(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係止部は、前記第一洗浄ノズルおよび前記第二洗浄ノズルの前記空洞部の開口端側より先端側の突出が大となるように傾斜形成され、前記傾斜に前記ロックピンが当接される、請求項3に記載の人体局部洗浄装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1によれば、おしり用とビデ用の洗浄装置100をそれぞれ便器101に設置することになり、洗浄装置が大型化して洗浄装置の設置空間が大きくなる問題がある。
【0010】
また、ピニオンギヤ111の移動量Lに対して、ノズル本体106のノズル支持体102に対する移動量は2Lであるので、可動ラック部109の長さはノズル本体106の移動量2Lの半分の長さで良い。しかし、ノズル本体106の可動ラック部109の一部が洗浄使用時に便器101内に露出され、人体局部洗浄の際に飛散する汚水、汚物等が可動ラック部109の露出部分に付着する。これにより、ピニオンギヤ111と、固定ラック104および可動ラック部109との噛合い不良に基づく作動不良やロックを引起す問題がある。また、固定ラック104、可動ラック部109、およびピニオンギヤ111に付着した汚物により臭気が発生すると共に、清浄性を確保できない問題がある。
【0011】
また、特許文献2によれば、各回転伝達部である各大径ギヤは、各洗浄用ノズルの各進退伝達部(各ラック)に噛合い、洗浄用ノズルは大径ギヤの回転移動距離と同じ距離移動する。このため、各進退伝達部の長さは特許文献1の可動ラック部109の2倍の長さになり、人体局部洗浄使用時における洗浄用ノズルを伸長した状態では、進退伝達部の先端側が便器内に露出する。結果、人体局部洗浄使用時に飛散する汚水や汚物が進退伝達部に付着するので、駆動伝達機構の作動不良やロックを引起す問題がある。また、進退伝達部が便器内に露出するので見栄えも悪く、さらには汚物などが進退伝達部の歯底に蓄積し、清掃性が悪い問題がある。
【0012】
また、特許文献3によれば、ビデ洗浄ノズルとおしり洗浄ノズルの各噴水口側は接近して配置されているが、動力伝達手段側は、動力伝達手段の大きな駆動プーリを挟み、駆動プーリの外径より大きな距離離間して配置される。このため、洗浄ノズル装置が大型化して洗浄装置の占有空間が大きくなる問題がある。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、人体局部洗浄の際に飛散する汚水や汚物による作動不良やロックが起り難く、且つ清浄性、清掃性の良好であり、進退動が可能な洗浄ノズルを有する人体局部洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、人体局部洗浄用の水が流通する洗浄水流路と先端が閉じて他端が開口した空洞部とを備える洗浄ノズルと、一端側が前記洗浄ノズルの前記空洞部に挿入され、前記洗浄ノズルの長さ方向に沿って進退動可能な押出部材と、前記押出部材を進退動させる駆動部と、前記空洞部
の内壁に設けた凹状もしくは穴状の係止部用収容部に摺動可能に挿入され、前記押出部材を後退させる際に前記押出部材を後退方向に対して係止する係止部と、を備え
、前記押出部材が前記駆動部によって前記空洞部内を前進することで
前記洗浄ノズルを前進させ、前記係止部によって係止された前記押出部材が前記駆動部によって前記空洞部内を後退することで
前記洗浄ノズルを後退させ
、前記洗浄ノズルは、長さ方向に略平行に配置された第一洗浄ノズルと第二洗浄ノズルとからなり、前記押出部材は、一端側の第一ノズル押出部が前記第一洗浄ノズルの前記空洞部に挿入され、他端側の第二ノズル押出部が前記第二洗浄ノズルの前記空洞部に挿入され、中間部が曲げられて前記第一ノズル押出部と前記第二ノズル押出部とが略平行になるように配置され、前記第一洗浄ノズルと前記第二洗浄ノズルとを出入り可能に収容するノズル収容部を備え、前記第一洗浄ノズルの前記空洞部には前記ノズル収容部内に引き込む際に前記押出部材の前記第一ノズル押出部が前記係止部によって係止され、前記第二洗浄ノズルの前記空洞部には前記ノズル収容部内に引き込む際に前記押出部材の前記第二ノズル押出部が前記係止部によって係止される。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、
第一洗浄ノズルまたは第二洗浄ノズルをノズル収容部内に引き込んだときに係止部の係止を解除する係止解除機構を備え、押出部材は、第一ノズル押出部および第二ノズル押出部のうち一方の係止部への係止を係止解除機構によって解除させた後に他方が第一洗浄ノズルまたは第二洗浄ノズルの先端を押し出すように移動可能である。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、
係止解除機構は、ノズル収容部内に配設されたストッパと、第一洗浄ノズルおよび第二洗浄ノズルの空洞部内に延在するロックピンと、第一洗浄ノズルおよび第二洗浄ノズルの空洞部内壁に設けられた係止部用収容部から突設され、第一ノズル押出部または第二ノズル押出部に係止する係止部と、係止部用収容部の底部から開口部へと係止部を付勢する付勢部材と、を備え、ロックピンがストッパに当接したときにロックピンが係止部を係止部用収容部の内部に押し込んで係止部と第一ノズル押出部または第二ノズル押出部との係止を解除する。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、
係止部は、第一洗浄ノズルおよび第二洗浄ノズルの空洞部の開口端側より先端側の突出が大となるように傾斜形成され、傾斜にロックピンが当接される。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、
係止解除機構は、ノズル収容部に配設された吸引部材と、洗浄ノズルの空洞部内壁に設けられた係止部用収容部から突設され、第一ノズル押出部または第二ノズル押出部に係止する係止部と、から構成され、吸引部材と係止部のうち少なくともいずれか一方は磁気を発生し、他方は磁気によって吸引され、第一ノズル洗浄および第二洗浄ノズルが所定位置に到達したときに、吸引部材と係止部との間の磁力により、吸引部材が係止部を引き寄せ、係止部と第一ノズル押出部または第二ノズル押出部との係止を解除する。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、
第一ノズル押出部側の押出部材と、第二ノズル押出部側の押出部材と、の間に駆動部が一つ配置され、駆動部と第一ノズル押出部側の押出部材および第二ノズル押出部側の押出部材を係回させると共に、押出部材を第一洗浄ノズルと第二洗浄ノズルを略平行に進退動し得るようガイドするガイド部材が、押出部材の駆動部と係回する反対側の面に当接する。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明では、押出部材の前進により人体局部洗浄位置に移動した洗浄ノズルの洗浄水流路から流水する洗浄水で人体局部を洗浄する際、汚水や汚物が周囲に飛び散り、洗浄ノズルの便器内に露出されている外面に汚水や汚物が付着する。しかし、押出部材は洗浄ノズルの先端が閉じられた空洞部に挿入されているので、押出部材への汚水や汚物の飛散は阻止される。また、押出部材の後退時には,空洞内に設けられた係止部が押出部材を係止することで、洗浄ノズルが押出部材と一体となって後退することで洗浄ノズルの進退動が可能となる。結果、人体局部洗浄の際に飛び散る汚水や汚物の押出部材への付着が防止でき、汚水や汚物の付着による作動不良やロックが起り難く、且つ清浄性、清掃性が良好であり、進退動が可能な洗浄ノズルを有する人体局部洗浄装置を提供できる。
【0023】
また、第一洗浄ノズルと第二洗浄ノズルとが略平行に配置されると共に、押出部材の中間部が曲げられ、第一ノズル押出部と第二ノズル押出部とが略平行になるように配置される。結果、洗浄ノズルは、上下左右に並設させることができ、人体局部洗浄装置の洗浄ノズル進退方向に直交する方向の長さが短縮される。
【0024】
また、第一ノズル押出部と第二ノズル押出部と、を備えた押出部材の中間部が曲げられるので、人体局部洗浄装置の洗浄ノズル進退方向の長さが短縮される。
【0025】
また、第一ノズル押出部と第二ノズル押出部は押出部材の両端に設けられるので、第一ノズル押出部と第二ノズル押出部とにそれぞれ駆動部を設けることなく、一つの駆動部で各ノズル押出部を進退動できる。従って、第一ノズル押出部と第二ノズル押出部の一方で一方側の洗浄ノズルを押圧して人体局部洗浄位置に押出(前進)でき、人体局部洗浄装置の構成が簡素になる。
【0026】
以上により、人体局部洗浄装置を、小型化でき、設置空間も小さくできる。
【0027】
また、各洗浄ノズルの空洞部にはノズル収容部内に引き込む際に押出部材の第一ノズル押出部または第二ノズル押出部に係止する係止部がそれぞれ備えられる。従って、一つの駆動部により、第一ノズル押出部または第二ノズル押出部を係止部に係止させることにより、第一洗浄ノズルまたは第二洗浄ノズルの一方を人体局部洗浄位置からノズル収容部内へ収容できる。結果、第一、第二洗浄ノズルをノズル収容部内へ収容させる機構が簡素になり、人体局部洗浄装置を小型化できる。
【0028】
さらに、第一洗浄ノズルと第二洗浄ノズルと、を出入り可能に収容するノズル収容部を備えている。これにより、人体局部洗浄位置にある各洗浄ノズルをノズル収容部に引き込む際に、人体局部洗浄時に各洗浄ノズルの外面に付着した汚水や汚物は、ノズル収容部の引き込み口の端部で離脱され、ノズル収容部には汚水や汚物が溜まり難い。
【0029】
請求項
2に記載の発明では、第一洗浄ノズルと第二洗浄ノズルは、それぞれ係止部の係止を解除する係止解除機構を備えている。これにより、例えば、ノズル収容部に収容された第一洗浄ノズル側の係止解除機構が解除されている場合は、第一ノズル押出部は後退しても係止部を通過できる。従って、第一洗浄ノズルのノズル収容部31での停止状態を維持しつつ、第一ノズル押出部は係止部を通過して、空洞部内で後退できる。第一ノズル押出部が後退すると、第二ノズル押出部が前進され、第二洗浄ノズルを押圧して、ノズル収容部内の第二洗浄ノズルを人体局部洗浄位置へ移動する。これにより、第一洗浄ノズルのノズル収容部の長さは、上述の第一ノズル押出部の略後退距離、即ち、第二洗浄ノズルのノズル収容部位置から人体局部洗浄位置への略移動距離分、短縮できる。第二洗浄ノズルのノズル収容部の長さも同様に短縮できる。
【0030】
請求項
3に記載の発明では、係止解除機構は、第一洗浄ノズルまたは第二洗浄ノズルが後退して、ロックピンがストッパに当接すると、ロックピンが係止部を係止部用収容部の内部に押し込んで、係止部と第一ノズル押出部または第二ノズル押出部との係止を解除する。
【0031】
請求項
4に記載の発明では、ロックピンの両端が、それぞれ係止部の形成された傾斜とストッパとに当接した状態で、第一ノズル押出部または第二ノズル押出部が係止部に係止されると係止部は傾斜部分の傾斜に沿って係止部用収容部の内方に移動する。これにより、第一ノズル押出部または第二ノズル押出部の係止部との係止が解除され、第一洗浄ノズルまたは第二洗浄ノズルを後退させずに停止状態を維持しつつ、第一ノズル押出部または第二ノズル押出部は係止部を通過して後退できる。
【0032】
請求項
5に記載の発明では、各ノズル洗浄が所定位置に到達したときに、吸引部材と係止部との間の磁力の相互作用により、吸引部材が係止部を引き寄せ、係止部と第一ノズル押出部先端側または第二ノズル押出部先端側との係止が解除される。
【0033】
請求項
4に記載のロックピンとストッパが不要になるので、ノズル収容部の洗浄ノズルの進退方向の長さがさらに短縮でき、人体局部洗浄装置は、さらに小型化できる。
【0034】
請求項
6に記載の発明では、第一ノズル押出部側の押出部材と第二ノズル押出部側の押出部材と、の間に配置される駆動部は一つあれば良く、またガイド部材により押出部材が、第一洗浄ノズルと第二洗浄ノズル略平行に進退動する。これにより、洗浄ノズルの進退方向に直交する方向の長さが短縮され、小型化できる。
【0035】
また、ガイド部材により押出部材が、第一洗浄ノズルと第二洗浄ノズル略平行に進退動するので、駆動部の駆動力が、分散されずに第一洗浄ノズルと第二洗浄ノズルの略進退動方向に作用する。結果、駆動部の駆動力が、押出部材を介して効率良くに伝達される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0038】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る人体局部洗浄装置の説明図である。人体局部洗浄装置1は、おしり洗浄ノズル(洗浄ノズル、第一洗浄ノズル)10と、ビデ洗浄ノズル(洗浄ノズル、第二洗浄ノズル)20と、各洗浄ノズル10、20を出入り可能に収容するノズル収容部31、32から成るケース30と、おしり洗浄ノズル10とビデ洗浄ノズル20を押出す押出部材40と、押出部材40を進退させる駆動部4と、を備える。
【0039】
おしり洗浄ノズル10は、先端10aが閉じられ、他端10bが開口した空洞部11と、人体局部に洗浄水を噴出する噴出孔13を設けた洗浄水流路12と、空洞部11の内壁に設けた例えば、凹状もしくは穴状のロック部材収容部(係止部用収容部)14に摺動可能に挿入されるロック部材(係止部)15と、ロック部材15に圧縮荷重を付勢する圧縮ばね(付勢部材)16と、を備える。
【0040】
同様に、ビデ洗浄ノズル20は、先端20aが閉じられ、他端20bが開口した空洞部21と、人体局部に洗浄水を噴出する噴出孔23を設けた洗浄水流路22と、空洞部21の内壁に設けたロック部材収容部24に摺動可能に挿入されるロック部材(係止部)25と、ロック部材25に圧縮荷重を付勢する圧縮ばね(付勢部材)26と、を備える。
【0041】
また、おしり洗浄ノズル10の噴出孔13に対して反対側の洗浄水流路12の端部には継手12aが設けられ、継手12aは、ホース18および弁(図示せず)を介して給水源(図示せず)に接続される。同様に、ビデ洗浄ノズル20の噴出孔23に対して反対側の洗浄水流路22の端部には継手22aが設けられ、継手22aは、ホース28および弁(図示せず)を介して給水源(図示せず)に接続される。そして、各洗浄ノズル10、20が進退する際に、ホース18、28も進退できるように、ケース30の
図1における上面と下面には、それぞれ溝35、36が設けられる(
図2、
図3)。
【0042】
各洗浄ノズル10、20の各開口側には、それぞれガイド孔17、27が設けられ、ガイド孔17、27にはそれぞれロックピン19、29が各空洞部11、21内に延在するように挿入される。ロックピン19のおしり洗浄ノズル10の開口側の先端19bは、ケース30に配設したストッパ33に対面する。同様に、ロックピン29のビデ洗浄ノズル20の開口側の先端29bは、ケース30に配設したストッパ34に対面する。
【0043】
ロック部材15には傾斜面(傾斜)15aが設けられ、傾斜面15aは空洞部11の開口10b側より先端10a側の突出が大きくなるように形成され、傾斜面15aにロックピン19の空洞部11側の先端19aの球面が当接する。同様に、ロック部材25にも傾斜面(傾斜)25aが設けられ、傾斜面25aは空洞部21の開口20b側より先端20a側の突出が大きくなるように形成され、傾斜面25aにロックピン29の空洞部21側の先端29aの球面が当接する。
【0044】
そして、傾斜面15a、25aの回転防止のため、ロック部材15、25の摺動方向に直交する断面は例えば矩形形状をなす。尚、断面が円形形状の場合には、ロック部材15、25およびロック部材収容部14、24の間には回転防止機構が設けられる。
【0045】
ロック部材収容部14、24は、底部14a、24aと、空洞部11、21に開口した開口部14b、24bを備え(
図4、
図6)、挿入されたロック部材15、25と底部14a、24aとの間に圧縮ばね16、26が設けられる。そして、ロックピン19と、ロック部材収容部14と、ロック部材15と、圧縮ばね16と、により係止解除機構L1が形成される。同様に、ロックピン29と、ロック部材収容部24と、ロック部材25と、圧縮ばね26と、により係止解除機構L2が形成される。
【0046】
また、ロック部材15、25には、傾斜面15a、25aが設けられているが、これに限定されない。例えば、傾斜面15a、25aに代わって、凸形球面にしても良く、このロック部材は回転しても良いので回転阻止機構は不要になる。
【0047】
押出部材40は、ベルトラック43と、ベルトラック43の両端に設けたロックキー(第一ノズル押出部)41、ロックキー(第二ノズル押出部)42を備える。押出部材40の一端側40aはロックキー41が空洞部11に挿入され、他端側40bはロックキー42が空洞部21に挿入され、そして中間部40cはベルトラック43の略中間が略180°曲げられる。
【0048】
ベルトラック43は複数の歯43aを備え、例えば、樹脂材などで成形され、帯部43bには複数本の金属ワイヤが埋め込まれる。これにより、ベルトラック43は、柔軟性を備えると共に、圧縮力が作用してもベルトラック43の座屈を阻止でき、引張力が作用してもベルトラック43の伸びあるいは切断が阻止され、駆動部4からの圧縮力と引張力をロックキー41、42に伝達できる。
【0049】
そして、略180°曲げられたベルトラック43の間には、ステッピングモータ5とステッピングモータ5に接続したピニオンギヤ6と、を備えた駆動部4が配置される。そして、ピニオンギヤ6とベルトラック43が、
図1における上下の二ヶ所で噛合い、且つ押出部材40が洗浄ノズル10、20と略平行に進退動できるように、噛合部分のベルトラック43の外側両面の
図1における左右に円筒形状のガイドローラ(ガイド部材)7が当接される。ガイドローラ7は、ケース30に固定した軸8を中心に自在に回転できる。
【0050】
尚、ガイドローラ7は、湾曲した板形状部材あるいは先端側が凸曲面形状の板部材でも良い。また、ガイドローラ7は4つ配設されているが、ピニオンギヤ6とベルトラック43との噛合い位置のベルトラック43の外面上下に各1つ配設しても良い。
【0051】
次に、人体局部洗浄装置1の作動について説明する。
【0052】
係止解除機構L1の係止状態は、圧縮ばね16の底部14aから開口部14b方向の復元力により空洞部11に一部が突出したロック部材15と、おしり洗浄ノズル10の先端側の先端側内壁10cとの間に形成され空間10dにロックキー41が収納された状態である。係止解除機構L1の係止解除状態は、ロックキー41の
図1における右方向(以下、後退方向)の押圧により圧縮ばね16の底部14aから開口部14b方向の付勢力に抗して、ロック部材15の突出部分の一部がロック部材収容部14に押し込まれ、ロックキー41がロック部材15を通過可能な状態である。
【0053】
同様に、係止解除機構L2の係止状態は、圧縮ばね26の底部24aから開口部24b方向の復元力により空洞部21に一部が突出したロック部材25と、ビデ洗浄ノズル20の先端側の先端側内壁20cとの間に形成され空間20dにロックキー42が収納された状態である。係止解除機構L2の係止解除状態は、ロックキー42の後退方向の押圧により圧縮ばね26の底部24aから開口部24b方向の付勢力に抗して、ロック部材25が突出部分の一部がロック部材収容部24に押し込まれ、ロックキー42がロック部材25通過可能な状態である。
【0054】
図4は、
図1のビデ洗浄ノズルが人体局部洗浄位置にある状態を示す図である。
図5は、
図1の各洗浄ノズル10、20がノズル収容部31、32に収容された状態からビデ洗浄ノズル20が洗浄位置(
図4)に至る一連((過程1)〜(過程5))の作動を示す説明図である。(過程1)〜(過程5)は以下の通りである。
【0055】
(過程1)
図1、
図5に示すように、ステッピングモータ5は停止状態であり、各洗浄ノズル10、20がノズル収容部31、32に収容され、係止解除機構L1、L2は、ロックキー41、42とロック部材15、25との隙間X
1を持って係止状態にある。そして、圧縮ばね16、26の長さは略自由長のY
0に保持され、ロック部材15、25には圧縮ばね16、26の付勢力は殆ど作用していない。
【0056】
ロックピン19、29の先端19a、29aの球面は、ロック部材15、25の傾斜面15a、25aに当接し、他端19b、29bは間隙X
2を持ってストッパ33、34に対面している。
【0057】
尚、各隙間X
1、X
1は互いに異なった距離でも良く、また、各隙間X
2、X
2も互いに異なった距離でも良い。
【0058】
(過程2)
ステッピングモータ5(
図1)が駆動され、ピニオンギヤ6の矢印R
1方向の回転により、ロックキー41は距離X
1(
図5((過程1))後退し、ロックキー42は距離X
1、
図5における左方向に移動(以後、前進)する。ロックキー42は、ピニオンギヤ6とベルトラック43とを介して伝達されるステッピングモータ5の駆動力で、先端側内壁20cを押圧しながらビデ洗浄ノズル20を距離X
1前進させる。この間、ロックピン29もビデ洗浄ノズル20と一緒に距離X
1前進し、ロック部材25は
図5における上下方向に移動せず、圧縮ばね26の長さY
0が保持される。
【0059】
一方、ロックキー41は、距離X
1後退してロック部材15に係合するが、この間、おしり洗浄ノズル10とロックピン19は移動せず(過程1)の状態が保持される。
【0060】
(過程3)
ピニオンギヤ6の矢印R
1方向のさらなる回転により、ロックキー41は距離X
2(
図5((過程2))後退し、ロックキー42は距離X
2前進する。これにより、おしり洗浄ノズル10とロックピン19は共に距離X
2後退され、先端19bがストッパ33に当接して、ロックキー41は係止解除直前状態になる。ビデ洗浄ノズル20とロックピン29は共に距離X
2前進するが、ロック部材25とロックピン29およびロックキー42との位置関係は(過程2)の状態が保持された状態となる。
【0061】
(過程4)
図6の(a)と(b)は、それぞれ
図5のC部とD部の拡大図であり、(過程3)と(過程4)とのロック部材15の位置関係の説明図である。
図5、
図6に示すように、ピニオンギヤ6の矢印R
1方向の回転に基づくロックキー41の後退により、ロック部材15は圧縮ばね16の付勢力に抗して傾斜面15aがロックピン19の先端19aに当接しながら、
図5、
図6における上向へ距離(Y
0−Y
1)移動すると共に、おしり洗浄ノズル10が距離X
3後退して、ロック部材15の先端15bがロックキー41の先端41aの位置に移動する。これにより、ロックキー42の先端41aがロック部材15の先端15bを通過できるようになり、係止解除機構L1が係止解除される。
【0062】
一方、ロックキー42は先端側内壁20cを押圧して、ビデ洗浄ノズル20とロックピン29とを共に距離X
3前進させる。
【0063】
尚、Y
1は係止解除機構L1、L2の係止解除状態での圧縮ばね16、26の長さであり、係止解除状態おけるロック部材15、25のロック部材収容部14、24の底部14a、24aからの位置でもある。Y
0は、係止解除機構L1、L2の係止状態での圧縮ばね16、26の長さであり、係止状態におけるロック部材15、25のロック部材収容部14、24の底部14a、24aからの位置でもある。
【0064】
距離X
3は、ロックピン19の両端19a、19bがそれぞれロック部材15の傾斜面15aとストッパ33に当接した状態において、ロック部材15が距離(Y
0−Y
1)上向へ移動するために後退する距離である。即ち、距離X
3は、
図5(過程3)の位置にあるロックキー41の先端41aと、先端41aから後退方向の直線とロック部材15の傾斜面15aとの交点Eとの間の距離に相当する(
図6(a))。
【0065】
(過程5)
係止解除機構L1の係止解除と、ピニオンギヤ6の矢印R
1回転により、ロックキー41の先端41aが(過程4)の位置からロック部材15を通過し始める。この時、圧縮ばね16の付勢力により、ロック部材15には
図5における下向の力が作用して、おしり洗浄ノズル10を前進させ元の位置に戻そうとするが、おしり洗浄ノズル10とノズル収容部31との間の摩擦力により、おしり洗浄ノズル10の前進が阻止される。これにより、ロック部材15の摺動方向の位置は(過程4)の状態が保持され、ロックキー41がロック部材15を通過する。
【0066】
そして、ロックキー41がノズル収容部31の先端31aから所定位置S
0に至るまでピニオンギヤ6の矢印R
1方向の回転が継続される。これにより、ロックキー41は、(過程4)の位置から距離X
4後退する。一方、ビデ洗浄ノズル20とロックピン29は共に隙間X
4前進し、ビデ洗浄ノズル20は人体局部洗浄位置に至るが、おしり洗浄ノズル10とロックピン19は停止している。
【0067】
尚、
図5の(過程5)に示される一点鎖線は、(過程4)の位置にあるロックキー41を示す。
【0068】
図7は、人体局部洗浄位置にあるビデ洗浄ノズル20がノズル収容部32に収容される一連((過程6)〜(過程10))の作動を示す説明図である。
【0069】
(過程6)
人体局部の洗浄が終了され、人体局部洗浄位置にあるビデ洗浄ノズル20がノズル収容部32に収容開始される前の状態である。ステッピングモータ5は停止されており、各洗浄ノズル10、20、ロック部材15、25、ロックピン19、29、およびロックキー41、42は、(過程5)と同じ位置にあり、ロック部材25とロックキー42との隙間はX
1である。
【0070】
(過程7)
ステッピングモータ5が運転され、ピニオンギヤ6が矢印R
1方向に対して反対のR
2方向(
図4)に回転される。この回転により、ロックキー42は、ロック部材25とロックキー42との隙間X
1(
図7(過程6))の距離後退して、ロック部材25に係合する。一方、ロックキー41は距離X
1前進する。この間、各洗浄ノズル10、20、ロック部材15、25、およびロックピン19、29は停止している。
【0071】
(過程8)
係止解除機構L1は係止解除状態であるので、ピニオンギヤ6のR
2方向の回転により、ロックキー41が距離X
5前進すると、ロックキー41はロック部材15を通過して、空間10dに入り、先端側内壁10cに当接する。
【0072】
一方、係止解除機構L2は係止状態であるので、ロックキー42は、ピニオンギヤ6とベルトラック43を介して伝達されたステッピングモータ5の駆動力でロック部材25を押圧しながら、距離X
5後退する。これにより、ビデ洗浄ノズル20とロックピン29も共に距離X
5後退する。
【0073】
(過程9)
ピニオンギヤ6のR
2方向の回転により、ロックキー41はステッピングモータ5の駆動力でおしり洗浄ノズル10の先端側内壁10cを押圧しながらさらに距離X
3前進する。この間、ロック部材15の傾斜面15aがロックピン19の先端19aの球面に当接しながら、圧縮ばね16の復元力により
図7における下方に距離(Y
0−Y
1)移動して、ロック部材15が係止解除位置Y
1から係止位置Y
0に戻る。この時点で係止解除機構L1が係止状態に入る。
【0074】
ロックキー42は、ステッピングモータ5の駆動力でロック部材25を押圧しながら、距離X
3後退する。これにより、ビデ洗浄ノズル20とロックピン29は、共に距離X
3後退する。この時点で、ノズル収容部32の先端32aとビデ洗浄ノズル20の先端20aとの距離はX
3になる。
【0075】
(過程10)
ロックキー42は、ステッピングモータ5の駆動力でロック部材25を押圧しながら、距離X
6(
図7(過程9))後退して、ビデ洗浄ノズル20の先端20aとノズル収容部32の先端32aとが合うように、ビデ洗浄ノズル20をノズル収容部32に収容すると、ステッピングモータ5が停止される。
【0076】
ロックキー41は、ステッピングモータ5の駆動力で先端側内壁10cを押圧しながらおしり洗浄ノズル10を距離X
6前進させる。これにより、ビデ洗浄ノズル10の先端10aはノズル収容部31の先端31a内側の僅かに手前で停止される。
【0077】
以上により、ビデ洗浄ノズル20はノズル収容部32に収納され、各洗浄ノズル10、20は、
図1に示すノズル収容部31、32と略同じ位置に収容される。また、ロックキー41、42も、
図1と同じように、それぞれ係止解除機構L1、L2の係止状態に戻る。
【0078】
おしり洗浄ノズル10の人体局部洗浄位置への前進作動と、人体局部洗浄位置からノズル収容部31への収容の後退作動は、ビデ洗浄ノズル20と同様に行われる。
【0079】
前述の作動により、人体局部洗浄位置へ移動したおしり洗浄ノズル10またはビデ洗浄ノズル20は、各洗浄水流路12、22を流通して各噴出孔13、23から噴出する洗浄水で人体局部を洗浄する。洗浄を終えたおしり洗浄ノズル10またはビデ洗浄ノズル20は、前述の作動により、ノズル収容部31、32に収容される。
【0080】
尚、人体局部洗浄装置1は、水平に対して傾斜して設置しても良く、この場合、各洗浄ノズル10、20とノズル収容部31、32との間の摩擦力により、各洗浄ノズル10、20の重力に基づく移動は阻止される。
【0081】
以上の構成と作用による効果について説明する。
【0082】
おしり洗浄ノズル10の洗浄水流路13から噴出する洗浄水で人体局部を洗浄する際、汚水や汚物が周囲に飛び散り、おしり洗浄ノズル10の便器内に露出されている外面には汚水や汚物が付着する。しかし、ロックキー41とロックキー41側のベルトラック43は、おしり洗浄ノズル10の先端が閉じられた空洞部11に挿入されているので、ロックキー41とロックキー41側のベルトラック43への汚水や汚物の飛散は阻止される。ビデ洗浄ノズル20のロックキー42とロックキー42側のベルトラック43についても同様である。
【0083】
また、各洗浄ノズル10、20を出入り(進退)可能に収容するノズル収容部31、32を備えている。これにより、人体局部洗浄位置にある各洗浄ノズル10、20をノズル収容部31、32に引き込むときに、人体局部洗浄の際に各洗浄ノズルの外面に付着した汚水や汚物は、ノズル収容部の引き込み口の先端31a、32aで離脱される。結果、ノズル収容部31、32には、汚水や汚物が溜まり難い。
【0084】
以上により、人体局部洗浄の際に飛び散る汚水や汚物の押出部材40への付着が防止でき、汚水や汚物の付着による作動不良やロックが起り難く、且つ清浄性、清掃性が良好な人体局部洗浄装置1を提供できる。
【0085】
また、おしり洗浄ノズル10とビデ洗浄ノズル20とが略平行に配置されると共に、出部材40の中間部40cが略180°曲げられ、ロックキー41とロックキー42とが略平行になるように配置される。さらには、曲げられた押出部材40の間に駆動部4が配備される。従って、人体局部洗浄装置1の洗浄ノズル進退方向に直交する方向の長さが短縮される。
【0086】
また、ベルトラック43の両端にロックキー41とロックキー42と、を備えた押出部材40の中間部40cが曲げられるので、人体局部洗浄装置1の洗浄ノズル進退方向の長さが短縮される。
【0087】
また、ロックキー41とロックキー42はベルトラック43の両端側に設けられるので、一つの駆動部でロックキー41とロックキー42を進退動できる。これにより、ロックキー41とロックキー42の一方で先端側内壁10cまたは20cを押圧して、おしり洗浄ノズル10またはビデ洗浄ノズル20を人体局部洗浄位置に押出せるので、人体局部洗浄装置1の構成が簡素になる。
【0088】
一つの駆動部4でロックキー41を後退させることにより、ロックキー41の先端41aを係止部15に係止させ、おしり洗浄ノズル10を人体局部洗浄位置からノズル収容部31内へ収容でき、ビデ洗浄ノズル20も同様である。従って、各洗浄ノズル10、20をノズル収容部31、32内へ収容させる機構が簡素になる。
【0089】
また、おしり洗浄ノズル10とビデ洗浄ノズル20は、それぞれロック部材15、25の係止を解除する係止解除機構L1、L2を備えている。これにより、例えば、ノズル収容部31に収容されているおしり洗浄ノズル10の係止解除機構L1が解除されている場合は、ロックキー41の先端41aは後退してもロック部材15を通過できる。従って、おしり洗浄ノズル10のノズル収容部31内で停止状態を維持しつつ、ロックキー41はロック部材15を通過して、空洞部11内で後退できる。ロックキー41が後退すると、ロックキー42が前進され、ビデ洗浄ノズル20を押圧して、ノズル収容部32内のビデ洗浄ノズル20を人体局部洗浄位置へ移動させる。結果、ノズル収容部31の長さは、上述のロックキー41の略後退距離、即ち、ビデ洗浄ノズル20のノズル収容部32の位置から人体局部洗浄位置への略移動距離分、短縮できる。同様に、ノズル収容部32の長さも短縮できる。
【0090】
以上により、人体局部洗浄装置1は小型になり、人体局部洗浄装置1の設置空間も小さくなる。
【0091】
また、1つの駆動部4により、おしり洗浄ノズル10とビデ洗浄ノズル20を出し入れできるので、駆動部4を駆動および制御する電子回路をも含めた構成部品数が減少され、人体局部洗浄装置1は低コストになる。
【0092】
さらに、ベルトラック43の両端側は、各洗浄ノズル10、20の先端が閉じられた空洞部11、21に挿入されているので、人体局部洗浄の際に、便器内に露出されず、人体局部洗浄装置1は見栄えが良い。
【0093】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係る人体局部洗浄装置の説明図である。
図8において、
図1の実施形態1と同じ形状の部品および部位は、
図1と同じ符号を付す。
図1の人体局部洗浄装置1では押出部材40を一つ配備しているが、人体局部洗浄装置2は、おしり洗浄ノズル10側の押出部材50とビデ洗浄ノズル20側の押出部材51と、が配備される。
【0094】
押出部材50は、ベルトラック52と、ベルトラック52の一端に設けたロックキー(第一ノズル押出部)41とで構成される。そして、押出部材50のロックキー41を備えた一端側50aが、おしり洗浄ノズル10の空洞部11に挿入される。
【0095】
同様に、押出部材51は、ベルトラック53と、ベルトラック53の一端に設けたロックキー(第二ノズル押出部)42とで構成される。そして、押出部材51のロックキー42を備えた一端側51aが、ビデ洗浄ノズル20の空洞部21に挿入される。
【0096】
ベルトラック52と、ベルトラック53は、ステッピングモータ5に接続したピニオンギヤ6を挟んで互いに歯が対面するように配置される。そして、ピニオンギヤ6とベルトラック52、53とが噛合うと共に、ベルトラック52、53を各洗浄ノズル10、20の進退方向に略平行に進退動可能にするため、ベルトラック52、53の歯の反対側の面には、ガイドローラ7が噛合部分を跨いで当接される。
【0097】
また、各洗浄ノズル10、20を収容するノズル収容部31、32を備えたケース30の長さを短縮するため、ベルトラック52、53のロックキー41、42に対して反対側の端部側は湾曲される。
【0098】
他の構成は、
図1の人体局部洗浄装置1と同じであり、作動および効果も人体局部洗浄装置1と同じである。
【0099】
(実施形態3)
図9は、実施形態3に係る人体局部洗浄装置の説明図であり、係止解除機構が係止解除状態である。
図9において、
図1の実施形態1と同じ形状の部品および部位は、
図1と同じ符号を付す。
【0100】
人体局部洗浄装置3の係止解除機構L3、L4は、吸引部材63、64とロック部材(係止部)72、77との間の相互関係によって生じる磁力によって係止解除される。係止解除機構L3は、ノズル収容部61に設けた吸引部材63と、おしり洗浄ノズル(洗浄ノズル、第一洗浄ノズル)70に設けた段付穴(ロック部材収容部、係止部用収容部)71と、段付穴71に摺動可能に設けられたロック部材72と、例えば皿ばね等の圧縮ばね(付勢力)73と、により構成される。吸引部材63の固定位置は、ノズル収容部61におしり洗浄ノズル70が収容された状態において、段付穴71の中心と吸引部材63の中心とが、略一致する。そして、ロック部材72は、係止解除機構L3の係止解除状態において、圧縮ばね73の付勢力により段付穴71の段部71aに当接する鍔部72aを備える。
【0101】
吸引部材63とロック部材72は、少なくともいずれか一方が磁気を発生し、他方は磁気によって吸引される部材である。例えば、吸引部材63は、ロック部材72の摺動方向に磁化された永久磁石また電磁石で、ロック部材72は磁性材からなる。
【0102】
同様に、係止解除機構L4は、ノズル収容部62に固定した吸引部材64と、ビデ洗浄ノズル(洗浄ノズル、第ニ洗浄ノズル)75の段付穴(ロック部材収容部、係止部用収容部)76と、段付穴76に摺動可能に設けられたロック部材77と、例えば皿ばね等の圧縮ばね(付勢力)78と、により構成される。吸引部材64の固定位置は、ビデ洗浄ノズル75がノズル収容部62に収容された状態において、段付穴76の中心と吸引部材64の中心とが、略一致する。そして、ロック部材77は、係止解除機構L4の係止解除状態において、圧縮ばね78の付勢力により段付穴76の段部76aに当接する鍔部77aを備える。吸引部材64とロック部材77は、少なくともいずれか一方が磁気を発生し、他方は磁気によって吸引される部材である。例えば、吸引部材64は、ロック部材77の摺動方向に磁化された永久磁石または電磁石で、ロック部材77は磁性材からなる。
【0103】
おしり洗浄ノズル70、ビデ洗浄ノズル75には、先端70a、75aが閉じられ、他端70b、75bが開口された空洞部74、79がそれぞれ設けられる。そして段付穴71、76の小径側は、ロック部材72、77が空洞74、79に突出できるように、それぞれ空洞部74、79に開口される。
【0104】
押出部材40のロックキー(第一ノズル押出部)41を備えた一端側40aはおしり洗浄ノズル70の空洞部74に挿入され、ロックキー(第二ノズル押出部)42を備えた他端側40bはビデ洗浄ノズル75の空洞部79に挿入される。
【0105】
ノズル収容部61、62は、それぞれ、おしり洗浄ノズル70、ビデ洗浄ノズル75が出し入れできるように先端61a、62aが開口され、ノズル収容部61とノズル収容部62によりケース60が構成される。他の構成は、
図1の人体局部洗浄装置1と同じである。
【0106】
ピニオンギヤ6のR1方向の回転により、おしり洗浄ノズル70を人体局部洗浄位置からノズル収容部61に収容する際に、ロックキー41が係止解除機構L3の係止状態のロック部材72を押圧する。これにより、おしり洗浄ノズル70のロック部材72の中心は、ノズル収容部61の吸引部材63の中心近傍に引き込まれる。すると、吸引部材63とロック部材72との間の磁力の相互作用により、ロック部材72が圧縮バネ力73の付勢力に抗して吸引部材63に吸引され、
図9における上方に移動し、係止解除機構L3が解除される。そして、ピニオンギヤ6のR1方向のさらなる回転により、ロックキー41の先端41aがロック部材72を通過して、ロックキー41が空洞部74内で後退する。
【0107】
係止解除機構L3によるロック部材72の係止解除状態において、ピニオンギヤ6のR2方向の回転により、ロックキー41はロック部材72より
図9における右側にある位置から左側に前進して、ロック部材72を通過する。そして、おしり洗浄ノズル70の先端側内壁70aに当接し、ロックキー41が先端側内壁70aを押圧して、ロック部材72の中心が吸引部材63から遠ざかる位置に前進する。すると、圧縮バネ力73の付勢力が磁気による吸引力に打ち勝ち、ロック部材72の鍔部72aが段付穴71の段部71aに当接して、係止解除機構L3が係止状態になる。
【0108】
また、係止解除機構L4は、係止解除機構L3と同様に作動する。人体局部洗浄装置3の他の作動は、人体局部洗浄装置1と同じである。
【0109】
尚、ロック部材72、77は、吸引部材63、64の磁力によりに吸引されるので、実施形態1のロック部材15、25の傾斜面15a、25a(
図1)を設けなくて良く、例えば、傾斜面に代わって、ロックキー41、42の移動方向に平行な面でも良い。
【0110】
以上により、人体局部洗浄装置3は、人体局部洗浄装置1と同じ効果を生じると共に、さらに、以下の効果が生じる。
【0111】
即ち、
図1のロックピン19、29とストッパ33、34が不要になるので、人体局部洗浄装置3は、人体局部洗浄装置1に比べて、洗浄ノズルの進退方向の長さが短縮できる。
【0112】
また、係止解除機構L3、L4は、磁力によりロック部材72、77を吸引して係止解除を行うので、各洗浄ノズル70、75と、ノズル収容部61、62との間の摩擦力に依存せずに係止解除状態を維持できる。