特許第5720604号(P5720604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5720604感放射線性組成物、並びに硬化膜及びその形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720604
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】感放射線性組成物、並びに硬化膜及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   G03F7/075 511
   G03F7/075 521
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-35072(P2012-35072)
(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2012-212114(P2012-212114A)
(43)【公開日】2012年11月1日
【審査請求日】2014年7月3日
(31)【優先権主張番号】特願2011-62377(P2011-62377)
(32)【優先日】2011年3月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康伸
(72)【発明者】
【氏名】本田 晃久
(72)【発明者】
【氏名】奥田 務
(72)【発明者】
【氏名】上田 二朗
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−019093(JP,A)
【文献】 特開2005−004052(JP,A)
【文献】 特開2008−007640(JP,A)
【文献】 特開2010−039052(JP,A)
【文献】 特開2010−152302(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/071155(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/011142(WO,A1)
【文献】 特開平03−260653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分[A1]、[B]及び[C];
[A1]テトラエトキシシラン又はその部分加水分解物と、下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解物と、下記式(2)で表される加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解物とを加水分解縮合させて得られるポリシロキサン
[B]エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物(但し、成分[A1]を除く)
[C]光ラジカル重合開始剤
を含有する感放射線性組成物。
【化1】
【化2】
〔式(1)中、
1は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、
2は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、
mは、1〜3の整数を示し、
nは、0〜6の整数を示す。
式(2)中、
3は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜6の整数を示し、
zは、0〜3の整数を示す。〕
【請求項2】
前記式(2)で表される加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解物の仕込み割合が原料化合物の合計に対して15モル%以下である、請求項1記載の感放射線性組成物。
【請求項3】
前記式(1)で表される加水分解性シラン化合物として、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を有する加水分解性シラン化合物を含有する、請求項1又は2記載の感放射線性組成物。
【請求項4】
前記式(1)で表される加水分解性シラン化合物として、メタアクリロイルオキシ基を有する加水分解性シラン化合物及びアクリロイルオキシ基を有する加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
【請求項5】
次の成分[A2]、[B]及び[C];
[A2]SiO2単位と、下記式(1a)で表わされる単位と、下記式(2a)で表わされる単位とを構造単位として有するポリシロキサン
[B]エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物(但し、成分[A2]を除く)
[C]光ラジカル重合開始剤
を含有する感放射線性組成物。
【化3】
【化4】
〔式(1a)中、
2は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、
mは1〜3の整数を示し、
nは0〜6の整数を示す。
式(2b)中、
4は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、
xは、1〜3の整数を示し、
yは、1〜6の整数を示し、
zは、0〜3の整数を示す。〕
【請求項6】
前記下記式(2a)で表わされる単位の含有割合が全構造単位中15モル%以下である、請求項5記載の感放射線性組成物。
【請求項7】
前記式(1a)で表わされる単位として、下記式(1b)で表わされる単位を含有する、請求項5又は6記載の感放射線性組成物。
【化5】
〔式(1b)中、R5は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示し、mは前記と同義である。〕
【請求項8】
前記式(1a)で表わされる単位として、下記式(1c)で表わされる単位及び下記式(1d)で表わされる単位から選択される少なくとも1種を含有する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
【化6】
【化7】
〔式(1c)及び(1d)中、m及びnは前記と同義である。〕
【請求項9】
タッチパネルの保護膜又は表示素子の層間絶縁膜の形成に用いられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を用いて形成される硬化膜。
【請求項11】
次の工程(1)〜(4);
(1)請求項1〜9のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜をアルカリ現像液で現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程
を含む、硬化膜の形成方法。
【請求項12】
アルカリ現像液として無機アルカリ現像液を用いる、請求項11記載の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示素子の保護膜や層間絶縁膜の形成材料として好適な感放射線性組成物、並びに当該感放射線性組成物から形成された硬化膜及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子、有機EL等の表示素子には、タッチパネルを始めとする電子部品の劣化や損傷を防止するための保護膜や、層状に配置される配線間の絶縁性を保つための層間絶縁膜などの硬化膜が設けられている。このような硬化膜の形成には、感放射線性組成物が使用されており、例えば、基板上に感放射線性組成物の塗膜を形成し、所定のパターンを有するフォトマスクを介して放射線を照射(以下、「露光」という。)し、有機アルカリ現像液で現像して不要部分を溶解除去し、その後ポストベークすることにより硬化膜を形成することができる。
【0003】
タッチパネルの保護膜として使用される硬化膜には、タッチパネル素子の配線への密着性が高いこと、膜自体が平滑でかつ硬度が高いこと、耐擦傷性に優れること、高温条件下においても変色せず透明性を保持すること(耐熱透明性)、高温条件下においてもクラック(ひび割れ)が発生しないこと(耐熱クラック性)、放射線に対して感度に優れること、現像残膜のない良好なパターンが形成できること(現像性)などの特性が求められる。
【0004】
一方、層間絶縁膜として使用される硬化膜においては、配線用のコンタクトホールのパターン形成が必要になるため、上記した保護膜における要求特性に加えて、更にパターン像を高い解像度で高精細に形成できること(高解像度)等が求められる。
【0005】
従来、感放射線性組成物の成分としてアクリル系樹脂が主に使用されているが、近年、アクリル系樹脂よりも耐熱性及び透明性に優れるポリシロキサン系材料が注目されている(特許文献1〜3)。しかしながら、ポリシロキサン系材料はITO(インジウム錫酸化物)基板との密着性が十分でなく、クラックが発生しやすいため、保護膜として実用に耐えないという問題がある。また、液晶表示素子の層間絶縁膜形成用材料として、コスト的に有利なネガ型感放射線性組成物の開発が行われているが(特許文献4)、このようなネガ型感放射線性組成物では、実用上使用できるレベルのホール径を有するコンタクトホールを形成することが困難である。そのため、コンタクトホール形成の優位性から、表示素子の層間絶縁膜を形成するためにポジ型感放射線性組成物が幅広く使用されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−001648号公報
【特許文献2】特開2006−178436号公報
【特許文献3】特開2008−248239号公報
【特許文献4】特開2000−162769号公報
【特許文献5】特開2001−354822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
保護膜と層間絶縁膜に対する要求特性は、上述のとおり、重複する部分が多いが、それにも拘わらず、その目的や工程に応じて、多種多様の感放射線性組成物が用いられているのが実情である。保護膜や層間絶縁膜などの硬化膜を1種類の感放射線性組成物で形成でき、しかもそれを用いてパターン転写方式をネガ型とすることができれば、コスト的に極めて有利である。そのため、保護膜及び層間絶縁膜の双方を形成可能なネガ型感放射線性組成物の開発が切望されている。
また、現像の際には、アルカリ現像液として、通常TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)が使用されているが、コスト低減及び生産性向上の観点から、無機アルカリ現像液でも現像可能な感放射線性組成物の開発が望まれている。
【0008】
したがって、本発明の課題は、保護膜や層間絶縁膜に対する上記要求特性を高水準でバランスよく両立させた硬化膜を形成可能であり、かつ無機アルカリ現像液でも現像可能な感放射線性組成物を提供することにある。また、本発明の他の課題は、保護膜及び層間絶縁膜に対する上記要求特性を高水準でバランスよく両立させた硬化膜及びその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、第一に、次の成分[A1]、[B]及び[C];
[A1]テトラエトキシシラン又はその部分加水分解物と、下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解物と、下記式(2)で表される加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解物とを加水分解縮合させて得られるポリシロキサン
[B]エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物(但し、成分[A1]を除く)
[C]光ラジカル重合開始剤
を含有する感放射線性組成物を提供するものである。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
〔式(1)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、nは0〜6の整数を示す。式(2)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示し、xは1〜3の整数を示し、yは1〜6の整数を示し、zは0〜3の整数を示す。〕
【0013】
本発明は、第二に、次の成分[A2]、[B]及び[C];
[A2]SiO2単位と、下記式(1a)で表わされる構造単位と、下記式(2a)で表わされる構造単位とを有するポリシロキサン
[B]エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物(但し、成分[A2]を除く)
[C]光ラジカル重合開始剤
を含有する感放射線性組成物を提供するものである。
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
〔式(1a)中、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、nは0〜6の整数を示す。式(2a)中、R4は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、xは1〜3の整数を示し、yは1〜6の整数を示し、zは0〜3の整数を示す。〕
【0017】
本発明は、第三に、上記感放射線性組成物を用いて形成される硬化膜を提供するものである。
【0018】
本発明は、第四に、次の工程(1)〜(4);
(1)上記感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜をアルカリ現像液で現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程
を含む硬化膜の形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、耐熱透明性、硬度、耐擦傷性、耐熱クラック性、密着性、感度及び現像性などの諸特性を高水準でバランスよく両立可能な硬化膜の形成に有効な感放射線性組成物を提供することができる。また、本発明の感放射線性組成物は、十分な解像度を有するため、微細なコンタクトホールを形成することが可能であり、しかも無機アルカリ現像液でも現像することができる。
したがって、本発明の感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜は、表示素子のタッチパネルの保護膜、表示素子の層間絶縁膜として極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
感放射線性組成物
本発明の感放射線性組成物は、成分[A1]又は[A2]と、成分[B]と、成分[C]を含有するものである。以下、各成分について詳細に説明するが、以下の説明において成分[A1]及び[A2]を包括的に成分[A]として説明する。
【0021】
成分[A]
成分[A1]は、テトラエトキシシラン又はその部分加水分解物(以下、単に「TEOS」とも称する)と、下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解物(以下、「化合物(1)」とも称する)と、下記式(2)で表される加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解物(以下、「化合物(2)」とも称する)とを加水分解縮合させて得られるポリシロキサンである。かかる成分[A]を含有せしめることにより、現像工程で使用するアルカリ現像液、とりわけ無機アルカリ現像液に対する溶解性が高められ、現像性を向上させることができ、さらに得られる硬化膜の耐熱透明性、耐擦傷性を向上することが可能となる。ここで、「部分加水分解物」とは、アルコキシ基の加水分解縮合反応によって生成する、分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上のアルコキシ基が残存するシロキサン化合物(ケイ素原子数が2〜100個、好ましくは2〜30個程度のシロキサンオリゴマー)を意味する。
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
〔式(1)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、nは0〜6の整数を示す。
式(2)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示し、xは1〜3の整数を示し、yは1〜6の整数を示し、zは0〜3の整数を示す。〕
【0025】
先ず、式(1)及び(2)中の記号の定義について説明する。
1及びR3におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。R1及びR3におけるアルキル基の炭素数は1〜6であるが、加水分解縮合の反応性の観点から、炭素数は1〜4が好ましく、1又は2がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、中でも、メチル基又はエチル基が特に好ましい。なお、同一分子内にR1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。R3においても同様である。
【0026】
2におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。R2におけるアルキル基の炭素数は1〜20であるが、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。具体的には、R1及びR3において例示したアルキルの他、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
2におけるアリール基とは、炭素数6〜14の単環〜3環式芳香族炭化水素基を意味し、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
2におけるアルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基等を挙げることができる。なお、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子が挙げられ、中でも、フッ素原子が好ましい。ハロゲン原子は、アルキル基及びアリール基の水素原子の一部又は全部を置換することができるが、全て置換されているものが好ましい。ハロゲン置換アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロシクロプロピル基等のパーフルオロアルキル基が挙げられる。また、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基等が挙げられる。
2における(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基を包含する概念である。
中でも、R2としては、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。なお、同一分子内にR2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0027】
mは、1〜3の整数であるが、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
nは、0〜6の整数であるが、0〜3の整数が好ましく、0又は3がより好ましい。
【0028】
xは、1〜3の整数であるが、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
yは、1〜6の整数であるが、1〜3の整数が好ましく、3がより好ましい。
zは、0〜3の整数であるが、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0029】
次に、成分[A1]のポリシロキサンの構成成分について説明する。
成分[A1]は、TEOSを必須成分として含有する。TEOSは、4個の加水分解性基を有する多官能性シラン化合物である。ポリシロキサン中にTEOS由来の構造単位が含まれると、ITOなどの金属基板表面の水酸基との相互作用により基板との密着性が高くなり、またポリシロキサンの架橋密度がより一層高められ、得られる硬化膜は、より高い硬度を有することができるが、脆くなるため、クラックが発生しやすく、耐擦傷性に劣るものになると予測される。このような予測に反し、本発明においては、TEOSに、後述する化合物(1)及び化合物(2)を組み合わせてポリシロキサンを構成し、これに更に成分[B]を含有せしめることにより、TEOSを高濃度で含有したとしても、意外なことに、硬度、基板密着性が高いだけでなく、耐擦傷性及び耐クラック性にも優れる硬化膜が得られることを見出したものである。このことは、従来の知見からは全く予測し得ないことであった。
【0030】
TEOSの仕込み割合は、硬度、密着性、耐擦傷性及び耐熱クラック性の向上の観点から、原料化合物の合計に対して、好ましくは5〜75モル%、より好ましくは10〜70モル%、更に好ましくは25〜65モル%である。
【0031】
成分[A1]は、更に化合物(1)を必須成分として含有する。化合物(1)は、TEOSによる過度の架橋密度増大を抑制して、適度な架橋密度に保ちつつ耐クラック性及び耐擦傷性の向上に寄与する成分である。
化合物(1)としては、mが1であるシラン化合物、mが2であるシラン化合物、mが3であるシラン化合物が挙げられる。具体的には、次の化合物を挙げることができる。なお、化合物(1)は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
mが1であるシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等の炭素数1〜20のアルキル基を1つ有する加水分解性シラン化合物;トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等の炭素数1〜20のハロゲン置換アルキル基を1つ有する加水分解性シラン化合物;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等の炭素数6〜14のアリール基を1つ有する加水分解性シラン化合物;3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリプロポキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有する加水分解性シラン化合物を挙げることができる。
【0033】
mが2であるシラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等の炭素数1〜20のアルキル基を2つ有する加水分解性シラン化合物;ジフェニルジメトキシシラン等の炭素数6〜14のアリール基を2つ有する加水分解性シラン化合物;3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基と、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコキシシラン化合物;3−メタクリロイルオキシプロピルフェニルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルフェニルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基と、炭素数6〜14のアリール基を有するアルコキシシラン化合物;3,3'−ジメタクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン、3,3'−ジアクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基を2つ有する加水分解性シラン化合物を挙げることができる。
【0034】
mが3であるシラン化合物としては、例えば、トリブチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリブチルエトキシシラン等の炭素数1〜20のアルキル基を3つ有する加水分解性シラン化合物;トリフェニルメトキシシラン等の炭素数6〜14のアリール基を3つ有する加水分解性シラン化合物;3,3',3"−トリメタクリロイルオキシプロピルメトキシシラン、3,3',3"−トリアクリロイルオキシプロピルメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有する加水分解性シラン化合物を挙げることができる。
【0035】
これら化合物(1)のうち、炭素数1〜6のアルキル基を有する加水分解性シラン化合物、炭素数6〜14のアリール基を有する加水分解性シラン化合物、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する加水分解性シラン化合物が好ましく、これら化合物において上記式(1)に係るmが1であるシラン化合物が特に好ましい。好適な化合物(1)の具体例として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン等の炭素数1〜6のアルキル基を1つ有するアルコキシシラン化合物;フェニルトリメトキシシラン等の炭素数6〜14のアリール基を1つ有するアルコキシシラン化合物;3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有するアルコキシシラン化合物を挙げることができる。
【0036】
化合物(1)の合計仕込み割合は、耐熱透明性、硬度、耐擦傷性、耐熱クラック性、密着性、感度、解像度及び現像性の向上の観点から、原料化合物の合計に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは10〜75モル%、更に好ましくは15〜70モル%である。
【0037】
本発明においては、耐擦傷性及び耐熱クラック性のより一層の向上の観点から、上述の好適な化合物(1)のうち、炭素数1〜6のアルキル基を有する加水分解性シラン化合物、及び炭素数6〜14のアリール基を有する加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物(以下、「シラン化合物(1b1)」とも称する)を使用することが好ましく、これらシラン化合物(1b1)において上記式(1)に係るmが1であるシラン化合物が特に好ましい。
【0038】
また、感度及び現像性のより一層の向上の観点から、上述の好適な化合物(1)のうち、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する加水分解性シラン化合物を使用することが好ましく、該シラン化合物において上記式(1)に係るmが1であるシラン化合物が特に好ましい。(メタ)アクリロイルオキシ基を有する加水分解性シラン化合物としては、メタクリロイルオキシ基を有する加水分解性シラン化合物(以下、「シラン化合物(1c1)」とも称する)、及びアクリロイルオキシ基を有する加水分解性を有するシラン化合物(以下、「シラン化合物(1d1)」とも称する)から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましく、シラン化合物(1c1)及びシラン化合物(1d1)を併用することがより好ましい。また、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する加水分解性シラン化合物は、シラン化合物(1b1)とともに使用することが好ましい。
【0039】
化合物(1)として、シラン化合物(1b1)を使用する場合、シラン化合物(1b1)の合計仕込み割合は、耐擦傷性及び耐熱クラック性のより一層の向上の観点から、原料化合物の合計に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは15〜75モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。
【0040】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する加水分解性シラン化合物の合計仕込み割合は、感度及び解像度のより一層の向上の観点から、原料化合物の合計に対して、好ましくは5〜25モル%、より好ましくは10〜20モル%である。
【0041】
また、シラン化合物(1c1)及びシラン化合物(1d1)を併用する場合、両者の仕込み割合(1c1/1d1)は、耐擦傷性及び耐熱クラック性のより一層の向上の観点から、モル比で、好ましくは0.05〜3、より好ましくは0.2〜1.5、更に好ましくは0.3〜1である。
【0042】
成分[A1]は、更に化合物(2)を必須成分として含有する。化合物(2)は、TEOSによる過度の架橋密度増大を抑制して耐熱クラック性及び耐擦傷性の向上に寄与するとともに、現像性の向上にも寄与する成分である。
化合物(2)としては、xが1であるシラン化合物、xが2であるシラン化合物、xが3であるシラン化合物が挙げられる。具体的には、次の化合物を挙げることができる。なお、化合物(2)は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
xが1であるシラン化合物としては、例えば、2−トリメトキシシリルエチル無水コハク酸、3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリエトキシシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリフェノキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリメトキシシリルプロピル無水グルタル酸、3−トリエトキシシシリルプロピル無水グルタル酸、3−トリフェノキシシリルプロピル無水グルタル酸等を挙げることができる。
【0044】
xが2であるシラン化合物としては、例えば、ジ−1−ブトキシ−ビス[3−(ジヒドロ−2,5−フランジオニル)プロピル]シラン、ビス[3−(ジヒドロ−2,5−フランジオニル)プロピル]ジメトキシシラン、ビス[3−(ジヒドロ−2H−ピラン−2,6(5H)−ジオニル)プロピル]ジメトキシシラン等を挙げることができる。
【0045】
xが3であるシラン化合物としては、例えば、トリス[3−(ジヒドロ−2,5−フランジオニル)プロピル]メトキシシラン等を挙げることができる。
【0046】
これら化合物(2)のうち、xが1であるシラン化合物が好ましく、好適な化合物(2)の具体例として、3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリエトキシシシリルプロピル無水コハク酸等を挙げることができる。
【0047】
化合物(2)の合計仕込み割合は、耐熱透明性、硬度、耐擦傷性、耐熱クラック性、密着性、感度、解像度及び現像性の向上の観点から、原料化合物の合計に対して、好ましくは15モル%以下、より好ましくは13モル%以下、更に好ましくは10モル%以下、更に好ましくは7モル%以下である。なお、化合物(2)の合計仕込み割合の下限は、原料化合物の合計に対して、好ましくは0.5モル%、より好ましくは1モル%、更に好ましくは2モル%、特に好ましくは3モル%ある。化合物(2)の合計仕込み割合の範囲としては、原料化合物の合計に対して、好ましくは0.5〜15モル%、より好ましくは1〜13モル%、更に好ましくは2〜10モル%、更に好ましくは3〜7モル%である。
【0048】
TEOS、化合物(1)及び化合物(2)を加水分解縮合させる方法としては、溶剤中にて、原料化合物であるTEOS、化合物(1)及び化合物(2)を混合し、混合溶液に水を加え、加水分解縮合する方法が好ましく採用される。この場合、反応系内に各原料化合物及び水を一度に添加して反応を一段階で行ってもよく、また各原料化合物及び水を、数回に分けて反応系内に添加することにより、加水分解縮合反応を多段階で行ってもよい。なお、加水分解縮合物は、全ての加水分解性基が加水分解縮合したものだけでなく、加水分解性基の一部が加水分解又は縮合せずに残存するものも包含される。
【0049】
加水分解縮合反応において、化合物(2)の酸無水物基は下記スキームに示すように開環し、カルボキシル基を生成する。なお、式中のOR4基は、加水分解により生成したカルボキシル基由来の水酸基、あるいは加水分解によって反応系内に生成した炭素数1〜6のアルコールとのアルコリシスにより生成したアルコキシ基を示す。
【0050】
【化7】
【0051】
式中、R4は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、zは前記と同義である。R4におけるアルキル基としては、R1と同様のものが挙げられ、その具体的構成はR1において説明したとおりである。
【0052】
加水分解縮合反応に使用する溶剤は特に限定されるものではないが、通常、感放射線性組成物の調製に用いられる溶剤と同様のものが使用される。このような溶剤としては、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル類が挙げられる。これら溶剤は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチルが好ましい。
【0053】
加水分解縮合反応に使用する水としては、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。このような精製水を用いることによって、副反応を抑制し、加水分解の反応性を向上させることができる。
水の使用量は、TEOS、化合物(1)及び化合物(2)の加水分解性基の合計1モルに対して、好ましくは0.1〜3モル、より好ましくは0.3〜2モル、更に好ましくは0.5〜1.5モルである。このような量の水を用いることによって、加水分解縮合の反応速度を最適化することができる。
【0054】
なお、加水分解縮合反応は、特に触媒を加えずとも、化合物(2)の加水分解により生成するカルボン酸によって自己触媒的に進行するが、別途酸触媒を添加してもよい。
酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸等の無機酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸、酸性イオン交換樹脂等を挙げることができる。
触媒の使用量は、加水分解縮合反応の促進の観点から、TEOS、化合物(1)及び化合物(2)の合計1モルに対して、好ましくは0.2モル以下であり、より好ましくは0.00001〜0.1モルである。
【0055】
加水分解縮合反応における反応温度及び反応時間は適宜設定することが可能であるが、例えば、下記の条件を採用することができる。反応温度は、好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。このような反応温度及び反応時間とすることによって、加水分解縮合反応を最も効率的に行うことができる。
【0056】
加水分解縮合反応の後には、脱水剤を加え、次いでエバポレーションにかけることによって、水及び生成したアルコールを反応系から除去することができる。この段階で用いられる脱水剤は、一般的に、過剰の水を吸着又は包接して脱水能が完全に消費されるか、又はエバポレーションにより除去される。
【0057】
成分[A2
成分[A2]は、TEOS由来のSiO2単位と、化合物(1)由来の下記式(1a)で表わされる構造単位(以下、「構造単位(1a)」とも称する)と、化合物(2)由来の下記式(2a)で表わされる構造単位(以下、「構造単位(2a)」とも称する)とを有するものである。SiO2単位と、構造単位(1a)と、構造単位(2a)の各々の構造単位は、1種単独でも2種以上で構成されていてもよい。
【0058】
【化8】
【0059】
【化9】
【0060】
〔式中、R2、R4、m、n、x、y及びzは前記と同義である。〕
【0061】
これらのうち、特に式(1a)においてはmが1が好ましく、式(2a)においてはxが1が好ましい。
式(1a)においてmが1、式(2a)においてxが1である場合の構造単位を下記式(1−1a)、(2―1a)に、それぞれ示す。
【化10】
【0062】
【化11】
【0063】
〔式中、R2、R4、n、y及びzは前記と同義である。〕
【0064】
このようなポリシロキサンは、TEOSと、化合物(1)と、化合物(2)とを上述の加水分解縮合反応に供することにより得ることが可能であるが、TEOS、化合物(1)及び化合物(2)から選ばれる2種の化合物の加水分解縮合物と、残部の化合物との加水分解縮合反応によっても得ることが可能である。すなわち、SiO2単位と、構造単位(1a)と、構造単位(2a)は、それぞれランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
【0065】
成分[A2]中のSiO2単位と、構造単位(1a)と、構造単位(2a)との各含有割合は、耐熱透明性、硬度、耐擦傷性、耐熱クラック性、密着性、感度、解像度及び現像性の向上の観点から、次のとおりである。
SiO2単位は、成分[A2]の全構造単位中に、好ましくは5〜75モル%、より好ましくは10〜70モル%、更に好ましくは25〜65モル%である。
構造単位(1a)は、成分[A2]の全構造単位中に、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは10〜75モル%、更に好ましくは15〜70モル%である。
構造単位(2a)は、成分[A2]の全構造単位中に、好ましくは15モル%以下、より好ましくは13モル%以下、更に好ましくは10モル%以下、更に好ましくは7モル%以下であり、その下限は好ましくは0.5モル%、より好ましくは1モル%、より好ましくは2モル%、特に好ましくは3モル%である。構造単位(2a)の含有割合の範囲としては、成分[A2]の全構造単位中に、好ましくは0.5〜15モル%、より好ましくは1〜13モル%、更に好ましくは2〜10モル%、更に好ましくは3〜7モル%である。
【0066】
また、構造単位(1a)として、耐熱クラック性及び耐擦傷性のより一層の向上の観点から、下記式(1b)で表わされる構造単位(以下、「構造単位(1b)」とも称する)を1以上含有することが好ましい。
【0067】
【化12】
【0068】
式(1b)中、R5は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示し、mは前記と同義である。
5におけるアルキル基としては上記R1と同様のものが挙げられ、またR5におけるアリール基としては上記R2と同様のものが挙げられる。その具体的構成については、上記において説明したとおりである。
また、mは、1が好ましい。式(1b)においてmが1である場合の構造単位を下記式(1−1b)に示す。
【0069】
【化13】
【0070】
〔式中、R5は前記と同義である。〕
【0071】
単位(1b)の含有割合は、成分[A2]の全構造単位中に、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは15〜75モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。
【0072】
更に、本発明においては、感度及び現像性のより一層の向上の観点から、構造単位(1a)として、下記式(1c)で表わされる構造単位(以下、「構造単位(1c)」とも称する)及び下記式(1d)で表わされる構造単位(以下、「構造単位(1d)」とも称する)から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、構造単位(1c)及び構造単位(1d)の双方を含有することがより好ましい。更に、構造単位(1b)とともに、構造単位(1c)及び構造単位(1d)から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0073】
【化14】
【0074】
【化15】
【0075】
式(1c)及び(1d)中、m及びnは前記と同義であるが、mは1が好ましく、nは3が好ましい。
式(1c)、式(1d)においてmが1である場合の構造単位を下記式(1−1c)、(1―1d)に、それぞれ示す。
【0076】
【化16】
【0077】
【化17】
【0078】
〔式中、nは前記と同義である。〕
【0079】
構造単位(1c)と構造単位(1d)の合計含有割合は、感度及び解像度のより一層の向上の観点から、成分[A2]の全構造単位中に、好ましくは5〜25モル%、より好ましくは10〜20モル%である。
また、構造単位(1c)及び構造単位(1d)を含有する場合、構造単位(1c)と構造単位(1d)の含有割合(1c/1d)は、耐擦傷性及び耐クラック性のより一層の向上の観点から、モル比で、好ましくは0.05〜3、より好ましくは0.2〜1.5、更に好ましくは0.3〜1である。
【0080】
また、構造単位(2a)としては、上述の化合物(2)由来の構造単位を挙げることができるが、中でも、3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリエトキシシシリルプロピル無水コハク酸等に由来する単位であることが好ましい。
【0081】
成分[A]成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
成分[A]の分子量は、移動相にテトラヒドロフランを使用したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量として測定することができる。成分[A]の重量平均分子量(Mw)は、500〜10000が好ましく、1000〜7000が更に好ましい。成分[A]の重量平均分子量の値を500以上とすることによって、感放射線性組成物の塗膜の成膜性を改善することができる。一方、重量平均分子量を10000以下とすることによって、感放射線性組成物のアルカリ現像性の低下を防止することができる。
また、重量平均分子量(Mw)と同様の条件により測定される数平均分子量(Mn)との比、すなわち分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜15.0、より好ましくは1.1〜10.0、更に好ましくは1.1〜5.0である。このような範囲内とすることにより、アルカリ現像性、密着性及び耐熱クラック性を両立することができる。
【0082】
成分[B]
成分[B]は、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であるが、後述する成分[C]の光ラジカル重合開始剤の存在下において放射線を照射することにより重合する多官能性単量体である。但し、成分[B]には、成分[A]が除かれる。
【0083】
このような化合物としては、重合性が良好であり、得られる硬化膜の強度が向上するという観点から、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく使用される。
【0084】
2官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート等を挙げることができる。市販品としては、例えば、アロニックスM−210、同M−240、同M−6200(以上、東亞合成社);KAYARAD HDDA、同HX−220、同R−604(以上、日本化薬社);ビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業社);ライトアクリレート1,9−NDA(共栄社化学社)等が挙げられる。
【0085】
3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。市販品としては、例えば、アロニックスM−309、同M−315、同M−400、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同TO−1450(以上、東亞合成社);KAYARAD TMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同DPEA−12(以上、日本化薬社);ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業社)等が挙げられる。
【0086】
また、トリ(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、トリ(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートの他、直鎖アルキレン基及び脂環式構造を有し、かつ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基とを有し、かつ3個、4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート系化合物等を使用することもできる。多官能ウレタンアクリレート系化合物を含有する市販品としては、ニューフロンティアR−1150(第一工業製薬社)、KAYARAD DPHA−40H(日本化薬社)等が挙げられる。
【0087】
これらのうち、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートや、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、多官能ウレタンアクリレート系化合物を含有する市販品等が好ましい。中でも、3官能以上、とりわけ3〜6官能の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物が特に好ましい。
【0088】
成分[B]成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。成分[B]の含有量は、成分[A]100質量部に対して、好ましくは5〜300質量部、より好ましくは10〜200質量部、更に好ましくは15〜100質量部、更に好ましくは20〜80質量部である。成分[B]の含有量を上記範囲内とすることで、硬度、耐熱性及び感度がより一層良好となる。
【0089】
成分[C]
成分[C]は、光ラジカル重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線などの放射線の露光により、上記成分[B]の硬化反応を開始し得る活性種を発生することができる化合物である。
本発明で使用する光ラジカル重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物等を挙げることができる。
【0090】
O−アシルオキシム化合物の具体例としては、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等を挙げることができる。これらO−アシルオキシム化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0091】
これらのうち、好ましいO−アシルオキシム化合物としては、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
【0092】
アセトフェノン化合物としては、例えば、α−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物を挙げることができる。アセトフェノン化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0093】
α−アミノケトン化合物の具体例としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を挙げることができる。
【0094】
α−ヒドロキシケトン化合物の具体例としては、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等を挙げることができる。
【0095】
これらのアセトフェノン化合物のうちα−アミノケトン化合物が好ましく、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンが特に好ましい。
【0096】
アシルフォスフィンオキサイド化合物の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。これらアシルフォスフィンオキサイド化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0097】
これらアシルフォスフィンオキサイド化合物のうち、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
【0098】
本発明においては、成分[C]として、O−アシルオキシム化合物を含有することが好ましい。
【0099】
成分[C]は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
成分[C]の含有量は、成分[A]と[B]の合計100質量部に対して、好ましくは0.05〜30質量部、より好ましくは0.1〜15質量部、更に好ましくは1〜15質量部である。成分[C]の含有量を上記範囲内とすることによって、低露光量の場合でも、高い放射線感度を示し、充分な硬度を有する硬化膜を形成することができる。
【0100】
成分[D]
成分[D]は、溶剤である。感放射線性組成物は、通常、溶剤を配合して液状組成物として調製される。溶剤としては、感放射線性組成物を構成する各成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜選択して使用することができる。
このような溶剤として、プロトン性溶剤であるアルコール系溶剤を含有することが好ましい。アルコール系溶剤を用いることで、感放射線性組成物の大型基板への塗工性向上を可能にし、更に塗布ムラ(筋状ムラ、ピン跡ムラ、モヤムラ等)の発生を抑制し、膜厚均一性をより一層向上できる。
【0101】
アルコール系溶剤として、例えば、
1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−ドデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の長鎖アルキルアルコール;
ベンジルアルコール等の芳香族アルコール;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル;
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル
等を挙げることができる。これらのアルコール系溶剤は、単独で又は2種以上併用して使用することができる。
【0102】
これらアルコール系溶剤のうち、特に塗工性向上の観点から、プロピレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルが特に好ましい。
【0103】
成分[D]は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。成分[D]の含有量は、成分[A]100質量部に対して、好ましくは1〜1,200質量部、更に好ましくは10〜900質量部である。成分[D]の含有量を上記範囲内とすることによって、ガラス基板等に対する塗工性向上を可能にし、更に塗布ムラ(筋状ムラ、ピン跡ムラ、モヤムラ等)の発生を抑制し、膜厚均一性を更に向上できる。
【0104】
本発明においては、アルコール系溶剤と共に、他の溶剤、例えばエーテル類、ジエチレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類などを含有することができる。
【0105】
添加剤
本発明の感放射線性組成物は、必要に応じて種々の添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、アクリル系微粒子等の充填剤;トリフェニルスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩等の感放射線性酸発生剤;2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、O−カルバモイルヒドロキシアミド等の感放射線性塩基発生剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤を挙げることができる。
これら添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜選択することができる。
【0106】
本発明の感放射線性組成物は、適宜の方法により調製することが可能であるが、例えば、[D]溶剤中で、成分[A]、[B]及び[C]、必要により添加剤を所定の割合で混合することにより、溶液又は分散液状態の感放射線性組成物を調製することができる。
【0107】
硬化膜及びその形成方法
次に、本発明の感放射線性組成物を用いて、基板上に硬化膜を形成する方法について説明する。当該方法は、以下の工程(1)〜(4)を含むものである。
(1)本発明の感放射線性組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜をアルカリ現像液で現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程。
【0108】
工程(1)
工程(1)においては、基板上に本発明の感放射線性組成物の溶液又は分散液を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより溶剤を除去して、塗膜を形成する。使用できる基板の材質としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、樹脂などを挙げることができる。樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンの開環重合体及びその水素添加物などを挙げることができる。
【0109】
感放射線性組成物の溶液又は分散液の塗布方法としては特に限定されず、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法などの適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも、特にスピンコート法又はスリットダイ塗布法が好ましい。プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、好ましくは70〜120℃で1〜10分間程度とすることができる。
【0110】
工程(2)
工程(2)においては、工程(1)で形成された塗膜の少なくとも一部に露光する。通常、塗膜の一部に露光する際には、所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光する。露光に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用できる。これらの放射線の中でも、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
【0111】
当該工程における露光量は、放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model356、OAI Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは10〜1,000mJ/cm2、より好ましくは20〜700mJ/cm2である。
【0112】
工程(3)
工程(3)においては、露光後の塗膜をアルカリ現像液で現像することにより、未露光部分を除去して、所定のパターンを形成する。このように、本発明の感放射線性組成物は、放射線の非照射部分が除去されるから、ネガ型である。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ現像液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ現像液を挙げることができる。中でも、コスト、生産性の観点から、無機アルカリ現像液が好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の現像液が好ましい。本発明の感放射線性組成物は、無機アルカリ現像液を用いた場合にも、パターン像を高い解像度で高精細に形成することが可能である。
【0113】
また、このようなアルカリ現像液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、感放射線性組成物の組成によって異なるが、好ましくは10〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて、例えば流水洗浄を30〜90秒間行った後、例えば圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成することができる。
【0114】
工程(4)
工程(4)においては、現像してパターニングされた塗膜を、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いて加熱することにより、所望のパターンを有する硬化膜を得ることができる。加熱温度は、例えば、120〜250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱工程を行う場合には5〜30分間、オーブン中で加熱工程を行う場合には30〜90分間とすることができる。2回以上の加熱工程を行うステップベーク法等を用いることも可能である。
このように形成された硬化膜の膜厚は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.1〜6μm、更に好ましくは0.1〜4μmである。
【0115】
以上の如き工程を経ることによって、基板に対する密着性が良好で、かつ耐熱透明性、硬度、耐擦傷性、耐熱クラック性、感度及び現像性等の諸特性に優れる硬化膜を形成できると共に、パターン像を高い解像度で高精細に形成することが可能である。しかも、このようなパターンを無機アルカリ現像液で現像することができる。そして、得られた硬化膜は、このような特性を具備するため、例えば、表示素子のタッチパネルの保護膜、表示素子の層間絶縁膜として好適に使用することができる。
【実施例】
【0116】
以下に合成例、実施例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0117】
以下の各合成例から得られたポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、下記の仕様によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
装置:GPC−101(昭和電工(株)製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804(昭和電工(株)製)を連結したもの
移動相:テトラヒドロフラン
【0118】
成分[A]のポリシロキサンの合成例
[合成例1]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル20質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン(以下、「MTMS」という)41質量部、テトラエトキシシラン(TEOS)12質量部、及び3−(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸(以下、「TMSPS」という)5質量部(MTMS/TEOS/TMSPS(モル比)=80/15/5)を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、リン酸0.1質量部、イオン交換水19質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル28質量部を加え、1時間攪拌した。さらに、溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、イオン交換水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、ポリシロキサン(A−1)を得た。ポリシロキサン(A−1)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が2,500であり、分散度(Mw/Mn)が2.2であった。なお、本明細書において「固形分」とは、試料を175℃のホットプレートで1時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
【0119】
[合成例2]
MTMS、TEOS及びTMSPSに加えて、更に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下、「MPTMS」という)を、MTMS/TEOS/MPTMS/TMSPS(モル比)=68/15/15/2の割合で用いたこと以外は、合成例1と同様の操作により、ポリシロキサン(A−2)を得た。ポリシロキサン(A−2)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が2,300であり、分散度(Mw/Mn)が2.1であった。
【0120】
[合成例3]
MTMS/TEOS/MPTMS/TMSPSの割合(モル比)を62/15/15/8に変更したこと以外は、合成例2と同様の操作により、ポリシロキサン(A−3)を得た。ポリシロキサン(A−3)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が2,200であり、分散度(Mw/Mn)が2.1であった。
【0121】
[合成例4]
MTMS/TEOS/MPTMS/TMSPSの割合(モル比)を55/15/15/15に変更したこと以外は、合成例2と同様の操作により、ポリシロキサン(A−4)を得た。ポリシロキサン(A−4)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が2,200であり、分散度(Mw/Mn)が2.3であった。
【0122】
[合成例5]
MTMS、TEOS及びTMSPSに加えて、更にMPTMS及びフェニルトリメトキシシラン(以下、「PTMS」という)を、MTMS/TEOS/PTMS/MPTMS/TMSPS(モル比)=50/15/15/15/5の割合で用いたこと以外は、合成例1と同様の操作により、ポリシロキサン(A−5)を得た。ポリシロキサン(A−6)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が1,900であり、分散度(Mw/Mn)が1.9であった。
[合成例6]
MTMS、TEOS及びTMSPSに加えて、更に3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下、「APTMS」という)を、MTMS/TEOS/APTMS/TMSPS(モル比)=65/15/15/5の割合で用いたこと以外は、合成例1と同様の操作により、ポリシロキサン(A−6)を得た。ポリシロキサン(A−6)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が2,400であり、分散度(Mw/Mn)が2.3であった。
【0123】
[合成例7]
MTMS/TEOS/APTMS/TMSPSの割合(モル比)を50/30/15/5に変更したこと以外は、合成例6と同様の操作により、ポリシロキサン(A−7)を得た。ポリシロキサン(A−7)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が3,500であり、分散度(Mw/Mn)が2.4であった。
【0124】
[合成例8]
MTMS、TEOS及びTMSPSに加えて、更にMPTMS及びAPTMSを、MTMS/TEOS/MPTMS/APTMS/TMSPS(モル比)=77/7/1/10/5の割合で用いたこと以外は、合成例1と同様の操作により、ポリシロキサン(A−8)を得た。ポリシロキサン(A−8)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が2,000であり、分散度(Mw/Mn)が2.0であった。
【0125】
[合成例9]
MTMS/TEOS/MPTMS/APTMS/TMSPSの割合(モル比)を50/30/5/10/5に変更したこと以外は、合成例8と同様の操作により、ポリシロキサン(A−9)を得た。ポリシロキサン(A−9)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が3,400であり、分散度(Mw/Mn)が2.3であった。
【0126】
[合成例10]
MTMS/TEOS/MPTMS/APTMS/TMSPSの割合(モル比)を15/62/8/10/5に変更したこと以外は、合成例8と同様の操作により、ポリシロキサン(A−10)を得た。ポリシロキサン(A−10)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が5,400であり、分散度(Mw/Mn)が2.6であった。
【0127】
[合成例11]
MTMS/TEOS/MPTMS/APTMS/TMSPSの割合(モル比)を50/30/10/5/5に変更したこと以外は、合成例8と同様の操作により、ポリシロキサン(A−11)を得た。ポリシロキサン(A−11)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が3,100であり、分散度(Mw/Mn)が2.3であった。
【0128】
[比較合成例1]
TEOSの代わりにAPTMSを使用し、MTMS/APTMS/TMSPS(モル比)=80/15/5の割合としたこと以外は、合成例1と同様の操作により、ポリシロキサン(a−1)を得た。ポリシロキサン(a−1)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が2,000であり、分散度(Mw/Mn)が1.9であった。
【0129】
[比較合成例2]
TEOSの代わりにMPTMS及びAPTMSを使用し、MTMS/MPTMS/APTMS/TMSPS(モル比)=80/5/10/5の割合としたこと以外は、合成例1と同様の操作により、ポリシロキサン(a−2)を得た。ポリシロキサン(a−2)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が2,000であり、分散度(Mw/Mn)が1.9であった。
【0130】
[比較合成例3]
TMSPSの代わりにAPTMSを使用し、MTMS/TEOS/APTMS(モル比)=70/15/15の割合としたこと以外は、合成例1と同様の操作により、ポリシロキサン(a−3)を得た。ポリシロキサン(a−3)は、固形分濃度が30質量%であり、重量平均分子量(Mw)が2,400であり、分散度(Mw/Mn)が2.1であった。
【0131】
感放射線性組成物の調製、並びに保護膜及び層間絶縁膜の形成
[実施例1]
合成例1で得られたポリシロキサン(A−1)を含む溶液(固形分換算で100質量部)に、成分[B]として(B−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(モル比50/50)20質量部、成分[C]として(C−1)エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)3質量部を加え、更に固形分濃度が25質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶剤(混合割合80/20w/w%)を添加して感放射線性組成物を調製した。
【0132】
次に、この感放射線性組成物を、スピンナーを用いてSiO2ディップガラス基板に塗布した後、ホットプレート上で90℃、2分間プレベークして塗膜を形成した(後述のITO密着性評価においてはITO付基板を用いた)。次いで、得られた塗膜に300mJ/cm2の露光量で紫外線を露光した。続いて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒現像した後、純水で1分間洗浄し、更に230℃のオーブン中で60分間加熱することにより、膜厚2.0μmの保護膜を形成した。
また、加熱後の膜厚が3.0μmになるように塗膜形成時のスピンナーの回転数を調節し、20μm、30μm、40μm、50μmのサイズのコンタクトホールパターンを有するフォトマスクを介して、露光ギャップ(基板とフォトマスクの間隔)を150μmで露光した以外は、上記の保護膜形成と同様にして、層間絶縁膜を形成した。
得られた保護膜、層間絶縁膜について、下記の物性評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0133】
物性評価
1)保護膜の耐熱透明性
上記のように形成した保護膜を有する基板について、クリーンオーブン中にて250℃で1時間加熱し、加熱前後の波長400nmにおける光線透過率(%)を、分光光度計(日立製作所(株)製の150−20型ダブルビーム)を用いて測定した後、下記式にしたがって耐熱透明性(%)を算出した。この値が4%以下のとき、保護膜の耐熱透明性は良好であると判断した。
【0134】
耐熱透明性(%)=加熱前の光線透過率(%)−加熱後の光線透過率(%)
【0135】
2)保護膜の鉛筆硬度
上記のように形成した保護膜を有する基板について、「JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験」により保護膜の鉛筆硬度(表面硬度)を測定した。この値が4H又はそれより大きいとき、保護膜の表面硬度は良好であると判断した。
【0136】
3)保護膜の耐擦傷性
上記のように形成した保護膜を有する基板について、学振型磨耗試験機を用い、スチールウール#0000の上に200gの荷重をかけて10往復させた。擦傷の状況を肉眼で以下の判定基準で評価した。評点が◎又は○であるとき、良好な耐擦傷性を有すると判断した。評点が◎又は○であるとき、耐擦傷性は良好であると判断した。
【0137】
判定基準
◎:全く傷がつかない、
○:1〜3本の傷がつく、
△:4〜10本の傷がつく、
×:10本以上の傷がつく
【0138】
4)保護膜の耐熱クラック
上記のように形成した保護膜を有する基板について、300℃で30分追加焼成を行い、その後23℃で24時間放置し、その保護膜表面にクラックが発生しているか否かを以下の判定基準により、レーザー顕微鏡(キーエンス製VK−8500)を用いて確認した。評点が◎又は○であるとき、耐熱クラックは良好であると判断した。
判定基準
◎:全くクラックがない、
○:1〜3個のクラックがある、
△:4〜10個のクラックがある、
×:10個以上のクラックがある
【0139】
5)保護膜のITO密着性
SiO2ディップガラス基板に換えてITO付基板を用いた以外は、上記と同様の操作により保護膜を形成し、プレッシャークッカー試験(120℃、湿度100%、4時間)を行った。その後、「JIS K−5400−1990の8.5.3付着性碁盤目テープ法」を行い、碁盤目100個中で残った碁盤目の数を求め、保護膜のITO密着性を評価した。碁盤目100個中で残った碁盤目の数が80個以下の場合に、ITO密着性は不良と判断した。
【0140】
6)保護膜の感度
上記と同様の操作により形成した塗膜に対し、露光機(TME-400PRJ、(株)トプコン製)を用い、10μm/30μmのライン・アンド・スペースのパターンを有するマスクを介して露光量を変化させて露光を行った後、0.04質量%のKOH水溶液にて25℃、60秒間、浸漬法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてガラス基板上にパターンを形成した。このとき、10μm/30μmのライン・アンド・スペースのパターンが剥離せず残るのに必要な最小露光量を測定した。この最小露光量を放射線感度として評価した。最小露光量が100mJ/cm2以下のとき、感度は良好であると判断した。なお、パターンが形成できない場合を×とした。
【0141】
7)層間絶縁膜の解像度
上記の層間絶縁膜の形成において、解像可能であったコンタクトホールパターンサイズを測定した。30μm以下のコンタクトホールパターンを解像できれば、解像性は良好であると判断した。なお、パターンが形成できない場合を×とした。
【0142】
8)保護膜のKOH現像性
上記のように形成した保護膜を有する基板について、3.0μmの塗布膜を形成し、0.04質量%のKOH水溶液にて25℃、60秒間、浸漬法で現像した。その後水洗し、基板上に残る膜残渣の有無を光学顕微鏡で観察し、以下の判定基準で評価した。なお、膜残渣が確認されなかった場合、KOH現像性は良好であると判断し、一方基板全面に膜残渣が確認された場合、KOH現像性はなく、不良と判断できる。
【0143】
判定基準
○:膜残渣が確認されない
△:やや膜残渣が確認される
×:基板全面に膜残渣が確認される
【0144】
[実施例2〜15及び比較例1〜4]
各配合成分の種類及び配合量(質量部)を表1に記載の通りとした他は、実施例1と同様にして感放射線性組成物を調製した。次いで、得られた感放射線性組成物を用いて、実施例1と同様にして保護膜及び層間絶縁膜を形成した。得られた保護膜及び層間絶縁膜について、実施例1と同様の物性評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0145】
なお、表1中、成分[A]、[B]、及び[C]における各記号は、それぞれ以下のものを表す。
【0146】
成分[A]
A−1 :MTMS/TEOS/TMSPS=80/15/5 (mol%)
A−2 :MTMS/TEOS/MPTMS/TMSPS=68/15/15/2 (mol%)
A−3 :MTMS/TEOS/MPTMS/TMSPS=62/15/15/8 (mol%)
A−4 :MTMS/TEOS/MPTMS/TMSPS=55/15/15/15 (mol%)
A−5 :MTMS/TEOS/PTMS/MPTMS/TMSPS=50/15/15/15/5 (mol%)
A−6 :MTMS/TEOS/APTMS/TMSPS=65/15/15/5 (mol%)
A−7 :MTMS/TEOS/APTMS/TMSPS=50/30/15/5 (mol%)
A−8 :MTMS/TEOS/MPTMS/APTMS/TMSPS=77/7/1/10/5 (mol%),1c1/1d1=0.1
A−9 :MTMS/TEOS/MPTMS/APTMS/TMSPS=50/30/5/10/5 (mol%),1c1/1d1=0.5
A−10:MTMS/TEOS/MPTMS/APTMS/TMSPS=15/62/8/10/5 (mol%),1c1/1d1=0.8
A−11:MTMS/TEOS/MPTMS/APTMS/TMSPS=50/30/10/5/5 (mol%),1c1/1d1=2.0
a−1 :MTMS/APTMS/TMSPS=80/15/5 (mol%)
a−2 :MTMS/MPTMS/APTMS/TMSPS=80/5/10/5 (mol%)
a−3 :MTMS/TEOS/APTMS=70/15/15 (mol%)
【0147】
成分[B]
B−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(モル比50/50) (商品名:DPHA、日本化薬社製)
B−2:ペンタエリスリトールトリアクリレート (新中村化学工業社製)
B−3:コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート (商品名:アロニックス M-520、東亜合成社製)
B−4:トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート (商品名:アロニックス M-315、東亜合成社製)
【0148】
成分[C]
C−1:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム) (商品名:IRGACURE OX02、BASF社製)
C−2:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
(商品名:IRGACURE 819、BASF社製)
C−3:1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)] (商品名:IRGACURE OXE01、BASF社製)
C−4:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン
【0149】
【表1】