(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載のクランプ装置(10a)において、前記スクレイパ(98)が前記ケーシング(32)の外方に露呈して設けられたことを特徴とするクランプ装置(10a)。
請求項1〜3のいずれか1項に記載のクランプ装置(10a)において、前記別のスクレイパ(100)が前記ケーシング(32)の内方に収容されて設けられたことを特徴とするクランプ装置(10a)。
請求項1〜4のいずれか1項に記載のクランプ装置(10a)において、前記別のスクレイパ(100)がシールとして機能することを特徴とするクランプ装置(10a)。
請求項1〜5のいずれか1項に記載のクランプ装置(10a)において、前記側面清浄用スクレイパ(200a、200b)がシールとして機能することを特徴とするクランプ装置(10a)。
請求項1〜6のいずれか1項に記載のクランプ装置(10a)において、複数個の当該クランプ装置(10a)が、各々の前記クランプアーム(34)が同一方向に揺動するように並列して連結されることでユニット(12)を構成可能であることを特徴とするクランプ装置(10a)。
【発明の概要】
【0008】
独国実用新案第9104532号明細書に記載されたクランプ装置では、前記開口を、クランプアームが揺動する範囲分設ける必要がある。このため、開口が比較的長距離にわたって延在することになるので、該開口から塵埃がケーシング内に進入し易くなる。すなわち、トグルリンク機構を塵埃から保護することが容易でなくなる。
【0009】
独国実用新案第9104532号明細書記載の発明においては、カバー部材でクランプアームを覆うことによってケーシング内に塵埃が進入することを回避することを試みている。しかしながら、このカバー部材によって開口を全体にわたって閉塞することは困難である。
【0010】
本発明の一般的な目的は、幅方向寸法が狭小化されたクランプ装置を提供することにある。
【0011】
本発明の主たる目的は、ケーシングの内方に塵埃が進入することを防止し得るクランプ装置を提供することにある。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、ケーシングの開口から一端部が露呈し、且つ前記ケーシングの内方に他端部が収容されたクランプアームと、
前記ケーシングの内方で前記クランプアームの前記他端部を軸支する支軸と、
前記ケーシングの内方に配置されたトグルリンク機構を介して前記クランプアームに連結されたロッドを有し、前記ロッドの直線運動を前記トグルリンク機構によって回転運動に変換することで前記支軸を中心として前記クランプアームを揺動させるシリンダと、
を備え、
前記クランプアームに、前記支軸を中心として湾曲し、且つ該クランプアームがワークをクランプするために揺動する際に前記ケーシングの外方に露呈する一方、前記ワークを解放するために揺動する際に前記ケーシングの内方に収納される円弧部が形成され、
前記ケーシングに、前記クランプアームが揺動する際に前記円弧部の円弧面に摺接するスクレイパが設けられたクランプ装置が提供される。
【0013】
ワークをクランプしたクランプアームにおけるケーシングから露呈した部位(円弧部)に対しては、異物が付着する懸念がある。また、ワークに対して溶接が施される場合、前記部位にスパッタ(塵埃)が付着することもある。このようなものが付着した状態のままの円弧部が、クランプアームがワークを解放することに伴ってケーシングに収容されると、異物や塵埃がケーシング内に進入することになる。
【0014】
しかしながら、本発明によれば、クランプアームが揺動する際、前記円弧部の円弧面に対してスクレイパを摺接させるようにしている。従って、異物や塵埃が円弧面から掻き落とされるので、該円弧面が清浄化される。この状態で円弧部がケーシング内に収容されるので、異物や塵埃がケーシング内に進入することを有効に防止することができる。
【0015】
その結果、異物や塵埃がトグルリンク機構の動作に影響を及ぼすことが回避される。このため、クランプアームの適切な揺動を長期間にわたって維持することができる。換言すれば、メンテナンスの頻度が著しく低減する。
【0016】
すなわち、本発明によれば、クランプアームが揺動する際にケーシング内に収容されていく円弧部に対してスクレイパを摺接させるようにしているので、異物や塵埃がケーシング内に進入することを有効に防止することができる。これにより、異物や塵埃がトグルリンク機構の動作に影響を及ぼすことを回避することが可能となるので、クランプアームの適切な揺動を長期間にわたって維持することができる。
【0017】
また、ケーシングの開口からクランプアームを露呈するようにしているので、トグルリンク機構の連結軸をケーシングの側面から突出させる必要がない。このため、ケーシング、ひいてはクランプ装置の幅方向寸法の狭小化を図ることができる。
【0018】
なお、このスクレイパは、ケーシングの外方に露呈して設けることができる。
【0019】
さらに、このスクレイパを、前記円弧部とケーシングの間のクリアランスを閉塞するシールとして機能させることが好ましい。これにより、塵埃等が前記クリアランスを介してケーシング内に進入することを回避することができる。
【0020】
また、クランプアームには、前記支軸を中心として湾曲し、且つ該クランプアームがワークをクランプするために揺動する際に前記ケーシングの内方に収納される一方、前記ワークを解放するために揺動する際に前記ケーシングの外方に露呈する別の円弧部を形成す
る。そして、ケーシングに、クランプアームが揺動する際に前記別の円弧部の円弧面に摺接する別のスクレイパを設け
る。
【0021】
この別のスクレイパは、例えば、ケーシングの内方に収容して設けることができる。
【0022】
そして、前記別のスクレイパを、前記別の円弧部とケーシングとの間のクリアランスを閉塞するシールとして機能させることが好ましい。
【0023】
以上のようにすれば、クランプアームを揺動させるための開口を略全体にわたって閉塞することができる。このため、異物や塵埃がケーシング内に進入することを一層効果的に回避することができる。
【0024】
以上の構成において
は、ケーシングに、前記クランプアームが揺動する際に前記円弧部の側面に摺接する側面清浄用スクレイパを設け
る。この場合、クランプアー
ムが上記したように揺動動作する際に、前記円弧部の側面に対して側面清浄用スクレイパが摺接するので、該円弧部の側面も併せて清浄化される。このため、異物や塵埃がケーシング内に進入することを一層有効に防止することができ、トグルリンク機構の動作に影響を及ぼすことが一層回避されるので、クランプアームを一層長期間にわたって適切に揺動させることができる。
【0025】
さらに、複数個のクランプ装置を連結してクランプユニットを構成するようにしてもよい。この場合、各々の前記クランプアームが同一方向に揺動するようにクランプ装置同士を並列して連結すればよい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るクランプ装置につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1〜
図3は、それぞれ、本実施の形態に係るクランプ装置10a〜10cを含むクランプユニット12の全体概略斜視図、その分解斜視図、別角度からの全体概略斜視図である。このクランプユニット12は、互いに同一構成であるクランプ装置10a〜10cが各々の主面に設けられた連結用ブラケット14、14、14(
図2及び
図3参照)及びタイロッド16を介して連結されることで構成される。なお、
図2においては、爪部材20(
図1及び
図3参照)の図示を省略している。
【0029】
ここで、クランプ装置10aの構成につき詳述する。
【0030】
図4及び
図5は、それぞれ、クランプ装置10aの分解斜視図、
図2のV−V線矢視断面図である。このクランプ装置10aは、シリンダ22を構成するシリンダチューブ24と、第1ケーシング部材26、第2ケーシング部材28及び背面カバー30が組み合わされることで構成されるケーシング32とを有し、第1ケーシング部材26と第2ケーシング部材28の合わせ面に形成される開口33からは、クランプアーム34の一端部(クランプ側端部36)が露呈する。
【0031】
シリンダチューブ24には、その軸線方向に沿って、楕円形状且つ大径のシリンダ室38が形成されている。このシリンダ室38は、長尺な連結ロッド40を介してシリンダチューブ24の
図4及び
図5における下方、上方にそれぞれ連結されるヘッドカバー42、ロッドカバー44によって閉塞される。
【0032】
図5に示すように、ヘッドカバー42の背面に相当する部位には、連通路46を介してシリンダ室38に連通する第1ポート48が形成される。また、ヘッドカバー42におけるシリンダ室38を臨む側の端面にはダンパ50が取り付けられ、このダンパ50の略中腹部には凹部52が陥没形成されている。
【0033】
ヘッドカバー42と同様に、ロッドカバー44の背面に相当する部位にも、連通路54を介してシリンダ室38に連通する第2ポート56が形成される。これら第1ポート48及び第2ポート56は、シリンダ室38に対して圧縮空気を導入又は導出するための吸排気口である。なお、
図3に示すように、第1ポート48及び第2ポート56には、それぞれ、図示しない管継手を介して給排気管58が連結される。
【0034】
シリンダ室38(
図4及び
図5参照)には、シール部材60が外嵌された楕円形状のピストン62が収容される。勿論、シール部材60はシリンダ室38の内壁に対して摺動可能に接しており、このため、第1ポート48からシリンダ室38に導入された圧縮空気がピストン62を越えて第2ポート56から排出されることはなく、同様に、第2ポート56からシリンダ室38に導入された圧縮空気がピストン62を越えて第1ポート48から排出されることもない。
【0035】
ピストン62には円形挿入孔64が形成されており、この円形挿入孔64にはロッド66が嵌合されている。ロッド66におけるピストン62に挿入された先端部が加締められることにより、ピストン62のロッド66からの抜け止めがなされている。
【0036】
一方、ロッド66の先端には、トグルリンク機構70を介して前記クランプアーム34の他端部(連結側端部72)が連結される。
【0037】
具体的には、トグルリンク機構70は、ロッド66側からクランプアーム34にかけてナックルジョイント74、第1リンク部材76、第2リンク部材78をこの順序で有し、ナックルジョイント74と第1リンク部材76が第1ロッドピン80を介して連結されるとともに、第1リンク部材76と第2リンク部材78が第2ロッドピン81を介して連結されることで構成されている。第1ロッドピン80、第2ロッドピン81には、それぞれ、ガイドローラ82、83が外嵌される。
【0038】
ロッド66の先端には、縮径された嵌合用小径部84が一体的に突出形成される。一方、ナックルジョイント74には嵌合溝が形成され、該嵌合溝86に前記嵌合用小径部84が嵌合されることでロッド66とナックルジョイント74が連結される。
【0039】
また、クランプアーム34は、トグルリンク機構70に連結される幅広な連結側端部72と、ケーシング32から突出して延在する略直方体形状の長尺なクランプ側端部36とを有する。この中の連結側端部72は中空体として形成され、且つ第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28の各端面に臨む側の端面に、リンクピン係合用孔88がそれぞれ貫通形成される。
【0040】
第2リンク部材78の先端は、中空の前記連結側端部72に挿入される。該第2リンク部材78の各側面にはリンクピン90がそれぞれ突出形成され、これら2個のリンクピン90が前記2個のリンクピン係合用孔88の各々に係合される。
【0041】
以上のようにしてロッド66に連結されたナックルジョイント74と、クランプアーム34の連結側端部72に連結された第2リンク部材78とに対して第1リンク部材76が橋架されることにより、後述するように、ロッド66の直進運動がクランプアーム34の回転(揺動)運動に変換される。ここで、クランプアーム34がワークをクランプした状態では、第2リンク部材78の湾曲した端面が後述する固定ローラ124に当接する。
【0042】
なお、クランプアーム34の連結側端部72には、リンクピン90よりも下方に、第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28の各端面に指向する支点ピン92(支軸)が突出形成されている。後述するように、クランプアーム34は、この支点ピン92を中心として揺動する。
【0043】
連結側端部72には、第2リンク部材78からクランプ側端部36に向かって湾曲した第1円弧部94が形成される。この第1円弧部94は、前記支点ピン92を中心とする円弧であり、その弧の長さは、支点ピン92を中心とする真円の周長の略1/4に相当する。
【0044】
連結側端部72における支点ピン92の近傍には、該支点ピン92と同一中心となる第2円弧部96が湾曲形成される。この第2円弧部96の長さも、支点ピン92を中心とする真円の周長の略1/4に相当する。
【0045】
なお、
図1〜
図5においては、クランプアーム34のクランプ側端部36が横臥して図示しないワークをクランプした状態を示しているが、この際、第1円弧部94がケーシング32から露呈するとともに、第2円弧部96がケーシング32の内方に収納される(
図1〜
図3及び
図5参照)。一方、
図6に示すように、クランプ側端部36が起立して前記ワークを解放した場合、第1円弧部94がケーシング32の内方に収納されるとともに、第2円弧部96がケーシング32から露呈する。後述するように、クランプアーム34が揺動してクランプ側端部36が横臥状態から起立状態となる際、又は起立状態から横臥状態となる過程の双方において、第1円弧部94の円弧面に第1スクレイパ98が摺接するとともに、第2円弧部96の円弧面に第2スクレイパ100が摺接する。
【0046】
以上のように構成された連結側端部72に連なるクランプ側端部36には、爪部材20(
図1参照)を連結する爪連結ねじ102を通すための爪連結ねじ用挿通孔104(
図4参照)が複数個貫通形成されている。換言すれば、爪部材20は、爪連結ねじ102を介してクランプアーム34に堅牢に連結されている。
【0047】
第1円弧部94とクランプ側端部36の境界には、逃げ部106が陥没形成される。この逃げ部106には、クランプ側端部36が起立した際に第1スクレイパ98の先端部が挿入される(
図6参照)。
【0048】
また、クランプアーム34において、逃げ部106の反対側の面には、該逃げ部106の位置に略対応する位置に、規制ねじ107が設けられる。
【0049】
第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28には、軸支用孔108、110がそれぞれ貫通形成される(
図4参照)。軸支用孔108、110の各々には、ブッシュ112、114を介して前記支点ピン92が回転自在に挿入される。
【0050】
第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28において、ケーシング32の内壁となる側の端面中の主面側には、横臥したクランプ側端部36に近接する位置に、
図4の上下方向に並列するようにして2個のブラケット位置決め用穴116、118が陥没形成される。さらに、これらブラケット位置決め用穴116、118の間に、連結用ブラケット14を連結支持するための支持ねじ120を通す支持ねじ用貫通孔122、123が形成される。
【0051】
ここで、
図4から諒解されるように、連結用ブラケット14は、ケーシング32の軸線方向に沿って延在する幅狭な長尺端部134と、該長尺端部134の延在方向に直交する方向に延在する幅広な短尺端部136とが一体的に設けられた平面視略T字形状をなす。そして、この中の幅狭な長尺端部134には、2個のブラケット位置決め用孔138が貫通形成される。これらブラケット位置決め用孔138の間には、前記支持ねじ120を螺合するための支持ねじ用穴140が穿設される。
【0052】
ブラケット位置決め用孔138には位置決めピン142がそれぞれ通され、且つこれら位置決めピン142の各先端面は、第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28に陥没形成されたブラケット位置決め用穴116、118の底面に着座する。これにより、位置決めピン142、ひいては連結用ブラケット14がケーシング32に対して位置決めされる。
【0053】
この状態で、支持ねじ120が第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28の各支持ねじ用貫通孔122、123に通され、さらに、連結用ブラケット14の長尺端部134に形成された支持ねじ用穴140に螺合されることに伴い、連結用ブラケット14がケーシング32に堅牢に連結される。なお、位置決めピン142におけるブラケット位置決め用孔138から露呈した部位は全て、ブラケット位置決め用穴116、118に挿入される。従って、第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28と、連結用ブラケット14の長尺端部134との間にクリアランスが形成されることはない。
【0054】
長尺端部134には、前記第2スクレイパ100が第1止めねじ144によって位置決め固定される。さらに、短尺端部136には、前記規制ねじ107を堰止することでクランプアーム34(クランプ側端部36)のそれ以上の揺動を規制するためのストッパ部材146が第2止めねじ148を介して連結されるとともに、該短尺端部136の軸線方向に沿って2個のタイロッド挿通孔150が貫通形成される。
【0055】
短尺端部136の一側面には、さらに、前記2個のタイロッド挿通孔150に挟まれるようにして2個の突出ピン用係合穴152が陥没形成される。また、他側面には、クランプ装置10aに隣接するクランプ装置10bの連結用ブラケット14の突出ピン用係合穴152に係合される突出ピン154が設けられる(
図2参照)。
【0056】
また、第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28において、ケーシング32の内壁となる側の端面中の背面側には、トグルリンク機構70に近接する位置に、固定ローラ124のローラ軸を挿入するローラ軸用孔126、128が貫通形成される。そして、これらローラ軸用孔126、128を挟むようにして2個のスペーサ連結ねじ用挿通孔130、132が設けられる。
【0057】
図4に示すように、前記スペーサ連結ねじ用挿通孔130、132の各々にはスペーサ連結ねじ160が通される。各スペーサ連結ねじ160は、略円柱体形状をなすスペーサ162の底面に穿設されたスペーサ連結ねじ用穴164、166に螺合される。スペーサ162における一底面から他底面に至る高さ方向寸法は、連結用ブラケット14の長尺端部134の幅方向寸法に対応する。このため、第1ケーシング部材26と第2ケーシング部材28は、クランプアーム34のクランプ側端部36に近接する主面側端部から、固定ローラ124に近接する背面側端部に至るまで、互いに平行に延在する。
【0058】
固定ローラ124に近接する背面側端部では、第1ケーシング部材26と第2ケーシング部材28の間にクリアランスが生じる。このクリアランスは、ケーシング32を構成する前記背面カバー30によって閉塞される。なお、背面カバー30は、
図1〜
図5における上下方向に沿って延在する垂下部168と、該垂下部168に対して略直角となるように屈曲されて延在するスクレイパ固定部170とからなり、この中の垂下部168が、第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28に対してカバー連結ねじ172を介して堅牢に連結される。すなわち、第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28には図示しないカバー連結ねじ用穴が形成され、前記カバー連結ねじ172は、これらカバー連結ねじ用穴に螺合される。
【0059】
背面カバー30の垂下部168に形成された開口174には、ナックルジョイント74が下死点又は上死点に位置したことを検知する近接スイッチ176が嵌合される。この近接スイッチ176は、スイッチ連結ねじ178を介して第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28に堅牢に連結される。ここで、垂下部168にはスイッチ連結ねじ用挿通孔180が貫通形成されており、前記スイッチ連結ねじ178は、各スイッチ連結ねじ用挿通孔180に通された後、第1ケーシング部材26及び第2ケーシング部材28に形成された図示しないスイッチ連結ねじ用穴に螺合される。
【0060】
背面カバー30のスクレイパ固定部170には、略T字形状をなす前記第1スクレイパ98がスクレイパ連結ねじ182を介して堅牢に位置決め固定される。勿論、スクレイパ固定部170にはスクレイパ連結ねじ用穴184が設けられており、前記スクレイパ連結ねじ182は、このスクレイパ連結ねじ用穴184に螺合される。
【0061】
以上の構成において、第1スクレイパ98及び第2スクレイパ100は、弾性を示す薄肉の金属板から形成されており、適切な弾発力を示す。なお、第1スクレイパ98及び第2スクレイパ100の材質は、ゴムであってもよい。
【0062】
第1スクレイパ98は、クランプアーム34の第1円弧部94の円弧面とケーシング32との間のクリアランスを閉塞し、一方、第2スクレイパ100は、第2円弧部96の円弧面とケーシング32との間のクリアランスを閉塞する。このことから諒解されるように、第1スクレイパ98及び第2スクレイパ100は、シールとしても機能する。
【0063】
爪部材20には、爪連結ねじ102を螺合するための爪連結ねじ用穴186が複数個設けられる。クランプアーム34に対して爪部材20を取り付ける際には、必要とされる爪部材20の突出長さ(リーチ長)に応じて、爪連結ねじ102を通す爪連結ねじ用挿通孔104、及び爪連結ねじ102を螺合する爪連結ねじ用穴186が選定される。
【0064】
残余のクランプ装置10b、10cは、クランプ装置10aと同一構成であり、従って、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
クランプ装置10a、10bは、クランプ装置10aの連結用ブラケット14の突出ピン154がクランプ装置10bの連結用ブラケット14の突出ピン用係合穴152に係合されることで仮連結及び位置決めされる。同様にして、クランプ装置10b、10cが仮連結及び位置決めされる。そして、3個の連結用ブラケット14、14、14のタイロッド挿通孔150に通されたタイロッド16が緊締されることにより、クランプ装置10a〜10cが互いに堅牢に連結される。
【0066】
そして、給排気管58(
図3参照)に図示しない方向制御弁及び圧力制御弁が連結され、これにより、
図1及び
図3に示すクランプユニット12が構成される。
【0067】
本実施の形態に係るクランプ装置10a〜10cを含むクランプユニット12は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果について説明する。
【0068】
クランプ装置10a〜10cの各々では、ケーシング32の開口からクランプアーム34のクランプ側端部36を突出させるようにしている。従って、前記独国実用新案第29504267号明細書に記載されるようにトグルリンク機構の連結軸をケーシング32の外方に露呈するまで延在させる必要がない。このため、クランプ装置10a〜10cの幅方向寸法を狭小化することができる。これにより、クランプユニット12の配設箇所の自由度が大きくなる。
【0069】
このクランプユニット12は、図示しない固定手段等に取り付けられ、この状態で、例えば、自動車製造ラインの溶接ステーションに配設される。この際には、
図6に示すように、各クランプアーム34のクランプ側端部36は起立状態にあり、ワークである構成部品をクランプしていない。換言すれば、アンクランプ状態にある。この時点では、ピストン62が下死点に位置するとともに、ロッド66が後進端まで後退している。
【0070】
また、下死点に位置するピストン62はダンパ50に着座する。さらに、クランプアーム34の第1円弧部94がケーシング32内に収納される一方、第2円弧部96がケーシング32から露呈する。
【0071】
ワークをクランプする際には、図示しない圧縮空気供給源から圧縮エアが供給される。圧縮エアは、前記方向制御弁、圧力制御弁及び給排気管58(
図3参照)を経てヘッドカバー42の第1ポート48(
図6参照)に導入され、さらに、連通路46を通過してシリンダ室38に到達する。勿論、シリンダ室38に収容されていた圧縮エアは、ロッドカバー44の連通路54、第2ポート56及び給排気管58を経て給排気マニホールドに導出される。
【0072】
これにより、下死点に位置しているピストン62に対し、上方に指向する圧力が作用する。従って、ピストン62が
図6における上方(矢印A方向)に変位し始め、これに追従してロッド66が上方(矢印A方向)に指向して前進動作を開始する。
【0073】
ピストン62が前進動作することに伴い、ナックルジョイント74及び第1リンク部材76が上昇する。その結果、第2リンク部材78の一端部が押し上げられるとともに、リンクピン90によって第2リンク部材78に連結されたクランプアーム34が支点ピン92を支点として矢印X方向に指向して揺動する。
【0074】
この揺動に伴い、第1円弧部94がケーシング32から徐々に露呈し、且つ第2円弧部96がケーシング32内に徐々に収納される。この過程において、第2円弧部96の円弧面に第2スクレイパ100が摺接する。従って、ステーション内に浮遊した異物が仮に第2円弧部96の円弧面に付着していたとしても、第2スクレイパ100の作用下に掻き落とされる。
【0075】
同時に、第1円弧部94の円弧面に第1スクレイパ98が摺接し、これにより、清浄化された第1円弧部94がケーシング32から露呈する。従って、第1円弧部94の円弧面に異物が付着することや、この異物が溶接箇所に混入されることが回避される。
【0076】
なお、第1スクレイパ98は第1円弧部94の円弧面の全体にわたって摺接し、同様に、第2スクレイパ100は第2円弧部96の円弧面の全体にわたって摺接する。上記したように、第1円弧部94及び第2円弧部96が支点ピン92を中心として湾曲形成されたものであり、且つこれら第1円弧部94及び第2円弧部96の揺動中心が当該支点ピン92であるからである。
【0077】
最終的に、
図5に示すように、規制ねじ107がストッパ部材146によって堰止されてクランプアーム34のクランプ側端部36の揺動が規制されるとともにナックルジョイント74及びピストン62が上死点に到達し、ロッド66の前進端までの前進動作が終了する。この際、
図1〜
図5に示すように、クランプアーム34のクランプ側端部36が横臥した状態となり、爪部材20(
図1参照)がワークをクランプする。また、第1円弧部94の全体がケーシング32から露呈するとともに、第2円弧部96の全体がケーシング32内に収納される。
【0078】
ワークをクランプした際、クランプ力に対応して反力が発生する。この反力は、クランプアーム34を介して第2リンク部材78に伝達され、さらに、該第2リンク部材78の湾曲した端面に接触する固定ローラ124に伝達される。すなわち、前記反力は、固定ローラ124によって受容・吸収される。
【0079】
この状態において、ナックルジョイント74が上死点に到達したことが近接スイッチ176の上部によって検知される。近接スイッチ176は、この検知信号を図示しない制御回路に発信する。該検知信号を受信した該制御回路は、「ワークのクランプが終了した」と判断し、図示しない溶接ロボットに対して溶接作業を行う指令を発する。
【0080】
その後、ワークと車体本体との溶接が実施される。この際、溶接箇所からはいわゆるスパッタが塵埃として飛散する。しかしながら、第1スクレイパ98及び第2スクレイパ100がケーシング32とクランプアーム34との間のクリアランスを閉塞するシールとして機能しているので、塵埃がケーシング32内に進入することはない。従って、トグルリンク機構70が汚れることが回避される。
【0081】
以上のようにして、異物や塵埃がケーシング32内に進入することが回避される。従って、異物や塵埃がトグルリンク機構70の動作に影響を及ぼすことを有効に回避することができる。
【0082】
なお、塵埃は、場合によっては第1円弧部94に付着することもある。
【0083】
溶接が終了した後、クランプアーム34のクランプ側端部36を起立させて再度アンクランプ状態とするべく、図示しない圧縮空気供給源から圧縮エアが供給される。この場合、圧縮エアは、前記給排気マニホールド、給排気管58(
図3参照)、ロッドカバー44の第2ポート56(
図5参照)、及び連通路54を通過してシリンダ室38に導入される。同時に、シリンダ室38に収容されていた圧縮エアが、ヘッドカバー42の連通路46、第1ポート48及び給排気管58を経て給排気マニホールドに導出される。
【0084】
これにより、上死点に位置しているピストン62に対して下方に指向する圧力が作用する。従って、ピストン62が
図5における下方(矢印B方向)に変位し始め、これに追従してロッド66が下方(矢印B方向)に指向して後退動作を開始する。
【0085】
さらに、ピストン62が後退動作することに伴い、ナックルジョイント74及び第1リンク部材76が下降する。これに追従して第2リンク部材78の一端部が引き下げられるとともに、リンクピン90によって第2リンク部材78に連結されたクランプアーム34が支点ピン92を支点として矢印Y方向に指向して揺動する。
【0086】
この揺動に伴い、第1円弧部94がケーシング32内に徐々に収納され、且つ第2円弧部96がケーシング32から徐々に露呈する。この過程において、第1円弧部94の円弧面に第1スクレイパ98が摺接する。従って、上記したように仮に第1円弧部94の円弧面に塵埃が付着していたとしても、この塵埃は、第1スクレイパ98の作用下に掻き落とされる。第1円弧部94の円弧面に異物が付着した場合も同様である。このため、第1円弧部94の円弧面を常に清浄な状態に保つことができる。
【0087】
これにより、第1円弧部94の円弧面に付着した塵埃ないし異物がケーシング32内に進入することが回避される。この点からも、トグルリンク機構70を塵埃ないし異物から保護することができ、結局、トグルリンク機構70の適切な動作、ひいてはクランプアーム34の適切な揺動を長期間にわたって維持することができる。
【0088】
なお、同時に、第2円弧部96の円弧面に対して第2スクレイパ100が摺接する。
【0089】
ピストン62は、最終的に、
図6に示すように下死点に到達する。これに伴ってロッド66の後進端までの後退動作が終了し、該
図6に示すように、クランプアーム34のクランプ側端部36が起立した状態となるとともに、爪部材20(
図1参照)がワークから離間する。すなわち、ワークが解放されたアンクランプ状態となる。
【0090】
この際、第1円弧部94の全体がケーシング32内に収納されるとともに、第2円弧部96がケーシング32の全体から露呈する。勿論、第2円弧部96は、ケーシング32内から露呈する過程で第2スクレイパ100によって清浄化されている。
【0091】
以上のようにして、ケーシング32の内方に塵埃が進入することが防止される。すなわち、本実施の形態によれば、幅方向寸法が狭小化され、且つケーシング32の内方に塵埃が進入することを容易に防止し得るクランプ装置10a〜10cを構成することが可能となる。
【0092】
上記した状態においては、ナックルジョイント74が下死点に到達したことが近接スイッチ176の下部で検知される。近接スイッチ176は、この検知信号を前記制御回路に発信する。検知信号を受信した該制御回路は、「ワークが解放された」と判断し、ワークが溶接された車体本体を送り出すとともに、次にワークを溶接すべき車体本体を搬送する指令を発する。これにより、ワークの車体本体への溶接が連続的に実施される。
【0093】
勿論、以降の作業においても、上記と同様にして、ケーシング32の内方に塵埃や異物が進入することが有効に回避される。
【0094】
次に、第1円弧部94の側面を清浄化する側面清浄用スクレイパを設けた実施の形態につき説明する。なお、
図1〜
図6に示される構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0095】
図7は、第1スクレイパ98、第2スクレイパ100に加え、2個の第3スクレイパ200a、200b(側面清浄用スクレイパ)がさらに設けられたクランプ装置202の全体概略斜視図である。第3スクレイパ200a、200bは、第1スクレイパ98及び第2スクレイパ100と同様に、弾性を示す薄肉の金属板から形成されており、適切な弾発力を示す。
【0096】
この場合、第3スクレイパ200aは、長辺部と、該長辺部に対して略90°折曲するとともに該長辺部に比して短尺な短辺部とを有し、これら長辺部と短辺部でL字状をなす。この中の長辺部が、ねじ204aを介して第1ケーシング部材26における開口33の縦口の近傍に取り付けられる。また、短辺部の一端面が、クランプアーム34の第1円弧部94における第1ケーシング部材26に臨む側面に摺接する。
【0097】
一方の第3スクレイパ200bも第3スクレイパ200aと同様に構成され、その中の長辺部が、ねじ204bを介して第2ケーシング部材28における開口33の縦口の近傍に取り付けられるとともに、短辺部の一端面が、クランプアーム34の第1円弧部94における第2ケーシング部材28に臨む側面に摺接する。
【0098】
従って、この場合、ワークをクランプするためにクランプアーム34が支点ピン92を支点として矢印X方向に指向して揺動することに伴って第1円弧部94がケーシング32から徐々に露呈する過程で、第2円弧部96の円弧面に第2スクレイパ100が摺接すると同時に、第1円弧部94の円弧面に第1スクレイパ98が摺接し、さらに、第1円弧部94の側面に第1スクレイパ98、第3スクレイパ200a、200bがそれぞれ摺接する。これにより、円弧面及び側面の双方が清浄化された第1円弧部94がケーシング32から露呈する。従って、第1円弧部94の円弧面及び側面に異物が付着することや、この異物が溶接箇所に混入されることが一層回避される。
【0099】
また、ワークをアンクランプ状態とするためにクランプアーム34が支点ピン92を支点として矢印Y方向に指向して揺動することに伴って第1円弧部94がケーシング32内に徐々に収容される過程でも、第1円弧部94の円弧面に第1スクレイパ98が摺接するとともに、側面に第3スクレイパ200a、200bがそれぞれ摺接する。なお、これと同時に、第2円弧部96の円弧面に対して第2スクレイパ100が摺接することは勿論である。
【0100】
従って、ワークに対して溶接を行った際に、仮に第1円弧部94の円弧面や側面に塵埃や異物が付着したとしても、これら塵埃又は異物は、第1スクレイパ98、第3スクレイパ200a、200bによって掻き落とされる。このため、第1円弧部94の円弧面及び側面を常に清浄な状態に保つことができる。
【0101】
これにより、第1円弧部94の円弧面や側面に付着した塵埃ないし異物がケーシング32内に進入することが回避される。この点からも、トグルリンク機構70を塵埃ないし異物から保護することができ、結局、トグルリンク機構70の適切な動作、ひいてはクランプアーム34の適切な揺動を一層長期間にわたって維持することができる。
【0102】
加えて、第3スクレイパ200a、200bは、第1スクレイパ98及び第2スクレイパ100と同様に、ケーシング32とクランプアーム34との間のクリアランスを閉塞するシールとして機能する。このため、塵埃がケーシング32内に進入することがさらに回避されるので、トグルリンク機構70が汚れることを防止することが一層容易となる。
【0103】
このように、第1円弧部94の側面を清浄化する第3スクレイパ200a、200bをさらに設けることにより、塵埃ないし異物がケーシング32内に進入することを一層容易に回避することができるようになる。
【0104】
なお、本発明に係るクランプ装置は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することのない範囲で種々の構成を採り得ることは勿論である。
【0105】
例えば、第1スクレイパ98をケーシング32の内方に配設するようにしてもよいし、第2スクレイパ100をケーシング32の外方に設置するようにしてもよい。同様に、第3スクレイパ200a、200bを、例えば、長方形形状のゴム製薄板とし、開口33の縦口の内壁におけるクランプアーム34の側面に臨む位置に設置するようにしてもよい。この場合、第3スクレイパ200a、200bの寸法は、クランプアーム34の揺動動作を妨げない程度とすればよい。
【0106】
また、第1ケーシング部材26、第2ケーシング部材28に分割することなくケーシングを構成することも可能である。
【0107】
さらに、クランプ装置10a〜10cを連結する手段は、連結用ブラケット14及びタイロッド16に特に限定されるものではなく、
図8に示すように、クランプ装置10a〜10cにわたって橋架される1枚の連結用プレート210であってもよい。
図7に示されるクランプ装置202同士を連結する場合も同様である。
【0108】
さらにまた、
図1及び
図8に示す実施の形態では、3個のクランプ装置10a〜10cによってクランプユニット12を構成するようにしているが、クランプ装置の個数はこれに特に限定されるものではないことはいうまでもない。勿論、
図7に示されるクランプ装置202同士を連結する場合も同様である。