【実施例1】
【0022】
図1に示すように、貯湯式ヒートポンプ式給湯装置1は、貯湯タンクユニット2と、ヒートポンプ式熱源機3と、配管類6,7,8,9a,9b,10と、主制御部11などを有する。
【0023】
図1、
図2に示すように、貯湯タンクユニット2は、縦長筒状の外周面を有する貯湯タンク12と、この貯湯タンク12の外面側を覆う保温材13と、貯湯タンク12と保温材13を収容可能な外装ケース14とを備えている。貯湯タンク12は、ヒートポンプ式熱源機3で加熱された高温の温水を貯留するものであり、耐腐食性に優れたステンレス製の板材で構成され、半球状に形成された上下1対のタンク上部及びタンク下部と、縦長の円筒状のタンク胴部とが溶接により一体化されている。
【0024】
タンク12の下端部には、水道管などの給水管7と温水循環用配管9aに接続される下部配管8が接続されている。給水管7には、貯湯タンク12へ水道水を補充する為の開閉弁15が設けられており、開閉弁15が開いて水道水を貯湯タンク12内に補充するようになっている。その貯湯タンク12から液送ポンプ16を介して温水(貯留水)が下部配管8、温水循環用配管9aを通りヒートポンプ式熱源機3に送られる。ヒートポンプ式熱源機3で加熱された温水は温水循環用配管9bへ流れる。
【0025】
タンク12の上端部には、温水循環用配管9bと出湯用配管6に接続される上部配管10が接続されている。上部配管10には開閉弁17が設けられている。開閉弁15, 17を開くと、貯湯タンク12内に貯留された高温の温水(例えば、80〜90℃)を上部配管10に供給することができる。
【0026】
保温材13は、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン等の樹脂を発泡成形した発泡断熱材で構成され、貯湯タンク12の外面側を覆って貯湯タンク12に貯留された温水の温度低下を防ぐ断熱機能を有する。
【0027】
保温材13には、タンク軸方向に複数の収容凹部が所定間隔おきに形成されている。これら複数の収容凹部には、複数の温度センサ31〜34が高さ方向所定間隔おきの位置に配置されている。温度センサ31〜34は主制御部11に接続されており、温度センサ31〜34の温度検出信号が主制御部11に供給される。
【0028】
外装ケース14は、薄鋼板製で貯湯タンク12の軸心方向に所定の長さを有する断面矩形の直方体の箱状に形成され、4つの側板部(つまり、左右の側板部、前後の側板部)と、上面板(天板)と、下面板とから構成されている。
【0029】
ヒートポンプ式熱源機3は、炭化水素系などの冷媒の循環流通経路上に、蒸発器としての空気熱交換器18と、送風モータ19aで駆動される送風機19と、圧縮機20と、凝縮器としての温水加熱用熱交換器21と、高圧の冷媒を急膨張させて圧力を下げる膨張弁22とが順次接続されたヒートポンプ回路23と、主制御部11に接続された補助制御部24と、これらを収納する外装ケース25とを備えている。
【0030】
ヒートポンプ式熱源機3において、圧縮機20を駆動することにより高圧まで圧縮された加熱状態の冷媒は、温水加熱用熱交換器21に送られ、液送ポンプ16の駆動によりタンク12の下端部から下部配管8を経て温水循環用配管9aに流入した温水又は水と熱交換してその温水又は水を暖め、加熱された温水が温水循環用配管9b、上部配管10を通って貯湯タンクユニット2の貯湯タンク12に貯留され、ヒートポンプ式熱源機3を経由する加熱動作を繰り返すことで貯湯タンク12に高温の温水が貯留される。
【0031】
補助制御部24は、主制御部11との間でデータ通信可能であり、主制御部11からの指令に従ってヒートポンプ回路23の各種機器(送風モータ19a、圧縮機20など)の動作制御を実行する。温水加熱用熱交換器21の出口側部分において、温水循環用配管9bには、温水温度を検知するための温度センサ26が設けられ、その検出信号が主制御部11に供給されている。補助制御部24は、温水の加熱温度が主制御部11から指示された温度となるまで、ヒートポンプ式熱源機3を作動させる。
【0032】
ユーザによる給湯操作が行われると、貯湯タンク12に貯留された温水が出湯用配管6に流れ、その温水と給水管7から供給される水道水とが混合弁27で混合され、所定の温度となって蛇口などの給湯栓4に給湯される。混合弁27の上流部、下流部、給水管7の途中部には、夫々、温水温度又は入水温度を検知するための温度センサ28〜30が設けられ、これら温度センサ28〜30の検出信号が主制御部11に供給されている。主制御部11は、これら温度センサ28〜30で検知された温度検知データに基づいて、混合弁27を制御して温水と水の混合比を調節することで給湯する温水の温度を調整する。
【0033】
主制御部11は、ユーザが操作可能な操作リモコン35との間でデータ通信可能であり、ユーザによる操作リモコン35のスイッチ操作により目標給湯温度が設定されると、その目標給湯温度データが操作リモコン35から主制御部11に送信される。主制御部11は、給湯動作時には、目標給湯温度データ及び温度センサ31〜34からの温度検知データに基づいて、ヒートポンプ式熱源機3で温水を加熱する加熱温度を決定し、補助制御部24にその加熱温度を指示する。
【0034】
次に、本願特有の外装ケース25の構造について説明する。
外装ケース25は、薄鋼板製で縦長の断面矩形の直方体の箱状に形成され、左右1対の側板部36と、前側板部37と、後側板部38と、上板部(天板部)40と、底板部41とで構成されている。
【0035】
図2〜
図4に示すように、底板部41は、下端開放状の凹入部42が形成された平面視横長矩形の箱形部41aと、底壁部41bとを備え、これら箱形部41aと底壁部41bとがプレス成形により一体品に構成されている。箱形部41aは、上壁部43と、上壁部43の前後両端から略直角に下方に屈曲され所定長さ延びる前壁部44及び後壁部(図示略)と、上壁部43の左右両端から略直角に下方に屈曲され所定長さ延びる左右1対の側壁部45とを備えている。
【0036】
底壁部41bは、箱形部41aの壁部44,45の下端に連なり、凹入部42の開口部42aの外周側にフランジ状に形成されている。尚、上壁部43と4つの壁部44,45とをプレス成形にて一体成形したものを底壁部41bの上面に溶接して形成してもよい。
【0037】
底板部41において、凹入部42は、横長矩形状の開口部42aから上方へ向かって所定の深さを有し、この凹入部42には、温水加熱用熱交換器21と、温水加熱用熱交換器21を覆う保温材47とが収容されている。凹入部42は、温水加熱用熱交換器21の運転時における振動音を抑制する保護カバーとしての機能も有する。
【0038】
保温材47は、上下に2分割された1対の分割体47a,47bで構成され、それらの内部には、温水加熱用熱交換器21を収容する収容凹部が形成されている。保温材47は、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン等の樹脂を発泡成形した発泡断熱材で構成されている。
【0039】
上壁部43には、前記凹入部42に連通した開口部43aが設けられている。温水加熱用熱交換器21の複数の接続配管21aは、前記の開口部43aから上方へ延びて、圧縮機20と接続する冷媒循環用配管23a(内部配管)に接続されている。底板部41の右側の底壁部41bの上には、圧縮機20等が配置されている。
【0040】
底板部41の上壁部43には、送風機19を支持する支持板48を固定する為の固定部材49がビスで固定されている。支持板48は、上下方向に所定の長さを有する本体板部48aと、本体板部48aの上端部から直角に後方に屈曲された上板部48bと、本体板部48aの下端部から直角に前方に屈曲された底板部48cとを備えている。
【0041】
送風機19は、送風モータ19aを介して支持板48の本体板部48aの中段部分に取り付けられ、上板部48bが外装ケース25の後側板部38の上端部に固定され、底板部48cが前記の固定部材49に固定されている。送風機19の背面と左側面に亙る平面視にてL形の空気熱交換器18が底壁部41bの上に装備されている。
【0042】
底壁部41bの下面の左右両端部分には、前後方向に所定の長さを有する左右1対の金属製の支持脚49a,49bがビスで固定されている。これら1対の支持脚49a,49bを所定のコンクリート製の設置台51の据え付け面51aに設置することにより、ヒートポンプ式熱源機3が設置台51の据え付け面51aに据え付けられる。
【0043】
底板部41の凹入部42の下側には、保温材47を介して温水加熱用熱交換器21の下面側の大部分を覆う薄鋼板製の下カバー50が設けられている。この下カバー50は横長矩形の平板状に形成されている。下カバー50の左右方向の長さは、凹入部42の左右長よりも僅かに小さく設定されている。下カバー50の前後方向の長さは 凹入部42の前後長よりも大きく設定されている。下カバー50の前端部と後端部は、底壁部41bの開口部42aの前側及び後側周縁近傍部に形成された複数のビス孔に複数のビスで固定されている。温水加熱用熱交換器21は、保温材47を介して下カバー50の上に載置されている。
【0044】
図4に示すように、ヒートポンプ式熱源機3を設置台51の据え付け面51aに据え付けた状態において、底壁部41bに固定された下カバー50の左右両端部と底壁部41bとの間に僅かな隙間52が形成され、温水加熱用熱交換器21が運転停止状態のとき、温水加熱用熱交換器21に滞留された炭化水素系の冷媒が温水加熱用熱交換器21から漏洩して気化したとしても、その冷媒ガスが上記の隙間52から地面側へ流れるように構成されている。そのため、外装ケース25内に冷媒ガスが流入して滞留することがない。
【0045】
以上説明したヒートポンプ式熱源機3の作用効果について説明する。
貯湯式ヒートポンプ式給湯装置1においては、夜間割引の安価な電力を利用して、ヒートポンプ式熱源機3の各種機器(送風モータ19a、圧縮機20など)を駆動して、ヒートポンプ式熱源機3で一日に必要な量の温水を作り、その蓄熱した高温の温水を貯湯タンク12に貯留しておき、出湯する際、高温の温水と水道水とを混合して、ユーザの欲する所望の温度にして、蛇口や風呂などの給湯先に給湯する。
【0046】
外装ケース25は底板部41と4つの側板部36〜38と天板部40とを有し、底板部41は下端開放状の凹入部42が形成された箱形部41aを有し、この凹入部42に温水加熱用熱交換器21と保温材47を配置したので、温水加熱用熱交換器21の運転停止状態のとき、温水加熱用熱交換器21に滞留された可燃性の炭化水素系の冷媒が温水加熱用熱21から漏洩して気化したとしても、その冷媒ガスが底板部41の凹入部42の下端の左右の隙間52から地面側に流れるため、冷媒ガスが外装ケース25内に流入して滞留することがない。
【0047】
また、ヒートポンプ式熱源機3を分解して温水加熱用熱交換器21を分別廃棄する場合、凹入部42の下側から温水加熱用熱交換器21だけを取り外すことができるため、温水加熱用熱交換器21を分別廃棄する為の外装ケース25からの温水加熱用熱交換器21の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0048】
更に、凹入部42に温水加熱用熱交換器21と保温材47を配置したので、上部から温水加熱用熱交換器21に容易にアクセスすることができないため、上部からのいたずら等による温水加熱用熱交換器21の損傷を確実に防止することができる。
【0049】
底板部41の上壁部43に開口部43aを設け、温水加熱用熱交換器21の接続配管21aは、前記の開口部43aから上方へ延びて冷媒循環用配管23aに接続されたので、空気よりも重い冷媒ガスが開口部43aから外装ケース25内へ漏出するのを確実に防止することができる。
【0050】
凹入部42の上壁部43には、送風機19を支持する支持板48を固定する為の固定部材49が設けられたので、送風機19の取り付け位置を低くして、外装ケース25の小型化を図ることができる。また、底板部41に一体化された強度のある箱形部41aの凹入部42の上壁部43に固定部材49が設けられたので、固定部材49により送風機19を安定した状態で支持板48を介して固定することができると共に、送風機19の運転時の振動を抑制することができる。
【0051】
凹入部42の下側に、温水加熱用熱交換器21の下面側を覆う下カバー50を設け、ヒートポンプ式熱源機3を据え付けた状態では、下カバー50と底板部41との間に隙間52が形成されているので、温水加熱用熱交換器21から冷媒が漏洩して気化したとしても、その冷媒ガスが上記の隙間52から地面側へ流れるため、冷媒ガスが外装ケース25内へ漏出して滞留するのを確実に防止することができる。
【実施例2】
【0052】
次に、上記のヒートポンプ式熱源機3を部分的に変更した実施例2について説明するが、実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成要素について説明する。
【0053】
図5に示すように、ヒートポンプ式熱源機3Aの下カバー50Aは、実施例1の下カバー50と同サイズ同形状のものであり、その下面の左右両端寄り部分には、前後方向に所定の長さを有する左右1対の支持脚53a,53bが設けられている。下カバー50Aは、底板部41とは別個独立に1対の支持脚53a,53bを介して設置台51の据え付け面51aに支持されている。
【0054】
これら1対の支持脚53a,53bは、支持脚49a,49bと同サイズ同形状に形成されている。下カバー50Aの下面に複数の支持脚53a,53bを設け、下カバー50Aは底板部41とは独立に支持脚53a,53bを介して据え付け面51aに支持されるので、温水加熱用熱交換器21と保温材47を安定させた状態で凹入部42に配置することができる。また、温水加熱用熱交換器21の運転時における振動を抑制することができると共に、底板部41への振動伝達を抑制することができる。尚、下カバー50Aの長手方向向きに1又は複数の支持脚を設けてもよい。
【0055】
尚、前記実施例を次のように部分的に変更してもよい。
(1)前記底板部41における、箱形部41aと底壁部41bを一体的にプレス成形する代わりに、前記箱形部41aと底壁部41bを一体的に樹脂成形してもよい。
(2)下カバーで凹入部42の開口部42aを密閉する状態に形成して底壁部41bに固定し、その下カバーに凹入部42と連通する1又は複数の開口穴を設けてもよい。
【0056】
(3)その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記の実施例に種々の変更を付加して実施可能である。