(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の規制部は、前記操作ツマミの前記シャフトの軸線方向への移動を、前記操作ツマミの前記シャフトの軸線回りにおける所定の角度範囲で当接により規制すると共に前記所定の角度範囲以外で許容し、
前記操作ツマミの前記シャフトへの取り付けの際に、前記操作ツマミが、前記第1の規制部によって前記シャフトの軸線方向への移動が許容された後に、前記第2の規制部によって前記シャフトに保持されるよう構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の操作ツマミの取付構造。
前記シャフトの先端から前記凸部の前記シャフトの根本側の面までの距離が前記収容空間と前記当接部との間の距離の内の、最短となる距離以下であることを特徴とする請求項9に記載の操作ツマミの取付構造。
前記凸部は前記シャフトの軸線方向に複数形成されており、前記複数の凸部のうち少なくとも2つの凸部における前記欠落部で周方向の相対位置が異なっていることを特徴とする請求項9又は10に記載の操作ツマミの取付構造。
前記複数の凸部のうち少なくとも2つの凸部の間に前記シャフトの軸線方向に延びて前記当接部の周方向の移動を規制する周方向規制部が形成されており、前記当接部は前記シャフトの径方向外側への可撓性を持った腕部を介して前記操作ツマミに形成されていることを特徴とする請求項11に記載の操作ツマミの取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された構成は、操作ツマミに対してシャフトから外れる方向に意図しない力が加わった場合、操作ツマミがシャフトから容易に外れてしまう可能性があった。このため、状況によっては操作ツマミの紛失等が懸念され、改善が望まれるものであった。
【0005】
そこで、本願発明の目的は、操作ツマミがシャフトから容易に外れることがない操作ツマミの取付構造と、その構造を備えた電子機器と、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
1) 操作ツマミをシャフトに取り付けた状態で保持する操作ツマミの取付構造であって、
前記操作ツマミの、前記シャフトの軸線方向への移動の禁止と許容とが、当接の有無によって選択されるよう構成された第1の規制部と、
前記操作ツマミの前記シャフトの軸線方向への移動を前記シャフトの先端部分において摩擦力で規制して前記操作ツマミを前記シャフトに保持させる第2の規制部と、を備え
、
前記第1の規制部は、前記許容を、前記第2の規制部の規制が外れた状態でのみ選択可能なよう構成されていることを特徴とする操作ツマミの取付構造である。
2) 操作ツマミをシャフトに取り付けた状態で保持する操作ツマミの取付構造であって、
前記操作ツマミの、前記シャフトの軸線方向への移動の禁止と許容とが、当接の有無によって選択されるよう構成された第1の規制部と、
前記操作ツマミの前記シャフトの軸線方向への移動を前記シャフトの先端部分において摩擦力で規制して前記操作ツマミを前記シャフトに保持させる第2の規制部と、を備え
、
前記第2の規制部は、前記操作ツマミの前記シャフトに対する回動方向の相対的な移動を規制し、
前記第1の規制部は、前記操作ツマミの前記シャフトの軸線方向の移動を、前記操作ツマミのユーザによる回動を伴う操作により許容する構造であることを特徴とする操作ツマミの取付構造である。
3) 操作ツマミをシャフトに取り付けた状態で保持する操作ツマミの取付構造であって、
前記操作ツマミの、前記シャフトの軸線方向への移動の禁止と許容とが、当接の有無によって選択されるよう構成された第1の規制部と、
前記操作ツマミの前記シャフトの軸線方向への移動を前記シャフトの先端部分において摩擦力で規制して前記操作ツマミを前記シャフトに保持させる第2の規制部と、を備え
、
前記第1の規制部で許容されるときの前記操作ツマミと前記シャフトとの軸線方向相対位置と、前記第2の規制部で規制されるときの前記操作ツマミと前記シャフトとの軸線方向相対位置とが、異なっていることを特徴とする操作ツマミの取付構造である。
4) 操作ツマミをシャフトに取り付けた状態で保持する操作ツマミの取付構造であって、
前記操作ツマミの、前記シャフトの軸線方向への移動の禁止と許容とが、当接の有無によって選択されるよう構成された第1の規制部と、
前記操作ツマミの前記シャフトの軸線方向への移動を前記シャフトの先端部分において摩擦力で規制して前記操作ツマミを前記シャフトに保持させる第2の規制部と、を備え
、
前記シャフトは先端に被圧入部を有すると共に、外周に前記シャフトの軸線と直交する若しくは前記軸線から離れるに従って前記シャフトの先端側に向かうよう傾斜した第1規制面が一体的に又は別体により設けられており、
前記操作ツマミは、前記シャフトの前記被圧入部を収容する収容空間を有すると共に第2規制面が形成され、前記収容空間に前記被圧入部が圧入されて前記シャフトの先端に取り付けられた状態となり、
前記シャフトに前記操作ツマミが取り付けられた状態で、
前記第2規制面は前記第1規制面よりも前記被圧入部から遠い位置にあって、前記軸線の方向からみたときに前記第1規制面と少なくとも一部が重なる位置に設けられており、
前記第2規制面は前記軸線方向に移動することにより前記第1規制面と当接し、前記第2規制面と前記第1規制面との当接により前記第1の規制部における前記シャフトの軸線方向の移動が禁止されることを特徴とする操作ツマミの取付構造である。
5) 操作ツマミをシャフトに取り付けた状態で保持する操作ツマミの取付構造であって、
前記操作ツマミの、前記シャフトの軸線方向への移動の禁止と許容とが、当接の有無によって選択されるよう構成された第1の規制部と、
前記操作ツマミの前記シャフトの軸線方向への移動を前記シャフトの先端部分において摩擦力で規制して前記操作ツマミを前記シャフトに保持させる第2の規制部と、を備え
、
前記シャフトは前記先端部分に被圧入部を有すると共に、外周から径方向外側へ鍔状に突出し、周方向で一部が欠落した欠落部を有する凸部が一体的に又は別体により設けられ、前記操作ツマミには前記シャフトの前記被圧入部を収容する収容空間を有すると共に前記シャフトの前記凸部に当接可能な当接部が形成されており、前記凸部と前記当接部との当接により前記操作ツマミの、前記第1の規制部における前記シャフトの軸線方向への移動が禁止されることを特徴とする操作ツマミの取付構造である。
6) 操作ツマミをシャフトに取り付けた状態で保持する操作ツマミの取付構造であって、
前記操作ツマミの、前記シャフトの軸線方向への移動の禁止と許容とが、当接の有無によって選択されるよう構成された第1の規制部と、
前記操作ツマミの前記シャフトの軸線方向への移動を前記シャフトの先端部分において摩擦力で規制して前記操作ツマミを前記シャフトに保持させる第2の規制部と、を備え
、
前記第1の規制部は、前記操作ツマミの前記シャフトの軸線方向への移動及び軸線回りの回動を、前記操作ツマミの前記シャフトの軸線回りにおける所定の角度位置で当接により規制し、
前記操作ツマミは、前記軸線方向の移動及び前記軸線回りの移動について、前記第1の規制部と前記第2の規制部とによる規制が同時に行われることによって前記シャフトに保持されていることを特徴とする操作ツマミの取付構造である。
7) 操作ツマミをシャフトに取り付けた状態で保持する操作ツマミの取付構造であって、
前記シャフトは先端部分に被圧入部を有すると共に、外周から径方向外側へ鍔状に突出し、周方向で一部が欠落した欠落部を有する凸部が一体的に又は別体により設けられ、
前記操作ツマミには前記シャフトの前記被圧入部を収容する収容空間を有すると共に前記シャフトの前記凸部に当接可能な当接部が形成されており、前記収容空間に前記被圧入部が圧入されて前記シャフトの先端に取り付けられた状態となると共に、前記凸部と前記当接部との当接により前記操作ツマミの、前記シャフトの軸線方向の移動が禁止されることを特徴とする操作ツマミの取付構造である。
【0007】
17) 操作ツマミをシャフトに取り付けた状態で保持する操作ツマミの取付構造であって、
前記シャフト(3,3A,3AA)は先端に被圧入部(3c)を有すると共に、外周に前記シャフト(3,3A,3AA)の軸線(C)と直交する若しくは前記軸線(C)から離れるに従って前記シャフト(3,3A,3AA)の先端側に向かうよう傾斜した第1規制面(3h,3Afs)が一体的に又は別体により設けられており、
前記操作ツマミ(5,5A,5A1)は、前記シャフト(3,3A,3AA)の前記被圧入部(3c)を収容する収容空間(13)を有すると共に第2規制面(14a,14Au)が形成され、
前記収容空間(13)に前記被圧入部(3c)が圧入されて前記シャフト(3,3A,3AA)の先端に取り付けられた状態となり
前記シャフト(3,3A,3AA)に前記操作ツマミ(5,5A,5A1)が取り付けられた状態で、
前記第2規制面(14a,14Au)は前記第1規制面(3h,3Afs)よりも前記被圧入部(3c)から遠い位置にあって、前記軸線(C)の方向から見たときに前記第1規制面(3h,3Afs)と少なくとも一部が重なる位置に設けられていることを特徴とする操作ツマミの取付構造である。
18) 操作ツマミをシャフトに取り付けた状態で保持する操作ツマミの取付構造であって、
前記シャフト(3A,3AA)は先端部分に被圧入部(3c)を有すると共に、外周から径方向外側へ鍔状に突出し、周方向で一部が欠落した欠落部(3Af1)を有する凸部(3Af)が一体的に又は別体により設けられ、
前記操作ツマミ(5A,5A1)には前記シャフト(3A,3AA)の前記被圧入部(3c)を収容する収容空間(13)を有すると共に前記シャフト(3A,3AA)の前記凸部(3Af)に当接可能な当接部(14A)が形成されており、前記収容空間(13)に前記被圧入部(3c)が圧入されて前記シャフト(3A,3AA)の先端に取り付けられた状態となると共に、前記凸部(3Af)と前記当接部(14A)との当接により前記操作ツマミ(5A,5A1)の、前記シャフト(3A,3AA)の軸線方向の移動が禁止されることを特徴とする操作ツマミの取付構造である。
【0008】
19) 1)〜18)のいずれか一つに記載の操作ツマミの取付構造を備え、
前記シャフト(3,3A,3AA,3B)の回転により電気的特性が変化するように、又は電気的特性が異なるものになるように構成されていることを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、操作ツマミがシャフトから容易に外れることがない、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の電子機器の実施例を示す。
実施例の電子機器は、無線機KMである。例えば、無線機KMはハンディトランシーバである。
無線機MKは、天面に、操作ツマミ5を有する回転操作部1とアンテナMaとを備えて構成されている。
無線機MKの内部には、図示しないシャシ15(
図4参照)が収納されている。回転操作部1及びアンテナMaはシャシ15によって直接的又は間接的に支持されている。
【0012】
図2に示すように、回転操作部1は、ボリューム2と、シャフト3と、ナット4と、操作ツマミ5と、を備えている。
以下、回転操作部1を例に、操作ツマミの取付構造の好ましい実施の形態を説明する。
【0013】
<実施例1>
操作ツマミの取付構造の実施例1は、操作ツマミとシャフトとの圧入部に加え、、シャフト及び操作ツマミの一方側にねじ部を設けると共に操作ツマミを軸線方向に直動させた際にこのねじ部に当接してその移動が規制される爪部を他方側に備え、操作ツマミを、圧入部から抜けた状態で回転させることで爪部がねじ部を通過できるようにした構造である。以下、各部材について詳述する。
【0014】
(ボリューム2)
ボリューム2は、ボリューム本体2aと、シャシ取付用の雄ねじ部2bと、から構成されている。ボリューム本体2aは、可変型抵抗器を収容する。雄ねじ部2bは、ボリューム本体2aから突出して形成された筒体である。雄ねじ部2bの外周には雄ねじ2cが形成されている。
【0015】
(シャフト3)
シャフト3は、ボリューム2によって回転可能に支持されている。シャフト3は、被収容部3aと露出部3bとを有して構成されている。
被収容部3aは、ボリューム2内に収容されている。
露出部3bは、雄ねじ部2bから
図2の上方に向け延出して外部に露出している。
露出部3bは、被圧入部3cと延長部3dとを有して構成されている。
被圧入部3cは、操作ツマミ5に圧入される。
被圧入部3cは、シャフト3の先端側に形成されている。
被圧入部3cは、シャフト3の軸線Cに沿って見たときに、即ち平面視で、アルファベットの”D”字状に一部が欠けた形状となっている(所謂Dカット)。
延長部3dの外周面3eには、操作ツマミ5の抜け止めのための雄ねじ部3fが形成されている。
雄ねじ部3fは、被圧入部3cの近傍に形成されている。
雄ねじ部3fのねじ山は、上フランク面3gと下フランク面3hとを有する(
図4参照)。
上フランク面3gは、雄ねじ部3fのねじ山の、被圧入部3c側(
図4の上方側)を向くフランク面である。下フランク面3hは、雄ねじ部3fのねじ山の、被収容部3a側(
図4の下方側)を向くフランク面である。
具体的には、上フランク面3gは、シャフト3の軸線Cに向かうに従ってシャシ15から離れるように延在する斜面である。
一方、下フランク面3hは、シャフト3の軸線Cに向かうに従ってシャシ15へ近づくように延在する斜面、又は軸線Cと直交する面である。
【0016】
すなわち、
図4の断面視において、下フランク面3hに対して直交すると共に下フランク面3hから離れる向きとして定義される第1方向Eと、シャフト3の軸線Cと、の成す角θは、0°以上90°未満である。
本実施形態において角θは鋭角であり、θは、例えば約45°である。
角度θは、0°又は0°に近いことが望ましい。この理由は後述する。
シャフト3は、金属材料で形成されている。
シャフト3の材料は金属に限定されるものではなく、樹脂材でもよい。樹脂材の場合は、高強度の繊維強化樹脂であるとより好ましい。
【0017】
(ナット4)
図2に示すナット4は、ボリューム2のシャシ取付用の雄ねじ部2bの雄ねじ2cに対してネジ結合するナットである。
図4に示すように、ナット4とボリューム本体2aとの間にシャシ15を挟み込むようにして回転操作部1はシャシ15に取り付けられている。
【0018】
(ツマミ5)
図2,
図4などに示すように、操作ツマミ5は、ツマミ本体6とDバネ7と、を有して構成されている。
Dバネ7は、横断面がD形状で軸線方向のスリットを有するリング状であって、径方向の弾性反発力を発揮するように形成されている。
Dバネ7は、ツマミ本体6に設けられた嵌合穴6k(
図4参照)に圧入されると共に、内側に挿入されたシャフト3を縮径方向に付勢し、ツマミ本体6をシャフト3に対して圧入状態で嵌合させる。Dバネ7には、シャフト3のDカット形状の部分が挿入される。
【0019】
ツマミ本体6は、樹脂製のツマミである。
図3及び
図4に示すように、ツマミ本体6は、有底円筒のコップ状に形成されている。
ツマミ本体6は、ユーザが指で摘む筒部8と、筒部8の一端を閉塞する蓋部9と、Dバネ収容部10と、複数の腕部11と、を有して構成されている。実施例では、腕部11は三つ設けられている。
筒部8,蓋部9,Dバネ収容部10,及び腕部11は、一体形成されている。
筒部8及び蓋部9は、ツマミ本体6の内部に所定の空間12を形成している。
Dバネ収容部10と腕部11とは、空間12内に配置されている。
腕部11は、腕形状となっている。
ツマミ本体6を射出成形で形成し蓋部9に開口部を設けない場合、腕部11は所謂アンダーカット部となる。
この場合、腕部11の可撓性を利用し、腕部11を撓ませながら金型から取り出す(所謂ムリぬき)。
蓋部9の腕部11に対応した位置に開口部を設ければ、アンダーカットを回避し、腕部11を撓ませることなく所謂順抜きでツマミ本体6を金型から取り出すことができる。
【0020】
Dバネ収容部10は、Dバネ7を圧入的に収容して保持する。
Dバネ収容部10は、蓋部9に接続して形成されている。
Dバネ7内には、シャフト3の露出部3bにおける被圧入部3cを収容して保持する収容空間13が形成されている。
【0021】
腕部11は、Dバネ収容部10に連結すると共に蓋部9から離れる方向へ延びて形成されている。
腕部11の先端部11aには、爪部14が形成されている。
具体的には、爪部14は、腕部11の先端部11aに接続し、腕部11の先端部11aからシャフト3の軸線Cに向かって突出して形成されている。
爪部14は、爪部14の先端に向かって先細る形状に形成されている。
例えば、雄ねじ部3fのねじ山の形状に対応した形状とされている。
爪部14は、雄ねじ部3fに螺合する。
爪部14は、奥側傾斜面14aと手前側傾斜面14bとを有する。
奥側傾斜面14aは、蓋部9側を向いている。
奥側傾斜面14aは、シャフト3の軸線Cに向かうに従ってシャシ15に接近する傾斜面として形成されている。
より詳しくは、奥側傾斜面14aは、シャフト3の雄ねじ部3fのねじ山における下フランク面3hに対し、対向すると共に軸線Cの方向において干渉する位置に設けられている。
一方、手前側傾斜面14bは、蓋部9とは反対側を向いている。
手前側傾斜面14bは、シャフト3の軸線Cに向かうに従ってシャシ15から離れる傾斜面として形成されている。
奥側傾斜面14aは、爪部14に形成される傾斜面のうちツマミ本体6の開口部から見て奥側の傾斜面である。
手前側傾斜面14aは、爪部14に形成される傾斜面のうちツマミ本体6の開口部から見て手前側の傾斜面である。
ツマミ本体6の複数の腕部11の各爪部14は、シャフト3の雄ねじ部3fのねじ山に沿って、同時に螺合し螺旋的に移動可能に形成されている。
すなわち、各爪部14の軸線C方向の位置は、雄ねじ部3fの雄ねじのピッチと軸線C回りの爪部14の位置とに応じ、すべての爪部14が同時に雄ねじ部3fのねじ山に螺合するように決められている。
【0022】
図5に示すように、軸線Cの方向において、操作ツマミ5のDバネ7のシャフト収容空間13と操作ツマミ5における複数の爪部14との間の距離の内の、最短となる距離L1は、シャフト3の被圧入部3cと雄ねじ部3fとが、収容空間13の爪部14側端と爪部14との間の空間に同時に収まることができるように設定されている。
換言すれば、シャフト3の軸線Cの方向における、シャフト3の被圧入部3cの先端と雄ねじ部3fの下端との合計の長さL2は、距離L1以下である。
各部位は、軸線C方向に幅があるので、より詳しくは、操作ツマミ5の収容空間13と爪部14との間の最短距離が、シャフト3の被圧入部3cと雄ねじ部3fとの間の最長距離よりも大きく設定されている、ということである。
このような設定とすることで、爪部14が雄ねじ部3fを越えたあと、被圧入部3cを操作ツマミ5のDバネ7の収容空間13内に嵌めるために必要な、操作ツマミ5とシャフト3との相対的可動範囲が確保できる。
【0023】
次に、
図5〜
図8を参照しつつ、回転操作部1の組み立て方法を説明する。
実施例1では、複数ある爪部14の軸線C方向の位置は、雌ねじ部3fの雌ねじに螺合可能な位置に設定されていればよい。例えば、雌ねじのリード角等によっては、複数ある爪部14の軸線C方向のそれぞれの位置が軸線C方向にずれるものである(
図7参照)。
また、
図3〜
図8などに示される腕部11は、可撓性を有することを理解され得るように適宜記載したものであり、腕部11の腕長さについて軸線C方向の長さを限定するものではない。
【0024】
先ず、
図5に示すように、シャシ15の取付孔15aにボリューム2のシャシ取付用の雄ねじ部2bを挿入する。次に、シャシ15を挟むように雄ねじ部2bに対してリングナット4を螺合して締め付ける。
これにより、ボリューム2がシャシ15に固定される。
【0025】
次に、
図6に示すように、操作ツマミ5をボリューム2によって回転可能に支持されているシャフト3に被せる。
これにより、ツマミ本体6の腕部11の爪部14における手前側傾斜面14bが、シャフト3の雄ねじ部3fの上フランク面3gに対して接触する。
【0026】
次に、
図6の状態で、シャフト3に対して操作ツマミ5を
図6の上方側から見て時計回りに回転させる。
すると、
図7に示すように、爪部14が、雄ねじ部3fのねじ山に螺合して螺旋移動し、この結果、
図8に示すように、爪部14は雄ねじ部3fを越える。
【0027】
次に、
図8の状態で、シャフト3の被圧入部3cが操作ツマミ5のDバネ7の収容空間13内に嵌るように、操作ツマミ5とシャフト3との軸線C回りの相対的位置に注意しつつ、操作ツマミ5をシャシ15に向けて押し込む。
この結果、
図9に示すように、シャフト3の被圧入部3cは操作ツマミ5のDバネ7の収容空間13に圧入され、もって、操作ツマミ5がシャフト3の先端(被圧入部3c)に取り付けられる。
この取り付け状態で、下フランク面3hを第1規制面とし、奥側傾斜面14aを第2規制面とすると、第2規制面は第1規制面よりも被圧入部3cから遠い位置にあって、軸線Cの方向において前記第1規制面と干渉する位置に設けられている。
【0028】
次に、
図8及び
図9を参照しつつ、回転操作部1の使用方法などを説明する。
【0029】
一般に、操作ツマミ5は、シャフト3に対し、保守サービスのときに着脱可能であることが好ましい。
これは、操作ツマミ5が露出した部品である以上、繰り返し使用するうちに汚れたり損傷したりする場合があって、必要に応じて新品に交換したい部品だからである。
従って、シャフト3の被圧入部3cは、操作ツマミ5のDバネ7内に着脱できる程度の強さで圧入されていることが望ましい。
【0030】
これに対し、例えばユーザが手を滑らして無線機KMを落としてしまい、その衝撃で操作ツマミ5の被圧入部3aがDバネ7から外れてしまったとする。
或いは、ユーザが緊急事態下で取り急ぎツマミ5を摘まんで無線機KMを持ち上げようとしたときに、無線機KMがポケットの中などで引っかかって操作ツマミ5の被圧入部3aがDバネ7から外れてしまったとする。
この状態は
図8に示される。
図8は、外部からの意図しない抜去力の付与などにより、被圧入部3cから操作ツマミ5が抜けてしまった状態も示している。
【0031】
これらの通常の使用状態を越えた状態においても、
図8に示すように、シャフト3は、シャフト3の雄ねじ部3fの下フランク面3hと、操作ツマミ5の爪部14における奥側傾斜面14aと、が引っ掛かり合う(当接する)ので、操作ツマミ5のツマミ本体6の内部空間12から完全には抜けることはない。
【0032】
一方で、シャフト3から操作ツマミ5を意図的に取り外すには、
図8の状態で、操作ツマミ5を、シャシ15から離れる方向へ軽く引っ張りながらシャフト3に対して
図8の上方側から見て反時計回りに回転させてやればよい。
この例によれば、操作ツマミ5はシャフト3から容易に外れることがない。また、操作ツマミ5のシャフト3への取り付け、取り外しが容易で、しかも何回でも繰り返しが可能である。
【0033】
以上に本実施形態の好適な実施形態を説明した。上記の実施形態は、要するに、以下の特長を有している。
【0034】
即ち、
図2〜
図4に示すように、回転操作部1は、ボリューム2(回転ツマミ本体)と、ボリューム2によって回転可能に支持され、先端に被圧入部3cを有するシャフト3(シャフト)と、シャフト3の被圧入部3cを収容する収容空間13が形成され、収容空間13に被圧入部3cが圧入されることでシャフト3の先端に取り付けられる操作ツマミ5(ツマミ部品)と、を備えている。
シャフト3の外周面3e(外周)には下フランク面3h(第1規制面)が形成されている。
第1方向Eは、下フランク面3hに対して直交すると共に下フランク面3hから離れる向きとして定義され、第1方向Eとシャフト3の軸線Cと、の成す角θは、0°以上90°未満である。
操作ツマミ5には奥側傾斜面14aが形成される。
奥側傾斜面14aは、シャフト3の雄ねじ部3fのねじ山における下フランク面3hに対し、対向すると共に軸線Cの方向において干渉する位置に設けられている。
【0035】
この実施形態は以上の構成により、何らかの原因によりシャフト3の被圧入部3cが操作ツマミ5の収容空間13から抜けてしまっても、操作ツマミ5をシャフト3からさらに抜こうとすると、シャフト3の下フランク面3hと操作ツマミ5の奥側傾斜面14aとが互いに引っ掛かり合う(当接する)ので、操作ツマミ5がシャフト3から外れ難くなっている。
【0036】
また、
図2〜
図4に示すように、シャフト3の外周面3e(外周)には抜け止め用の雄ねじ部3fが形成されている。
下フランク面3hは、抜け止め用の雄ねじ部3fにおけるねじ山のフランク面として形成されている。操作ツマミ5には、シャフト3の雄ねじ部3fのねじ山(谷)に沿って螺旋移動可能な爪部14が形成されている。
奥側傾斜面14aは爪部14に形成されている。
【0037】
この実施形態は以上の構成により、操作ツマミ5がシャフト3から外れ難くなるという上述の効果は発揮しつつも、必要に応じて操作ツマミ5をシャフト3から取り外せる構成が実現される。
【0038】
また、
図5に示すように、シャフト3の軸線Cの方向において、操作ツマミ5の収容空間13と爪部14との間の距離L1は、Dシャフト3の被圧入部3cと雄ねじ部3fとが、操作ツマミ5のシャフト収容空間13と爪部14との間に同時に収まることができるように設定されている。
この実施形態は以上の構成により、シャフト3の被圧入部3cを操作ツマミ5の収容空間13へ、回転を伴わずにストレートに圧入することが可能となる。
従って、シャフト3の被圧入部3cを所謂Dカット形状とすることができる。
また、爪部14と雄ねじ部3fによって第1の規制部が構成される
また、被圧入部3cと収容空間13とで、第2の規制部が構成される。
【0039】
上記実施形態は、例えば以下のように変更することができる。
【0040】
即ち、回転操作部1は、ボリュームに限らず、チャンネル切り替えやロータリースイッチなどとしても上記の技術思想は適用できる。
【0041】
また、操作ツマミ5のツマミ本体6の腕部11を形成する技術は特に限定されることはなく、例えば強引に金型から引き抜く所謂ムリ抜きを採用することができる。
【0042】
また、
図4に示すシャフト3の雄ねじ部3fの下フランク面3hや、操作ツマミ5のツマミ本体6の腕部11における爪部14の奥側傾斜面14aは、上記実施形態において斜めに傾斜しているものを説明したが、傾斜していることは必須ではない。
即ち、下フランク面3hや奥側傾斜面14aは、シャフト3の軸線Cに対して直交するように形成してもよい。この場合、角θは0°となる。
【0043】
腕部11は三箇所として説明したが、一箇所でもよいし、二箇所でもよいし、それ以上であってもよい。また、一箇所の腕部11に二つ以上の爪部14が形成されていてもよい。
【0044】
爪部14は、予め雄ねじ部3fのねじ山に螺合する形状に形成することなく、例えば先端面を円筒の内面状としてもよい。この場合、爪部14の内径を、雄ねじ部3fのねじ山の山径より小さく、かつ谷径よりも大きく形成する。この例では、操作ツマミ5をシャフトに装着する際には、爪部14に雌ねじを切りながら所謂タッピングねじのように装着する。
【0045】
雄ねじ部3fは、シャフト3に一体的に形成されていなくてもよい。
樹脂材などにより雄ねじ部3fに相当する形状を有するリング部材を形成しておき、シャフト3の所定位置に縮径部を形成してそのリング部材を嵌め込むようにしてもよい。
【0046】
実施例における雄ねじ部3fと爪部14との関係を逆転させ、腕部11を幅広に形成して予め雌ねじを形成しておき、シャフト3の雄ねじ部3fを単に腕部11に形成した雌ねじに螺合可能な爪状に形成してもよい。
【0047】
爪部14に係合する相手として、雄ねじ部3f又は雌ねじ部の替わりに、ねじではない断面ねじ山状の周リブ又は周溝を形成してもよい。
操作ツマミ5の上面又は側面などにDバネ7の収容空間13内のD形状に対応する印を設けてもよい。
この例によれば、ユーザが操作ツマミ5を回転させることで爪部14が雄ねじ部3fを通過した後でも、ユーザは収容空間13内のD形状の位置を知ることができる。
従って、ユーザは、操作ツマミ5をシャフト3に被せる前にシャフト3の被圧入部3cのDカットの位置を確認しておけば、操作ツマミ5が螺合により回転した後でも、容易に操作ツマミ5とシャフト3との軸線C回りの相対的位置を知ることができる。
従って、ユーザは操作ツマミ5をシャシ15に向けて容易に押し込むことができる。
【0048】
<実施例2>
操作ツマミの取付構造の実施例2は、操作ツマミ5Aとシャフト3Aとが嵌合して、操作ツマミ5Aのシャフト3Aに対する軸線C方向の直動を摩擦力により規制すると共に軸線C回りの回動を係合形状により規制する圧入部ANに加えて、操作ツマミ5A及びシャフト3Aのいずれか一方側に凹部又は凸部からなる移動規制部KSを設けると共に、操作ツマミ5Aを軸線C方向に直動させた際に所定の相対周方向位置以外の周方向範囲でこの移動規制部KSに当接してその移動が規制される凸部又は凹部からなる当接部TSを他方側に設けたものである。
これは、操作ツマミ5Aが圧入部ANから抜けた状態で所定の相対周方向位置とした場合のみ、爪部14Aが移動規制部KSを通過してシャフト3Aから外せるようにした構造である。
以下、主に実施例1とは異なる部分について説明する。
【0049】
図10は、実施例2において操作ツマミ5Aをシャフト3Aに取り付ける前の状態を示している。
シャフト3Aには、移動規制部KSが設けられている。
移動規制部KSは、シャフト3Aの外表面から径方向外側へ鍔状に突出する凸部3Afである。
【0050】
図11は、シャフト3Aを軸線Cの
図10における上方側から見た図である。
図11に示されるように、3Afは、周方向に所定の角度ずれた二箇所の位置に、幅W11の範囲で突出していない欠落部3Af1を有している。
図11では、一対の欠落部3Af1は180°ずれた位置にある。
一方、
図10に示されるように、操作ツマミ5Aには、当接部TSが設けられている。
【0051】
当接部TSは、軸線Cまわりの所定の角度ずれた二箇所の位置において軸に向かって突出するよう設けられた一対の爪部14Aである。所定の角度は、欠落部3Af1のずれ角度と同じに設定されている。すなわち、
図10において、所定の角度は180°である。
爪部14Aの幅(
図10における紙面表裏方向の距離)は、幅W11未満とされている。
従って、操作ツマミ5Aは、シャフト3Aに対し、軸線Cまわりの所定の位置においてのみ、当接部TSの爪14Aが規制部KSの欠落部3Af1を通過して軸線C方向の移動が許容される。
所定の位置は、この例では、180°ずれた2つの位置となる。
軸線Cまわりの所定の位置以外の位置(角度範囲)では、操作ツマミ5Aの
図10の上方側から下方側への移動において、爪部14Aの下面14Asが、凸部3Afの上面3Afuに当接して移動が規制される。
また、操作ツマミ5Aの
図10の下方側から上方側への移動において、爪部14Aの上面14Auが凸部3Afの下面3Afsに当接して移動が規制される。
爪部14Aの数は、欠落部3Af1の数以下で設けられているもので、複数設けた場合は、各爪部14Aの周方向の相対位置が、各欠落部3Af1との周方向位置に対して少なくとも一箇所一致するように形成されていればよい。
【0052】
図10に戻る。圧入部ANは、被圧入部3cとDバネ7とで構成される。
軸線Cの方向において、操作ツマミ5AのDバネ7のシャフト収容空間13と操作ツマミ5における複数の爪部14Aとの間の距離の内の、最短となる距離L1Aは、シャフト3の被圧入部3cと凸部3Afとが、収容空間13の爪部14側端と爪部14Aとの間の空間に同時に収まることができるように設定されている。
つまり、シャフト3Aの先端から凸部3Afの下面3Afsまでの距離L2Aは距離L1A以下である。
上記のような設定とすることで、爪部14Aが凸部3Afを越えたあと、被圧入部3cを操作ツマミ5AのDバネ7の収容空間13内に嵌めるために必要な、操作ツマミ5Aとシャフト3との相対的可動範囲が確保できる。
作業者が操作ツマミ5Aをシャフト3Aに装着する方法を具体的に説明する。
作業者は、まず、操作ツマミ5Aをシャフト3Aに被せて押し込む。すると多くの場合、爪部14Aが凸部3Afの上面3Afuに当接して押し込みが規制される。
ここで、作業者は、操作ツマミ5Aを押し込み方向に付勢しつつ軸線3Cまわりに回動させる。
この回動によって、各爪部14Aの周方向の位置が各欠落部3Af1の周方向位置と一致すると、爪部14Aは欠落部3Af1を通過して操作ツマミ5Aは被圧入部3cを収容空間13内に圧入できる位置まで押し込まれる。
当初の押し込みで、爪部14Aが欠落部3Af1を通過する位置にある場合は、爪部14Aが上面3Afuに当接しないため、作業者は、操作ツマミ5Aをそのまま被圧入部3cを収容区間13内に圧入できる位置まで押し込むことができる。
次に、操作ツマミ5Aを軸線Cまわりに回動させ、被圧入部3cがDバネ7の収容空間13に圧入できる周方向位置にて操作ツマミ5Aの被圧入部3cを収容空間13に圧入する。
また、作業者は、操作ツマミ5Aをシャフト3Aから抜く際には、被圧入部をDバネ7内の収容空間13内から抜去した後に、操作ツマミ5Aを引き抜き方向に付勢しつつ軸線Cまわりに回動させる。
この回動において、各爪部14Aの周方向の位置が各欠落部3Af1の周方向位置と一致すると、爪部14Aは欠落部3Af1を通過して操作ツマミ5Aはシャフト3Aから引き抜かれる。
欠落部3Af1,3Af2の幅、位置、個数は自由に設定できる。
これらの設定により、軸線Cまわりにおける、規制部KSの通過を許容する操作ツマミ5Aの位置(以下、許容位置とも称する)の数や角度範囲(以下、許容角度範囲とも称する)を、一つ以上の任意の数に、また、任意の角度範囲にできる。
操作ツマミ5の被圧入部3cを収容空間13に圧入できる軸線Cまわりの位置と、許容位置及び許容角度範囲とをずらしておくことで、操作ツマミ5Aのシャフト3Aからの離脱をより効果的に防止することができる。
【0053】
実施例2の変形例として規制部KSを軸線C方向に複数並べて設けてもよい。
図12は、実施例2の変形例1(以下、変形例1)として規制部KSを2つ設けた例を示す斜視図である。
【0054】
図12に示すように、規制部KSは、シャフト3Aの先端側の上規制部KS1とシャフト3Aの上規制部KS1より根本側に位置する下規制部KS2とを有する。
上規制部KS1の欠落部3Af1と下規制部KS2の欠落部3Af2との軸線Cまわりの位置は異なっている。
【0055】
操作ツマミ5Aをシャフト3Aに取り付ける場合、まず、作業者は、操作ツマミ5A(
図10参照)を、軸線Cまわりに回動させて爪部14Aを欠落部3Af1の位置(第1の許容位置)に合わせ、その姿勢で押し込む。
これにより、爪部14Aは上規制部KS1の欠落部3Af1を通過する。
さらに、作業者は、操作ツマミ5Aを押し込み、軸線Cまわりに回動させて爪部14Aを欠落部3Af2の位置(第2の許容位置)に合わせ、その位置で押し込む。
これにより、爪部14Aは下規制部KS1の欠落部3Af2を通過する。
操作ツマミ5Aのシャフト3Aからの抜き取りは、逆の手順となる。
各寸法は、操作ツマミ5Aの取り付けにおいて、爪部14Aが上規制部KS1及び下規制部KS2を通過した後に、被圧入部3cの収容空間13への圧入が開始するように設定されている。
つまり、シャフト3Aの先端から下規制部KS2の下面(シャフト3Aの先端から遠い面)までの距離L2Bは距離L1A以下となっている。
規制部KSを複数設けることで、各規制部KS1,KS2を通過させるための操作ツマミ5Aの各許容位置(第1及び第2の許容位置)又は各許容角度範囲が異なるように設定できるので、操作ツマミ5Aのシャフト3Aからの離脱をさらに効果的に防止することができる。
【0056】
図13及び
図14は、実施例2の変形例2(以下、変形例2)を説明するための図である。変形例2の操作ツマミ5A1については、
図10及び
図14を用いて説明する。
図13(a)は、変形例2のシャフト3Aの部分的斜視図、
図13(b)は
図13(a)のS13−S13断面図である。S13−S13断面図は、シャフト3Aの上規制部KS1と、下規制部KS3が形成されている位置を軸Cと直交する平面で切断した断面をシャフト3Aの先端側から見た断面図である。
図14は、変形例2の操作ツマミ5A1における爪部14Bを示す断面図(
図10におけるS14−S14断面図)である。S14−S14断面図は、ツマミ5A1の腕部11Bを軸Cと直交する平面で切断した断面をツマミ5A1の奥側から見た断面図である。
【0057】
変形例2は、規制部KSとして、上規制部KS1と、下規制部KS3と、両規制部を軸線C方向に連結する一対の周方向規制部KS4,KS5とを有している。
また、変形例2において、腕部11Bは、径方向外側(
図14の矢印DR14方向)に可撓性を有するように形成され、爪部14Bは、腕部11Bの先端に形成されている。下規制部KS3は上規制部KS1に形成された欠落部3Af1に対応する周方向の位置を覆うように形成されている。周方向規制部KS4,KS5は上規制部KS1の周方向端部から軸線C方向に延びている。周方向規制部KS4,KS5は欠落部3Af1と周方向で同じ位置に形成されている。
【0058】
図14に示すように、爪部14Bには、周方向に面した一対の側面14Baが、軸線Cを通る中心線CLに対して傾斜した傾斜面として形成されている。すなわち、
図14において、一対の側面14Baをそれぞれ仮想的に延長した仮想線分の交点P14は、爪部14Bの幅方向(紙面上下方向)の中心線であって軸線Cを通る仮想線分CL14上にあり、かつ、軸線Cの位置よりも爪部14Bに近くに位置する。
上規制部KS1は、変形例1の上規制部KS1と同じ形状である。下規制部KS3は、軸線Cまわりにおいて、上規制部KS1の欠落部3Af1に対応した範囲を含むように形成された弧状の凸部である。
【0059】
周方向規制部KS4,KS5は、それぞれ上規制部KS1における欠落部3Af1の脇から下規制部KS3に至り軸線C方向に延在する壁状部である。周方向規制部KS4,KS5は、欠落部3Af1の中心線に対して対称形状に形成されている(完全な対称形状でなくてもよい)。
例えば、
図13(b)に示すように、周方向規制部KS4は、周方向規制部KS5と対向する側の面m1が、頂点P1と軸線Cとを通る線CL13に対して角度βだけ傾斜した面となっている。一方、面m1と反対側になる壁面m2は、頂点P2と軸線Cを通る線を含む面となっている。面m1はKS4,KS5の片方のみ傾斜させてもよい。
周方向規制部KS5についても、同様の対称形状である。
操作ツマミ5Aをシャフト3Aに取り付ける場合、まず、操作ツマミ5Aをシャフト3Aに被せ押し込む。すると多くの場合、爪部14Bの下面が上規制部KS1の上面に当接して押し込みが規制される。
ここで、操作ツマミ5Aを押し込み方向に付勢しつつ軸線Cまわりに回動させる。
この回動において、各爪部14Bの周方向の位置が許容位置となって欠落部3Af1の周方向位置と一致すると、爪部14Bは欠落部3Af1を通過し、下規制部KS3の上面に当接して押し込みが再び規制される。
当初の押し込みで爪部14Bが欠落部3Af1を通過する許容位置にある場合は、爪部14Bは上規制部KS1の上面に当接せずに操作ツマミ5Aは、そのまま下規制部KS3の上面に当接して押し込みが規制される。
【0060】
この状態で、操作ツマミ5Aを軸線Cまわりに、所定の回動力以上の力を付与して例えば時計回りに回動させると、爪部14Bは、周方向規制部KS4に向かい、移動方向に対して上り坂の斜面となっている面m1に側面14Baが当接する。側面14Baは、爪部14Bを、面m1を登る方向へ積極的に誘導する斜面として形成されているので、腕部11Bが撓みながら摺動することで周方向規制部KS5を乗り越える。乗り越えた後、腕部11Bの撓み状態は解除される。
爪部14Bは、周方向規制部KS5を乗り越えると、操作ツマミ5Aに引き抜かれる方向の力が加えられても、周方向規制部KS4,KS5の壁面m2間の角度β2以外の範囲で、上規制部KS1の下面に当接する。
従って、操作ツマミ5Aのシャフト3Aからの引き抜きが防止される。
【0061】
爪部14Bが下規制部KS3よりもシャフト3Aの根本側に位置した場合は、操作ツマミ5Aは周方向に自由に回動可能となる。
爪部14Bが、下規制部KS3の存在する角度範囲にあるときに操作ツマミ5Aが引き抜かれる方向に力を加えられても、爪部14Bは下規制部KS3に当接して操作ツマミ5Aの引き抜きが防止される。
周方向規制部KS4,KS5の互いに背を向ける面である壁面m2は、爪部14Bの移動に対して直交する面である。
従って、爪部14Bを、周方向規制部KS4の壁面m2側から乗り越えさせようとしても、壁面m2と側面14Baとの間で大きな抵抗が生じる。よって、腕部11Bは容易に撓まない。
すなわち、操作ツマミ5Aを取り付ける場合に比べて、取り外す場合に周方向規制部KS4,KS5を乗り越えるために必要な力は格段に大きくなるようになっており、操作ツマミ5Aはシャフト3Aから外れ難くなっている。
【0062】
この変形例2は、シャフト3Aに取り付けられた操作ツマミ5A1が、何らかの外部からの力で外れることを想定した場合に、操作ツマミ5A1の軸線C方向の直動のための力のみならず、軸線Cまわりの回動力が付与されなければならない。しかも、その力は、周方向規制部KS4,KS5の壁面m2を乗り越えるに足る大きさでなければならない。
従って、操作ツマミ5A1がシャフト3Aから意図せず外れる機会は実質的にほとんどないと言ってよい。
【0063】
変形例2に対し、上規制部KS1と下規制部KS3との軸線C方向位置を逆にした変形例2Aとしてもよい。変形例2Aは、操作ツマミ5A1を用いる。
図15(a)は、変形例2Aを示す斜視図であり、
図15(b)は、
図15(a)におけるS15−S15断面図である。
変形例2Aのシャフト3AAにおいては、変形例2のシャフト3Aにおける上規制部KS1と下規制部KS3との軸線C方向の位置関係が逆転した、下規制部KS1Aと上規制部KS3Aが設けられている。下規制部KS3Aは上規制部KS1の欠落部3Af1に対応する周方向の位置を覆うように形成されている。周方向規制部KS4,KS5は上規制部KS3Aの周方向端部から軸線C方向に延びている。周方向規制部KS4,KS5は欠落部3Af1と周方向で同じ位置に形成されている。
また、
図15(b)に示されるように、周方向規制部KS4,KS5における面m1及び壁面m2の位置も逆になっている。
すなわち、互いに向き合う対向面が壁面mm2、離れた互いに背を向ける面が傾斜面である面mm1となっている。
操作ツマミ5A1をシャフト3AAに取り付ける場合、まず、操作ツマミ5A1をシャフト3AAに被せ押し込む。すると多くの場合、爪部14Bの下面が下規制部KS1Aの上面に当接して押し込みが規制される。
当初の押し込みで爪部14Bが上規制部KS3Aの上面に当接した場合は、操作ツマミ5A1を押し込みながら軸線Cまわりに回動させると、爪部14Bは上規制部KS3Aから外れてシャフト3AAの根本側に向け移動し、下規制部KS1Aの上面に当接する。
この状態で、操作ツマミ5A1を軸線Cまわりに、所定の回動力以上の力のみを付与して押し込むことなく例えば時計回りに回動させると、腕部11Bは撓みながら爪部14Bが周方向規制部KS5の傾斜面である面mm1を摺動しつつ登って乗り越える。乗り越えた後、腕部11Bの撓み状態は解除される。
爪部14Bは、周方向規制部KS5を乗り越えると、自ずと下規制部KS1Aの欠落部3Af1に対応した許容位置に位置する。
従って、爪部14Bが周方向規制部KS5を乗り越えた後に操作ツマミ5Aを単に押し込めば、爪部14Bは下規制部KS1Aを通過し、被圧入部3cを収容空間13内に収めることができるようになる。
この状態で操作ツマミ5Aに引き抜かれる方向の力が加えられても、爪部14Bは、下規制部KS1A又は上規制部KS3Aの下面に当接する。
従って、操作ツマミ5Aのシャフト3Aからの引き抜きが防止される。
【0064】
上述した変形例2及び変形例2Aにおいても、面m1,mm1及び壁面m2,mm2の傾斜角度や、爪部14Bの側面14Baの傾斜角度は任意に設定してよい。
また、変形例2において、上規制部KS1における欠落部3Af1,周方向規制部KS4,KS5,及び下規制部KS3の組は、周方向に複数設けてもよい。
また、変形例2Aにおいて、下規制部KS1Aにおける欠落部3Af1,周方向規制部KS4,KS5,及び上規制部KS3Aの組は、周方向に複数設けてもよい。
変形例2及び変形例2Aは、規制部KSを通過するために回動力が必要となるので、被圧入部3cの収容空間13への圧入を許容する操作ツマミ5A,5A1の周方向のシャフト3A,3AAとの相対位置と爪部14Bが欠落部3Af1を通過する操作ツマミ5A,5A1とシャフト3A,3AAとの相対位置とが同じ位置であっても、操作ツマミ5A,5A1がシャフト3A,3AAから外れる機会はほとんどない。もちろん、互いに異なる位置にあることは好ましい。
また、変形例2Aは、操作ツマミ5Aの姿勢を、欠落部3Af1を通過可能な許容位置に合わせる際に、操作ツマミ5Aに対して回動力のみを付与すればよいので、押し込み力を必要とする変形例2より取り付け作業が楽に行える。
【0065】
図16に示すように、変形例2において、上規制部KS1の上面3Afuは、欠落部3Af1に近づくに従って下規制部KS3に近づく斜面となっているとよりよい。
すなわち、上面3Afuは、欠落部3Af1に向かうに従って、シャフト3Aの根本側に近づくように形成されている。
これにより、操作ツマミ5Aをシャフト3Aに取り付ける際に、操作ツマミ5Aを
図16の下方側に押し込むと爪部14Bが自然に欠落部3Af1に誘導され、操作ツマミ5Aを、爪部14Bが上規制部KS1を通過する許容位置に合わせる労力が軽減される。
欠落部3Af1は、すべてが傾斜面ではなく、一部に、傾斜していない(下規制部KS3との距離が変わらない)平坦部を有していてもよい。
【0066】
変形例2における、上規制部KS1における欠落部3Af1,周方向規制部KS4,KS5,及び下規制部KS3の組は、シャフト3Aに一体的に形成されていなくてもよい。
変形例2Aにおける、下規制部KS1Aにおける欠落部3Af1,周方向規制部KS4,KS5,及び上規制部KS3Aの組は、シャフト3AAに一体的に形成されていなくてもよい。
例えば、樹脂材などにより、これらの組に相当する形状を有するリング部材を形成しておき、シャフト3A,3AAの所定位置に縮径部を形成してそのリング部材を嵌め込むようにしてもよい。
【0067】
<実施例3>
操作ツマミの取付構造の実施例3は、操作ツマミ5Bのシャフト3Bに対する軸線C方向の直動及び軸線C回りの回動を摩擦力によって規制する圧入部AN2と、操作ツマミ5B及びシャフト3Bのいずれか一方側に凹部又は凸部からなる軸線C方向の移動規制部KSと、を設けると共に、移動規制部KSを、操作ツマミ5Bのシャフト3Bに対する軸線Cまわりの回動を当接により規制する機能を有する構造にしたものである。
以下、主に実施例1及び実施例2とは異なる部分について説明する。
【0068】
図17は、実施例3において操作ツマミ5Bをシャフト3Bに取り付ける前の状態を示している。
図17において、シャフト3Bは先端にすり割りSWが入った被圧入部3Bcを有する。
シャフト3Bは、被圧入部3Bcよりも根本側に、弧状の縮径部3Bsを有する。
【0069】
図18は、
図17のS16−S16断面図である。S16−S16断面図は、シャフト3Bの縮径部3Bsの位置を軸線Cと直交する面で切断し、シャフト3Bの先端側から見た断面図である。
図18に示すように、縮径部3Bsは、所定の角度範囲で軸対称的に二箇所形成されている。
シャフト3Bに取り付けられる操作ツマミ5Bは、被圧入部3Bcが圧入されるシャフト受け部5Baと、縮径部3Bsに係合する腕部5Bdを備えた係合部5Bbと、を有している。
係合部5Bbは突起部5Btを先端に有する腕部5Bdを備えている。突起部5Btは縮径部3Bsの形状に軸線C方向と周方向とにほぼガタなく係合する。
図18では、便宜的に操作ツマミ5Bの外径線を一点鎖線で示している。
腕部5Bdは、一対の突起部5Btを備えている。
腕部5Bdは、突起部5Btが縮径部3Bsに対応した位置において拡径方向に移動できるよう可撓性を有している。
被圧入部3Bcは、すり割りSWが入っているのみであり、圧入によりシャフト受け部5Ba内にすり割りSWがすぼむように押し込まれる。
これにより、操作ツマミ5Bは、圧入による摩擦力のみで軸線C方向及び軸線Cまわりの回動方向に移動が規制されてシャフト3Bに保持される。
【0070】
操作ツマミ5Bをシャフト3Bに取り付ける際は、突起部5Btと縮径部3Bsとの周方向位置を合わせつつ、シャフト3Bに押し込む。
圧入が所定量進行すると、突起部5Btが縮径部3Bsに嵌り込んで取り付けは完了する。
突起部5Btの上面及び下面と、操作ツマミ5Bがシャフト3Bの所定の位置に取り付けられた状態で突起部5Btに対向する縮径部3Bsの上面及び下面とは、操作ツマミ5Bの取り外しの際の抜き取り力が所定の力になるように、所望の角度で傾斜を付けるとよい。
【0071】
図19に示すように、シャフト3Bには、軸線Cに沿った切り込み3Bstを形成し、操作ツマミ5Bの例えば係合部5dに、切り込み3Bstに係合し軸線C方向にガイドされる突起を設けておくことも可能である。
操作ツマミ5Bをシャフト3Bに差し込む際に、切り込み3Bstに突起を係合させることでシャフト3Bに対する操作ツマミ5Bの周方向位置が決まり、あとはそのまま押し込むだけで、取り付けは完了する。
シャフト3Bの軸線Cに沿った切り込み3Bst、及び操作ツマミ5Bの切り込み3Bstに係合し軸線C方向にガイドされる突起は形成しなくてもよい。
実施例3において、縮径部3Bsと突起部5Btとの嵌合において、嵌合状態で軸線C方向に所定の距離だけ移動可能としてもよい。
更に、この所定の距離よりも、シャフト受け部5Baが3Bに圧入される圧入部AN2の軸線C方向の長さを短く設定してもよい。
この場合、圧入部AN2が外れても、突起部5Btと縮径部3Bsとの当接により、操作ツマミ5Bが外れにくくなる。
【0072】
本発明の各実施例及び各変形例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において別の変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0073】
実施例1及び実施例2において、シャフト3,3A,3AAと操作ツマミ5,5A,5A1との圧入形状、すなわち係合形状は、Dカット形状に限らない。十字穴形状、角穴形状、異形形状などでもよい。
いずれにおいても、圧入による摩擦力で操作ツマミ5,5A,5A1の軸線C方向の移動が規制され、係合形状により、軸線C回りの回動が規制されるようになっていればよい。
また、操作ツマミ5,5A,5A1の腕部11は、外側への可撓性をもたせられるものであれば、腕形状でなくてもよい。たとえば、すりわりが一箇所以上あり周方向を覆う形状でもよい。
また、規制部はシャフトに形成された、ねじや、欠落部が形成されていない単なる突起や、傾斜を腕部11の可撓性を利用して乗り越えるものであってもよい。また、Dバネではなく、樹脂バネとしてもよい。
【0074】
本発明の電子機器は、備えた回転操作部1のシャフト3,3A,3Bの回転により、電気的特性が変化するように又は電気的特性が異なるものとなるように構成されている。
回転操作部1は、無制限に回転可能なものに限らない。
所定の角度範囲(360°以上を含む)内で回転(回動)可能とされ、回転角度に応じて電気的特性が変化するもの、セレクターのように、所定の角度範囲内で回動可能とされ、所定の角度ピッチでクリック感が得られてそれぞれ電気的特性が異なるものになるもの、など、種々のものに適用可能である。
【0075】
回転操作部1を備えた電子機器は、無線機MKに限るものではない。例えば、カーナビゲーション装置、オーディオ装置、楽器などであってもよい。特に、操作ツマミを摘んで持ち上げることができるポータブルタイプに好適に適用できる。