(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電性シェルの基板接続部は、前記凹部からコネクタ外方に向かって延出して前記配線基板に対して半田接続される接合片を有していることを特徴とする請求項1記載のスイッチ付同軸コネクタ。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話などのような電子機器又は電気機器にスイッチ付同軸コネクタが用いられている。このスイッチ付同軸コネクタは、例えば、機内に設けられた高周波回路等の各種電子回路の状態や性能を検査するための小型回路検査スイッチなどとして用いられるものであるが、下記の特許文献1に開示のものに相当する
図23及び
図24にかかる回路検査スイッチは、機器本体の電子回路を分断するように回路基板上に実装されたスイッチ付同軸コネクタ1からなるものであって、当該スイッチ付同軸コネクタ1に設けられた相手挿入穴を通して、相手コネクタとして検査用プラグコネクタのプローブ(検査針)2が、上方側(紙面垂直方向手前側)から内部に挿入される構成になされている。
【0003】
このようなスイッチ付同軸コネクタ1では、絶縁ハウジング1aの外方側に、グランド接続用の導電性シェル1bが取り付けられており、その導電性シェル1bから一体的に突出する複数の基板接続部1cが、図示を省略した配線基板上の導電路に半田接合されることにより実装が行われて使用される構成になされている。このときの前記絶縁ハウジング1aの内部には、信号伝送用の可動コンタクト1dと固定コンタクト1eとからなるコンタクト対が取り付けられていて、それら一対の可動コンタクト1d及び固定コンタクト1eが、機器本体に設けられた電子回路(図示省略)の一方側及び他方側にそれぞれ接続されている。
【0004】
そして、そのスイッチ付同軸コネクタ1に対して、上方側(
図24 の紙面垂直方向手前側)から挿入された検査用プラグコネクタのプローブ(検査針)2の先端部分が、略水平面内で揺動する前記可動コンタクト1dの自由端部分を押し開くように圧接し、それによって可動コンタクト1dが揺動して固定コンタクト1eから離間されて本来の電子回路が分断される。また、それと同時に、可動コンタクト1dが上記プローブ2の下端部分に接触し、それによって機器本体の他の電子回路にプローブ2が導通状態となり、当該プローブ2を通して、電子回路からの電気信号が外部に取り出されることにより、例えば適宜の検査が実行されるようになっている。
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来のスイッチ付同軸コネクタでは、導電シェル1bの基板接続部1cに半田材を用いて溶融接合させる際に、その基板接続部1cに施された半田材やフラックスが、配線基板(図示省略)から立ち上がっている導電シェル1bの立壁面に沿って這い上がってきてしまい、いわゆる半田上がりが生じて電気的な接続不良の原因になるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、簡易な構成によって、導電シェルの基板接続部からの半田上がりを良好に防止し、電気的接続状態を安定化させることができるようにしたスイッチ付同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明では、絶縁ハウジングと 、その絶縁ハウジングに取り付けられた導電性シェルと、前記導電性シェルから延出するように設けられて配線基板に半田接続される基板接続部と、互いに接触した状態となるように前記絶縁ハウジングに取り付けられ、相手コネクタが嵌合されることによって離間状態になされる信号伝送用の固定コンタクト及び可動コンクトを備えたものであって、前記導電性シェル
は、前記絶縁ハウジングの上面側表面を覆う上面基板を備えているとともに、前記上面基板の端縁から下方に向かって延出する基板接続部が、前記固定コンタクト及び可動コンタクトを両側から挟むように配置されたスイッチ付同軸コネクタにおいて、前記導電性シェルの基板接続部には、前記固定コンタクト及び可動コンタクト側に向かって窪む凹部が設けられ
、前記凹部は、前記上面基板の端縁から、コネクタ内方側に向かって斜め下方に窪むように延出する逆テーパ状の傾斜壁面を有する構成になされている。
【0009】
このような構成からなるスイッチ付同軸コネクタによれば、導電性シェルの基板接続部に対して使用した半田材の余剰分やフラックスが、基板接続部や導電性シェルの他の壁面に沿って這い上がろうとしても、その這い上がろうとする半田材の余剰分やフラックスが凹部の内部に蓄えられ、またその凹部の壁面を構成する逆テーパ状の傾斜壁面によって、半田材やフラックスの這い上がり作用力が低減され、さらに当該凹部の壁面が湾曲状に延在していることによって、半田材及びフラックスの這い上がり長さが延長されることとなり、いわゆる半田上がり良好に防止されて電気的な導通状態への影響が大幅に低減される。
【0010】
また、本発明における前記導電性シェルの基板接続部は、前記凹部からコネクタ外方に向かって延出して前記配線基板に対して半田接続される接合片を有していることが望ましい。
【0011】
このような構成からなるスイッチ付同軸コネクタによれば、基板接続部の接合片に対する半田接合状態が、作業者によって直ちに目視されることとなり、半田接合作業の効率が向上される。
【0012】
また、本発明における前記接合片の先端部は、前記導電性シェルの最大外形と同一又は内方側に位置していることが望ましい。
【0013】
このような構成からなるスイッチ付同軸コネクタによれば、接合片に対する半田付け作業に支障を与えることなく全体の小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように本発明は、絶縁ハウジングに取り付けられた導電性シェルの基板接続部に固定コンタクト及び可動コンタクト側に向かって窪む凹部を
、コネクタ内方側に向かって斜め下方に窪むように延出する逆テーパ状の傾斜壁面として設け、導電性シェルの基板接続部に使用されて基板接続部や導電性シェルの壁面に沿って這い上がろうとする半田材の余剰分やフラックスを凹部の内部に蓄え、またその凹部の壁面を構成する逆テーパ状の傾斜面によって這い上がり作用力を低減し、さらに半田材及びフラックスの這い上がり長さを凹部の湾曲状壁面により延長することによって、いわゆる半田上がり良好に防止するように構成したものであるから、簡易な構成によって、導電シェルの基板接続部からの半田上がりに基づく電気的接続状態の不安定化を防止することができ、スイッチ付同軸コネクタの信頼性を安価かつ大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる回路検査スイッチを構成しているスイッチ付同軸コネクタの全体構造を平面正面側から見たときの外観斜視説明図である。
【
図2】
図1に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの全体構造を平面背面側から見たときの外観斜視説明図である。
【
図3】
図1及び
図2に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの全体構造を底面側から見たときの外観斜視説明図である。
【
図4】
図1乃至
図3に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの平面説明図である。
【
図5】
図1乃至
図3に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの正面説明図である。
【
図6】
図1乃至
図3に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの側面説明図である。
【
図7】
図1乃至
図6に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタに用いられている可動コンタクトを平面正面側から見たときの外観斜視説明図である。
【
図8】
図1乃至
図6に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタに用いられている固定コンタクトを平面正面側から見たときの外観斜視説明図である。
【
図9】
図1乃至
図6に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタに用いられている可動コンタクトと固定コンタクトとの配置関係を平面正面側から見たときの外観斜視説明図である。
【
図10】
図4中の X−X 線に沿った縦断面説明図である。
【
図11】
図10に相当する図であって、図示を省略した相手コネクタ(検査用プラグコネクタ)が挿入された状態を表した縦断面説明図である。
【
図12】
図4中の XII−XII 線に沿った縦断面説明図であって、相手コネクタ(検査用プラグコネクタ)が挿入される直前の状態を表した縦断面説明図である。
【
図13】
図12に相当する図であって、相手コネクタ(検査用プラグコネクタ)が挿入された状態を表した縦断面説明図である。
【
図14】可動コンタクトと固定コンタクトが接触された状態を拡大して表した
図10相当の縦断面説明図である。
【
図15】可動コンタクトと固定コンタクトが離間された状態を拡大して表した
図10相当の縦断面説明図である。
【
図16】
図14中の XVI−XVI 線に沿った縦断面説明図である。
【
図17】
図15中の XVII−XVII 線に沿った縦断面説明図である。
【
図18】
図12に相当する図であって、相手コネクタ(検査用プラグコネクタ)が挿入される直前の状態を拡大して表した縦断面説明図である。
【
図19】
図13に相当する図であって、相手コネクタ(検査用プラグコネクタ)が挿入された状態を拡大して表した縦断面説明図である。
【
図20】本発明の他の実施形態にかかる可動コンタクトを平面正面側から見たときの外観斜視説明図である。
【
図21】
図20に表された可動コンタクトが固定コンタクトに接触された状態を拡大して表した
図16相当の縦断面説明図である。
【
図22】
図20に表された可動コンタクトが固定コンタクトから離間された状態を拡大して表した
図17相当の縦断面説明図である。
【
図23】従来のスイッチ付同軸コネクタの一例を表した外嵌斜視説明図である。
【
図24】
図23に表された従来のスイッチ付同軸コネクタの構造を表した横断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるスイッチ付同軸コネクタを回路検査スイッチとして採用した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
[回路検査スイッチの全体構造について]
まず、
図1に示された本発明の第1の実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタ10は、図示を省略した配線基板上に実装されるものであって、当該スイッチ付同軸コネクタ10に対して、相手コネクタとしての検査用プラグコネクタ20(
図12及び
図13参照)が上方側から嵌合され、又は上方側に向かって抜出される構成になされている。すなわち、そのスイッチ付同軸コネクタ10の上方側に配置された検査用プラグコネクタ20が、作業者の手で把持されながら下方側のスイッチ付同軸コネクタ10に向かって適宜の力で押し込まれ、それによって両コネクタ同士が嵌合された装着状態になされる。また、その両コネクタの装着状態から検査用プラグコネクタ20を把持して上方側に適宜の力で引き上げれば、当該検査用プラグコネクタがスイッチ付同軸コネクタ10から上方に離脱して抜出が行われる。なお、検査用プラグコネクタ20は作業者の手で挿抜されることに限らず、機械によって自動的に挿抜されてもよい。以下、この検査用プラグコネクタの挿入方向及び抜出方向を、それぞれ「下方向」及び「上方向」とする。
【0018】
このような回路検査スイッチの組立体を構成しているスイッチ付同軸コネクタ10は、例えば携帯電話等の電子機器に設けられた電子回路基板(図示省略)上に半田付けにより実装されて使用され、その電子機器に設けられた電子回路を、例えば機器本体側とアンテナ側とを分断又は接続するように配置される。
【0019】
[絶縁ハウジングの構成について]
図2、
図3及び
図4にも示されているように、上記スイッチ付同軸コネクタ10の本体部を構成している絶縁ハウジング11は、プラスチック等の樹脂材を用いて例えばモールド成形されたものであって、平面略矩形状の板状部材からなるベース枠体部11aと、そのベース枠体部11aの上面中央部分に配置された挿入ガイド部11bとを一体的に有している。
【0020】
挿入ガイド部11bは、上述したベース枠体部11aの上側表面から略円筒状をなして上方に立ち上がるように形成されている。この挿入ガイド部11bの内周側表面は、略すり鉢状をなすように形成されており、当該挿入ガイド部11bの上端縁部分に形成された円環状外縁部から、中心部分に相手挿入穴として設けられたプローブ挿入穴11cの上面側開口部に向かって斜め下方に延在する傾斜ガイド面11dが形成されている。この傾斜ガイド面11dは、前述した検査用プラグコネクタ20に設けられたプローブ20aをプローブ挿入穴11cに向かって案内する機能を有するものであって、検査用プラグコネクタ20のプローブ20aがプローブ挿入穴11cの真上に配置されていない場合であっても、傾斜ガイド面11dの傾斜面上にプローブの先端部が当接されれば、プローブ20aの先端部が傾斜ガイド面11dに沿って下方に滑り落ちるように移動され、プローブ挿入穴11cまで円滑に案内されるようになっている。
【0021】
相手挿入穴として設けられたプローブ挿入穴11cは、上述したように挿入ガイド部11bの上端開口部からベース枠体部11aの中心軸に沿って下方に延出しており、絶縁ハウジング11の正面背面両端面に設けられたコンタクト挿入開口部11e,11fまで貫通して、後述する可動コンタクト12の上方位置に開口するように形成されている。このプローブ挿入穴11cは、検査用プラグコネクタ20のプローブ20aを挿入可能とする内径を有する大きさの平面略円形状をなすように形成されていて、当該プローブ挿入穴11cの上面側開口部の周囲に、挿入ガイド部11bが略同心状をなすように配置されている。
【0022】
[コンタクトの構成について]
一方、絶縁ハウジング11のベース枠体部11aの内部には、信号伝送用の可動コンタクト12及び固定コンタクト13が、上述した検査用プラグコネクタ20の挿抜方向(上下方向)に略直交する水平方向に互いに対向するように取り付けられている。これらの可動コンタクト12及び固定コンタクト13は、いわゆるコンタクト対を構成するものであって、絶縁ハウジング11の正面背面両端面に設けられたコンタクト挿入開口部11e,11fを通して、当該絶縁ハウジング11の内部に挿入され、その両コンタクト12,13同士が互いに弾性的に接触した状態となるように絶縁ハウジング11に取り付けられている。この両コンタクト12,13同士の接触状態は、後述するように検査用プラグコネクタ20の嵌合によって解除されて離間状態になされる。
【0023】
可動コンタクト12及び固定コンタクト13は、当該両部材12,13同士が対向する方向の後端部分に基板接続部12a,13aをそれぞれ有している。それらの基板接続部12a,13aは、絶縁ハウジング11に圧入固定される支持基部12b,13bの下端面部を構成するものであって、上述した配線基板上に設けられた信号伝送用の導電路に半田接合されて実装される。このような基板接続部12a,13aを有する支持基部12b,13bは、側面略「コ」の字状をなすように形成されていて、当該両支持基部12b,13b同士が、水平方向に互いに対向するようにして絶縁ハウジング11に対して圧入固定されている。
【0024】
より具体的には、固定コンタクト13側に設けられた支持基部13bには、当該支持基部13bの上端面部を構成する固定片13cが、コネクタ内方側(
図10の左方側)に向かって延出するように設けられている。その固定片13cは、絶縁ハウジング11の内壁面に圧接されていて、上述した絶縁ハウジング11のコンタクト挿入開口部11fが、支持基部13bにより閉塞されている。また、その固定片13cのコネクタ内方側(
図10の左方側)における先端部分には、下方に向かって略円筒状に突出する固定接点部13dが形成されている。
【0025】
一方、可動コンタクト12に設けられた支持基部12bの上端面部を構成している固定片12cも、コネクタ内方側(
図10の右方側)に向かって延出するように設けられている。この固定片12cは、絶縁ハウジング11の内壁面に圧接されて固定状態になされており、上述した絶縁ハウジング11のコンタクト挿入開口部11eが、支持基部13bにより閉塞された状態になされている。
【0026】
このように本実施形態においては、可動コンタクト12及び固定コンタクト13に設けられた支持基部12b,13bが、図示を省略した配線基板からの高さh1を有しており、その支持基部12b,13bの高さh1が、絶縁ハウジングに設けられたコンタクト挿入開口部11e,11fの高さh2と略同一の高さとなるように設定されている(h1≒h2)。このような構成としておけば、絶縁ハウジング11のコンタクト挿入開口部11e,11fが、可動コンタクト12及び固定コンタクト13の支持基部12b,13bにより閉塞され、そこからの塵埃の侵入が防止される。
【0027】
また、上述した可動コンタクト12の支持基部12bに設けられた固定片12cには、クランク形状をなすように形成された下降段部12dが、下方向への段差を形成するように連設されているとともに、その下降段部12dを介して片持ち状に延出する弾性ビーム12eが、上下方向に揺動自在となるように連設されている。その弾性ビーム12eの根本部分を構成している下降段部12dは、上述したように固定片12cの先端部から斜め下方に向かって延出しており、当該下降段部12dの下端部が、絶縁ハウジング11に設けられた内壁面に当接するように配置されている。
【0028】
また、その下降段部12dから延出している弾性ビーム12eは、帯状バネ部材から形成されており、上述した固定コンタクト13側に向かって斜め上方に浮き上がるように配置されている。この弾性ビーム12eの延出側の先端部分には可動接点部12fが設けられており、その可動コンタクト12の可動接点部12fが、上述した固定コンタクト13の固定接点部13dに対して弾性ビーム12eの弾性付勢力により下方側から弾性的に接触されるように構成されている。
【0029】
このような可動コンタクト12の弾性ビーム12eを構成している帯状バネ部材の延在方向途中部分は、前述した相手挿入穴としてのプローブ挿入穴11cの直下に配置されている。そして、特に
図12及び
図13に示されているように、前述した検査用プラグコネクタ20が上方側から嵌合され、当該検査用プラグコネクタ20に設けられたプローブ20aが、プローブ挿入穴11cを通してコネクタ内部に挿入されると、当該検査用プラグコネクタ20のプローブ20aが、可動コンタクト12の弾性ビーム12eの途中部分に当接する。さらに、検査用プラグコネクタ20が下方に押し下げられると、可動コンタクト12側の可動接点部12fが、固定コンタクト13の固定接点部13dから下方に離間される。
【0030】
このとき、上述した可動コンタクト12側に設けられた可動接点部12fは、固定コンタクトの固定接点部13dに接触する部位において二方向に分割された二股状接点部を構成しており、平面視において略U字状をなすように可動接点部12fが形成されている。そして、その二股状接点部を構成する可動コンタクト12側の可動接点部12fに対して、固定コンタクト13側に設けられた固定接点部13dは、可動コンタクト12の二股状接点部の間に入り込む略円筒状の突状接点部をなすように形成されている。
【0031】
より具体的には、可動コンタクト12に二股状接点部として設けられた可動接点部12fは、平面略U字状をなすように形成された内周縁を有しており、その略U字状をなす内周縁には、当該内周縁により画成された内側空間部分に向かって下降する傾斜面が形成されている。この該可動接点部12fに設けられた傾斜面は、固定コンタクト13の突状接点部としての固定接点部13dの先端部分に対して面状に接触するように構成されている。
【0032】
このように、可動コンタクト12に、二股状接点部としての可動接点部12fを設けておけば、固定コンタクト13に突状接点部として設けられた固定接点部13dに沿うようにして可動コンタクト12の可動接点部12fが接触されるため、電気的な接続が良好に行われるとともに、コネクタ内部に侵入した塵埃が、可動コンタクト12の可動接点部(二股状接点部)12fに設けられた傾斜面に沿って円滑に排出される。
【0033】
このとき、上述した実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図20〜
図22にかかる他の実施形態においては、可動コンタクト12に設けられた可動接点部12f’を構成している二股状接点部が、長めのスパンを有するように形成されているとともに、固定コンタクト13側に突状接点部として設けられた固定接点部13d’が、更に下方に突出するように設けられ、可動コンタクト12側の可動接点部(二股状接点部)12f’に対して楔形状をなすように形成されている。そして、可動コンタクト12に設けられた可動接点部12f’が固定コンタクト13の固定接点部13d’に接触した際に、当該固定コンタクト13の楔形状をなす固定接点部13d’が、可動コンタクト12の可動接点部12f’を構成する二股状接点部同士の間に侵入することによって、可動接点部12f’を構成する二股状接点部同士の間隔が、特に
図21に示されているように押し広げられるようになっている。
【0034】
このような構成としておけば、固定コンタクト13に設けられた固定接点部(突状接点部)13d’に対して、可動コンタクト12の可動接点部(二股状接点部)12f’が接触した際に、両部材12f’,13d’が圧接状態で良好に接触されるとともに、可動コンタクト12の可動接点部(二股状接点部)12f’同士の間隔が押し広げられることとなるため、両部材12f’,13d’の接触部分近傍に存在するゴミなどの塵埃が、可動コンタクト12の可動接点部12f’の拡大された間隔部分を通して落下され易くなる。また、固定コンタクト13に設けられた固定接点部(突状接点部)13d’に対して、可動コンタクト12の可動接点部(二股状接点部)12f’が接触した際に、可動コンタクト12の可動接点部(二股状接点部)12f’同士の間隔が押し広げられ、それら両部材12f’,13d’が水平方向に圧接した状態で摺動するように接触されるため、接点部をクリーニングする効果が発揮される。
【0035】
さらにまた、上述した可動コンタクト12の弾性ビーム12eを構成している帯状バネ部材には、検査用プラグコネクタ20のプローブ20aとの接触位置、すなわちプローブ挿入穴(相手挿入穴)11cに対面する直下位置に、スリット状をなすようにして塵埃落下穴としての貫通穴12gが形成されている。この貫通穴12gは、可動コンタクト12の長手方向に沿って細長状に延在する長穴から形成されており、上述した弾性ビーム12eの先端側に設けられた可動接点部12fの近傍から、プローブ挿入穴11cの直下位置を通って支持基部12bまで延在している。
【0036】
この貫通穴12gが設けられた可動コンタクト12の弾性ビーム12eには、当該弾性ビーム12eの板幅方向に貫通穴12gを挟んだ両側部分に、二体のプローブ接触片12h,12hが細幅に延在するように配置されている。すなわち、これら二体のプローブ接触片12h,12hは、相手コネクタ接触片を構成するものであって、上述した貫通穴12gを画成するように配置されたものであるとともに、相手コネクタとしての検査用プラグコネクタ20のプローブ20aに対する接触片をなすよう設けられている。
【0037】
このように可動コンタクト12の弾性ビーム12eに貫通穴12gを貫通するように設けておけば、検査用プラグコネクタ20が嵌合されていないときに開放状態にあるプローブ挿入穴(相手挿入穴)11cを通して内部に進入するゴミ等の塵埃が、可動コンタクト12や固定コンタクト13の上に蓄積することなく貫通穴12gを通して排出され、その結果、可動コンタクト12と固定コンタクト13との電気的な導通性が塵埃により妨げられるおそれが低減される。
【0038】
また、このときの各プローブ接触片12hにおいては、他方のプローブ接触片12hに対面する壁面に、検査用プラグコネクタ20のプローブ20aに接触する検査用接点部12iが、傾斜面をなすように設けられている。この検査用接点部12iは、検査用プラグコネクタ20のプローブ20aの先端側部分に形成された湾曲面に対して、略接線方向に延在するように形成されており、プローブ20aに対して面状に当接するように形成されている。
【0039】
このような傾斜面からなる検査用接点部12iを、可動コンタクト12のプローブ接触片12hに設けておけば、当該プローブ接触片12hの検査用接点部12iに沿うようにして検査用コネクタ20のプローブ20aの先端部分が可動コンタクト12に接触されることなり、両部材12,20同士の電気的な接続が良好に行われるとともに、貫通穴12gを通して排出される塵埃が、プローブ接触片12hの傾斜面によって円滑に案内される。
【0040】
さらに、本実施形態においては、上述したように可動コンタクト12の弾性ビーム12eに設けられた貫通穴12gが、弾性ビーム12eから後方側の支持基部12b側にかけて延在しており、当該貫通穴12gの後端部分が支持基部12bの上端面部を構成している固定片12cに一部かかるように延長して設けられていることから、検査用コネクタ20のプローブ20aが可動コンタクト12の弾性ビーム12eに接触した際の応力が、可動コンタクト12の固定片12cの一部に集中することなく分散されることとなり、可動コンタクト12の使用耐久性が向上されるようになっている。
【0041】
[導電性シェルについて]
一方、上述した絶縁ハウジング11の上面側表面には、薄板状の導電性部材からなる導電性シェル14が上方側から覆うようにして装着されている。この導電性シェル14は、絶縁ハウジング11の上面側から挿入ガイド部11bの外周面の一部を覆うように装着されているが、この導電性シェル14が絶縁ハウジング11の上面側表面を覆っている上面基板14aが平面略矩形状をなすように形成されている。
【0042】
その導電性シェル14における略矩形状をなす上面基板14aの中央部分には、上述した絶縁ハウジング11の挿入ガイド部11bを外方側から覆うグランド端子部14bが略中空円筒状をなすようにして一体に設けられている。このグランド端子部14bの外周表面には、円環状をなす固定係止溝14cが凹設されており、その固定係止溝14cに対して、前述した検査用プラグコネクタ20の導電性シェルに設けられた係合突部20bが嵌め込まれ、それによってスイッチ付同軸コネクタ10に検査用プラグコネクタ20が適宜の嵌合力で連結された状態に維持されるようになっている。
【0043】
また、上述した導電性シェル14の上面基板14aにおける略矩形状の四隅部分には、下方に向かって垂れ下がるように延在する基板接続部14dがそれぞれ連設されている。それら4体の基板接続部14dのうち、前述した可動コンタクト12と固定コンタクト13との対向方向に隣接する2体の基板接続部14d,14d同士は、一体的に連結されていて、それら一体連結された一方側の基板接続部14d,14dと、他方側の基板接続部14d,14dとが、可動コンタクト12と固定コンタクト13とからなるコンタクト対を両側から挟むように配置されている。そして、それらの各基板接続部14dが、図示を省略した配線基板上のグランド用導電路に半田接合されることによって、グランド接続が行われるとともに、スイッチ付同軸コネクタ10の全体の保持が行われるようになっている。
【0044】
このとき、それらの各基板接続部14dは、上述した上面基板14aの端縁から下方に向かって湾曲形状をなすように延在しており、2体の基板接続部14d,14d同士の連結方向と直交する方向における横断面形状が、略S字又は略Z字形状をなすように湾曲形成されている。
【0045】
この導電性シェル14に設けられた基板接続部14dの形状を具体的に説明すると、当該基板接続部14dは、上述した上面基板14aの端縁からコネクタ内方側に向かって斜め下方に窪むように延出する逆テーパ状の傾斜壁面を有しているとともに、その傾斜壁面の下端部から、再びコネクタ外方に向かって略水平に突出する水平壁面を有している。そして、その基板接続部14aに設けられた逆テーパ状の傾斜壁面と水平壁面とによって、前述した固定コンタクト13及び可動コンタクト12側に向かって窪む凹部14eが画成されており、当該凹部14eが、基板接続部14dに窪むように設けられた構成になされている。また、上述した基板接続部14aの水平壁面によって、配線基板上に半田接合される半田接合片14fが形成された構成になされている。
【0046】
このように基板接続部14aに凹部14eを窪ませるようにして設けておけば、導電性シェル14の基板接続部14aに対して使用した半田材の余剰分やフラックスが、基板接続部14aや導電性シェル14の他の壁面に沿って這い上がろうとしても、その這い上がろうとする半田材の余剰分やフラックスが凹部14eの内部に蓄えられる。また、その凹部14eの壁面を構成する逆テーパ状の傾斜壁面によって、半田材やフラックスの這い上がり作用力が低減されることとなる。さらに、当該凹部14eの壁面が湾曲状に延在していることによって、半田材及びフラックスの這い上がり長さが延長されることとなり、いわゆる半田上がり良好に防止されて、電気的な導通状態への影響が大幅に低減される。
【0047】
また、本実施形態にかかる導電性シェル14の基板接続部14aには、前述したように凹部14eからコネクタ外方に向かって延出する半田接合片14fを有していることから、基板接続部14aの半田接合片14fに対する半田材の接合状態が、作業者によって直ちに目視されることとなって作業効率が向上される。
【0048】
このとき、本実施形態にかかる半田接合片14fの先端部は、上述した導電性シェル14の最大外形である上面基板14aの幅方向寸法と同一か、ややコネクタ内方側に位置している。このような構成によって、当該半田接合片14fに対する半田付け作業に支障を与えることなく全体の小型化が可能となっている。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0050】
例えば上述した実施形態においては、可動コンタクト12に貫通穴12gを設けているが、全体の配置関係に応じて、固定コンタクトに貫通穴を設けるようにしても良い。
【0051】
また、本発明は、上述した実施形態のような回路検査スイッチ以外の用途に用いられるスイッチ付同軸コネクタに対しても同様に適用可能である。