(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外付け抵抗が接続される外部端子と、スイッチング素子と、過電流ポイントとなる基準信号に基づいて前記スイッチング素子に流れる過電流を検出する過電流保護回路と、定電流回路から供給される定電流の値に基づいて発振周波数が設定される発振器とを有する電源回路であって、
前記外部端子に接続された前記外付け抵抗の抵抗値に応じた基準電流を生成する基準電流生成回路と、
該基準電流生成回路によって生成された前記基準電流を比較対象電圧に変換する電流電圧変換回路と、
該電流電圧変換回路によって変換された前記比較対象電圧を3つの異なる基準電圧と比較することで、第1の論理信号と第2の論理信号とからなる4通りの組み合わせを有する論理状態を生成する論理信号生成回路と、
前記第1の論理信号に応じて、前記過電流ポイントとなる基準信号を切り替える過電流ポイント設定回路と、
前記第2の論理信号に応じて、前記発振周波数を設定する前記定電流の値を切り替える発振周波数設定回路とを備えていることを特徴とする電源回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の従来技術では、順次実行される2つの機能を設定しているのみで、同時に実行される2つ以上の機能を設定することができず、2つ以上の機能を同時に設定する場合には、各機能の設定毎に外部端子を設けなければならないという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みて従来技術の上記問題を解決し、1つの外部端子の接続状況に応じて、同時に実行される2つ以上の機能を設定することができる多機能設定回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多機能設定回路は、
スイッチング素子と、過電流ポイントとなる基準信号に基づいて前記スイッチング素子に流れる過電流を検出する過電流保護回路と、定電流回路から供給される定電流の値に基づいて発振周波数が設定される発振器とを備えた電源回路に組み込まれ、外付け抵抗が接続される外部端子を有する多機能設定回路であって、前記外部端子に接続された前記外付け抵抗の抵抗値に応じた基準電流を生成する基準電流生成回路と、該基準電流生成回路によって生成された前記基準電流を比較対象電圧に変換する電流電圧変換回路と、該電流電圧変換回路によって変換された前記比較対象電圧を3
つの異なる基準電圧と比較することで、
第1の論理信号と第2の論理信号とからなる4通りの組み合わせを有する論理状態を生成する論理信号生成回路とを備え、
前記電源回路は、前記第1の論理信号に応じて、前記過電流ポイントとなる基準信号を切り替える過電流ポイント設定回路と、前記第2の論理信号に応じて、前記発振周波数を設定する前記定電流の値を切り替える発振周波数設定回路とを備えていることを特徴とする
。
また、本発明の多機能設定回路は、前記論理信号生成回路によって生成された
前記第1の論理信号及び前記第2の論理信号の論理状態を保持するラッチ回路を備えるようにしても良い。
また、本発明の
電源回路は、外付け抵抗が接続される外部端子と、スイッチング素子と、過電流ポイントとなる基準信号に基づいて前記スイッチング素子に流れる過電流を検出する過電流保護回路と、定電流回路から供給される定電流の値に基づいて発振周波数が設定される発振器とを有する
電源回路であって、前記外部端子に接続された前記外付け抵抗の抵抗値に応じた基準電流を生成する基準電流生成回路と、該基準電流生成回路によって生成された前記基準電流を比較対象電圧に変換する電流電圧変換回路と、該電流電圧変換回路によって変換された前記比較対象電圧を
3つの異なる基準電圧と比較することで、
第1の論理信号と第2の論理信号とからなる4通りの組み合わせを有する論理状態を生成する論理信号生成回路と、
前記第1の論理信号に応じて、前記過電流ポイントとなる基準信号を切り替える過電流ポイント設定回路と、
前記第2の論理信号に応じて、前記発振周波数を設定する前記定電流の値を切り替える発振周波数設定回路とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外部端子に接続された抵抗に応じて4通り以上の組み合わせの論理を作ることができ、1つの外部端子の接続状況に応じて、同時に実行される2つ以上の機能を設定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
図1は、本発明による実施形態の多機能設定回路20が組み込まれた集積回路10の概略構成を示している。
多機能設定回路20が組み込まれた集積回路10は、例えば、パワーマネージメント用のDC/DCコンバータ等の電源回路であり、
図1に示すように、集積回路10には、外付け素子である抵抗Rsetが接続される外部端子setが設けられ、多機能設定回路20と、過電流ポイント設定回路30と、発振周波数設定回路40とが集積されている。
【0010】
多機能設定回路20は、外部端子setに接続された抵抗Rsetの抵抗値に応じた電流を流すことにより、抵抗Rsetの抵抗値に応じた電圧を発生させ、この電圧の値により、過電流ポイント設定回路30に出力するOCP_SET信号と、発振周波数設定回路40に出力するOSC_SET信号とを制御する。OCP_SET信号とOSC_SET信号とは、LOWまたはHIGHのいずれかを示す論理信号であり、多機能設定回路20は、外部端子setに接続された抵抗Rsetの抵抗値に応じて、OCP_SET信号及びOSC_SET信号のそれぞれの論理信号を生成する論理信号生成回路として機能する。なお、抵抗Rsetは、
図1において、可変抵抗として示したが、抵抗値の異なる抵抗Rsetを付け替えるようにしても良い。
【0011】
次に、多機能設定回路20の回路構成と回路機能とを、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、多機能設定回路20の回路構成を示し、
図3は、多機能設定回路20によって設定されるOCP_SET信号とOSC_SET信号との論理状態を示している。
【0012】
多機能設定回路20は、
図2を参照すると、バッファアンプAmp、Nチャネル型のMOSFETQ1、Pチャネル型のMOSFETQ2、Q3、抵抗R0、コンパレータCP1、CP2、CP3、基準電圧Vref、Vset1、Vset2、Vset3などからなっている。
【0013】
抵抗Rsetは外部端子setと接地端子間に接続される。
外部端子setはNチャネル型のMOSFETQ1のソース端子と接続され、非反転入力端子に基準電圧Vrefの正極端子が接続されているバッファアンプAmpと、バッファアンプAmpの出力端子はMOSFETQ1のゲート端子と接続され、外部端子setとMOSFETQ1のソース端子の接続点がバッファアンプAmpの反転入力端子に接続されている。MOSFETQ1のソース電圧がバッファアンプAmpの反転入力端子へフィードバックされることにより、MOSFETQ1のソース電圧がVrefと一致するように、外部端子setに接続された抵抗Rsetを介して、抵抗Rsetの抵抗値に応じた基準電流Iset1=Vref/Rsetが流れるようになっている。すなわち、バッファアンプAmpとMOSFETQ1は、抵抗Rsetの抵抗値に応じた基準電流Iset1を生成する基準電流生成回路として機能する。
【0014】
2つのPチャネル型のMOSFETQ2、Q3は、ミラー比が1:1のカレントミラー回路M1を構成し、MOSFETQ2、Q3のソース端子は内部電源REGに接続されており、MOSFETQ2、Q3のゲート端子はMOSFETQ2のドレイン端子に接続されている。また、MOSFETQ2のドレイン端子はMOSFETQ1のドレイン端子が接続され、MOSFETQ3のドレイン端子は抵抗R0を介して接地端子に接続されている。これにより、外部端子setに接続された抵抗Rsetの抵抗値によって決定される基準電流Iset1がMOSFETQ2を流れると、そのミラー電流Iset2がMOSFETQ3を流れることになる(基準電流Iset1=ミラー電流Iset2)。
【0015】
MOSFETQ3のドレイン端子と抵抗R0との接続点はコンパレータCP1の非反転入力端子に接続されていると共に、コンパレータCP1の反転入力端子には基準電圧Vset1の正極端子が接続され、コンパレータCP1の出力端子がEXOR回路exorの一方の入力端子に接続され、基準電圧Vset1の負極端子は接地端子に接続されている。また、MOSFETQ3のドレイン端子と抵抗R0との接続点はコンパレータCP2の非反転入力端子に接続されていると共に、コンパレータCP2の反転入力端子には基準電圧Vset2の正極端子が接続され、コンパレータCP2の出力端子から出力される信号が発振周波数設定回路40に出力するOSC_SET信号となる。なお、基準電圧Vset2の負極端子は接地端子に接続されている。さらにMOSFETQ3のドレイン端子と抵抗R0との接続点はコンパレータCP3の非反転入力端子に接続されていると共に、コンパレータCP3の反転入力端子には基準電圧Vset3の正極端子が接続され、コンパレータCP3の出力端子がEXOR回路exorの他方の入力端子に接続され、基準電圧Vset3の負極端子は接地端子に接続されている。EXOR回路exorは、コンパレータCP1からの出力とコンパレータCP3からの出力の排他的論理和をとり、EXOR回路exorの出力端子から出力される信号が過電流ポイント設定回路30に出力するOCP_SET信号となる。
【0016】
MOSFETQ3を流れるミラー電流Iset2、すなわち基準電流Iset1は、抵抗R0によって比較対象電圧V1に変換される。MOSFETQ3のドレイン端子と抵抗R0との接続点の比較対象電圧V1は、比較対象電圧V1=Iset2*R0=Iset1*R0となり、この比較対象電圧V1がコンパレータCP1、CP2、CP3によって基準電圧Vset1、Vset2、Vset3とそれぞれ比較される。基準電圧Vset1、Vset2、Vset3の関係は、基準電圧Vset1<基準電圧Vset2<基準電圧Vset3になっている。
【0017】
従って、
図3に示すように、抵抗Rsetの抵抗値が、抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset1よりも大きい場合には、比較対象電圧V1は、基準電圧Vset1未満となって、コンパレータCP1、CP2、CP3の出力が全てLOWレベルとなり、EXOR回路exorの出力であるOCP_SET信号と、コンパレータCP2の出力であるOSC_SET信号とは共にLOWレベルとなる。抵抗Rsetの抵抗値が、抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset2よりも大きく且つ抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset1以下の場合には、比較対象電圧V1は、基準電圧Vset1以上基準電圧Vset2未満となって、コンパレータCP1の出力がHIGHレベルに、コンパレータCP2、CP3の出力がLOWレベルとなり、EXOR回路exorの出力であるOCP_SET信号がHIGHレベルとなり、コンパレータCP2の出力であるOSC_SET信号がLOWレベルとなる。抵抗Rsetの抵抗値が、抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset3よりも大きく且つ抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset2以下の場合には、比較対象電圧V1は、基準電圧Vset2以上基準電圧Vset3未満となって、コンパレータCP1、CP2の出力がHIGHレベルに、コンパレータCP3の出力がLOWレベルとなり、EXOR回路exorの出力であるOCP_SET信号と、コンパレータCP2の出力であるOSC_SET信号とは共にHIGHレベルとなる。抵抗Rsetの抵抗値が、抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset3以下の場合には、比較対象電圧V1は、基準電圧Vset3以上となって、コンパレータCP1、CP2、CP3の出力が全てHIGHレベルとなり、EXOR回路exorの出力であるOCP_SET信号がLOWレベルとなり、コンパレータCP2の出力であるOSC_SET信号がHIGHレベルとなる。
【0018】
このように本実施形態では、外部端子setに接続された抵抗Rsetの抵抗値に応じた基準電流Iset1を生成し、基準電流Iset1を比較対象電圧V1に変換し、比較対象電圧V1を3つの異なる基準電圧Vset1、Vset2、Vset3と比較することで、2つの論理信号(OCP_SET信号、OSC_SET信号)を生成する。これにより、4通りの組み合わせを有する論理状態を生成でき、2つの論理信号(OCP_SET信号、OSC_SET信号)を用いて同時に実行される2つの機能を設定することができるという効果を奏する。なお、コンパレータを増やし、比較対象電圧V1と比較する基準電圧の数を4以上に増やすことにより、4通り以上の組み合わせを有する論理状態を生成することができ、同時に実行される2つ以上の機能を設定することができる。また、4通りの組み合わせを有する論理状態を用いて、1つの機能を4通りに設定できるようにしても良い。
【0019】
次に、過電流ポイント設定回路30の回路構成と回路機能とを、
図4を参照して説明する。
図4は、多機能設定回路20からOCP_SET信号が入力される過電流ポイント設定回路30の回路構成を示している。
【0020】
図4において、符号Qpで示したものは、スイッチング素子としてのパワーMOSFETであり、符号Qsで示したものは、パワーMOSFETQpの電流検出用センスMOSFETである。パワーMOSFETQpとセンスMOSFETQsのソース端子は互いに接続され、パワーMOSFETQpのドレイン端子は電源Vinに接続されている。センスMOSFETQsのドレイン端子はセンス抵抗Rsを介して電源Vinに接続されている。パワーMOSFETQpとセンスMOSFETQsのソース端子が接続された接続点はリアクトルLを介して出力端子Voutに接続されている。また、パワーMOSFETQpとセンスMOSFETQsのソース端子が接続された接続点と接地端子間にはフライホイールダイオードDfが接続され、出力端子Voutと接地端子間には平滑コンデンサCが接続されている。また、ドライブ信号Sg1がパワーMOSFETQp、センスMOSFETQsのゲートに入力され、パワーMOSFETQp、センスMOSFETQsはオン・オフ制御される。リアクトルLと平滑コンデンサCは降圧型DC−DCコンバータの出力部において直流平滑回路を構成している。センス抵抗Rsの両端は、電流検出回路OTA1(Operational Transconductance Amplifier:トランスコンダクタンスアンプ(電圧を電流に変換するアンプ))の反転端子と非反転端子に接続されている。電流検出回路OTA1は、センス抵抗Rsの電圧降下を検出して電流信号Isnsとして出力する。電流検出回路OTA1の出力端子は過電流検出抵抗Rsnsを介して接地端子に接続されている。電流検出回路OTA1の出力端子と過電流検出抵抗Rsnsとの接続点はコンパレータCP4の非反転入力端子に接続されていると共に、コンパレータCP4の反転入力端子には過電流しきい値電圧Vocpが入力されている。これにより、電流検出回路OTA1の出力端子と過電流検出抵抗Rsnsとの接続点の電圧が過電流しきい値電圧Vocpを越えることで、コンパレータCP4の出力OCPが反転してHIGHレベルになり、過電流が検出され、図示しない遮断回路によってドライブ信号Sg1を制御してパワーMOSFETQp、センスMOSFETQsをオフ制御することができる。
【0021】
過電流ポイント設定回路30は、OCP_SET信号の論理状態に応じて、過電流しきい値電圧Vocpを切り替える回路であり、
図4を参照すると、MOSFETからなるスイッチS1、Nチャネル型のMOSFETQ4、Q5、Pチャネル型のMOSFETQ6、Q7、定電流源CC1、CC2、しきい値電圧検出抵抗Rocpなどからなっている。
【0022】
多機能設定回路20からのOCP_SET信号は、スイッチS1のゲート端子に入力され、OCP_SET信号の論理状態に応じて、スイッチS1がオン・オフする。スイッチS1のソース端子が接地端子に、スイッチS1のドレイン端子がMOSFETQ4、Q5のゲート端子に接続されている。
【0023】
2つのMOSFETQ4、Q5は、ミラー比が1:1のカレントミラー回路M2を構成し、MOSFETQ4、Q5のソース端子は接地端子に接続されており、MOSFETQ4、Q5のゲート端子はMOSFETQ4のドレイン端子に接続されている。MOSFETQ4のドレイン端子は、定電流源CC1を介して内部電源regに接続されている。
【0024】
MOSFETQ5のドレイン端子は、MOSFETQ6のドレイン端子に接続されている。2つのMOSFETQ6、Q7は、ミラー比が1:1のカレントミラー回路M3を構成し、MOSFETQ6、Q7のソース端子は内部電源regに接続されており、MOSFETQ6、Q7のゲート端子はMOSFETQ6のドレイン端子に接続され、MOSFETQ6のドレイン端子は定電流源CC2を介して接地端子に接続されている。また、MOSFETQ7のドレイン端子は、しきい値電圧検出抵抗Rocpを介して接地端子に接続され、MOSFETQ7のドレイン端子としきい値電圧検出抵抗Rocpの接続点がコンパレータCP4の反転入力端子に接続されている。
【0025】
スイッチS1がオフ状態のとき、カレントミラー回路M2は有効となり、定電流源CC1による電流I1がMOSFETQ4側に流れ、そのミラー電流I2がMOSFETQ5を流れることになる(基準電流I1=ミラー電流I2)。これにより、MOSFETQ6には、電流I2と定電流源CC2による電流I3を足した電流が流れ、そのミラー電流IocpがMOSFETQ7を流れる。ミラー電流Iocpは、しきい値電圧検出抵抗Rocpによって過電流しきい値電圧Vocpに電圧変換されてコンパレータCP4の反転入力端子に入力されることになる。従って、スイッチS1がオフ状態のときの過電流しきい値電圧Vocpは、Vocp=Iocp*Rocp=(I1+I3)*Rocpとなる。
【0026】
スイッチS1がオン状態のとき、カレントミラー回路M2は無効となり、定電流源CC1による電流I1がMOSFETQ4からMOSFETQ5にミラーされない。これにより、MOSFETQ6には定電流源CC2による電流I3のみが流れ、そのミラー電流IocpがMOSFETQ7を流れる。電流Iocpは、しきい値電圧検出抵抗Rocpによって過電流しきい値電圧Vocpに電圧変換されてコンパレータCP4の非反転入力端子に入力されることになる。従って、スイッチS1がオン状態のときの過電流しきい値電圧Vocpは、Vocp=Iocp*Rocp=I3*Rocpとなる。
【0027】
このように、過電流ポイント設定回路30では、過電流ポイント設定信号であるOCP_SET信号の論理状態によって2通りの過電流しきい値電圧が生成され、DC−DCコンバークのパワーMOSFETQpに流れるIpを異なる2通りの過電流ポイントで制限することが可能となる。なお、過電流しきい値電圧Vocpは、定電流源CC1、定電流源CC2及びしきい値電圧検出抵抗Rocpの値を調節することで任意の値に設定することができる。
【0028】
次に、発振周波数設定回路40の回路構成と回路機能とを、
図5を参照して説明する。
図5は、多機能設定回路20からOSC_SET信号が入力される発振周波数設定回路40の回路構成を示している。
【0029】
図5において、カレントミラー回路M5、スイッチ素子MOSFETQc、コンパレータCP5、コンデンサCoscが発振器を構成している。カレントミラー回路M5のMOSFETQ11からの充電電流IoscによってコンデンサCoscを充電させ、コンデンサCoscの電圧Vrampが基準電圧Voscを越えると、コンパレータCP5の出力VclkがHIGHレベルになってスイッチ素子MOSFETQcをオンさせ、コンデンサCoscを放電させる。これにより、
図5に示すようにコンデンサCoscの電圧Vrampがのこぎり波となり、コンパレータCP5の出力Vclkがクロックパルスとなる。
【0030】
発振周波数設定回路40は、OSC_SET信号の論理状態に応じて、コンデンサCoscを充電する定電流Ioscの電流値を切り替える回路であり、
図5を参照すると、MOSFETからなるスイッチS2、Nチャネル型のMOSFETQ8、Q9、Pチャネル型のMOSFETQ10、Q11、定電流源CC3、CC4などからなっている。
【0031】
多機能設定回路20からのOSC_SET信号は、スイッチS2のゲート端子に入力され、OSC_SET信号の論理状態に応じて、スイッチS2がオン・オフする。スイッチS2のソース端子が接地端子に、スイッチS2のドレイン端子がMOSFETQ8、Q9のゲート端子に接続されている。
【0032】
2つのMOSFETQ8、Q9は、ミラー比が1:1のカレントミラー回路M4を構成し、MOSFETQ8、Q9のソース端子は接地端子に接続されており、MOSFETQ8、Q9のゲート端子はMOSFETQ8のドレイン端子に接続されている。MOSFETQ8のドレイン端子は、定電流源CC3を介して内部電源regに接続されている。
【0033】
MOSFETQ9のドレイン端子は、MOSFETQ10のドレイン端子に接続されている。2つのMOSFETQ10、Q11は、ミラー比が1:1のカレントミラー回路M5を構成し、MOSFETQ10、Q11のソース端子は内部電源regに接続されており、MOSFETQ10、Q11のゲート端子はMOSFETQ10のドレイン端子に接続され、MOSFETQ10のドレイン端子は定電流源CC4を介して接地端子に接続されている。また、MOSFETQ11のドレイン端子は、スイッチ素子MOSFETQcのドレイン端子に接続されていると共に、コンデンサCoscを介して接地端子に接続され、MOSFETQ11のドレイン端子とスイッチ素子MOSFETQcのドレイン端子とコンデンサCoscの接続点がコンパレータCP5の非反転入力端子に接続されている。
【0034】
スイッチS2がオフ状態のとき、カレントミラー回路M4は有効となり、定電流源CC3による電流I5がMOSFETQ8側に流れ、そのミラー電流I6がMOSFETQ9を流れることになる(基準電流I5=ミラー電流I6)。これにより、MOSFETQ10には、電流I5と定電流源CC4による電流I7を足した電流が流れ、そのミラー電流IoscがMOSFETQ11を流れ、電流IoscがコンデンサCoscを充電する充電電流となる。従って、スイッチS2がオフ状態のときの発振周波数fs1は、fs1=Iosc/(Cosc*Vosc)=(I5+I7)/(Cosc*Vosc)となる。
【0035】
スイッチS2がオン状態のとき、カレントミラー回路M4は無効となり、定電流源CC3による電流I5がMOSFETQ8からMOSFETQ9にミラーされない。これにより、MOSFETQ10には定電流源CC4による電流I7のみが流れ、そのミラー電流IocpがMOSFETQ11を流れ、電流IoscがコンデンサCoscを充電する充電電流となる。従って、スイッチS2がオン状態のときの発振周波数fs1は、fs1=Iosc/(Cosc*Vosc)=I7/(Cosc*Vosc)となる。
【0036】
このように、発振周波数設定回路40では、発振周波数設定信号であるOSC_SET信号の論理状態によって2通りの発振周波数fs1を生成される。なお、発振周波数fs1は、定電流源CC3、定電流源CC4、コンデンサCoscの値を調節することで任意の値に設定することができる。
【0037】
本発明の上記実施形態では、発振周彼数と過電流ポイントの設定値の組み合わせを変えており、この組み合わせを変えることによって以下の効果作用がある。
周辺部品(リアクトルL)を小さく、且つ大出力化したい場合には、抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset1よりも大きい抵抗値を有する抵抗Rsetを接続し、OSC_SET信号をLOWレベルにして発振周彼数を高く、OCP_SET信号をLOWレベルにして過電流ポイントを高く設定することができる。
軽負荷の効率が重要である場合には、周辺部品のリアクトルLのインダクタンス値を比較的大きくし、動作周彼数を低く設定する必要がある。この場合には、抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset3よりも大きく且つ抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset2以下の抵抗値を有する抵抗Rsetを接続し、OSC_SET信号をHIGHレベルにして発振周彼数を低く、OCP_SET信をHIGHレベルにして過電流ポイントを低く設定すると良い。
負荷電流値を電源集積回路の持つ最大定格電流より小さい電流範囲で使用したい場合には、過電流ポイントを最大定格電流よりも低く設定する必要があり、抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset2よりも大きく且つ抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset1以下の抵抗値を有する抵抗Rsetを接続し、OSC_SET信号をLOWレベルにして発振周彼数を高く、OCP_SET信をHIGHレベルにして過電流ポイントを低く設定すると良い。
スイッチングノイズを抑えるために動作周波数を低くし、リアクトルLは同じ値で、変更しない場合には、出力電流の検出値は大きくなるため、過電流ポイントを高く設定する必要がある。この場合には、抵抗R0*基準電圧Vref/基準電圧Vset3以下の抵抗値を有する抵抗Rsetを接続し、OSC_SET信号をHIGHレベルにして発振周彼数を低く、OCP_SET信をLOWレベルにして過電流ポイントを高く設定すると良い。
【0038】
次に、本発明の他の実施形態について
図6を参照して説明する。
図6は、多機能設定回路20からのOSC_SET信号及びOCP_SET信号をラッチするラッチ回路50が組み込まれた集積回路10の概略構成を示している。
【0039】
本発明の他の実施形態では、
図6に示すように、多機能設定回路20からのOSC_SET信号及びOCP_SET信号をラッチするラッチ回路50を設け、ラッチ回路50からOSC_SET信号及びOCP_SET信号を発振周波数設定回路40及び過電流ポイント設定回路30にそれぞれ出力するように構成されている。この構成を採用することで、OSC_SET信号及びOCP_SET信号の論理状態をラッチ回路50で保持することができるため、OSC_SET信号及びOCP_SET信号の論理状態が確定した段階、すなわち電源の投入から所定時間後に、多機能設定回路20を電源供給を停止させることができ、集積回路10の省電力化を実現することができる。
【0040】
以上、本発明を具体的な実施形態で説明したが、上記実施形態は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施できることは言うまでも無い。