(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記白色LEDは、青色LED由来の最大発光ピークと、500〜700nmの波長帯域に前記最大発光ピークより強度の弱い1又は2以上の極大発光ピークとを有する発光スペクトルを示すものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは赤色画素、緑色画素及び青色画素を備えるものであるが、これらの着色画素に加えて、第4や第5の着色画素を有することもできる。例えば、特表2005−523465号公報などに開示されているように、赤色、緑色及び青色の三原色の画素に加え、表色範囲を広げるための第4の画素(黄色画素)や第5の画素(シアン色画素)を配置することができる。各色画素は通常着色組成物により構成されている。
着色組成物は、着色剤、バインダー樹脂及び多官能性単量体を少なくとも含有するが、必要に応じて、光重合開始剤を含有せしめることにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。また、着色組成物は、通常、溶媒を配合して液状組成物として使用される。以下、各成分について説明する。
【0013】
−赤色画素が含有する着色剤−
本発明のカラーフィルタを構成する赤色画素は、(1)C.I.ピグメントレッド242と、(2)C.I.ピグメントレッド177及びC.I.ピグメントレッド254よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする。
図1に、青色LEDとYAG蛍光体からの発光の混色により白色光を生成する白色LEDの代表的な発光スペクトルを示す。
本発明者らは、青色LEDの発光強度が最大となる430nm〜470nmの波長帯域における透過率をできるだけ低く、青色LEDより発光強度が弱い500nm以上の波長帯域における透過率をできるだけ高くするよう赤色画素の透過スペクトルを調整することにより、高輝度化と高色純度化の両立が実現できるものと考えた。そして、鋭意検討の結果、430nm〜470nmの波長帯域における透過率がC.I.ピグメントレッド177より低く、かつ500nm以上の波長帯域における透過率がC.I.ピグメントレッド254より高いC.I.ピグメントレッド242が、赤色画素に使用される着色剤として有効であることを見出した。
【0014】
本発明のカラーフィルタを構成する赤色画素は、(1)C.I.ピグメントレッド242と、(2)C.I.ピグメントレッド177及びC.I.ピグメントレッド254よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有すれば特に限定されず、他の赤色着色剤及び/又は黄色着色剤を含有してもよい。他の赤色着色剤又は黄色着色剤としては特に限定されるものではないが、C.I.ピグメントレッド242との共分散性の点から、有機顔料又は有機染料が好ましく、特に有機顔料が好ましい。このような赤色又は黄色の有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0015】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0016】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211。
【0017】
また、黄色顔料として、下記式(I)で表される化合物又はその互変異性体であるホストと、下記式(II)で表されるゲストからなる包接化合物(以下、「特定黄色顔料」ということがある。)を使用することもできる。
【0020】
(式(II)において、R
a〜R
cは、相互に独立に、水素原子、又は水酸基が置換していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0021】
ここで、R
a〜R
cにおける炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状及び分岐状のいずれの形態であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。また、水酸基が置換している炭素数1〜4のアルキル基としては、上記したアルキル基の少なくとも1つの水素原子を水酸基に置換した基が挙げられ、具体的には、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、1,2,3−トリヒドロキシブチル等を挙げることができる。
【0022】
本発明のカラーフィルタを構成する赤色画素において、これら他の赤色顔料又は黄色顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
本発明のカラーフィルタを、ノート型PC等、色純度の比較的低い用途、換言すると、CIE1931標準表色系における赤色画素の再現すべき色度座標が0.50≦x≦0.64、0.27≦y≦0.37、好ましくは0.53≦x<0.62、0.28≦y≦0.37の範囲において使用する場合では、本発明のカラーフィルタを構成する赤色画素は、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド254を含有し、必要に応じて黄色顔料や他の赤色顔料により調色されることが好ましい。その場合、各々の顔料の含有割合は、赤色画素を構成する全着色剤中、C.I.ピグメントレッド242が1〜74質量%、C.I.ピグメントレッド254が1〜84質量%であることが好ましく、C.I.ピグメントレッド242が20〜80質量%、C.I.ピグメントレッド254が10〜70質量%であることがより好ましく、C.I.ピグメントレッド242が50〜70質量%、C.I.ピグメントレッド254が20〜48質量%であることが特に好ましい。
【0024】
また、本発明のカラーフィルタを、テレビ等、色純度の高い用途、換言すると、CIE1931標準表色系における赤色画素の再現すべき色度座標が0.60≦x≦0.69、0.25≦y≦0.38、好ましくは0.62≦x≦0.68、0.28≦y≦0.38の範囲において使用する場合では、本発明のカラーフィルタを構成する赤色画素は、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド177を含有し、必要に応じて黄色顔料や他の赤色顔料により調色されることが好ましい。その場合、各々の顔料の含有割合は、赤色画素を構成する全着色剤中、C.I.ピグメントレッド242が1〜61質量%、C.I.ピグメントレッド177が1〜76質量%であることが好ましく、C.I.ピグメントレッド242が10〜60質量%、C.I.ピグメントレッド177が30〜75質量%であることがより好ましく、C.I.ピグメントレッド242が20〜50質量%、C.I.ピグメントレッド177が50〜70質量%であることが好ましい。
【0025】
調色に使用される黄色顔料としては、用途に関わらず、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、特定黄色顔料が好ましい。
【0026】
上記態様とすることにより、白色LEDをバックライト光源とした場合に、輝度及びコントラスト比の高い赤色画素とすることができる。
【0027】
−緑色画素が含有する着色剤−
本発明のカラーフィルタを構成する緑色画素は、緑色の着色剤を含有する限り特に限定されるものではないが、カラーフィルタには高純度で高光透過性の発色と耐熱性が求められることから、緑色の有機顔料又は有機染料を含有することが好ましく、緑色の有機顔料を含有することが特に好ましい。緑色の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン58等を挙げることができる。
【0028】
本発明において、これらの緑色の有機顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明のカラーフィルタを構成する緑色画素は、輝度及び色純度の点から、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントグリーン58よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、特にC.I.ピグメントグリーン58を含有することが好ましい。
【0029】
本発明のカラーフィルタを構成する緑色画素は、更に黄色の着色剤を含有することが好ましい。緑色画素が含有する黄色の着色剤としては、特に限定されるものではないが、有機顔料又は有機染料が好ましく、特に有機顔料が好ましい。このような黄色の有機顔料としては、上記赤色画素において例示した黄色の有機顔料と同様のものを挙げることができる。
【0030】
本発明のカラーフィルタを構成する緑色画素において、上記黄色の有機顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明のカラーフィルタを構成する緑色画素は、上記黄色の有機顔料うち、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150及び特定黄色顔料よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、特に特定黄色顔料を含有することが好ましい。
【0031】
本発明のカラーフィルタを構成する緑色画素は、用途に関わらず、緑色画素を構成する全着色剤中、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントグリーン58よりなる群から選ばれる少なくとも1種を40〜90質量%、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150及び特定黄色顔料よりなる群から選ばれる少なくとも1種を10〜60質量%含有することが好ましく、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントグリーン58よりなる群から選ばれる少なくとも1種を50〜80質量%、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150及び特定黄色顔料よりなる群から選れる少なくとも1種を20〜50質量%含有することがより好ましい。このような態様にすることにより、白色LEDをバックライト光源とした場合に、輝度及び色純度の高い緑色画素とすることができる。
【0032】
−青色画素が含有する着色剤−
本発明のカラーフィルタを構成する青色画素は、青色の着色剤を含有する限り特に限定されるものではないが、カラーフィルタには高純度で高光透過性の発色と耐熱性が求められることから、青色の有機顔料又は有機染料を含有することが好ましく、青色の有機顔料を含有することが特に好ましい。青色の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80等を挙げることができる。
【0033】
本発明において、これらの青色の有機顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明のカラーフィルタを構成する青色画素は、輝度及び色純度の点から、C.I.ピグメントブルー15:6を含有することが好ましい。
【0034】
本発明のカラーフィルタを構成する青色画素は、更に紫色の着色剤を含有することが好ましい。青色画素が含有する紫色の着色剤としては、特に限定されるものではないが、有機顔料又は有機染料が好ましく、特に有機顔料が好ましい。このような紫色の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38等を挙げることができる。
【0035】
本発明のカラーフィルタを構成する青色画素において、上記紫色の有機顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明のカラーフィルタを構成する青色画素は、上記紫色の有機顔料うち、C.I.ピグメントバイオレット23を含有することが好ましい。
本発明のカラーフィルタを構成する青色画素は、用途に関わらず、青色画素を構成する全着色剤中、C.I.ピグメントブルー15:6を60〜100質量%、C.I.ピグメントバイオレット23を0〜40質量%含有することが好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6を70〜100質量%、C.I.ピグメントバイオレット23を0〜30質量%含有することがより好ましい。このような態様にすることにより、白色LEDをバックライト光源とした場合に、輝度及び色純度の高い青色画素とすることができる。
【0036】
本発明において、C.I.ピグメントレッド242等の着色剤は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。また、C.I.ピグメントレッド242等の有機顔料は、ソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用することが好ましい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。また、有機顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。
【0037】
−バインダー樹脂−
本発明のカラーフィルタを構成する各色画素を形成するための着色組成物は、バインダー樹脂を含有することができる。これにより、基板上に塗膜を形成することが可能となると共に、アルカリ現像により画素パターンを形成することができる。このようなバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホ基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(1)」ということがある。)と、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(2)」ということがある。)との共重合体が好ましい。
【0038】
上記不飽和単量体(1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの不飽和単量体(1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0039】
また、上記不飽和単量体(2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0040】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0041】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
不飽和単量体(1)と不飽和単量体(2)の共重合体において、不飽和単量体(1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(1)を共重合させることにより、保存安定性、アルカリ現像性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0043】
不飽和単量体(1)と不飽和単量体(2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平9−311444号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2002−296778号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0044】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0045】
また、本発明のカラーフィルタを構成する青色画素には、脂環式炭化水素基を有するバインダー樹脂を含有せしめることが好ましい。これにより、青色画素の輝度を更に高めることができる。脂環式炭化水素基を有するバインダー樹脂は、例えば、上記カルボキシル基含有重合体において、脂環式炭化水素基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合した重合体を挙げることができる。
【0046】
脂環式炭化水素基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、上記不飽和単量体(2)として例示したN−シクロヘキシルマレイミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテルの他、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、デカヒドロ−2−ナフチル(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロペンテニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0047】
脂環式炭化水素基を有するバインダー樹脂において、脂環式炭化水素基を有するエチレン性不飽和単量体の共重合割合は、所望の効果を高める点から、好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
【0048】
本発明におけるバインダー樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ということがある。)は、通常、1,000〜300,000、好ましくは3,000〜100,000である。Mwが小さすぎると、得られる画素の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、パターン形状が損なわれたりするおそれがある。
【0049】
また、本発明におけるバインダー樹脂のMwと、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ということがある。)の比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
【0050】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0051】
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明のカラーフィルタを構成する各色画素を形成するための着色組成物において、バインダー樹脂の含有量は、着色剤100質量部に対して、通常10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。この場合、バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、例えば、得られる着色組成物の保存安定性やアルカリ現像性が低下するおそれがあり、一方多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0052】
−多官能性単量体−
本発明のカラーフィルタを構成する各色画素を形成するための着色組成物は、多官能性単量体を含有することができる。これにより、露光及び/又は加熱に伴う硬化性を有するものとなる。
多官能性単量体は、2個以上の重合可能な基を有する化合物であれば特に限定されるものではない。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、多官能性単量体としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0053】
上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0054】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0055】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0056】
また、上記2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0057】
これらの多官能性単量体のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸のエステル、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸のエステルの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、画素の強度が高く、画素の表面平滑性に優れる点で特に好ましい。
【0058】
本発明において、多官能性単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明のカラーフィルタを構成する各色画素を形成するための着色組成物において、多官能性単量体の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、5〜500質量部が好ましく、特に50〜300質量部が好ましい。この場合、多官能性単量体の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、多官能性単量体の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下する傾向がある。
【0059】
−光重合開始剤−
本発明のカラーフィルタを構成する各色画素を形成するための着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることにより、感放射線性を付与することができる。光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線などの放射線の露光により、上記多官能性単量体の硬化反応を開始し得る活性種を発生することができる化合物である。
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0060】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物及びO−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0061】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0062】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0063】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0064】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、更に感度を改良することができる点で好ましい。
【0065】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0066】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0067】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0068】
本発明のカラーフィルタを構成する各色画素を形成するための着色組成物において、光重合開始剤の含有量は、多官能性単量体100質量部に対して、通常0.01〜120質量部、好ましくは1〜100質量部である。
【0069】
−溶媒−
本発明のカラーフィルタを構成する各色画素を形成するための着色組成物は、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。溶媒としては、着色組成物を構成する各成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0070】
このような溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等を挙げることができる。
前記溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0071】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる着色組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該組成物から溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、特に10〜40質量%となる量が好ましい。
【0072】
−その他の添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じてその他の添加剤を更に含有することもできる。
上記添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0073】
本発明において、着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、上記各成分を混合することにより調製することができる。着色組成物の調製方法としては、着色剤を溶媒中、分散剤の存在下で、場合によりバインダー樹脂の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色剤分散液とし、次いで、この着色剤分散液に、多官能性単量体、バインダー樹脂等と、必要に応じて更に追加の溶媒を添加し、混合する方法を挙げることができる。
【0074】
上記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を挙げることができる。
【0075】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系共重合体として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ポリウレタンとして、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミンとして、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステルとして、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
【0076】
これらの分散剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは1〜70質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。分散剤の含有量が多すぎると、現像性等が損なわれるおそれがある。
【0077】
着色剤を分散する際には、上記分散剤と共に分散助剤を使用することもできる。分散助剤としては、例えば、顔料誘導体を挙げることができ、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0078】
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、(1)C.I.ピグメントレッド242と、(2)C.I.ピグメントレッド177及びC.I.ピグメントレッド254よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む赤色の着色剤が分散された着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0079】
次いで、緑色又は青色の着色剤が分散された各着色組成物の液状組成物を用い、上記と同様にして、各液状組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0080】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。金属薄膜からなるブラックマトリックスの膜厚は、通常0.1〜0.2μmであり、一方黒色組成物を用いて形成された樹脂ブラックマトリックスの膜厚は、1μm前後である。
【0081】
画素を形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
着色組成物の液状組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法が好ましい。
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常0.1〜1Torrで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0082】
カラーフィルタを形成する際に使用される放射線としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、好ましくは10〜10,000J/m
2である。
【0083】
また、アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で20〜40分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜3.0μmである。
【0084】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、インクジェット方式により各色の画素を得る方法も知られている。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、(1)C.I.ピグメントレッド242と、(2)C.I.ピグメントレッド177及びC.I.ピグメントレッド254よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む赤色の着色剤が分散された着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、赤色の画素パターンを形成する。
【0085】
次いで、緑色又は青色の着色剤が分散された各着色組成物の液状組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0086】
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。その膜厚は、通常1〜3μmである。したがって、隔壁は、通常、黒色組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の膜厚と同程度である。
【0087】
このようにして得られたカラーフィルタ上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。更に、必要に応じて透明導電膜上に、スペーサーを形成する。透明導電膜としては、酸化スズからなるNESA膜(米国PPG社の登録商標)、酸化インジウム−酸化スズからなるITO膜、酸化インジウム−酸化亜鉛からなるIZO膜等を挙げることができる。また、保護膜としては、熱硬化性樹脂組成物から形成される有機膜、SiNx膜、SiOx膜等の無機膜を挙げることができる。また、スペーサーは、通常、感放射線性組成物から形成される。
【0088】
カラー液晶表示素子
本発明のカラー液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタと、その背面側に白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備するものである。
バックライトユニットに使用する白色LEDは、白色光を発生するLEDであればその種類は特に限定されず、例えば、独立したスペクトルを有する赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを用いて白色光を得る白色LED、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0089】
本発明のカラーフィルタは、白色LEDの発光スペクトルが、430nm〜470nmの波長帯域に青色LEDに由来する最大発光ピークと、500nm〜700nmの波長帯域に上記最大発光ピークより強度の弱い1又は2以上の極大発光ピークとを有する場合に特に適する。かかる白色LEDとしては、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。ここで、白色LEDの発光スペクトルの具体例として、青色LEDとYAG蛍光体を組み合わせてなる白色LEDの発光スペクトルの一例を
図1に、また青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせなる白色LEDの発光スペクトルの一例を
図2に、それぞれ示す。
【0090】
バックライトユニットにおける青色LEDとしては、例えば、インジウム窒化ガリウム系半導体素子、窒化ガリウム系半導体素子等を挙げることができる。YAG蛍光体は、青色LEDから発せられた青色光を吸収し、黄色光を発光する。
また、青色光を吸収し赤色光を発光する赤色発光蛍光体、青色光を吸収し緑色光を発光する緑色発光蛍光体としては、例えば、国際公開第2006/104319号パンフレットに開示されている蛍光体を挙げることができる。また、青色光を吸収し橙色光を発光する橙色発光蛍光体としては、例えば、特開2008−24791号公報に開示されている蛍光体を挙げることができる。また、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LEDについては、例えば、特開2002−133910号公報に開示されている白色LEDが挙げられる。
【0091】
本発明のカラー液晶表示素子は、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができる。この代表的な例としては、例えば、国際公開第2007/102386号パンフレットに開示されている構造が挙げられる。また、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、透明電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。この構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【0092】
本発明のカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【実施例】
【0093】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
なお、実施例1〜8
、11、13、18、20は参考例であって、特許請求の範囲に包含されるものではない。
【0094】
バインダー樹脂の合成
合成例1
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート235質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸15質量部、N−フェニルマレイミド30質量部、ベンジルメタクリレート35質量部、スチレン20質量部及びα−メチルスチレンダイマー(連鎖移動剤)5質量部を仕込んで、窒素置換したのち、ゆるやかに攪拌しつつ、反応溶液を80℃に昇温し、この温度を保持して3時間重合した。その後、反応溶液を100℃に昇温して、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部を追加し、更に1時間重合を継続することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=30質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=10,000、Mn=5,600であった。このバインダー樹脂溶液を「バインダー樹脂溶液(B−1)」とする。
【0095】
合成例2
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート156質量部を仕込み、窒素ガスを注入しながら80℃に加温した。同温度で、メタクリル酸15質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、コハク酸−2−メタクリロイロキシエチル12.5質量部、スチレン10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12.5質量部、メチルメタクリレート13質量部及びシクロヘキシルメタクリレート25質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部に溶解させた溶液と、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル6質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28質量部に溶解させた溶液を、同時に2時間かけて滴下した。その後、反応溶液の温度を100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=30質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=12,000、Mn=6,400であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B−2)」とする。
【0096】
着色剤分散液の調製
調製例1
着色剤としてC.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントレッド242との45/55(質量比)混合物15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)10質量部(固形分濃度=40質量%)、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B−1)溶液13質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート62質量部を用いて、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−1)を調製した。
【0097】
調製例2〜22
調製例1において、着色剤の種類及び混合比率、並びにバインダー樹脂の種類を表1に示すように変更した以外は調製例1と同様にして、着色剤分散液(A−2)〜(A−22)を調製した。
【0098】
【表1】
【0099】
表1〜3において、例えば「R254」とはC.I.ピグメントレッド254を、「R242」とはC.I.ピグメントレッド242を、「R177」とはC.I.ピグメントレッド177を、「Y139」とはC.I.ピグメントイエロー139を、「特定Y」とは上記式(II)で表されるゲストがメラミンであって、該メラミンと、上記式(I)で表わされるホストとの包接化合物からなる特定黄色顔料を、「G36」とはC.I.ピグメントグリーン36を、「G58」とはC.I.ピグメントグリーン58を、「B15:6」とはC.I.ピグメントブルー15:6を、「V23」とはC.I.ピグメントバイオレット23を、それぞれ意味する。
【0100】
参考例1
感放射線性着色組成物の調製
着色剤として着色剤分散液(A−1)46.7質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B−1)溶液を10.7質量部、多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬社製、商品名KAYARAD DPHA)5.1質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名イルガキュア369)1.0質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル4.5質量部と3−エトキシプロピオン酸エチル32.0質量部を混合して、液状組成物(S−1)を調製した。
【0101】
液状組成物(S−1)について、下記の手順にしたがって、評価を行った。
【0102】
基板の作製
液状組成物(S−1)を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで3分間プレベークを行って、塗膜を形成した。
次いで、塗膜が形成された基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を1,000J/m
2の露光量で露光した。その後、得られた基板に対して23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出しシャワー現像を行った後、超純水で洗浄し、更に230℃で20分間ポストベークを行うことにより、赤色硬化膜が形成された評価用基板を作製した。
【0103】
色度特性の評価
得られた基板について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、透過スペクトルを測定した。得られた透過スペクトルと、
図1に示す白色LEDの発光スペクトルから、CIE1931表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を求めた。評価結果を表2に示す。
【0104】
コントラスト比の評価
得られた基板を2枚の偏向板で挟み、
図1の発光スペクトルを示す白色LEDで照射しつつ前面側の偏向板を回転させ、透過する光強度を輝度計BM5−AS((株)トプコン製)にて最大値と最小値を測定した。そして、その最大値を最小値で割った値を、コントラスト比として評価した。評価結果を表2に示す。
【0105】
参考例2〜12及び比較参考例1〜2
参考例1において、表2に示す着色剤分散液及びバインダー樹脂に変更した以外は参考例1と同様にして、液状組成物(S−2)〜(S−14)を調製した。
次いで、液状組成物(S−1)に代えてそれぞれ液状組成物(S−2)〜(S−14)を用いた以外は、参考例1と同様にして各硬化膜が形成された基板について評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
参考例13〜34及び比較参考例3〜6
参考例1において、表3に示す着色剤分散液及びバインダー樹脂を用いて液状組成物を調製し、それら液状組成物を用いて基板上に硬化膜を形成したこと以外は、参考例1と同様にして各基板について評価を行った。なお、色度特性及びコントラスト比の評価において、参考例13〜23及び比較参考例3〜4では
図2の発光スペクトルを示す白色LEDを用い、参考例24〜34及び比較参考例5〜6では青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を生成する白色LEDを用いた。評価結果を表3に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
実施例1
カラーフィルタの作製
液状組成物(S−1)を、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで3分間プレベークを行って、塗膜を形成した。
次いで、塗膜が形成された基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、ストライプ状フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を1,000J/m
2の露光量で露光した。その後、得られた基板に対して23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出しシャワー現像を行った後、超純水で洗浄し、更に230℃で20分間ポストベークを行うことにより、基板上に、上記参考例1と同等の色度座標値(x,y)を示す赤色のストライプ状画素パターンを形成した。
次いで、同様の方法により、液状組成物(S−7)を用いて、赤色のストライプ状画素パターンの隣に、上記参考例7と同等の色度座標値(x,y)を示す緑色のストライプ状画素パターンを形成した。
次いで、同様の方法により、液状組成物(S−11)を用いて、緑色のストライプ状画素パターンの隣に、上記参考例11と同等の色度座標値(x,y)を示す青色のストライプ状画素パターンを形成することによりカラーフィルタを作製した。
【0110】
カラーフィルタの評価
得られたカラーフィルタに、
図1の発光スペクトルを示す白色LEDを照射したときの、CIE1931表色系における白表示での色度座標値(x,y)、刺激値(Y)を測定した。評価結果を表4に示す。
また、黒表示での視認性を評価した。評価結果を表4に示す。
【0111】
実施例2〜22及び比較例1〜6
実施例1において、表4に示す液状組成物を用い、赤色、緑色及び青色のストライプ状画素パターンを形成してカラーフィルタを作製したこと以外は、実施例1と同様にして各カラーフィルタについて評価した。なお、色度特性及び視認性の評価において、実施例2〜8及び比較例1〜2では実施例1と同様の
図1の発光スペクトルを示す白色LEDを用い、実施例9〜15及び比較例3〜4では
図2の発光スペクトルを示す白色LEDを用い、実施例16〜22及び比較例5〜6では青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を生成する白色LEDを用いた。評価結果を表4に示す。
【0112】
【表4】