特許第5720437号(P5720437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720437
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】自動販売機の商品収納装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/34 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   G07F11/34 A
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-142500(P2011-142500)
(22)【出願日】2011年6月28日
(65)【公開番号】特開2013-11924(P2013-11924A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2014年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150441
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 洋一
(72)【発明者】
【氏名】大野 雄喜
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−108021(JP,A)
【文献】 特開2006−252026(JP,A)
【文献】 特開2006−252114(JP,A)
【文献】 特開2003−109093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のラック側板の間に形成された商品通路の下端部に当該商品通路を挟んで対向配置された商品搬出機構および通路幅規制板を備え、前記通路幅規制板は平板状の基板の左右端部から側方に突き出した上下の係合軸を前記ラック側板に形成した上下の設定溝に挿通して商品通路に進出した進出位置と商品通路から後退した後退位置との間を進退移動自在であって前記進出位置若しくは後退位置において直立姿勢に支持され、かつ、平板状の基板における商品搬出機構の上ペダルに略対峙する位置に商品通路に向けて突出する突出部が折り曲げ形成されてなる自動販売機の商品収納装置において、前記通路幅規制板は、平板状の基板と前記突出部とを連係する折り曲げ部に連ねて前記通路幅規制板から側方に突き出し、かつ、前記基板面に沿う鉛直方向の平面を係止部としてなる係止軸部を備え、当該係止軸部が挿通支持されるとともに前記通路幅規制板が進出位置若しくは後退位置に移動した際に前記係止軸部の係止部と当接して通路幅規制板の後退移動を阻止する第1阻止部および第2阻止部を有する係止溝を前記ラック側板に形成したことを特徴とする自動販売機の商品収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機の商品収納装置に係り、特に商品収納ラックにおける商品通路の下端部に配設された商品搬出機構に対向配置されて前記商品通路の一の内壁を形成するとともに前記商品通路の通路幅を規定する通路幅規制板の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
缶入り飲料,瓶入り飲料,ペットボトル入り飲料などの商品を販売する自動販売機は断熱筐体としてなる本体キャビネットの庫内に前記商品をコールド,ホット状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に複数の商品見本を左右に並べて展示し、前記商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンの操作に基づいて選択された商品を販売するように構成されている。この種の従来の自動販売機としてサーペンタイン式商品収納ラックを搭載した自動販売機を例にその構成を図4に示す。
【0003】
図4において、1は前面が開口した断熱筐体としてなる自動販売機の本体キャビネット、2は本体キャビネット1の前面にヒンジにより開閉可能に支持された外扉、3は本体キャビネット1の庫内前面を閉塞する断熱内扉、4は外扉2に形成された商品取出口である。前記外扉2の前面の上部域にはアクリル樹脂からなる透明板で覆われたディスプレイ室21が形成されている。前記ディスプレイ室21内には、図示は省略したが、複数の商品見本を左右に一列に並べて展示したディスプレイ台が上下方向に複数段並べて取付けられる一方、前記透明板の前面には各ディスプレイ台と対峙する位置に左右方向に横長の商品選択ボタンユニットが設けられている。前記商品選択ボタンユニットは、ディスプレイ台に載置された各商品見本に対応して左右に一列に並べて設けた複数の商品選択ボタンを有している。また、外扉2の前面には、商品の販売に必要なところの、硬貨投入口、紙幣挿入口、返却レバー、扉ロック装置のハンドル、硬貨返却口、商品取出口4などが設けられ、外扉2の背面には硬貨投入口から投入された硬貨の真偽を識別する硬貨識別装置、紙幣挿入口から挿入された紙幣の真偽を識別する紙幣識別装置、硬貨回収ボックス(金庫)、自動販売機の制御を司る制御装置などが設けられている。
【0004】
前記本体キャビネット1の庫内上部には商品Gを収容したサーペンタイン式商品収納ラック5が搭載されている。前記商品収納ラック5は、左右一対のラック側板51,51(図5も参照)に架設される円弧状のラックセグメント52を上下方向に連接してセグメント列を形成し、このセグメント列を前後に半ピッチずらして対向配設することにより上下方向蛇行した商品通路50を画成している。前記商品通路50の上端の通路入口と本体キャビネット1の前面開口(商品投入口)とを連係してトップトレイ53が敷設され一方、前記商品通路50の下端出口には商品通路50を挟んで商品搬出機構6および通路幅規制板7が対向配置されている。
【0005】
前記本体キャビネット1の庫内底部側には商品収納ラック5から搬出落下した商品Gを商品取出口4に導くように前傾姿勢に配設された商品搬出シュータ8、および庫内ファン9,熱交換器(冷凍機のエバポレータ)10,ヒータ(加熱器)11を組合せてなる冷却/加熱ユニット12が配備されている。また、本体キャビネット1の庫内背壁には冷却/加熱ユニット12の風胴12aに連ねて庫内上部に立ち上がる背面ダクト13を備えている。前記本体キャビネット1における底面の機械室には圧縮機,凝縮器,庫外ファンなどからなる冷凍機のコンデンシングユニット14が配設されている。前記冷却/加熱ユニット12が配備された庫内はコールド/ホット兼用室として用いられ、コールド専用室の庫内にはヒータ11を除く庫内ファン9,熱交換器10からなる冷却ユニットが配備される。
【0006】
かかる構成で、商品補給時に本体キャビネット1の前面開口(商品投入口)からトップトレイ53に横倒し姿勢に投入された商品Gはラックセグメント52に沿って蛇行状の商品通路50を転動しながら落下して商品搬出機構6の上に一列に積み上げ収納される。商品収納ラック5に収納された商品Gをコールド商品として販売する場合(コールド運転モード)には、前記熱交換器10と熱交換した冷気が庫内ファン9を通じて風胴12aより前方に吹出し、商品搬出シュータ8の通風穴を介して商品収納ラック5の内部を通風した後、庫内の背面に開口している背面ダクト13を通じて熱交換器10に戻るように循環送風され、この送風過程で商品収納ラック5に収容された商品Gをコールド商品として販売適温に保冷する。商品Gをホット商品として販売する場合(ホット運転モード)には、熱交換器10の代わりに加熱器としてのヒータ11に通電し、ヒータ11で加温された暖気を庫内に循環送風して商品Gをホット商品として販売適温に加熱する。商品収納ラック5に収納された商品Gが販売適温に冷却若しくは加熱されると貨幣の受付を許容し、商品選択ボタンの操作に基づいて商品搬出機構6が作動すると、最下位に並ぶ商品Gから順に下方に落下搬出される。商品収納ラック5から搬出されて商品搬出シュータ8の上に落下した商品Gは商品搬出シュータ8上を滑動ないしは転動して商品取出口4に送出されることは周知のとおりである。
【0007】
前記商品収納ラック5の下端出口に配設された商品搬出機構6と通路幅規制板7を図6に示す。この種の商品搬出機構6は、周知のように前後に並ぶ商品通路50の間に同一構成の商品搬出機構を背中合わせに抱き合わせて対をなすように組付けて配設されるが、図では一方の商品搬出機構6のみを示している。図6に示すように、商品搬出機構6は、最下位位置の商品G(販売商品G1ともいう)を保持する下ペダル61と、販売商品G1を搬出するときに下から2番目位置の商品G(次販売商品G2ともいう)を保持する上ペダル62とを有する。前記下ペダル61は基端が商品通路の壁を形成する基板60に軸支され、先端側が基板60から商品通路50に略水平に突出する突出位置(販売待機位置ともいう)と商品通路50から退避(基板に没入)する退避位置との間を移動自在であり、前記先端側が販売待機位置に突出する方向にばね付勢されている。前記上ペダル62は基端が基板60に軸支され、当該軸支点よりも上方に位置する先端(商品係止部)が基板60から商品通路50に斜め上方に突出する突出位置と商品通路50から退避(基板に没入)する退避位置とに移動自在であり、前記先端が退避位置に復帰(基板に没入)する方向にばね付勢されている。前記基板60の背面(商品通路50とは反対側の面)には所定時間幅の販売指令により励磁される電磁ソレノイド63およびこの電磁ソレノイド63のプランジャーに連結されたリンク機構64が配設されている。前記電磁ソレノイド63のプランジャーおよびリンク機構64は復帰ばね(不図示)により下降位置(販売待機状態)に保持されている。なお、回動ストッパ65は基端が基板60に軸支され、先端(商品係止部)が前記下ペダル61の異形溝部611に係合してなり、前記リンク機構64の作用により商品通路50に突出した突出位置(下ペダル61をロック)と、前記商品通路50から退避(基板60に没入)する退避位置との間を移動自在であり、不図示のコイルばねにより退避する方向にばね付勢されている。
【0008】
前記下ペダル61および上ペダル62は前記電磁ソレノイド63によりリンク機構64を介して駆動される。図6の(a)に示すように、前記電磁ソレノイド63が通電されていない状態(販売待機状態)では下ペダル61はリンク機構64の作用により商品通路50に突出した回動ストッパ65を介して販売待機位置にロックされて販売商品G1を保持する一方、上ペダル62は基板60に没入した退避位置にばね復帰している。図6の(b)に示すように、前記電磁ソレノイド63が通電されるとリンク機構64が上昇し、これに伴って回動ストッパ65が前記商品通路50から退避(基板60に没入)することにより下ペダル61はロックが解除されて販売商品G1の荷重により基板60に没入する退避位置に向けて移動し、販売商品G1が搬出される(販売商品G1の荷重を受けなくなる)と販売待機位置にばね復帰する。これと同時、すなわち、リンク機構54の上昇により上ペダル62は基板60に没入した退避位置から商品通路50に突出するとともに当該突出位置にロックされて次販売商品G2を係止する。この後、電磁ソレノイド63が通電されなくなると復帰ばねの作用により電磁ソレノイド63のプランジャーおよびリンク機構64が復帰して下ペダル61は販売待機状態にロックされ、上ペダル62は退避位置に復帰し、上ペダル62に係止されていた次販売商品G2が下ペダル61の上に落下して保持される。
【0009】
前記商品搬出機構6と対向配置されて商品通路50の一の内壁を形成する通路幅規制板7は、商品通路50の通路幅を商品サイズ(横倒し姿勢の商品Gの太さあり、円柱状容器からなる缶商品の場合には径に相当する)に合わせて規制する役目を果たすものであり、矩形平板状の鋼板製になる。前記通路幅規制板7は、矩形平板状の基板70の上下の左右端部から側方に突き出した係合軸71,71(図5参照)を備え、当該係合軸71,71を左右一対のラック側板51,51に形成した上下の設定溝51a,51bに挿通することによりラック側板51,51の間に直立姿勢に支持されている。前記設定溝51a,51bのうち、上部の設定溝51aは前後(商品搬出機構6に接近した位置と離隔した位置)方向に段差がある階段状に形成され、下部の設定溝5bは商品通路50方向に傾いた逆U字形に形成されており、下部の設定溝51bの前後(商品搬出機構6に接近した位置と離隔した位置)の各端部と上部の調節溝51aの上下に延在する前後(商品搬出機構6に接近した位置と離隔した位置)の溝部とが鉛直線上に位置するように形成されている。前記通路幅規制板7は、前記係合軸71,71を設定溝51a,51bに沿って手動操作により進出位置(細幅設定位置)と後退位置(太幅設定位置)に進退移動させることにより通路幅を設定するように構成されている(例えば、特許文献1)。また、通路幅規制板7は、商品搬出機構6の上ペダル62が商品通路50に突出した際にその先端(商品係止部)と略対峙する位置に商品通路50の向けて突出する突出部72(図6参照)を備え、上ペダル62による次販売商品G2の係止を確実なものとしている(例えば、特許文献2)。
【0010】
ところで、前記通路幅規制板7は販売待機状態において下ペダル61と協働して商品Gを保持し、商品販売時には上ペダル62と協働して商品Gを保持するように構成されているので、商品通路50に積み重ねて収納された商品荷重を受ける。この商品荷重は設定溝51a,51bに嵌挿された通路幅規制板7における係合軸71,71に集中して加わる。この場合、係合軸71,71は通路幅規制板7の基板70に一体成形されているので、係合軸71,71の機械的強度を補償するためには通路幅規制板7の板厚を厚くせねばならない。通路幅規制板7の板厚が厚くなると材料費が嵩むとともに比較的小さな係合軸71,71をプレス加工により一体成形することが困難であるので作業工数が増加するという問題を有する。そこで、通路幅規制板7の薄板化を図り、薄板化した場合に生じる係合軸71,71の変形を防止するため、係合軸71,71を有する規定寸法の通路幅規制板7に加えて上下方向に延長した追加延長部に左右端部から側方に突出する係合軸を形成した上で当該上下の追加延長部を折り返して規定寸法の通路幅規制板7係合軸71,71に重なり合うように密着させ、通路幅規制板7を薄い鋼板により構成しても係合軸71,71の機械的強度を補償するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4341940号公報
【特許文献2】特開2003−196728号公報
【特許文献3】特開2010−108021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述した特許文献3に記載された自動販売機の商品搬出装置によれば、通路幅規制板7を薄板化できる点で優れている。しかしながら、薄い鋼板からなる係合軸71,71の機械的強度を補償するために規定寸法の通路幅規制板7に対して上下方向に延長した追加延長部を設けねばならず、規定寸法の通路幅規制板7よりも長い寸法の材料を必要とするという点で解決すべき課題を有する。
【0013】
前記課題を解決するため本発明者は種々検討した結果、通路幅規制板7に折り曲げ形成された突出部72の構成に着目した。すなわち、通路幅規制板7に折り曲げ形成された突出部72は、商品搬出機構6の上ペダル62による次販売商品G2の係止を確実なものとするために上ペダル62が商品通路50に突出した際にその先端(商品係止部)と略対峙する位置に形成されており、商品通路50に突出した上ペダル62の商品係止部とともに次販売商品G2を係止する。このため、通路幅規制板7においては次販売商品G2が当接した突出部72の位置に次販売商品G2およびその上に積み重ねられた商品荷重が加わる。また、販売待機状態において販売商品G1は商品通路50に突出した下ペダル61と通路幅規制板7の突出部72若しくは突出部72の近傍に当接して保持され、通路幅規制板7においては販売商品G1が当接する突出部72若しくはその近傍の位置に販売商品G1およびその上に積み重ねられた商品荷重が加わる。このように、通路幅規制板7に折り曲げ形成された突出部72若しくはその近傍の位置に商品荷重が加わることおよび前記突出部72が通路幅規制板7に折り曲げ形成されている点、つまり、単なる平板に対して平板に折り曲げ部を形成した場合には機械的強度が向上する点に着目し、通路幅規制板7の突出部位置に商品荷重を受ける軸部を形成すれば薄板化した場合にも軸部が変形しないことを見出した。
【0014】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、通路幅規制板の薄板化を可能にしつつ規定寸法の材料のみで係合軸の機械的強度を補償することのできる自動販売機の商品収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため請求項1に係る発明は、左右一対のラック側板の間に形成された商品通路の下端部に当該商品通路を挟んで対向配置された商品搬出機構および通路幅規制板を備え、前記通路幅規制板は平板状の基板の左右端部から側方に突き出した上下の係合軸を前記ラック側板に形成した上下の設定溝に挿通して商品通路に進出した進出位置と商品通路から後退した後退位置との間を進退移動自在であって前記進出位置若しくは後退位置において直立姿勢に支持され、かつ、平板状の基板における商品搬出機構の上ペダルに略対峙する位置に商品通路に向けて突出する突出部が折り曲げ形成されてなる自動販売機の商品収納装置において、前記通路幅規制板は、平板状の基板と前記突出部とを連係する折り曲げ部に連ねて前記通路幅規制板から側方に突き出し、かつ、前記基板面に沿う鉛直方向の平面を係止部としてなる係止軸部を備え、当該係止軸部が挿通支持されるとともに前記通路幅規制板が進出位置若しくは後退位置に移動した際に前記係止軸部の係止部と当接して通路幅規制板の後退移動を阻止する第1阻止部および第2阻止部を有する係止溝を前記ラック側板に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る自動販売機によれば、左右一対のラック側板の間に形成された商品通路の下端部に当該商品通路を挟んで対向配置された商品搬出機構および通路幅規制板を備え、前記通路幅規制板はその左右端部から側方に突き出した上下の係合軸を前記ラック側板に形成した上下の設定溝に挿通して商品通路に進出した進出位置と商品通路から後退した後退位置との間を進退移動自在であって前記進出位置若しくは後退位置において直立姿勢に支持され、かつ、商品搬出機構の上ペダルに略対峙する位置に商品通路に向けて突出する突出部が折り曲げ形成されてなる自動販売機の商品収納装置において、前記通路幅規制板は、当該基板と前記突出部とを連係する折り曲げ部に連ねて前記通路幅規制板から側方に突き出し、かつ、前記基板面に沿う鉛直方向の平面を係止部としてなる係止軸部を備え、当該係止軸部が挿通支持されるとともに前記通路幅規制板が進出位置若しくは後退位置に移動した際に前記係止軸部の係止部と当接して通路幅規制板の後退移動を阻止する第1阻止部および第2阻止部を有する係止溝を前記ラック側板に形成したことにより、通路幅規制板が受ける商品荷重は係止軸部に集中して加わる。この場合、係合軸部は通路幅規制板に設けた突出部に連ねて形成されているので当該係合軸部の機械的強度が補償される。一方、通路幅規制板の上下の係合軸に加わる商品荷重は係止軸部に比較すれば僅かなものとなる。したがって、通路幅規制板の上下の係合軸は設定溝に沿って移動することにより通路幅規制板を所定位置に導くガイドの機能のみを有すればよく、通路幅規制板を薄板化した場合にも上下の係合軸の機械的強度が補償される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明における実施の形態である自動販売機の商品収納装置を示す要部斜視図である。
図2図1の通路幅規制板を示し、(a)は通路幅規制板の全体構成図、(b)は(a)のA部の拡大図である。
図3】ラック側板に通路幅規制板を組付けた状態を示し、(a)はその要部拡大斜視図、(b)は(a)のB部の拡大図である。
図4】本発明の実施対象となる自動販売機の側面図である。
図5図4の商品収納装置の要部斜視図である。
図6図4の商品搬出機構と通路幅規制板を示し、(a)は販売待機状態の側面図、(b)は販売時の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品収納装置について添付図面を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品収納装置が従来装置と相違する点は主に通路幅規制板70であり、自動販売機の全体構成は図4に示したものと同一であり、また、商品搬出機構6の構成は図6に示したものと同一であるので適宜図4および図6を参照しつつ説明を行う。
【0019】
図1において、5は商品収納ラックであり、左右一対のラック側板51,51を備え、この左右一対のラック側板51,51には円弧状のラックセグメント52が上下方向に連接して架設されている。前記ラックセグメント52を上下方向に連接したセグメント列を前後に半ピッチずらして対向配設することにより上下方向蛇行した商品通路50(図4参照)を画成し、前記商品通路50の上端の通路入口と本体キャビネット1の前面開口(商品投入口)とを連係してトップトレイ53が敷設され一方、前記商品通路50の下端出口には商品通路50を挟んで商品搬出機構6(図4参照)および通路幅規制板7Aが対向配置されている。なお、前記商品通路50および商品搬出機構6は、図1ではラック側板51に隠れて見えないが、商品搬出機構6は、周知のとおり前後に並ぶ商品通路50の間に同一構成の商品搬出機構を背中合わせに抱き合わせて対をなすように組付けて配設されている。
【0020】
前記商品搬出機構6と対向配置されて商品通路50の一の内壁を形成する通路幅規制板7Aは、図2に示すように、矩形平板状の基板70の上下の左右端部から側方に突き出した係合軸71,71を備えるとともに、商品搬出機構6の上ペダル62(図6参照)が商品通路50に突出した際にその先端(商品係止部)と略対峙する位置に商品通路50に向けて突出する突出部72を備えており、これらの点は図6に示す従来装置と同一である。この通路幅規制板7Aが従来装置と相違する点は、材料と構造の2点である。まず、第1の材料の点は、従来装置と同様に矩形平板状の鋼板製であるが、鋼板の板厚が従来装置よりも薄い薄板鋼板を使用している点である。ちなみに、従来装置における通路幅規制板7の板厚が5mmであるのに対し、この実施の形態1の通路幅規制板7Aには3mmの薄板鋼板が用いられている。次に、第2の構造の点は、前記突出部72に連ねて通路幅規制板7Aから側方に突き出した係止軸部73,73を設けた点である。この係止軸部73,73については後述する。また、ラック側板51には、図3に示すように、前記通路幅規制板7Aの上下の係合軸71,71が挿通される上下の設定溝51a,51bを備えおり、これは従来装置と同一である。このラック側板51,51が従来装置と相違する点は、前記係止軸部73,73が挿入支持される係止溝51cが追加装備されている点であり、この係止溝51cについても後述する。
【0021】
さて、通路幅規制板7Aの係止軸部73,73は、図2に示すように、平板状の基板70と前記突出部72とを連係する折り曲げ部731に連ねて前記基板70から側方に突き出すように形成され、前記基板70の板面に沿う鉛直方向の平面からなる係止部73Aと斜め上方に傾斜した傾斜部73Bからなる。このように、係止軸部73,73は、折り曲げ部731を挟んで、基板70の板面に沿う鉛直方向の平面からなる係止部73Aと斜め上方に傾斜した傾斜部73Bとからなることにより、前記係止部73Aに対して傾斜部73Bがフランジとしての機能を備える。したがって、係止軸部73,73は基板70が薄板鋼板からなる場合にも機械的強度が高められている。
【0022】
前記通路幅規制板7Aの係止軸部73,73に対してラック側板51,51には、図3に示すように、係止溝51cが追加装備されている。この係止溝51cは、前記通路幅規制板7Aの上下の係合軸71,71が挿通される上下の設定溝51a,51bに対して広幅に形成されており、前記通路幅規制板7Aが進出位置(細幅設定位置)若しくは後退位置(太幅設定位置)に移動した際に前記係止軸部73,73の係止部73Aと当接して通路幅規制板7Aの後退移動を阻止する第1阻止部51c1および第2阻止部51c2を備えている。この係止溝51cが上下の設定溝51a,51bに対して広幅に形成されているのは、手動操作により前記係合軸71,71を設定溝51a,51bに沿って進出位置(細幅設定位置)と後退位置(太幅設定位置)に進退移動させることにより通路幅を設定する際に前記係止軸部73,73が係止溝51cの溝縁に当接して通路幅設定を阻害することがないようにしたものである。また、前記係止溝51cの第1阻止部51c1および第2阻止部51c2は、前記下部の設定溝51bの前後(商品搬出機構6に接近した位置と離隔した位置)の各端部と、上部の調節溝51aの上下に延在する前後(商品搬出機構6に接近した位置と離隔した位置)の溝部とを結ぶ線上に位置するように形成されている。
【0023】
前記通路幅規制板7Aは、従来装置と同様に、上下の係合軸71,71と係止軸部73を左右一対のラック側板51,51に形成した上下の設定溝51a,51bと係止溝51cに挿通することによりラック側板の間に直立姿勢に支持され、手動操作により上下の係合軸71,71を設定溝51a,51bに沿って進出位置(細幅設定位置)と後退位置(太幅設定位置)に移動させることにより通路幅を設定する。この実施の形態に係る前記通路幅規制板7Aが、従来装置と相違する点は、前記通路幅規制板7Aを進出位置(細幅設定位置)と後退位置(太幅設定位置)に移動させた場合、係止軸部73の係止部73Aが係止溝51cの第1阻止部51c1と第2阻止部51c2とにそれぞれ当接するように構成した点である。図3では前記通路幅規制板7Aが後退位置(太幅設定位置)に移動した状態を示し、係止軸部73の係止部73Aが係止溝51cの第2阻止部51c2に当接している。図3の状態から手動操作により上下の係合軸71,71を設定溝51a,51bに沿って進出位置(細幅設定位置)に移動させた場合には、係止軸部73の係止部73Aが係止溝51cの第1阻止部51c1に当接する。
【0024】
このように、前記通路幅規制板7Aを進出位置(細幅設定位置)と後退位置(太幅設定位置)に移動させた場合、係止軸部73の係止部73Aが係止溝51cの第1阻止部51c1と第2阻止部51c2とにそれぞれ当接するように構成することにより通路幅規制板7Aに加わる商品荷重が係止軸部73に集中してかかることとなる。前記係止軸部73に商品荷重が集中してかかる理由は、次のとおりである。すなわち、通路幅規制板7に折り曲げ形成された突出部72は、図6に示すように、商品搬出機構6の上ペダル62による次販売商品G2の係止を確実なものとするために上ペダル62が商品通路50に突出した際にその先端(商品係止部)と略対峙する位置に形成されており、商品通路50に突出した上ペダル62の商品係止部とともに次販売商品G2を係止する。このため、通路幅規制板7においては次販売商品G2が当接した突出部72の位置に次販売商品G2およびその上に積み重ねられた商品荷重が集中して加わる。また、販売待機状態において販売商品G1は商品通路50に突出した下ペダル61と通路幅規制板7の突出部72若しくは突出部72の近傍に当接して保持され、通路幅規制板7においては販売商品G1が当接する突出部72若しくはその近傍の位置に販売商品G1およびその上に積み重ねられた商品荷重が集中して加わる。このように、通路幅規制板7に折り曲げ形成された突出部72若しくはその近傍の位置に商品荷重が集中して加わることから、突出部72に連ねて形成されて係止軸部73がラック側板51に形成した係止溝51cの第1阻止部51c1と若しくは第2阻止部51c2に当接した場合に当該係止軸部73に商品荷重が集中して加わるのである。
【0025】
このように、前記係止軸部73に商品荷重が集中して加えられた場合、係止軸部73の剛性が弱い場合には変形してしまうが、本発明に係る係止軸部73は、平板状の基板70と前記突出部72とを連係する折り曲げ部731に連ねて前記基板70から側方に突き出すように形成されて機械的強度が高められているので、商品荷重によっても変形することがないものである。そして、前記係止軸部73の係止部73Aが係止溝51cの第1阻止部51c1若しくは第2阻止部51c2に当接することによって通路幅規制板7Aに加わる商品荷重の殆どを受け持つことから、通路幅規制板7Aの上下の係合軸71,71に商品荷重が加わることが殆どない。したがって、上下の係合軸71,71は通路幅規制板7Aを進出位置(細幅設定位置)と後退位置(太幅設定位置)にセットする際のガイドの機能を果たせばよく、通路幅規制板7Aを薄い鋼板により構成した場合にも上下の係合軸71,71の機械的強度が問題となることはない。
【0026】
なお、商品通路50に積み重ねられる商品の積層状態は千差万別であるので、通路幅規制板7Aにおける上下の係合軸71,71に商品荷重がかかることを避けることはできないが、当該上下の係合軸71,71にかかる商品荷重は係合軸部72が受け持つ商品荷重に比較して僅かである。したがって、通路幅規制板7Aを薄い鋼板により構成した場合にも上下の係合軸71,71の機械的強度は補償されるものである。
【0027】
前述したとおり本発明によれば、左右一対のラック側板51の間に形成された商品通路50の下端部に当該商品通路50を挟んで対向配置された商品搬出機構6および通路幅規制板7Aを備え、前記通路幅規制板7Aは平板状の基板70の左右端部から側方に突き出した上下の係合軸71,71を前記ラック側板51に形成した上下の設定溝51a,51bに挿通して商品通路50に進出した進出位置(細幅設定位置)と商品通路から後退した後退位置(太幅設定位置)との間を進退移動自在であって前記進出位置若しくは後退位置において直立姿勢に支持され、かつ、平板状の基板70における商品搬出機構6の上ペダル62に略対峙する位置に商品通路50に向けて突出する突出部72が折り曲げ形成されてなる自動販売機の商品収納装置において、前記通路幅規制板7Aは、平板状の基板70と前記突出部72とを連係する折り曲げ部731に連ねて前記通路幅規制板7Aから側方に突き出し、かつ、前記基板70の板面に沿う鉛直方向の平面を係止部73Aとしてなる係止軸部73を備え、当該係止軸部73が挿通支持されるとともに前記通路幅規制板7Aが進出位置若しくは後退位置に移動した際に前記係止軸部73の係止部73Aと当接して通路幅規制板7Aの後退移動を阻止する第1阻止部51c1および第2阻止部51c2を有する係止溝51cを前記ラック側板51に形成したことにより、通路幅規制板7Aが受ける商品荷重は係止軸部73に集中して加わるが、当該係止軸部73が折り曲げ部731を備えて機械的強度が高められているので、商品荷重によっても変形することがない。これにより、前記係止軸部73とともに通路幅規制板7Aに加わる商品荷重を分担して受け持つ上下の係合軸71,71に加わる商品荷重を僅かなものとすることが可能である。したがって、上下の係合軸71,71は、設定溝51a,51bに沿って移動することにより通路幅規制板7Aを所定位置(細幅設定位置,太幅設定位置)に導くガイドの機能のみを有すればよい。よって、通路幅規制板7Aを薄板化した場合にも通路幅規制板7Aに設けた突出部72に連ねて係止軸部73を形成することによって、上下の係合軸71,71の機械的強度が補償される。
【0028】
上記実施の形態においては通路幅規制板7Aの係止軸部73が突起72の下方の折り曲げ部を利用した形態について説明したが、係止軸部73を突起72の上方の折り曲げ部を利用することもできるものである。また、ラック側板51,51に形成した係止溝51cの形状も図示形状に限られるものではなく、前述した実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0029】
5…商品収納ラック、6…商品搬出機構、7A…通路幅規制板、51…ラック側板、51a,51b…設定溝、51c…係止溝、51c1…第1阻止部、51c2…第2阻止部、61…下ペダル、62…上ペダル、70…基板、71…係合軸、72…突起、73…係止軸部、73A…係止部、731…折り曲げ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6