(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720039
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】バーホルダ
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
H02B9/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-49981(P2011-49981)
(22)【出願日】2011年3月8日
(65)【公開番号】特開2012-186971(P2012-186971A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2014年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(74)【代理人】
【識別番号】100161403
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】松隈 裕史
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠原 祐二
【審査官】
塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−162205(JP,U)
【文献】
国際公開第2006/007913(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電盤内で主幹ブレーカに接続された複数の母線バーの他端側を支持するバーホルダであって、
該バーホルダは、該母線バーを支持する複数の母線バー支持部を備えるバーホルダ本体と、隣接する母線バー支持部の間に着脱自在に設けた隔壁からなり、
バーホルダ本体は、該バーホルダ本体を配電盤内にねじ固定するバーホルダ固定孔と、隔壁とバーホルダ本体の固定時に隔壁固定ねじが挿入される隔壁固定孔を備え、
前記の母線バー支持部には、前記母線バーの端部に圧着端子を介して幹線ケーブルを接続する際、この圧着端子を母線バー支持部に固定するねじを収納するねじ収納部が形成され、
前記の隔壁は、バーホルダ本体を貫通して形成された該バーホルダ固定孔の上端部に嵌入される係止突起と、隔壁本体を貫通して形成された隔壁固定ねじ着脱用貫通孔を備え、
前記のねじ収納部と、隔壁固定ねじ着脱用貫通孔とを、前記主幹ブレーカの短手方向にずらして配置したことを特徴とするバーホルダ。
【請求項2】
前記の隔壁固定ねじ着脱用貫通孔は、配電盤内で主幹ブレーカ側に向けて配置され、
係止突起は、母線バーの他端側に向けて配置されることを特徴とする請求項1記載のバーホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主幹ブレーカに接続された母線バーを支持するバーホルダに関するものである。
【0002】
配電盤内に配置された複数の負荷に配電を行う構造として、
図6に示すように、主幹ブレーカ1に接続された母線バー2に分岐ブレーカを接続して、該分岐ブレーカを介して各負荷に配電を行う構造が多く採用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような構造において、主幹ブレーカ1に接続された母線バー2の端部は、背面板上に配置されたバーホルダ3により支持される。
【0004】
バーホルダ3には、絶縁確保を目的として、バーホルダ3に支持される各母線バー2間に隔壁4が設けられることもある。
【0005】
従来、隔壁4は、バーホルダ3を配電盤内の取付板に取り付ける前段階で、バーホルダ3の裏面側からのねじ止めにより、バーホルダ3に固定される構造が一般的であった。
【0006】
しかし、このような構造においては、配電盤内でバーホルダが取り付けられ、更に母線バー2がバーホルダ3に取り付けられている状態で、仕様変更等の事情により、急遽隔壁4の設置が必要になった場合には、配線済みの母線バー2をバーホルダ3から取り外し、母線バー2に設置される分岐バーなども取り外しする必要があり、更にバーホルダ3を配電盤内の取付板から取り外した上で、バーホルダ3への隔壁の設置を行うことが必要となり、隔壁4設置作業が煩雑になり、迅速に対応できないという問題があった。また、表側からのねじ止め方法にすると、ねじを通過させるため、隔壁の口径を広くする必要性があり、口径を広げてしまうと隔壁4間の幅が狭くなってしまい、取り付けられる圧着端子のサイズが小さくする必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-164416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は前記の問題を解決し、配電盤内でバーホルダが配電盤内の取付板に取り付けられ、更に母線バーがバーホルダに取り付けられている状態で、仕様変更等の事情により、急遽隔壁の設置が必要になった場合にも、煩雑な作業工程を経ることなく、迅速に隔壁の設置を行うことができるバーホルダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明のバーホルダは、配電盤内で主幹ブレーカに接続された複数の母線バーの他端側を支持するバーホルダであって、該バーホルダは、該母線バーを支持する複数の母線バー支持部を備えるバーホルダ本体と、隣接する母線バー支持部の間に着脱自在に設けた隔壁からなり、バーホルダ本体は、該バーホルダ本体を配電盤内にねじ固定するバーホルダ固定孔と、隔壁とバーホルダ本体の固定時に隔壁固定ねじが挿入される隔壁固定孔を備え、
前記の母線バー支持部には、前記母線バーの端部に圧着端子を介して幹線ケーブルを接続する際、この圧着端子を母線バー支持部に固定するねじを収納するねじ収納部が形成され、前記の隔壁は、バーホルダ本体を貫通して形成された該バーホルダ固定孔の上端部に嵌入される係止突起と
、隔壁本体を貫通して形成された隔壁固定ねじ着脱用貫通孔を備え、前記のねじ収納部と、隔壁固定ねじ着脱用貫通孔とを、前記主幹ブレーカの短手方向にずらして配置したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のバーホルダにおいて、隔壁は、隔壁本体を貫通して形成された隔壁固定ねじ着脱用貫通孔を備え、該隔壁固定ねじ着脱用貫通孔は、配電盤内で主幹ブレーカ側に向けて配置され、係止突起は、母線バーの他端側に向けて配置されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るバーホルダは、該母線バーを支持する複数の母線バー支持部を備えるバーホルダ本体と、隣接する母線バー支持部の間に着脱自在に設けた隔壁からなり、バーホルダ本体は、隔壁とバーホルダ本体の固定時に隔壁側から隔壁固定ねじが挿入される隔壁固定孔を備える構成を有するため、配電盤内でバーホルダが取付バーに取り付けられ、更に母線バーがバーホルダに取り付けられている状態で、仕様変更等の事情により、急遽隔壁の設置が必要になった場合にも、隔壁側から隔壁固定ねじを着脱操作するだけで、簡単に隔壁の設置を行うことができる。また、バーホルダ本体は、該バーホルダ本体を裏面側から配電盤内にねじ固定するバーホルダ固定孔を備え、隔壁は、バーホルダ本体を貫通して形成された該バーホルダ固定孔の上端部に嵌入される係止突起を備える構成を有するため、隔壁とバーホルダ本体とを、該係止突起部と、前記隔壁固定ねじ部との2か所で、十分な強度を持って固定することができる。
【0012】
隔壁本体を貫通して形成された隔壁固定ねじ着脱用貫通孔は、隔壁固定ねじが貫通できる口径を確保するため、口孔が大きくなり、母線バーの端部に圧着端子を介して幹線ケーブルを接続する場合には、該圧着端子と隔壁が干渉する問題が生じうるが、請求項2記載の発明によれば、該隔壁固定ねじ着脱用貫通孔を、配電盤内で主幹ブレーカ側に向けて配置する構成により、当該干渉の問題を効果的に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】主幹ブレーカに接続された母線バーを支持したバーホルダの全体説明図である。
【
図3】隔壁およびバーホルダ本体の断面説明図である。
【
図5】母線バーを支持したバーホルダの上面図である。
【
図6】主幹ブレーカに接続された母線バーを介して、各負荷に配電を行う構造に関する従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1には主幹ブレーカ1に接続された母線バー2を支持したバーホルダ5の全体説明図を示し、
図2にはバーホルダの全体説明図、
図3には隔壁およびバーホルダ本体の断面説明図を示している。
【0015】
母線バー2は、
図1に示すように、主幹ブレーカ1の端子部に接続する主幹リードバー(図示しない)を介して主幹ブレーカ1に接続され、母線バー2の他端側はバーホルダ5に支持されている。なお、該母線バー2が接続される主幹ブレーカ1の端子部は、主幹ブレーカ1の電源側/負荷側いずれの端子部でもよい。
【0016】
バーホルダ5は、
図2に示すように、バーホルダ本体6と、バーホルダ本体6に着脱可能な隔壁7から構成されている。バーホルダ本体6は、配電盤等の筐体の取付板にねじにより固定されている。
【0017】
バーホルダ本体6は、母線バー2を支持する母線バー支持部8を備え、母線バー支持部8の高さ位置は、一端を主幹ブレーカ1に接続された母線バー2下面の高さ位置に対応するように構成されている。異なる母線バーの板厚に対応する手段として、必要に応じてスペーサを取り付け、母線バー支持部8の高さを変更することもできる。
【0018】
母線バー支持部8は、
図2および
図4に示すように、各相の母線バー支持部8の間に形成された凹溝12を備え、該凹溝12に形成された母線バー固定部13とナット収納部14とを備えている。
【0019】
該母線バー固定部13では、母線バー2とバーホルダ本体6とを位置合わせした後、固定ねじ15を挿入することにより、
図1に示すように母線バー2とバーホルダ本体6とを固定することができる。
【0020】
ナット収納部14は、母線バー2と母線バーの長手方向から引き出される幹線ケーブル16との接続に使用される。幹線ケーブル16は、
図1に示すように、圧着端子17で母線バーに接続され、ナット収納部14に収納したナットと、幹線ケーブル16の圧着端子17に挿通するボルト18との組み合わせにより、バーホルダ本体6に固定することができる。
【0021】
図2および
図4に示すように、バーホルダ本体6の内部には、隣接する母線バー支持部8間に、バーホルダ固定孔19と隔壁固定孔20とが形成されている。
【0022】
バーホルダ固定孔19は、バーホルダ本体6を上下方向に貫通して形成されている。該バーホルダ固定孔19と、筐体に設置された取付板に形成されたねじ孔部とを位置合わせした後、バーホルダ本体6側から固定ねじを挿入することにより、筐体に設置された取付板にバーホルダ本体6を固定することができる。
【0023】
隔壁固定孔20は、隣接する母線バー支持部8間に形成された凹部からなり、隔壁7の固定に使用される。
【0024】
図2に示すように、隔壁7は、細壁部26に、隔壁本体を貫通する隔壁固定ねじ着脱用貫通孔21と、母線バー2の上部を覆う母線バー保護カバーを固定するための固定孔27が形成された構造を有している。
【0025】
隔壁7をバーホルダ本体6に取り付ける際には、隔壁固定孔20と隔壁固定ねじ着脱用貫通孔21とを位置合わせした後、隔壁固定ねじ着脱用貫通孔21の上方から隔壁固定ねじ22を挿通することにより、隔壁7とバーホルダ本体6とを固定することができる。
【0026】
隔壁固定ねじ着脱用貫通孔21の下端部には突出孔部23が形成されている。
図3に示すように、バーホルダ本体6には、該突出孔部23と嵌合する形状の凹部24が形成されており、突出孔部23と凹部24との嵌合構造により、隔壁7とバーホルダ本体6とを、より安定的に固定可能としている。
【0027】
隔壁7とバーホルダ本体6とを、更に安定的に固定する手段として、隔壁7には、バーホルダ本体6を貫通して形成されたバーホルダ固定孔19の上端部に嵌入される係止突起25を形成している。なお、係止突起25は突出孔部23より突出させた形状となっているものである。
【0028】
これらの構造は不意の外力、特に圧着端子の締付作業時に働く外力に対して有効であり、隔壁7とバーホルダ本体6との固定状態を安定的に維持することができる。
【0029】
図5に示すように、隔壁固定ねじ着脱用貫通孔21は、配電盤内で主幹ブレーカ1側に向けて配置することが好ましい。隔壁7本体を貫通して形成された隔壁固定ねじ着脱用貫通21孔は、隔壁固定ねじ22が貫通できる口径を確保するため、口孔が大きくなり、母線バーの端部に圧着端子を介して幹線ケーブルを接続する場合には、該圧着端子と隔壁が干渉するために圧着端子のサイズを小さくする必要があるが該隔壁固定ねじ着脱用貫通孔を、配電盤内で主幹ブレーカ側に向けて配置する構成により、圧着端子のサイズを変更することなく当該干渉の問題を効果的に回避することができる。
【0030】
隔壁7の上面10は、主幹ブレーカ1の端子カバー取付面9と同一高さに形成され、該隔壁7の上面10と端子カバー取付面9とに、保護カバー(図示しない)を渡して設け、主幹ブレーカ1の端子部と母線バー2とを同時に被覆することができる。また、隔壁7の上側面部には、溝部11が形成されており、大型の圧着端子が接続された場合等で各母線バー2間を物理的に絶縁する絶縁壁を設ける場合に、該溝部11に絶縁壁の端部を引掛けて設置することができる。
【0031】
また、このようなバーホルダ5においては母線バー2の端部に設けるような構造だけでなく、隔壁7を分離可能に形成することにより、隔壁7を取り外したバーホルダ5を母線バー2の中間に設置する支えとしても利用可能にできるものである。
【符号の説明】
【0032】
1 主幹ブレーカ
2 母線バー
3 バーホルダ
4 隔壁
5 バーホルダ
6 バーホルダ本体
7 隔壁
8 母線バー支持部
9 端子カバー取付面
10 隔壁の上面
11 溝部
12 凹溝
13 母線バー固定部
14 ナット収納部
15 固定ねじ
16 幹線ケーブル
17 圧着端子
18 ボルト
19 バーホルダ固定孔
20 隔壁固定孔
21 隔壁固定ねじ着脱用貫通孔
22 隔壁固定ねじ
23 突出孔部
24 凹部
25 係止突起
26 細壁部
27 固定孔