(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなLocal SOI構造を有する半導体装置は以下の製造方法により作製される。最初に、
図1(a)に示されるように、シリコン(Si)基板410において、酸化シリコンにより形成されるSTI(Shallow Trench Isolation)411、ゲート電極412及びサイドウォール413が形成されていない領域におけるシリコンを除去する。具体的には、シリコン基板410において、STI411、ゲート電極412及びサイドウォール413が形成されている領域以外の領域のシリコンをLocal SOI構造を形成するための絶縁膜が形成される深さまでエッチングにより除去する。尚、ゲート電極412の直下には、ゲート絶縁膜419が形成されている。
【0006】
次に、
図1(b)に示されるように、シリコンの除去された領域において、エピタキシャル成長により、SiGe層414及びシリコン(Si)層415を順次形成する。このようにして、エピタキシャル成長によりシリコン層415を成膜することにより単結晶のシリコン膜を成膜することができる。尚、本願明細書においてSiGeはGeを含むSiを意味し、SiとGeの組成比が1:1ではないものも含む。また、Si及びGe以外に他の構成要素を有するものや、導電性を付与するドーパントを含有するものを含むものとする。
【0007】
次に、
図1(c)に示されるように、SiGe層414が形成されている深さまで、STI411を形成している酸化シリコンを除去する。即ち、SiGe層414の側面が露出するまで、STI411を形成している酸化シリコンを除去する。
【0008】
次に、
図2(a)に示されるように、SiGe層411のみをウエットエッチング等により選択的に除去し、シリコン基板410の基板面に対し略平行となる開口領域416を形成する。
【0009】
次に、
図2(b)に示されるように、開口領域416に絶縁膜417を形成し、更に、酸化シリコンが除去されたSTI411上に酸化シリコンからなるSTI絶縁膜418を形成する。このように形成されたSTI絶縁膜418を含む酸化シリコンによりSTI411が形成される。
【0010】
この後、シリコン層415にイオン注入を行なうことにより不純物拡散領域を形成し、シリコン層415上に不図示のドレイン電極及びソース電極を形成することにより、Local SOI構造を有する半導体装置を製造することができる。
【0011】
このようにして、Local SOI構造を形成するための絶縁膜は、開口領域416内に絶縁膜417を形成することにより形成されるものであるが、開口領域416は、
図3に示されるように、入口の幅Hに対し奥行き方向の長さWが長い形状で形成されている。例えば、開口領域416の入口の幅Hが50nmであるのに対し、奥行き方向の長さWが10μmとなるように形成されており、開口の幅に対する奥行き方向の長さ比率W/Hは200となる。尚、
図3は、
図2(a)における一点鎖線2A−2Bにおいて切断した断面図である。
【0012】
開口領域416における絶縁膜417の形成方法として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。
図4(a)にも示されるように、開口領域416内における絶縁膜417となる酸化シリコン膜421はCVD等による成膜により形成される。しかしながら、CVD等による成膜方法では、ステップカバレッジが良好ではないため、酸化シリコン膜421は開口領域416の入口付近では比較的厚く成膜されるが、開口領域416の奥では極めて薄く成膜される。このため、開口領域416の入口付近が成膜された酸化シリコン膜421により塞がれてしまい、開口領域416の内部には、酸化シリコン膜421の成膜に寄与する粒子が進入することができず、開口領域416の全体に絶縁膜417を形成することができない。
【0013】
また、
図4(b)に示されるように、シリコンの熱酸化により酸化シリコン膜422を形成する方法が考えられる。具体的には、開口領域416の側面を形成するシリコン基板410及びシリコン層415を熱酸化することにより絶縁膜417となる酸化シリコン膜422を形成する方法である。この方法においては、シリコンを熱酸化するための酸素は、開口領域416の入口から開口領域416の内部に入るため、開口領域416の入口付近のシリコンから酸化が始まる。よって、シリコンは酸化して酸化シリコンとなることにより体積が膨張することから、入口付近のシリコンが酸化され酸化シリコンが形成されることにより開口領域416の入口の幅は次第に狭まり、遂には酸化シリコンにより開口領域416の入口が塞がれてしまう。これにより、開口領域416の内部には、酸素が進入することができなくなるため、開口領域416の全体に絶縁膜417を形成することができない。
【0014】
このため、開口領域が絶縁膜により埋め込まれているLocal SOI構造を有する半導体基板を低コストで製造することのできる半導体基板の製造方法が望まれており、また、接合容量が低く、リーク電流の少ない半導体装置を低コストで製造することのできる半導体装置の製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本実施の形態の一観点によれば、第1の半導体からなる基板上に、結晶成長により第2の半導体からなる層及び前記第1の半導体からなる層を順次形成する半導体層形成工程と、前記第2の半導体からなる層を
側面よりエッチングにより除去し開口領域を形成する開口領域形成工程と、前記開口領域に、窒化物膜、炭化物膜又は酸化物膜を含む材料により形成される酸化遅延膜を前記開口領域の入口における膜厚が所定の膜厚となるように成膜する酸化遅延膜成膜工程と、前記第1の半導体からなる基板及び前記第1の半導体からなる層の前記第1の半導体の一部を熱酸化することにより、前記開口領域に熱酸化膜を形成する熱酸化工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、第1の半導体からなる基板にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、前記第1の半導体からなる基板において、ソース及びドレインが形成される領域の前記第1の半導体を所定の深さ除去する第1の半導体除去工程と、前記第1の半導体が除去された除去領域に、結晶成長により第2の半導体からなる層及び前記第1の半導体からなる層を順次形成する半導体層形成工程と、前記第2の半導体からなる層をエッチングにより除去し開口領域を形成する開口領域形成工程と、前記開口領域に、窒化物膜、炭化物膜又は酸化物膜を含む材料により形成される酸化遅延膜を前記開口領域の入口における膜厚が所定の膜厚となるように成膜する酸化遅延膜成膜工程と、前記第1の半導体からなる基板及び前記第1の半導体からなる層の前記第1の半導体の一部を熱酸化することにより、
前記開口領域に熱酸化膜を形成する熱酸化工程と、前記第1の半導体からなる層に不純物拡散領域を形成し、前記不純物拡散領域上にソース及びドレインを形成する電極形成工程と、を有
し、前記第1の半導体からなる基板には、絶縁体からなるSTI領域が形成されており、前記ゲート電極は、前記STI領域を除く領域に形成されているものであって、前記半導体層形成工程の後、前記STI領域における絶縁体を前記第2の半導体からなる層が形成されている領域まで除去する工程を有し、前記STI領域における絶縁体を除去する工程の後、前記開口領域形成工程を行なうことを特徴とする。
また、本実施の形態の他の一観点によれば、第1の半導体からなる基板にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、前記第1の半導体からなる基板において、ソース及びドレインが形成される領域の前記第1の半導体を所定の深さ除去する第1の半導体除去工程と、前記第1の半導体が除去された除去領域に、結晶成長により第2の半導体からなる層及び前記第1の半導体からなる層を順次形成する半導体層形成工程と、前記第2の半導体からなる層を側面よりエッチングにより除去し、前記第1の半導体からなる基板に略平行な開口領域を形成する開口領域形成工程と、前記開口領域に、窒化物膜、炭化物膜又は酸化物膜を含む材料により形成される酸化遅延膜を前記開口領域の入口における膜厚が所定の膜厚となるように成膜する酸化遅延膜成膜工程と、前記第1の半導体からなる基板及び前記第1の半導体からなる層の前記第1の半導体の一部を熱酸化することにより、前記開口領域に熱酸化膜を形成する熱酸化工程と、前記第1の半導体からなる層に不純物拡散領域を形成し、前記不純物拡散領域上にソース及びドレインを形成する電極形成工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
開示の半導体基板の製造方法及び半導体装置の製造方法によれば、Local SOI構造の半導体基板において、形成された開口領域を絶縁膜により略完全に埋め込むことができるため、信頼性の高いLocal SOI構造の半導体基板を低コストで提供することができる。また、このLocal SOI構造の基板を用いることにより、接合容量が低く、リーク電流の少ない半導体装置を低コストで提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0020】
〔第1の実施の形態〕
(半導体基板の製造方法)
本実施の形態における半導体基板の製造方法として、
図5及び
図6に基づき、Local SOI構造を有する半導体基板の製造方法について説明する。
【0021】
最初に、
図5(a)に示されるように、シリコン基板10上に、エピタキシャル成長によりSiGe層11及びシリコン(Si)層12を形成する。このようなエピタキシャル成長により形成されるシリコン層13は、単結晶膜である。尚、SiGe層11は厚さが50nmとなるように成膜されている。
【0022】
次に、
図5(b)に示されるように、SiGe層11の側面からウエットエッチング等を行なうことにより側面よりSiGe層11を除去し、幅Aとなる開口領域13を形成する。このように形成された開口領域13は、シリコン基板10及びシリコン層12と略平行となるように形成される。
【0023】
次に、
図5(c)に示されるように、シリコン層12の表面より、シリコン窒化膜、シリコン炭化膜、シリコン酸化膜等からなる酸化遅延膜14をCVDにより成膜する。CVD等による成膜方法では、成膜に寄与する粒子が回り込み成膜されるが、ステップカバレッジが良好ではないため、開口領域13の内部よりも入口部分の方が厚く成膜される。例えば、CVDによりシリコン層12の表面に窒化シリコンからなる酸化遅延膜14を膜厚Bが約20nmとなるように成膜した場合、開口領域13の入口の酸化遅延膜14の膜厚Cは約4nmとなる。尚、開口領域13では、酸化遅延膜14は、奥行き方向に行くに従い、より薄く形成される。また、酸化遅延膜14は、開口領域13の入口を塞ぐことがないように成膜されており、開口領域13の幅Aに対して、開口領域13の入口付近に成膜される酸化遅延膜14の膜厚Cが、A/2未満となるように成膜される。酸化遅延膜14としては、シリコン又は金属の窒化膜、炭化膜、酸化膜等が挙げられる。具体的には、窒化シリコン(Si
3N
4)、炭化シリコン(SiC)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ハフニウム(HfO
2)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、酸化ランタン(La
2O
3)、酸化イットリウム(Y
2O
3)等である。酸化遅延膜14の成膜方法としては、プラズマCVD、熱CVD、スパッタリング、真空蒸着等が挙げられる。また、上述の酸化防止膜成膜の前に、成膜ストレス低減を目的として、例えば3nmの酸化シリコン(SiO
2)を形成する酸化処理を行っても良い。
【0024】
次に、
図6(a)に示されるように、シリコンの熱酸化を行なう。熱酸化のための酸素ガス等は、開口領域13の入口より開口領域13の内部に入り込むが、開口領域13の入口付近では、酸化遅延膜14が厚く形成されているため、熱酸化の速度は遅い。これは、シリコン酸化のためには、酸素が酸化遅延膜14を通して拡散する必要があるが、厚く形成するため、拡散するための時間を要することに起因する。これに対し、開口領域13の奥では、酸化遅延膜14は、殆ど成膜されていないか、または極めて薄い膜であるため、熱酸化の速度は速い。従って、図に示されるように、開口領域13の奥の部分より入口方向に向かってシリコンの酸化が進行する。これにより、熱酸化による酸化シリコン膜15は、開口領域13の奥より入口に向かって開口領域13を埋め込むように形成される。
【0025】
次に、
図6(b)に示されるように、更にシリコンの熱酸化を行なうことにより、開口領域13の内部をすべて熱酸化による酸化シリコン膜15により略完全に埋めることができる。このようにして、酸化シリコン膜15を絶縁膜とするLocal SOI構造を有する半導体基板を作製することができる。このようにして作製されたLocal SOI構造を有する半導体基板においては、絶縁膜である酸化シリコン膜15には、酸化遅延膜14に含まれていた窒素成分等が内部に含まれている。また、本実施の形態においては、
図5(b)に示されるように、SiGe層11の側面よりエッチングを行なうものであるが、SiGe層11の側面は、あらかじめ形成されていた不図示のSTIを除去することによりSiGe層11の側面を露出させる方法でもよい。また、RIE(Reactive Ion Etching)等によりシリコン基板10の深さ方向にエッチングを行なうことによりSiGe層11の側面を露出させる方法であってもよい。
【0026】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について説明する。
【0027】
最初に、
図7(a)に示されるように、シリコン基板10に素子分離のための酸化シリコンからなるSTI領域21を形成する。
【0028】
次に、
図7(b)に示されるように、シリコン基板10の表面において、STI領域21が形成されていない領域にSiON膜22を0.3〜20nm形成する。具体的には、SiON膜22はNOガスを用いてシリコンの熱酸化及び熱窒化を行なうことにより形成する。尚、これ以外のSiON膜22の形成方法としては、最初にSiO膜を熱CVDにより成膜した後、窒素ガスを含む雰囲気中でプラズマ処理し、その後、750℃〜1100℃でアニールを行なうことにより形成する方法でもよい。
【0029】
次に、
図7(c)に示されるように、SiON膜22上に、シリコン膜23及び窒化シリコン膜24を成膜する。シリコン膜23は、熱CVD等によりポリシリコンまたはアモルファスシリコンを10nm〜200nm成膜することにより形成する。また、窒化シリコン膜24は、熱CVDにより窒化シリコンを5〜50nm成膜することにより形成する。尚、この窒化シリコン膜24は、エッチング加工においてハードマスクとして用いられるものであり、プロセス等によっては形成する必要がない場合がある。
【0030】
次に、
図8(a)に示されるように、レジストパターン25を形成する。具体的には、窒化シリコン膜24上にフォトレジストを塗布し露光装置による露光、現像を行なうことにより、後述するゲート電極を形成するためのレジストパターンを形成する。
【0031】
次に、
図8(b)に示されるように、レジストパターン25が形成されていない領域の窒化シリコン膜24、シリコン膜23、SiON膜22を除去する。具体的には、CF
4、CH
3F、Ar及びO
2をエッチングガスとして導入してRIEを行なうことにより、レジストパターン25の形成されていない領域の窒化シリコン膜24を除去する。次に、レジストパターン25の形成されていた領域の窒化シリコン膜24をマスクとして、CF
4、Cl
2及びN
2をエッチングガスとして導入してRIEを行なうことにより、窒化シリコン膜24の除去された領域におけるシリコン膜23を除去する。このエッチングにより残存するシリコン膜23がゲート電極となる。更に、レジストパターン25の形成されていた領域の窒化シリコン膜24をマスクとして、RIEによりシリコン膜23の除去された領域におけるSiON膜22を除去する。尚、レジストパターン25は、窒化シリコン膜24のエッチングを行なった後に有機溶剤等により除去される。
【0032】
次に、
図8(c)に示されるように、熱CVDにより窒化シリコン膜26を約20nm成膜する。
【0033】
次に、
図9(a)に示されるように、CF
4、CH
3F、Ar及びO
2をエッチングガスとして導入してRIE等を行なうことによりシリコン基板10上の窒化シリコン膜26を除去し、窒化シリコンからなるサイドウォール26aを形成する。更に、CF
4、Cl
2及びN
2をエッチングガスとして導入してRIEを行なうことにより、シリコン基板10においてシリコンが露出している部分のシリコンを深さDが約100nmとなるように選択的に除去する。このようにして、シリコン基板10におけるシリコンの一部を除去することにより除去領域27が形成される。
【0034】
次に、
図9(b)に示されるように、シリコン基板10においてシリコンが露出している除去領域27に、エピタキシャル成長によりSiGe層11及びシリコン層12を成膜する。具体的には、原料ガスとしてSiH
4、DCS(Dichlorosilane:SiH
2Cl
2)及びGeH
4を導入して、CVDによりSiGe層11を約27nm形成し、原料ガスとしてSiH
4又はDCSを導入して、CVDによりシリコン層12を約60nm形成する。このようにして形成されるシリコン膜12は、エピタキシャル成長により成膜されるものであるため、シリコンの単結晶膜である。
【0035】
次に、
図9(c)に示されるように、希釈フッ酸を用いたウエットエッチングを行なうことにより、STI領域21を形成している酸化シリコンの一部を選択的に除去する。STI領域21を形成している酸化シリコンの除去は、SiGe層11の側面が露出するまで行なう。尚、STI領域21を形成している酸化シリコンの除去方法としては、NF
3ガス、NH
4F等のフッ素系ガスを用いた化学反応により酸化シリコン(SiO
2)を昇華しやすい(NH
4)
2SiF
5とした後、約200℃に昇温し、(NH
4)
2SiF
5を昇華させてもよい。
【0036】
次に、
図10(a)に示されるように、SiGe層11を選択的に除去することにより開口領域13を形成する。具体的には、H
2とHCl又はCl
2等の塩素系ガスを導入してサーマルドライエッチングにより、SiGe層11を側面よりエッチングする。このサーマルドライエッチングは、700℃の温度で行なわれる。また、SiGe層11のエッチング方法としては、酢酸(CH
3COOH)とフッ酸(HF)との混合液を用いてウエットエッチングにより行なってもよい。更には、CF
4ガスを導入し、CF
4ラジカルによるケミカルドライエッチング(Chemical Dry Etching:CDE)により行なってもよい。これにより幅Aとなる開口領域13が形成される。このように形成された開口領域13は、シリコン基板10及びシリコン層12と略平行となるように形成される。
【0037】
次に、
図10(b)に示されるように、酸化遅延膜14となる窒化シリコン膜を成膜する。酸化遅延膜14となる窒化シリコン膜は、シリコン層12の表面における膜厚Bが3〜10nmとなるように成膜する。酸化遅延膜14としては、シリコン又は金属の窒化膜、炭化膜、酸化膜等が挙げられる。具体的には、窒化シリコン(Si
3N
4)、炭化シリコン(SiC)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ハフニウム(HfO
2)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、酸化ランタン(La
2O
3)、酸化イットリウム(Y
2O
3)等である。酸化遅延膜14の成膜方法としては、プラズマCVD、熱CVD、スパッタリング、真空蒸着等が挙げられる。本実施の形態では、Si
2H
6、N
2及びNH
3の混合ガスを用いて、プラズマCVDにより酸化遅延膜14となる窒化シリコン膜を成膜温度600℃で成膜する。この際における成膜温度は600℃であり、シリコン層12の表面における膜厚Bが、約10nmとなるように成膜を行なう。プラズマCVD等の成膜方法では、成膜に寄与する粒子が回り込み成膜されるが、ステップカバレッジは良好ではないため、シリコン層12の表面における膜厚Bが、約10nmとなるように成膜した場合、開口領域13の入口近傍の膜厚Cは約2nmとなる。尚、開口領域13では、酸化遅延膜14は、奥行き方向に行くに従い、より薄く形成される。このことは、上述した熱CVD、スパッタリング、真空蒸着等の成膜方法においても同様である。また、酸化遅延膜14は、開口領域13の入口を塞ぐことがないように成膜されており、開口領域13の幅Aに対して、開口領域13の入口付近に成膜される酸化遅延膜14の膜厚Cが、A/2未満となるように成膜される。また、上述の酸化防止膜成膜の前に、成膜ストレス低減を目的として、例えば3nmの酸化シリコン(SiO
2)をシリコン層12の表面に形成する酸化処理を行っても良い。
【0038】
次に、
図10(c)に示されるように、シリコンの熱酸化により開口領域13に酸化シリコン膜15を形成する。シリコンは酸化し酸化シリコンとなることにより体積が膨張するため、開口領域13の内部を酸化シリコン膜15により埋めることができる。また、酸化遅延膜14は、開口領域13の入口近傍では、開口領域13の奥に比べて厚く形成されており、シリコンの熱酸化の速度は、開口領域13の入口近傍よりも開口領域13の奥の方が速い。よって、酸化シリコン膜15は、開口領域13の奥より入口に向かって、開口領域13を埋め込むように酸化されるため、開口領域13の内部は酸化シリコン膜15により略完全に埋め込み形成することができる。尚、形成された酸化シリコン膜15は、酸素の拡散の防止にも寄与するため、シリコン基板10の内部において酸化が広がり続けることはない。本実施の形態では、窒素を含有する酸素雰囲気において、950℃での熱酸化処理により、酸化シリコン膜15の膜厚Eが50nmとなる。尚、酸化シリコン膜15には、酸化遅延膜14である窒化シリコン膜に含まれていた窒素成分が一部に含まれている。
【0039】
次に、
図11(a)に示されるように、酸化遅延膜14である窒化シリコン膜を除去する。具体的には、燐酸水溶液(H
3PO
4、90%)を用いたウエットエッチングにより、酸化遅延膜14である窒化シリコン膜を除去する。
【0040】
次に、
図11(b)に示されるように、酸化シリコン膜31を十分に厚く成膜する。これによりSTI領域21における酸化シリコンが除去されていた領域において酸化シリコン膜31を埋め込むことができる。酸化シリコン膜31の成膜方法は、HDP(High Density Plasma)−CVD法により成膜する。
【0041】
次に、
図11(c)に示されるように、酸化シリコン膜31をエッチバックすることにより、ゲート電極となるシリコン膜23の表面及びシリコン層12の表面を露出させる。これによりSTI領域21は、酸化シリコン膜31を含む酸化シリコンにより、再び形成される。
【0042】
次に、
図12(a)に示されるように、シリコン層12に不純物元素のイオン注入を行なうことにより不純物領域32を形成する。具体的には、不純物領域32としてP型領域を形成する場合には、B(ボロン)をイオン注入する。Bのイオン注入を行う際の加速エネルギーは、0.5keV以下であり、ドーズ量は1×10
14cm
−2〜2×10
15cm
−2である。また、不純物領域32としてN型領域を形成する場合には、P(リン)をイオン注入する。Pのイオン注入を行う際の加速エネルギーは、5keV〜20keVであり、ドーズ量は2×10
15cm
−2〜1×10
16cm
−2である。尚、不純物領域32としてN型領域を形成する場合には、As(砒素)やSb(アンチモン)を不純物元素としてイオン注入を行なってもよい。例えば、Asのイオン注入を行う際の加速エネルギーは、1keV〜5keVであり、ドーズ量は1×10
14cm
−2〜2×10
15cm
−2である。
【0043】
次に、
図12(b)に示されるように、熱CVDにより窒化シリコン膜33を約20nm成膜する。
【0044】
次に、
図12(c)に示されるように、CF
4、CH
3F、Ar及びO
2をエッチングガスとして導入しRIE等を行なうことによりシリコン基板10上の窒化シリコン膜33を除去する。これによりゲート電極となるシリコン膜23の側面に窒化シリコンからなるサイドウォール33aを再び形成する。
【0045】
次に、
図13(a)に示されるように、シリコン層12において不純物領域32よりも深い領域に不純物元素のイオン注入を行なうことにより不純物領域34を形成する。具体的には、不純物領域34としてP型領域を形成する場合には、Bをイオン注入する。Bのイオン注入を行う際の加速エネルギーは、0.5keV以下であり、ドーズ量は1×10
14cm
−2〜2×10
15cm
−2である。また、不純物領域34としてN型領域を形成する場合には、Pをイオン注入する。Pのイオン注入を行う際の加速エネルギーは、5keV〜20keVであり、ドーズ量は2×10
15cm
−2〜1×10
16cm
−2である。尚、不純物領域34としてN型領域を形成する場合には、AsやSbを不純物元素としてイオン注入を行なってもよい。例えば、Asのイオン注入を行う際の加速エネルギーは、1keV〜5keVであり、ドーズ量は1×10
14cm
−2〜2×10
15cm
−2である。
【0046】
次に、
図13(b)に示されるように、活性化アニールを行なうことにより、不純物領域32及び34に注入された不純物元素を活性化させ不純物拡散領域35を形成する。
【0047】
次に、
図13(c)に示されるように、シリサイド膜36、37及び38を形成する。具体的には、Ni、Co、Ti又はW等の金属膜をスパッタリングにより成膜した後、熱処理を行なうことにより、シリコン上に形成された金属膜に含まれる金属とシリコンとによるシリサイドによりシリサイド膜36、37及び38が形成される。より詳細には、シリコン層12において露出しているシリコンとシリコン層12上に成膜された金属膜における金属とをシリサイド化することによりシリサイド層36及び37が形成される。また、ゲート電極となるシリコン膜23の上面において露出しているシリコンとゲート電極となるシリコン膜23上に成膜された金属膜における金属とをシリサイド化することによりシリサイド層38が形成される。この後、シリサイド層36、37及び38が形成された領域以外における金属膜をウエットエッチングにより除去する。
【0048】
次に、
図14(a)に示されるように、シリサイド層36、37及び38、STI領域21上に酸化シリコン膜39を形成する。酸化シリコン膜39の成膜方法は、HDP−CVD法により十分厚く成膜する。
【0049】
次に、
図14(b)に示されるように、酸化シリコン膜39の表面にレジストパターン40を形成する。具体的には、酸化シリコン膜39の表面にフォトレジストを塗布し露光装置による露光、現像を行なうことにより、レジストパターン40を形成する。
【0050】
次に、
図14(c)に示されるように、レジストパターン40の形成されていない領域の酸化シリコン膜39をRIE等により除去することにより開口部41、42、43を形成する。開口部41及び42は、シリサイド層36及び37の表面が露出するまで酸化シリコン膜39を除去することにより形成し、開口部43は、シリサイド層38の表面が露出するまで酸化シリコン膜39を除去することにより形成する。
【0051】
次に、
図15に示すように、開口部41、42及び43の各々に金属であるWプラグ44、45、46を埋め込み形成する。具体的には、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によりTi膜またはTiN膜を成膜した後、タングステン(W)を埋め込むことにより開口部41、42及び43の各々にWプラグ44、45、46を形成する。尚、シリサイド層36とWプラグ44及びシリサイド層37とWプラグ45は、いずれか一方がドレイン電極となり、他方がソース電極となる。また、Wプラグ46はゲート電極であるシリコン膜23と電気的に接続される。
【0052】
以上により本実施の形態における半導体装置の製造方法により半導体装置を製造することができる。本実施の形態においては、信頼性の高いLocal SOI構造を有する半導体基板を低コスト形成することができる。また、このLocal SOI構造を有する半導体装置においては、接合容量が低く、リーク電流の少ない半導体装置を低コストで得ることができる。
【0053】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態とは異なる半導体装置の製造方法である。尚、本実施の形態における半導体装置の製造方法は、第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の
図10(a)に示される工程までは、同じであるため、
図10(a)に示される工程以降の工程について説明する。
【0054】
最初に、
図16(a)に示されるものは、
図10(a)に示されるものと同じものであり、SiGe層11を選択的に除去することにより幅Aとなる開口領域13が形成されたものである。
【0055】
次に、
図16(b)に示されるように、酸化遅延膜14となる窒化シリコン膜を成膜する。酸化遅延膜14となる窒化シリコン膜は、シリコン層12の表面における膜厚Bが3〜10nmとなるように成膜する。本実施の形態では、シリコン層12の表面における膜厚Bが、約10nmとなるように成膜を行なう。プラズマCVD等の成膜方法では、ステップカバレッジは良好ではないため、シリコン層12の表面における膜厚Bが、約10nmとなるように成膜した場合、開口領域13の入口近傍の膜厚Cは約2nmとなり、更に、開口領域13の奥は、より薄く形成される。
【0056】
次に、
図16(c)に示されるように、シリコンの熱酸化により開口領域13に酸化シリコン膜15を形成する。シリコンは酸化し酸化シリコンとなることにより体積が膨張するため、開口領域13の内部を酸化シリコン膜15により埋めることができる。本実施の形態では、窒素を含有する酸素雰囲気において、950℃での熱酸化処理により、酸化シリコン膜15の膜厚Eが50nmとなる。尚、酸化シリコン膜15には、酸化遅延膜14である窒化シリコン膜に含まれていた窒素成分が一部に含まれている。
【0057】
次に、
図17(a)に示されるように、酸化遅延膜14である窒化シリコン膜を除去する。具体的には、燐酸水溶液(H
3PO
4、90%)を用いたウエットエッチングにより、酸化遅延膜14である窒化シリコン膜を除去する。
【0058】
次に、
図17(b)に示されるように、シリコン層12に不純物元素のイオン注入を行なうことにより不純物領域32を形成する。
【0059】
次に、
図17(c)に示されるように、熱CVDにより窒化シリコン膜33を約20nm成膜する。
【0060】
次に、
図18(a)に示されるように、CF
4、CH
3F、Ar及びO
2をエッチングガスとして導入しRIE等を行なうことによりシリコン基板10上の窒化シリコン膜33を除去する。これにより、ゲート電極となるシリコン膜23の側面に窒化シリコンからなるサイドウォール33aを再び形成する。この際、STI領域21において酸化シリコンが除去された領域の表面には、窒化シリコン層33bが形成される。
【0061】
次に、
図18(b)に示されるように、シリコン層12において不純物領域32よりも深い領域に不純物元素のイオン注入を行なうことにより不純物領域34を形成する。
【0062】
次に、
図18(c)に示されるように、活性化アニールを行なうことにより、不純物領域32及び34に注入された不純物元素を活性化させ不純物拡散領域35を形成する。
【0063】
次に、
図19(a)に示されるように、シリサイド膜36、37及び38を形成する。具体的には、Ni、Co、Ti又はW等の金属膜をスパッタリングにより成膜した後、熱処理を行なうことにより、シリコン上に形成された金属膜に含まれる金属とシリコンとによるシリサイドによりシリサイド膜36、37及び38が形成される。この後、シリサイド層36、37及び38が形成された領域以外における金属膜をウエットエッチングにより除去する。
【0064】
次に、
図19(b)に示されるように、シリサイド層36、37及び38、STI領域21上に酸化シリコン膜39を形成する。酸化シリコン膜39の成膜方法は、HDP−CVD法により十分厚く成膜する。
【0065】
次に、
図19(c)に示されるように、酸化シリコン膜39の表面にレジストパターン40を形成する。具体的には、酸化シリコン膜39の表面にフォトレジストを塗布し露光装置による露光、現像を行なうことにより、レジストパターン40を形成する。
【0066】
次に、
図20(a)に示されるように、レジストパターン40の形成されていない領域の酸化シリコン膜39をRIE等により除去することにより開口部41、42、43を形成する。開口部41及び42は、シリサイド層36及び37の表面が露出するまで酸化シリコン膜39を除去することにより形成し、開口部43は、シリサイド層38の表面が露出するまで酸化シリコン膜39を除去することにより形成する。
【0067】
次に、
図20(b)に示すように、開口部41、42及び43の各々に金属であるWプラグ44、45、46を埋め込み形成する。具体的には、MOCVDによりTi膜またはTiN膜を成膜した後、Wを埋め込むことにより開口部41、42及び43の各々にWプラグ44、45、46を形成する。尚、シリサイド層36とWプラグ44及びシリサイド層37とWプラグ45は、いずれか一方がドレイン電極となり、他方がソース電極となる。また、Wプラグ46はゲート電極であるシリコン膜23と電気的に接続される。
【0068】
以上により本実施の形態における半導体装置の製造方法により半導体装置を製造することができる。本実施の形態においては、製造工程数を減らすことができ、より低コストで半導体装置を製造することができる。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0069】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態とは異なる半導体装置の製造方法である。尚、本実施の形態における半導体装置の製造方法は、第1の実施の形態における半導体装置の製造方法の
図10(a)に示される工程までは、同じであるため、
図10(a)に示される工程以降の工程について説明する。
【0070】
最初に、
図21(a)に示されるものは、
図10(a)に示されるものと同じものであり、SiGe層11を選択的に除去することにより幅Aとなる開口領域13が形成されたものである。
【0071】
次に、
図21(b)に示されるように、酸化遅延膜14となる窒化シリコン膜を成膜する。酸化遅延膜14となる窒化シリコン膜は、シリコン層12の表面における膜厚Bが3〜10nmとなるように成膜する。本実施の形態では、シリコン層12の表面における膜厚Bが、約10nmとなるように成膜を行なう。プラズマCVD等の成膜方法では、ステップカバレッジは良好ではないため、シリコン層12の表面における膜厚Bが、約10nmとなるように成膜した場合、開口領域13の入口近傍の膜厚Cは約2nmとなり、更に、開口領域13の奥は、より薄く形成される。
【0072】
次に、
図21(c)に示されるように、シリコンの熱酸化により開口領域13に酸化シリコン膜15を形成する。シリコンは酸化し酸化シリコンとなることにより体積が膨張するため、開口領域13の内部を酸化シリコン膜15により埋めることができる。本実施の形態では、窒素を含有する酸素雰囲気において、950℃での熱酸化処理により、酸化シリコン膜15の膜厚Eが50nmとなる。尚、酸化シリコン膜15には、酸化遅延膜14である窒化シリコン膜に含まれていた窒素成分が一部に含まれている。
【0073】
次に、
図22(a)に示されるように、酸化シリコン膜31を十分に厚く成膜する。これによりSTI領域21における酸化シリコンが除去されていた領域において酸化シリコン膜31を埋め込むことができる。酸化シリコン膜31の成膜方法は、HDP−CVD法により成膜する。
【0074】
次に、
図22(b)に示されるように、酸化シリコン膜31をエッチバックすることにより、シリコン層12の表面に形成された酸化遅延膜14となる窒化シリコン膜を露出させる。この際、STI領域21の酸化シリコンが除去された領域には、酸化シリコン膜31が埋め込まれた状態となる。
【0075】
次に、
図22(c)に示されるように、酸化遅延膜14である窒化シリコン膜を除去する。具体的には、燐酸水溶液(H
3PO
4、90%)を用いたウエットエッチングにより、シリコン層12の表面の酸化遅延膜14である窒化シリコン膜及びゲート電極となるシリコン膜23の側面に形成されていた窒化シリコンからなるサイドウォール26aを除去する。これにより、STI領域21は、酸化シリコン膜31及び窒化シリコンを含む絶縁体により形成される。
【0076】
次に、
図23(a)に示されるように、シリコン層12に不純物元素のイオン注入を行なうことにより不純物領域32を形成する。
【0077】
次に、
図23(b)に示されるように、熱CVDにより窒化シリコン膜33を約20nm成膜する。
【0078】
次に、
図23(c)に示されるように、CF
4、CH
3F、Ar及びO
2をエッチングガスとして導入しRIE等を行なうことによりシリコン基板10上の窒化シリコン膜33を除去する。これにより、ゲート電極となるシリコン膜23の側面に窒化シリコンからなるサイドウォール33aを再び形成する。
【0079】
次に、
図24(a)に示されるように、シリコン層12において不純物領域32よりも深い領域に不純物元素のイオン注入を行なうことにより不純物領域34を形成する。
【0080】
次に、
図24(b)に示されるように、活性化アニールを行なうことにより、不純物領域32及び34に注入された不純物元素を活性化させ不純物拡散領域35を形成する。
【0081】
次に、
図24(c)に示されるように、シリサイド膜36、37及び38を形成する。具体的には、Ni、Co、Ti又はW等の金属膜をスパッタリングにより成膜した後、熱処理を行なうことにより、シリコン上に形成された金属膜に含まれる金属とシリコンとによるシリサイドによりシリサイド膜36、37及び38が形成される。この後、シリサイド層36、37及び38が形成された領域以外における金属膜をウエットエッチングにより除去する。
【0082】
次に、
図25(a)に示されるように、シリサイド層36、37及び38、STI領域21上に酸化シリコン膜39を形成する。酸化シリコン膜39の成膜方法は、HDP−CVD法により十分厚く成膜する。
【0083】
次に、
図25(b)に示されるように、酸化シリコン膜39の表面にレジストパターン40を形成する。具体的には、酸化シリコン膜39の表面にフォトレジストを塗布し露光装置による露光、現像を行なうことにより、レジストパターン40を形成する。
【0084】
次に、
図25(c)に示されるように、レジストパターン40の形成されていない領域の酸化シリコン膜39をRIE等により除去することにより開口部41、42、43を形成する。開口部41及び42は、シリサイド層36及び37の表面が露出するまで酸化シリコン膜39を除去することにより形成し、開口部43は、シリサイド層38の表面が露出するまで酸化シリコン膜39を除去することにより形成する。
【0085】
次に、
図26に示すように、開口部41、42及び43の各々に金属であるWプラグ44、45、46を埋め込み形成する。具体的には、MOCVDによりTi膜またはTiN膜を成膜した後、Wを埋め込むことにより開口部41、42及び43の各々にWプラグ44、45、46を形成する。尚、シリサイド層36とWプラグ44及びシリサイド層37とWプラグ45は、いずれか一方がドレイン電極となり、他方がソース電極となる。また、Wプラグ46はゲート電極であるシリコン膜23と電気的に接続される。
【0086】
以上により本実施の形態における半導体装置の製造方法により半導体装置を製造することができる。
【0087】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0088】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1の半導体からなる基板上に、結晶成長により第2の半導体からなる層及び前記第1の半導体からなる層を順次形成する半導体層形成工程と、
前記第2の半導体からなる層をエッチングにより除去し開口領域を形成する開口領域形成工程と、
前記開口領域に、窒化物膜、炭化物膜又は酸化物膜を含む材料により形成される酸化遅延膜を前記開口領域の入口における膜厚が所定の膜厚となるように成膜する酸化遅延膜成膜工程と、
前記第1の半導体からなる基板及び前記第1の半導体からなる層の前記第1の半導体の一部を熱酸化することにより、前記開口領域に熱酸化膜を形成する熱酸化工程と、
を有することを特徴とする半導体基板の製造方法。
(付記2)
前記第1の半導体はSiであり、前記第2の半導体はSiGeであることを特徴とする付記1に記載の半導体基板の製造方法。
(付記3)
前記開口領域の入口に成膜される前記酸化遅延膜の膜厚は、前記開口領域の開口の幅の1/2未満であることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体基板の製造方法。
(付記4)
前記酸化遅延膜は、プラズマCVD、熱CVD、スパッタリング、真空蒸着のいずれかにより成膜されるものであることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
(付記5)
前記酸化遅延膜は、窒化シリコン、炭化シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、五酸化タンタル、酸化ランタン、酸化イットリウムから選ばれる1または2以上の材料により形成されているものであることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
(付記6)
第1の半導体からなる基板にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
前記第1の半導体からなる基板において、ソース及びドレインが形成される領域の前記第1の半導体を所定の深さ除去する第1の半導体除去工程と、
前記第1の半導体が除去された除去領域に、結晶成長により第2の半導体からなる層及び前記第1の半導体からなる層を順次形成する半導体層形成工程と、
前記第2の半導体からなる層をエッチングにより除去し開口領域を形成する開口領域形成工程と、
前記開口領域に、窒化物膜、炭化物膜又は酸化物膜を含む材料により形成される酸化遅延膜を前記開口領域の入口における膜厚が所定の膜厚となるように成膜する酸化遅延膜成膜工程と、
前記第1の半導体からなる基板及び前記第1の半導体からなる層の前記第1の半導体の一部を熱酸化することにより、熱酸化膜を形成する熱酸化工程と、
前記第1の半導体からなる層に不純物拡散領域を形成し、前記不純物拡散領域上にソース及びドレインを形成する電極形成工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記7)
前記第1の半導体はSiであり、前記第2の半導体はSiGeであることを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記開口領域の入口における前記酸化遅延膜の膜厚は、前記開口領域の開口の幅の1/2未満であることを特徴とする付記6又は7に記載の半導体基板の製造方法。
(付記9)
前記酸化遅延膜は、プラズマCVD、熱CVD、スパッタリング、真空蒸着のいずれかにより成膜されるものであることを特徴とする付記6から8のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
(付記10)
前記酸化遅延膜は、窒化シリコン、炭化シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、五酸化タンタル、酸化ランタン、酸化イットリウムから選ばれる1または2以上の材料により形成されているものであることを特徴とする付記6から9のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
(付記11)
前記酸化遅延膜の形成の前に、前記第1の半導体からなる基板に対して酸化処理を行うことを特徴とする付記9または10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記除去領域は、前記ゲート電極が形成されている領域を除く領域であることを特徴とする付記6から11のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
(付記13)
前記熱酸化工程において、前記第1の半導体の熱酸化膜が形成される領域は、前記ソース及び前記ドレインが形成される領域であることを特徴とする付記6から12のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
(付記14)
前記第1の半導体からなる基板には、絶縁体からなるSTI領域が形成されており、前記ゲート電極は、前記STI領域を除く領域に形成されているものであって、
前記半導体層形成工程の後、前記STI領域における絶縁体を前記第2の半導体からなる層が形成されている領域まで除去する工程を有し、
前記STI領域における絶縁体を除去する工程の後、前記開口領域形成工程を行なうことを特徴とする付記6から13のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
(付記15)
前記熱酸化工程の後、前記第1の半導体からなる層の表面に形成されている前記酸化遅延膜を除去する工程と有し、
前記第1の半導体からなる層の表面に形成されている前記酸化遅延膜を除去した後、前記電極形成工程を行なうことを特徴とする付記6から14のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
(付記16)
前記ゲート電極に接続されるシリサイド層と、前記ソース及び前記ドレインに接続されるシリサイド層とを形成する工程を有することを特徴とする付記6から15のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
(付記17)
前記シリサイド層を形成した後、前記シリサイド層上に絶縁膜を形成し、前記絶縁膜に各々のシリサイド層が露出するまで開口領域を形成し、前記開口領域を金属により埋め込む工程を有することを特徴とする付記6から16のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。