(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720120
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】木質系の組立式机
(51)【国際特許分類】
A47B 9/14 20060101AFI20150430BHJP
A47B 13/04 20060101ALI20150430BHJP
A47B 17/00 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
A47B9/14
A47B13/04
A47B17/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-129809(P2010-129809)
(22)【出願日】2010年6月7日
(65)【公開番号】特開2011-254879(P2011-254879A)
(43)【公開日】2011年12月22日
【審査請求日】2013年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和久
【審査官】
蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭50−154202(JP,U)
【文献】
特開2007−289354(JP,A)
【文献】
特開2000−152828(JP,A)
【文献】
特開2009−022632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
奥行幅の狭い脚板の下端に接地脚が前方へ突出したL脚を両側に有し、両L脚の後端間に幕板を備えるとともに、両L脚間に脚板よりも奥行幅が大きな天板を金属製のブラケットを介して高さ調節可能に取付けてなる木質系の組立式机において、前記脚板の上下方向に所定間隔毎に前後対となった複数の取付孔を貫通形成し、前記天板の両側端下面に固定した支持板に前記取付孔の前後間隔と同じ前後間隔で螺孔を形成し、前記ブラケットは前記脚板の奥行幅より長く、天板の奥行幅と同等か短い長さに設定し、該ブラケットの後部に前記脚板の取付孔に嵌挿するパイプ状の一対の係合ピンを突設するとともに、該ブラケットに前記天板の支持板の下面を受ける支持レールを形成し、前記ブラケットの係合ピンを脚板の取付孔に嵌挿した後、支持レールに天板の支持板を載支し、脚板の外側から前記取付孔内の係合ピンを貫通させた連結ネジを前記天板の支持板の螺孔に螺合してなることを特徴とする木質系の組立式机。
【請求項2】
前記天板は、両側後部に前記脚板を受け入れる係合部を切欠形成し、前記天板の支持板を前記ブラケットの支持レールに載支した状態で、前記係合部の前端部を前記脚板の前端に当接させた状態で、前記螺孔と前記取付孔の位置を一致させてなる請求項1記載の木質系の組立式机。
【請求項3】
前記ブラケットは、後部に垂直な取付板を設け、該取付板に前記係合ピンを突設し、下縁の全長にわたって上方へ開放した断面略コ字形の支持レールを折曲形成してなる請求項1又は2記載の木質系の組立式机。
【請求項4】
前記天板の係合部よりも前方の両側下面に前記ブラケットを隠蔽する化粧板を設け、前記天板の支持板との間に前記ブラケットの支持レールを構成する立上片を受け入れる切欠溝を前記化粧板に設けてなる請求項1〜3何れか1項に記載の木質系の組立式机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質系の組立式机に係わり、更に詳しくは天板の高さが調節可能な木質系の組立式机に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から天板の高さが調節可能な学習机は各種提供されている。天板の高さ調節機構としては、脚板に内蔵したネジ軸の回転操作に伴い、天板に固定した支持部内に設け前記ネジ軸に螺合したナット部の螺進退によって天板が無段階に昇降するもの、あるいは伸縮構造の両脚板の内部にガスシリンダーを配置して所定伸縮状態で保持するもの、あるいは両脚板間に配した天板両側の支持部を脚板に設けた取付孔を利用してネジ止めし、該取付孔を上下方向に一定間隔で複数設けておき、適当な高さの取付孔を選択して天板を付け替えることによって該天板の高さを調節するものなど様々である。
【0003】
学習机では、製造工場からの搬送、販売店での保管において、スペース効率を考慮して、嵩張らないように板状の部品に分解した状態で梱包し、取り扱うことが多い。その場合、販売店で、又はユーザー宅で簡単に組み立てることができる構造であり、また十分な強度を備えていることは必須である。
【0004】
机の脚部の構造としては、着席、離席の際に利用者の足の動作を妨げず、また横に複数台並設した際に、隣の机へのアクセスが容易になるという理由で、L脚構造が好まれる。L脚は、脚板の奥行幅が天板より狭く、脚板の下端に天板の奥行幅に略等しい接地脚が前方へ延びた構造を有している。このようなL脚構造の脚部間に天板を取付ける場合、天板の後部が脚部で支持された片持ち状態となる。金属製の机では天板が片持ち状態でも十分な強度を持たせることができるが、木質系の組立式机では強度不足を解消するには補強構造が必要である。天板の高さが固定的な場合には、脚板に前方へ支持アームを延ばして固定し、該支持アームに天板を取付ければ、強度を保てるが、天板を高さ調節可能に取付ける場合、固定的な支持アームを用いることはできない。また、作業者が一人で組み立てる場合、天板の仮支持がなければ、横に倒した状態で作業しなければならず、手間がかかる。
【0005】
特許文献1には、収納キャビネットの両側板間にデスク受け金具を介して前方へ突出するように天板を取付けた構造が開示されている。ここで、デスク受け金具の長さは、側板の奥行幅よりも長く設定され、後部を側板の内面側に形成した前後の取付孔を利用してネジ止め固定し、デスク受け金具の前部は側板より前方へ突出している。前記側板の取付孔は上下方向に所定間隔で複数対設けられており、所定高さのものを選択して前記デスク受け金具を取付け、該デスク受け金具の水平板の上に天板の両側部を載置し、下方から水平板を天板にネジ止めしている。更に、天板の後端は収納キャビネットの背板にアングル状のバック受け金具を用いてネジ止めしている。そして、前記側板より前方に突出したデスク受け金具の側面に化粧用のサイドカバーを取付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−177185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の天板の支持構造では、片持ち状態の天板の支持強度を高めることに主眼を置き過ぎたために、ネジ止め箇所が多くなり過ぎ、天板の高さを調節するために付け替えることは容易ではない。
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、木質系の机において、両側のL脚間に天板を容易に取付けることができるとともに、L脚に対して天板が片持ち状態でも支持強度が十分に高く、しかも天板の高さ調節のための付け替え作業を簡単に行うことができる木質系の組立式机を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題解決のために、奥行幅の狭い脚板の下端に接地脚が前方へ突出したL脚を両側に有し、両L脚の後端間に幕板を備えるとともに、両L脚間に脚板よりも奥行幅が大きな天板を金属製のブラケットを介して高さ調節可能に取付けてなる木質系の組立式机において、前記脚板の上下方向に所定間隔毎に前後対となった複数の取付孔を貫通形成し、前記天板の両側端下面に固定した支持板に前記取付孔の前後間隔と同じ前後間隔で螺孔を形成し、前記ブラケットは前記脚板の奥行幅より長く、天板の奥行幅と同等か短い長さに設定し、該ブラケットの後部に前記脚板の取付孔に嵌挿するパイプ状の一対の係合ピンを突設するとともに、該ブラケット
に前記天板の支持板の下面を
受ける支持レールを形成し、前記ブラケットの係合ピンを脚板の取付孔に嵌挿した後、支持レールに天板の支持板を載支し、脚板の外側から前記取付孔内の係合ピンを貫通させた連結ネジを前記天板の支持板の螺孔に螺合してなることを特徴とする木質系の組立式机を構成した(請求項1)。
【0010】
ここで、前記天板は、両側後部に前記脚板を受け入れる係合部を切欠形成し、前記天板の支持板を前記ブラケットの支持レールに載支した状態で、前記係合部の前端部を前記脚板の前端に当接させた状態で、前記螺孔と前記取付孔の位置を一致させてなることが好ましい(請求項2)。
【0011】
そして、前記ブラケットは、後部に垂直な取付板を設け、該取付板に前記係合ピンを突設し、下縁の全長にわたって上方へ開放した断面略コ字形の支持レールを折曲形成してなるのである(請求項3)。
【0012】
また、前記天板の係合部よりも前方の両側下面に前記ブラケットを隠蔽する化粧板を設け、前記天板の支持板との間に前記ブラケットの支持レールを構成する立上片を受け入れる切欠溝を前記化粧板に設けてなることも好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる請求項1に係る発明の木質系の組立式机は、ブラケットの係合ピンを脚板の取付孔に嵌挿した後、支持レールに天板の支持板を載支し、脚板の外側から前記取付孔内の係合ピンを貫通させた連結ネジを前記天板の支持板の螺孔に螺合してなるので、重い天板を両側のブラケット
の支持レールで仮支持することができ、
その状態で連結ネジによる固定作業を行うことが
できる。また、天板の高さ設定は、脚板に形成した取付孔を選択し、ブラケットの係合ピンを嵌合することで容易に行うことができる。天板の高さ設定と、天板のL脚への固定作業を別々に行うことができるので、非常に作業性が良くなる。勿論、天板の高さ調節のために付け替えることも容易である。天板の後部を両L脚間に取付けた片持ち構造であっても、金属製のブラケットにより十分な支持強度を確保できる。
【0014】
請求項2によれば、前記天板は、両側後部に前記脚板を受け入れる係合部を切欠形成し、前記天板の支持板を前記ブラケットの支持レールに載支した状態で、前記係合部の前端部を前記脚板の前端に当接させた状態で、前記螺孔と前記取付孔の位置を一致させてなるので、見えない位置にある螺孔と取付孔の位置を自動的に一致させることができ、係合ピンに挿通した連結ネジを確実に螺孔に螺合することができる。
【0015】
請求項3によれば、前記ブラケットは、後部に垂直な取付板を設け、該取付板に前記係合ピンを突設し、下縁の全長にわたって上方へ開放した断面略コ字形の支持レールを折曲形成してなるので、取付板は脚板と支持板の間に位置し、貫通した連結ネジで締め付けられるので、ブラケットを強固に取付けることができ、また全長に設けた支持レールの溝内に天板の支持板の下端を受け入れて安定に支持することができる。
【0016】
請求項4によれば、前記天板の係合部よりも前方の両側下面に前記ブラケットを隠蔽する化粧板を設け、前記天板の支持板との間に前記ブラケットの支持レールを構成する立上片を受け入れる切欠溝を前記化粧板に設けてなるので、木質系の机にあって異質な金属製ブラケットを完全に隠蔽することができ、また脚板より前方の天板両側の厚みが増し、より安定感を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の木質系の組立式机の全体斜視図である。
【
図5】本発明の要部を示し、(a)はL脚と天板とブラケットの関係を示す部分分解斜視図、(b)は同じく部分分解断面図である。
【
図7】両L脚の下方後部間を連結部材で連結した状態の斜視図である。
【
図8】両L脚の内側にブラケットを装着した状態の斜視図である。
【
図9】両ブラケットに天板を載支した状態の斜視図である。
【
図10】L脚と天板を連結ネジで固定するとともに、両L脚の後端間に幕板を取付ける状態を示した斜視図である。
【
図12】ワゴンに付属する収納オプションの斜視図である。
【
図13】天板が最も高い状態で、天板の下方に二つの書棚を組み合わせて取付けた使用例を示す正面図である。
【
図14】天板が低い状態で、天板の下方に二つの書棚を組み合わせて一側に取付け、他側にワゴンを収容した使用例を示す正面図である。
【
図15】天板が最も低い状態で、天板の下方と上方とにそれぞれ書棚を分けて一側に取付け、他側にワゴンを収容した使用例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
図1〜
図6は本発明の木質系の組立式机の詳細を示し、
図7〜
図10は組立手順を示し、図中符号1はL脚、2は天板、3は幕板、4は連結部材、5は書棚、6はワゴンをそれぞれ示している。
【0019】
本発明の木質系の組立式机は、奥行幅の狭い脚板7の下端に接地脚8が前方へ突出したL脚1,1を両側に有し、両L脚1,1の後端間に幕板3を備えるとともに、両L脚1,1間に脚板7よりも奥行幅が大きな天板2を金属製のブラケット9,9を介して高さ調節可能に取付けた基本構造を有している。
【0020】
更に詳しくは、
図5に示すように、前記L脚1は、前記脚板7の上下方向に所定間隔毎に前後対となった複数の取付孔10,10を貫通形成している。また、前記天板2の両側端下面には支持板11,11を固定し、該支持板11に前記取付孔10,10の前後間隔と同じ前後間隔で螺孔12,12を形成している。この螺孔12は、前記支持板11の内側からオニメナット13を埋設して設けている。また、前記ブラケット9は、前記脚板7の奥行幅より長く、天板2の奥行幅と同等か短い長さに設定し、後部に前記脚板7の取付孔10,10に嵌挿するパイプ状の一対の係合ピン14,14を突設するとともに、全長にわたり前記天板2の支持板11の下面を受ける断面略コ字形の支持レール15を形成している。そして、前記ブラケット9の係合ピン14,14を脚板7の取付孔10,10に嵌挿した後、支持レール15に天板2の支持板11を載支し、脚板7の外側から前記取付孔10内の係合ピン14を貫通させた連結ネジ16を前記天板2の支持板11の螺孔12に螺合する。
【0021】
以下に、各部を更に詳しく説明する。前記天板2は、両側後部に前記脚板7を受け入れる係合部17を切欠形成し、前記天板2の支持板11を前記ブラケット9の支持レール15に載支した状態で、前記係合部17の前端部を前記脚板7の前端に当接させた状態で、前記螺孔12,12と前記取付孔10,10の位置が一致するように形成されている。また、
図3及び
図4に示すように、前記天板2の両側の支持板11,11は、該天板2の下面側に設ける引出し18,18を収容するボックス体19の一部を構成している。また、
図1、
図3及び
図5に示すように、前記天板2の係合部17よりも前方の両側下面に前記ブラケット9を隠蔽する化粧板20を設け、前記天板2の支持板11との間に前記ブラケット9の支持レール15を構成する立上片21を受け入れる切欠溝22を前記化粧板20に設けている。
【0022】
前記ブラケット9は、
図5に示すように、後部に垂直な取付板23を設け、該取付板23に形成した孔にフランジ付きのパイプからなる前記係合ピン14を内方から外方へ貫通させ、フランジを取付板23の内側に溶接し、そして下縁の全長にわたって上方へ開放した断面略コ字形の支持レール15を折曲形成したものである。前記取付板23には、前記係合ピン14のフランジの厚さを受け入れるための凹部を形成し、必然的に他の部分が凸部となるが、凹凸構造により強度を高める効果もある。そして、前記係合ピン14のパイプは前記取付板23を貫通しているので、その中心孔24に前記連結ネジ16を貫通できるのである。前記支持レール15を構成する両立上片21,21は、前記取付板23の上下幅よりも小さい高さに設定されている。尚、右用ブラケット9と左用ブラケット9は、鏡像関係にある。そして、前記化粧板20に形成された切欠溝22には、前記取付板23に連続した外側の立上片21が嵌るのである。
【0023】
次に、本発明に係る木質系の組立式机の全体を組み立てる工程を
図1、
図7〜
図10に基づいて説明する。前記連結部材4は、2枚の板材をアングル状に連結した部材であり、両L脚1,1の脚板7,7の下方後部間に連結部材4をネジ止め固定し、両L脚1,1を自立状態にする(
図7参照)。次に、各L脚1,1の脚板7,7の内側に前記ブラケット9,9の係合ピン14,14を脚板7,7の取付孔10,10に嵌挿して保持する(
図8参照)。ここで、前記ブラケット9の係合ピン14,14が脚板7,7の取付孔10,10に嵌挿した状態では、該ブラケット9は簡単に脱落しない程度に保持されている。それから、前記天板2を両脚板7,7間に位置させて両側の支持板11,11をそれぞれブラケット9,9の支持レール15,15に載支する(
図9参照)。この状態では、両脚板7,7間に天板2の係合部17,17が嵌り、支持板11と支持レール15の嵌合関係によってL脚1の外側への変位も規制されるので、天板2は安定に仮支持される。そして、前記天板2の後方へ押して、前記係合部17,17の前端部を前記脚板7,7の前端に当接させて、前記螺孔12,12と前記取付孔10,10の位置を一致させた状態で、側方から係合ピン14に挿通した連結ネジ16を支持板11の螺孔12に螺合する(
図10参照)。この連結ネジ16による螺合工程と前後して前記幕板3の両側部を両脚板7,7の後端面に連結ネジ25でネジ止めする。
ここで、断面略コ字形の支持レールに天板の支持板を嵌合状態で載支するので、L脚が開いて天板が落下する恐れがないので、天板から手を離してそれぞれの側で連結ネジによる固定作業を行うことができる。つまり、一人の作業者でも重い天板を両L脚の間に簡単に取付けることができる。
【0024】
ここで、前記幕板3をL脚1に連結する構造を
図4及び
図10に基づき簡単に説明する。前記幕板3も天板2と同様に取付位置を上下に調節できるようになっている。前記L脚1の脚板7の後端面の上部位置で、上下部に間隔を置いて連結穴26,26を形成するとともに、該連結穴26の奥部に連通し脚板7の外面に開口したスリット穴27をそれぞれ形成し、該スリット穴27に角ナット28を挿入し、前記連結穴26に挿入した前記連結ネジ25を角ナット28に螺合するようになっている。一方、前記幕板3の両側部には、上下の前記連結穴26,26の間隔と同じ間隔で複数対の取付孔29,29を設けている。実際には、上下の複数の取付孔29,…は一定間隔で形成され、そのピッチ間隔に応じて幕板3の高さを調節できるようになっている。ここで、前記幕板3もかなりの重量があり、片手で支えながら前記連結ネジ25をねじ込む作業は難しい。そこで、前記連結穴26,26の近傍にピンを突設し、該ピンを受け入れる穴を前記取付孔29,…の近傍にそれぞれ設けておき、ピンと穴による係合によって幕板3を所望高さに仮支持し、軽く幕板3を片手で押えながら、前記連結ネジ25を角ナット28に螺合して取付けるようにしている。
【0025】
尚、前記幕板3は、前記天板2をL脚1,1に取付ける前に、該L脚1,1の後端面に取付けることも可能である。その場合には、前記天板2の後端を幕板3に当接させることにより、前記螺孔12,12と前記取付孔10,10の位置を一致させるための位置決めに利用することができる。いずれの場合も、クリアランスや公差のため天板2や幕板3の取付位置に誤差が生じるので、先ず天板2と幕板3を取付けるネジを緩く螺合して、全てのネジが所定位置に配置した後にきつく締め付けることが望ましい。
【0026】
前記書棚5は、前記両L脚1,1の間隔の半分の横幅を有し、両側の側板30,30の下部間に載置板31を固定し、中間に仕切板32を横方向移動可能に設けた構造である。そして、前記書棚5の両側板30,30の後端面を幕板3の前面に、幕板3と脚板7の取付手段と同様な取付手段によって取付ける。前記書棚5の取付位置は、変更可能なように幕板3の複数箇所に取付けのための取付孔を形成している。また、前記書棚5は、上下反転させて幕板3に取付けることも可能である。二つの書棚5,5を組み合わせて取付けることにより、多様な使用態様を実現できる。
【0027】
図1〜
図3に示すように、前記天板2の後端両側部に切欠部33,33を設けることにより、照明器具34のアーム35を、該切欠部33を用いてクランプ(図示せず)で取付けることができ、また配線コードを該切欠部33を通して配線することができる。また、前記書棚5の載置板31の後端両側にも切欠部36,36を形成している。前記書棚5の切欠部36は、該書棚5を幕板3に取付けた後に、仕切板32を装着するために使用するが、前記天板2の切欠部33と同様な使い方もできる。
【0028】
図2に示すように、前記天板2の下方に移動可能なワゴン6を収容し、袖キャビネットとして使用することもできる。
図2、
図11及び
図12に示すように、ワゴン6の上面に収納オプション37を取付けて、上方へ開放した収納ボックスを構成することができる。この収納オプション37は、平面視コ字形の枠体38とその開放端間に着脱可能に取付ける保持板39とからなり、
図11及び
図12に示すように、ワゴン6の上面に取付ける際には平面視四角形の上方開放した収納ボックスとなる。前記天板2の高さが高く、引出し18の下方の空間が十分余裕があれば、ワゴン6を上面に収納オプション37を取付けたまま天板2の下方に収容することができる。
図14及び
図15に示したように、天板2の高さが低い場合には、ワゴン6の背面に収納オプション37を付け替えて、上方へ開放したマガジンラックを構成し、その状態で天板2の下方に収容する。つまり、
図11の想像線で示したように、ワゴン6の背面に枠体38を付け替えるとともに、前記保持板39を枠体38の上下中間部の背面に付け替え、上方へ開放したマガジンラックとするのである。
【0029】
前記書棚5は、二つ左右に並べて幕板3に取付けることができ(
図13参照)、また一側に寄せて上下に並べて幕板3に取付けることもできる(
図2参照)。更に、
図14に示すように、二つの書棚5,5を一側に寄せて、上部の書棚5を上下反転させて取付けることにより、例えばA4ファイルを立てて収容できるボックスを構成できる。また、
図15に示すように、天板2の高さが低い状態では、該天板2の下方と上方にそれぞれ分けて書棚5を幕板3に取付けることができる。尚、図示しないが、前記幕板3をL脚1に対してより高く取付けることにより、天板2の上方に二つの書棚5,5を上下に並べて取付けることも、また幕板3の上端部に左右に並べて取付けて上部棚を構成することも可能である。
【0030】
前記L脚1は、前記連結ネジ16の頭部が脚板7の側面に突出していても、該前記L脚1の周囲、特に前縁部を側方へ若干突出した化粧部を形成することにより、左右に同じ机を並べて設置した場合で、L脚1,1同士を隅間なく接合させることができる。また、左右に机を並べて設置した場合、L脚1としたことにより、座ったまま隣の机に移動したり、椅子を回転させて隣を向いたりする場合に使用者の足の移動に邪魔にならない。
【符号の説明】
【0031】
1 L脚、 2 天板、
3 幕板、 4 連結部材、
5 書棚、 6 ワゴン、
7 脚板、 8 接地脚、
9 ブラケット、 10 取付孔、
11 支持板、 12 螺孔、
13 オニメナット、 14 係合ピン、
15 支持レール、 16 連結ネジ、
17 係合部、 18 引出し、
19 ボックス体、 20 化粧板、
21 立上片、 22 切欠溝、
23 取付板、 24 中心孔、
25 連結ネジ、 26 連結穴、
27 スリット穴、 28 角ナット、
29 取付孔、 30 側板、
31 載置板、 32 仕切板、
33 切欠部、 34 照明器具、
35 アーム、 36 切欠部、
37 収納オプション、 38 枠体、
39 保持板。