特許第5719971号(P5719971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719971
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】穿孔された電気端子を有する携帯装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20150430BHJP
   B42D 25/305 20140101ALI20150430BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20150430BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   G06K19/077 188
   G06K19/077 244
   B42D15/10 307
   H01Q7/00
   H01Q1/24 C
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-517617(P2014-517617)
(86)(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公表番号】特表2014-526080(P2014-526080A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】EP2012062153
(87)【国際公開番号】WO2013004522
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2014年2月26日
(31)【優先権主張番号】11305857.2
(32)【優先日】2011年7月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】309014746
【氏名又は名称】ジェムアルト エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】リオネル メルラン
(72)【発明者】
【氏名】ニザール ラウイ
(72)【発明者】
【氏名】アレク ブユッカレンダー
(72)【発明者】
【氏名】リュシル ドセット
(72)【発明者】
【氏名】ロランス ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】カトリーヌ ブロンディノ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック セバン
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−236900(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0271972(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00 −19/18
B42D 25/305
H01Q 7/00
H01Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材(21)を含み、導電接触ランド又はトラック(23)が前記支持部材(21)の表面(22)に形成され、前記導電接触ランド又はトラック(23)は、前記支持部材(21)の端部(24)まで延在し、電子マイクロ回路(45)に接続する携帯電子装置(20)であって、
前記導電接触ランド又はトラック(23)は、複数の貫通孔(27)を有し、前記貫通孔(27)の孔内には金属は存在しないか又は存在しないように意図されていることを特徴とする携帯電子装置。
【請求項2】
前記支持部材(21)の裏面(35)には、2個の接続端(31)を有する巻回アセンブリを形成するアンテナ(29)が形成され、前記複数の貫通孔(27)が前記アンテナ(29)のための透磁率を向上させる領域(25)を形成することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子装置。
【請求項3】
前記貫通孔(27)は、前記携帯電子装置の周辺部及び/又は中心部に位置し、前記アンテナ(29)は少なくともその一部が前記領域(25)にほぼ面して配置されることを特徴とする請求項2に記載の携帯電子装置。
【請求項4】
前記貫通孔(27)は、前記携帯電子装置がリーダのスロットに挿入されたとき、電子接触リーダコネクタの接触領域の経路(F)に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の携帯電子装置。
【請求項5】
前記接触領域の幅(46)が、前記支持部材(21)の前記端部(24)に向って減少することを特徴とする請求項に記載の携帯電子装置。
【請求項6】
前記貫通孔(27)の直径が、250〜350μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の携帯電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチップカード携帯装置及びこのような装置を製造する方法に関する。
具体的には、裏面に電子マイクロ回路と接続するアンテナを備え、表面に少なくとも部分的には表面端部まで延在する接触ランドを備えた支持部材を有する、携帯電子装置に関する。
【0002】
これらの電子装置は、電子モジュールを備えた、電子ラベル、非接触型チップカード、接触/非接触ハイブリッド型チップカードにおいて特に良く見られる。
本発明は通常、標準フォーマット、即ち長さ85mm、幅54mm、厚さ0.76mmのカードに関する規格である、いわゆるISO7810規格に準拠するが、これに限定されるものではない。端子の特に配置と範囲については、7816規格で規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公開第1492148号公報
【特許文献2】欧州特許第1031939号公報
【特許文献3】フランス特許第2765010号公報
【特許文献4】米国特許出願第2009/0271972号公報
【特許文献5】欧州特許出願第1932104号公報
【背景技術】
【0004】
出願人の特許出願である[文献1]は公知であり、ここでは、裏面に平巻き無線アンテナを有し、表面に接触リーダと通信するための接触ランドを有する基板を備えたアンテナモジュールが開示されている。
【0005】
[文献2]も同様に公知であり、ここでは、無線通信性能が向上したハイブリッドタイプのチップカードが開示されている。[文献2]では、カード本体内に配置された中継アンテナと磁気的に一体化された、上記タイプのアンテナモジュールを含むカードが開示されている。
【0006】
[文献3]でも同様に、デュアルインタフェースのアンテナモジュールが開示されている。アンテナは、接触ランドにより無線周波数波の障壁が形成されるのを防ぐために、そしてこれにより無線通信を向上させるために、電気端子の周辺部に配置される。こうして、モジュールの電磁波透過性が向上する。
【0007】
[文献4]では、穿孔された接続ランドを含む非接触型チップモジュールを用いた非接触型チップカードが開示されている。これらのランドは、予め穿孔されているか、又は切断(couture)工程の間に切断針を用いて穿孔される。アンテナが接続ランドに接続される際、これらの貫通孔は、孔内に金属製アンテナワイヤを含んだままである。
【0008】
図1に示す[文献5]でも、チップカード内の中継アンテナと一体化された、透磁性を向上させる手段を含む、アンテナモジュール11が開示されている。ここでは、裏面においてアンテナを接触ランド19の周辺部に配置し、これに対向するように接触ランドを配置すること、そして接触ランドの周辺部及び外部に、ほぼモジュールの周辺部まで延在する複数の突出部33を配置することが教示されている。
【0009】
この配置は、電磁波透過性をもたらすだけでなく、モジュールを嵌め込む段階において、カード本体の空洞内にモジュールを接着する際の圧力を分散することにも役立つ。
この突出部は、カードをリーダのスロットに挿入する際、ある種のリーダコネクタに対する障害となる、及び/又はリーダコネクタを摩耗させる恐れがある。
【0010】
本発明は、上記欠点を回避することを目的とする。
本発明はまた、特にISO/IEC14443規格に準拠した無線通信アンテナに関して、電磁波透過性能を維持したまま、製造コストを低減することができるモジュール製造を目的とする。
【0011】
本発明の要点は、穿孔された接触ランド、電子トラックを設計すること、又は最大径となるよう調整された貫通孔を、標準化領域外部の金属部分に配置することにある。
この目的のため、本発明は、ほぼ表面端部まで延在し電子マイクロ回路に接続する、貫通孔を有する導電接触ランド又はトラックを表面に備える支持部材を含み、この貫通孔内に金属が含まれないか、又は金属が含まれないよう維持されるように意図されることを特徴とする携帯電子装置、も対象とする。
【0012】
その他の特徴によれば:
−支持部材の裏面には、2つの接続端を有する複数回巻回して形成されたアンテナが設けられ、また、複数の貫通孔によりアンテナのための透磁性領域が形成され;
−貫通孔は装置の周辺部及び/又は中央部に配置され、この透磁性領域に少なくとも部分的にはほぼ対向するようにアンテナが配置され;
−貫通孔は、装置が電子接触リーダのスロットに挿入されたときに、リーダコネクタの接触端の経路(F)上に位置するよう配置され;
−接触ランドの幅は支持部材の端部に向かって減少する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、以下の非限定的な実施例の記載、及び添付の図面を参照すれば、よりよく理解されるだろう。
図1】従来技術による非接触型カード用モジュールの図。
図2】本発明の一実施形態による接触型カード用モジュールの断面図。
図3】本発明の第2の実施形態による非接触ハイブリッド型カード用モジュールの断面図。
図4】本発明の第2の実施形態による非接触ハイブリッド型カード用アンテナモジュールの断面図。
図5】本発明による電子モジュールにおける接触ランドの、代替的な実施形態の俯瞰図(その1/図5A)。
図6】本発明による電子モジュールにおける接触ランドの、代替的な実施形態の俯瞰図(その2/図5B)。
図7】本発明による電子モジュールにおける接触ランドの、代替的な実施形態の俯瞰図(その3/図5C)。
図8】本発明による電子モジュールにおける接触ランドの、代替的な実施形態の俯瞰図(その4/図5D)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
類似の要素については、全図面において同一の参照番号により指定される。
図2において、携帯電子装置20は、支持部材21と、少なくとも部分的に表面端部24まで延在する接触ランド23を有する支持部材の表面22とを含む。これらのランドは、電子マイクロ回路45に電気的に接続される。
【0015】
本実施例において、装置は電子端子を有するチップカードであり、支持部材はチップカード用電子モジュール20の絶縁基板である。モジュールはチップカード本体25に埋め込まれる。代替的には、装置がモジュールそのものであってもよい。
【0016】
実施形態の特徴によれば、導電接触ランドは複数の貫通孔27を含む。
チップカードの場合、貫通孔は、規定接触領域C1乃至C8(図5乃至8)とは別の領域25、26にも配置できる。
実施例において複数の貫通孔は円形であるが、その他の幾何学形状であってもよい。
【0017】
こうして除去される面積の合計は、例えばマイクロモジュールタイプ等の結果的に得られる製品の信頼性要件を充足するのに十分な剛性を確保し、かつ金、パラジウム、ニッケル・・・等の物質の実質的な節減を可能とするために十分な面積でなくてはならない。
穿孔は、フィルムの製造時に化学的エッチングによって、又は端子と同時に機械的カッティングによって、行われる。
【0018】
コネクタの接触面積と、曲げ/歪み試験での機械抵抗とを上手く両立するには、その剛性に鑑みて、貫通孔の直径を300μmにするのが良いだろう:「段差の影響」はなく、電子部分の弱化も見られない。好ましくは、貫通孔は直径250μm乃至350μmであるか、又はそれと同等の面積を有する。
しかしこの大きさは、所望のモデル、及び「リードフレーム」と呼ばれるモジュール基板(接触ランドを含む又は支持する基板)の、プロバイダによる技術的な進歩次第で変化しうる。
【0019】
このモジュールは腐食を避けるために銅又は誘電性支持フィルムから切り出される。後者の場合、銅が端部まで晒されることはないので腐食を抑えられる。モジュールの端部と電子領域との間の空間は、段差の影響が発生しないように、またカードリーダコネクタに適合するように、十分狭くなっている。
【0020】
組み立て時、レジンを、誘電体で満たされた領域に配置するか、又は反対に銅上の貫通孔がない領域(溶接領域の中央窓部の場合)に配置すれば、レジン(チップ接着、封止レジン・・・)が流出する恐れはない。
穿孔は、ISO7816規格による規定領域C1乃至C8の外部であればどこにでも施してよいし、又は部分的に(例、接触ランド上だがフレーム上ではない、又はその逆。図5乃至8参照)施してもよい。穿孔は、接触ランドの特定の領域上に限定される。
【0021】
図3において、モジュールはコンビネーション型(又はデュアルインタフェース)カードであり、ここでアンテナは25(図示せず)のようなカード本体内に配置される。このモジュールでは、表面25及び35の双方に金属皮膜28が施されている。これらの金属皮膜も穿孔されうる。
【0022】
図4において、モジュールはアンテナモジュールである。モジュールの裏面には、2つの接続端31を有する、複数回巻回30して形成されたアンテナ29が設けられている。これらの接続端31は、電子チップの端子に接続する。
有利には、貫通孔はアンテナのための透磁性領域を形成する。
貫通孔は、装置の周辺及び/又は中央部分(図7)に配置されうる。アンテナの巻回部は、少なくとも部分的には透磁性領域とほぼ対向するように配置される。
【0023】
本発明の特徴によれば、貫通孔は、装置がリーダのスロットに挿入されたとき、電子接触リーダコネクタの接触端子の経路(矢印F)外に配置される。
貫通孔は装置の周辺部又は中央部に配置され;巻回部は透磁性領域にほぼ対向するように配置される。
【0024】
本発明は、接触ランド6、8が必要とされるあらゆるモジュール、即ち、その他のモジュールタイプ(プラグインのコンビ型)、片面実装、両面実装のコンビ型、アンテナモジュール、電子端子を備えた面を有するあらゆる新たなアプリケーション)に関係しうる。
平行六面体形の電気接触ランド(図5参照)は公知であるが、接触端子からコネクタへ良好な「導電」がなされるのであれば、接触ランドは他の形状であってもよい。
【0025】
具体的には図8に示すように、ランドの幅46は、少なくともリーダの挿入端に合わせて、端部24に向かって減少する。これら端子の端部は、例えばほぼ「V」字形である。Vの頂点は、リーダに挿入されたとき、コネクタの経路のほぼ中心に当たる。
このように「V」字形にすると、互いに隣り合う接触ランド間に透磁性領域47を設けることができる。
【0026】
有利には、モジュール端部24に直交するリーダコネクタの直線的経路F上には、接触ランドの貫通孔は存在しないか、又は最小限しか配置されない。
こうしてコネクタが常に、導電物質からなるほぼ貫通孔のない部分49上をスライドするようにすることで、コネクタ及び/又は接触ランドの早期摩耗を回避している。
【0027】
図5において、接触ランド23はモジュールの端部まで延在している。誘電基板21はモジュール上部S1及び下部S2においてより広い領域S1を有する。領域C1乃至C8の間の中央部S3も金属表面を有さない。
図6及び7では、上述の表面S1、S2、S3に、穿孔された金属を含む部分P1乃至P5が設けられている。これらの部分の利点は、コネクタに対する段差をなくすだけでなく、モジュールをカード本体の空洞部内に固定する際、モジュールにかかる接着圧を適切に拡散させること、及び/又はモジュールの剛性において有利に働く。
【0028】
装置は、RIFDタイプの無線トークン、無線機能を備えた又は備えていないUSBドライブ、多少なりとも機能的に必要となる最小限の面積を有する導電トラックを含む、集積回路チップを備えたあらゆる電子装置、にも関係しうる。
貫通孔により、電子的機能または機械的強度を損なうことなく、電子端子と比べて20乃至50%の金属を節約することができる。
モジュール裏面の導電トラック又は接触ランド(図3)も同様に穿孔されうる。
【0029】
金属皮膜には、部分的又は全体的な絶縁充填物(レジン、又は例えばプラスチック等の、その他あらゆる絶縁部材)が設けられるか、又は含まれうる。これにより、リーダコネクタに対する上記段差の影響(または凹凸)の問題を回避すると同時に、貫通孔の直径を350μm以上(例えば350μm乃至1,000μm、又はそれ以上:3,000μm)にすることが可能となる。モジュールもまた、このような貫通孔充填物により強度を増しうる。
【0030】
貫通孔は、特に節約のため又は透磁性実現のため、少なくとも孔内に金属又は導電物質を含まず、また、含まない状態に維持される。
金属皮膜は、穿孔された金属でもよいし、又は形成時に穿孔して作ってもよい。
貫通孔は、例えばジグザグ形、直線、曲線、波形のスロット等、他の形でもよい。
【0031】
このため前提として、これら貫通孔の孔内又は貫通孔に対向する場所を全体的又は部分的に障害するものはただちに除去される。例外として、アンテナ巻回部は、透磁性のためであれば貫通孔に対向して配置されていてもよい(文献4のような接続端に限らない)。
好ましくは、巻回部は金属皮膜を施したのとは反対側の基板(又は支持部材)の面に配置される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8