特許第5719982号(P5719982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719982
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】飲料水製造方法及び飲料水製造装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 9/00 20060101AFI20150430BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20150430BHJP
   C02F 1/40 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   C02F9/00 502D
   C02F9/00 502Z
   C02F9/00 502P
   C02F9/00 503A
   C02F9/00 504B
   C02F1/50 510A
   C02F1/50 520B
   C02F1/50 531E
   C02F1/50 531F
   C02F1/50 531D
   C02F1/50 531H
   C02F1/50 540D
   C02F1/50 550B
   C02F1/50 550H
   C02F1/50 560Z
   C02F1/40 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-170856(P2013-170856)
(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公開番号】特開2015-39658(P2015-39658A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2013年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】593196986
【氏名又は名称】菱田 新悟
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱田 巌
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−051496(JP,U)
【文献】 特開平11−047738(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/150506(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3106596(JP,U)
【文献】 実開昭63−164998(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3126287(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3049441(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00 − 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水用の原水を予備ろ過する予備ろ過工程と、
前記予備ろ過工程により処理された処理水を静置して前記処理水中の不純物を沈殿させるとともに、金属イオン殺菌剤により前記処理水を殺菌及び消臭する殺菌消臭工程と、
前記殺菌消臭工程により処理された処理水の上澄み水に浮遊する浮遊物を除去する浮遊物除去工程と、
前記殺菌消臭工程により処理された処理水の上澄み水をろ過材に通水して前記上澄み水中の不純物をろ過するろ過工程と、
を有する飲料水製造方法であって、
前記金属イオン殺菌剤は、
銅、真鍮、銀及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種以上である金属粉末と粉末状の酸である酸性物質とからなる殺菌組成物が、核粒子の表面上に、非水溶性樹脂と水溶性樹脂とを含む接着剤により、接着されてなる粒状殺菌剤である
ことを特徴とする飲料水製造方法。
【請求項2】
前記ろ過工程により処理された処理水を、再度静置して前記処理水中の不純物を沈殿させるとともに、再度前記金属イオン殺菌剤により前記処理水を殺菌及び消臭する再殺菌消臭工程と、
前記再殺菌消臭工程により処理された処理水の上澄み水に浮遊する浮遊物を除去する浮遊物再除去工程と、
前記再殺菌消臭工程により処理された処理水の上澄み水をろ過材に通水して前記上澄み水中の不純物をろ過する再ろ過工程と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料水製造方法。
【請求項3】
飲料水用の原水を予備ろ過する予備ろ過手段と、
前記予備ろ過手段により処理された処理水を静置して前記処理水中の不純物を沈殿させるとともに、金属イオン殺菌剤により前記処理水を殺菌及び消臭するための殺菌消臭槽と、
前記殺菌消臭槽において処理された処理水の上澄み水に浮遊する浮遊物を前記殺菌消臭槽から除去する浮遊物除去手段と、
前記殺菌消臭槽において処理された処理水の上澄み水を通水して前記上澄み水中の不純物をろ過するろ過手段と、
を備える飲料水製造装置であって、
前記金属イオン殺菌剤は、
銅、真鍮、銀及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種以上である金属粉末と粉末状の酸である酸性物質とからなる殺菌組成物が、核粒子の表面上に、非水溶性樹脂と水溶性樹脂とを含む接着剤により、接着されてなる粒状殺菌剤である
ことを特徴とする飲料水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水製造方法及び飲料水製造装置に関し、詳しくは、地震、津波等により電気或いは水道を利用することができない災害地域、或いは電気設備或いは水道設備が整備されていない地域等において、電気を使わずに、川、池、地下水等の泥水(飲料水用の原水)から飲料水を製造する方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震、津波等による災害地域、或いは水道設備が充分に整備されていない地域においては、安全な飲料水を確保することが難しい。また、このような災害地域等においては、電気設備或いはガス設備も使用できない(整備されていない)場合が多いことから、電気或いはガスの動力を使用せずに、川、池、地下水等の泥水(飲料水用の原水)から安全な飲料水を製造する方法が望まれている。そこで、従来、電気或いはガスの動力を使用せずに安全な飲料水を製造する方法及び製造装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1に示す飲料水製造方法は、飲料用の原水にポリアミノ酸架橋体又はポリアミノ酸塩架橋体からなる凝集剤を投入して原水中の不純物を凝集沈殿させる工程と、その上澄み水をろ過材に通水して上澄み水に溶解している不純物を除去する工程と、を有する方法である。
【0004】
また、特許文献2に示す飲料水製造装置は、所定の孔径を有するろ材にてろ過を行う予備ろ過エリアと、この予備ろ過エリアで処理された水に高濃度塩素を注入若しくは溶出させて殺菌をおこなう殺菌エリアと、更に殺菌エリアで処理された水を多孔質ポリマーからなる結合材で固化した浄水成分であるブロック体にてろ過するエリアを具備するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−321977号公報
【特許文献2】特開2009−262079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の飲料水製造方法においては、ポリアミノ酸架橋体又はポリアミノ酸塩架橋体からなる凝集剤を投入して不純物を凝集沈殿させ、その上澄み水をろ過材に通してろ過するのみであり、殺菌は行われていない。そのため、特許文献1の飲料水製造方法においては、さらに塩素消毒槽等の殺菌装置を付設しなければ、より高度な飲料水を製造することができないという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2の飲料水製造装置においては、高濃度塩素(次亜塩素酸ナトリウム若しくは次亜塩素酸カリウム)を用いて処理水を殺菌することから、飲用水に適する塩素濃度まで殺菌後の処理水中の塩素を除去する必要がある。そのため、特許文献1の飲料水製造装置においては、処理水中の塩素を除去するためのろ過フィルタ(活性炭ブロックフィルタ)が別途必要となるため、飲料水の製造装置自体が複雑になるという問題点がある。さらに、高濃度塩素(次亜塩素酸ナトリウム若しくは次亜塩素酸カリウム)は、処理水に投入した瞬間に気化してガス化するため、殺菌の効力に持続性がないという問題もある。
【0008】
さらにまた、川、池、地下水等の泥水(飲料水用の原水)には、比重の軽いゴミ或いは不純物等からなる浮遊物が多量に水面に浮遊するため、当該浮遊物を沈殿により除去することが難しいという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、災害により電気等を利用することができない地域、或いは電気設備等が整備されていない地域等において、電気を使わずに、簡単な方法及び装置により、川、池、地下水等の泥水(飲料水用の原水)から、より安全性の高い飲料水を製造することが可能な方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨は、
(1)飲料水用の原水を予備ろ過する予備ろ過工程と、前記予備ろ過工程により処理された処理水を静置して前記処理水中の不純物を沈殿させるとともに、金属イオン殺菌剤により前記処理水を殺菌及び消臭する殺菌消臭工程と、前記殺菌消臭工程により処理された処理水の上澄み水に浮遊する浮遊物を除去する浮遊物除去工程と、前記殺菌消臭工程により処理された処理水の上澄み水をろ過材に通水して前記上澄み水中の不純物をろ過するろ過工程と、を有する飲料水製造方法であって、前記金属イオン殺菌剤は、銅、真鍮、銀及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種以上である金属粉末と粉末状の酸である酸性物質とからなる殺菌組成物が、核粒子の表面上に、非水溶性樹脂と水溶性樹脂とを含む接着剤により、接着されてなる粒状殺菌剤である飲料水製造方法、
(2)前記ろ過工程により処理された処理水を、再度静置して前記処理水中の不純物を沈殿させるとともに、再度前記金属イオン殺菌剤により前記処理水を殺菌及び消臭する再殺菌消臭工程と、前記再殺菌消臭工程により処理された処理水の上澄み水に浮遊する浮遊物を除去する浮遊物再除去工程と、前記再殺菌消臭工程により処理された処理水の上澄み水をろ過材に通水して前記上澄み水中の不純物をろ過する再ろ過工程と、を有する、前記(1)に記載の飲料水製造方法、
(3)飲料水用の原水を予備ろ過する予備ろ過手段と、前記予備ろ過手段により処理された処理水を静置して前記処理水中の不純物を沈殿させるとともに、金属イオン殺菌剤により前記処理水を殺菌及び消臭するための殺菌消臭槽と、前記殺菌消臭槽において処理された処理水の上澄み水に浮遊する浮遊物を前記殺菌消臭槽から除去する浮遊物除去手段と、前記殺菌消臭槽において処理された処理水の上澄み水を通水して前記上澄み水中の不純物をろ過するろ過手段と、を備える飲料水製造装置であって、前記金属イオン殺菌剤は、銅、真鍮、銀及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種以上である金属粉末と粉末状の酸である酸性物質とからなる殺菌組成物が、核粒子の表面上に、非水溶性樹脂と水溶性樹脂とを含む接着剤により、接着されてなる粒状殺菌剤である飲料水製造装置、
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、処理水を槽内に静置して処理水中の不純物を沈殿させると同時に、金属イオン殺菌剤により処理水を殺菌及び消臭することから、電気を使わずに、簡単な方法及び装置により、川、池、地下水等の泥水(飲料水用の原水)から、より安全性の高い飲料水を製造することができる。
【0012】
また、本発明によれば、処理水に浮遊する浮遊物を除去する工程(手段)を有することから、川、池、地下水等の泥水(飲料水用の原水)中に浮遊する多量の浮遊物を効率良く除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る第1の飲料水製造方法に使用する飲料水製造装置の構成を示す概略図である。
図2】本発明に係る第2の飲料水製造方法に使用する飲料水製造装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明に係る第1の飲料水製造方法に使用する飲料水製造装置1の概略を説明する。
【0015】
図1に示すように、飲料水製造装置1は、ろ過金網10(予備ろ過手段の一例)と、タンク20(殺菌消臭槽の一例)と、布ろ過具30(ろ過手段の一例)と、から構成される。飲料水製造装置1の各要素は、図示しない棚等に設置され、簡単に取り外し及び持ち運びが可能な構造となっている。
【0016】
ろ過金網10は、飲料水用の原水を予備ろ過するものであり、タンク20の上部のタンク取水口21に挿入される。ろ過金網10は、例えば、100〜200メッシュ開口の金網で構成される籠状のろ過具であり、原水に含まれる比較的大きなゴミ或いは異物を除去する。
【0017】
なお、ろ過金網10の代りに、一般に知られるろ布或いは膜等を使用することも考えられるが、ろ布或いは膜等を使用した場合には目詰まりにより作業不能となりやすい。そのため、飲料水製造装置1においては、当該作業不能を防止するために、ろ過金網10を使用している。また、ろ過金網10は、ネジ或いは取付用具により固定されているわけではなく、単にタンク20のタンク取水口21に挿入されているため、容易に手で取り替えが可能である。
【0018】
タンク20は、例えば、100リッター程度の水を貯水可能な槽である。タンク20においては、ろ過金網10により予備ろ過された処理水(以下、予備ろ過水とする)を静置して予備ろ過水中の不純物を沈殿させると同時に、予備ろ過水が殺菌及び消臭される。タンク20の上部には、予備ろ過水を静置した際の上澄み水の水面に浮遊する浮遊物を排出除去するための上部蛇口22(浮遊物除去手段の一例)が設けられている。また、タンク20の下部には、予備ろ過水を静置した際の上澄み水を排出するための下部蛇口23が設けられている。
【0019】
さらに、タンク20の内部には、予備ろ過水を殺菌及び消臭するための金属イオン殺菌剤40が網状容器41に入れられた状態で投入されている。網状容器41は、金網で形成された容器であり、タンク20の上部から吊下げ具42によって常時吊下げられる。なお、網状容器41は、金網の容器に限定されるものではなく、布袋であっても構わない。
【0020】
布ろ過具30は、予備ろ過水を静置した際の上澄み水を通水して当該上澄み水に含まれる不純物をろ過するものであり、例えば、非水性のポリエステル平織の布を複数枚(例えば3〜5枚)重ねてろ布としたものをろ過具本体に備えたろ過具である。なお、布ろ過具30に備えるろ布を非水性のポリエステル平織の布とすることで、ろ過による水切れが良くなる。
【0021】
次に、飲料水製造装置1において使用する金属イオン殺菌剤40について説明する。
【0022】
金属イオン殺菌剤40は、金属粉末と酸性物質とからなる殺菌組成物を、非水溶性樹脂粒状物或いは無機質粒状物等からなる核粒子の表面上に、非水溶性樹脂と水溶性樹脂とを含む接着剤により接着させて粒状に形成した殺菌剤である。金属イオン殺菌剤40は、水と接することで殺菌成分を放出し(金属イオンを発生し)、殺菌力及び消臭力を発揮する。また、金属イオン殺菌剤40は、水と接することで、徐々に殺菌成分を放出するため、高濃度塩素(次亜塩素酸ナトリウム若しくは次亜塩素酸カリウム)或いはオゾン等と比較して、殺菌力及び消臭力の効果の持続性に優れている。
【0023】
金属イオン殺菌剤40おける殺菌組成物は、銅、真鍮、銀及び酸化チタンからなる群より選ばれる1種以上の殺菌作用のある金属粉末と、例えば、桂皮酸、ソルビン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、L−酒石酸等の常温で固体の有機酸、無機酸を単独で又は2種以上混合した粉末状の酸性物質と、からなるものである。特に、金属粉末として銅を使用した場合は、水の殺菌及び消臭の効果が顕著にみられる。また、銅は、人体にとっての必須元素であり、安全で無害な物質である。そのため、金属イオン殺菌剤40おける金属粉末としては銅が好ましい。
【0024】
また、金属粉末及び酸性物質の平均粒径は、粒状殺菌剤としての作用効果を長く持続させ、取り扱いを便利にするために、米粒、小豆、大豆程度の大きさのものより小さなものであることが好ましく、0.5〜50μmのものがより好ましい。さらに、金属イオン殺菌剤40中の殺菌組成物には、殺菌効果をより向上させるために、金属石鹸、界面活性剤、高分子量樹脂ワックス等の分散剤が混合される。
【0025】
金属イオン殺菌剤40おける核粒子は、金属イオン殺菌剤40の核又は種となる粒子である。核粒子の平均粒径としては、米粒から小豆程度の大きさであれば良く、特に限定されない。核粒子における非水溶性樹脂粒状物の材質としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカルボキシレート、ナイロン樹脂等の高分子系樹脂、アイホノマー、ワックス、ゴム系樹脂等が挙げられる。また、核粒子のおける無機質粒状物の材質としては、セラミック、石膏、シリカ、ガラスビーズ等が挙げられる。
【0026】
金属イオン殺菌剤40における接着剤は、非水溶性樹脂と水溶性樹脂とを所定の割合(例えば、非水溶性樹脂:水溶性樹脂=8:2)で混合した混合物を、トルエン、キシレン、アルコール類等の溶媒に混合させた混合溶液である。金属イオン殺菌剤40は、接着剤を非水溶性樹脂と水溶性樹脂との混合物とすることで、金属イオン殺菌剤40を水に投入した際に、当該接着剤中の水溶性樹脂分が溶出して空洞が生じ、生じた空洞に水が浸入することで金属と接触し、大量の金属イオンを容易に発生させることができる。
【0027】
上記接着剤の非水溶性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカルボキシレート、ナイロン樹脂等の高分子系樹脂、アイホノマー、ワックス、ゴム系樹脂等が挙げられる。また、上記接着剤の水溶性樹脂としては、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアリルアミン系樹脂、ポリアクリル酸ポリアクリル酸ソーダ部分中和物、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体等が挙げられる。
【0028】
次に、金属イオン殺菌剤40の製造方法を、金属粉末として銅粉末を用いた場合の具体例で説明する。
【0029】
金属イオン殺菌剤40は、核粒子となるABS粒(テクノ株式会社製 ABS#330)と、銅粉混合処理物と、接着剤と、を所定の割合(例えば、ABS粒:銅粉混合処理物:接着剤=100:5:5(重量比))で、ミキサー等の混練装置により混合し、混合後、熱風で接着剤中のトルエンを除去して粒状物に成形される。
【0030】
金属イオン殺菌剤40における銅粉混合処理物は、金属粉末である銅箔粉砕物と、酸性物質であるフマル酸と、分散剤であるステアリン酸亜鉛と、を所定の割合(例えば、銅箔粉砕物:フマル酸:ステアリン酸亜鉛=100:5:15(重量比))で混合して作られる。
【0031】
金属イオン殺菌剤40における接着剤は、非水溶性樹脂であるアクリル樹脂(三菱レーヨン株式会社製 ダイナールBR−100)と、水溶性樹脂であるポリビニルアルコール(株式会社クラレ製 CP−1000)と、溶媒であるトルエンと、を所定の割合(例えば、アクリル樹脂:ポリビニルアルコール:トルエン=8:2:90(重量比))で混合して作られる。
【0032】
次に、本発明に係る第1の飲料水製造方法について説明する。
【0033】
図1に示すように、まず、第1の工程として、飲料水用の原水を、手動吸水ポンプ或いはバケツ等を用いて、タンク20の上部のタンク取水口21からろ過金網10を介してタンク20に取水する(予備ろ過工程の一例)。この時、原水に含まれる比較的大きなゴミ或いは異物がろ過金網10により除去される。すなわち、原水の予備ろ過が行われる。なお、原水に含まれる泥或いは砂等は、ろ過金網10により除去されず、タンク20内へ注入される。
【0034】
次に、第2の工程として、タンク20内に取水された原水(予備ろ過された処理水)を、所定時間(例えば、1時間以上、具体的には6時間)、タンク20内でそのまま静置(自然放置)させる。これにより、予備ろ過された処理水に含まれる泥或いは砂等がタンク20の底に沈殿し、当該処理水に含まれる浮遊物が当該処理水の水面に浮遊する。また、同時に、当該処理水が、タンク20内の網状容器41に入れられた金属イオン殺菌剤40により殺菌及び消臭される。ここで、金属イオン殺菌剤40は、タンク20内の水に対して所定の割合(例えば、タンク20の水100に対して0.1〜0.3%(重量比))で、タンク20内に投入される。
【0035】
このように、第2の工程においては、第1の工程で予備ろ過された処理水を、金属イオン殺菌剤40を投入したタンク20内で所定時間静置させることにより、当該処理水中の不純物の沈殿分離と、当該処理水の殺菌及び消臭と、を同時に行う(殺菌消臭工程の一例)。
【0036】
なお、予備ろ過された処理水に含まれる泥或いは砂等を沈殿させる方法としては、硫酸バンド等の凝集剤を用いる方法も考えられるが、本発明においては、金属イオン殺菌剤40による殺菌及び消臭時間を考慮して、静置(自然放置)による沈殿を採用している。
【0037】
さらに、第2の工程で処理された処理水の上澄み水を下部蛇口23から少量抜きとることにより当該処理水中の不純物の沈殿を確認する。そして、第3の工程として、当該処理水の上澄み水に浮遊する浮遊物(浮遊物混入水)を上部蛇口22から排出除去する(浮遊物除去工程の一例)。
【0038】
さらにまた、第4の工程として、当該処理水の上澄み水を下部蛇口23から排出し、排出した当該上澄み水を、下部蛇口23の下方に設けた布ろ過具30に通水する(ろ過工程の一例)。これにより、当該上澄み水中の不純物、特に、当該上澄み水の水面に浮遊する比重の軽い浮遊物、及び当該上澄み水を下部蛇口23から排出する際にタンク20内の水の流れにより混入した第2の工程における沈殿物を除去する。
【0039】
第4の工程において、布ろ過具30により処理された(ろ過された)処理水は、そのまま飲料水として給水し、又は飲料水タンクに貯水する。
【0040】
以上のように、本発明に係る第1の飲料水製造方法及び飲料水製造装置1によれば、処理水をタンク20内に静置して処理水中の不純物を沈殿させると同時に、金属イオン殺菌剤40により処理水を殺菌及び消臭することから、電気を使わずに、簡単な方法及び装置により、川、池、地下水等の泥水(飲料水用の原水)から、より安全性の高い飲料水を製造することができる。
【0041】
また、本発明に係る第1の飲料水製造方法及び飲料水製造装置1によれば、処理水に浮遊する浮遊物を上部蛇口22から除去することから、川、池、地下水等の泥水(飲料水用の原水)中に浮遊する多量の浮遊物を効率良く除去することができる。
【0042】
次に、本発明に係る第2の飲料水製造方法について説明する。なお、第1の飲料水製造方法と同一の構成、方法については説明を省略し、符号を同一とする。
【0043】
図2に示すように、本発明に係る第2の飲料水製造方法においては、まず、第1の飲料水製造方法で使用した飲料水製造装置1において第1回目の処理(沈殿分離、殺菌、及び消臭)を行う。次に、飲料水製造装置1で処理した処理水を、複数台(図2では3台)の飲料水製造装置1Aに小分けし、第2回目の処理(沈殿分離、殺菌、及び消臭)を行う。
【0044】
具体的には、第1の飲料水製造方法の第4の工程(ろ過工程)で処理された処理水を、複数個(図2では3個)の小タンク20A(例えば、20リッター程度の水を貯水可能な槽)に分けて注水する。
【0045】
ここで、小タンク20Aに注水される上記処理水は、飲料水製造装置1において、比較的大きなゴミ或いは異物が除去されているため、飲料水製造装置1Aにおいては、小タンク20Aのタンク取水口21Aにろ過金網10を設ける必要はない。
【0046】
次に、第5の工程として、小タンク20Aに注水した処理水(第4の工程で処理された処理水)を所定時間(例えば、1時間以上、具体的には6時間)、小タンク20A内でそのまま静置(自然放置)させる。これにより、当該処理水に含まれる泥或いは砂等が小タンク20Aの底に沈殿し、当該処理水に含まれる浮遊物が当該処理水の水面に浮遊する。また、同時に、当該処理水が、小タンク20A内の網状容器41に入れられた金属イオン殺菌剤40により殺菌及び消臭される。ここで、金属イオン殺菌剤40は、小タンク20A内の水に対して所定の割合(例えば、小タンク20Aの水100に対して0.1〜0.3%(重量比))で、小タンク20A内に投入される。
【0047】
このように、第5の工程においては、第4の工程で処理された処理水を、金属イオン殺菌剤40を投入した小タンク20A内で所定時間静置させることにより、第2の工程と同様に、再度、当該処理水中の不純物の沈殿分離と、当該処理水の殺菌及び消臭と、を同時に行う(再殺菌消臭工程の一例)。
【0048】
さらに、第5の工程で処理された処理水の上澄み水を下部蛇口23Aから少量抜きとることにより当該処理水中の不純物の沈殿を確認する。そして、第6の工程として、当該処理水の上澄み水に浮遊する浮遊物(浮遊物混入水)を、第3の工程と同様に、再度、上部蛇口22Aから排出除去する(浮遊物再除去工程の一例)。
【0049】
さらにまた、第7の工程として、当該処理水の上澄み水を下部蛇口23Aから排出し、排出した当該上澄み水を、下部蛇口23Aの下方に設けた布ろ過具30に通水する(再ろ過工程の一例)。これにより、当該上澄み水中の不純物、特に、当該上澄み水の水面に浮遊する比重の軽い浮遊物、及び当該上澄み水を下部蛇口23Aから排出する際に小タンク20A内の水の流れにより混入した第5の工程における沈殿物を除去する。
【0050】
第7の工程において、布ろ過具30により処理された(ろ過された)処理水は、そのまま飲料水として給水し、又は飲料水タンクに貯水する。
【0051】
以上のように、本発明に係る第2の飲料水製造方法によれば、飲料水用原水の処理(沈殿分離、殺菌、及び消臭)を、飲料水製造装置1と、飲料水製造装置1Aとで2回行うことから、より安全性の高い飲料水を製造することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 飲料水製造装置
10 ろ過金網(予備ろ過手段)
20 タンク(殺菌消臭槽)
22 上部蛇口(浮遊物除去手段)
30 布ろ過具(ろ過手段)
40 金属イオン殺菌剤
図1
図2