(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719972
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】金属回収方法とその方法を行うための電解装置
(51)【国際特許分類】
C25C 3/34 20060101AFI20150430BHJP
C25C 1/22 20060101ALI20150430BHJP
C25C 7/00 20060101ALI20150430BHJP
C25C 7/06 20060101ALI20150430BHJP
C22B 5/02 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
C25C3/34 Z
C25C1/22
C25C7/00 302Z
C25C7/06 302
C22B5/02
【請求項の数】17
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-527116(P2014-527116)
(86)(22)【出願日】2012年8月17日
(65)【公表番号】特表2014-524519(P2014-524519A)
(43)【公表日】2014年9月22日
(86)【国際出願番号】SE2012050884
(87)【国際公開番号】WO2013028126
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2014年4月22日
(31)【優先権主張番号】1100604-6
(32)【優先日】2011年8月19日
(33)【優先権主張国】SE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513059456
【氏名又は名称】イェルンコントレット
【氏名又は名称原語表記】JERNKONTORET
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】テン、 リードン
(72)【発明者】
【氏名】シーザラマン、 セッシャドリ
(72)【発明者】
【氏名】シーザラマン、 スリドハー
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/139715(WO,A1)
【文献】
国際公開第2007/106709(WO,A1)
【文献】
特開2011−122197(JP,A)
【文献】
米国特許第04475993(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25C 3/34
C25C 1/22
C25C 7/00
C25C 7/06
C22B 5/02
C22B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特には少なくとも一つの金属酸化物を含有する、金属含有資源から、少なくとも一つの金属を回収するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)塩化物塩溶融物を含むるつぼ、少なくとも一つのカソードおよび前記塩溶融物に接続されたアノード、前記塩溶融物を加熱するための加熱手段、ならびに前記るつぼの底に存在するアルミニウム溶融物を用意する工程、ここで前記アルミニウム溶融物は前記アノードもしくは前記アノードの一部を形成し、
b)前記塩溶融物中で反応を開始するために開始用塩素ドナーを前記塩溶融物に供給する工程、ここで前記開始用塩化物ドナーは塩化アルミニウムおよび/または工程f)で電解されて塩化アルミニウムを形成することのできる少なくとも一つの金属塩化物であり、
c)前記塩溶融物の温度と前記アルミニウム溶融物の温度を、前記塩溶融物と前記アルミニウム溶融物の両者が液相である温度に保持する工程、
d)前記金属含有資源を、前記液状塩溶融物中に導入する工程、
e)塩素ドナーとしての前記塩化アルミニウムを前記金属含有資源と反応させて、前記塩溶融物中に溶解された少なくとも一つの金属塩化物を形成する工程、
f)前記塩溶融物を電解し、それによって、任意選択でカソードバッグを用いて、前記カソードで少なくとも一つの金属を形成し、かつ前記アルミニウム溶融物と前記塩溶融物との間の接触面で塩化アルミニウムを形成する工程、
g)前記塩溶融物から少なくとも一つの金属を回収する工程。
【請求項2】
前記カソードが、前記塩溶融物に浸漬された少なくとも一つの第一の黒鉛電極である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第二の黒鉛電極が前記アルミニウム溶融物に浸漬され、前記電解の間に前記第二の黒鉛電極が正極性に接続される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記るつぼが少なくとも部分的に導電性材料で作られ、前記電解の間に、前記導電性材料がアルミニウム溶融物と接触し且つ前記導電性材料を正極性に接続する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記塩溶融物と前記アルミニウムが660℃を超える温度に保持される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記塩溶融物と前記アルミニウムが700℃と1000℃の間の温度に保持される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電解が、前記少なくとも一つの金属の選択的電着を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属酸化物含有資源が、それが溶解されるにつれて、前記液状塩溶融物中に段階的または連続的に導入される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記電解の間に形成される前記塩化アルミニウムによって、定常状態の間に部分的または完全に自立している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記塩溶融物が当初、a)アルカリ金属塩化物およびアルカリ土類金属塩化物からなる群から選択される少なくとも一つの塩化物塩を70〜99重量%と、b)前記開始用塩化物ドナーを1〜20重量%と、c)追加の塩化物および/または他のハロゲン化物および/または硫化物および/または酸化物を0〜10重量%と、からなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記塩溶融物が当初、a)アルカリ金属塩化物およびアルカリ土類金属塩化物からなる群から選択される少なくとも一つの塩化物塩を70〜95重量%と、b)前記開始用塩化物ドナーを5〜20重量%と、c)追加の塩化物および/または他のハロゲン化物および/または硫化物および/または酸化物を0〜10重量%と、からなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの塩化物塩の一部または全部が、NaCl、KCl、LiCl、CaCl2の群から選択される塩の少なくとも一つからなる、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも一つの塩化物塩が、前記少なくとも一つの塩化物塩の重量%で、3〜20のNaCl、30〜70のKCl、20〜60のLiClを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つの塩化物塩が、前記少なくとも一つの塩化物塩の重量%で、10〜50のNaCl、2〜20のKCl、50〜80のCaCl2を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも一つの塩化物塩が、前記少なくとも一つの塩化物塩の重量%で、5〜20のNaCl、20〜40のLiCl、40〜70のCaCl2を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも一つの塩化物塩が、前記塩組成物の重量%で、35〜65のKCl、20〜50のLiCl、5〜20のCaCl2を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項17】
前記電解を、2〜8時間行う、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属を含有する、特には少なくとも一つの金属酸化物を含有する資源(resource)から、少なくとも一つの金属を回収する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、そのような方法を実行するための電解装置に関する。
【0003】
背景
スクラップ、鉱石、海洋ノジュール(sea nodules)などの多くの供給源から、価値のある金属が、塩素化によって回収できることがよく知られている。形成された金属塩化物は、その後、分別蒸留および凝縮、塩の電解によって、または湿式精錬処理によって、分離し、抽出することができる。
【0004】
WO2009/139715A1に、周期律表第4〜6、8〜12および14族の回収可能な金属を含む鉱石、スラグ、ミルスケール、スクラップ、ダストや他の資源を塩素化する方法が開示されている。しかしながら、塩化第二鉄および/または塩化第二銅が塩素ドナー(doner)として使用される場合に可能なものよりもかなり高い反応速度および有価金属の収率を得るために、これら塩化物の代わりに塩化アルミニウムが用いられている。
【0005】
発明の目的
一つの目的は、鉱石、スラグ、ミルスケール、スクラップ、ダスト、ガラス、電子ごみ材(electronic waste material)などの金属含有資源から、少なくとも一つの金属を回収する方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、金属含有資源から少なくとも一つの金属を回収するための採算性の良い方法を提供することである。
【0007】
別の目的は、環境への影響を最小限に抑える、金属含有資源から少なくとも一つの金属を回収する方法を提供することである。
【0008】
別の目的は、前記方法を実行するための装置を提供することである。
【0009】
簡単な説明
上記の目的の少なくとも一つは、特には少なくとも一つの金属酸化物を含有する、金属含有資源から、少なくとも一つの金属を回収する方法によって達成され、その方法は以下の工程を含む:
a)塩化物塩溶融物を含むるつぼ、塩溶融物に接続されたアノードと少なくとも一つのカソード、塩溶融物を加熱するための加熱手段、およびるつぼの底に存在するアルミニウム溶融物を用意する工程、ここで前記アルミニウム溶融物はアノードもしくはアノードの一部を形成し、
b)塩溶融物中で反応を開始するために、開始用(initiating)塩素ドナーを塩溶融物に供給する工程、ここで前記開始用塩素ドナーは塩化アルミニウム及び/又は工程f)で電解されて塩化アルミニウムを形成することのできる少なくとも一つの金属塩化物であり、
c)塩溶融物の温度とアルミニウム溶融物の温度を、両者が液相である温度に保持する工程、
d)液状塩溶融物に、前記金属含有資源を導入する工程、
e)塩素ドナーとしての塩化アルミニウムを、金属含有資源と反応させて、塩溶融物中に溶解した少なくとも一つの金属塩化物を形成する工程、
f)塩溶融物を電解し、それによって、カソードで少なくとも一つの金属を形成し、ここで任意選択でカソードバッグ(cathode bag)を用い、かつ、アルミニウム溶融物と塩溶融物との接触面に塩化アルミニウムを形成する工程、
g)塩溶融物から少なくとも一つの金属を回収する工程。
【0010】
好ましくは、カソードは、塩溶融物中に浸漬された少なくとも一つの第一の黒鉛電極である。しかしながら、他の材料の電極を使用することもできる。
【0011】
一実施形態では、るつぼは、少なくとも部分的に導電性材料で作られ、その導電性材料はアルミニウム溶融物と接触している。電解の間、るつぼは正極性に接続される。
【0012】
あるいは、第二の黒鉛電極がアルミニウム溶融物中に浸漬され、第二の黒鉛電極は電解の間に正極性に接続される。
【0013】
好ましくは、塩溶融物とアルミニウムは、660℃超、好ましくは700℃と、1000℃の間、より好ましくは900℃未満の温度に保持される。
【0014】
好ましくは、電解が、少なくとも一つの金属の選択的電着(selectively electrodepositing)を含む。
【0015】
好ましくは、金属酸化物含有資源が、それが溶解されるにつれて(as it is being dissolved)、段階的もしくは連続的に、前記液状塩溶融物中に導入される。
【0016】
好ましくは、前記方法は定常状態時に、電解の間に形成される塩化アルミニウムによって、部分的または全体的に自立している(self−supporting)。
【0017】
好ましくは、塩溶融物は当初、a)70〜99重量%、好ましくは70〜95重量%の、アルカリ金属塩化物とアルカリ土類金属塩化物とからなる群から選ばれる少なくとも一つの塩化物塩と、b)1〜20重量%、好ましくは5〜20重量%の開始用塩化物ドナーと、c)任意選択で、0〜10重量%の、追加の塩化物および/または他のハロゲン化物および/または硫化物および/または酸化物と、からなる。
【0018】
最小限の(the least)二つの塩化物塩の、所与の組み合わせに関して、それら塩化物塩の含有量が、塩の組み合わせの最も低い共晶点から10重量%以内、より好ましくは5重量%以内、最も好ましくは1重量%以内であることが好ましい。しかしながら、前記塩の組み合わせの液相線温度が電解時の運転温度よりも少なくとも50℃低い限り、好ましくは前記運転温度よりも100℃低い限り、他の含有量も用いることができる。
【0019】
好ましくは、少なくとも一つの塩化物塩は、部分的もしくは全体的に、NaCl、KCl、LiCl、CaCl
2の群から選ばれる塩の少なくとも一つからなり、好ましくはNaCl、KCl、LiCl、CaCl
2の群から選ばれる塩の少なくとも二つからなり、より好ましくはNaCl、KCl、LiCl、CaCl
2の群から選ばれる塩の少なくとも三つからなる。
【0020】
好ましい実施形態では、少なくとも一つの塩化物塩は、少なくとも一つの塩化物塩の重量%で、3〜20のNaCl、30〜70のKCl、20〜60のLiCl、好ましくは5〜15のNa、40〜60のKCl、30〜50のLiCl、より好ましくは7〜12のNaCl、45〜55のKCl、35〜45のLiClを含む。
【0021】
代替的な実施形態では、少なくとも一つの塩化物塩は、少なくとも一つの塩化物塩の重量%で、10〜50のNaCl、2〜20のKCl、50〜80のCaCl
2、好ましくは25〜35のNaCl、3〜10のKCl、60〜75のCaCl
2を含む。
【0022】
代替的な実施形態では、少なくとも一つの塩化物塩は、少なくとも一つの塩化物塩の重量%で、5〜20のNaCl、20〜40のLiCl、40〜70のCaCl
2、好ましくは7〜15のNaCl、25〜35のLiCl、50〜60のCaCl
2を含む。
【0023】
代替的な実施形態では、少なくとも一つの塩化物塩は、前記塩組成物の重量%で、35〜65のKCl、20〜50のLiCl、5〜20のCaCl
2、好ましくは45〜55のKCl、30〜40のLiCl、10〜15のCaCl
2を含む。
【0024】
代替的な実施形態では、電解は、2から8時間、好ましくは3〜6時間行われる。
【0025】
好ましくは、金属含有資源を塩溶融物に導入する前に、金属含有資源をグラインディングおよび/またはミリングして粉末にする。好ましくはその粉末は、D90が2mm未満である粒度分布を有する。
【0026】
任意選択で、塩溶融物に導入する前に、金属含有資源を脱水する。
【0027】
任意選択で、酸素分圧を制御するために、二酸化炭素を塩溶融物に添加することができる。
【0028】
上述した方法の工程はまた、特には少なくとも一つの金属酸化物を含む、金属含有資源から、少なくとも一つの金属を回収する際に、塩化物の排出量を低減するために使用することができる。資源の例は、鉱石、スラグ、ミルスケール、スクラップ、ダスト、ガラス、電子ごみ材である。塩化物イオンが電解工程の間にアノードで塩化アルミニウムを形成し、それによって部分的または完全に塩化物ガスの形成が減少するので、それを達成することができる。
【0029】
上記の目的の少なくとも一つは、上記の方法を実施するための電解装置により達成される。その装置は、塩溶融物を含むるつぼと、少なくとも一つのカソードと、アノードと、塩溶融物を加熱する加熱手段とを含み、ここで、るつぼの底部にアルミニウム溶融物が存在し、前記塩溶融物がアノードの一部を形成する。
【0030】
電解の運転温度において液体である金属の場合には、電解装置に、液体金属を集めるためにカソードの周囲にカソードバッグを設けることができる。このようなカソードバッグは、好ましくはアルミナ製であり、好ましくは複数の孔を有している。
【0031】
加熱手段は、冶金プロセスまたは塩溶融物を加熱するプロセスに通例用いられる任意の種類の加熱手段とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】金属を回収するための装置の概略構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
説明
塩溶融物とアルミニウムの両方が液相である或る温度に、塩溶融物とアルミニウムが加熱される。塩溶融物の粘度を改善するために、塩溶融物の温度は、塩溶融物の液相線温度より好ましくは少なくとも50℃高く、より好ましくは塩溶融物の液相線温度より少なくとも100℃高い。この温度は、少なくとも660℃かつ1000℃以下であるべきであり、好ましくはこの温度は700〜900℃の範囲にある。
【0034】
反応を開始するために、5〜20重量%の開始用塩化物ドナーが塩溶融物に添加される。開始用塩化物ドナーは、好ましくは塩化アルミニウムであるが、それはまた、電解されてアルミニウム溶融物とともに塩化アルミニウムを形成する1つ以上の金属塩化物であってもよい。
【0035】
本発明の第1の実施形態では、
図1に概略的に例示されるように、第一の黒鉛電極が塩溶融物中に浸漬される。電解中に第一の黒鉛電極は、負極性に接続しており、るつぼが正極性に接続している。るつぼは、アルミニウム溶融物と接触している導電性材料によって少なくとも部分的に形成されている。これにより、第一のカソードはカソードとして動作し、一方、るつぼと溶融アルミニウムはアノードとして動作する。したがって、第一の黒鉛電極とるつぼはDC電源に接続される。電圧は、どの金属を抽出するかに依存し、典型的には、対応する金属塩化物の分解電圧より約1ボルト高い。様々な金属を、選択的電着法によって堆積させることができる。
【0036】
AlCl
3は、塩溶融物中で金属酸化物を金属塩化物に溶解(dissolve)する塩素ドナーとして作用する。以下の反応が、塩溶融物中で、AlCl
3と金属酸化物(単数または複数)との間で発生する。
3MO
X + 2XAlCl
3 → 3MCl
2X + XAl
2O
3 ・・・(1)。
【0037】
電解時に、金属塩化物(単数または複数)からの金属(単数または複数)がカソードに堆積する。塩溶融物とアルミニウム溶融物との間の接触面で、塩素イオンがアルミニウムと反応し、それによりAlCl
3が形成される。このことは、定常状態の間に塩溶融物がAlCl
3に関して完全にまたは部分的に自立することができること、および塩素ガスの排出量が減少することを意味している。
【0038】
Al
3++3Cl
− → AlCl
3 (2)、
M
2x++2xe
− → M (3)。
【0039】
カソードにおいて、金属(単数または複数)は、塩溶融物の温度よりも低い融点を有する金属(単数または複数)について液体状態、または固体状態で堆積する。液体金属、例えば鉛を集めるために、透過性(pervious)カソードバッグがカソードの周囲に設けられてよい。カソードバッグは、好適にはアルミナ製であり、かつ複数の孔を有し、それを通してイオンが通過することができる。孔は、周方向に延びる切れ目(cuts)であってもよい。
【0040】
金属酸化物含有資源の金属酸化物(単数または複数)が消費されるにつれて、より多くの金属酸化物(単数または複数)を段階的または連続的に塩溶融物に添加することができる。例えば電解は2〜8時間行うことができ;その後(where after)、カソード(単数または複数)に堆積した金属が収集される。処理後の残留物は、Al
2O
3と、金属酸化物含有資源の内容物に応じて、例えば、SiO
2のような他の安定な酸化物を含む。例えば、CRT用ガラスは、SiO
2を含む。残留物は、例えば埋め立て、建築構造または耐火産業の原料として使用することができる。
【0041】
回収することのできる金属の例として、周期表の4〜14族からの金属、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)および鉛(Pb)の群からの金属を挙げることができる。このような金属は、例えば以下に示すような、様々な金属含有資源、特には金属酸化物から回収することができる:
低品位鉱。
硫化鉱。
海底ノジュール鉱。
有価金属がケイ酸塩、例えばニッケルまたはコバルトを含むラテライト鉱石に結合しているので、現在の技術では処理が困難である鉱石。
冶金工業からのプロセススラグ。工具鋼やステンレス鋼などの高合金鋼を生産する、主に製鉄所からのスラグには、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、コバルト、タングステンなどの有価金属のかなりの量が含まれている。このスラグは現在廃棄されており、それは環境面で好適でない方法であって、価値のある限られた資源の無駄である。
工具鋼、高速度鋼およびステンレス鋼のような高合金鋼の高温形成において得られるミルスケール。
例えば70重量%を超えるタングステンを含む超硬合金(cemented carbide)の、価値ある元素金属を含むスクラップ。硬質合金(hardmetal)とも呼ばれる超硬合金は、タングステン炭化物粒子が凝集体であって金属コバルトがマトリックスとして機能する金属マトリックス複合材料である。
5重量%を超えるクロムとニッケルの合計量を有する鉄鋼生産からのダスト。
回路基板、部品、ディスプレイ等の電子ごみ材。
【0042】
WO2009/139715A1に記載されるような、回収可能な金属を含有する資源を塩素処理する方法は、液体アルミニウムのアノードによって、容易に改変できる。したがって、WO2009/139715A1は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
本発明を示し、また好ましい実施形態に関して説明してきたが、添付の特許請求の範囲の意図された広い範囲内にある多くの改変、置換および追加がなされ得ることが理解されよう。
【0044】
例えば、複数のカソードを使用することができる。
【0045】
例えば、液体アルミニウム中に電極を浸漬し、それを電解中に正極性に接続することによって、アノードを提供することができる。