(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように空調機で間欠運転を行ったとしても、逼迫する電力需給に対して、節電効果が不十分となることがある。特に夏季や冬季における需要電力のピーク時には、複数の空調機を対象として効果的な節電対策を施す必要がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象エリアの複数の空調機を制御する空調制御システムにおいて、効果的な節電を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、対象エリア(A)の複数の空調機(10)を制御する空調制御システムを対象とし、上記対象エリア(A)の空調機(10)を複数のグループ(No.1,No.2)に分類するグループ決定部(54)と、上記対象エリア(A)内の空調機(10)が、設定温度を目標とする通常動作と、該通常
動作よりも空調能力が制限される省エネ動作とをそれぞれ所定の周期で交互に繰り返す、ゆらぎ制御を行う空調制御部(55)とを備え、該空調制御部(55)は、上記グループ決定部(54)で決定された複数のグループ(No.1,No.2)のうち同じグループ間の空調機(10)の通常動作及び省エネ動作の位相を同じとし、該複数のグループ(No.1,No.2)のうち異なるグループ間の空調機(10)の通常動作の位相を所定時間ずらすように上記ゆらぎ制御を行う
ように構成され、上記複数の空調機(10)は、圧縮機(22)を有する1台の室外機(20)と1台の室内機(30)とが冷媒配管(15,15)によって接続されるペア式の空調機で構成され、上記ゆらぎ制御では、上記通常動作と省エネ動作と相互に切り換えても、圧縮機(22)を連続的に運転し、且つ省エネ動作では上記通常動作よりも圧縮機(22)の運転周波数を低下させることを特徴とする。
【0009】
第1の発明では、対象エリア(A)内の空調機(10)が通常動作と省エネ動作とを交互に繰り返す、ゆらぎ制御が行われる。省エネ動作は、通常動作よりも空調能力が制限されるため、各空調機(10)の省エネ性が向上する。また、通常動作と省エネ動作とを繰り返すことで、室内の空調は連続して行われる。このため、室内の快適性を十分に確保できる。
【0010】
一方、対象エリア(A)の複数の空調機(10)が全て同じタイミングで通常動作と省エネ動作とを繰り返すと、全ての空調機が通常動作を行う期間において、対象エリア(A)の総消費電力が著しく大きくなってしまう。この結果、対象エリア(A)全体としてみれば、総消費電力のピーク値が大きくなるため、十分な節電効果を得ることができない。
【0011】
そこで、第1の発明では、まず、グループ決定部(54)が、対象エリア(A)の複数の空調機(10)を複数のグループ(No.1,No.2)に分類する。そして、空調制御部(55)は、同じグループ間の空調機(10)では、通常動作と省エネ動作の位相を同じとし、異なるグループ間の空調機(10)では、通常動作の位相をずらすようにする。これにより、ゆらぎ制御の対象となる空調機(10)全体としてみれば、通常動作が実行されるタイミングが互いにずれることになるため、全ての空調機(10)が同時に通常動作を行う場合と比較して、対象エリア(A)の総消費電力が小さくなる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記空調制御部(55)は、上記省エネ動作において、上記設定温度が室内の温度に近くなるように該設定温度を補正することを特徴とする。
【0013】
第2の発明では、省エネ動作中において、設定温度が補正される。具体的に、例えば夏季の冷房時には、通常動作と比較して設定温度が高く補正される。また、例えば冬季の暖房時には、通常動作と比較して設定温度が低く補正される。この結果、省エネ動作では、通常動作よりも空調能力が制限され、省エネ性が向上する。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記空調制御部(55)は、上記異なるグループ(No.1,No.2)間の空調機(10)の通常動作のタイミングが互いに重ならないようにゆらぎ制御を行うことを特徴とする。
【0015】
第3の発明のゆらぎ制御では、異なるグループ(No.1,No.2)間の空調機(10)の通常動作のタイミングが互いに重ならない。このため、これらの通常動作が互いに重なることに起因して、対象エリア(A)の総消費電力が増大してしまうことを確実に回避できる。
【0016】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記グループ決定部(54)は、上記対象エリア(A)内の空調機(10)のうち設定温度が等しい空調機(10)を上記複数のグループ(No.1,No.2)に分類することを特徴とする。
【0017】
第4の発明のグループ決定部(54)は、同じ設定温度の空調機(10)を複数のグループ(No.1,No.2)に分類する。同じ設定温度の空調機(10)の通常動作のタイミングが重なってしまうと、対象エリア(A)の総消費電力が大きくなり易い。これに対し、本発明のゆらぎ制御では、同じ設定温度の空調機(10)が複数のグループ(No.1,No.2)に分類され、これらのグループ(No.1,No.2)間では、通常動作の位相が互いにずれることになる。従って、対象エリア(A)の総消費電力を効果的に低減できる。
【0018】
第5の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記グループ決定部(54)は、上記対象エリア(A)内の空調機(10)のうち消費電力が等しい空調機(10)を上記複数のグループ(No.1,No.2)に分類することを特徴とする。
【0019】
第5の発明のグループ決定部(54)は、同じ消費電力の空調機(10)を複数のグループ(No.1,No.2)に分類する。同じ消費電力の空調機(10)の通常動作のタイミングが重なってしまうと、対象エリア(A)の総消費電力が大きくなり易い。これに対し、本発明のゆらぎ制御では、同じ消費電力の空調機(10)が複数のグループ(No.1,No.2)に分類され、これらのグループ(No.1,No.2)間では、通常動作の位相が互いにずれることになる。従って、対象エリア(A)の総消費電力を効果的に低減できる。
【0020】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記空調制御部(55)は、上記対象エリア(A)内の空調機(10)のうち空調負荷が所定値よりも大きい空調機(10)を上記ゆらぎ制御の対象とすることを特徴とする。
【0021】
第6の発明の空調制御部(55)は、対象エリア(A)の空調機(10)のうち空調負荷が大きく、消費電力が比較的大きくなる空調機(10)をゆらぎ制御の対象とする。つまり、このような空調機(10)は、対象エリア(A)の総電力消費に大きな影響を与えるため、これらの空調機(10)をゆらぎ制御の対象とする。この結果、対象エリア(A)の総消費電力を効果的に低減できる。
【0022】
第7の発明は、第1乃至第6のいずれか1つの発明において、上記対象エリア(A)の空調機(10)毎のユーザの同意を確認するユーザ同意確認部(53)を備え、上記空調制御部(55)は、上記対象エリア(A)内の空調機(10)のうち上記ユーザ同意確認部(53)で同意が確認された空調機(10)のみを上記ゆらぎ制御の対象とすることを特徴とする。
【0023】
第7の発明では、ユーザの同意が得られない空調機(10)については、ゆらぎ制御が行われない。
【0024】
第8の発明は、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記空調制御部(55)は、上記対象エリア(A)の空調機(10)とネットワーク(N)を介して接続されることを特徴とする。
【0025】
第8の発明では、空調制御部(55)と、対象エリア(A)内の空調機(10)との間で、ネットワーク(N)を通じて信号のやりとりが行われる
。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、対象エリア(A)の空調機(10)を複数のグループ(No.1,No.2)に分類し、異なるグループ(No.1,No.2)の通常動作の位相をずらすようにゆらぎ制御を行っている。これにより、複数の空調機(10)の通常動作のタイミングが一致することに起因して、対象エリア(A)の空調機(10)の総消費電力が増大することを確実に回避できる。この結果、対象エリア(A)の電力需給が逼迫する期間において、総消費電力を低減できる。特に、空調機(10)は、他の家電機器と比較すると、消費電力が大きいため、このような空調機(10)の制御により、効果的な節電を行うことができる。
【0027】
また、本発明では、空調機(10)が、通常動作と省エネ動作とを交互に繰り返し行うため、各空調機(10)の消費電力自体も低減でき、省エネ性を向上できる。また、本発明のゆらぎ制御では、特許文献1のように、空調機(10)が停止しないため、室内の快適性も十分に確保できる。
【0028】
第2の発明では、省エネ動作中の設定温度を補正することで、比較的簡易な制御により、省エネ動作時における空調機(10)の消費電力を低減できる。
【0029】
第3の発明では、ゆらぎ制御において、異なるグループ(No.1,No.2)の通常動作のタイミングが互いに重ならないため、通常動作の重畳に起因する総消費電力の増大を確実に防止できる。
【0030】
第4の発明では、同じ設定温度の空調機(10)の通常動作の位相をずらすことで、異なる設定温度の空調機(10)の通常動作の位相をずらすのと比して、節電効果を向上できる。
【0031】
第5の発明では、同じ消費電力の空調機(10)の通常動作の位相をずらすことで、異なる消費電力の空調機(10)の通常動作の位相をずらすのと比して、節電効果を向上できる。
【0032】
第6の発明では、空調負荷が大きな空調機(10)をゆらぎ制御の対象としているため、対象エリア(A)の節電効果を向上できる。
【0033】
第
7の発明では、ユーザのニーズに応えた空調制御を行うことができる。
【0034】
第
8の発明では、ネットワーク(N)を利用することで、比較的広範囲の対象エリア(A)の空調機(10)を制御対象として、簡便且つ迅速に上述した空調制御を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0037】
本発明の実施形態に係る空調システム(S)は、対象エリア(A)の複数の空調機(10)と、該複数の空調機(10)とネットワーク(N)を介して接続される集中監視サーバ(空調制御システム(50))とで構成される。空調システム(S)の対象エリア(A)は、例えばマンション、ビル、住戸等の1つの建物を対象範囲としてもよいし、これらの複数の建物を含む所定の地域を対象範囲としてもよい。
図1に示す例では、所定の地域の複数の住戸X、Y、Z…を対象エリア(A)とし、これらの住戸X、Y、Z…に設置された複数の空調機(10,10,10,…)がネットワーク(N)を介して集中監視サーバ(50)と接続される。
【0038】
〈空調機の構成〉
例えば
図1に示す住戸Xには、3つ以上の空調機(10,10,10…)が設置されている。各空調機(10)は、室内の冷房と暖房とを切り換えて行うヒートポンプ式に構成される。また、各空調機(10)は、1台の室外機(20)と1台の室内機(30)とが冷媒配管(15,15)によって互いに接続される、いわゆるペア式の空調機である。即ち、各空調機(10)では、室外機(20)と室内機(30)とが冷媒配管(15,15)に接続されることで、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる冷媒回路(11)が構成される。
【0039】
室外機(20)は、室外に設置される室外ケーシング(21)と、該室外ケーシング(21)に収容される、圧縮機(22)、室外熱交換器(23)、室外ファン(図示省略)、四方切換弁(24)とを備えている。圧縮機(22)は、インバータ装置(25)を介してモータへ電力が供給される。つまり、圧縮機(22)は、回転数(運転周波数)が調節可能なインバータ式の圧縮機で構成される。室外熱交換器(23)は、室外ファンが搬送する室外空気と、冷媒とを熱交換させる。四方切換弁(24)は、圧縮機(22)の吐出側に繋がる第1ポートと、圧縮機(22)の吸入側に繋がる第2ポートと、室内熱交換器(32)のガス側端に繋がる第3ポートと、室外熱交換器(23)のガス側端に繋がる第4ポートとを有している。四方切換弁(24)では、第1ポートと第4ポートが連通し且つ第2ポートと第3ポートが連通する第1状態(
図1の実線で示す状態)と、第1ポートと第3ポートが連通し且つ第2ポートと第4ポートが連通する第2状態(
図1の破線で示す状態)とに切換自在に構成される。
【0040】
室内機(30)は、住戸Xの室内に設置される室内ケーシング(31)と、該室内ケーシング(31)に収容される、室内熱交換器(32)、室内ファン(図示省略)、及び室内膨張弁(33)とを備えている。室内熱交換器(32)は、室内ファンが搬送する室内空気と、冷媒とを熱交換させる。室内膨張弁(33)は、室外熱交換器(23)と室内熱交換器(32)の間の液ラインに接続される。室内膨張弁(33)は、開度が調節自在な電子膨張弁で構成される。
【0041】
各空調機(10)には、室内温度センサ(41)、室外温度センサ(42)、及びコントローラ(43)がそれぞれ設けられる。室内温度センサ(41)は、空調機(10)の室内機(30)が対応する室内の空気の温度を検出する。具体的に、例えば室内温度センサ(41)は、室内機(30)に吸い込まれる室内空気の温度(吸込温度Ti)を検出する。室外温度センサ(42)は、空調機(10)の室外機(20)が対応する室外空気の温度(外気温度To)を検出する。
【0042】
コントローラ(43)には、空調機(10)の冷房時や暖房時における室内の目標温度(設定温度Tset)がそれぞれ入力される温度設定部(44)が設けられる。即ち、各空調機(10)では、室内温度センサ(41)で検出された室内温度Tiが設定温度Tsetに近づくように、空調能力(冷房能力や暖房能力)が調節される。
【0043】
空調機(10)の冷房時には、四方切換弁(24)が第1状態に設定され、室内膨張弁(33)が所定開度に調節される。この状態で圧縮機(22)が所定の運転周波数で運転されると、冷媒は室外熱交換器(23)で凝縮し、室内膨張弁(33)で減圧された後、室内熱交換器(32)を通過する。室内熱交換器(32)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発し、これにより室内空気が冷やされる。このような冷房時において、室内温度センサ(41)で検出された室内温度Tiが、冷房時の設定温度Tsetに到達すると、いわゆるサーモオフ状態となり、空調機(10)(即ち、圧縮機(22))が一時的に停止する。
【0044】
また、暖房時には、四方切換弁(24)が第2状態に設定され、室内膨張弁(33)が所定開度に調節される。この状態で圧縮機(22)が所定の運転周波数で運転されると、冷媒は室内熱交換器(32)で凝縮し、これにより室内空気が加熱される。室内熱交換器(32)で凝縮した冷媒は、室内膨張弁(33)で減圧された後、室外熱交換器(23)で蒸発する。このような暖房時において、室内温度センサ(41)で検出された室内温度Tiが、暖房時の設定温度Tsetに到達すると、いわゆるサーモオフ状態となり、空調機(10)(即ち、圧縮機(22))が一時的に停止する。
【0045】
〈ネットワークの構成〉
図1に示すように、各住戸には、光回線終端装置(61)、集線装置(62)、及び無線ルータ(63)が設けられる。光回線終端装置(61)は、ネットワーク(N)の終端に接続される。集線装置(62)は、いわゆるハブを構成しており、複数のLANケーブルを介して、上記無線ルータ(63)や、他の機器(例えばホームサーバ(64)やパソコン(65)等)に接続されている。上述した各空調機(10)には、無線ルータ(63)に対応する無線アダプタ(66)がそれぞれ設けられる。つまり、各空調機(10)は、無線アダプタ(66)及び無線ルータ(63)を介して光回線終端装置(61)と接続する。なお、各空調機(10)は、集線装置(62)にLANケーブル等の有線により接続されていてもよい。このようにして、対象エリア(A)の各空調機(10)は、ネットワーク(N)を経由して、集中監視サーバ(50)と双方向に通信可能となっている。また、本実施形態のネットワーク(N)には、スマートフォン(67)等の無線端末が接続されている。つまり、集中監視サーバ(50)は、各住戸X、Y、Z等の空調機(10)のユーザと、スマートフォン(67)により情報の送受信が可能となっている。なお、集中監視サーバ(50)は、ホームサーバ(64)を経由して各空調機(10)と伝送するようにしてもよい。
【0046】
〈集中監視サーバ〉
図2に示すように、集中監視サーバ(50)は、データ記憶部(51)、需要電力推定部(52)、ユーザ同意確認部(53)、グループ決定部(54)、及び空調制御部(55)を有している。データ記憶部(51)には、対象エリア(A)における過去の消費電力と、気象情報(天気、室内温度、外気温度、湿度等)との関係を示すデータが記憶される。また、データ記憶部(51)には、各空調機(10)の仕様や、該空調機(10)のユーザの情報(例えばユーザのメールアドレス等)も記憶される。
【0047】
需要電力推定部(52)は、データ記憶部(51)に記憶されたデータ、及び対象エリア(A)における将来(例えば翌日)の気象予測情報(天気、室内温度、外気温度、湿度等)に基づいて、対象エリア(A)の総消費電力や、該総消費電力のピーク時刻を推定する。グループ決定部(54)は、対象エリア(A)の空調機(10)のうち、ゆらぎ制御(詳細は後述する)の対象となる空調機(10)を複数のグループ(No.1,No.2)に分類する。空調制御部(55)は、詳細は後述するゆらぎ制御及び予備制御において、対象となる空調機(10)へ所定の制御信号を出力する。
【0048】
−制御動作−
空調システム(S)の制御動作について、
図1〜
図7を参照しながら詳細に説明する。空調システム(S)の集中監視サーバ(50)では、例えば夜間において、対象エリア(A)における翌日の需要電力が推定される。具体的に、
図3に示す基本制御フローに示すように、集中監視サーバ(50)では、まず、需要電力推定部(52)が対象エリア(A)の需要電力(総消費電力、及び該総消費電力のピーク時刻)を推定する(ステップSt1)。次いでステップSt2では、需要電力推定部(52)で推定された、翌日のピーク時刻の総消費電力W-totalが所定の閾値よりも大きいか否かが判定され、W-totalが所定の閾値より大きい場合にステップSt3へ移行する。
【0049】
ステップSt3では、推定したピーク時刻t-pが現在の時刻から所定時間以内であるか否か判定される。即ち、ステップSt3では、集中監視サーバ(50)において、現在の時刻からピーク時刻t-pまでの残り時間ΔTが算出され、この時間ΔTが所定時間(例えば5時間)より短い場合、ステップSt4のゆらぎ制御モードへ移行し、この時間ΔTが所定時間より長い場合、ステップSt6の予備制御モードへ移行する。
【0050】
〈ゆらぎ制御モード〉
まず、上記ゆらぎ制御モードについて
図1、
図2、
図4、及び
図6を参照しながら説明する。ゆらぎ制御では、対象となる空調機(10)において、通常動作と省エネ動作とが交互に繰り返し行われる。また、本実施形態のゆらぎ制御では、異なるグループ(No.1,No.2)の空調機における、通常動作及び省エネ動作の位相が互いにずれるように制御される。
【0051】
ゆらぎ制御モードへ移行すると、まず、ステップSt41において、集中監視サーバ(50)は、対象エリア(A)の空調機(10)に対応するユーザに対して、ゆらぎ制御を行ってもよいか否かを確認する信号を出力する。具体的に、集中監視サーバ(50)のデータ記憶部(51)には、対象エリア(A)の空調機(10)のユーザのアドレス情報(メールアドレス、IPアドレス等)が記憶されている。集中監視サーバ(50)のユーザ同意確認部(53)は、これらの情報に基づき、対象エリア(A)の各ユーザの端末(パソコン(65)やスマートフォン(67))へ確認メールを送信する。ユーザは、該ユーザの空調機(10)をゆらぎ制御の対象としてよいと判断した場合、その旨の同意のメールを集中監視サーバ(50)へ返信する。以上により、本実施形態のユーザ同意確認部(53)では、ゆらぎ制御に対するユーザの同意を簡便且つ迅速に確認することができる。
【0052】
ステップSt41の後、所定時間が経過しステップSt42へ移行すると、集中監視サーバ(50)は、ユーザ同意確認部(53)で同意が確認された空調機(10)を抽出する。つまり、集中監視サーバ(50)の空調制御部(55)は、ユーザ同意確認部(53)で同意が確認された空調機(10)のみを、ゆらぎ制御の対象とする。
【0053】
次いで、ステップSt43では、対象エリア(A)の空調機(10)の運転信号がネットワーク(N)を介して集中監視サーバ(50)に入力される。集中監視サーバ(50)は、ステップSt42で抽出された複数の空調機(10)のうち、現在時点において、運転状態である空調機(10)を更に抽出する。つまり、集中監視サーバ(50)の空調制御部(55)は、ゆらぎ制御を実行する直前の所定の判断時点において、停止状態である空調機(10)をゆらぎ制御の対象とせず、既に運転状態である空調機(10)をゆらぎ制御の対象とする。
【0054】
次いで、ステップSt44では、抽出された複数の空調機(10)を設定温度毎に大グループに分類する。具体的に、集中監視サーバ(50)には、運転状態の空調機(10)の各設定温度Tsetがネットワーク(N)を介して入力される。グループ決定部(54)は、入力された各設定温度Tsetに応じて、空調機(10)を複数の大グループに分類する。例えばグループ決定部(54)は、設定温度が24℃である空調機群をAグループに、設定温度が25℃である空調機群をBグループに、設定温度が26℃である空調機群をCグループに、設定温度が27℃である空調機群をDグループに、設定温度が28℃である空調機群をEグループに、設定温度が29℃である空調機群をFグループ、というように、設定温度Tsetが同じ空調機(10)を複数の大グループに分類する。
【0055】
次いで、集中監視サーバ(50)では、ステップSt45において、需要電力推定部(52)で推定されたピーク時刻の総消費電力が所定の閾値を越えるか否かの判定が行われる。総消費電力が所定の閾値を越えている場合、ステップSt46へ移行し、全ての大グループの空調機(10)がゆらぎ制御の対象となる。これに対し、総消費電力が所定の閾値以下である場合、ステップSt47へ移行し、一部の大グループの空調機(10)がゆらぎ制御の対象となる。
【0056】
より詳細に、ステップSt47へ移行すると、複数の大グループのうち空調負荷が所定値よりも大きい大グループの空調機(10)のみをゆらぎ制御の対象とする。空調負荷が所定値よりも大きいか否かは、空調機(10)の運転モード(冷房運転又は暖房運転)と、大グループの空調機(10)の設定温度Tsetに応じて判断される。具体的に、例えば夏季に冷房運転を行う空調機(10)については、例えば設定温度Tsetが26℃以下である大グループ(例えば上述した大グループA〜C)がゆらぎ制御の対象となり、設定温度Tsetが26℃より低い大グループ(例えば上述した大グループD〜F)がゆらぎ制御の対象から外される。また、例えば冬季に暖房運転を行う空調機(10)については、例えば設定温度Tsetが27℃以上の大グループ(例えば上述した大グループD〜F)がゆらぎ制御の対象となり、設定温度Tsetが26℃より低い大グループ(上述した大グループA〜C)がゆらぎ制御の対象から外される。このように、本実施形態では、空調負荷ないし消費電力が大きな空調機(10)のみがゆらぎ制御の対象となる。
【0057】
次いで、ステップSt48では、グループ決定部(54)が、抽出された各大グループを更に所定数の小グループに分類する。本実施形態では、各大グループが2つのグループ(グループNo.1とグループNo.2)に分類される。各大グループを小グループに分ける場合には、各小グループの空調機(10)の台数ができる限り均等化されるのが好ましい。即ち、例えばAグループの空調機(10)の台数が例えば20台(即ち、偶数台(2×N台))である場合、これらの空調機(10)が10台(N台)のグループNo.1と、10台(N台)のグループNo.2とに分類される。また、例えばAグループの台数が21台(即ち、奇数台(2×N+1台))である場合、これらの空調機(10)が10台(N台)のグループNo.1と、11台(N+1台)のグループNo.2とに分類される。
【0058】
その後、ステップSt49へ移行すると、集中監視サーバ(50)から対象となる各空調機(10)へネットワーク(N)を介して制御信号が出力される。この結果、制御対象となる各空調機(10)では、夏季の冷房運転時や冬季の暖房運転時において、同一期間において、
図6に示すようなゆらぎ制御が行われる。
【0059】
〈ゆらぎ制御(冷房時)〉
夏季の冷房時において、空調制御部(55)から各空調機(10)へ制御信号が出力されると、グループNo.1とグループNo.2の各空調機(10)では、
図6(A)に示すように通常動作と省エネ動作とが繰り返される。ここで、冷房時の通常動作では、温度設定部(44)に設定された設定温度Tsetを目標温度に空調機(10)の冷房能力が調節される。一方、冷房時の省エネ動作では、空調制御部(55)が、設定温度Tsetに所定温度α(例えばα=2℃)を加える補正を行う。この結果、冷房中の省エネ動作では、Tset+α℃を目標温度に空調機(10)の冷房能力が調節される。つまり、冷房中の省エネ動作では、通常動作よりも空調機(10)の冷房能力が制限される。
【0060】
このように
図6(A)に示す冷房運転時のゆらぎ制御では、Tsetを目標温度に空調機(10)が運転される通常動作と、Tset+αを目標温度に空調機(10)が運転される省エネ動作とが交互に繰り返される。このため、空調機(10)が常にTsetを目標に冷房運転を行う場合と比較して、各空調機(10)の消費電力を低減でき、省エネ性を向上できる。なお、このゆらぎ制御では、通常動作が実行される周期T1と、省エネ動作が実行される周期T2とが、同じ時間(例えば30分)に設定される。
【0061】
また、冷房運転のゆらぎ制御では、例えば省エネ動作中に室内温度Tiが設定温度Tsetに到達しても、圧縮機(22)は停止せず、最低の運転周波数で運転される。このため、通常動作と省エネ動作とが繰り返されることに起因して、圧縮機(22)の発停の頻度が増大してしまうことがなく、発停に起因して消費電力がかえって増大したり、発停に伴い圧縮機(22)の寿命が短くなったりすることも防止できる。
【0062】
また、冷房運転時のゆらぎ制御では、同じグループ間の空調機(10)においては、通常動作と省エネ動作のタイミングが一致し、且つ異なるグループ(No.1,No.2)間の空調機(10)では、通常動作と省エネ動作のタイミングが互いに一致しないように、各空調機(10)が制御される。
【0063】
より詳細に、冷房運転時のゆらぎ制御では、グループNo.1の各空調機(10)が通常動作を行うときに、グループNo.2の各空調機が省エネ動作を行い、逆にグループNo.1の各空調機(10)が省エネ動作を行うときに、グループNo.2の各空調機(10)が通常動作を行う。つまり、本実施形態では、異なるグループ(No.1,No.2)間の空調機(10)においては、通常動作及び省エネ動作の位相がT1ないしT2だけ互いにずれている。この結果、ゆらぎ制御の対象内の空調機(10)においては、グループNo.1の通常動作とグループNo.2の通常動作とが、同じタイミングで実行されない。この結果、異なるグループ(No.1,No.2)間の空調機(10)において、通常動作の実行期間T1が互いに重複することを防止でき、このことに起因して対象エリア(A)の総消費電力が増大してしまうことを防止できる。
【0064】
一方で、グループNo.1とNo.2とでは、通常動作の周期が共にT1で同じ長さとなり、且つ省エネ動作の周期がT2で同じ長さとなる。このため、両者のグループ(No.1,No.2)の空調機(10)では、同程度の冷房能力で運転が行われる。この結果、両者のグループ(No.1,No.2)に対応する空調機(10)の室内を同程度に冷房でき、各室内の快適性を十分に確保できる。
【0065】
〈ゆらぎ制御(暖房時)〉
冬季の暖房時において、空調制御部(55)から各空調機(10)へ制御信号が出力されると、グループNo.1とグループNo.2の各空調機(10)では、
図6(B)に示すように通常動作と省エネ動作とが繰り返される。ここで、暖房時の通常動作では、温度設定部(44)に設定された設定温度Tsetを目標温度に空調機(10)の暖房能力が調節される。一方、暖房時の省エネ動作では、空調制御部(55)が、設定温度Tsetに所定温度β(例えばβ=2℃)を引く補正を行う。この結果、暖房中の省エネ動作では、Tset−β℃を目標温度に空調機(10)の暖房能力が調節される。つまり、暖房中の省エネ動作では、通常動作よりも空調機(10)の暖房能力が制限される。
【0066】
このように
図6(B)に示す暖房運転時のゆらぎ制御では、Tsetを目標温度に空調機(10)が運転される通常動作と、Tset−βを目標温度に空調機(10)が運転される省エネ動作とが交互に繰り返される。このため、空調機(10)が常にTsetを目標に暖房運転を行う場合と比較して、各空調機(10)の消費電力を低減でき、省エネ性を向上できる。なお、このゆらぎ制御では、通常動作が実行される周期T1と、省エネ動作が実行される周期T2とが、同じ時間(例えば30分)に設定される。
【0067】
また、暖房運転のゆらぎ制御では、例えば省エネ動作中に室内温度Tiが設定温度Tsetに到達しても、圧縮機(22)は停止せず、最低の運転周波数で運転される。このため、通常動作と省エネ動作とが繰り返されることに起因して、圧縮機(22)の発停の頻度が増大してしまうことがなく、発停に起因して消費電力がかえって増大したり、発停に伴い圧縮機(22)の寿命が短くなったりすることも防止できる。
【0068】
また、暖房運転時のゆらぎ制御では、同じグループ間の空調機(10)においては、通常動作と省エネ動作のタイミングが一致し、且つ異なるグループ(No.1,No.2)間の空調機(10)では、通常動作と省エネ動作のタイミングが互いに一致しないように、各空調機(10)が制御される。
【0069】
より詳細に、暖房運転時のゆらぎ制御では、グループNo.1の各空調機(10)が通常動作を行うときに、グループNo.2の各空調機が省エネ動作を行い、逆にグループNo.1の各空調機(10)が省エネ動作を行うときに、グループNo.2の各空調機(10)が通常動作を行う。つまり、本実施形態では、異なるグループ(No.1,No.2)間の空調機(10)においては、通常動作及び省エネ動作の位相がT1ないしT2だけ互いにずれている。この結果、ゆらぎ制御の対象内の空調機(10)においては、グループNo.1の通常動作とグループNo.2の通常動作とが、同じタイミングで実行されない。この結果、異なるグループ(No.1,No.2)間の空調機(10)において、通常動作の実行期間T1が互いに重複することを防止でき、このことに起因して対象エリア(A)の総消費電力が増大してしまうことを防止できる。
【0070】
一方で、グループNo.1とNo.2とでは、通常動作の周期が共にT1で同じ長さとなり、且つ省エネ動作の周期がT2で同じ長さとなる。このため、両者のグループ(No.1,No.2)の空調機(10)では、同程度の暖房能力で運転が行われる。この結果、両者のグループ(No.1,No.2)に対応する空調機(10)の室内を同程度に暖房でき、各室内の快適性を十分に確保できる。
【0071】
〈予備制御モード〉
上述したように、
図3に示す基本制御フローにおいて、ステップSt6へ移行すると、予備制御モードへ移行する。この予備制御モードについて、
図1、
図2、
図5、及び
図7を参照しながら説明する。予備制御では、対象となる空調機(10)がピーク時刻の所定時間前から運転される。
【0072】
図5に示すように、予備制御モードへ移行すると、まず、ステップSt61において、集中監視サーバ(50)は、対象エリア(A)の空調機(10)に対応するユーザに対して、予備制御を行ってもよいか否かを確認する信号を出力する。具体的に、集中監視サーバ(50)のデータ記憶部(51)には、対象エリア(A)の空調機(10)のユーザのアドレス情報(メールアドレス、IPアドレス等)が記憶されている。集中監視サーバ(50)のユーザ同意確認部(53)は、これらの情報に基づき、対象エリア(A)の各ユーザの端末(パソコン(65)やスマートフォン(67))へ確認メールを送信する。ユーザは、該ユーザの空調機(10)を予備制御の対象としてよいと判断した場合、その旨の同意のメールを集中監視サーバ(50)へ返信する。以上により、本実施形態のユーザ同意確認部(53)では、予備制御に対するユーザの同意を簡便且つ迅速に確認することができる。
【0073】
ステップSt61の後、所定時間が経過しステップSt62へ移行すると、集中監視サーバ(50)は、ユーザ同意確認部(53)で同意が確認された空調機(10)を抽出する。つまり、集中監視サーバ(50)の空調制御部(55)は、ユーザ同意確認部(53)で同意が確認された空調機(10)のみを、予備制御の対象とする。
【0074】
次いで、ステップSt63では、集中監視サーバ(50)の空調制御部(55)は、対象とする空調機(10)について、予備制御の開始時刻及び、該予備制御時における空調機(10)の運転能力を決定する。具体的に、空調制御部(55)は、上記のようにして需要電力推定部(52)で推定されたピーク時刻と、該ピーク時刻における総消費電力とに基づき、この総消費電力を所定の電力まで低減するために必要な、予備制御の開始時刻t-st及び予備制御時の空調機(10)の運転能力を算出する。この算出においては、翌日の外気温度の予測値や、対象エリア(A)の各空調機(10)の消費電力の予測式も用いられる。
【0075】
その後、ステップSt64へ移行すると、集中監視サーバ(50)から対象となる各空調機(10)へネットワーク(N)を介して制御信号が出力される。この結果、制御対象となる各空調機(10)では、夏季の冷房運転時や冬季の暖房運転時において、同一期間において、
図7に示すような予備制御が行われる。
【0076】
例えば
図7(A)に示す夏季の冷房運転において、ピーク時刻t-pが18時過ぎと推定され、ステップSt63において、これよりも所定時間前の予備制御の開始時刻t-stが決定されると、この開始時刻t-stにおいて、対象となる空調機(10)へ制御信号が出力される。この結果、各空調機(10)は、この開始時刻t-stより、ステップSt63で決定された冷房能力で運転される。仮に予備制御を行わない場合、
図7(A)の一点鎖線で示すように、時刻t-pにおいて総消費電力のピーク値が著しく大きくなる。これに対し、このように対象エリア(A)の空調機(10)をピーク時刻t-pの前から予め運転すると、ピーク時刻t-pの前から室内の冷房負荷を処理できる。この結果、
図7(A)の実線で示すように、対象エリア(A)の総消費電力のピーク値を低減することができる。
【0077】
また、例えば
図7(B)に示す冬季の暖房運転において、ピーク時刻t-pが7時過ぎと推定され、ステップSt63において、これによりも所定時間前の予備制御の開始時刻t-stが決定されると、この開始時刻t-stにおいて、対象となる空調機(10)へ制御信号が出力される。この結果、各空調機(10)は、この開始時刻t-stより、ステップSt63で決定された暖房能力で運転される。仮に予備制御を行わない場合、
図7(B)の一点鎖線で示すように、時刻t-pにおいて総消費電力のピーク値が著しく大きくなる。これに対し、このように対象エリア(A)の空調機(10)をピーク時刻t-pの前から予め運転すると、ピーク時刻t-pの前から室内の暖房負荷を処理できる。この結果、
図7(B)の実線で示すように、対象エリア(A)の総消費電力のピーク値を低減することができる。
【0078】
−実施形態の効果−
上記実施形態の空調システム(S)のゆらぎ制御では、対象エリア(A)の複数の空調機(10)をグループNo.1とグループNo.2に分類し、
図6に示すように、両者のグループ(No.1,No.2)の通常動作、及び省エネ動作の位相を互いにずらすようにしている。これにより、対象エリア(A)の空調機(10)の通常動作のタイミングが一致することに起因して、対象エリア(A)の総消費電力が増大することを確実に回避できる。この結果、対象エリア(A)の電力需給が逼迫する期間において、対象エリア(A)の総消費電力を低減でき、効果的な節電を行うことができる。
【0079】
また、ゆらぎ制御では、各空調機(10)が通常動作と省エネ動作とを交互に繰り返し行うため、空調機(10)毎の消費電力も確実に低減でき、省エネ性を向上できる。また、ゆらぎ制御では、空調機(10)が停止することなく冷房や暖房を継続的に行うため、室内の快適性も十分に確保できる。
【0080】
加えて、ゆらぎ制御では、通常動作から省エネ動作へ移行して空調能力が制限されても、圧縮機(22)が停止することなく、最低周波数で運転が継続される。このため、圧縮機(22)の発停に起因して、空調機(10)の消費電力が増大したり、圧縮機(22)の寿命が短くなったりすることも抑制できる。
【0081】
また、ゆらぎ制御モードにおいては、ステップSt45で推定された需要電力が小さいと判断されると、ステップSt47へ移行し、空調負荷が高い空調機(10)のみをゆらぎ制御の対象とする。これにより、対象エリア(A)内では、効率よく節電効果を得ることができ、且つ室内の快適性も十分に確保できる。
【0082】
また、上記実施形態では、対象エリア(A)の空調機(10)のうち設定温度Tsetが同じ空調機(10)を大グループとして抽出し、この大グループの空調機(10)を更に2つのグループ(No.1,No.2)に分類してゆらぎ制御を行っている。設定温度Tsetが同じ空調機(10)では、その消費電力も近い値となる。このため、これらの空調機(10)の通常動作のタイミングを互いにずらすことで、対象エリア(A)の節電効果を向上できる。
【0083】
また、上記実施形態では、推定された需要電力のピーク時刻まで十分な余裕がある場合に、ピーク時刻よりも所定時間前から空調を行う予備制御を行うようにしている(ステップSt3、ステップSt6)。これにより、ピーク時刻よりも前から室内の空調負荷を処理することができ、
図7に示すように、対象エリア(A)の総消費電力のピークを低減できる。
【0084】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0085】
上記実施形態では、グループNo.1の空調機(10)の通常動作と、グループNo.2の空調機(10)の通常動作とが互いに完全に重ならないようにゆらぎ制御を行っている。しかし、これらのグループ(No.1,No.2)の通常動作の一部の期間のみが重ならないように、ゆらぎ制御を行ってもよい。つまり、ゆらぎ制御では、各グループ(No.1,No.2)の空調機(10)の通常動作の位相を所定時間だけずらしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、グループ決定部(54)が、対象エリア(A)の空調機(10)を最終的に2つのグループ(グループNo.1及びグループNo.2)に分類し、これらのグループの空調機(10)の通常動作の位相をずらしている。しかし、グループ決定部(54)は、対象エリア(A)の空調機(10)を3つ以上のグループに分類してもよい。この場合、空調制御部(55)は、各グループの通常動作の位相が相互にずれるように、各グループの空調機(10)を制御する。このようにしても、各空調機(10)の通常動作に要する消費電力を時間的に分散でき、対象エリア(A)の総消費電力を低減できる。
【0087】
また、上記実施形態では、グループ決定部(54)が、設定温度Tsetが同じ空調機(10)を大グループとして抽出し、この大グループの空調機(10)を更に複数の小グループに分類している。しかし、グループ決定部(54)は、通常動作時の消費電力が同じと推定される空調機(10)を大グループとして抽出し、この大グループの空調機(10)を更に複数の小グループに分類してもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、ステップSt47において、空調負荷の大小を各空調機(10)の設定温度Tsetに基づき判定し、空調負荷が大きな空調機(10)のみをゆらぎ制御の対象としている。しかし、ステップSt47においては、空調負荷の大小を空調機(10)の消費電力に基づき判定してもよい。