特許第5719980号(P5719980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5719980
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】靴底用部材、及び、靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/04 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   A43B13/04 A
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-506013(P2015-506013)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2014076168
【審査請求日】2015年1月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】立石 純一郎
(72)【発明者】
【氏名】山出 貴士
【審査官】 平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第06/57361(WO,A1)
【文献】 特開2007−238783(JP,A)
【文献】 特開平05−125263(JP,A)
【文献】 特開2004−43606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋発泡体によって一部又は全部が形成されている靴底用部材であって、
前記架橋発泡体は、ポリマー組成物を架橋発泡させることで形成され、パルスNMRで23℃におけるスピン−スピン緩和時間を測定することにより求められる下記式(1)及び(2)を満足し、且つ、動的粘弾性測定で周波数1Hz、ひずみ0.025%、昇温速度2℃/minの条件で複素弾性率を測定することにより求められる下記式(3)を満足する靴底用部材。

/T2S ≧ 10 ・・・(1)
0.10≦F・T2M+F・T2L≦0.30 ・・・(2)

(上記式(1)の「F」は、0.02ms未満のスピン−スピン緩和時間を示すS相の架橋発泡体における含有割合を表し、「T2S」は、該S相のスピン−スピン緩和時間を表している。また、上記式(2)の「F」は、0.02ms以上0.1ms未満のスピン−スピン緩和時間を示すM相の架橋発泡体における含有割合を表し、「T2M」は、該M相のスピン−スピン緩和時間を表している。さらに、上記式(2)の「F」は、0.1ms以上のスピン−スピン緩和時間を示すL相の架橋発泡体における含有割合を表し、「T2L」は、該L相のスピン−スピン緩和時間を表している。また、F/T2Sの単位は、「1/ms」であり、F・T2M+F・T2Lの単位は、「ms」である。)
(80℃)/E(23℃)≧0.1 ・・・(3)

(上記式(3)の「E(80℃)」は、80℃での複素弾性率を表している。また、上記式(3)の「E(23℃)」は、23℃での複素弾性率を表している。)
【請求項2】
前記ポリマー組成物が、スチレン系熱可塑性エラストマーを含有し、
ポリマーに占める前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有割合が、20〜70質量%である請求項1に記載の靴底用部材。
【請求項3】
前記ポリマー組成物が、エチレンとα−オレフィンとのブロックコポリマーを含有し、
ポリマーに占める前記エチレンとα−オレフィンとのブロックコポリマーの含有割合が、20〜70質量%である請求項1に記載の靴底用部材。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有し、
ポリマーに占める前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有割合が、20〜70質量%である請求項1に記載の靴底用部材。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有し、
ポリマーに占める前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの含有割合が、20〜70質量%である請求項1に記載の靴底用部材。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の靴底用部材を備える靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底用部材、及び、靴に関し、より詳しくは、例えば、インナーソール、ソックライナー、ミッドソール、アウターソール等として用いられる靴底用部材、及び、このような靴底用部材を備えた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
各種競技等に使用されるスポーツシューズは、多くの部材から構成されており、例えば、靴底であれば、インナーソール、ソックライナー、ミッドソール、アウターソール等の靴底用部材から構成されている。
かかる靴底用部材に用いられる素材には、軽量で、長時間の使用による変形を抑え、過酷な使用条件に耐えうる機械的強度、衝撃緩衝性等の特性を有することが求められている。
従来、この種の靴底用部材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリエチレンを主成分とした発泡体で形成されている。
【0003】
シューズに対して快適性を発揮させるために反発弾性を高めるという観点から、従来の靴底用部材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及び/又はポリエチレンに、ゴム又はエチレン−ブテン共重合体(EBM)をブレンドしたものを架橋発泡させた発泡体で形成されており、中でもエチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋発泡体によって形成されたものが広く使用されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
シューズに対して快適性を発揮させるという観点からは、靴底用部材は、適度な剛性(硬度)や軽量性を有しつつ、反発弾性に優れることが望ましい。
さらに、靴底用部材は、製靴工程等では高温にさらされることがあるので、高温にさらされた際に過度な熱変形を生じないことが望ましく、耐熱性を有することが望ましい。
一般的に、上記のような靴底用部材に対する要望に関し、特許文献1に開示されているようにEBMにより反発弾性を向上させた場合には、架橋発泡体の耐熱性が低下する傾向にある。
しかし、これまで、架橋発泡体の反発弾性と耐熱性とを共に優れたものにする手法はこれまで見出されておらず、上記要望を満足させることが困難になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開平11−206406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、低比重で耐熱性に優れ靴底用部材に適した機械特性を発揮させ得る架橋発泡体を提供することで、快適性を有する靴の形成に適した靴底用部材の提供を図り、ひいては快適性を備えた靴を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討を行い、架橋発泡体を形成するポリマー組成物を結晶相などのようにパルスNMRでの測定においてスピン−スピン緩和時間が短く観察される相と、アモルファス相などのようにスピン−スピン緩和時間が長く観察される相と、これらの中間的な相との3相に区分して考え、これら3相をバランス良く架橋発泡体中に形成させることで上記課題を解決し得ることを見出した。
即ち、本発明者は、前記3相をバランス良く架橋発泡体中に形成させることで、架橋発泡体が、低比重で耐熱性に優れ靴底用部材に適した機械特性を発揮し得ることを見出して本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、架橋発泡体によって一部又は全部が形成されている靴底用部材であって、
前記架橋発泡体が、ポリマー組成物を架橋発泡させることで形成され、パルスNMRで23℃におけるスピン−スピン緩和時間を測定することにより求められる下記式(1)及び(2)を満足し、且つ、動的粘弾性測定で周波数1Hz、ひずみ0.025%、昇温速度2℃/minの条件で複素弾性率を測定することにより求められる下記式(3)を満足する靴底用部材である。

/T2S ≧ 10 ・・・(1)
0.10≦F・T2M+F・T2L≦0.30 ・・・(2)

(上記式(1)の「F」は、0.02ms未満のスピン−スピン緩和時間を示すS相の架橋発泡体における含有割合を表し、「T2S」は、該S相のスピン−スピン緩和時間を表している。また、上記式(2)の「F」は、0.02ms以上0.1ms未満のスピン−スピン緩和時間を示すM相の架橋発泡体における含有割合を表し、「T2M」は、該M相のスピン−スピン緩和時間を表している。さらに、上記式(2)の「F」は、0.1ms以上のスピン−スピン緩和時間を示すL相の架橋発泡体における含有割合を表し、「T2L」は、該L相のスピン−スピン緩和時間を表している。また、F/T2Sの単位は、「1/ms」であり、F・T2M+F・T2Lの単位は、「ms」である。)
(80℃)/E(23℃)≧0.1 ・・・(3)

(上記式(3)の「E(80℃)」は、80℃での複素弾性率を表している。また、上記式(3)の「E(23℃)」は、23℃での複素弾性率を表している。)
【0009】
本発明においては、前記ポリマー組成物が、スチレン系熱可塑性エラストマーを含有し、ポリマーに占める前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有割合が、20〜70質量%であることがより好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記ポリマー組成物が、エチレンとα−オレフィンとのブロックコポリマーを含有し、ポリマーに占める前記エチレンとα−オレフィンとのブロックコポリマーの含有割合が、20〜70質量%であることがより好ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記ポリマー組成物が、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有し、ポリマーに占める前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有割合が、20〜70質量%であることがより好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記ポリマー組成物が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有し、ポリマーに占める前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの含有割合が、20〜70質量%であることがより好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記靴底用部材を備える靴である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、快適性を有する靴の形成に適した靴底用部材、及び、快適性を備えた靴を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】靴底用部材を備えた靴の一態様を示した該略側面図。
図2】実施例5及び比較例8の架橋発泡体についてパルスNMR測定を行った結果を示す図。
図3】実施例(○)及び比較例(×)のF/T2S及びF・T2M+F・T2Lを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の靴底用部材について以下にその実施の形態を例示しつつ説明する。
図1は、本実施形態の靴底用部材を用いて形成される靴を示したものである。
該靴1は、アッパー材2と靴底用部材3,4とを有している。
該靴1は、前記靴底用部材として、ミッドソール3、及び、アウターソール4を有している。
【0017】
本実施形態の靴底用部材は、架橋発泡体によって一部又は全部が形成されている。
本実施形態の架橋発泡体に、前記架橋発泡体を形成するポリマー組成物が特定の分子運動性となっていることが重要である。
即ち、架橋発泡体に上記のような特性を発揮させるためには、結晶構造又は準結晶構造などによって分子運動が強く規制されている結晶性領域、及び、分子鎖が比較的自由に分子運動ができるアモルファス領域を架橋発泡体の気泡膜中に適度な割合で形成させるとともに該アモルファス領域において適度な割合で架橋又は擬似架橋を形成させることが重要である。
【0018】
より具体的には、架橋発泡体をパルスNMRで測定した際に下記式(1)及び下記式(2)の条件を満足する状態にする必要がある。
なお、スピン−スピン緩和時間は、例えば、ブルカーオプティクス社製のパルスNMR、型名「minispec mq20」を用い、23℃の温度におけるSolid Echo法による測定を実施することなどで求めることができる。

/T2S ≧ 10 ・・・(1)
0.10≦F・T2M+F・T2L≦0.30 ・・・(2)
【0019】
ここで上記式(1)及び上記式(2)は、23℃におけるパルスNMR測定により、スピン−スピン緩和時間が0.02ms未満のS相、スピン−スピン緩和時間が0.02ms以上0.1ms未満のM相、及び、スピン−スピン緩和時間が0.1ms以上のL相に前記ポリマー組成物を区分して求められるものである。また、F/T2Sの単位は、「1/ms」であり、F・T2M+F・T2Lの単位は、「ms」である。
【0020】
パルスNMRにおいては、パルス磁場を加えた後の経過時間をt(ms)とし、t=0における磁化をM0、時間tにおける磁化をM(t)とすると、スピン−スピン緩和時間(T)は、下記式に基づいて求められる。
なお、下記式中の「W」はワイブル係数を表す。
【0021】
【数1】
【0022】
そして、測定対象をn個の成分に分解した際に、i番目(i<n)の成分に関し、t=0におけるこのi成分の磁化をM0iとし、i成分のワイブル係数をWとするとi成分のスピン−スピン緩和時間(T2i)、及び、i成分の割合Fは、下記式に基づいて求められる。
例えば、ワイブル係数Wは、W=2、W=1、W=1を用いることができる。
このような緩和時間の求め方については、S.Yamasaki et al Polymer48 4793 (2007)などに開示されている。
【0023】
【数2】
【0024】
【数3】
【0025】
そして、[F/T2S]の項については、具体的には、パルスNMRでの測定結果におけるスピン−スピン緩和時間が0msよりも大きく0.02ms未満となるS相の全体に占める割合(F)と該S相の緩和時間(T2S[ms])とを求め、前記S相の割合(F)をスピン−スピン緩和時間(T2S)で除して求められる。
【0026】
また、[F・T2M]の項は、スピン−スピン緩和時間が0.02ms以上0.1ms未満となるM相の全体に占める割合(F)と該M相の緩和時間(T2M)とを求め、前記M相の割合(F)をスピン−スピン緩和時間(T2M)に乗じて求められる。
【0027】
さらに、同様に[F・T2L]の項は、スピン−スピン緩和時間が0.1ms以上となるL相の全体に占める割合(F)と該L相の緩和時間(T2L)とを求め、前記L相の割合(F)をスピン−スピン緩和時間(T2L)に乗じて求められる。
【0028】
なお、[F・T2L]、[F・T2M]の項については、下記条件を満足する値となっていることが好ましい。

0.08≦[F・T2L]≦0.30

0.60≦[F・T2M]≦0.90
【0029】
なお、一般的なポリマーであればスピン−スピン緩和時間(T2S、T2M、T2L)や各相の含有割合(F、F、F)が、架橋前後において大きく変動することが無い。
そのため、非架橋な状態でパルスNMR測定を実施して前記の不等式に示した関係を満足するポリマーを調製し、該ポリマーを架橋発泡体を形成させるためのポリマー組成物のポリマーとして採用すれば、前記の不等式に示した関係を満足する架橋発泡体を高い確率で得ることができる。
【0030】
また、一般的なポリマーであれば発泡しているか否かによってスピン−スピン緩和時間や各相の含有割合を大きく異ならせることが無い。
そのため前記の不等式に示した関係を満足する架橋発泡体が得られるか否かをより確実に予測することが必要な場合であれば、ポリマーによる非発泡な架橋体試料を作製し、該試料に対してパルスNMR測定を実施して前記予測を行えば良い。
【0031】
なお、S相、M相、及び、L相の含有割合については、例えば、結晶性ポリマーであれば、主として結晶相がパルスNMR測定においてS相となって観測され、主としてアモルファス相がM相やL相となって観測される。
また、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロック共重合体であれば、主としてハードセグメント部分がパルスNMR測定においてS相となって観測され、主としてソフトセグメント部分がM相やL相となって観測される。
【0032】
従って、例えば、密度の異なる(結晶化度の異なる)何種類かのポリエチレンについてパルスNMR測定を実施してスピン−スピン緩和時間と各相の含有割合とについてデータを採取しておけば、当該緩和時間や含有割合が結晶化度によってどのような傾向を示すかを把握することができる。
即ち、架橋発泡体のポリマーをポリエチレンとするような場合には、必ずしも、用いるポリエチレンのパルスNMR測定を予め実施しなくても、他のポリエチレンについて実施したパルスNMR測定の結果から架橋発泡体のスピン−スピン緩和時間や各相の含有割合を予測することができる。
【0033】
また、ブロック共重合体に関しても、同様にハードセグメントとソフトセグメントとの割合が異なる何種類かのものに対してパルスNMR測定を実施することでハードセグメントとソフトセグメントとの割合によってスピン−スピン緩和時間と割合とがどのように変化するかを把握することができる。
【0034】
さらに、前記ポリマー組成物に複数のポリマーを含有させる場合においては、個々のポリマーについてスピン−スピン緩和時間(T2S、T2M、T2L)と各層の含有割合(F、F、F)とを測定し、ポリマー組成物における配合割合に応じたこれらの加重平均値を算出することにより架橋発泡体のスピン−スピン緩和時間と割合とを予測することができる。
【0035】
即ち、[F/T2S]は、結晶化度の高い結晶性ポリマーや、ハードセグメントの含有率の高いブロック共重合体をより多くポリマー組成物に含有させることで高い値を示すようになる。
また、逆に[F・T2L+F・T2M]は、結晶化度の低い結晶性ポリマーや、ソフトセグメントの含有率の高いブロック共重合体をより多くポリマー組成物に含有させることで高い値を示すようになる。
【0036】
本実施形態においては、この〔F・T2M+F・T2L〕を0.10以上とすることで、反発弾性を高くすることができる。
また、この〔F・T2M+F・T2L〕を0.30以下とし、更に、この[F/T2S]を10以上とすることで、剛性を高くすることができる。
【0037】
本実施形態において、シューズに対して快適性を発揮させるという観点から、前記架橋発泡体の反発弾性は、51%以上であることが好ましい。
この反発弾性は、ASTM D2632に基づいて測定される値である。
【0038】
本実施形態において、前記架橋発泡体の比重は、0.05〜0.30であることが好ましい。
なお、架橋発泡体の比重とは、JIS K7112のA法「水中置換法」によって、23℃の温度条件下において測定される値を意味する。
【0039】
本実施形態において、靴底用部材を軟質性に優れたものにするという観点から、前記架橋発泡体のアスカーC硬度は、70以下であることが好ましく、60以下であることがより好ましく、55以下であることが特に好ましい。
ただし、靴底用部材は、過度に低硬度な架橋発泡体で形成されると、当該靴底用部材を備えたシューズの履き心地を低下させるおそれを有する。
従って、前記架橋発泡体のアスカーC硬度は、10以上であることが好ましい。
なお、架橋発泡体のアスカーC硬度とは、JIS K7312のタイプCによるスプリング硬さ試験を23℃において実施した際の瞬時値を意味する。
より具体的には、アスカーC硬度は、例えば、型内発泡成形などによって所定形状とされた架橋発泡体から表皮部分を除去して10mm以上の厚みを有する板状の測定試料を作製し、該測定試料に対してJIS K7312に基づく測定を実施することによって求めることができる。
【0040】
本実施形態において、前記架橋発泡体は、下記式(3)の条件を満足する架橋発泡体であることが重要である。

(80℃)/E(23℃)≧0.1 ・・・(3)
【0041】
また、前記架橋発泡体は、下記式(4)の条件を満足する架橋発泡体であることが好ましい。

(−40℃)/E(23℃)≦15 ・・・(4)
【0042】
ここで、上記式(3)及び上記式(4)は、動的粘弾性測定(周波数:1Hz、ひずみ:0.025%、昇温速度:2℃/min)で架橋発泡体の複素弾性率を測定することにより求められるものである。そして、上記式(3)の「E(80℃)」は、80℃での複素弾性率を表している。また、上記式(3)及び上記式(4)の「E(23℃)」は、23℃での複素弾性率を表している。さらに、上記式(4)の「E(−40℃)」は、−40℃での複素弾性率を表している。
なお、複素弾性率は、JIS K7244−4:1999「プラスチック−動的機械特性の試験方法−第4部:引張振動−非共振法」に従って測定したものを意味する。
【0043】
(80℃)/E(23℃)は、標準温度(23℃)の複素弾性率と高温(80℃)との複素弾性率との比である。E(80℃)/E(23℃)が大きいと、架橋発泡体が高温下で軟化し難いことを示す。
従って、E(80℃)/E(23℃)が0.1以上であることにより、架橋発泡体が高温下で軟化し難くなる。その結果、架橋発泡体は、高温下で変形し難くなり、すなわち、架橋発泡体が耐熱性に優れたものとなる。
(80℃)/E(23℃)は、好ましくは0.13以上である。
【0044】
(−40℃)/E(23℃)は、標準温度(23℃)の複素弾性率と低温(−40℃)との複素弾性率との比である。E(−40℃)/E(23℃)が小さいと、架橋発泡体が低温下で硬化し難いことを示す。
従って、E(−40℃)/E(23℃)が15以下であることにより、架橋発泡体が低温下で硬化し難くなる。
(−40℃)/E(23℃)は、好ましくは13以下、より好ましくは10以下である。
【0045】
該ポリマー組成物の主成分たるポリマーは、本実施形態においては、特に限定が加えられるものではなく、従来の靴底用部材の形成に利用されているポリマーと同様のものとすることができる。
【0046】
前記ポリマーとしては、オレフィン系のものであれば、例えば、ポリエチレン(例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE))、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体(EBM)、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−4−メチル−ペンテン、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンとα−オレフィン(炭素数:3〜10)との共重合体等から選択される1種又は2種以上を採用することができる。
【0047】
また、オレフィン系以外のものであれば、前記ポリマーとしては、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン等のポリウレタン系ポリマー;スチレン−エチレン−ブチレン共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、SBSの水素添加物(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS))、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、SISの水素添加物(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS))、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン(SBSB)、スチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレン(SBSBS)、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)等のスチレン系ポリマー等から選択される1種又は2種以上を採用することができる。
また、前記ポリマーとしてその他には、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)等も採用することもできる。
【0048】
さらに、本実施形態において前記ポリマーとして採用可能なポリマーを挙げると、例えば、フッ素樹脂やフッ素ゴムなどのフッ素系ポリマー;ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,6、ポリアミド610などのポリアミド系樹脂やポリアミド系エラストマーといったポリアミド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;シリコーン系エラストマー;ブタジエンゴム(BR);イソプレンゴム(IR);クロロプレン(CR);天然ゴム(NR);スチレンブタジエンゴム(SBR);アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR);ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。
【0049】
また、特に、架橋発泡体の反発弾性を高めるという観点から、前記ポリマー組成物は、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、エチレンとα−オレフィンとのブロックコポリマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、又は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有することが好ましく、なかでも、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)が特に好ましい。
前記ポリマーは、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)を含有する場合には、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)を、10質量%以上100質量%未満含有することが好ましく、20〜70質量%含有することが特に好ましい。
また、前記ポリマーは、エチレンとα−オレフィンとのブロックコポリマーを含有する場合には、エチレンとα−オレフィンとのブロックコポリマーを、10質量%以上100質量%未満含有することが好ましく、20〜70質量%含有することが特に好ましい。
また、前記ポリマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有する場合には、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを、10質量%以上100質量%未満含有することが好ましく、20〜70質量%含有することが特に好ましい。
また、前記ポリマーは、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有する場合には、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを、10質量%以上100質量%未満含有することが好ましく、20〜70質量%含有することが特に好ましい。
【0050】
エチレン−ブテン共重合体(EBM)やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)は、比較的融点が低い。
よって、前記ポリマー組成物は、架橋発泡体を加熱して意匠を施しやすいという観点から、エチレン−ブテン共重合体(EBM)やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含有することが好ましい。
前記ポリマー組成物のポリマーは、エチレン−ブテン共重合体(EBM)を20〜40質量%含有することがより好ましい。
また、前記ポリマー組成物のポリマーは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を20〜40質量%含有することがより好ましい。
【0051】
このようなポリマーを架橋発泡させる手法は特に限定されず、一般的な架橋発泡体の形成に利用されている架橋剤、及び、発泡剤を本実施形態においても用いることができる。
該架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、マレイミド系架橋剤、硫黄、フェノール系架橋剤、オキシム類、ポリアミン等を採用することが可能であるが、なかでも有機過酸化物が好ましい。また、電子線を用いて架橋構造を形成させることも可能であり、電子線架橋を実施する場合には、電子線架橋剤を用いることもできる。
【0052】
該有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド等から選択される1種又は2種以上を採用することができる。
【0053】
前記有機過酸化物は、本実施形態のポリマー組成物中に含有されるポリマーの合計100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下となる割合で架橋発泡体の形成に使用されることが好ましい。
【0054】
また、前記架橋発泡体は、前記架橋剤とともに架橋助剤を併用して架橋密度を調整させることができる。
この架橋助剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアネート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、トリシクロデカンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等から選択される1種又は2種以上を採用することができる。
【0055】
また、前記架橋発泡体は、クレー、タルク、シリカ、カーボンブラックといった表面エネルギーの高い無機物粒子をポリマー組成物にブレンドし、当該無機物粒子によってポリマー組成物中に擬似架橋点を形成させるようにしてもよい。
【0056】
ポリマーを発泡させる手法は特に限定されず、有機系や無機系の化学発泡剤を用いた化学発泡法や、物理発泡剤を用いた物理発泡法により、発泡成形することができる。
前記発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]等のアゾ化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体;p−トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物;トリヒドラジノトリアジンなどの有機系熱分解型発泡剤から選択される1種又は2種以上を採用することができる。
【0057】
また、前記発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の重炭酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩、水素化合物などの無機系熱分解型発泡剤から選択される1種又は2種以上を採用することができる。
【0058】
さらに、メタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の各種脂肪族炭化水素類などの有機系発泡剤、空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水などの無機系発泡剤も前記架橋発泡体を形成させる際の発泡剤として用いることができる。
【0059】
前記架橋発泡体に含有させるその他の添加剤としては、分散剤、加工助剤、耐侯剤、難燃剤、顔料、離型剤、帯電防止剤、抗菌剤、消臭剤等が挙げられる。
【0060】
このような架橋発泡体を形成させる方法としては、特に限定されることなく、従来公知の方法を採用することができる。
【0061】
本実施形態に係る靴は、本実施形態に係る靴底用部材を備えている。
【0062】
なお、本発明に係る靴底用部材及び靴は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る靴底用部材及び靴は、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明に係る靴底用部材及び靴は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本発明の靴底用部材は、上記のような架橋発泡体のみによって形成させてもよく、或いは、本発明の効果が損なわれない範囲内において布帛や樹脂シート等の他の素材を併用して形成させてもよい。
【実施例1】
【0063】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
(予備検討1)
ハードセグメントとソフトセグメントとを有するスチレン系熱可塑性エラストマー(以下「TPS−A」ともいう)、3種類のオレフィン系エラストマー(以下「TPO−A」、「TPO−B」、「TPO−C」ともいう)、及び、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下「EVA−A」ともいう)を用意し、非架橋な状態でパルスNMRを用いて25℃におけるスピン−スピン緩和時間(T2S、T2M、T2L)と各相(S相、M相、L相)の含有割合(F、F、F)とを測定した。
また、これらのポリマーを使って作製した架橋発泡体についてもパルスNMRでスピン−スピン緩和時間と各相の含有割合とを測定した。
結果を、下記表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
(予備検討2)
前記予備検討1のスチレン系エラストマー(TPS−A)と1番目のオレフィン系エラストマー(TPO−A)とを質量比(「TPS−A」/「TPO−A」)で、それぞれ「80/20」、「70/30」、「60/40」となる割合でブレンドした混合樹脂で架橋発泡体を作製した。
そして、この架橋発泡体をパルスNMRで測定し、25℃におけるスピン−スピン緩和時間(T2S、T2M、T2L)及び各相(S相、M相、L相)の割合(F、F、F)を求めた。
また、この混合樹脂による架橋発泡体をパルスNMRで測定した結果を予測すべく、表1の架橋発泡体のデータ(No.1−2、No.2−2)に基づいた加重平均値を計算により求めた。
即ち、「80/20」の架橋発泡体の「T2L」の値は、表1における「TPS−A」の「T2L」の値が「0.245」で、「TPO−A」の「T2L」の値が「0.220」であることから、「(0.245×80+0.220×20)/100」の式を計算して「0.240」となるものと予測した。
また、その他のスピン−スピン緩和時間(T2S、T2M)や各相の割合(F、F、F)の予測値についても同様に加重平均値を計算により求めた。
この加重平均による予測値と架橋発泡体を実測した値とを下記表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
また、非架橋な状態でスピン−スピン緩和時間(T2S、T2M、T2L)、及び、各相の割合(F、F、F)が下記表3に記載の値となるスチレン系エラストマー(以下「TPS−B」ともいう)と、先のオレフィン系エラストマー(TPO−A)とを質量比(「TPS−B」/「TPO−A」)で「80/20」となる割合でブレンドした混合樹脂で架橋発泡体を作製した。
この架橋発泡体をパルスNMRで測定し、25℃におけるスピン−スピン緩和時間(T2S、T2M、T2L)及び各相の割合(F、F、F)を求めた。
また、この架橋発泡体をパルスNMRで測定した結果を予測すべく、表1におけるオレフィン系エラストマー(TPO−A)の非架橋な状態でのデータ(No.2−1)と、下記表3に示したスチレン系エラストマー(TPS−B)の非架橋な状態でのデータ(No.6−1)に基づいた加重平均値を計算により求めた。
この予測値を架橋発泡体の実測値とともに表3に併せて示す。
【0069】
【表3】
【0070】
上記の表に示された結果からも、架橋前のポリマーなどに対してパルスNMRでスピン−スピン緩和時間や各相の割合を測定することで、当該ポリマーを用いて架橋発泡体を作成した際に、この架橋発泡体のスピン−スピン緩和時間や各相の含有割合がどのような値となるかを予測することが容易になることがわかる。
即ち、上記表に示された結果から、架橋発泡体が下記不等式を満たすか否かを事前に予測することが容易であることがわかる。

/T2S ≧ 10 ・・・(1)
0.10≦F・T2M+F・T2L≦0.30 ・・・(2)
【0071】
(実施例、比較例)
ポリマーとして、エチレン−ブテン共重合体(EBM(1)、EBM(2))、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA(1)、EVA(2))、イソプレンゴム、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS(1)、TPS(3)、TPS(5))、エチレンとα−オレフィンとのブロックコポリマー(OBC(1)、OBC(2)、OBC(3))、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE(1)、TPEE(2))、及び、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE(1))を用意した。また、その他の成分として、ステアリン酸、酸化亜鉛、化学発泡剤、架橋剤、及び、架橋助剤を用意した。
そして、下記表4、5に示すような配合で架橋発泡体を作製した。
【0072】
この架橋発泡体の反発弾性、硬度、比重、及び、複素弾性率を測定した結果を表4、5に示す。
また、この架橋発泡体のパルスNMRによる測定(23℃)を行った結果も表4、5に示す。なお、パルスNMR測定の結果は、室温領域では変わらないので、例えば25℃での測定結果も同じである。
なお、図2は、実施例5及び比較例8の架橋発泡体についてパルスNMR測定を行った結果を示す。
また、図3は、実施例(○)及び比較例(×)のF/T2S及びF・T2M+F・T2Lを示す。
【0073】
なお、以下の基準で評価を行った。
すなわち、反発弾性については、反発弾性が51%以上のものを「○」とした。
また、剛性及び軽量性については、硬度/比重が200以上のものを「○」とした。
さらに、耐熱性については、架橋発泡体のE(80℃)/E(23℃)が0.1以上のものを「○」とした。
また、については、架橋発泡体のE(−40℃)/E(23℃)が15以下のものを「○」とした。
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
表4、5に示すように、本発明によれば、低比重で耐熱性に優れ靴底用部材に適した機械特性を発揮させ得る架橋発泡体を提供することで、快適性を有する靴の形成に適した靴底用部材、及び、快適性を備えた靴を提供することができることがわかる。
【符号の説明】
【0077】
1:靴、3:ミッドソール、4:アウターソール
【要約】
架橋発泡体によって一部又は全部が形成されている靴底用部材であって、前記架橋発泡体がパルスNMRによる特定の測定結果を示すことを特徴とする靴底用部材などを提供する。
図1
図2
図3