特許第5720650号(P5720650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720650
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】包装用蓋材及び包装用箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/113 20060101AFI20150430BHJP
   B65D 5/12 20060101ALI20150430BHJP
   B65D 5/32 20060101ALI20150430BHJP
   B65D 61/00 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   B65D81/06 101Z
   B65D5/12 C
   B65D5/32 D
   B65D61/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-224319(P2012-224319)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-76810(P2014-76810A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下前 拓己
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−042736(JP,U)
【文献】 実開平01−150570(JP,U)
【文献】 特開2007−246118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/113
B65D 5/12
B65D 5/32
B65D 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品(1)の平坦な上面(3)を覆う蓋部材(30)と、蓋部材(30)に保持される補強部材(40)とを有する包装用蓋材であって、
上記蓋部材(30)は、天板部(31)と、該天板部(31)の端縁に連接して形成された折り返し片(32)とを有し、該天板部(31)とその下方へ折り返された折り返し片(32)とにより上記補強部材(40)が挟持されるように構成され
上記補強部材(40)は、4本の枠板(41,42)を組み合わせることにより形成され、
上記折り返し片(32)には、上記天板部(31)と枠板(41,42)の間に補強部材(40)の中心側から挿入される係合片(34)が形成されていることを特徴とする包装用蓋材。
【請求項2】
請求項1において、
上記補強部材(40)は、製品(1)の外形に対応する四角形状の部材であり、
上記蓋部材(30)の天板部(31)は補強部材(40)の外形と対応する四角形状に形成され、
上記天板部(31)の端縁における対向する二辺に上記折り返し片(32)が形成されていることを特徴とする包装用蓋材。
【請求項3】
請求項2において、
上記補強部材(40)は、対向する一対の第1枠板(41)の端部に、対向する他の一対の第2枠板(42)の端部を重ねて固定することにより、隣り合う枠板(41,42)の間に形成された段差を有し、
上記補強部材(40)は、天板部(31)の端縁における折り返し片(32)側の対向する二辺に沿って天板部(31)と第1枠板(41)との間に上記段差に対応した隙間(G)が形成される一方で、天板部(31)の端縁における他の対向する二辺では天板部(31)と第2枠板(42)とが接触するように配置され、
上記折り返し片(32)の係合片(34)は、上記天板部(31)と第1枠板(41)の間の上記隙間(G)に補強部材(40)の中心側から挿入されるように形成されていることを特徴とする包装用蓋材。
【請求項4】
請求項2または3に記載された包装用蓋材(50)と、上記製品(1)の側板(2)を覆う胴枠部材(20)とを備えた包装用箱であって、
上記蓋部材(30)には、天板部(31)の端縁の対向する二辺に上記折り返し片(32)が形成される一方で、天板部(31)の端縁の対向する他の二辺に、上記胴枠部材(20)と製品(1)との間に挿入される挿入片(33)が形成されていることを特徴とする包装用箱。
【請求項5】
請求項4において、
上記胴枠部材(20)は、角筒形状に形成されるとともに、対角位置で互いに係脱可能な断面L形の2つの胴板(21)を有していることを特徴とする包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の上面を覆う包装用蓋材、及び製品の側板の周囲を覆う胴枠部材と上記包装用蓋材とを有する包装用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の上面を覆う包装用蓋材、及び製品の側板の周囲を覆う胴枠部材と上記包装用蓋材とを有する包装用箱が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の包装用箱の包装用蓋材は、段ボールで形成された蓋部材と、蓋部材に保持される補強部材を有し、蓋部材を折り曲げることにより、上下方向に厚みのある内蓋として構成されている。そして、胴枠部材に入れた製品に包装用蓋材を重ね、胴枠部材の上端のフラップを閉じることにより、製品が包装されるようになっている。上記構成において、補強部材は、製品を梱包した箱を複数段に重ねる際の箱の強度不足を補うために用いられている。
【0003】
特許文献1において、この補強部材には、複数枚の段ボールを重ねて形成したブロック状の4つの部材が用いられている。また、蓋部材は、その側面の外方から補強部材を挿入して該補強部材を保持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−268979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の包装用箱では、蓋部材に多くの折り曲げ部や切り起こし部を形成することにより、補強部材を側方から挿入する開口部や該補強部材を保持する保持部が形成されており、構造が複雑になっている。また、特許文献1の包装用箱では、包装用蓋材の構造が複雑であるために、製品の包装作業を行う際の作業性も低下しがちである。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、製品の上面を覆う包装用蓋材、及び製品の周囲を覆う胴枠部材と上記包装用蓋材とを有する包装用箱において、包装用蓋材の構成を簡単にするとともに、製品の包装作業をするときの作業性も高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、製品(1)の平坦な上面(3)を覆う蓋部材(30)と、蓋部材(30)に保持される補強部材(40)とを有する包装用蓋材を前提としている。
【0008】
そして、この包装用蓋材は、上記蓋部材(30)が天板部(31)と該天板部(31)の端縁に連接して形成された折り返し片(32)とを有し、該天板部(31)とその下方へ折り返された折り返し片(32)とにより上記補強部材(40)が挟持されるように構成されている。
【0009】
この第1の発明では、包装用蓋材は、蓋部材(30)の天板部(31)と折り返し片(32)とにより補強部材(40)を挟持した状態で、製品(1)の上面に載置される。この包装用蓋材は、製品(1)の側板(2)を覆っている胴枠部材(20)に取り付ける構成において、外蓋として用いてもよいし、内蓋として用いてもよい。また、台座に載せた製品(1)の上面をこの包装用蓋材で覆い、台座と包装用蓋材を包装用バンドで締め付けるようにしてもよい。
【0010】
また、第1の発明では、上記補強部材(40)が、4本の枠板(41,42)を組み合わせることにより形成され、上記折り返し片(32)には、上記天板部(31)と枠板(41,42)の間に補強部材(40)の中心側から挿入される係合片(34)が形成されている。
【0011】
この第1の発明では、枠状の補強部材(40)の二辺で蓋部材(30)の天板部(31)と補強部材(40)の枠板(41,42)との間に折り返し片(32)が挿入されて、天板部(31)と折り返し片(32)と係合片(34)とで枠板(41,42)が保持される。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記補強部材(40)が、製品(1)の外形に対応する四角形状の部材であり、上記蓋部材(30)の天板部(31)は補強部材(40)の外形と対応する四角形状に形成され、上記天板部(31)の端縁における対向する二辺に上記折り返し片(32)が形成されていることを特徴としている。
【0013】
この第2の発明では、四角形状の補強部材(40)が、その対向する二辺において天板部(31)と折り返し片(32)とで挟持されることにより蓋部材(30)に保持される。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、上記補強部材(40)が、対向する一対の第1枠板(41)の端部に、対向する他の一対の第2枠板(42)の端部を重ねて固定することにより、隣り合う枠板(41,42)の間に形成された段差を有し、上記補強部材(40)は、天板部(31)の端縁における折り返し片(32)側の対向する二辺に沿って天板部(31)と第1枠板(41)との間に上記段差に対応した隙間(G)が形成される一方で、天板部(31)の端縁における他の対向する二辺では天板部(31)と第2枠板(42)とが接触するように配置され、上記折り返し片(32)の係合片(34)は、上記天板部(31)と第1枠板(41)の間の上記隙間(G)に補強部材(40)の中心側から挿入されるように形成されていることを特徴としている。
【0015】
この第3の発明では、枠状の補強部材(40)の二辺で蓋部材(30)の天板部(31)と補強部材(40)の第1枠板(41)との間に隙間(G)が形成され、この隙間(G)に折り返し片(32)が挿入されて、天板部(31)と折り返し片(32)と係合片(34)とで枠板(41,42)が保持される。
【0016】
第4の発明は、第2または第3の発明に記載された包装用蓋材(50)と、上記製品(1)の側板(2)を覆う胴枠部材(20)とを備えた包装用箱において、上記蓋部材(30)には、天板部(31)の端縁の対向する二辺に上記折り返し片(32)が形成される一方で、天板部(31)の端縁の対向する他の二辺に、上記胴枠部材(20)と製品(1)との間に挿入される挿入片(33)が形成されていることを特徴としている。
【0017】
この第4の発明では、蓋部材(30)で補強部材(40)を保持したのち、天板部(31)に形成された挿入片(33)を胴枠部材(20)と製品(1)との間に挿入すると、製品(1)の周囲が胴枠部材(20)で覆われるとともに、製品(1)の上面(3)が蓋部材(30)で覆われる。
【0018】
第5の発明は、第4の発明において、上記胴枠部材(20)が、角筒形状に形成されるとともに、対角位置で互いに係脱可能な断面L形の2つの胴板(21)を有していることを特徴としている。
【0019】
この第5の発明では、L型の2つの胴板(21)を組み合わせることにより、角筒状の胴枠部材(20)が形成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記蓋部材(30)に天板部(31)と該天板部(31)の端縁に連接して形成された折り返し片(32)とを設け、該天板部(31)とその下方へ折り返された折り返し片(32)とにより上記補強部材(40)が挟持されるようにしているので、補強部材(40)を天板部(31)と折り返し片(32)で挟持するだけで蓋部材(30)で保持できる。そして、蓋部材(30)の天板部(31)と折り返し片(32)とにより補強部材(40)を挟持した状態で、製品(1)の上面(3)を覆うことができる。そして、本発明によれば、蓋部材(30)に補強部材(40)を取り付ける構成を簡単にすることができるし、構成が簡単になるので製品(1)の包装作業をするときの作業性も高めることができる。
【0021】
また、第1の発明によれば、枠状の補強部材(40)の二辺において蓋部材(30)の天板部(31)と補強部材(40)の枠板(41,42)との間に折り返し片(32)が挿入されて、天板部(31)と折り返し片(32)と係合片(34)とで枠板(41,42)が保持されるので、蓋部材(30)に補強部材(40)を簡単に取り付けることができる。
【0022】
上記第2の発明によれば、四角形状の補強部材(40)を、対向する二辺において天板部(31)と折り返し片(32)とで挟持することにより蓋部材(30)に保持することができるから、蓋部材(30)に補強部材(40)を取り付ける構成を簡単にすることができる。
【0023】
上記第3の発明によれば、枠状の補強部材(40)の二辺側で蓋部材(30)の天板部(31)と補強部材(40)の第1枠板(41)との間に隙間(G)が形成され、この隙間(G)に折り返し片(32)が挿入されて、天板部(31)と折り返し片(32)と係合片(34)とで枠板(41,42)が保持されるので、蓋部材(30)に補強部材(40)を簡単に取り付けることが可能になる。
【0024】
上記第4の発明によれば、蓋部材(30)で補強部材(40)を保持したのち、天板部(31)に形成された挿入片(33)を胴枠部材(20)と製品(1)との間に挿入すると、製品(1)の周囲を胴枠部材(20)で覆うとともに、製品(1)の上面(3)を蓋部材(30)で覆うことができるので、製品(1)の側板の周囲を覆う胴枠部材(20)と製品(1)の上面を覆う包装用蓋材(50)とを有する包装用箱を用いて製品(1)の包装作業をするときの作業を容易に行うことができる。
【0025】
上記第5の発明によれば、L型の2つの胴板(21)を組み合わせることにより、角筒状の胴枠部材(20)を形成することができるから、蓋部材(30)を胴枠部材(20)に取り付けるときの作業性だけでなく、胴枠部材(20)を組み立てるときの作業性も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施形態に係る包装用箱の外観を示す斜視図である。
図2図2は、図1の包装用箱の蓋部材の展開図である。
図3図3(A)は補強部材の平面図、図3(B)は側面図、図3(C)は補強部材を蓋部材で保持した状態の断面図である。
図4図4は、胴枠部材を構成する胴板の展開図である。
図5図5は、包装用箱の組み立て状態を示す分解斜視図である。
図6図6は、包装用箱の組み立て工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
本実施形態は、業務用の空気調和装置の室外機を梱包するための包装用箱(10)に関するものである。図1は、この実施形態に係る包装用箱(10)の外観形状を示す斜視図である。
【0029】
この包装用箱(10)は、図1には示していない縦長直方体の製品(1)の側板(2)を覆う胴枠部材(20)と、該製品(1)の平坦な上面(3)を覆う包装用蓋材(50)とを有している。また、包装用蓋材(50)は、詳細は後述するが、蓋部材(30)と仮想線で示した補強部材(40)とを有している。胴枠部材(20)と蓋部材(30)は段ボールにより形成され、補強部材(40)は木材により形成されている。胴枠部材(20)は、角筒形状に形成されるとともに、対角位置で互いに係脱可能なL形の2つの胴板(21)から構成されている(図5参照)。
【0030】
図2は蓋部材(30)の展開図である。図3(A)は補強部材(40)の平面図、図3(B)は側面図、図3(C)は補強部材(40)を蓋部材(30)で保持した状態の断面図である。また、図4は胴枠部材(20)を構成する胴板(21)の展開図である。
【0031】
上記蓋部材(30)は、長方形の天板部(31)と、該天板部(31)の端縁の四辺に連接して形成された折り返し片(32)及び挿入片(33)とを有している。天板部(31)の端縁における対向する二辺である各短辺(図の左右の二辺)には、2本の第1折り罫(32a)を介して折り返し片(32)が連接している。また、天板部(31)の端縁における他の対向する二辺である各長辺(図の上下の二辺)には、1本の第2折り罫(33a)を介して挿入片(33)が連接している。各折り返し片(32)の先端中央部には、それぞれ2本の第3折り罫を介して係合片(34)が形成されている。上記挿入片(33)は、上記胴枠部材(20)と製品(1)との間に挿入することにより、蓋部材(30)が外れるのを防止するフラップである(図5図6参照)。
【0032】
上記補強部材(40)は、4本の枠板(41,42)を組み合わせることにより製品(1)の外形に対応する形状(製品(1)の外形とほぼ一致する大きさ)に形成された四角い枠状部材である。そして、上記蓋部材(30)の天板部(31)は、この補強部材(40)の外形と対応する四角形状に形成されている。つまり、補強部材(40)の外形と、第1折り罫(32a)及び第2折り罫(33a)で囲まれる天板部(31)の外形が、実質的に一致する形状になっている。この補強部材(40)では、短辺側で対向する一対の第1枠板(41)の端部に、長辺側で対向する他の一対の第2枠板(42)の端部を重ねて固定することにより、隣り合う枠板(41,42)に段差が形成されている。
【0033】
補強部材(40)は、その短辺側の第1枠板(41)を天板部(31)の短辺に合わせ、その長辺側の第2枠板(42)を天板部(31)の長辺に合わせて配置される。このとき、短辺側の第1枠板(41)と天板部(31)との間には隙間(G)が形成され、長辺側の第2枠板(42)は天板と接する。つまり、上記補強部材(40)は、天板の端縁に折り返し片(32)が形成されている二辺に沿って天板部(31)と第1枠板(41)との間に上記段差に対応した隙間(G)が形成される一方で、天板の端縁に挿入片(33)が形成されている他の二辺では天板部(31)と第2枠板(42)とが接触する。
【0034】
図3(C)に示すように天板部(31)の長辺側で天板部(31)と第2枠板(42)とが接触し、天板部(31)の短辺側で天板部(31)と第1枠板(41)との間に隙間(G)が形成された状態で、上記折り返し片(32)の係合片(34)は、上記隙間(G)に補強部材(40)の中心側から挿入されるように形成されている。このように、本実施形態では、係合片(34)を上記隙間(G)に挿入することにより、上記天板部(31)とその下方へ折り返された折り返し片(32)とで上記補強部材(40)が挟持されて、包装用蓋材(50)が構成されるようになっている。
【0035】
2つの胴板(21)は同一形状に形成されている。各胴板(21)は、図4に示すように、波板の稜線が図の縦方向にのびる段ボールにより形成され、第4折り罫(24)を介して隣り合う第1側板部(22)と第2側板部(23)とを有している。第1側板部(22)は製品(1)の短辺側の側板(2)(図5参照)と実質的に同じ大きさであり、第2側板部(23)は製品(1)の長辺側の側板(2)と実質的に同じ大きさである。このようにするために、胴板(21)の第1側板部(22)及び第2側板部(23)の左右の両側縁は、製品(1)の角部の稜線と一致するように形成されている。
【0036】
図4における第2側板部(23)の左縁部には、2枚の銅板を組み合わせるときに第1側板(2)を受けるための受け部(25)が設けられている。第2側板部(23)と受け部(25)の間には、第5折り罫(25a)が形成されている。
【0037】
一方、図4における第1側板部(22)の右縁部には上下2箇所に差し込み片(26)が形成され、第2側板部(23)には第5折り罫(25a)に沿って差し込み片(26)を挿入するためのスリット(27)が上下2箇所に形成されている。また、第2側板部(23)には固定爪(28a)が形成され、差し込み片(26)には固定爪(28a)を挿入する固定孔(28b)が形成されている。
【0038】
−梱包作業−
次に、本実施形態の包装用箱(10)を用いて製品(1)を梱包する作業を説明する。
【0039】
まず、2枚の胴板(21)をL形に折り曲げて、製品(1)と高さを揃えて該製品(1)の周囲に位置させる。そして、各胴板(21)の受け部(25)に相手側の胴板(21)の第1側板部(22)を重ねながら、各胴板(21)の差し込み片(26)を相手側の胴板(21)のスリット(27)に差し込む。この状態で、胴板(21)の第1側板部(22)と第2側板部(23)が製品(1)の側板(2)に接する。さらに、固定爪(28a)を固定孔(28b)に挿入し、スリット(27)から差し込み片(26)が抜けるのを防止する。こうすることにより、製品(1)の周囲が胴枠部材(20)で確実に保護される。
【0040】
次に、胴枠部材(20)の上端に包装用蓋材(50)を取り付ける。包装用蓋材(50)は、胴枠部材(20)に取り付けるに際し、蓋部材(30)と補強部材(40)を用いて前もって組み立てておくとよい。
【0041】
具体的には、図6(A)に示すように、各部を折り曲げていない蓋部材(30)の天板部(31)に補強部材(40)を重ね合わせ、第2枠板(42)が天板部(31)に接触し、第1枠板(41)と天板部(31)との間に隙間(G)(図3(C)参照)ができるようにする。次に、図6(B),(C)及び図3(C)に示すように、折り返し片(32)を天板部(31)に対して折り曲げ、さらに係合片(34)を折り返し片(32)に対して折り曲げて、該係合片(34)を第1枠板(41)と天板部(31)との間の隙間(G)に補強部材(40)の中心側から挿入する。そして、天板部(31)の長辺側の挿入片(33)を天板部(31)に対して折り曲げる。
【0042】
このようにして組み立てた包装用蓋材(50)を、次に図6(D)〜図6(F)に示すように、挿入片(33)を製品(1)の側板(2)と胴枠部材(20)の間に滑り込ませながら装着する。包装用蓋材(50)を胴枠部材(20)に装着した後は、包装用蓋材(50)を胴枠部材(20)に短い粘着テープで接着固定するとよい。
【0043】
本実施形態では、以上の簡単な作業で製品(1)を梱包することができる。
【0044】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、蓋部材(30)に補強部材(40)を重ねた状態で折り返し片(32)や係合片(34)を折り曲げるだけで包装用蓋材(50)を組み立てて、補強部材(40)を確実に保持することができる。そして、従来とは異なり、蓋部材(30)に多くの折り曲げ部や切り起こし部を形成して補強部材(40)を挿入する開口部などを設けなくてよいので、包装用蓋材(50)の構造を簡単にすることができる。また、包装用蓋材(50)の構造を簡単にすることができるので、製品(1)の包装作業を行う際の作業性も高めることができる。組み立てた包装用蓋材(50)は挿入片(33)を製品(1)と胴枠部材(20)の間に差し込むことで位置決めできるから、包装用蓋材(50)が不用意に動いてしまうことも防止できる。
【0045】
また、本実施形態では、木材を枠状に組んだものを補強部材(40)に用いているが、この枠状部材を段ボールの蓋部材(30)で巻き込むようにしているので、製品(1)の上面(3)に木材が接することはない。製品(1)の上面(3)に木材が接すると製品(1)の塗装が剥がれる可能性があるが、本実施形態ではそのような問題は生じない。さらに、木材の補強部材(40)を用いているが、タッカーのようにステープルで木材を固定する工具は不要であり、作業を容易に行える。なお、蓋部材(30)をこのように簡単な構成にすることを可能にしているのは、製品(1)の上面を平坦な形状にすることも寄与している。
【0046】
また、製品(1)を入れた胴枠部材(20)に包装用蓋材(50)を重ね、胴枠部材(20)の上端に形成したフラップを閉じることにより製品(1)を梱包する従来の構成では、フラップの端縁を全長にわたって粘着テープで閉じる必要がある。この従来の構成では、粘着テープが長いうえに製品(1)の上面(3)が高い位置にあるので作業を行いにくいのに対して、本実施形態では胴枠部材(20)と包装用蓋材(50)の角を2箇所程度、短い粘着テープで固定すればよいため、作業性に優れている。
【0047】
さらに、本実施形態では、胴枠部材(20)を同じ形状の2枚の胴板(21)で構成しているので、胴枠部材(20)の構成が簡単であり、4枚の胴板を用いるものに対して部品点数も少なくすることができる。
【0048】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0049】
上記実施形態では、補強部材(40)を、第1枠板(41)の端部に第2枠板(42)の端部を重ねることにより第1枠板(41)と第2枠板(42)に段差ができるようにしているが、第1枠板(41)と第2枠板(42)の端部の高さを合わせることにより段差が形成されないようにしてもよい。このようにすると、補強部材(40)を天板部(31)に重ねるときに第1枠板(41)と天板部(31)との間に隙間(G)はできないが、蓋部材(30)の折り返し片(32)と係合片(34)で第1枠板(41)を巻き込んで補強部材(40)を保持することは可能である。したがって、上記実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0050】
また、上記実施形態で説明した係合片(34)も必ず設ける必要はなく、補強部材(40)も必ずしも枠状にしなくてもよい。要するに、本願発明では、天板部(31)と折り返し片(32)とで補強部材(40)を挟持する構成になっている限り、蓋部材(30)や補強部材(40)の構成は適宜変更してもよい。
【0051】
また、胴枠部材(20)の構成も、1枚の段ボールで製品(1)の4面の側板(2)を覆うようにするなど、適宜変更してもよい。
【0052】
さらに、上記実施形態では、この包装用蓋材(50)を、製品(1)の側板(2)を覆っている胴枠部材(20)に取り付ける外蓋として用いているが、内蓋として用いてもよい。また、台座に載せた製品(1)の上面を本発明の包装用蓋材(50)で覆い、台座と包装用蓋材(50)を包装用バンドで締め付けるようにしてもよい。
【0053】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明は、製品の上面を覆う包装用蓋材、及び製品の側板の周囲を覆う胴枠部材と上記包装用蓋材とを有する包装用箱について有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 製品
2 側板
3 上面
10 包装用箱
20 胴枠部材
21 胴板
30 蓋部材
31 天板部
32 折り返し片
33 挿入片
34 係合片
40 補強部材
41 第1枠板
42 第2枠板
50 包装用蓋材
G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6