(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719901
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】デンタルフロス
(51)【国際特許分類】
A61C 15/04 20060101AFI20150430BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20150430BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20150430BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20150430BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20150430BHJP
A61K 31/4172 20060101ALI20150430BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
A61C15/04 501
A61K8/44
A61Q11/00
A61K8/02
A61K31/198
A61K31/4172
A61P1/02
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-214467(P2013-214467)
(22)【出願日】2013年10月15日
(62)【分割の表示】特願2010-546023(P2010-546023)の分割
【原出願日】2009年2月6日
(65)【公開番号】特開2014-50728(P2014-50728A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2013年11月14日
(31)【優先権主張番号】61/027,436
(32)【優先日】2008年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】コーリ,ラジニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】フォンタナ,ホセ・エダー
【審査官】
熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−504083(JP,A)
【文献】
特開2006−206581(JP,A)
【文献】
特開平07−258053(JP,A)
【文献】
米国特許第06270890(US,B1)
【文献】
特開2003−225250(JP,A)
【文献】
特開平07−100153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/00
A61Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレンブタジエンコポリマー、および2以上のそれらの組み合わせから選択されるポリマー;
塩基性アミノ酸を含む組成物であって、ここで塩基性アミノ酸はL−アルギニンの塩であり、L−アルギニンの塩はカルボネートである組成物;および
フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アンモニウム、およびそれらの組み合わせから選択されるフッ化物イオンの源
を含み、
前記塩基性アミノ酸を含む組成物を用いてコートされる、または含浸される、デンタルフロス。
【請求項2】
L−アルギニンの塩が重炭酸L−アルギニンである、請求項1に記載のフロス。
【請求項3】
さらに防腐剤または抗微生物化合物を含む、請求項1または2に記載のフロス。
【請求項4】
さらに鎮痛剤、血液凝固剤、抗炎症剤、オピオイド類、およびビタミン類から選択される追加の成分を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロス。
【請求項5】
デンタルフロスを保管または分配するための包装であって、塩基性アミノ酸を含む組成物を含むチャンバーを含み、ここで保管または分配の間にフロスが塩基性アミノ酸を含む組成物にさらされ;フロスは請求項1〜4のいずれか一項に記載のフロスである包装。
【請求項6】
(i)齲食の形成を低減または抑制する、(ii)エナメル質の前齲食病変を低減、修復または抑制する、(iii)歯の脱灰を低減または抑制し、再石灰化を促進する、(iv)歯の過敏性を低減する、(v)歯肉炎を低減または抑制する、(vi)口の中の潰瘍または切り傷の治癒を促進する、(vii)酸を産生する細菌のレベルを低減する、(viii)アルギノ分解性細菌の相対的なレベルを増大させる、(ix)口腔中での微生物のバイオフィルムの形成を抑制する、(x)プラークのpHを少なくともpH5.5のレベルに上げる、および/または維持する、(xi)プラークの蓄積を低減する、(xii)歯および口腔を清潔にする、(xiii)歯に齲食原性細菌に対する免疫性を与える、および/または(xiv)酸食を低減する、(xv)全身の健康を増進する、および/または(xvi)口内乾燥を処置または抑制するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフロスであって、それを必要とする患者の歯または口腔の他の表面をきれいにするために用いられる、フロス。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001] この出願は2008年2月8日に出願された米国特許出願一連番号61/027,436の利益を主張し、その出願の内容を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
[0002] デンタルフロスおよび他の歯間クリーナーの使用は歯の衛生の重要な部分であり、口の中の歯ブラシが届かない、例えば歯の間および歯肉線の下の領域からプラークおよび(ad)他の他の微粒子を除去するために用いられる。しばしば、特に定期的に清掃されない場合、これらは齲食の開始部位である。しかし、たとえ日常的にメンテナンスしても、齲食および歯肉炎はなおこれらの領域において生じる。従って、より有効なデンタルフロスを開発する継続的な必要性がある。
【0003】
[0003] 人々は彼らの歯を少なくとも毎日デンタルフロスできれいにする(floss)ことが推奨されるが、推奨されるほど頻繁にデンタルフロスできれいにする人はほとんどいないのが現実である。従って、時々しかデンタルフロスできれいにしない人(occasional flossers)による使用のためのより有効なデンタルフロス組成物の需要が存在する。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 塩基性アミノ酸は、細菌の付着の阻害、歯の再石灰化の促進、虫歯および象牙質知覚過敏の発生率の低減、ならびにアルギノ分解性(arginolytic)細菌が有利になるような抗齲食性細菌(cariostatic bacteria)の阻害において有益な作用をもたらすことが分かっている。
【0005】
[0005] 本発明は、塩基性アミノ酸またはその塩、例えばアルギニン、重炭酸アルギニン、アルギニン塩酸塩、またはリン酸アルギニンを含む組成物と組み合わせた、または合わせたデンタルフロスを提供する。塩基性アミノ酸または塩はフロスの上にコートして、もしくはフロス母材の内部に含浸させてよく、またはデンタルフロスは、フロスが塩基性アミノ酸、例えば下記の組成物1.1〜1.15のいずれかを含む組成物を含むチャンバーを通って保管または分配される包装を用いて分配してよい。
【0006】
[0006] 従って、本発明は、塩基性アミノ酸またはその塩を含む組成物(組成物1.0)と組み合わせた、または合わせた(例えばそれでコートした、または含浸させた)デンタルフロス、例えば下記の組成物のいずれかと組み合わせた、または合わせたデンタルフロスを含む:
1.1 塩基性アミノ酸がアルギニン、リシン、シトルリン(citrullene)、オルニチン、クレアチン、ヒスチジン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロピオン酸(diaminoproprionic acid)、それらの塩類および/またはそれらの組み合わせである、組成物1.0。
【0007】
1.2 塩基性アミノ酸がL−立体配置を有する、組成物1.0または1.1。
1.3 前記の組成物のいずれも、その塩基性アミノ酸を含むジまたはトリペプチドの塩の形で提供される。
【0008】
1.4 塩基性アミノ酸がアルギニンである、前記の組成物のいずれか。
1.5 塩基性アミノ酸がL−アルギニンである、前記の組成物のいずれか。
1.6 塩基性アミノ酸の生理的に許容できる塩を含む、前記の組成物のいずれか。
【0009】
1.7 塩基性アミノ酸の塩がカルボネートである、前記の組成物のいずれか。
1.8 塩基性アミノ酸の塩がビカルボネートである、前記の組成物のいずれか。
1.9 塩基性アミノ酸塩が重炭酸アルギニンである、前記の組成物のいずれか。
【0010】
1.10 さらにフッ化物、またはフッ化物イオンの源を含む、前記の組成物のいずれか。
1.11 フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アンモニウム、およびそれらの組み合わせから選択されるフッ化物イオンの源を含む、前記の組成物のいずれか。
【0011】
1.12 さらに防腐剤または抗微生物剤を含む、前記の組成物のいずれか。
1.13 トリクロサン、草本エキスおよび精油(例えば、ローズマリーの抽出物、茶の抽出物、マグノリアの抽出物、チモール、メントール、ユーカリプトール(eucalyptol)、ゲラニオール、カルバクロール、シトラール、ヒノキチオール(hinokitol)、カテコール、サリチル酸メチル、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、没食子酸、歯ブラシの木(miswak)の抽出物、シーバックソーン(sea−buckthorn)の抽出物、プロポリス)、ビスグアニド系防腐剤(bisguanide antiseptics)(例えば、クロルヘキシジン、アレキシジンまたはオクテニジン)、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ベンザルコニウム、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム(TDEPC))、フェノール系防腐剤、ヘキセチジン、オクテニジン、サンギナリン、ポビドンヨード、デルモピノール(delmopinol)、サリフルオル(salifluor)、金属イオン(例えば、亜鉛塩類、例えばクエン酸亜鉛、スズ塩類、銅塩類、鉄塩類)、サンギナリン(sanguinarine)、プロポリスおよび酸化剤(例えば過酸化水素、緩衝したペルオキシホウ酸ナトリウムまたはペルオキシ炭酸ナトリウム)、フタル酸およびその塩類、モノペルサリック酸(monoperthalic acid)ならびにその塩類およびエステル類、アスコルビルステアレート、オレオイルサルコシン(oleoyl sarcosine)、アルキル硫酸塩、スルホコハク酸ジオクチル、サリチルアニリド、臭化ドミフェン、デルモピノール、オクタピノール(octapinol)および他のピペリジノ誘導体、ニシン製剤(nicin preparations)、亜塩素酸塩類;ならびに前記のもののいずれかの混合物から選択される抗微生物剤をさらに含む、前記の組成物のいずれか。
【0012】
1.14 さらに鎮痛剤、抗炎症剤、血液凝固剤、収斂剤、ビタミン類およびそれらの組み合わせから選択される追加の成分を含む、前記の組成物のいずれか。
1.15 さらに結合剤、ろう剤またはキャリヤーを含む、前記の組成物のいずれか。
【0013】
[0007] 本発明はさらに、塩基性アミノ酸を含むチャンバーを含む、デンタルフロスを保管または分配するための包装を含み、ここでフロスは保管または分配の間に塩基性アミノ酸にさらされ、例えばチャンバーは塩基性アミノ酸を含む組成物、例えば組成物1.0〜1.15のいずれかに従う組成物を含む。
【0014】
[0008] 本発明は、(i)齲食の形成を低減または抑制する、(ii)例えば定量的光誘導蛍光法(QLF)または電気的齲食測定(ECM)により検出されるエナメル質の前齲食(pre−carious)病変を低減、修復または抑制する、(iii)歯の脱灰を低減または抑制し、再石灰化を促進する、(iv)歯の過敏性を低減する、(v)歯肉炎を低減または抑制する、(vi)口の中の潰瘍または切り傷の治癒を促進する、(vii)酸を産生する細菌のレベルを低減する、(viii)アルギノ分解性細菌の相対的なレベルを増大させる、(ix)口腔中での微生物のバイオフィルムの形成を抑制する、(x)プラークのpHを少なくともpH5.5のレベルに上げる、および/または維持する、(xi)プラークの蓄積を低減する、(xii)歯および口腔を清潔にする、(xiii)歯に齲食原性細菌に対する免疫性を与える、(xiv)酸食を低減する、(xv)全身の健康を増進する、および/または(xvi)口内乾燥を処置または抑制するための方法である方法2.0も含み、その方法はそれを必要とする患者の歯または口腔の他の表面を、遊離または塩の形の塩基性アミノ酸と組み合わせた、または合わせた(例えば、上記の組成物1.0〜1.15のいずれかと組み合わせた、または合わせたデンタルフロスできれいにすることを含む。
【0015】
[0009] 本発明の他の態様は、当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0010] 特定の理論に縛られることを意図すること無く、口腔中の塩基性アミノ酸は、齲食原性ではなく歯の上の、および口腔中での位置に関してS.ミュータンス(S. mutans)のような齲食原性細菌と競合する特定のタイプの細菌、例えばS.サングイス(S. sanguis)により代謝されると信じる。アルギノ分解性細菌はアルギニンおよび他の塩基性アミノ酸を用いてアンモニアを生成することができ、それによりそれらの環境のpHを上昇させ、一方齲食原性細菌は糖を代謝して乳酸を生成し、それはプラークのpHを低下させ歯を脱灰させる傾向があり、最終的には虫歯につながる。本発明の組成物の使用は、アルギノ分解性細菌の相対的な増加および齲食原性細菌の相対的な減少につながり、その結果より高いプラークのpHおよび対応する空洞形成プロセスの低減がもたらされる可能性があると信じる。
【0017】
[0011] 本発明の組成物において用いることのできる塩基性アミノ酸には、天然に生じる塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リシン、およびヒスチジンだけでなく、分子中にカルボキシル基およびアミノ基を有するあらゆる塩基性アミノ酸も含まれる。従って、塩基性アミノ酸には、アルギニン、リシン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ヒスチジン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロピオン酸(diaminoproprionic acid)、それらの塩類またはそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。特定の態様において、塩基性アミノ酸はアルギニン、シトルリン、およびオルニチン、好ましくはアルギニン、例えば1−アルギニンから選択される。
【0018】
[0012] 本発明の組成物は口の中で用いられ、従って本発明における使用のための塩類は、提供される量および濃度において、その用途に関して安全であるべきである。適切な塩類には、当技術において医薬的に許容できる塩類であると知られている塩類が含まれ、それは一般に与えられる量および濃度において生理的に許容できると考えられる。生理的に許容できる塩類には、医薬的に許容できる無機もしくは有機酸または塩基に由来する塩類、例えば生理的に許容できる陰イオンを形成する酸により形成される酸付加塩類、例えば塩酸塩または臭化物塩、ならびに生理的に許容できる陽イオンを形成する塩基により形成される塩基付加塩類、例えばカリウムおよびナトリウムのようなアルカリ金属またはカルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属に由来する塩基付加塩類が含まれる。生理的に許容できる塩類は、当技術において既知の標準的な手順を用いて、例えばアミンのような十分に塩基性の化合物と生理的に許容できる陰イオンを与える適切な酸を反応させることにより得ることができる。好ましい塩はビカルボネート、例えば重炭酸アルギニンである。
【0019】
[0013] デンタルフロスを製造する方法は、当技術で周知である。例えば、デンタルフロスはナイロンから、ナイロン塩を重合させて得られたポリマーを押し出して(pumped)、または押し出し成型して(extruded)モノフィラメントを形成して製造することができる。そのフィラメントを硬化させ、次いで組み合わせてフロスのストランドにする。デンタルフロスは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはTeflon(登録商標))、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレンブタジエン(butadyene)コポリマー類、それらの組み合わせから製造することができる。ポリマーを溶かし、押し出し成型して細いストランドにする。米国特許第6,270,890号も参照、その内容を本明細書に援用する。
【0020】
[0014] 1つの態様において、樹脂、例えばナイロンまたはPTFEを塩基性アミノ酸またはその塩と混合して、押し出し成型してフィラメントにし(例えばナイロンの場合)、それをよってフロスを形成する、またはフロスの単一のリボンにする(例えばPTFEの場合)。塩基性アミノ酸または塩の一部はフロスの表面付近に配置され、デンタルフロスが用いられる際に露出および放出されるであろうことは理解されるべきである。1つの態様において、フロスは約450〜約1350の繊度を有する。別の態様において、フロスの繊度は約100から約900までである。
【0021】
[0015] デンタルフロスをコートする方法も当技術で既知である。本発明の1態様において、デンタルフロスはアルギニンまたはその医薬的に許容できる塩を含む乳濁液浴(emulsion bath)中で処理される。乳濁液浴は場合により1種類以上のろう剤を含んでいてよく、それはフロスに付着し、それによりアルギニンをフロスに付着させる。別の態様において、非PTFE繊維を含むデンタルフロスは第1コーティングおよび第1コーティングをおおう第2コーティングでコートされている。第1コーティングはナイロン接着コーティングであり、第2コーティングは塩基性アミノ酸またはその塩と組み合わせた、または合わせたろう剤またはポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート等である。例えば本明細書に援用する米国特許第6,289,904号を参照。
【0022】
[0016] フロスは単一のリボンの形であってよい(例えばTeflon(登録商標)またはポリエチレンのリボン)。あるいは、それは細いフィラメント、例えばナイロンフィラメントの束であってよい。フィラメントの数は、フィラメントの繊度に依存して約2から約300まで、例えば約2から約200までであろう。フィラメントはインチあたり約1〜5回のよりでよられてフロスを形成している。そのよりはフロスの糸巻き上での、およびそれに続く取り扱いの間における完全性を与える。しかし、使用の際に、フィラメントは広がって歯の表面に対して外広がりになる(splay)。例えばOral−B Ultra Floss(商標)の場合のように、フロスはかみ合う繊維で形成されてもよい。いずれの場合でも、最終的なフロス製品は好ましくはそれが歯の間にぴったり合うことを可能にする太さを有している。フロスはろう剤でコートされていてよい。多数のフィラメントが用いられる場合、コーティングはより合わせの前または後、好ましくはより合わせの後に適用されてよい。他の添加剤を、ろう剤でのコーティングの後にろう剤でコートされたフロスに適用してよい。香味料は液体または固体として適用することができる。スプレー乾燥した固体を用いるのが好まれる。同様に、様々な他の添加剤を、液体または固体として適用することができる。液体として適用する場合、フロスは糸巻き上に巻きつけられる前に乾燥させられる。乾燥は輻射乾燥または風乾によることができる。乾燥の後、フロスを糸巻きの上に巻きつける。
【0023】
[0017] デンタルフロスは一般に、10〜50メートルのフロスを含むプラスチックのディスペンサー中で供給される。ディスペンサーは通常は、望まれる量を引き出してフロスを切断するのに用いられる小さな保護された刃を有する。
【0024】
[0018] 本発明の1態様において、塩基性アミノ酸、その塩、または溶液を含み、それが入れ物の内部にフロスと接触して配置されている、デンタルフロスのディスペンサーが提供される。フロスが保管されている際に、または使用者が望みの量のフロスを引き出した際に、フロスは塩基性アミノ酸、塩、または溶液と接触し、それによりフロスがコーティングされる。
【0025】
[0019] 特に特定の歯をデンタルフロスできれいにするのが困難またはやっかいである場合に、使用者が彼らの歯をデンタルフロスできれいにするのを助けるため、様々なデバイスが開発されてきた。そのようなデバイスはフロスを支えるための杖のような形をしている。本発明は、塩基性アミノ酸およびそれらの塩類をそのようなデバイスと組み合わせて使おうと考える。加えて、塩基性アミノ酸または塩を含まずその杖に保持されているデンタルフロスを、本発明を利用するために塩基性アミノ酸、その塩、または溶液の中に浸してよい。
【0026】
[0020] 本発明の1態様において、デンタルフロスは場合によりフッ化物、またはフッ化物イオンの源を含んでいてよい。多種多様なフッ化物イオンを生じる物質を本組成物における可溶性フッ化物の源として用いることができる。適切なフッ化物イオンを生じる物質の例は、本明細書に援用するBrinerらへの米国特許第3,535,421号;Parran,Jr.らへの米国特許第4,885,155号、およびWidderらへの米国特許第3,678,154号において見つけられる。代表的なフッ化物イオンの源には、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アンモニウム、およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。特定の態様において、フッ化物イオンの源はフッ化スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムおよびそれらの混合物を含む。
【0027】
[0021] 本発明のデンタルフロスは、研磨性粒子、例えば酸化アルミニウム、小粒子シリカ、または他の研磨性(abrasive or polishing)粒子を含んでいてもよい。例えば、本明細書に援用する米国特許第6,453,912号を参照。
【0028】
[0022] 本発明のデンタルフロスは、塩基性アミノ酸の有益な作用をさらに助けるために、トリクロサン、草本エキスおよび精油(例えば、ローズマリーの抽出物、チモール、メントール、ユーカリプトール、サリチル酸メチル)、ビスグアニド系防腐剤(例えば、クロルヘキシジン、アレキシジンまたはオクテニジン)、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化セチルピリジニウム)、フェノール系防腐剤、ヘキセチジン、ポビドンヨード、デルモピノール、サリフルオル、金属イオン(例えば、亜鉛塩類、例えばクエン酸亜鉛)、サンギナリン、プロポリス、ならびにそれらの組み合わせから選択される防腐剤または抗微生物物質を含んでいてもよい。
【0029】
[0023] デンタルフロスの使用は使用の間または後に不快感または出血を引き起こす可能性があるため、それは場合により鎮痛剤、抗炎症剤、血液凝固剤(coagulaants)、ビタミン類、およびそれらの組み合わせを含んでいてよい。