特許第5720083号(P5720083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720083
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】軸と軸との連結構造
(51)【国際特許分類】
   B43K 3/00 20060101AFI20150430BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20150430BHJP
   B43K 7/12 20060101ALN20150430BHJP
【FI】
   B43K3/00 H
   F16B7/18 A
   !B43K7/12
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-44316(P2009-44316)
(22)【出願日】2009年2月26日
(65)【公開番号】特開2010-194953(P2010-194953A)
(43)【公開日】2010年9月9日
【審査請求日】2011年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮下 泰
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−6584(JP,A)
【文献】 実開昭59−59520(JP,U)
【文献】 特開2005−212288(JP,A)
【文献】 実公昭46−9137(JP,Y1)
【文献】 特開2001−96971(JP,A)
【文献】 実開昭63−6889(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00 −27/12
F16B 7/00 − 7/22
F16B 39/284
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじ部が形成された軸と雌ねじ部が形成された軸とを螺合によって着脱自在とした連結構造であって、螺合の回転方向に湾曲はするものの復元可能な弾性片を、前記雄ねじ部が形成された軸円周上の端に一体で、かつ、該円周上の端面と前記雄ねじ部の間に設けられた外周面上一体に設け、前記弾性片を前記軸の外周面より内側に配置し、前記螺合が完了したとき、前記雄ねじ部が形成された軸と雌ねじ部が形成された軸の端面の間に、前記弾性片の厚さ分の隙間が発生する軸と軸との連結構造。
【請求項2】
前記お互いの軸に係合突部を形成し、連結した際、お互いの係合突部を係合させた請求項1に記載の軸と軸との連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸と軸との連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
1例として、先端開口からリフイールの先端を突出せしめた合成樹脂製の先軸に、リフイールの先端を内装しうる空腔を有する金属製の口金が係止され、かつこの口金の空腔後底面と、前記先軸の先端面との間には弾性シール体が一定の与圧状態で挾圧支持され、リフイール周面に弾接させられている筆記具が知られている。
即ち、先軸と口金との間にOリング状の弾性シール体を介在させることによって、それら先軸と口金との緩みを防止しようとするものである。
【特許文献1】実公昭61−39588号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の従来技術にあっては、弾性シール体を介在させる手段にあっては、その弾性シール体の費用や、先軸と口金との間に組み付ける作業費用が発生してしまっていた。
また、一般的に弾性シール体は、その材質をシリコーンゴムやニトリルブタジエンラバーなどとしており、長期の使用によってべたつきが発生してしまったり、ややもすると経時的な劣化によって硬化してしまい弾性作用を失ってしまう危険性があった。
さらに、弾性シール体の材質如何によっては、先軸や口金を侵食してしまう危険性があった。例えば、弾性シール体の材質をニトリルブタジエンラバーとし、先軸や口金の材質をポリカーボネイトとしてしまうと、弾性シール体内の可塑剤により、先軸や口金が腐蝕し、ねじの締結応力や、成型時の残留応力などにより、腐蝕した点を起点として割れが進行してしまったりするのである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、雄ねじ部が形成された軸と雌ねじ部が形成された軸とを螺合によって着脱自在とした連結構造であって、螺合の回転方向に湾曲はするものの復元可能な弾性片を、前記雄ねじ部が形成された軸円周上の端に一体で、かつ、該円周上の端面と前記雄ねじ部の間に設けられた外周面上一体に設け、前記弾性片を前記軸の外周面より内側に配置し、前記螺合が完了したとき、前記雄ねじ部が形成された軸と雌ねじ部が形成された軸の端面の間に、前記弾性片の厚さ分の隙間が発生する軸と軸との連結構造を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、雄ねじ部が形成された軸と雌ねじ部が形成された軸とを螺合によって着脱自在とした連結構造であって、螺合の回転方向に湾曲はするものの復元可能な弾性片を、前記雄ねじ部が形成された軸円周上の端に一体で、かつ、該円周上の端面と前記雄ねじ部の間に設けられた外周面上一体に設け、前記弾性片を前記軸の外周面より内側に配置し、前記螺合が完了したとき、前記雄ねじ部が形成された軸と雌ねじ部が形成された軸の端面の間に、前記弾性片の厚さ分の隙間が発生する軸と軸との連結構造としたので、安価な製品が提供できると共に、長期に渡って緩みのない良好な製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の1例を示す正面外観図。
図2図1の側面図。
図3図2の上面図。
図4図2の縦断面図。
図5】先部材の縦断面図。
図6図5の斜視図。
図7】外軸の外観斜視図(グリップ非装着時)。
図8図2のA部拡大図。
図9】先部材を螺合する前の要部拡大図。
図10図9の要部拡大図。
図11】突起の湾曲過程を示す要部拡大図。
図12図11の要部斜視図。
図13】先部材を離脱させた際の、突起の復元状態を示す要部拡大図。
図14】内軸の縦断面斜視図。
図15】回転子の外観斜視図。
図16】ノック部材の外観斜視図。
図17参考例を示す先部材の外観斜視図。
図18図17の要部拡大図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
作用について説明する。軸と軸が連結している状態においては、弾性片が湾曲し、その弾性片の各々の側面が各々の軸の端面を押し付けているが、連結を解除すると、弾性片が復元する。
【0008】
本発明の1例を図1図16に示し説明する。黒や赤、青色などからなる有色半透明の外軸1の前方には、先部材2が螺合の手段によって着脱自在に固定されている。その先部材2の表面には突部2aが長手方向に形成されているが、その突部2aの後端部は外軸1の前方部まで延設されている。また、その突部2aの近傍を除く表面には、幾何学的模様を形成する凹部2bが円周方向に渡って形成されている。前記突部2aは、筆記するペン先20aの方向を指示しているため、ペン先20aの先端の認識力を向上させていると共に、また、円周方向の凹部2bは筆記する面の視認性を向上させている。また、先部材2の内面には雌ねじ部2cが形成されており、前記外軸1の雄ねじ部1aに螺合している。更に、前記雌ねじ2cの前方には、雌ねじ2cが形成されていない不完全ねじ部2dが形成されており、その不完全ねじ部2dの表面には、頂部が円弧状の三角形状の突部2eと、その突部2eに隣接して突状の規制部2fが形成されており、その規制部2fの突部2eの方向には、平面部2hが形成されている。
また、先部材2の前方には、ペン先20aが出没する貫通孔2iが形成されており、その貫通孔2iの前方から後方にかけて大径部2jと小径部2kが形成されている。前者の大径部2jは、先部材2の表面にめっき処理を施した場合の、そのめっき液の内部への侵入を考慮して形成されている。つまり、めっき液の厚みの分大径としているのである。この大径部2jは、先端近傍部のみに形成されているわけではなく、後方に向けてある程度の長さを有している。一方、後者である小径部2kは、ペン先20aとほぼ同径をなしているが、若干大径に形成している。ペン先20aの振れを防止しているのである。
【0009】
前記外軸1の前方部は、縮径部3が形成されており、その縮径部3にはゴム状弾性体などからなるグリップ部4が2色成形、或いは、多重成型や異材質成形などと称された成形手段によって一体成形されている。そして、そのグリップ部材4の表面には、流線型の段部4aが複数形成されていると共に、後端部はその流線型の段部に沿って傾斜(傾斜面部4b)している。美観を向上させていると共に、グリップ部材4を把時した際の、指へのフィット感を良好なものとしている。
【0010】
また、前記外軸1の前方部には、先部材2を螺合させるための雄ねじ部1aが形成されており、その雄ねじ部1aの前方には雄ねじ部1aが形成されていない不完全ねじ部1gが形成されており、その不完全ねじ部1gの前方部には先端部に向かって縮径する円錐部1hが形成されている。そして、その不完全ねじ部1gの1部分である円錐部1hには外軸1に対する先部材2の周方向に対する位置決めを行う突部1bが形成されており、先部材2の突部2eを乗り越え、規制部2fの平面部2hに当接し得るようになっている。尚、その規制部2fの平面部2hに当接する前記外軸1の突部(被規制部)1bにも平面部1cが形成されている。つまり、規制部2fの平面部2hと突部(被規制部)1bの平面部1cが当接することによって、先部材2の軸筒1に対する螺合規制がなされている。そして、この先部材2の外軸1に対する位置決めがなされることによって、先部材2の突部2aと後述するクリップとの位置決めもなされることになる。
尚、外軸1の前端部に形成された凹部(切欠部)1dは、外軸1とグリップ部4を2色成形の手段によって射出成形する際の位置決め用の凹部であるが、後述する内筒を外軸1に組み付ける際の位置決め用の凹部ともなっている。また、前記凹部1dは、前記先部材2の突部2eが軸筒1の突部(被規制部)1bを乗り越える際に、軸筒1の先端近傍が弾性的に縮径するよう形成された空間部ともなっている。つまり、先部材2の突部2eが軸筒1の突部(被規制部)1bを乗り越える際に、その突部2e、1bも自らの弾性変形力によって縮形するが、軸筒1の先端が凹部1dに向かって縮径もするのである。そして、この空間部(凹部1b)によって、先部材2を軸筒1に対して螺合させる際、先部材2の突部2eと軸筒1の突部(被規制部)1bの摩耗や破損を極力防止しているのである。
【0011】
また、前記外軸1の前方部であって雄ねじ部1aの後部には、凹部3が構成されることによって形成された鍔部1iが形成されている。そして、その鍔部1iの前端面には、突部1jが等間隔な位置の4箇所に形成されているが、3個所であっても良く、5個所や6か所であっても良いが、等間隔な位置に形成するのが好ましい。複数の突起1jを等間隔な位置に形成することによって、外軸1の突起1jが均等に先部材2の円周上の端面を押し付けるため、外軸1と先部材2とのぐらつきが防止される。その突起1jは、縦方向に延設された断面が長方形状の柱状態をなしているが、頂部を円弧状に形成するなどしても良い。図9図10に示す例は、外軸1に先部材2を螺合させる前の外軸1の図であり、前記突起1jが変形する前の状態である。その突起1jは、湾曲変形が可能ではあるものの復元が可能なものとなっている。即ち、弾性復元が可能なものとなっている。
【0012】
次に、前記軸筒1と先部材2の螺合動作について説明する。軸筒1と先部材2との螺合(回転)が開始すると、先部材2の後端面が前記外軸1の突起1jに当接し、その突起1jの湾曲変形が開始される(図11参照)。さらに先部材2の螺合(回転)を進めると、その先部材2の内面に形成された突部2eが軸筒1の突部(被規制部)1bに当接すると共に、その突部1bを乗り越えようとする。このとき軸筒1の先端近傍は、凹部1dによって内方変形が容易になり、これによって縮径する。さらに先部材2が回転すると先部材2の突起2eが突部(被規制部)1bを乗り越え、このとき、先部材2の規制部2fの平面部2hが突部(被規制部)1bの平面部1cに当接すると共に、前記外軸1の突起1jの各々の側面1k、1lが先部材2の後端面、並びに、外軸1の鍔部1iの前端面に当接する。これで、軸筒1と先部材2の螺合が完了すると共に、軸筒1に対する先部材2の位置決めがなされる。即ち、先部材2の軸筒1に対する螺合(回転)が規制され、これ以上の回転が阻止されるのである。この時、外軸1の鍔部1iの前端面と先部材2の後端面との間には、突起1jの厚さ分の隙間が発生しているが、等間隔な位置に設けられた突起1jの弾発力によって先部材2が押し付けられているため、先部材2は外軸1に対してぐらついてしまうことがない。
尚、外軸1と先部材2を離脱させた際には、前記完全に湾曲していた突起1jが、完全には復元しないものの3割程度復元する。
また、若干外軸1の雄ねじ1aや先部材2の雌ねじ2cに寸法上のばらつきが発生してしまっても、そのばらつきに従って前記突起1jの湾曲の曲率が変動し、これによって、先部材2を外軸1に螺合させるための力のばらつきが極力解消される。即ち、均一な力で螺合させることができるものとなっている。
【0013】
外軸1の後部には、内軸5が挿着されており、その内軸5の後部には後述するクリップを挟み込む、尾冠6が形成されており、また、その尾冠6は外軸1の後端部から突出している。そして、その外軸1の後端部と尾冠6との間にはクリップ7の取り付け基部8が挟み込まれており、外軸1との固定部となっている。尚、外軸1とクリップ7の基部8との固定部は、互いに形成された傾斜面(傾斜面部8a、1e)となっており、前記グリップ部材4に形成された流線型の段部4aなどと相まって、より一層、美観を向上させるものとなっている。
また、内軸5の外面後部には、菱形状の突起9が対向した位置に形成されており、前記外軸1に形成された貫通孔10に嵌まり込んでいる。つまり、これら突起9の貫通孔10に対する嵌合により、内軸5の外軸1に対する脱落が防止されているのである。
【0014】
本実施例の軸筒の内部には、筆記体が出没可能に配置されている。その筆記体の出没動作は、デビットカム機構と称される出没機構によってなされている。以下、具体的に詳述する。
前記内軸5の内面の後方には、カム溝12とカム突起13が長手方向に形成されており、そのカム突起13の前端面には、傾斜したカム面13aが形成されている。内軸5の内面の中間部には、4個の突起14が等間隔な位置に形成されている。この4個の突起14は、後述する回転子の内軸5からの脱落を防止するものとなっている。
そして、内軸5の後部には、回転子15が挿着されている。その回転子15の外周には、前記カム溝12内を摺動する摺動突起16が形成されており、その摺動突起16の後端面には、前記カム面13と係合する傾斜したカム面16aが形成されている。また、回転子15の前端外周部には、鍔部15aが形成されており、後述する筆記体(油性ボールペン)の後部を受け止めている。鍔部15aによって、筆記体の後部外周縁部をガイドすることによって、筆記体の振れを防止しているのである。
また、回転子15の後部には、ノック部材17が配置されており、その後部を内軸5の後端開口部から突出させている。そのノック部材17の前端部には、前記回転子15のカム面16aと係合し、その回転子15を押圧・回転すべく三角形状の山形傾斜面18が形成されている。そして、ノック部材17の前方外周面には、前記内軸5のカム溝12を摺動する突起19が形成されている。
符号20は、水性ボールペンであり、その水性ボールペン20の先端には、筆記部となるペン先20aが取り付けられている。しかし、水性ボールペンに限定されることはなく、油性ボールペン、或いは、シャープペンシルユニットなどからなる筆記体であっても良い。前記水性ボールペン20は、コイルスプリングなどの弾発部材21によって後方に向けて付勢されている。尚、筆記体20が弾発部材21によって付勢されることにより、前記回転子15やノック部材17も後方に向けて付勢されている。
【0015】
参考例図17図18に示し説明する。前記外軸1に形成した突起1jを先部材2の後端面に形成した例である。具体的に説明すると、先部材2の後端面には、前例と同様な断面が長方形状の柱状態をなした突起2lが形成されている。その突起2lも湾曲はするものの、弾性復元が可能なものとなっている。
以上、突起1j、2lを外軸1、並びに、先部材2に形成した例を示したが、双方に形成しても良い。その場合には、互いの軸を相対的に回転させるのではなく、例えば、外軸と先部材を凹凸嵌合などの手段によって連結させる構造に適用するのが好ましい。
【符号の説明】
【0016】
1 外軸
2 先部材
3 縮径部
4 グリップ部
5 内軸
6 尾冠
7 クリップ
8 基部
9 突起
10 貫通孔
11 凹部
12 カム溝
13 カム突起
14 突起
15 回転子
16 摺動突起
17 ノック部材
18 山形傾斜面
19 突起
20 筆記体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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