(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下吸込経路は、前記熱交換器近傍において水平断面の面積が最も小さい第1部分と、前記下吸込口近傍部(33a)を含む第3部分(33)と、前記第1部分と前記第3部分とを繋ぐ第2部分(32)と、を含み、
前記保持部は、前記第2部分において前記第1部分の前記第3部分側の端縁の真下に位置する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空調室内機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ケーシングの下面に形成されている吸込口(以下、下吸込口という)は、ケーシング内に配置されるフィルタ及び熱交換器よりも下側に位置するため、下吸込口から吸い込まれた空気が熱交換器へと至る経路(以下、下吸込経路という)は、下吸込口から上方へと延びる構成になる。このため、特許文献1に開示されている室内ユニットのように、フィルタが熱交換器の空気流れ上流側全域を覆うように配置されている場合には、フィルタのメンテナンスが行われるなどしてフィルタが振動することで、フィルタに捕捉されていた塵埃が、下吸込経路を介して下吸込口から落下してしまうおそれがある。そして、もし、下吸込口から塵埃が落下すると、ユーザーに不快感を与えるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明の課題は、ユーザーに不快感を与えるおそれを低減することができる空調室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空調室内機は、
室内の壁面に取り付けられる壁掛け型の空調室内機であって、熱交換器と、フィルタと、ケーシングと、下吸込経路と、保持部と、を備えている。熱交換器は、通過する空気との間で熱交換を行う。フィルタは、熱交換器よりも空気流れ上流側に配置されている。また、フィルタは、熱交換器へと流れる空気中の塵埃を捕捉するためのものである。ケーシングは、熱交換器及びフィルタを収納している。また、ケーシングは、下面に、下吸込口が形成されている。下吸込口は、空気を吸い込むための開口である。下吸込経路は、下吸込口から上方に延びている。また、下吸込経路は、下吸込口から吸い込まれた空気を、フィルタ及び熱交換器へと導くための経路である。保持部は、下吸込経路において、フィルタよりも下吸込口側に配置されている。また、保持部は、フィルタから落下する塵埃を保持するためのものである。
さらに、保持部は、保持溝を有する。保持溝は、フィルタから落下する塵埃を捕捉し、捕捉した塵埃を保持する。
【0006】
本発明の第1観点に係る空調室内機では、下吸込経路に、フィルタから落下する塵埃を保持するための保持部が配置されている。このため、フィルタのメンテナンスが行われるなどしてフィルタが振動することで、フィルタに捕捉されていた塵埃がフィルタから落下したとしても、下吸込経路内でこの塵埃を保持することができる。したがって、フィルタから剥離した塵埃が、下吸込経路を介して下吸込口から落下するおそれを低減することができる。
【0007】
これによって、ユーザーに不快感を与えるおそれを低減することができる。
【0008】
また、この空調室内機では、保持部がフィルタから落下する塵埃を捕捉し、捕捉した塵埃を保持する保持溝を有する。このため、保持溝によって、塵埃を捕捉し、捕捉した塵埃を保持することができる。
【0009】
本発明の第
2観点に係る空調室内機は、第1観点
の空調室内機において、保持部は、櫛歯状の捕捉部を有する。捕捉部が櫛歯状であるため、フィルタから落下してきた塵埃が、捕捉部に引っ掛かりやすくなる。このため、この空調室内機では、保持部での塵埃捕捉能力を向上させることができる。
【0010】
本発明の第
3観点に係る空調室内機は、
第1観点又は第2観点の空調室内機において、保持溝は、ケーシングの左側端部近傍から右側端部近傍まで延びるように配置されている。このため、この空調室内機では、フィルタから落下してきた塵埃を確実に捕集することができる。
【0011】
本発明の第
4観点に係る空調室内機は、第1観点から第
3観点のいずれかの空調室内機において、下吸込経路は、第1部分と、第2部分と、第3部分と、を含む。第1部分は、熱交換器近傍において水平断面の面積が最も小さい部分である。第2部分は、第1部分と第3部分とを繋ぐ部分である。第3部分は、下吸込口近傍部を含む部分である。また、保持部は、第2部分において、第1部分の第3部分側の端部の端縁の真下に位置している。この空調室内機では、保持部が、第2部分において、第1部分の第3部分側の端部の端縁の真下に位置しているため、フィルタから下吸込経路の第1部分を経由して落下してきた塵埃を、保持部で保持しやすくなっている。したがって、フィルタから落下した塵埃を、保持部で保持できないおそれを低減することができる。
【0012】
本発明の第
5観点に係る空調室内機は、第1観点から第
4観点のいずれかの空調室内機において、フィルタを自動的に掃除するフィルタ掃除機構を更に備える。フィルタ掃除機構は、除去部を有する。除去部は、フィルタに捕捉された塵埃を除去するためのものである。この空調室内機は、フィルタから剥離した塵埃が下吸込口から落下しないように保持することのできる構成であるため、フィルタ掃除機構によってフィルタが自動的に掃除されて、フィルタから塵埃が剥離したとしても、剥離した塵埃が下吸込口から落下するおそれを低減することができる。
【0013】
本発明の第
6観点に係る空調室内機は、第1観点から第
5観点のいずれかの空調室内機において、保持部は、塵埃の捕捉を補助する捕捉補助部材を有する。このため、この空調室内機では、下吸込口から塵埃が落下するおそれを低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1観点に係る空調室内機では、ユーザーに不快感を与えるおそれを低減することができる。
【0015】
本発明の第
2観点に係る空調室内機では、保持部での塵埃捕捉能力を向上させることができる。
【0016】
本発明の第
3観点に係る空調室内機では、フィルタから落下してきた塵埃を確実に捕集することができる。
【0017】
本発明の第
4観点に係る空調室内機では、保持部で保持できないおそれを低減することができる。
【0018】
本発明の第
5観点に係る空調室内機では、フィルタから剥離した塵埃が、下吸込口から落下するおそれを低減することができる。
【0019】
本発明の第
6観点に係る空調室内機では、下吸込口から塵埃が落下するおそれを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る空調室内機10について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
(1)空調室内機の構成
空調室内機10は、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型の空調室内機であり、
図2及び
図3に示すように、本体ケーシング11、フィルタ18、フィルタ掃除機構80、室内熱交換器13、室内ファン14、底フレーム40,60、及び、保持部50を備えている。
【0023】
本体ケーシング11は、天面部11a、前面パネル11b、背面板11c及び下部水平板11dを有しており、空調室内機10の外郭を構成している。また、本体ケーシング11は、内部にフィルタ18、フィルタ掃除機構80、室内熱交換器13、室内ファン14、底フレーム40,60、及び保持部50を収納している。
【0024】
天面部11aは、本体ケーシング11の上部を構成している。また、天面部11aの前部には、空調室内機10の上側から本体ケーシング11内に室内の空気を吸い込むための上吸込口24が設けられている。
【0025】
前面パネル11bは空調室内機10の前面部を構成しており、吸込口がないフラットな形状を成している。また、前面パネル11bは、その上端が天面部11aに回動自在に支持され、ヒンジ式に動作することができる。
【0026】
背面板11cは、本体ケーシング11の背面を構成しており、室内の壁面に設置された取付板(図示せず)にビス止め等によって取り付けられることで、空調室内機10が室内の壁面に設置されることになる。
【0027】
底フレーム40,60は、前側底フレーム40と、後側底フレーム60と、を有している。そして、室内熱交換器13及び室内ファン14は、前側底フレーム40に取り付けられている。
【0028】
室内熱交換器13は、通過する空気との間で熱交換を行う。また、室内熱交換器13は、側面視において両端が下方に向いて屈曲する逆V字状の形状を成し、その下方に室内ファン14が位置する。室内ファン14は、クロスフローファンであり、室内から取り込んだ空気を、室内熱交換器13に当てて通過させた後、室内に吹き出す。
【0029】
フィルタ18は、天面部11aと室内熱交換器13との間に、室内熱交換器13を覆うように着脱自在に装着されている。このため、フィルタ18は、室内熱交換器13よりも空気流れ上流側に配置されているといえる。そして、フィルタ18は、室内熱交換器13に向かって流入してくる室内の空気に含まれる塵埃を捕捉することができる。なお、本実施形態では、フィルタ18は、フィルタ18の前後方向の中央部18bが天面部11aに沿って延びており、前側端部18a及び後側端部18cが中央部18bよりも下方に垂れ下がっていることで、室内熱交換器13の上方を覆っている(
図2参照)。このため、フィルタ18は、側面視において、略逆U字形状となるように配置されている。なお、フィルタ18は、環形状に成形されており、支持枠(図示せず)に掛け渡されている。
【0030】
フィルタ掃除機構80は、フィルタ18が自動で清掃されるフィルタ清掃運転を実行するための機構である。なお、本実施形態では、フィルタ掃除機構80は、本体ケーシング11内の前部であって、フィルタ18の前側端部18a近傍の折返し部分に配置されている。
【0031】
また、本体ケーシング11の下部には、本体ケーシング11の長手方向に長い吹出口20が設けられている。吹出口20は、前側底フレーム40を構成要素とする吹出経路21の出口になっている。
【0032】
下部水平板11dは、本体ケーシング11の下面(底面)を構成しており、
図2及び
図3に示すように、背面板11cの下端から前側底フレーム40の下端部近傍まで延びている。また、下部水平板11dには、空調室内機10の下側から本体ケーシング11内に室内の空気を吸い込むための下吸込口22が形成されている。下吸込口22は、本体ケーシング11の長手方向に長い略長方形状の開口であって、吹出口20よりも壁面側に設けられている。さらに、下吸込口22には、下吸込口22を開閉するための開閉板15が設けられている。開閉板15は、下吸込口22を塞ぐことが可能な大きさに設計されている。また、下吸込口22は、前側底フレーム40及び後側底フレーム60から構成される下吸込経路30の入口になっている。下吸込経路30は、前側底フレーム40を挟んで吹出経路21と隣接している。また、下吸込経路30には、下吸込口22から塵埃が落下しないように、塵埃を保持するための保持部50が配設されている。
【0033】
下吸込口22近傍の室内の空気は、室内ファン14の稼働によって、下吸込口22、下吸込経路30、フィルタ18及び室内熱交換器13を経て室内ファン14に吸い込まれ、室内ファン14から吹出経路21を経て吹出口20から吹き出される。
【0034】
一方で、上吸込口24近傍の室内の空気は、室内ファン14の稼働によって、上吸込口24、フィルタ18及び室内熱交換器13を経て室内ファン14に吸い込まれ、室内ファン14から吹出経路21を経て吹出口20から吹き出される。
【0035】
また、吹出口20近傍には、本体ケーシング11の長手方向に長い板状の水平羽根16が回動自在に取り付けられている。水平羽根16は、モータ(図示せず)によって駆動して、傾斜角度が異なる複数の姿勢を採ることで、吹出空気の上下方向の流れを変更することができる。
【0036】
さらに、吹出口20の近傍であって、水平羽根16の上方には、コアンダ羽根17が設けられている。コアンダ羽根17は、水平羽根16と同様に本体ケーシング11の長手方向に長い板状の部材であって、コアンダ羽根17の下端部近傍に位置する回転軸(図示せず)がモータ(図示せず)によって回転されることで、傾斜角度が異なる複数の姿勢を採ることが可能である。そして、コアンダ羽根17は、水平羽根16と共同して、吹出空気を様々な気流にすることができる。なお、コアンダ羽根17は、運転停止時には、前面パネル11bに設けられた収容部19に収容される。
【0037】
なお、空調室内機10の具体的な構成は、上記のものに限定されるものではなく、本体ケーシング11の下面に形成された下吸込口22から上方に延びており、下吸込口22から吸い込まれた空気をフィルタ18及び室内熱交換器13へと導くための下吸込経路を備える空調室内機であれば、他の機器構成であってもよい。
【0038】
(2)詳細構成
(2−1)フィルタ掃除機構
フィルタ掃除機構80は、フィルタ18を周回させるためのフィルタ駆動部81と、フィルタ18から塵埃を除去するためのブラシ82と、フィルタ18から除去された塵埃を溜めるためのダストボックス84と、を有している。
【0039】
フィルタ駆動部81は、モータ(図示せず)と、モータによって回転するローラ83と、を有しており、ローラ83が回転されることで、フィルタ18を周回させることができる。
【0040】
ブラシ82は、空調室内機10の長手方向に沿って細長い形状を有しており、
図2及び
図3に示すように、長手方向に直交する断面が略円形の形状をしている。また、ブラシ82は、フィルタ18に直接接触することができる位置に回転可能に取り付けられている。
【0041】
そして、フィルタ清掃運転時には、ローラ83が回転してフィルタ18が周回されるとともに、ブラシ82がローラ83とは反対方向に回転することで、周回するフィルタ18からブラシ82によって塵埃が掻き取られて、フィルタ18から塵埃が除去される。また、ブラシ82によってフィルタ18から除去された塵埃は、ブラシ82の下方に配置されるダストボックス84に溜められる。なお、ダストボックス84は、本体ケーシング11から着脱可能に取り付けられているため、ダストボックス84に溜められた塵埃は、ユーザーによって定期的に処理される。
【0042】
(2−2)前側底フレーム
図4は、前側底フレーム40を斜め下方からみた外観図である。
図5は、空調室内機10の部分縦断面図である。
図6は、空調室内機10の概略縦断面図であって、下吸込経路30近傍を示す図である。
【0043】
前側底フレーム40は、
図5及び
図6に示すように、吹出経路形成部41と、吸込経路形成部42と、を有している。吹出経路形成部41は、室内ファン14の後側(背面側)から吹出口20の後縁部へと滑らかに延びるスクロール面を有する。また、室内熱交換器13において、室内ファン14の前方を覆う熱交換部を前側熱交換部13aとし、室内ファン14の後方を覆う熱交換部を後側熱交換部13bとすると、吹出経路形成部41の上部41aは、
図5に示すように、室内ファン14と後側熱交換部13bとの間に配置されている。
【0044】
吸込経路形成部42は、
図5に示すように、吹出経路形成部41の途中から後方に向かって延びる第1部42aと、第1部42aの後端から天面部11aに向かって延びる第2部42bと、を含む。第2部42bの上端部42baは、天面部11aの後端部及び背面板11cの上端部に係合している。また、第1部42aは、後側熱交換部13bの下端部下側に配置されており、第2部42bの下部は、後側熱交換部13bの下端部後側に配置されている。このため、吹出経路形成部41の上部41aと、吸込経路形成部42の第1部42aと、吸込経路形成部42の第2部42bの下部と、によって、主に後側熱交換部13bで発生したドレン水を受けるためのドレンパンが構成されている。さらに、第2部42bの上下方向の略中央部には、前側底フレーム40の長手方向、すなわち、本体ケーシング11の長手方向に長い略長方形状の開口43が形成されている(
図4参照)。
【0045】
(2−3)後側底フレーム
図7は、後側底フレーム60を斜め上方からみた外観図である。
図8は、前側底フレーム40と後側底フレーム60とが組み合わされた状態の概略縦断面図であって、下吸込経路30を説明するための図である。
【0046】
後側底フレーム60は、空調室内機10の長手方向に長い部材であって、前側底フレーム40の後側に配置されている。また、後側底フレーム60は、
図5及び
図7に示すように、基部61と、基部61の上端から前方に立設する上面部62と、基部61の左右側端から前方に立設する側面部63,63と、を有する。
【0047】
基部61は、
図5、
図7及び
図8に示すように、上下方向に延びる第1基部61aと、上下方向に延びる第3基部61cと、前後方向に延びており第1基部61aと第3基部61cとを繋ぐ第2基部61bと、を含む。
【0048】
第1基部61aは、基部61の上部を構成しており、第1基部61aの上端と上面部62とが連続している。また、前側底フレーム40の吹出経路形成部41において、第1部42aと連続している部分よりも下の部分を前側フレーム部41bとすると、前側底フレーム40と後側底フレーム60とが組み合わされた状態では、第1基部61aは、
図8に示すように、第2部42bの略中央部から前側フレーム部41bの上部までの部分と対向するように配置されている。ここで、上面部62の先端部が、前側底フレーム40の第2部42bに形成されている開口43の上縁部43aと係合しているため、本実施形態では、第1基部61aの上部が、開口43の開口面とも対向している。
【0049】
第3基部61cは、基部61の下部を構成しており、第3基部61cの下端が下吸込口22の後縁部に位置している。また、前側底フレーム40と後側底フレーム60とが組み合わされた状態では、第3基部61cは、
図8に示すように、前側フレーム部41bの略中央部から下端近傍までの部分と対向するように配置されている。
【0050】
第2基部61bは、
図5及び
図8に示すように、上面部62と対向するように位置している。また、
図8に示すように、第2基部61bの後端61bbと第1基部61aの下端61abとが連続しており、第2基部61bの前端61baと第3基部61cの上端61caとが連続している。さらに、
図6に示すように、第2基部61bの前後方向の距離L1は、第1基部61aから第2部42bまでの距離L2よりも大きくなるように設計されている。このため、前側底フレーム40と後側底フレーム60とが組み合わされた状態では、
図8に示すように、後側底フレーム60の第2基部61bの前端部と、前側底フレーム40の第1部42aの後端部とが対向する。また、第2基部61bは、第2基部61bから上方に突出するリブ部64を有している。リブ部64は、
図6に示すように、第2基部61bにおいて、第1基部61aの下端61abからの距離L3が、第1基部61aから第2部42bまでの距離L2よりも大きくなる位置に配置されている。
【0051】
なお、本実施形態では、
図5に示すように、後側底フレーム60を側方からみて、第1基部61a及び第3基部61cは、略鉛直方向に延びている。また、後側底フレーム60を側方からみて、第2基部61bの後部は略水平に延びる一方で、第2基部61bの前部は凸状に湾曲している。
【0052】
(2−4)下吸込経路
下吸込経路30は、下吸込口22から吸い込まれた室内の空気を、フィルタ18及び室内熱交換器13へと導くための経路である。なお、下吸込口22は、フィルタ18及び室内熱交換器13よりも下方に位置する下部水平板11dに形成されているため、下吸込経路30は、上方に延びるように構成されているといえる。
【0053】
また、本実施形態では、下吸込経路30は、下吸込口22から前側底フレーム40に形成された開口43までの経路とする。ここで、本体ケーシング11内において、上吸込口24から吸い込まれた室内の空気を、フィルタ18及び室内熱交換器13へと導くための経路を上吸込経路25とすると、本実施形態では、下吸込口22から流入し、下吸込経路30を流れて開口43から流出した室内の空気は、上吸込経路25の一部を経てフィルタ18へと導かれることになる(
図6参照)。
【0054】
また、下吸込経路30は、
図8に示すように、上部を構成する第1部分31と、中央部を構成する第2部分32と、下部を構成する第3部分33と、から構成されている。
【0055】
第1部分31は、空調室内機10の側面視において、上下方向に延びている部分である。また、第1部分31は、
図8に示すように、下吸込経路30において、最も開口43に近い部分である開口近傍部31aを含む。さらに、第1部分31は、下吸込経路30において、水平断面の面積が最も小さい部分を含む。なお、本実施形態では、第1部分31において開口43の下縁部43bを含む部分が、下吸込経路30における水平断面の面積の最も小さい部分である。
【0056】
第2部分32は、空調室内機10の側面視において、前後方向に延びている部分であって、第1部分31と第2部分32とを繋ぐ部分である。より詳しくは、第2部分32の後端部と第1部分31とが連続しており、第2部分32の前端部と第3部分33とが連続している。
【0057】
第3部分33は、空調室内機10の側面視において、上下方向に延びている部分である。また、第3部分33は、
図8に示すように、下吸込経路30において、最も下吸込口22に近い部分である下吸込口近傍部33aを含む。
【0058】
そして、下吸込経路30では、第1部分31が、第2部分32の後端部から上方に延びており、第3部分33が、第2部分32の前端部から下方に延びている。このため、本実施形態の下吸込経路30は、クランク形状を呈している。
【0059】
なお、本実施形態では、第1部分31と第2部分32との境界は、前側底フレーム40の第2部42bの下端42bbを含む水平面によって規定されるものとする(
図8参照)。また、本実施形態では、第2部分32と第3部分33と境界は、後側底フレーム60の第2基部61bの前端61baを含む水平面によって規定されるものとする(
図8参照)。ここで、第2基部61bの前後方向の距離L1は、第1基部61aから第2部42bまでの距離L2よりも大きくなるように設計されている。このため、空調室内機10の平面視において、第1部分31が第3部分33よりも前方に配置されることになる。
【0060】
また、本実施形態では、下吸込経路30がクランク形状を呈しているが、下吸込経路の形状はこれに限定されず、下吸込口22から上方に延びるように構成されていればよい。
【0061】
(2−5)保持部
保持部50は、下吸込経路30の第2部分32に配置されている。より詳しくは、
図8に示すように、保持部50は、下吸込経路30の第2部分32において、第1部分31の下端縁の真下に配置されている。また、保持部50は、空調室内機10の側面視において前後方向に延びており、空調室内機10の正面視において左右方向に延びる略平坦な面を有する(
図7及び
図8参照)。このため、フィルタ18に付着していた塵埃が何らかの理由で開口43から下吸込経路30に入ったとしても、第1部分31の下端縁から落下してきた塵埃を保持部50で保持することができる。
【0062】
さらに、本実施形態の保持部50は、第1部分31の下端縁から落下してきた塵埃を捕捉し、捕捉した塵埃を保持しやすくするための凹状の保持溝52を有する。保持溝52は、
図8に示すように、後側底フレーム60の第1基部61aの下端部、リブ部64、及び、第2基部61bの後端61bbからリブ部64までの部分(以下、基部65という)によって構成されている。このため、保持溝52の基部65の前端はリブ部64と一致し、基部65の後端は、第1基部61aの下端部と一致する。また、保持溝52の基部65の左端は、後側底フレーム60の左側の側面部63と一致し、基部65の右端は、後側底フレーム60の右側の側面部63と一致する(
図7参照)。ここで、第1基部61aからリブ部64までの距離L3は、第1基部61aから第2部42bまでの距離L2よりも大きい(
図6参照)。このため、基部65の面積は、第1部分31の下端縁によって規定される開口面の面積よりも大きくなる。この結果、第1部分31の直下の空間の下方全面に、基部65が存在することになる。
【0063】
なお、本実施形態では、保持部50は、後側底フレーム60によって構成されており、後側底フレーム60と一体成形されている。また、保持部50の左右方向の寸法と、後側底フレーム60の左右方向の寸法とは同じであり、後側底フレーム60は、本体ケーシング11の長手方向に長い部材である。このため、保持部50は、空調室内機10の正面視において、本体ケーシング11の左側端部近傍から右側端部近傍まで延びるように配置されているといえる。
【0064】
(3)特徴
(3−1)
本実施形態では、下吸込経路30には、フィルタ18から落下する塵埃を保持するための保持部50が配設されている。このため、フィルタ18のメンテナンスが行われるなどしてフィルタ18が振動することで、フィルタ18に捕捉されていた塵埃が落下したとしても、フィルタ18から落下してきた塵埃を、下吸込経路30内で保持することができる。したがって、下吸込経路30を介して下吸込口22から塵埃が落下するおそれを低減することができる。
【0065】
これにより、ユーザーに不快感を与えるおそれを低減することができている。
【0066】
また、保持部50で保持された塵埃は、運転開始時に室内ファン14が駆動されることで、下吸込口22から吸い込まれた室内の空気とともに、下吸込経路30の第1部分31を流れ、開口43を介してフィルタ18に捕捉されることになる。
【0067】
(3−2)
本実施形態では、保持部50が、凹状の保持溝52を有する。このため、この空調室内機10では、フィルタ18から落下してきた塵埃を捕捉し、捕捉した塵埃を保持しやすくなっている。
【0068】
(3−3)
本実施形態では、保持溝52は、空調室内機10の正面視において、本体ケーシング11の左側端部近傍から右側端部近傍まで延びるように配置されている。このため、フィルタ18から落下してきた塵埃を、確実に捕集することができる。
【0069】
(3−4)
本実施形態では、保持部50は、下吸込経路30の第2部分32において、第1部分31の下端縁の真下に配置されている。このため、フィルタ18のメンテナンス等が行われることにより、フィルタ18に付着していた塵埃が開口43を介して下吸込経路30に入ったとしても、第1部分31の下端縁から下方に落下してきた塵埃を保持部50で保持しやすくなっている。
【0070】
(3−5)
本実施形態では、フィルタ掃除機構80が、フィルタ18を周回させて、フィルタ18を掃除する。このようにフィルタ18を移動させてフィルタ18を掃除するようなフィルタ掃除機構80では、フィルタ18の移動時に、フィルタ18から塵埃が剥離して、フィルタ18から剥離した塵埃が開口43を介して下吸込経路30に入ってくる可能性が高くなる。
【0071】
しかしながら、本実施形態では、下吸込経路30内に、フィルタ18から落下する塵埃を保持するための保持部50が配設されているため、フィルタ掃除機構80によって、フィルタ18が自動的に掃除されて、フィルタ18から塵埃が剥離して下吸込経路30に入ってきたとしても、この塵埃を、下吸込経路30内で保持することができる。したがって、フィルタ掃除機構80を備える空調室内機10であっても、下吸込経路30を介して下吸込口22から塵埃が落下するおそれを低減することができている。
【0072】
(4)変形例
(4−1)変形例A
上記実施形態では、リブ部64が、第2基部61bから上方に突出するように設けられている。これに代えて、
図9に示すように、リブ部164が、金型の抜き方向と一致するように、前方に突出していてもよい。このように、リブ部164が金型の抜き方向に沿って形成されていることで、後側底フレーム60を成形するための金型が複雑にならないようにすることができる。
【0073】
(4−2)変形例B
図10は、リブ部264を正面側(前側)からみた図である。
【0074】
上記実施形態では、保持部50を構成するリブ部64は、正面視において、左右方向に延びる略平坦な面を有している。そして、保持部50は、主に、このリブ部64よりも後側の部分で、第1部分31の下端縁から落下してきた塵埃を捕捉し、捕捉した塵埃を保持している。
【0075】
これに代えて、リブ部264が、
図10に示すような櫛歯状に設けられていてもよい。リブ部264を櫛歯状に設けることで、フィルタ18から落下してきた塵埃が、リブ部264に引っ掛かりやすくなる。この結果、保持部50における塵埃捕捉能力を向上させることができるため、下吸込口22から塵埃が落下するおそれを低減することができる。
【0076】
(4−3)変形例C
上記実施形態では、保持部50は、空調室内機10の側面視において前後方向に延びており、空調室内機10の正面視において左右方向に延びる略平坦な面を有しており、この略平坦な面で塵埃を捕捉し、保持している。
【0077】
これに代えて、保持部50が、略平坦な面よりも塵埃を捕捉及び保持しやすい部材を有していてもよい。
【0078】
例えば、保持部50が、塵埃の捕捉を補助する捕捉保持部材(捕捉補助部材に相当)を有していてもよい。具体的には、保持部50の前記平坦な面に、捕捉保持部材として、例えば、不織布又は粘着部材が配設されていることで、フィルタ18から落下してきた塵埃が不織布又は粘着部材に付着するため、保持部50における塵埃捕捉能力及び塵埃保持能力を向上させることができる。
【0079】
これにより、下吸込口22から塵埃が落下するおそれを低減することができる。