるため、同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0054】
図5に示すように、オゾン生成装置30は、酸素富化ユニット38の下流であって、窒素富化ガスが圧送される第2供給路35bにボルテックスチューブ41を備えるとともに、酸素富化ガスが圧送される第1供給路35aにボルテックスチューブ42を備える。以下、第1供給路35aに設けられるボルテックスチューブ42を第1のボルテックスチューブ42といい、第2供給路35bに設けられるボルテックスチューブ41を第2のボルテックスチューブ41という。第1のボルテックスチューブ42は及び第2のボルテックスチューブ41は、同じ構成である。
【0055】
図6に示すように、第1のボルテックスチューブ42の導入口42bは、第1供給路35aを介して酸素富化ユニット38に接続されている。また、第1のボルテックスチューブ42の冷気導出口42cは第1供給路35aを介してオゾン発生器31に接続されている。即ち、第1のボルテックスチューブ42によって冷却された酸素富化ガスはオゾン発生器31に導入される。このため、原料ガスである酸素富化ガスが予め冷却されているので、オゾンの自己分解を抑制できる。
【0056】
図5に示すように、第1のボルテックスチューブ42の暖気導出口42dは暖気通路43に接続されている。暖気通路43は、尿素水タンク23の外周に設けられた熱交換器23aに接続されている。熱交換器23aは暖気と尿素水タンク23との間で熱交換を行い、尿素水を加熱又は保温する。尿素水は例えば−12℃等の寒冷環境下で凍結するため、熱交換器23aと熱交換することにより尿素水の凍結を抑制することができる。また、暖気通路43の途中には、三方弁からなるバルブ43aが設けられ、バルブ43aを開くことにより暖気導出口41d,42dをエンジン11に接続し、バルブ43aを閉じることにより暖気導出口41d,42dを外部と接続する。従ってECU50は、バルブ43aを開閉することにより、尿素水を昇温する必要がある場合のみ、暖気導出口41d,42dと尿素水タンク23とを接続することができる。
【0057】
また第2のボルテックスチューブ41の冷気導出口41cは、第1実施形態のように、第2供給路35bを介してオゾン発生器31の吸湿材31bに接続されている。また、暖気導出口41dは、暖気通路43に接続されている。従って、2つのボルテックスチューブ41,42から排出される暖気を有効利用して、尿素の凍結を抑制できる。
【0058】
本実施形態の冷却装置40の動作を説明する。ECU50によりコンプレッサ36が駆動されると、外気がドライヤ37に圧送され乾燥される。乾燥エアは酸素富化ユニット38に供給され、酸素富化ガス及び窒素富化ガスに分離される。酸素富化ガスは第1のボルテックスチューブ42に導入され、冷却された酸素富化ガスは第1供給路35aを介してオゾン発生器31に導入される。オゾン発生器31に導入された酸素富化ガスはオゾンに変換され、オゾン供給路33を介してオゾン供給ノズル32から噴射される。また酸素富化ガスの暖気は、暖気導出口42dから暖気通路43を介して尿素水タンク23の熱交換器23aに供給される。
【0059】
また、酸素富化ユニット38によって分離された窒素富化ガスは、第2供給路35bを介して第2のボルテックスチューブ41に供給される。第2のボルテックスチューブ41により分離された冷気は、冷気導出口41cから排出されオゾン発生器31の吸湿材31bに噴射される。また第1実施形態と同様に、ドライヤ37から排出されたドレン水は、排水供給路37aを介して吸湿材31bに供給される。さらに第2のボルテックスチューブ41の暖気導出口41dから排出された暖気は、暖気通路43を介して尿素水タンク23の熱交換器23aに供給される。
【0060】
以上説明したように、第2実施形態の排気浄化システムによれば、第1実施形態に記載した(1)及び(2)の効果に加えて、以下に列挙する効果が得られるようになる。
【0061】
(3)第2実施形態では、排気浄化システム20は、第2のボルテックスチューブ41から排出される暖気を尿素水タンク23に導く暖気通路43と、該暖気通路43を介して送られた暖気によって尿素水を昇温する熱交換器23aとを備える。このため、寒冷環境下で、尿素水の凍結を抑制できる。また、第2のボルテックスチューブ41から排出される暖気の熱エネルギーを有効利用することができる。
【0062】
(4)第2実施形態では、酸素富化ユニット38によって分離された酸素富化ガスを冷気及び暖気に分離してそれぞれ排出する第1のボルテックスチューブ42を備える。また、オゾン生成装置30は、第1のボルテックスチューブ42から排出された冷気をオゾン発生器31に導入して低温の酸素富化ガスを原料ガスとしてオゾンを生成する。即ち、第1のボルテックスチューブ42は、空気そのものを冷却するのではなく、オゾン生成反応に係る酸素を集中的に冷却する。従って、オゾン生成空間が冷却できるとともに、オゾンの原料となる酸素に対しても冷却効果が高められるため、オゾン生成効率を向上することができる。
【0063】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図7にしたがって説明する。尚、第3実施形態は、第2実施形態のオゾン生成装置30を変更したのみの構成であるため、同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0064】
図7に示すように、オゾン生成装置30は、第2実施形態と同様に、酸素富化ユニット38の下流であって、窒素富化ガスが圧送される第2供給路35bに第2のボルテックスチューブ41を備えるとともに、酸素富化ガスが圧送される第1供給路35aに第1のボルテックスチューブ42を備える。
【0065】
第1のボルテックスチューブ42の導入口42bは、第1供給路35aを介して酸素富化ユニット38に接続されている。また、第1のボルテックスチューブ42の冷気導出口42cは第1供給路35aを介してオゾン発生器31に接続されている。従って、第1のボルテックスチューブ42によって冷却された酸素富化ガスはオゾン発生器31に導入される。
【0066】
一方、第1のボルテックスチューブ42の暖気導出口42dは暖気通路43を介してエンジン11に接続されている。例えば、暖気通路43の出口は、エンジン11のシリンダヘッド11aに接続されている。シリンダヘッド11aには暖気が通過する流路が設けられ、シリンダヘッド11aとの間で熱交換する。また、暖気通路43の途中には、三方弁からなるバルブ43aが設けられ、バルブ43aを開くことにより暖気導出口42dをエンジン11に接続し、バルブ43aを閉じることにより暖気導出口42dを外部と接続する。従ってECU50は、バルブ43aを開閉することにより、エンジン11を暖機する必要がある場合のみ、暖気導出口42dとエンジン11とを接続することができる。
【0067】
また第2のボルテックスチューブ41の冷気導出口41cは、第1実施形態のように、第2供給路35bを介してオゾン発生器31の吸湿材31bに接続されている。また、暖気導出口41dは、暖気通路43を介して、エンジン11のシリンダヘッド11aに接続されている。
【0068】
以上説明したように、第3実施形態の排気浄化システムによれば、第1実施形態に記載した(1)及び(2)、第2実施形態に記載した(4)の効果に加えて、以下に列挙する効果が得られるようになる。
【0069】
(5)第3実施形態では、窒素富化ガスが導入される第2のボルテックスチューブ41から排出される暖気をエンジン11側に導く暖気通路43と、該暖気通路43を介して送られた暖気によってエンジン11を暖機する熱交換部とを備える。このため、暖気を有効利用して、始動時等にエンジン11の暖機を行うことができる。
【0070】
尚、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第2及び第3実施形態では、酸素富化ガスを導入する第1のボルテックスチューブ42と、窒素富化ガスを導入する第2のボルテックスチューブ41とを用いたが、図8に示すように、排気浄化システム20及びオゾン生成装置30は、第1のボルテックスチューブ42のみを備える構成であってもよい。この場合でもオゾンの原料である酸素が冷却されるとともに、冷気に含まれる窒素等の酸素以外のガスも電極や筐体を冷却することによってオゾン生成空間全体を冷却することができる。この場合、酸素富化ユニット38から排出された窒素富化ガスは、ボルテックスチューブ41を通過することなく、オゾン発生器31の吸湿材31bに噴射される。この場合であっても吸湿材31bに吸収されたドレン水の気化を促すことができる。
・上記実施形態では、排気通路15のうち選択還元型触媒21の上流に、酸化触媒及びDPFを備えたが、酸化触媒を省略してもよい。
【0071】
・上記実施形態では、尿素系流体として尿素水を貯留したが、NOxとの反応時にアンモニアに変換可能な物質であればよく、車両に搭載可能な構成を備えればアンモニア又はアンモニア水であってもよい。
【0072】
・上記実施形態では、ドライヤ37を中空糸膜を用いたドライヤに例示して説明したが、乾燥剤を充填したドライヤ等、他の種類のドライヤを用いてもよい。ドライヤ37に乾燥剤が用いられている場合、ボルテックスチューブ41から排出された暖気を乾燥剤の再生に用いてもよい。
・ドライヤ37は圧縮空気に含まれる水分を除去したドレン水として水蒸気のみを排出してもよい。この場合にもドライヤから排出された水蒸気を排水供給路37aによってオゾン発生器31に導き、吸湿材31bに水分を浸透させることができる。
・オゾン発生器31の構成は、上記した装置構成に限定されない。例えば、吸湿材31bを省略し、冷却装置40はボルテックスチューブ41の冷気をオゾン発生器31に向かって噴射するのみの構成でもよい。また、オゾン発生器31は、無声放電式の装置に限定されず、コロナ放電式でもよく、電解式であってもよい。
【0073】
・上記実施形態では、冷気通路41eの出口を、冷気を吸湿材31bの表面に対して斜めに入射するように配置したが、冷気がその表面に対して垂直に入射するように配置してもよい。
【0074】
・上記実施形態では、オゾン発生器31の本体31aの筐体を金属材から構成し、吸湿材31bを筐体と密着させた。これ以外の構成として、吸湿材31bが筐体の壁部を構成するようにしてもよい。この場合、吸湿材31bは筐体全体の壁部を構成してもよいし、図4のように一部を構成するようにしてもよい。
・上記実施形態では排ガス温度が低温のときにはオゾンを供給しないが、尿素水を供給するときには常にオゾンを供給する態様であってもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、ECU50がマップとエンジン11の運転状態に基づきオゾン供給量を演算する態様としたが、オゾン供給量の決定方法はその態様に限定されない。例えばNO2センサ、NOセンサを排気通路15のうちオゾン供給ノズル32よりも上流側に設け、NO:NOの比率及び排気流量に基づき単位時間あたりのオゾン供給量を演算してもよい。
【0076】
・上記実施形態では、ガス分離部を酸素富化膜を用いた酸素富化ユニット38によって構成したが、空気から酸素を分離できればよく他の構成でもよい。例えば、吸着材に窒素を吸着させ、加圧及び減圧を繰り返すことにより窒素を分離するPSA(Pressure Swing Adsorption)方式の装置であってもよい。
【0077】
図8に示すように、本発明の排気浄化システム又はオゾン生成装置は、酸素富化ガスを冷却するボルテックスチューブ42のみを備えた構成であってもよい。即ち、オゾン発生器31の冷却構造は、ドライヤ37から供給されたドレン水が浸透する吸湿材31bに、酸素富化ユニット38により分離された窒素富化ガスを噴射する構成である。また、ボルテックスチューブ42は酸素富化ユニット38から分離された酸素富化ガスを冷気と暖気とに分離し、冷気をオゾン発生器31に供給する。排気浄化システム又はオゾン生成装置をそのように構成しても、冷却された酸素富化ガスをオゾン生成空間内に導入することで、オゾン生成空間を冷却し、オゾンの自己分解を抑制することができる。
【0078】
・上記実施形態では、オゾン生成装置30を排気浄化システム20に適用してNOの酸化を促進させたが、他の目的で他の装置に利用してもよい。例えば、オゾンを汚染物質の分解、殺菌、脱臭、脱色等の目的で利用する装置に利用してもよい。
【0079】
・上記実施形態では、排気浄化システム20は、ディーゼルエンジンに適用したが、ガソリンエンジンに適用してもよい。また、排気浄化システム20は、エンジンを過給機付きのエンジンに適用したが、自然吸気型ガソリンエンジン、又は自然吸気型ディーゼルエンジンに適用してもよい。また、排気浄化システム20が適用されるエンジンを車両のエンジンとしたが、船舶、航空機のエンジンであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
11…エンジン、15…排気通路、21…選択還元型触媒、22…尿素系流体供給装置としての尿素水供給装置、23a…熱交換部、30…オゾン生成装置、31…オゾン発生器、31b…吸湿材、32…オゾン供給部としてのオゾン供給ノズル、36…コンプレッサ、37…ドライヤ、37a…排水供給路、38…ガス分離部としての酸素富化ユニット、40…冷却装置、41…第2のボルテックスチューブ、42…第1のボルテックスチューブ、43…暖気通路、43a…バルブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8