(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の空気調和装置のように、熱交換器を2つ用いて上方吹出口と下方吹出口から吹出させることが可能な構成にすると、空気調和装置が高価なものとなる。
【0006】
本発明の課題は、上方吹出口と下方吹出口から十分に調和されている空気を吹出させることができる安価な床置き型空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る床置き型空調室内機は、熱交換により空気を調和させる熱交換器と、熱交換器を収納し、熱交換器で熱交換を行わせる空気を吸込む吸込口、吸込口の上方にある上方吹出口、吸込口の下方にある下方吹出口、上通路、下通路及びバイパス通路が形成されているケーシングと、ケーシングに収納され、吸込口と上通路及び下通路との間に配置され、吸込口から上方吹出口及び下方吹出口に向かう空気の流れを発生可能な遠心ファンと、上方吹出口と上通路とバイパス通路の流路の切り替えを行なう上部流路切替機構と、下方吹出口と下通路とバイパス通路の流路の切り替えを行なう下部流路切替機構と、を備え、上通路は、遠心ファンから上部流路切替機構に続き、下通路は、遠心ファンから下部流路切替機構に続き、バイパス通路は、上部流路切替機構及び下部流路切替機構に接続されている。また、上部流路切替機構は、
1枚の上部ダンパを有し、1枚の上部ダンパで、上通路を通って上方吹出口に調和空気が向かう上部流路第1状態と上通路からバイパス通路を通って下方吹出口に調和空気が向かう上部流路第2状態とを切り替え可能に構成され、下部流路切替機構は、
1枚の下部ダンパを有し、1枚の下部ダンパで、下通路から下方吹出口に調和空気が向かう下部流路第1状態と下通路からバイパス通路を通って上方吹出口に調和空気が向かう下部流路第2状態とを切り替え可能に構成さ
れ、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第1状態と下部流路第1状態とを同時に設定可能に構成され、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第1状態と下部流路第1状態とに同時に設定されているときに、上部ダンパで上通路と上方吹出口との間を開通させるとともに上方吹出口及び上通路とバイパス通路との間を封鎖し、下部ダンパで下通路と下方吹出口との間を開通させるとともに下方吹出口及び下通路とバイパス通路との間を封鎖する。
【0008】
第4観点に係る床置き型空調室内機は、熱交換により空気を調和させる熱交換器と、熱交換器を収納し、熱交換器で熱交換を行わせる空気を吸込む吸込口、吸込口の上方にある上方吹出口、吸込口の下方にある下方吹出口、上通路、下通路及びバイパス通路が形成されているケーシングと、ケーシングに収納され、吸込口と上通路及び下通路との間に配置され、吸込口から上方吹出口及び下方吹出口に向かう空気の流れを発生可能な遠心ファンと、上方吹出口と上通路とバイパス通路の流路の切り替えを行なう上部流路切替機構と、下方吹出口と下通路とバイパス通路の流路の切り替えを行なう下部流路切替機構と、を備え、上通路は、遠心ファンから上部流路切替機構に続き、下通路は、遠心ファンから下部流路切替機構に続き、バイパス通路は、遠心ファンとケーシングの2つの側面パネルとの間に2つ形成され、上部流路切替機構及び下部流路切替機構に接続され、上部流路切替機構は、3枚の上部ダンパを有し、3枚の上部ダンパで、上通路を通って上方吹出口に調和空気が向かう上部流路第1状態と上通路から2つのバイパス通路を通って下方吹出口に調和空気が向かう上部流路第2状態とを切り替え可能に構成され、下部流路切替機構は、3枚の下部ダンパを有し、3枚の下部ダンパで、下通路から下方吹出口に調和空気が向かう下部流路第1状態と下通路から2つのバイパス通路を通って上方吹出口に調和空気が向かう下部流路第2状態とを切り替え可能に構成され、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第1状態と下部流路第1状態とを同時に設定可能に構成され、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第1状態と下部流路第1状態とに同時に設定されているときに、上部ダンパで上通路と上方吹出口との間を開通させるとともに上方吹出口及び上通路とバイパス通路との間を封鎖し、下部ダンパで下通路と下方吹出口との間を開通させるとともに下方吹出口及び下通路とバイパス通路との間を封鎖する。
【0009】
第1観点
又は第4観点に係る床置き型空調室内機によれば、上部流路切替機構により、上通路からバイパス通路を通って下方吹出口に空気が向かう上部流路第2状態にすることで、上通路に向かう空気を下方吹出口から吹出させることができる。また、下部流路切替機構により、下通路からバイパス通路を通って上方吹出口に空気が向かう下部流路第2状態にすることで、下通路に向かう空気を上方吹出口から吹出させることができる。このように遠心ファンの周囲に配置されているバイパス通路を使って遠心ファンの空気を導くことで、ケーシングをコンパクトに保ちながら、空気の導き方にバリエーションを持たせることができる。
【0010】
また、上部流路切替機構を上部流路第1状態にして遠心ファンから上に吹出される調和空気を上方吹出口から吹出させると同時に、下部流路切替機構を下部流路第1状態にして遠心ファンから下に吹出される調和空気を下方吹出口から吹出させることができ、上下吹きを行なわせることができる。
【0011】
さらに、バイパス通路を上部ダンパと下部ダンパで閉鎖することにより、バイパス通路に空気が流れ込まないようにして、効率良く空気を上方吹出口と下方吹出口から吹出させることができる。
【0012】
本発明の第
2観点に係る床置き型空調室内機は、
第1観点の床置き型空調室内機において、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第1状態と下部流路第2状態とを同時に設定可能に構成されている。
【0013】
また、上部流路切替機構は、上部ダンパを有し、下部流路切替機構は、下部ダンパを有し、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第1状態と下部流路第2状態とに同時に設定されているときに、上部ダンパで上通路と上方吹出口の間を開通させるとともに上方吹出口とバイパス通路との間を開通させ、下部ダンパで下方吹出口と下通路及びバイパス通路との間を封鎖するとともにバイパス通路と下通路との間を開通させる。
【0014】
第5観点に係る床置き型空調室内機は、第4観点の床置き型空調室内機において、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第1状態と下部流路第2状態とを同時に設定可能に構成さ
れ、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第1状態と下部流路第2状態とに同時に設定されているときに、上部ダンパで上通路と上方吹出口の間を開通させるとともに上方吹出口とバイパス通路との間を開通させ、下部ダンパで下方吹出口と下通路及びバイパス通路との間を封鎖するとともにバイパス通路と下通路との間を開通させる。
【0015】
第
2観点
又は第5観点に係る床置き型空調室内機によれば、上部流路第1状態に切り替えられている上部流路切替機構によって上通路を通って上方吹出口に空気が導かれ、かつ下部流路第2状態に切り替えられている下部流路切替機構によって下通路からバイパス通路を通って上方吹出口に空気が導かれるので、遠心ファンが上方に吹出す空気及び下方に吹出す空気を上方吹出口に導くことができる。
【0016】
また、上部ダンパによって上通路と上方吹出口との間及びバイパス通路と上方吹出口との間の両方を開通させ、下部ダンパによって下通路と下方吹出口との間を閉鎖するとともに下通路とバイパス通路との間を開通させることにより、遠心ファンが上方に吹出す空気と下方に吹出す空気をともに上方吹出口に送ることができるので上方吹出口からの吹出しを強めることができる。
【0017】
本発明の第
3観点に係る床置き型空調室内機は、第
2観点の床置き型空調室内機において、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第2状態と下部流路第1状態とを同時に設定可能に構成されている。
【0018】
また、上部流路切替機構は、上部ダンパを有し、下部流路切替機構は、下部ダンパを有し、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第2状態と下部流路第1状態とに同時に設定されているときに、上部ダンパで上方吹出口と上通路及びバイパス通路との間を封鎖するとともにバイパス通路と上通路との間を開通させ、下部ダンパで下通路と下方吹出口の間を開通させるとともにバイパス通路と下方吹出口との間を開通させる。
【0019】
第6観点に係る床置き型空調室内機は、第5観点の床置き型空調室内機において、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第2状態と下部流路第1状態とを同時に設定可能に構成さ
れ、上部流路切替機構及び下部流路切替機構は、上部流路第2状態と下部流路第1状態とに同時に設定されているときに、上部ダンパで上方吹出口と上通路及びバイパス通路との間を封鎖するとともにバイパス通路と上通路との間を開通させ、下部ダンパで下通路と下方吹出口の間を開通させるとともにバイパス通路と下方吹出口との間を開通させる。
【0020】
第
3観点
又は第6観点に係る床置き型空調室内機によれば、下部流路第1状態に切り替えられている下部流路切替機構によって下通路を通って下方吹出口に空気が導かれ、かつ上部流路第2状態に切り替えられている上部流路切替機構によって上通路からバイパス通路を通って下方吹出口に空気が導かれるので、遠心ファンが上方に吹出す空気及び下方に吹出す空気を下方吹出口に導くことができる。
【0021】
また、下部ダンパによって下通路と下方吹出口との間及びバイパス通路と下方吹出口との間の両方を開通させ、上部ダンパによって上通路と上方吹出口との間を閉鎖するとともに上通路とバイパス通路との間を開通させることにより、遠心ファンが下方に吹出す空気と上方に吹出す空気をともに下方吹出口に送ることができるので下方吹出口からの吹出しを強めることができる。
【0022】
本発明の第
7観点に係る床置き型空調室内機は、第1観点から第
6観点のいずれかの床置き型空調室内機において、熱交換器は、吸込口と遠心ファンとの間に配置されている。
【0023】
第
7観点に係る床置き型空調室内機によれば、遠心ファンが熱交換器の後に配置されていることから遠心ファンの熱交換器に送風する能力が十分引き出せるので遠心ファンを小型化し易くなるとともに、一つの熱交換器で上方吹出口から吹出される空気と下方吹出口から吹出される空気の両方を調和することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1観点
又は第4観点に係る床置き型空調室内機では、簡単で安価なバイパス通路を使ってケーシングをコンパクトに保ちながら上部流路切替機構及び下部流路切替機構により遠心ファンから吹出された空気の導き方にバリエーションを持たせることができ、空気の導き方のバリエーションから上方吹出口と下方吹出口から十分に調和された空気を吹出させるモードを適宜選択できる。
【0025】
また、上部流路切替機構と下部流路切替機構を用いて上下吹きを行わせることができ、上方吹出口と下方吹出口から同時に十分に調和されている空気を吹出させることができる。
【0026】
さらに、上部流路切替機構の上部ダンパと下部流路切替機構の下部ダンパを用いて上方吹出口と下方吹出口から同時に十分に調和されている空気を効率良く吹出させることができる。
【0027】
本発明の第
2観点
又は第5観点に係る床置き型空調室内機では、上部流路切替機構と下部流路切替機構を用いて上吹きを行わせることができ、遠心ファンが上下に吹出す空気をともに上方に導くことで調和されている十分な空気を上方吹出口から吹出させることができる。
【0028】
また、上部流路切替機構の上部ダンパと下部流路切替機構の下部ダンパを用いて十分に調和されている空気を上方吹出口から効率良く吹出させることができる。
【0029】
本発明の第
3観点
又は第6観点に係る床置き型空調室内機では、上部流路切替機構と下部流路切替機構を用いて下吹きを行わせることができ、遠心ファンが上下に吹出す空気をともに下方に導くことで調和されている十分な空気を下方吹出口から吹出させることができる。
【0030】
また、上部流路切替機構の上部ダンパと下部流路切替機構の下部ダンパを用いて十分に調和されている空気を下方吹出口から効率良く吹出させることができる。
【0031】
本発明の第
7観点に係る床置き型空調室内機では、遠心ファンを小型化し易くなること及び熱交換器に送風するための余分な通路を設けなくても済むことから、ケーシングをコンパクト化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施形態>
(1)空気調和機の冷媒回路
図1は、床置き型空調室内機を備える空気調和装置の構成の概要を示す回路図である。
図1に示されているように、第1実施形態に係る空気調和機10は、室内の床面などに置いて使用される床置き型空調室内機20を備えている。空気調和機10は、床置き型空調室内機20以外に、主に、室外に設置される室外機30を備えている。
図1において、各装置を繋ぐ実線は冷媒配管を表しており、各装置を繋ぐ破線は信号伝送線路を表している。
【0034】
室外機30は、室内に設置される床置き型空調室内機20に冷媒配管によって接続されて、床置き型空調室内機20とともに空気調和機10の冷媒回路を構成する。そのために、冷媒配管や通信線や伝送線路などが通る連絡配管12によって床置き型空調室内機20と室外機30が連絡されている。
図1に示されている冷媒回路を構成するために、床置き型空調室内機20には、室内熱交換器21などが設けられ、室外機30には、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動弁34及びアキュムレータ35などが設けられている。
【0035】
ここで、冷媒が循環する冷媒回路の回路構成について簡単に説明する。圧縮機31の吐出側には四路切換弁32の第1ポートが接続されている。四路切換弁32の第2ポートには室外熱交換器33の一方の出入口が接続され、第3ポートにはアキュムレータ35が接続され、第4ポートには冷媒連絡配管12bが接続されている。四路切換弁32は、冷房時には実線で示されている経路に切り換えられ、第1ポートと第2ポートの間を冷媒が流れるとともに第3ポートと第4ポートの間を冷媒が流れる。一方、暖房時に四路切換弁32は、破線で示されている経路に切り換えられ、第1ポートと第4ポートの間を冷媒が流れるとともに、第2ポートと第3ポートの間を冷媒が流れる。室外熱交換器33の他方の出入口は、電動弁34と冷媒連絡配管12aとを介して室内熱交換器21の一方の出入口に接続されている。室内熱交換器21の他方の出入口は、冷媒連絡配管12bを介して四路切換弁32の第4ポートに接続されている。また、圧縮機31の吸入側は、アキュムレータ35を介して四路切換弁32の第3ポートに接続されている。
【0036】
冷房時には、圧縮機31で圧縮されて吐出された冷媒が四路切換弁32を介して室外熱交換器33に送られる。冷房時には室外熱交換器33は凝縮器として働き、外気との熱交換によって熱を奪われて凝縮した冷媒は、次に電動弁34に送られる。電動弁34は膨張機構として働き、高圧液状の冷媒が低圧の湿り蒸気の状態に変化する。このように電動弁34で膨張した冷媒は、冷媒連絡配管12aを通って室内熱交換器21に入る。冷房時には室内熱交換器21は蒸発器として働き、冷媒の蒸発により室内空気と冷媒との間で熱交換が行われ、熱を奪って温度が上昇した冷媒は、冷媒連絡配管12bと四路切換弁32を通って、圧縮機31の吸入側に接続されているアキュムレータ35に送られる。
【0037】
暖房時には、圧縮機31で圧縮されて吐出された冷媒が四路切換弁32から冷媒連絡配管12bを経由して凝縮器として働く室内熱交換器21に送られる。そして、冷房時とは逆の経路をたどって、蒸発器として働く室外熱交換器33を出た冷媒は圧縮機31に送られる。つまり、圧縮機31から、四路切換弁32、冷媒連絡配管12b、室内熱交換器21、冷媒連絡配管12a、電動弁34、室外熱交換器33、四路切換弁32、アキュムレータ35を順に経て圧縮機31に戻る経路を冷媒が循環する。
【0038】
床置き型空調室内機20及び室外機30には、それぞれ、室内熱交換器21及び室外熱交換器33における熱交換を促すために、室内熱交換器21に室内空気を送る室内ファン22及び、室外熱交換器33に外気を送るプロペラファン37が設けられている。これら室内ファン22及びプロペラファン37は、羽根車やプロペラなどを回転させるファンモータ22m,37mを有している。
【0039】
(2)制御系統
空気調和機10における空気調和の動作が正しく効率良く行なわれるように、空気調和機10は、
図1及び
図2に示されている制御装置49によって制御される。制御装置49は、室内制御装置49a及び室外制御装置49bを含み、室内制御装置49aが床置き型空調室内機20の中に組み込まれ、室外制御装置49bが室外機30の中に組み込まれている。
【0040】
図2は制御系統の構成の概略を示すブロック図である。室内制御装置49aと室外制御装置49bとは、通信線12cを介して互いに接続されて互いにデータの送受信を行っている。室内制御装置49a及び室外制御装置49bは、CPU(中央演算処理装置)やメモリや周辺回路などを含んで構成されている。
【0041】
床置き型空調室内機20には、室内熱交換器21の出入口の冷媒の温度を測定するための液側温度センサ24とガス側温度センサ25が設けられ、室内空気の温度を測定するための室内温度センサ26が設けられている。これらの温度センサ24〜26で測定された温度は、室内制御装置49aに送信される。また、室内制御装置49aには、室内ファン22のファンモータ22m、風向調節機構27、上部流路切替機構28及び下部流路切替機構29が接続されている。この室内制御装置49aにより、例えばファンモータ22mの回転数や運転・停止が制御される。風向調節機構27が床置き型空調室内機20に設けられており、室内制御装置49aに制御されることによって風向調節機構27が風向調節板(図示せず)などの角度を変更することにより、上部吹出口(
図3及び
図4参照)から室内に吹き出される調和空気の向きが調節される。上部流路切替機構28及び下部流路切替機構29には、それぞれ上部ダンパ28a及び下部ダンパ29aが設けられ、さらにそれら上部ダンパ28a及び下部ダンパ29aを駆動するための駆動軸28b,29bがそれぞれ設けられている。これら駆動軸28b,29bは、例えばモータなどのアクチュエータ(図示せず)の動力によってそれぞれ独立して動くよう構成されている。
【0042】
室外機30には、室外機30の各部の温度を測定するため、室外熱交換器温度センサ41、熱交換器出入口温度センサ42、吸入側温度センサ43、吐出側温度センサ44及び外気温度センサ45などが設けられている。室外熱交換器温度センサ41では、室外熱交換器33の内部の冷媒の温度が測定される。室外熱交換器33の出入口に設けられている熱交換器出入口温度センサ42では、室外熱交換器33から床置き型空調室内機20へと流れる冷媒の温度が測定される。吸入側温度センサ43では、圧縮機31に吸入される冷媒の温度が測定される。吐出側温度センサ44では、圧縮機31から吐出される冷媒の温度が測定される。外気温度センサ45では、室外機30の周囲の外気温度が測定される。これらの温度センサ41〜45で測定された温度は、室外制御装置49bに送信される。
【0043】
また、室外機30には、圧縮機31に吸入される冷媒の圧力を測定するための吸入側圧力センサ46及び、圧縮機31から吐出される冷媒の圧力を測定するための吐出側圧力センサ47などの圧力センサが設けられている。吸入側圧力センサ46及び吐出側圧力センサ47などで測定された冷媒の圧力値は室外制御装置49bに送信される。
【0044】
さらに、室外制御装置49bには、圧縮機31の圧縮機モータ部38、四路切換弁32、電動弁34及び室外ファンモータ37mが接続されている。この室外制御装置49bにより、例えば圧縮機モータ部38や室外ファンモータ37mの回転数やそれらの運転・停止が制御され、四路切換弁32の切換えが制御され、電動弁34の開度が制御される。
【0045】
(3)ケーシングの外観
床置き型空調室内機20は、
図3に示されているケーシング50を備えている。床置き型空調室内機20の室内熱交換器21及び室内ファン22は、ケーシング50の内部に収納されている。ケーシング50は、前面パネル51と右側面パネル52と左側面パネル53と天面パネル54と底面パネル55と後面パネル56とによって囲まれた直方体形状を有している。前面パネル51には、中央部に吸込口57が形成され、上方に上方吹出口58が形成され、下方に下方吹出口59が形成されている。上方吹出口58には、床置き型空調室内機20の運転時に上方吹出口58から吹出される気流の左右方向の風向を調節するための垂直フラップ(図示せず)が設けられている。また、水平フラップ(図示せず)が、上方吹出口58に設けられている。垂直フラップは、垂直面(例えば前面パネル51)に対する角度を変更することによって、吹出される調和空気を案内する角度を調節する。水平フラップは、水平面(例えば天面パネル54)に対する角度を変更することによって、吹出される調和空気を案内する角度を調節する。つまり、垂直フラップによって左右方向に風向が変更され、水平フラップによって上下方向に風向が変更される。
【0046】
(4)ケーシング内部の構造
図4、
図5及び
図6には床置き型空調室内機20の断面構造の概要が示されている。ケーシング50の前面パネル51の吸込口57の後側には、室内熱交換器21の収納される第1内部空間S1が形成されている。室内熱交換器21は、直方体形状であり、この第1内部空間S1において前面パネル51と平行に配置されている。室内熱交換器21は、
図3に示されているように、前面から見て吸込口57よりも広い面積を占め、前面から見た室内熱交換器21の占有領域の中央部に吸込口57が配置されている。室内熱交換器21の上下左右及び後側は第1仕切部材61で仕切られ、室内熱交換器21の第1仕切部材61には、円形の開口部61aが形成されている。開口部61aの中心が回転軸の延長上に配置されるように室内ファン22が支持板62に取り付けられている。
【0047】
支持板62は、後面パネル56と平行に設置されており、また第1仕切部材61のうち室内熱交換器21の後側にある板状部分61bに対しても平行になっている。この支持板62と後面パネル56とに挟まれた第2内部空間S2がバイパス通路R1になっている。この第2内部空間S2の右と左が右側面パネル52及び左側面パネル53によって覆われ、第2内部空間S2の上方が第2仕切部材63によって覆われ、第2内部空間S2の下方が第3仕切部材64によって覆われている。第2仕切部材63及び第3仕切部材64は、いずれも後面パネル56から前方に向かって天面パネル54に平行に延び、その右と左は右側面パネル52及び左側面パネル53にまで続いている。そして、第2仕切部材63と支持板62の上端部62aとの間に上部第1開口部65が形成されている。また、第3仕切部材64と支持板62の下端部62bとの間に下部第1開口部66が形成されている。なお、右側面パネル52及び左側面パネル53には断熱のための構造や各機器を収納するための構造が形成されており、第2仕切部材63及び第3仕切部材64が右側面パネル52及び左側面パネル53にまで続いているというのはそのような構造までしか達していない場合も含んでいる。以下の説明でも、側面部分が囲まれていることを示すために右側面パネル52及び左側面パネル53にまで続くとか、右側面パネル52及び左側面パネル53で囲まれているなどの表現を使用している。
【0048】
室内ファン22は、上方と下方にそれぞれ上方出口22a及び下方出口22bを持っている。上方出口22aは、ケーシング50の上通路R2に接続されており、下方出口22bは、ケーシング50の下通路R3に接続されている。上通路R2は、第1仕切部材61の板状部分61bの上部と支持板62の上部との間に形成され、その右と左が右側面パネル52及び左側面パネル53で囲まれている。同様に、下通路R3は、第1仕切部材61の板状部分61bの下部と支持板62の下部との間に形成され、その右と左が右側面パネル52及び左側面パネル53で囲まれている。
【0049】
上方吹出口58には、上方吹出通路用第1部材71と上方吹出通路用第2部材72との間に形成されている上方吹出通路R4が繋がっている。上方吹出通路用第1部材71の右と左は、右側面パネル52及び左側面パネル53にまで続き、上方吹出通路用第2部材72の右と左は、右側面パネル52及び左側面パネル53にまで続いている。そして、上方吹出口58とは反対側の上方吹出通路用第1部材71と上方吹出通路用第2部材72の端部は、上部第2開口部67に繋がっている。下方吹出口59には、下方吹出通路用第1部材73と下方吹出通路用第2部材74との間に形成されている下方吹出通路R5が繋がっている。下方吹出通路用第1部材73の右と左は、右側面パネル52及び左側面パネル53にまで続き、下方吹出通路用第2部材74の右と左は、右側面パネル52及び左側面パネル53にまで続いている。そして、下方吹出口59とは反対側の下方吹出通路用第1部材73と下方吹出通路用第2部材74の端部は、下部第2開口部68に繋がっている。
【0050】
上方吹出通路R4を形成する上方吹出通路用第1部材71は、上通路R2を形成する第1仕切部材61の板状部分61bの上部に接続されている。また、上方吹出通路R4を形成する上方吹出通路用第2部材72は、バイパス通路R1を形成する第2仕切部材63に接続されている。つまり、バイパス通路R1と上通路R2と上方吹出通路R4とが接続されて、Y字路が形成されている。これらバイパス通路R1と上通路R2と上方吹出通路R4とが交わるY字路に上部流路切替機構28が形成されている。
【0051】
また、下方吹出通路R5を形成する下方吹出通路用第1部材73は、下通路R3を形成する第1仕切部材61の板状部分61bの下部に接続されている。また、下方吹出通路R5を形成する下方吹出通路用第2部材74は、バイパス通路R1を形成する第3仕切部材64に接続されている。つまり、バイパス通路R1と下通路R3と下方吹出通路R5とが接続されて、Y字路が形成されている。これらバイパス通路R1と下通路R3と下方吹出通路R5とが交わるY字路に下部流路切替機構29が形成されている。
【0052】
上部流路切替機構28は、上部ダンパ28a及び駆動軸28bを有して構成されている。上部流路切替機構28は、上部ダンパ28aで、上部第1開口部65を閉じて上部第2開口部67を開く第1状態(
図4参照)と、上部第1開口部65を開いて上部第2開口部67を閉じる第2状態(
図6参照)と、上部第1開口部65及び上部第2開口部67の両方を開く第3状態(
図5参照)とを切り替える。言い換えると、上部流路切替機構28は、第1状態では上通路R2と上方吹出通路R4の間を開通させるとともに上通路R2及び上方吹出通路R4とバイパス通路R1の間を閉鎖し、第2状態ではバイパス通路R1と上通路R2の間を開通させるとともにバイパス通路R1及び上通路R2と上方吹出通路R4の間を閉鎖し、第3状態ではバイパス通路R1と上通路R2と上方吹出通路R4の間を開通させる。
【0053】
下部流路切替機構29は、下部ダンパ29a及び駆動軸29bを有して構成されている。下部流路切替機構29は、下部ダンパ29aで、下部第1開口部66を閉じて下部第2開口部68を開く第1状態(
図4参照)と、下部第1開口部66を開いて下部第2開口部68を閉じる第2状態(
図5参照)と、下部第1開口部66及び下部第2開口部68の両方を開く第3状態(
図6参照)とを切り替える。言い換えると、下部流路切替機構29は、第1状態では下通路R3と下方吹出通路R5の間を開通させるとともに下通路R3及び下方吹出通路R5とバイパス通路R1の間を閉鎖し、第2状態ではバイパス通路R1と下通路R3の間を開通させるとともにバイパス通路R1及び下通路R3と下方吹出通路R5の間を閉鎖し、第3状態ではバイパス通路R1と下通路R3と下方吹出通路R5の間を開通させる。
【0054】
(5)上部流路切替機構と下部流路切替機構の動作
(5−1)上下吹きモード
図4には、上下吹きモードで動作している床置き型空調室内機20が示されている。上下吹きモードは、例えば暖房運転時に選択される。上下吹きモードにおいては、上部流路切替機構28及び下部流路切替機構29が両方とも第1状態になっている。つまり、上部流路切替機構28では上部ダンパ28aによって上部第1開口部65が閉じられ、下部流路切替機構29では下部ダンパ29aによって下部第1開口部66が閉じられている。
【0055】
図4に示されている状態では、吸込口57から第1内部空間S1に吸込まれた室内空気は、室内熱交換器21で熱交換される。暖房運転時には、室内熱交換器21で暖められた調和空気が第1仕切部材61の開口部61aを通過して室内ファン22に吸込まれる。室内ファン22は、遠心ファンであり、室内ファン22として例えばターボファンやシロッコファンを用いることができる。このような室内ファン22に吸込まれた調和空気は、上下方向に同時に導かれ、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bから吹出される。室内ファン22の上方出口22aから出る調和空気は、上通路R2から上方吹出通路R4を通って上方吹出口58より吹出される。このとき、上部ダンパ28aは上部第1開口部65を閉じているので、上通路R2及び上方吹出通路R4からバイパス通路R1に向かう気流は生じない。また、室内ファン22の下方出口22bから出る調和空気は、下通路R3から下方吹出通路R5を通って下方吹出口59より吹出される。このとき、下部ダンパ29aは下部第1開口部66を閉じているので、下通路R3及び下方吹出通路R5からバイパス通路R1に向かう気流は生じない。
【0056】
(5−2)上吹きモード
図5には、上吹きモードで動作している床置き型空調室内機20が示されている。上吹きモードは、例えば冷房運転時に選択される。上吹きモードにおいては、上部流路切替機構28が第3状態になるとともに下部流路切替機構29が第2状態になっている。つまり、上部流路切替機構28では上部ダンパ28aによって上部第1開口部65及び上部第2開口部67が開かれ、下部流路切替機構29では下部ダンパ29aによって下部第2開口部68が閉じられている。
【0057】
図5に示されている状態では、冷房運転時には、室内熱交換器21で冷やされた調和空気が第1仕切部材61の開口部61aを通過して室内ファン22に吸込まれ、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bから吹出される。室内ファン22の上方出口22aから出る調和空気は、上通路R2から上方吹出通路R4を通って上方吹出口58より吹出される。また、室内ファン22の下方出口22bから出る調和空気は、下通路R3からバイパス通路R1を通って上部第1開口部65より上方吹出通路R4に入る。つまり、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bからでる調和空気は、両方とも上方吹出口58から吹出される。
【0058】
(5−3)下吹きモード
図6には、下吹きモードで動作している床置き型空調室内機20が示されている。下吹きモードは、例えば暖房運転時に選択される。下吹きモードにおいては、上部流路切替機構28が第2状態になるとともに下部流路切替機構29が第3状態になっている。つまり、上部流路切替機構28では上部ダンパ28aによって上部第2開口部67が閉じられ、下部流路切替機構29では下部ダンパ29aによって下部第1開口部66及び下部第2開口部68が開かれている。
【0059】
図6に示されている状態では、暖房運転時には、室内熱交換器21で暖められた調和空気が第1仕切部材61の開口部61aを通過して室内ファン22に吸込まれ、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bから吹出される。室内ファン22の下方出口22bから出る調和空気は、下通路R3から下方吹出通路R5を通って下方吹出口59より吹出される。また、室内ファン22の上方出口22aから出る調和空気は、上通路R2からバイパス通路R1を通って下部第1開口部66より下方吹出通路R5に入る。つまり、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bからでる調和空気は、両方とも下方吹出口59から吹出される。
【0060】
(6)特徴
(6−1)
上記第1実施形態の床置き型空調室内機20は、室内熱交換器21(熱交換器の一例)と、ケーシング50と、室内ファン22(遠心ファンの一例)と、上部流路切替機構28と、下部流路切替機構29とを備えている。ケーシング50には、室内熱交換器21及び室内ファン22が収納されている。このケーシング50には、吸込口57、吸込口57の上方にある上方吹出口58、吸込口57の下方にある下方吹出口59、上通路R2、下通路R3及びバイパス通路R1が形成されている。室内ファン22は、吸込口57と上通路R2及び下通路R3との間に配置され、吸込口57から上方吹出口58及び下方吹出口59に向かう空気の流れを発生させることができる。
【0061】
上部流路切替機構28は、上方吹出口58と上通路R2とバイパス通路R1の流路の切り替えを行なう。下部流路切替機構29は、下方吹出口59と下通路R3とバイパス通路R1の流路の切り替えを行なう。上通路R2は、室内ファン22の上方出口22aから上部流路切替機構28に続き、下通路R3は、室内ファン22の下方出口22bから下部流路切替機構29に続いている。バイパス通路R1は、室内ファン22に対して吸込口57の側とは反対側の第2内部空間S2に形成され、上部流路切替機構28及び下部流路切替機構29に接続されている。また、上部流路切替機構28は、上通路R2を通って上方吹出口58に調和空気が向かう第1状態及び第3状態(上部流路第1状態の一例)と上通路R2からバイパス通路R1を通って下方吹出口59に調和空気が向かう第2状態(上部流路第2状態の一例)とを切り替え可能に構成されている。また下部流路切替機構29は、下通路R3から下方吹出口59に調和空気が向かう第1状態及び第3状態(下部流路第1状態の一例)と下通路R3からバイパス通路R1を通って上方吹出口58に調和空気が向かう第2状態(下部流路第2状態の一例)とを切り替え可能に構成されている。
【0062】
上通路R2からバイパス通路R1を通って下方吹出口59に空気が向かう上部流路切替機構28を第2状態にすることで、バイパス通路R1を下方吹出通路R5に通じさせていれば(下部流路切替機構29が第3状態になっていれば)、上通路R2に向かう空気を下方吹出口59から吹出させることができる。また、下通路からバイパス通路を通って上方吹出口に空気が向かう下部流路切替機構29を第2状態にすることで、バイパス通路R1を上方吹出通路R4に通じさせていれば(上部流路切替機構28が第3状態になっていれば)、下通路R3に向かう空気を上方吹出口58から吹出させることができる。このように室内ファン22の周囲に配置されているバイパス通路R1を使って室内ファン22の空気を導くことで、簡単で安価なバイパス通路R1を使ってケーシング50をコンパクトに保ちながら、上部流路切替機構及び下部流路切替機構により空気の導き方にバリエーションを持たせることができ、空気の導き方のバリエーションから上方吹出口と下方吹出口から十分に調和された空気を吹出させるモードを適宜選択できる。
【0063】
(6−2)
上部流路切替機構28及び下部流路切替機構29は、上部流路切替機構28が第1状態のときに下部流路切替機構29を第1状態の設定(上部流路第1状態と下部流路第1状態とを同時に設定している状態の一例)にできる。このように設定される
図4の状態では、上部流路切替機構28を第1状態にして室内ファン22から上に吹出される調和空気を上方吹出口58から吹出させると同時に、下部流路切替機構29を第1状態にして室内ファン22から下に吹出される調和空気を下方吹出口59から吹出させることができ、上下吹きを行なわせることができる。上下吹きモードにすることにより、上部流路切替機構28と下部流路切替機構29を用いて上下吹きを行わせることができ、上方吹出口58と下方吹出口59から同時に十分に調和されている空気を吹出させることができる。
【0064】
(6−3)
図4の状態では、上部流路切替機構28が第1状態に設定されると同時に下部流路切替機構29が第1状態に設定されている。このような状態では、上部ダンパ28aで上通路R2と上方吹出口58との間が開通し、上方吹出口58及び上通路R2とバイパス通路R1との間が封鎖され、下部ダンパ29aで下通路R3と下方吹出口59との間を開通させるとともに下方吹出口59及び下通路R3とバイパス通路R1との間が封鎖される。このようにバイパス通路R1を上部ダンパ28aと下部ダンパ29aで閉鎖することにより、バイパス通路R1に空気が流れ込まないようにして、上方吹出口58と下方吹出口59から同時に十分に調和されている空気を効率良く吹出させることができる。
【0065】
(6−4)
上部流路切替機構28及び下部流路切替機構29は、上部流路切替機構28が第3状態のときに下部流路切替機構29を第2状態の設定(上部流路第1状態と下部流路第2状態とを同時に設定している状態の一例)にできる。このように設定される
図5の状態では、上部流路切替機構28を第3状態にして上通路R2を通って上方吹出口58に空気が導かれ、下部流路切替機構29を第2状態にして下通路R3からバイパス通路R1を通って上方吹出口58に空気が導かれる。このように室内ファン22が上方に吹出す空気及び下方に吹出す空気を両方とも上方吹出口58から吹出させることができ、室内ファン22が上下に吹出す空気をともに上方に導くことで調和されている十分な空気を上方吹出口58から吹出させることができる。
【0066】
(6−5)
図5の状態では、上部流路切替機構28が第3状態に設定されると同時に下部流路切替機構29が第2状態に設定されている。このような状態では、上部ダンパ28aで上通路R2と上方吹出口58の間を開通させるとともに上方吹出口58とバイパス通路R1との間を開通させ、下部ダンパ29aで下方吹出口59と下通路R3及びバイパス通路R1との間を封鎖するとともにバイパス通路R1と下通路R3との間を開通させる。このように上部ダンパ28aによって上通路R2と上方吹出口58の間及びバイパス通路R1と上方吹出口58の間の両方を開通させ、下部ダンパ29aによって下通路R3と下方吹出口59との間を閉鎖するとともに下通路R3とバイパス通路R1との間を開通させることにより、室内ファン22が上方に吹出す空気と下方に吹出す空気をともに上方吹出口58に送ることができる。それにより、上方吹出口58からの吹出しを強めることができ、十分に調和されている空気を上方吹出口58から効率良く吹出させることができる。
【0067】
(6−6)
上部流路切替機構28及び下部流路切替機構29は、上部流路切替機構28が第2状態のときに下部流路切替機構29を第3状態の設定(上部流路第2状態と下部流路第1状態とを同時に設定している状態の一例)にできる。このように設定される
図6の状態では、下部流路切替機構29を第3状態にして下通路R3を通って下方吹出口59に空気が導かれ、上部流路切替機構28を第2状態にして上通路R2からバイパス通路R1を通って下方吹出口59に空気が導かれる。このように室内ファン22が上方に吹出す空気及び下方に吹出す空気を両方とも下方吹出口59から吹出させることができ、室内ファン22が上下に吹出す空気をともに下方に導くことで調和されている十分な空気を下方吹出口59から吹出させることができる。
【0068】
(6−7)
図6の状態では、上部流路切替機構28が第2状態に設定されると同時に下部流路切替機構29が第3状態に設定されている。このような状態では、上部ダンパ28aで上方吹出口58と上通路R2及びバイパス通路R1との間を封鎖するとともにバイパス通路R1と上通路R2との間を開通させ、下部ダンパ29aで下通路R3と下方吹出口59の間を開通させるとともにバイパス通路R1と下方吹出口59との間を開通させる。このように下部ダンパ29aによって下通路R3と下方吹出口59の間及びバイパス通路R1と下方吹出口59の間の両方を開通させ、上部ダンパ28aによって上通路R2と上方吹出口58との間を閉鎖するとともに上方吹出口58とバイパス通路R1との間を開くことにより、室内ファン22が下方に吹出す空気と上方に吹出す空気をともに下方吹出口59に送ることができる。それにより、下方吹出口59からの吹出しを強めることができ、十分に調和されている空気を下方吹出口59から効率良く吹出させることができる。
【0069】
(6−8)
室内熱交換器21は、吸込口57と室内ファン22との間に配置され、室内ファン22が室内熱交換器21の後に配置されていることから、室内ファン22の室内熱交換器21に送風する能力が十分引き出せる。このような構成によって、室内ファン22を小型化し易くなるとともに、一つの室内熱交換器21で上方吹出口58から吹出される空気と下方吹出口59から吹出される空気の両方を調和することが可能になる。このように、室内ファン22を小型化し易くなること及び室内熱交換器21に送風するための余分な通路を設けなくても済むことから、ケーシング50をコンパクト化することができる。
【0070】
(7)変形例
(7−1)変形例1A
上記第1実施形態では、室内ファン22を一つの遠心ファンで構成しているが、室内ファン22は複数の遠心ファンを用いて構成してもよい。
【0071】
(7−2)変形例1B
上記第1実施形態では、上方吹出口58が一つの場合について説明したが、上方吹出口は複数設けられていてもよい。同様に、下方吹出口59が一つの場合について説明したが、下方吹出口は複数設けられていてもよい。また、吸込口57も複数設けられていてもよい。
【0072】
(7−3)変形例1C
上記第1実施形態では、上部流路切替機構28に上部ダンパ28aを一つ設け、下部流路切替機構29に下部ダンパ29aを一つ設ける場合について説明したが、各流路の開通や閉鎖を行なうためのダンパの数は一つに限られるものではなく、上部流路切替機構28や下部流路切替機構29にそれぞれ複数のダンパが設けられるような構成であってもよい。また、流路の開通と閉鎖を行うための構成はダンパに限られるものではなく、シャッタなど他の構成であってもよい。
【0073】
<第2実施形態>
(8)床置き型空調室内機の構成概要
次に、第2実施形態に係る床置き型空調室内機について、
図7乃至
図12を用いて説明する。第2実施形態に係る床置き型空調室内機20Aも第1実施形態の床置き型空調室内機20と同様に室内熱交換器21と室内ファン22などを有しており、例えば第1実施形態の床置き型空調室内機20に代えて第2実施形態の床置き型空調室内機20Aを
図1に示されている回路中に組み込んで、空気調和機10に適用することができる。
【0074】
また、床置き型空調室内機20Aも室内制御装置49a、液側温度センサ24、ガス側温度センサ25及び室内温度センサ26を備えており、これらの温度センサ24〜26の測定結果に応じて室内制御装置49a(制御装置49)が床置き型空調室内機20Aの制御を行なっている。
【0075】
さらに、室内制御装置49aには、室内ファン22のファンモータ22m、風向調節機構27、上部流路切替機構28A(
図7乃至
図12参照)及び下部流路切替機構29A(
図7乃至
図12参照)が接続されている。
【0076】
第1実施形態の床置き型空調室内機20と第2実施形態の床置き型空調室内機20Aが異なる点は、これら上部流路切替機構28A及び下部流路切替機構29Aの構成とバイパス通路R6,R7などのその周辺の構造である。
【0077】
上部流路切替機構28A及び下部流路切替機構29Aには、それぞれ3つの上部ダンパすなわち上部中央ダンパ28a1、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3並びに3つの下部ダンパすなわち下部中央ダンパ29a1、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3が設けられている。さらにそれら上部中央ダンパ28a1、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3並びに下部中央ダンパ29a1、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3を駆動するための駆動軸28b1,28b2,28b3,29b1,29b2,29b3が、それぞれ上部流路切替機構28A及び下部流路切替機構29Aに設けられている。これら駆動軸28b1,28b2,28b3,29b1,29b2,29b3は、例えばモータなどのアクチュエータ(図示せず)の動力によってそれぞれ独立して動くよう構成されている。
【0078】
(9)ケーシングの外観
床置き型空調室内機20Aは、
図3に示されているケーシング50を備えている第1実施形態の床置き型空調室内機20に比べて左右の幅が広く前後の奥行きが薄く形成しやすいが、同じような外観を呈する。このように第2実施形態に係る床置き型空調室内機20Aの外観は、縦・横・高さ(幅・奥行き・高さ)の比が第1実施形態に係る床置き型空調室内機20と異なるだけで類似の外観を呈するので、第2実施形態に係る床置き型空調室内機20Aの外観の説明を省略する。
【0079】
(10)ケーシング内部の構造
図7乃至
図12には床置き型空調室内機20Aの断面構造の概要が示されている。ケーシング50Aの前面パネル51Aの吸込口57の後側には、室内熱交換器21の収納される第1内部空間S1が形成されている。室内熱交換器21の形状や第1内部空間S1における室内熱交換器21の配置及び、室内熱交換器21や室内ファン22と吸込口57や第1仕切部材61の開口部61aとの関係は、第1実施形態において説明しているので説明を省略する。
【0080】
第2実施形態の床置き型空調室内機20Aのバイパス通路R6,R7は、第1内部空間S1に対して幅方向に並んで設けられている。換言すると、バイパス通路R6,R7は、第1内部空間S1と右側面パネル52Aの間及び第1内部空間S1と左側面パネル53Aの間に設けられているということである。そのため、室内ファン22は、後面パネル56Aに取り付けられている。
【0081】
室内ファン22と右側面パネル52Aとの間に右側面パネル52Aと平行に設けられている右仕切部材81によって、第3内部空間S3が形成されている。また、室内ファン22と左側面パネル53Aとの間に左側面パネル53Aと平行に設けられている左仕切部材82によって、第4内部空間S4が形成されている。これら第3内部空間S3及び第4内部空間S4がそれぞれバイパス通路R6,R7になっている。
【0082】
この第3内部空間S3の右と左が右仕切部材81及び右側面パネル52Aによって覆われ、第3内部空間S3の前後が前面パネル51A及び後面パネル56Aによって覆われ、第3内部空間S3の上下が天面パネル54A及び底面パネル55Aによって覆われている。また、この第4内部空間S4の右と左が左仕切部材82及び左側面パネル53Aによって覆われ、第4内部空間S4の前後が前面パネル51A及び後面パネル56Aによって覆われ、第4内部空間S4の上下が天面パネル54A及び底面パネル55Aによって覆われている。
【0083】
室内ファン22は、上方と下方にそれぞれ上方出口22a及び下方出口22bを持っている。上方出口22aは、ケーシング50Aの上通路R2に接続されており、下方出口22bは、ケーシング50Aの下通路R3に接続されている。
【0084】
上通路R2は、第1仕切部材61の板状部分61bの上部と後面パネル56Aの上部との間に形成され、その右と左が右仕切部材81及び左仕切部材82で囲まれている。同様に、下通路R3は、第1仕切部材61の板状部分61bの下部と後面パネル56Aの下部との間に形成され、その右と左が右仕切部材81及び左仕切部材82で囲まれている。
【0085】
上方吹出口58には、上方吹出通路用第1部材71と上方吹出通路用第2部材72との間に形成されている上方吹出通路R4が繋がっている。上方吹出通路用第2部材72は、後面パネル56から前方に向かって延びている。上方吹出通路用第1部材71及び上方吹出通路用第2部材72の右と左が右仕切部材81及び左仕切部材82にまで続いている。そして、上方吹出口58の右と左には、右仕切部材81及び左仕切部材82にそれぞれ上部第1右開口部91及び上部第1左開口部92が設けられている。また、上方吹出口58とは反対側の上方吹出通路用第1部材71と上方吹出通路用第2部材72の端部は、上部第2開口部67に繋がっている。下方吹出口59には、下方吹出通路用第1部材73と下方吹出通路用第2部材74との間に形成されている下方吹出通路R5が繋がっている。下方吹出通路用第2部材74は、後面パネル56から前方に向かって延びている。下方吹出通路用第1部材73及び下方吹出通路用第2部材74の右と左が右仕切部材81及び左仕切部材82にまで続いている。そして、下方吹出口59の右と左には、右仕切部材81及び左仕切部材82にそれぞれ下部第1右開口部93及び下部第1左開口部94が設けられている。また、下方吹出口59とは反対側の下方吹出通路用第1部材73と下方吹出通路用第2部材74の端部は、下部第2開口部68に繋がっている。
【0086】
上方吹出通路R4を形成する上方吹出通路用第1部材71は、上通路R2を形成する第1仕切部材61の板状部分61bの上部に接続されている。また、上方吹出通路R4を形成する上方吹出通路用第2部材72は、上通路R2を形成する後面パネル56Aに接続されている。つまり、バイパス通路R6,R7と上通路R2と上方吹出通路R4とが接続されて、交差路が形成されている。これらバイパス通路R6,R7と上通路R2と上方吹出通路R4とが交わる交差路に上部流路切替機構28Aが形成されている。
【0087】
また、下方吹出通路R5を形成する下方吹出通路用第1部材73は、下通路R3を形成する第1仕切部材61の板状部分61bの下部に接続されている。また、下方吹出通路R5を形成する下方吹出通路用第2部材74は、下通路R3を形成する後面パネル56Aに接続されている。つまり、バイパス通路R6,R7と下通路R3と下方吹出通路R5とが接続されて、交差路が形成されている。これらバイパス通路R6,R7と下通路R3と下方吹出通路R5とが交わる交差路に下部流路切替機構29Aが形成されている。
【0088】
上部流路切替機構28Aは、上部中央ダンパ28a1、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3並びに駆動軸28b1,28b2,28b3を有して構成されている。上部流路切替機構28Aは、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3で上部第1右開口部91及び上部第1左開口部92を閉じて上部中央ダンパ28a1で上部第2開口部67を開く第1状態(
図7及び
図8参照)と、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3で上部第1右開口部91及び上部第1左開口部92を開いて上部中央ダンパ28a1で上部第2開口部67を閉じる第2状態(
図11及び
図12参照)と、上部中央ダンパ28a1、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3で上部第1右開口部91及び上部第1左開口部92並びに上部第2開口部67の全てを開く第3状態(
図9及び
図10参照)とを切り替える。言い換えると、上部流路切替機構28Aは、第1状態では上通路R2と上方吹出通路R4の間を開通させるとともに上通路R2及び上方吹出通路R4とバイパス通路R6、R7の間を閉鎖し、第2状態ではバイパス通路R6、R7と上通路R2との間を開通させるとともにバイパス通路R6、R7及び上通路R2と上方吹出通路R4との間を閉鎖し、第3状態ではバイパス通路R6、R7と上通路R2と上方吹出通路R4の間を全て開通させる。
【0089】
下部流路切替機構29Aは、下部中央ダンパ29a1、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3並びに駆動軸29b1,29b2,29b3を有して構成されている。下部流路切替機構29Aは、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3で下部第1右開口部
93及び下部第1左開口部
94を閉じて下部中央ダンパ29a1で下部第2開口部68を開く第1状態(
図7及び
図8参照)と、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3で下部第1右開口部
93及び下部第1左開口部
94を開いて下部中央ダンパ29a1で下部第2開口部68を閉じる第2状態(
図9及び
図10参照)と、下部中央ダンパ29a1、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3で下部第1右開口部
93及び下部第1左開口部
94並びに下部第2開口部68の全てを開く第3状態(
図11及び
図12参照)とを切り替える。言い換えると、下部流路切替機構29Aは、第1状態では下通路R3と下方吹出通路R5の間を開通させるとともに下通路R3及び下方吹出通路R5とバイパス通路R6、R7との間を閉鎖し、第2状態ではバイパス通路R6、R7と下通路R3との間を開通させるとともにバイパス通路R6、R7及び下通路R3と下方吹出通路R5との間を閉鎖し、第3状態ではバイパス通路R6、R7と下通路R3と下方吹出通路R5との間を開通させる。
【0090】
(11)上部流路切替機構と下部流路切替機構の動作
(11−1)上下吹きモード
図7及び
図8には、上下吹きモードで動作している床置き型空調室内機20Aが示されている。上下吹きモードにおいては、上部流路切替機構28A及び下部流路切替機構29Aが両方とも第1状態になっている。つまり、上部流路切替機構28Aでは上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3によって上部第1右開口部91及び上部第1左開口部92が閉じられ、下部流路切替機構29Aでは下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3によって下部第1右開口部93及び下部第1左開口部94が閉じられている。そして、上部流路切替機構28Aの上部中央ダンパ28a1によって上部第2開口部67が開かれ、下部流路切替機構29Aの下部中央ダンパ29a1によって下部第2開口部68が開かれている。
【0091】
図7及び
図8に示されている状態では、吸込口57から第1内部空間S1に吸込まれた室内空気は、室内熱交換器21で熱交換される。暖房運転時には、室内熱交換器21で暖められた調和空気が第1仕切部材61の開口部61aを通過して室内ファン22に吸込まれる。室内ファン22に吸込まれた調和空気は、上下方向に同時に導かれ、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bから吹出される。室内ファン22の上方出口22aから出る調和空気は、上通路R2から上方吹出通路R4を通って上方吹出口58より吹出される。このとき、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3は上部第1右開口部91及び上部第1左開口部92を閉じているので、上通路R2及び上方吹出通路R4からバイパス通路R6,R7に向かう気流は生じない。また、室内ファン22の下方出口22bから出る調和空気は、下通路R3から下方吹出通路R5を通って下方吹出口59より吹出される。このとき、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3は下部第1右開口部
93及び下部第1左開口部
94を閉じているので、下通路R3及び下方吹出通路R5からバイパス通路R6,R7に向かう気流は生じない。
【0092】
(11−2)上吹きモード
図9及び
図10には、上吹きモードで動作している床置き型空調室内機20Aが示されている。上吹きモードにおいては、上部流路切替機構28Aが第3状態になるとともに下部流路切替機構29Aが第2状態になっている。つまり、上部流路切替機構28Aでは上部中央ダンパ28a1、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3によって上部第1右開口部91及び上部第1左開口部92並びに上部第2開口部67が開かれ、下部流路切替機構29Aでは下部中央ダンパ29a1によって下部第2開口部68が閉じられ、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3によって下部第1右開口部93及び下部第1左開口部94が開かれる。
【0093】
図9及び
図10に示されている状態では、冷房運転時には、室内熱交換器21で冷やされた調和空気が第1仕切部材61の開口部61aを通過して室内ファン22に吸込まれ、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bから吹出される。室内ファン22の上方出口22aから出る調和空気は、上通路R2から上方吹出通路R4を通って上方吹出口58より吹出される。また、室内ファン22の下方出口22bから出る調和空気は、下通路R3からバイパス通路R6,R7を通って上部第1右開口部91及び上部第1左開口部92より上方吹出通路R4に入る。つまり、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bからでる調和空気は、両方とも上方吹出口58から吹出される。
【0094】
(11−3)下吹きモード
図11及び
図12には、下吹きモードで動作している床置き型空調室内機20Aが示されている。下吹きモードにおいては、上部流路切替機構28Aが第2状態になるとともに下部流路切替機構29Aが第3状態になっている。つまり、上部流路切替機構28Aでは
上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3によって上部第1右開口部91及び上部第1左開口部92が開かれ、上部中央ダンパ28a1で上部第2開口部67が閉じられ、下部流路切替機構29Aでは下部中央ダンパ29a1、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3によって下部第1右開口部93及び下
部第1左開口部94並びに下部第2開口部68が開かれる。
【0095】
図11及び
図12に示されている状態では、暖房運転時には、室内熱交換器21で暖められた調和空気が第1仕切部材61の開口部61aを通過して室内ファン22に吸込まれ、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bから吹出される。室内ファン22の下方出口22bから出る調和空気は、下通路R3から下方吹出通路R5を通って下方吹出口59より吹出される。また、室内ファン22の上方出口22aから出る調和空気は、上通路R2からバイパス通路RR6,R7を通って下部第1右開口部93及び下部第1左開口部94より下方吹出通路R5に入る。つまり、室内ファン22の上方出口22a及び下方出口22bからでる調和空気は、両方とも下方吹出口59から吹出される。
【0096】
(12)特徴
(12−1)
上記実施形態の床置き型空調室内機20Aは、室内熱交換器21(熱交換器の一例)と、ケーシング50Aと、室内ファン22(遠心ファンの一例)と、上部流路切替機構28Aと、下部流路切替機構29Aとを備えている。ケーシング50Aには、室内熱交換器21及び室内ファン22が収納されている。このケーシング50Aには、吸込口57、吸込口57の上方にある上方吹出口58、吸込口57の下方にある下方吹出口59、上通路R2、下通路R3及びバイパス通路R6、R7が形成されている。室内ファン22は、吸込口57と上通路R2及び下通路R3との間に配置され、吸込口57から上方吹出口58及び下方吹出口59に向かう空気の流れを発生させることができる。
【0097】
上部流路切替機構28Aは、上方吹出口58と上通路R2とバイパス通路R6、R7の流路の切り替えを行なう。下部流路切替機構29Aは、下方吹出口59と下通路R3とバイパス通路R6、R7の流路の切り替えを行なう。上通路R2は、室内ファン22の上方出口22aから上部流路切替機構28Aに続き、下通路R3は、室内ファン22の下方出口22bから下部流路切替機構29Aに続いている。バイパス通路R6、R7は、室内ファン22に対して吸込口57の側とは反対側の第2内部空間S2に形成され、上部流路切替機構28A及び下部流路切替機構29Aに接続されている。また、上部流路切替機構28Aは、上通路R2を通って上方吹出口58に調和空気が向かう第1状態及び第3状態(上部流路第1状態の一例)と上通路R2からバイパス通路R6、R7を通って下方吹出口59に調和空気が向かう第2状態(上部流路第2状態の一例)とを切り替え可能に構成されている。また下部流路切替機構29Aは、下通路R3から下方吹出口59に調和空気が向かう第1状態及び第3状態(下部流路第1状態の一例)と下通路R3からバイパス通路R6,R7を通って上方吹出口58に調和空気が向かう第2状態(下部流路第2状態の一例)とを切り替え可能に構成されている。
【0098】
上通路R2からバイパス通路R6,R7を通って下方吹出口59に空気が向かう上部流路切替機構28Aを第2状態にすることで、バイパス通路R6,R7を下方吹出通路R5に通じさせていれば(下部流路切替機構29Aが第3状態になっていれば)、上通路R2に向かう空気を下方吹出口59から吹出させることができる。また、下通路からバイパス通路を通って上方吹出口に空気が向かう下部流路切替機構29Aを第2状態にすることで、バイパス通路R6,R7を上方吹出通路R4に通じさせていれば(上部流路切替機構28Aが第3状態になっていれば)、下通路R3に向かう空気を上方吹出口58から吹出させることができる。このように室内ファン22の周囲に配置されているバイパス通路R6,R7を使って室内ファン22の空気を導くことで、簡単で安価なバイパス通路R6,R7を使ってケーシング50Aをコンパクトに保ちながら、上部流路切替機構及び下部流路切替機構により空気の導き方にバリエーションを持たせることができ、空気の導き方のバリエーションから上方吹出口と下方吹出口から十分に調和された空気を吹出させるモードを適宜選択できる。
【0099】
(12−2)
上部流路切替機構28A及び下部流路切替機構29Aは、上部流路切替機構28Aが第1状態のときに下部流路切替機構29Aを第1状態の設定(上部流路第1状態と下部流路第1状態とを同時に設定している状態の一例)にできる。このように設定される
図7及び
図8の状態では、上部流路切替機構28Aを第1状態にして室内ファン22から上に吹出される調和空気を上方吹出口58から吹出させると同時に、下部流路切替機構29Aを第1状態にして室内ファン22から下に吹出される調和空気を下方吹出口59から吹出させることができ、上下吹きを行なわせることができる。上下吹きモードにすることにより、上部流路切替機構28Aと下部流路切替機構29Aを用いて上下吹きを行わせることができ、上方吹出口58と下方吹出口59から同時に十分に調和されている空気を吹出させることができる。
【0100】
(12−3)
図7及び
図8の状態では、上部流路切替機構28Aが第1状態に設定されると同時に下部流路切替機構29Aが第1状態に設定されている。このような状態では、上部中央ダンパ28a1で上通路R2と上方吹出口58との間が開通し、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3で上方吹出口58及び上通路R2とバイパス通路R6,R7との間が封鎖され、下部中央ダンパ29a1で下通路R3と下方吹出口59との間を開通させるとともに下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3で下方吹出口59及び下通路R3とバイパス通路R6,R7との間が封鎖される。このようにバイパス通路R6,R7を上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3と下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3で閉鎖することにより、バイパス通路R6,R7に空気が流れ込まないようにして、上方吹出口58と下方吹出口59から同時に十分に調和されている空気を効率良く吹出させることができる。
【0101】
(12−4)
上部流路切替機構28A及び下部流路切替機構29Aは、上部流路切替機構28Aが第3状態のときに下部流路切替機構29Aを第2状態の設定(上部流路第1状態と下部流路第2状態とを同時に設定している状態の一例)にできる。このように設定される
図9及び
図10の状態では、上部流路切替機構28Aを第3状態にして上通路R2を通って上方吹出口58に空気が導かれ、下部流路切替機構29Aを第2状態にして下通路R3からバイパス通路R6,R7を通って上方吹出口58に空気が導かれる。このように室内ファン22が上方に吹出す空気及び下方に吹出す空気を両方とも上方吹出口58から吹出させることができ、室内ファン22が上下に吹出す空気をともに上方に導くことで調和されている十分な空気を上方吹出口58から吹出させることができる。
【0102】
(12−5)
図9及び
図10の状態では、上部流路切替機構28Aが第3状態に設定されると同時に下部流路切替機構29Aが第2状態に設定されている。このような状態では、上部中央ダンパ28a1で上通路R2と上方吹出口58の間を開通させるとともに上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3で上方吹出口58とバイパス通路R6,R7との間を開通させ、下部中央ダンパ29a1、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3で下方吹出口59と下通路R3及びバイパス通路R6,R7との間を封鎖するとともにバイパス通路R6,R7と下通路R3との間を開通させる。このように上部中央ダンパ28a1、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3によって上通路R2と上方吹出口58の間及びバイパス通路R6,R7と上方吹出口58の間の両方を開通させ、下部中央ダンパ29a1によって下通路R3と下方吹出口59との間を閉鎖するとともに下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3で下通路R3とバイパス通路R6,R7との間を開通させることにより、室内ファン22が上方に吹出す空気と下方に吹出す空気をともに上方吹出口58に送ることができる。それにより、上方吹出口58からの吹出しを強めることができ、十分に調和されている空気を上方吹出口58から効率良く吹出させることができる。
【0103】
(12−6)
上部流路切替機構28A及び下部流路切替機構29Aは、上部流路切替機構28Aが第2状態のときに下部流路切替機構29Aを第3状態の設定(上部流路第2状態と下部流路第1状態とを同時に設定している状態の一例)にできる。このように設定される
図11及び
図12の状態では、下部流路切替機構29Aを第3状態にして下通路R3を通って下方吹出口59に空気が導かれ、上部流路切替機構28Aを第2状態にして上通路R2からバイパス通路R6,R7を通って下方吹出口59に空気が導かれる。このように室内ファン22が上方に吹出す空気及び下方に吹出す空気を両方とも下方吹出口59から吹出させることができ、室内ファン22が上下に吹出す空気をともに下方に導くことで調和されている十分な空気を下方吹出口59から吹出させることができる。
【0104】
(12−7)
図11及び
図12の状態では、上部流路切替機構28Aが第2状態に設定されると同時に下部流路切替機構29Aが第3状態に設定されている。このような状態では、上部中央ダンパ28a1で上方吹出口58と上通路R2及びバイパス通路R6,R7との間を封鎖するとともに上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3でバイパス通路R6,R7と上通路R2との間を開通させ、下部中央ダンパ29a1で下通路R3と下方吹出口59の間を開通させるとともに下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3でバイパス通路R6,R7と下方吹出口59との間を開通させる。このように下部中央ダンパ29a1、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3によって下通路R3と下方吹出口59の間及びバイパス通路R6,R7と下方吹出口59の間の両方を開通させ、上部中央ダンパ28a1によって上通路R2と上方吹出口58との間を閉鎖するとともに上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3で上方吹出口58とバイパス通路R6,R7との間を開くことにより、室内ファン22が下方に吹出す空気と上方に吹出す空気をともに下方吹出口59に送ることができる。それにより、下方吹出口59からの吹出しを強めることができ、十分に調和されている空気を下方吹出口59から効率良く吹出させることができる。
【0105】
(13)変形例
(13−1)変形例2A
上記第2実施形態では、室内ファン22を一つの遠心ファンで構成しているが、室内ファン22は複数の遠心ファンを用いて構成してもよい。
【0106】
(13−2)変形例2B
上記第2実施形態では、上方吹出口58が一つの場合について説明したが、上方吹出口は複数設けられていてもよい。同様に、下方吹出口59が一つの場合について説明したが、下方吹出口は複数設けられていてもよい。また、吸込口57も複数設けられていてもよい。
【0107】
(13−3)変形例2C
上記第2実施形態では、上部流路切替機構28Aに上部中央ダンパ28a1、上部右ダンパ28a2及び上部左ダンパ28a3を設け、下部流路切替機構29Aに下部中央ダンパ29a1、下部右ダンパ29a2及び下部左ダンパ29a3を設ける場合について説明したが、各流路の開通や閉鎖を行なうためのダンパの数はこの例の数に限られるものではない。また、流路の開通と閉鎖を行うための構成はダンパに限られるものではなく、シャッタなど他の構成であってもよい。
【0108】
(13−4)変形例2D
上記第2実施形態では、ケーシング50Aの両側にバイパス通路R6,R7を設ける場合について説明したが、側面に設けられるバイパス通路は、バイパス通路R6又はバイパス通路R7のいずれか一方のみでもよい。また、上記第1実施形態と第2実施形態を組み合わせて、側面と背面の両方にも受ける構成にすることもできる。